TOP > 国内特許検索 > 製品添加によるマイクロ波吸収・発熱効果を利用した酸化ニッケルの製造方法 > 明細書

明細書 :製品添加によるマイクロ波吸収・発熱効果を利用した酸化ニッケルの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5555869号 (P5555869)
公開番号 特開2011-088767 (P2011-088767A)
登録日 平成26年6月13日(2014.6.13)
発行日 平成26年7月23日(2014.7.23)
公開日 平成23年5月6日(2011.5.6)
発明の名称または考案の名称 製品添加によるマイクロ波吸収・発熱効果を利用した酸化ニッケルの製造方法
国際特許分類 C01B  13/32        (2006.01)
C01G  53/04        (2006.01)
FI C01B 13/32
C01G 53/04
請求項の数または発明の数 1
全頁数 10
出願番号 特願2009-241778 (P2009-241778)
出願日 平成21年10月20日(2009.10.20)
審査請求日 平成24年4月13日(2012.4.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】内田 哲平
【氏名】鈴木 政浩
【氏名】石井 克典
【氏名】木原 義之
【氏名】藤井 寛一
【氏名】栗田 勉
【氏名】加藤 良幸
【氏名】山本 琢磨
【氏名】福井 国博
個別代理人の代理人 【識別番号】100139114、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 貞嗣
【識別番号】100092495、【弁理士】、【氏名又は名称】蛭川 昌信
【識別番号】100139103、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 卓志
【識別番号】100095980、【弁理士】、【氏名又は名称】菅井 英雄
【識別番号】100094787、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 健二
【識別番号】100097777、【弁理士】、【氏名又は名称】韮澤 弘
【識別番号】100091971、【弁理士】、【氏名又は名称】米澤 明
【識別番号】100119220、【弁理士】、【氏名又は名称】片寄 武彦
審査官 【審査官】大城 公孝
参考文献・文献 特開平04-292404(JP,A)
特開2008-145191(JP,A)
特開昭58-194742(JP,A)
調査した分野 C01B 13/14-13/36
C01G 53/04
特許請求の範囲 【請求項1】
酸化ニッケルを最終製品として得る酸化ニッケルの製造方法において、
酸化ニッケルの前駆体として、ニッケル硝酸塩の溶液を調整する調整工程と、
前記調整工程によって調整された溶液に、最終製品である酸化ニッケルを添加する添加工程と、
前記添加工程によって酸化ニッケルが添加された溶液を、マイクロ波で加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする酸化ニッケルの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス原料をはじめ各種用途に使用される、製品添加によるマイクロ波吸収・発熱効果を利用した金属酸化物粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セラミックス原料、着色原料等に使用される金属酸化物微粒子の製造方法は、出発相によってCVDやガス中蒸発法などの気相法、沈殿法や噴霧法などの液相法、機械的粉砕法などの固相法に分類される。また、これらは、機械的粉砕法に代表される、バルク材を微細化することで得られるいわゆるブレイクダウン方式、分子レベルから成長させることによって得られるビルドアップ方式に分類されるが、ブレイクダウン方式は機械的粉砕による微細化に限界があること、粉砕機器からの不純物の混入があることから、高純度な微粒子の製造には主としてビルドアップ方式が適用されている。ここでその代表的なものとして液相法を例にとると、金属塩の水溶液にアルカリ等のpH調整剤を加えて水酸化物等を沈殿させ、かかる水酸化物等を500℃~700℃程度に昇温し、分解することによって所望の金属酸化物微粒子を得ることができる。その具体例として、例えば特許文献1ではカルボン酸化合物を分散等させた水溶液中に、金属塩の水溶液と中和剤の水溶液とを同時に添加して、上記金属の水酸化物等の微粒子を生成させ、得られた微粒子を焼成する微粒子状金属酸化物の製造方法が開示されている。

【特許文献1】特開平5-139704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、発明者らは金属酸化物粒子を製造する方法として、金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液をマイクロ波によって加熱し脱硝させ、金属酸化物を得る方法について種々検討しているが、発明者らは、鋭意研究の結果、金属の種類に依りマイクロ波加熱で金属の酸化物を得られるものと得られないものとがある、という知見を得た。例えば、銅硝酸塩水和物については、マイクロ波加熱することにより酸化銅を得るがことができるが、ニッケル硝酸塩水和物についてはマイクロ波加熱を行っても酸化ニッケルを得るがことができない。このように、従来の方法によれば、マイクロ波加熱で全ての金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液を効率的に脱硝することができず、問題であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記のような問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、酸化ニッケルを最終製品として得る酸化ニッケルの製造方法において、酸化ニッケルの前駆体として、ニッケル硝酸塩の溶液を調整する調整工程と、前記調整工程によって調整された溶液に、最終製品である酸化ニッケルを添加する添加工程と、前記添加工程によって酸化ニッケルが添加された溶液を、マイクロ波で加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする。

【0005】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の金属酸化物粒子の製造方法において、前記金属酸化物における金属がLi、Cu、Zn、Al、Mg、Co,Sr、Ba、Y、In、Ce、Si、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、Cr、W、Mn、Fe、Ni、Ru、U、Pu、Np、Am、Cmから選ばれる1種類の金属であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の金属酸化物粒子においては、金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液に、金属酸化物を予め添加し、これにマイクロ波を照射し加熱する。このような本発明の金属酸化物粒子の製造方法によれば、溶液によるマイクロ波の吸収は向上するので、マイクロ波加熱によって効率的に脱硝反応を進行させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る金属酸化物粒子の製造方法のフローを示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る金属酸化物粒子の製造方法の加熱工程で用いられる装置の概略を説明する図である。
【図3】従来例に係る金属酸化物粒子の製造方法における昇温プロフィール及び発生NO3濃度を示す図である。
【図4】従来例に係る金属酸化物粒子の製造方法で生成した物質のXRDパターンを示す図である。
【図5】従来例に係る金属酸化物粒子の製造方法で生成した物質のXRDパターンを示す図である。
【図6】従来例に係る金属酸化物粒子の製造方法で生成した物質のXRDパターンを示す図である。
【図7】従来例に係る金属酸化物粒子の製造方法で生成した物質のXRDパターンを示す図である。
【図8】比較例に係る金属酸化物粒子の製造方法に用いられた装置の概略を説明する図である。
【図9】比較例に係る金属酸化物粒子の製造方法における昇温プロフィール及び発生NO3濃度を示す図である。
【図10】比較例に係る金属酸化物粒子の製造方法で生成した物質のXRDパターンを示す図である。
【図11】比較例に係る金属酸化物粒子の製造方法で生成した物質のXRDパターンを示す図である。
【図12】比較例に係る金属酸化物粒子の製造方法で生成した物質のXRDパターンを示す図である。
【図13】比較例に係る金属酸化物粒子の製造方法で生成した物質のXRDパターンを示す図である。
【図14】比較例に係る金属酸化物粒子の製造方法で生成した物質のXRDパターンを示す図である。
【図15】本実施形態に係る金属酸化物粒子の製造方法における昇温プロフィール及び発生NO3の発生速度を示す図である。
【図16】本実施形態に係る金属酸化物粒子の製造方法において金属酸化物の添加量を変化させたときの昇温プロフィールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の金属酸化物粒子の製造方法について適宜図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係る金属酸化物粒子の製造方法のフローを示す図である。図1において、まずステップS100では、金属酸化物前駆体として、金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液を調整する。そして、次のステップS200として、先のステップにおいて調整された金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液に、これらと同様の金属からなる金属酸化物を添加する工程を実施する。このステップでは、前記溶液から得ようとする金属酸化物と同様の金属酸化物を前記溶液に予め添加する工程であり、いわば目指そうとする最終製品である金属酸化物を原料溶液に添加しておく工程である。

【0009】
金属酸化物を構成する酸素は電気陰性度が強いため、金属酸化物は極性を有する。このような極性の大きさは、金属酸化物を構成する金属の種類やその金属酸化物の結晶構造によっても異なるが、一般的に金属酸化物全般はマイクロ波を比較的よく吸収するものである。(ただし金属酸化物の種類によってその程度は異なり、金属酸化物の粉体の粒子径や充填率によっても異なる。)
前述したとおり、銅硝酸塩水和物の溶液については、これをマイクロ波加熱することにより酸化銅を得るがことができるが、ニッケル硝酸塩水和物の溶液についてはマイクロ波加熱を行っても酸化ニッケルを得るがことができない。これは、ニッケル硝酸塩水和物の脱硝反応プロセスにおいて生成する中間生成物のマイクロ波の吸収が悪く、このためニッケル硝酸塩水和物の溶液が昇温しなくなることが原因であると考えられる。

【0010】
そこで、本発明の金属酸化物粒子の製造方法においては、ステップS200の添加工程で、金属酸化物前駆体である金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液に、マイクロ波をよく吸収する金属酸化物(最終製品)を所定量添加しておき、この添加金属酸化物によりマイクロ波を吸収させて、効率的に溶液の昇温を行わせようとするものである。このような本発明の金属酸化物粒子に係る製造方法によれば、溶液によるマイクロ波の吸収は向上し、マイクロ波加熱によって効率的に脱硝反応を進行させることが可能となるのである。

【0011】
なお、本発明の金属酸化物粒子の製造方法の添加工程で添加するものは最終製品自身である金属酸化物であるため、これとは別の添加物を用意・添加する必要がなく、コンタミネーションが発生しない合理的な手法であるいうことができる。

【0012】
マイクロ波加熱によれば、硝酸ニッケル水和物水溶液の他に、硝酸アルミニウム水和物水溶液、硝酸ジルコニウム水和物水溶液などについても、それらの金属酸化物を得ることができないことを確認したが、本発明の金属酸化物粒子の製造方法を用いれば、これらの金属の金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液からマイクロ波加熱で金属酸化物を得ることができるもの考えられる。さらにより一般的には、本発明の金属酸化物粒子の製造方法では、金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩における金属として、Li、Cu、Zn、Al、Mg、Co,Sr、Ba、Y、In、Ce、Si、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、Cr、W、Mn、Fe、Ni、Ru、U、Pu、Np、Am、Cmから選ばれる1種類の金属である場合に適用することができるものとすることができる。

【0013】
ステップS200に続くステップS300では、前記の添加工程によって金属酸化物が添加された金属硝酸塩溶液又は酸化金属硝酸塩溶液を、マイクロ波で加熱して溶液を昇温し、脱硝反応プロセスを進行させて、最終的に原料であった金属硝酸塩溶液又は酸化金属硝酸塩溶液の金属酸化物を得るようにする。

【0014】
次に、本発明の金属酸化物粒子の製造方法の加熱工程(ステップS300)で用いる装置の一例について説明する。図2は本発明の実施形態に係る金属酸化物粒子の製造方法の加熱工程で用いられる装置の概略を説明する図である。図2において、10は加熱室、11は制御部、13は温度検出部、14は断熱部材、15は反応容器、20はマグネトロン、21はマイクロ波導入口をそれぞれ示している。

【0015】
本実施形態における加熱工程では、マイクロ波による加熱が採用されている。このため本実施形態における加熱装置には、マイクロ波が周囲に漏洩することを防止する目的として加熱室10が設けられている。この加熱室10内には、金属酸化物が添加された金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液を収容する反応容器15が載置される断熱部材14が設けられている。また、マグネトロン20によって発生されたマイクロ波は不図示の導波管からマイクロ波導入口21に導けれ、このマイクロ波導入口21から加熱室10に導入される。

【0016】
反応容器15内の溶液には、熱電対などの温度検出部13がセットされ、金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液の温度を計測するようになっている。この計測値は制御部11に入力され、制御部11は溶液の温度に対応してマグネトロン20の出力を制御することができるようになっている。

【0017】
反応容器15の両端にはIn及びOutのガス配管に接続されており、In側からは、不図示の圧縮空気供給システムによって、100ml/secの圧縮空気を流入させて、Out側からは脱硝反応で生じたH2OやN成分ガスが排出させる。

【0018】
なお、本実施形態では、不図示の排ガス処理システムのOut側から排出されるガスを分析している。この排ガス処理システムにおいて、排出されたH2Oをコンデンサにて完全に凝縮させ重量を計測した。また、N成分ガスは水洗瓶にて吸収させ、pHを計測後に全Nが硝酸となったと仮定してN成分ガスの発生量を逆算した。

【0019】
次に、ニッケル硝酸塩水和物溶液に係る実施例について説明する。まず、酸化ニッケルを添加することなく、マイクロ波加熱でニッケル硝酸塩水和物溶液を脱硝させる場合(従来例。本願発明の課題となる事項)についての詳細な分析について説明する。

【0020】
<金属酸化物を添加せずにマイクロ波加熱を行う例>
本例が、本発明と異なる点は、ステップS200の酸化ニッケル(NiO3)添加工程が実行されず、金属酸化物前駆体として調整されたニッケル硝酸塩水和物(Ni(NO32・6H2O)溶液はそのまま、図2に示すマイクロ波加熱装置で加熱工程を経る点である。このような従来例における昇温プロフィール、時間-発生NO3濃度の関係をグラフ化したものが図3である。また、図3における(F)、(G)、(H)、(I)の各温度点で反応容器15内からサンプリングされた生成物質をXRDで分析した結果が図4乃至図7に示すものである。なお、以下、サンプリングされた生成物質の分析に用いたXRDは、Rigaku社製 RINT-2000である。

【0021】
図3に示すように、従来例におけるマイクロ波加熱工程では、(I)点をピークとしてこれ以上昇温せず、さらにNO3の発生も増大しないことから、脱硝反応プロセスが進行していないことがわかる。また、従来例に係るマイクロ波加熱工程では、脱硝反応プロセスで生成される生成物質としては、硝酸ニッケル2水和物(Ni3(NO3)2・2H2O)や硝酸ニッケル4水和物(Ni3(NO3)2・4H2O)である。そして、これらの物質がいずれもマイクロ波感受性が低いことからも、従来例では溶液のマイクロ波の吸収効率が悪く、溶液が適切に昇温しないために脱硝反応プロセスが進行しないことがわかる。

【0022】
<金属酸化物を添加せずにヒーター加熱を行う例>
次に、比較例として、金属酸化物前駆体として調整されたニッケル硝酸塩水和物(Ni(NO32・6H2O)溶液をヒーターによって加熱して脱硝させる場合について説明する。このような比較例における加熱工程で用いるヒーター加熱装置について説明する。図8は比較例に係る金属酸化物粒子の製造方法に用いられた装置の概略を説明する図である。図8の装置は、加熱工程で、ヒーターによる加熱のみを行う加熱方式が採用されるものである。したがって、図2に記載の加熱装置から、加熱室10やマグネトロン20などのマイクロ波加熱のための構成が省略され、断熱部材14には反応容器15に収容される前駆体(金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液)をヒーター加熱するためのリボンヒーターなどのヒーター12が設けられている。

【0023】
本比較例が、本発明と異なる点は、ステップS200の酸化ニッケル(NiO3)添加工程が実行されない点、及び、金属酸化物前駆体として調整されたニッケル硝酸塩水和物(Ni(NO32・6H2O)溶液はそのまま、図8に示すヒーター波加熱装置で加熱工程を経る点である。

【0024】
このような比較例における昇温プロフィール、時間-発生NO3濃度の関係をグラフ化したものが図3である。また、図9における(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の各温度点で反応容器15内からサンプリングされた生成物質をXRDで分析した結果が図10乃至図14に示すものである。

【0025】
図9に示すように、比較例におけるヒーター加熱工程では、およそ450℃近くまで昇温すると共に、NO3も想定の通り発生し、脱硝反応プロセスが適切に進行し最終製品である酸化ニッケルを得ることができる。また、図10乃至図14から分かるように、ヒーター加熱では、(A)乃至(C)の温度点で検出される硝酸ニッケル2水和物(Ni3(NO3)2・2H2O)や硝酸ニッケル4水和物(Ni3(NO3)2・4H2O)は、昇温と共にNi3(NO32・(OH)4となり、最終的に酸化ニッケルが生成される。

【0026】
なお、XRDパターンから各温度での反応は以下に示すものである考えることができる。
(A)120℃、(B)150℃、(C)180℃における反応
Ni(NO32・6H2O+nH2O-->Ni(NO32・6H2O+kH2O+(n-k)H2O↑
Ni(NO32・6H2O-->Ni(NO32・2H2O+4H2O↑
Ni(NO32・6H2O-->Ni(NO32・4H2O+2H2O↑
(D)200℃での反応
3Ni(NO32・4H2O-->Ni3(NO32(OH)4+4HNO3
3Ni(NO32・2H2O+2H2O-->Ni3(NO3)2(OH)4+4HNO3
(E)430℃での反応
200℃以上の温度域でNi3(NO32(OH)4からNiOが生成される過程として、以下の2つの反応過程が予想される。即ち、Ni3(NO32(OH)4からの脱硝反応が選択的に行われ、水酸化ニッケルNi(OH)2(融点230℃)が生成され、ここから脱水反応が生じ、NiOが得られるという反応過程とNi3(NO32(OH)4からの脱硝反応と脱水反応が並列的に進行し、Ni(OH)2を経ることなくNiOが得られるという反応過程である。
●反応過程1
Ni3(NO32(OH)4--> Ni(OH)2 --> NiO
●反応過程2
Ni3(NO32(OH)4 --> NiO
<本発明:金属酸化物を添加しマイクロ波加熱を行う例>
次に、本発明の金属酸化物粒子の製造方法の加熱工程について説明する。本実施形態では、ステップS100の調整工程において、20gのNi(NO32・6H2Oと15.0mlのイオン交換水とを調整した溶液を作製し、次にステップS200の添加工程として当該溶液に8.5gのNiOを添加した。このとき添加した金属酸化物が占める重量パーセントは、19.5wt%である。続く、ステップS300における昇温プロフィール及び発生NO3の発生速度を図15に示す。

【0027】
図15に示すように、ステップS300のマイクロ波加熱工程では、およそ700℃近くまで昇温すると共に、NO3も想定の通りの発生速度で発生し、脱硝反応プロセスが適切に進行し最終製品である酸化ニッケルを得ることができた。

【0028】
以上のような本発明の金属酸化物粒子に係る製造方法によれば、溶液によるマイクロ波の吸収は向上し、マイクロ波加熱によって効率的に脱硝反応を進行させることが可能となるのである。また、本発明の製造方法における添加工程で添加するものは最終製品自身である金属酸化物であるため、これとは別の添加物を用意・添加する必要がなく、コンタミネーションが発生しない合理的な手法であるいうことができる。

【0029】
次に添加工程で添加する金属酸化物の量についてみてみる。図16は本実施形態に係る金属酸化物粒子の製造方法において金属酸化物の添加量を変化させたときの昇温プロフィールを示す図である。図16に示すグラフは、20gのNi(NO32・6H2Oと15.0mlのイオン交換水とからなる溶液に、それぞれ8.5g、6g、5.5gのNiOを添加したときのマイクロ波加熱による昇温プロフィールである。なお、図16に示す昇温プロフィールを取得する際には、いずれも共通のマイクロ波のパワーが用いられている。図16からも分かるようにNiOを5.5g添加した場合では、マイクロ波吸収が行われず、その結果、昇温が行われずに脱硝プロセスは進行しなかったが、6g及び8.5gのNiO添加では昇温が適切に行われ、所望の金属酸化物を得ることができた。このように、添加工程で添加する金属酸化物の量は所定の量以上であるべきであることがわかる。なお、金属酸化物の量をどの程度とするかは加熱工程におけるマイクロ波パワーなどに依存するものと考えられる。

【0030】
以上、本発明の金属酸化物粒子においては、金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液に、金属酸化物を予め添加し、これにマイクロ波を照射し加熱する。このような本発明の金属酸化物粒子の製造方法によれば、溶液によるマイクロ波の吸収は向上するので、マイクロ波加熱によって効率的に脱硝反応を進行させることが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
10・・・加熱室
11・・・制御部
12・・・ヒーター
13・・・温度検出部
14・・・断熱部材
15・・・反応容器
20・・・マグネトロン
21・・・マイクロ波導入口
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15