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明細書 :線維芽細胞増殖促進剤、角化細胞遊走・増殖促進剤、エラスチン産生促進剤、ヒートショックタンパク質47産生促進剤、α-平滑筋アクチン(α-SMA)産生促進剤、及び光老化防止剤。

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5787285号 (P5787285)
公開番号 特開2012-056857 (P2012-056857A)
登録日 平成27年8月7日(2015.8.7)
発行日 平成27年9月30日(2015.9.30)
公開日 平成24年3月22日(2012.3.22)
発明の名称または考案の名称 線維芽細胞増殖促進剤、角化細胞遊走・増殖促進剤、エラスチン産生促進剤、ヒートショックタンパク質47産生促進剤、α-平滑筋アクチン(α-SMA)産生促進剤、及び光老化防止剤。
国際特許分類 A61K  31/215       (2006.01)
A61K   8/37        (2006.01)
A61P  17/02        (2006.01)
A61Q  19/00        (2006.01)
A61P  17/16        (2006.01)
A61P  17/14        (2006.01)
A61Q   7/00        (2006.01)
A61Q  19/08        (2006.01)
A61P  17/00        (2006.01)
A61Q  19/10        (2006.01)
FI A61K 31/215
A61K 8/37
A61P 17/02
A61Q 19/00
A61P 17/16
A61P 17/14
A61Q 7/00
A61Q 19/08
A61P 17/00
A61Q 19/10
請求項の数または発明の数 4
全頁数 16
出願番号 特願2010-199209 (P2010-199209)
出願日 平成22年9月6日(2010.9.6)
審査請求日 平成25年7月17日(2013.7.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506122327
【氏名又は名称】公立大学法人大阪市立大学
発明者または考案者 【氏名】湯浅 明子
【氏名】湯浅 勲
個別代理人の代理人 【識別番号】100065248、【弁理士】、【氏名又は名称】野河 信太郎
【識別番号】100159385、【弁理士】、【氏名又は名称】甲斐 伸二
【識別番号】100163407、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 裕輔
【識別番号】100166936、【弁理士】、【氏名又は名称】稲本 潔
【識別番号】100174883、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 雅己
審査官 【審査官】光本 美奈子
参考文献・文献 特開2009-298724(JP,A)
特開2009-149562(JP,A)
特開2008-280296(JP,A)
フレグランスジャーナル,2009年,vol.37, no.4,p.103-107
調査した分野 A61K 31/00~31/80
A61K 8/00~8/99
A61P 1/00~43/00
A61Q 1/00~99/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
1’-アセトキシチャビコールアセテートを有する、角化細胞遊走・増殖促進剤。
【請求項2】
請求項1に記載の促進剤を有する、表皮の創傷治癒を促進するための医薬品。
【請求項3】
請求項1に記載の促進剤を有する、表皮の創傷治癒を促進するための医薬部外品。
【請求項4】
請求項1に記載の促進剤を有する、表皮の創傷治癒を促進するための化粧品。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、線維芽細胞増殖促進剤、角化細胞遊走・増殖促進剤、エラスチン産生促進剤、ヒートショックタンパク質47産生促進剤、及びα-平滑筋アクチン(α-SMA)産生促進剤及び光老化防止剤、並びにこれらを用いる医薬品類、医薬部外品類、化粧品類に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、表皮、真皮および皮下組織から構成される。表皮は、外界と接し、角質層、顆粒層、有棘層及び基底膜から構成される。基底膜で産生された角化細胞(ケラチノサイト)が分裂を繰り返しながら、有棘細胞、顆粒細胞を経て角質細胞となって皮膚表面を覆っている。古くなった角質細胞は垢として剥離する。角化細胞が、基底層から角質層に達し、角質細胞となって皮膚表面を覆い、剥離するまで(ターンオーバー)約28日を要する。このようなターンオーバーを繰り返すことで、皮膚の水分保持、柔軟性や弾力性の維持、外敵の侵入の防御などの効果を発揮する。
【0003】
真皮組織は、表皮に栄養分を補給して皮膚を保持し、外部の損傷から身体を保護し、水分を貯蔵する能力と体温を調整する機能を有する。真皮は、線維芽細胞と細胞外マトリクスとからなる。細胞外マトリクスは、線維芽細胞から産生され、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などから構成されている。細胞外マトリクスは、細胞及び皮膚組織の支持、細胞間隙における保水、皮膚の潤滑性と柔軟性の保持、紫外線・乾燥環境・機械的刺激や損傷、微生物感染などから皮膚組織を保護する。
【0004】
人間の皮膚は、加齢と共に種々の内外の要因により、その機能が低下する。すなわち、表皮細胞のターンオーバーサイクルを乱す、コラーゲン、エラスチンなどの細胞外マトリクスの産生量が減少する、分解量が増加する、変性を生ずるなどを促す。この結果、皮膚バリア機能の低下による水分率の低下、皮膚の柔軟性・弾力性の喪失、肌荒れ、しみ、しわの形成、あるいは損傷を受けた組織修復の遅延・不全などを起こす。
【0005】
コラーゲンは、細胞外マトリクスの主要成分である。コラーゲンは、通常のタンパク質に比べてターンオーバーに要する時間が長く、老化に伴い、そのサイクルは更に長くなるといわれている。老化に伴いターンオーバーサイクルが遅くなると、コラーゲン自体の変性(老化)が進み、皮膚の柔軟性、弾力性の低下(硬化)につながる。このため、コラーゲンの産生能を高める物質が、種々検討されている。本発明者らも、1’-アセトキシチャビコールアセテート(ACA)がコラーゲンの産生能を高める物質であることは、すでに見出している(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
一方、コラーゲンが産生されていても、正しくフォールディングしなければ、皮膚の機能を維持するために必要とされる機能を果たせない。したがって、コラーゲンが機能するためには、正しくフォールディングすることが必要である。ヒートショックタンパク質47(以下、「HSP47」ということもある。)は、小胞体に局在し、コラーゲンの正しいフォールディングに必須の物質であることが知られている。
【0007】
また、細胞外マトリクスのエラスチンは、真皮の総タンパク質の約2%を占める。エラスチンは、ランダムコイル状のペプチド鎖が鎖間架橋してゴムのように伸縮自在なネットワークを作って、皮膚に弾力性を与えることが知られている。したがって、エラスチン産生能が高ければ、皮膚の張りを維持し、皺の発生を有効に予防することが期待される。エラスチン産生を促進する物質として、例えばアオギヌゴケ科植物抽出物などが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、植物などの抽出物は、有効成分に個体差がある、使用量が多くなるという問題がある。
【0008】
また、細胞外マトリクスは線維芽細胞から産生される。このため、線維芽細胞の増殖能を亢進させることができれば、結果的に細胞外マトリクスの産生が増え、皮膚の水分保持、柔軟性や弾力性の維持、外敵の侵入の防御などの効果を発揮することとなる。
【0009】
さらに、重力も皮膚に作用し続け、たるみやシワの原因になることが知られている。真皮中の線維芽細胞には、重力に対抗する機構が備わっている。この機構は、α-平滑筋アクチン(α-smooth muscle actin:α-SMA)が束化したストレスファイバーとインテグリンと焦点接着班(ビンキュリンやタリンなど)とから構成される重力受容体として知られている。重力受容体が重力を感知すると、細胞核へ情報を伝達し、細胞がマトリクスの合成を促進するなどにより、真皮を修復する。α-SMAが束化したストレスファイバーは、伸縮性の高い細胞骨格成分であり、真皮の強度や皮膚のハリに重要な役割を果たしている。また、受容体自体は加齢と共に減少することが知られている。重力受容体を構成する、インテグリンやビンキュリンの産生を増強する物質については、検討されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、α-SMAの産生を増強する物質については知られていない。
【0010】
さらに、角化細胞の遊走・増殖能が亢進すれば、皮膚のターンオーバーサイクルの維持が図られ、皮膚のバリア機能の維持に重要な役割を果たす。また、角化細胞は、毛母細胞と共に、育毛に関与することが知られている。さらに、角化細胞は、免疫にも関与していることが知られている。その主な役割は,各種サイトカインを産生して分泌し、免疫細胞の活性化を促すことである。したがって、角化細胞の増殖能が亢進すれば、微生物感染などから皮膚組織を保護する機能が向上することが期待される。角化細胞の増殖能を亢進することができる物質についても、検討されている(例えば、特許文献4参照)。この文献に記載の物質はワカメまたはヒジキの抽出物である。しかし、植物などの抽出物は、有効成分に個体差がある、使用量が多くなるという問題がある。
【0011】
表皮は様々な種類の細胞によって構成されているが、大部分を占めるのは角化細胞(ケラチノサイト)である。この角化細胞が増殖し、上層に移行するに従い、分化過程により最終的に角質層を形成する。このような表皮の正常な分化及び角質層の維持には表皮細胞による接着が重要な役割を果たしている。表皮細胞の接着には、角化細胞の遊走性が影響する。また、皮膚創傷治癒過程において細胞遊走性の亢進などの点から、角化細胞の遊走性が重要である。
【先行技術文献】
【0012】

【特許文献1】特開2006-151860号公報
【特許文献2】特開2006-60341号公報
【特許文献3】特開2009-227628号公報
【特許文献4】特開2009-67701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記したように、従来の皮膚の機能を改善する物質は、その機能が一部のみであったり、植物などの抽出物であったりする。本発明は、線維芽細胞増殖促進剤、角化細胞遊走・増殖促進剤、エラスチン産生促進剤、ヒートショックタンパク質47産生促進剤、α-平滑筋アクチン(α-SMA)産生促進剤、及び光老化防止剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、一般式(1)
【化1】
JP0005787285B2_000002t.gif

(式中、R、R、R、Rは、同一又は異なっていてもよく、水素又は-O-C(=O)Rを示す。Rは炭素数1~8のアルキル基を示す。Rは水素又は炭素数1~4のアルキル基又はアルケニル基又は-C(=O)Rを示す。Rは炭素数1~8のアルキル基を示す。Rは、-CH=CH-R又は-C≡C-Rを示す。Rは水素又は炭素数1~8のアルキル基を示す。)で表される化合物が、線維芽細胞の増殖能を高め、角化細胞の遊走・増殖能を高め、ヒートショックタンパク質47の産生能を高め、エラスチンの産生能を高め、およびα-SMAの産生能を高め、光老化防止の機能を有すること見出して、本発明を完成した。
【0015】
本発明では、一般式(1)で表される化合物を有する線維芽細胞増殖促進剤、角化細胞増殖促進剤、エラスチン産生促進剤、α-平滑筋アクチン(α-SMA)産生促進剤、ヒートショックタンパク質47産生促進剤、または光老化防止剤が提供される。
【0016】
上記一般式(1)で表される化合物は、1’-アセトキシチャビコールアセテート(ACA)、1-アセトキシ-1-(2,4-ジアセトキシフェニル)-2-プロペン、及び1-アセトキシ-1-(3,4-ジアセトキシフェニル)-2-プロペンであると好ましい。
【0017】
また、本発明は、一般式(2)
【化2】
JP0005787285B2_000003t.gif

(式中、R、R、R、Rは、同一又は異なっていてもよく、水素又は-O-C(=O)Rを示す。Rは炭素数1~4のアルキル基を示す。Rは、水素又は炭素数1~4のアルキル基又はアルケニル基又は-C(=O)Rを示す。Rは炭素数1~8のアルキル基を示す。Rは水素又は炭素数1~4のアルキル基又は-C(=O)Rを示す。Rは炭素数1~8のアルキル基を示す。)で表される化合物を有する、線維芽細胞増殖促進剤、角化細胞遊走・増殖促進剤、エラスチン産生促進剤、α-平滑筋アクチン(α-SMA)産生促進剤、ヒートショックタンパク質47産生促進剤、または光老化防止剤である。
【0018】
上記一般式(2)で表される化合物は、4-((E)-3-ヒドロキシ-1-プロペニル)フェニルアセテート、及び2-アセトキシ-4-((E)-3-ヒドロキシ-1-プロペニル)フェニルアセテート、及び3-アセトキシ-4-((E)-3-ヒドロキシ-1-プロペニル)フェニルアセテートであると好ましい。
【0019】
また、本発明では、上記促進剤または防止剤を用いた医薬品類、医薬部外品類、化粧品類であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、一般式(1)または(2)で表される化合物が線維芽細胞の増殖能を高め、角化細胞の遊走・増殖能を高め、ヒートショックタンパク質47の産生能を高め、エラスチンの産生能を高め、およびα-SMAの産生能を高めるという新たな効果を有することを見出した。また、上記の効果を有する一般式(1)または(2)で表される化合物を有する組成物は、化粧品類・医薬部外品類(皮膚外用剤、浴用剤、育毛剤など)、医薬品類、飲食品として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、ヒト正常皮膚由来線維芽細胞の細胞数に及ぼすACAの影響を示すグラフである。
【図2】図2は、ヒトケラチノサイトの遊走・増殖能に及ぼすACAの影響を観察した写真である。
【図3】図3は、ヒト正常皮膚由来線維芽細胞のエラスチン産生量に及ぼすACAの影響をウェスタンブロッティング法によって解析し、エラスチン産生量を定量的に解析したグラフである。
【図4】図4は、ヒト正常皮膚由来線維芽細胞のI型コラーゲン産生量に及ぼすACAの影響をウェスタンブロッティング法によって解析し、I型コラーゲン産生量を定量的に解析したグラフである。
【図5】図5は、ヒト正常皮膚由来線維芽細胞のα-SMA産生量に及ぼすACAの影響をウェスタンブロッティング法によって解析し、α-SMA産生量を定量的に解析したグラフである。
【図6】図6は、ヒト正常皮膚由来線維芽細胞のHSP47産生量に及ぼすACAの影響をウェスタンブロッティング法によって解析し、HSP47産生量を定量的に解析したグラフである。
【図7】図7は、紫外線照射によって亢進したヒト皮膚繊維芽細胞の活性酸素種産生量におよぼすACAの影響を観察した写真である。
【図8】図8は、紫外線照射によって亢進したヒト皮膚繊維芽細胞の活性酸素種産生量におよぼすACAの影響を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用する線維芽細胞の増殖能を高め、角化細胞の遊走・増殖能を高め、ヒートショックタンパク質47の産生能を高め、エラスチンの産生能を高め、α-SMAの産生能を高め、および光老化を防止する物質は、一般式(1)または(2)で表される化合物である。

【0023】
一般式(1)で表される化合物は、以下のとおりである。
【化3】
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(式中、R、R、R、Rは、同一又は異なっていてもよく、水素又は-O-C(=O)Rを示す。Rは炭素数1~8のアルキル基を示す。Rは水素又は炭素数1~4のアルキル基又はアルケニル基又は-C(=O)Rを示す。Rは炭素数1~8のアルキル基を示す。Rは、-CH=CH-R又は-C≡C-Rを示す。Rは水素又は炭素数1~8のアルキル基を示す。)

【0024】
一般式(1)で表される化合物は、具体的には、1’-アセトキシチャビコールアセテート(ACA)、1-アセトキシ-1-(2,4-ジアセトキシフェニル)-2-プロペン、及び1-アセトキシ-1-(3,4-ジアセトキシフェニル)-2-プロペンなどが含まれる。

【0025】
一般式(1)で表される化合物は、合成により製造されるものでもよく、天然物の抽出物に含まれるものであってもよい。

【0026】
一般式(1)で表される化合物は、例えば、以下のようにして合成することができる。4位を含む2位又は複数の位置に水酸基を有するベンズアルデヒド化合物を原料とし、水酸基を保護した後、グリニャール試薬等の有機金属試薬を用いて、二重結合又は三重結合を有するアルキル基を導入した二級アルコールを合成する。次いで、脱保護及びアシル化を行い、目的とする化合物を得ることができる。

【0027】
一般式(2)で表される化合物は、以下のとおりである。
【化4】
JP0005787285B2_000005t.gif

(式中、R、R、R、Rは、一又は異なっていてもよく、水素又は-O-C(=O)Rを示す。Rは炭素数1~4のアルキル基を示す。Rは、水素又は炭素数1~4のアルキル基又はアルケニル基又は-C(=O)Rを示す。Rは炭素数1~8のアルキル基を示す。Rは水素又は炭素数1~4のアルキル基又は-C(=O)Rを示す。Rは炭素数1~8のアルキル基を示す。)

【0028】
一般式(2)で表される化合物は、具体的には、4-((E)-3-ヒドロキシ-1-プロペニル)フェニルアセテート、及び2-アセトキシ-4-((E)-3-ヒドロキシ-1-プロペニル)フェニルアセテート、及び3-アセトキシ-4-((E)-3-ヒドロキシ-1-プロペニル)フェニルアセテートなどが含まれる。

【0029】
一般式(2)で表される化合物は、公知の方法に従って製造、あるいはACAもしくはその類縁体を水系溶媒に溶解し、熱処理することで、製造することができる。

【0030】
例えば、4-ヨードフェノールを原料とし、水酸基をアセチル化した後、有機金属反応によりアリルアルコール部位を導入し、目的とする化合物を得ることができる。

【0031】
本発明において、線維芽細胞の増殖能とは、一般式(1)または(2)で表される化合物が有する線維芽細胞増殖作用を通じて、線維芽細胞の増殖を促進し、細胞外マトリクス成分を補給し、皮膚のハリや弾力性を増強し、表皮の損傷などの障害を緩和させることができることを意味する。また、本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、これらの用途以外にも線維芽細胞増殖作用を発揮することに意義のある全ての用途に用いることができる。

【0032】
本発明において、角化細胞の遊走・増殖能とは、角化細胞遊走・増殖作用を通じて、角化細胞の遊走・増殖を促進し、表皮の新陳代謝を促進し、表皮の創傷治癒を促進するとともに、育毛効果を有することができることを意味する。また、本発明の角化細胞遊走・増殖促進剤は、これらの用途以外にも角化細胞遊走・増殖作用を発揮することに意義のある全ての用途に用いることができる。

【0033】
本発明において、エラスチンの産生促進とは、一般式(1)または(2)で表される化合物が有するエラスチン産生促進作用を通じて、エラスチンの産生を促進し、皮膚の張りを維持し、皺の発生を有効に予防することを意味する。また、本発明のエラスチン産生促進剤は、これらの用途以外にもエラスチン産生促進作用を発揮することに意義のある全ての用途に用いることができる。

【0034】
本発明において、ヒートショックタンパク質47産生促進とは、一般式(1)または(2)で表される化合物が有するHSP47の産生促進作用を通じて、HSP47の産生を促進し、コラーゲンを正しくフォールディングさせることを意味する。また、本発明のヒートショックタンパク質47産生促進剤は、これらの用途以外にもHSP47の産生促進作用を発揮することに意義のある全ての用途に用いることができる。なお、HSP47が機能していることは、正常なコラーゲンが存在していることからわかる。

【0035】
本発明において、α-平滑筋アクチン(α-SMA)産生促進とは、一般式(1)または(2)で表される化合物が有するα-SMA産生促進作用を通じて、α-SMAの産生を促進し、真皮の強度や皮膚のハリを増強し、細胞外マトリクス成分の合成を促進し、真皮を修復することができることを意味する。また、本発明のα-SMA産生促進剤は、これらの用途以外にもα-SMAの産生促進作用を発揮することに意義のある全ての用途に用いることができる。

【0036】
上記の効果を発揮する一般式(1)または(2)で表される化合物を有する各促進剤を用いた、医薬品類、医薬部外品類、化粧品類は、光回復、抗老化などの機能を有する総合的な皮膚外用剤や浴用剤、新規な育毛剤、あるいは皮膚の創傷治療剤として、利用することができる。

【0037】
本発明は、一般式(1)または(2)で表される化合物を有する各種の促進剤または防止剤である。本発明の促進剤または防止剤を用いる形態としては、皮膚外用剤、飲用品などの医薬品類または医薬部外品類や化粧品類など最終的な製品を構成する上で最適な形状を任意に選択すればよく、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、粉剤、顆粒剤、丸剤、ローション剤またはパップ剤、ドリンク剤などのいずれの形態であってもよい。

【0038】
本発明の促進剤または防止剤を用いる組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(1)または(2)で表される化合物以外の公知の線維芽細胞増殖能を有する物質、および角化細胞遊走・増殖能を有する物質を添加してもよい。また、本発明の促進剤を用いる組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(1)または(2)で表される化合物以外の公知のエラスチン、α-SMA、またはHSP47の産生促進能・産生増強能・代謝賦活能・分解抑制能などを有する物質を添加してもよい。

【0039】
本発明で用いる一般式(1)または(2)で表される化合物は、コラーゲンを正しくフォールディングさせる機能を有する。このため、他のコラーゲンの産生を促進する物質を併用すると好ましい。

【0040】
また、本発明の促進剤または防止剤を用いる組成物は、あらゆる剤型(アンプル状、カプセル状、粉末状、顆粒状、丸剤、錠剤状、固形状、液状、ゲル状、気泡状、乳液状、クリーム状、軟膏状、シート状、ムース状など)にしてもよい。投与の態様は、外部塗布、外部処理、経口投与など、特に制限されない。また、ヒトに限らず、家畜などの動物であってもよい。

【0041】
本発明の促進剤または防止剤を用いる組成物において、一般式(1)または(2)で表される化合物の組成物への配合量は、期待される作用の程度により異なり、特に限定しない。通常、製剤全量中、0.05μM以上、好ましくは0.1~1.5μM含まれればよい。

【0042】
また、本発明の促進剤を用いる組成物には、一般式(1)または(2)で表される化合物以外に必要に応じて、化粧品類、医薬部外品類、医薬品類、飲食品類などに使用される成分や添加剤を併用して配合することができる。例えば、油脂類、ロウ類、鉱物油、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、金属セッケン、ガム質・水溶性高分子化合物、界面活性剤、動物あるいは植物・生薬の抽出物やエキス、微生物代謝物質、α-ヒドロキシ酸、無機顔料、香料、色素・着色剤、甘味料などである。

【0043】
また、本発明の促進剤と共に、ビタミン類、アミノ酸、美白剤、保湿剤、育毛剤、紫外線吸収剤、収斂剤、抗酸化剤、抗炎症剤、殺菌・消毒剤、頭髪用剤などを併用してもよい。

【0044】
ビタミン類としては、ビタミンA群ではレチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群では、チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群では、アスコルビン酸及びその誘導体、ビタミンD群では、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群では、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群では、フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)などが挙げられる。

【0045】
アミノ酸としては、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジンなどや、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、あるいはピロリドンカルボン酸のようなアミノ酸誘導体などが挙げられる。

【0046】
美白剤としては、アスコルビン酸又はその誘導体、イオウ、胎盤加水分解物、エラグ酸又はその誘導体、コウジ酸又はその誘導体、グルコサミン又はその誘導体、アルブチン又はその誘導体、ヒドロキシケイヒ酸又はその誘導体、グルタチオン、アルニカエキス、オウゴンエキス、ソウハクヒエキス、サイコエキス、ボウフウエキス、マンネンタケ菌糸体培養物又はその抽出物、シナノキエキス、モモ葉エキス、エイジツエキス、クジンエキス、ジユエキス、トウキエキス、ヨクイニンエキス、カキ葉エキス、ダイオウエキス、ボタンピエキス、ハマメリスエキス、マロニエエキス、オトギリソウエキス、油溶性カンゾウエキスなどが挙げられる。

【0047】
保湿剤としては、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、セリン、グリシン、スレオニン、アラニン、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ヒドロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリー、コンドロイチン硫酸ヘパリン、グリセロリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、リノール酸又はそのエステル類、エイコサペンタエン酸又はそのエステル類、ペクチン、ビフィズス菌発酵物、乳酸発酵物、酵母抽出物、レイシ菌糸体培養物又はその抽出物、小麦胚芽油、アボガド油、米胚芽油、ホホバ油、ダイズリン脂質、γ-オリザノール、ビロウドアオイエキス、ヨクイニンエキス、ジオウエキス、タイソウエキス、カイソウエキス、キダチアロエエキス、ゴボウエキス、マンネンロウエキス、アルニカエキス、小麦フスマなどが挙げられる。

【0048】
育毛剤としては、ペンタデカン酸グリセリド、コレウスエキス、ゲンチアナエキス、マツカサエキス、ローヤルゼリーエキス、クマザサエキス、t-フラバノン、6-ベンジルアミノプリン、センブリエキス、塩化カルプロニウム、ミノキシジル、フィナステリド、アデノシン、ニコチン酸アミド、桑の根エキス、ジオウエキス、5-アミノレブリン酸などが挙げられる。

【0049】
紫外線吸収剤としては、p-アミノ安息香酸誘導体、サルチル酸誘導体、アントラニル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体、カンファー誘導体、フラン誘導体、ピロン誘導体、核酸誘導体、アラントイン誘導体、ニコチン酸誘導体、ビタミンB6誘導体、オキシベンゾン、ベンゾフェノン、グアイアズレン、シコニン,バイカリン、バイカレイン、ベルベリンなどが挙げられる。

【0050】
収斂剤としては、乳酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、アラントイン、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、カラミン、p-フェノールスルホン酸亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム、レソルシン、塩化第二鉄、タンニン酸などが挙げられる。

【0051】
抗酸化剤としては、アスコルビン酸及びその塩、ステアリン酸エステル、トコフェロール及びそのエステル誘導体、ノルジヒドログアセレテン酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、パラヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、セサモール、セサモリン、ゴシポールなどが挙げられる。

【0052】
抗炎症剤としては、イクタモール、インドメタシン、カオリン、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、アセチルサリチル酸、塩酸ジフェンヒドラミン、d又はdl-カンフル、ヒドロコルチゾン、グアイアズレン、カマズレン、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びその塩などが挙げられる。

【0053】
殺菌・消毒薬としては、アクリノール、イオウ、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルロザニリン、クレゾール、グルコン酸カルシウム、グルコン酸クロルヘキシジン、スルファミン、マーキュロクロム、ラクトフェリン又はその加水分解物などが挙げられる。

【0054】
頭髪用剤としては、二硫化セレン、臭化アルキルイソキノリニウム液、ジンクピリチオン、ビフェナミン、チアントール、カスタリチンキ、ショウキョウチンキ、トウガラシチンキ、塩酸キニーネ、強アンモニア水、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、チオグリコール酸などが挙げられる。

【0055】
その他、ホルモン類、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、キレート剤、防腐・防バイ剤、清涼剤、安定化剤、乳化剤、動・植物性蛋白質及びその分解物、動・植物性多糖類及びその分解物、動・植物性糖蛋白質及びその分解物、血流促進剤、消炎剤・抗アレルギー剤、細胞賦活剤、角質溶解剤、創傷治療剤、増泡剤、増粘剤、口腔用剤、消臭・脱臭剤、苦味料、調味料、酵素などを用いてもよい。

【0056】
本発明の剤型は任意であり、アンプル状、カプセル状、粉末状、顆粒状、丸剤、錠剤状、固形状、液状、ゲル状、気泡状、乳液状、クリーム状、軟膏状、シート状、ムース状などの医薬部外品類、皮膚・頭髪用化粧品類及び浴用剤、飲食品類、医薬品類に配合して用いることができる。

【0057】
具体的には化粧品類、医薬部外品類としては、例えば内用・外用薬用製剤、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パックなどの基礎化粧料、洗顔料や皮膚洗浄料、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント、ヘアクリーム、ポマード、ヘアスプレー、整髪料、パーマ剤、ヘアートニック、染毛料、育毛・養毛料などの頭髪化粧料、ファンデーション、白粉、おしろい、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、眉墨、まつ毛などのメークアップ化粧料、美爪料などの仕上げ用化粧料、香水類、浴用剤、その他、歯磨き類、口中清涼剤・含嗽剤、液臭・防臭防止剤、衛生用品、衛生綿類、ウエットティシュなどが挙げられる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0059】
(線維芽細胞増殖能)
本実施例で用いた線維芽細胞は、以下のようにして培養したものを用いた。すなわち、TCフラスコ50mL(株式会社グライナー・ジャパン)を用いて、ヒト正常皮膚由来線維芽細胞(CCD-1059SK、DSファーマメディカル株式会社)は、10%牛胎児血清(FBS、株式会社ニチレイバイオサイエンス)、ペニシリン(50units/ml、明治製菓株式会社)およびストレプトマイシン(50mg/ml、明治製菓株式会社)を含むダルベッコ修正イーグル培地(Dulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM))(日水製薬株式会社)に1.25×10個播き、サブコンフルエント(約80%密度)になるまで約1週間培養した。次いで、培地を除去し、細胞をPBS2mLで1回洗浄し、更に0.01%EDTA/0.025%トリプシン溶液(和光純薬工業株式会社)3mLで細胞を剥離させ、トリプシン中和液3mLを添加して細胞を回収し、遠心分離(4℃、1,300rpm、5分)して上清を除き、細胞を得た。この細胞を前記条件下で繰り返し培養して継代培養した。
【実施例】
【0060】
細胞数を1.0×10cells/mlに調整して、直径35mmのプラスチックシャーレ(株式会社グライナー・ジャパン)に1.3×10cellsずつ播種し、ACAを添加して24時間培養後に培地を除去し、ニュートラルレッド試薬(0.25mg/ml、和光純薬工業株式会社)を最終濃度が50mg/mlになるように細胞に加えた。37℃で2時間 インキュベーションした後、細胞を1% Formaldehyde/1% CaClの混合液で2回洗い、連続して1% CHCOOH/50% ethanolを含む 脱色抽出液を1mL細胞に加え、30分静置した。上清を吸光光度計(UV mini 1240)を用いて540nmで測定し、コントロールを100%とした割合で算出した。
【実施例】
【0061】
結果を図1に示す。図1は、ヒト正常皮膚由来線維芽細胞の細胞数に及ぼすACAの影響を示すグラフである。図1において、横軸は各培養条件を、縦軸は対照試験(試料を添加しない場合)の値を100%としたときの細胞数の相対値を示す。図1から、ヒト正常皮膚由来線維芽細胞の細胞数は、ACAの添加濃度に依存して有意に増加することがわかる。このことから、ACAは、線維芽細胞の増殖を促進することが明らかとなった。
【実施例】
【0062】
(角化細胞遊走・増殖能)
本実施例で用いた角化細胞は、以下のようにして培養したものを用いた。すなわち、TCフラスコ50mL(株式会社グライナー・ジャパン)を用いて、ヒトケラチノサイト(HaCat細胞)は、10%牛胎児血清(FBS、株式会社ニチレイバイオサイエンス)、ペニシリン(50units/ml、明治製菓株式会社)およびストレプトマイシン(50mg/ml、明治製菓株式会社)を含むダルベッコ修正イーグル培地(Dulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM))(日水製薬株式会社)に1.25×10個播き、サブコンフルエント(約80%密度)になるまで約1週間培養した。次いで、培地を除去し、細胞をPBS2mLで1回洗浄し、更に0.01%EDTA/0.025%トリプシン溶液(和光純薬工業株式会社)3mLで細胞を剥離させ、トリプシン中和液3mLを添加して細胞を回収し、遠心分離(4℃、1,300rpm、5分)して上清を除き、細胞を得た。この細胞を前記条件下で繰り返し培養して継代培養した。回収したケラチノサイトは、直径35mmのプラスチックシャーレ(株式会社グライナー・ジャパン)に2.25×10個播きコンフルエント状態になるまで培養した。この後、ピペットチップで細胞を直線状に掻き取った。培地を除去した後、濃度が0.1μM、1.0μMとなるようにACAを添加した前記培地中で、さらに24時間培養を続けた。なお、コントロールとして、ACAを添加しないものを用いた。
【実施例】
【0063】
上記スクラッチテストの結果を図2および表1に示す。図2は、ヒトケラチノサイトの遊走・増殖能に及ぼすACAの影響を観察した写真である。図中、aは、スクラッチ直後のスクラッチ幅の長さを意味し、bは、24時間培養後の同一箇所の長さを意味する。表1から、ACAは、角化細胞の遊走・増殖を促進していることがわかる。

【表1】
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【実施例】
【0064】
(エラスチン産生能)
細胞数を1.0×10cells/mlに調整して、直径60mmのプラスチックシャーレ(株式会社グライナー・ジャパン)に6.0×10cellsずつ播種し、濃度が1.0μMとなるようにACAを添加した培地中で、24時間培養を続けた。なお、コントロールとして、ACAを添加しないものを用いた。細胞内エラスチンをウェスタンブロッティング法により解析した。用いた抗エラスチン抗体は、Monoclonal Antibody to Elastin-Ascites(Acris Antibodies GmbH)であった。結果を図3に示す。
【実施例】
【0065】
図3は、エラスチンのウェスタンブロットのバンドの濃さを定量的に解析したグラフである。図3において、横軸は、各培養条件を、縦軸は、ウェスタンブロットのバンドの濃さを示す。図3から、ACAを添加したものは、コントロールに比べ、エラスチンの産生が多いことがわかる。
【実施例】
【0066】
(I型コラーゲン産生能)
細胞数を1.0×10cells/mlに調整して、直径60mmのプラスチックシャーレ(株式会社グライナー・ジャパン)に6.0×10cellsずつ播種し、濃度が0.1μMとなるようにACAを添加した培地中で、24時間培養を続けた。なお、コントロールとして、ACAを添加しないものを用いた。なお、コントロールとして、ACAを添加しないものを用いた。細胞内I型コラーゲン量をウェスタンブロッティング法により解析した。用いた抗I型コラーゲン抗体は、COL1A1(C-18)(SANTA CRUZ BIOTECHNOLOGY,INC)であった。結果を図4に示す。
【実施例】
【0067】
図4は、I型コラーゲンのウェスタンブロットのバンドの濃さを定量的に解析したグラフである。図4において、横軸は、各培養条件を、縦軸は、ウェスタンブロットのバンドの濃さを示す。図から、ACAを添加したものは、コントロールに比べ、I型コラーゲンの産生が多いことがわかる。
【実施例】
【0068】
(α-SMA産生能)
細胞数を1.0×10cells/mlに調整して、直径60mmのプラスチックシャーレ(株式会社グライナー・ジャパン)に6.0×10cellsずつ播種し、濃度が0.1μMとなるようにACAを添加した培地中で、24時間培養を続けた。なお、コントロールとして、ACAを添加しないものを用いた。なお、コントロールとして、ACAを添加しないものを用いた。細胞内α-SMA量をウェスタンブロッティング法により解析した。用いた抗α-SMA抗体は、Mouse Anti-Human Smooth Muscle Actin(1A4)(Dako A/S)であった。結果を図5に示す。
【実施例】
【0069】
図5は、α-SMAのウェスタンブロットのバンドの濃さを定量的に解析したグラフである。図5において、横軸は、各培養条件を、縦軸は、ウェスタンブロットのバンドの濃さを示す。図から、ACAを添加したものは、コントロールに比べ、α-SMAの産生が多いことがわかる。
【実施例】
【0070】
(HSP47産生能)
細胞数を1.0×10cells/mlに調整して、直径60mmのプラスチックシャーレ(株式会社グライナー・ジャパン)に6.0×10cellsずつ播種し、濃度が0.1μMとなるようにACAを添加した培地中で、24時間培養を続けた。なお、コントロールとして、ACAを添加しないものを用いた。なお、コントロールとして、ACAを添加しないものを用いた。細胞内HSP47量をウェスタンブロッティング法により解析した。用いた抗HSP47抗体は、Anti-HSP47 Mouse Monoclonal (Stressgen BIOREAGENTS.CORP)であった。結果を図6に示す。
【実施例】
【0071】
図6は、HSP47のウェスタンブロットのバンドの濃さを定量的に解析したグラフである。図6において、横軸は、各培養条件を、縦軸は、ウェスタンブロットのバンドの濃さを示す。図から、ACAを添加したものは、コントロールに比べ、HSP47の産生が多いことがわかる。
【実施例】
【0072】
(光老化予防機能)
細胞数を1.0×10cells/mlに調整して、直径35mmのプラスチックシャーレ(株式会社グライナー・ジャパン)に1.0×10cellsずつ播種し、濃度が1.0μMとなるようにACAを添加した培地中で、3時間培養を続けた。ACAを添加した培地を用いた細胞と、ACAを添加しない培地を用いた細胞とに、UVを20μW、60秒間照射した。その後、さらに1時間培養し、ヒト皮膚繊維芽細胞の活性酸素種産生量を測定した。測定方法として、蛍光顕微鏡による観察法と蛍光光度計による細胞内活性酸素種産生量の測定法を用いた。上記UV照射後30分後に、各培地に細胞浸透性蛍光プローブ 2’,7’-ジクロロフルオレセインジアセテート(2’,7’-Dichlorofluorescin diacetate(DCFH-DA))を加えてさらに30分間培養を続けた。培地を取り除き、PBSで2回洗浄後、カバーガラスをかけて蛍光顕微鏡下で観察し、写真撮影を行った。一方、蛍光光度計による測定には、培養終了後、PBSで2回洗浄して、Hanks溶液で細胞を掻きとり、細胞液を96穴プレートに入れてマルチラベルカウンター(Wallac 1420 ARVOsx)を用いて、励起波長485nm、蛍光波長535nmで蛍光度を測定した。なお、コントロールとして、ACAを添加せずに、UVを照射しないものを用いた。
【実施例】
【0073】
結果を、図7、図8に示す。図7は、UV照射によるヒト皮膚線維芽細胞の活性酸素種産生を観察した蛍光顕微鏡写真である。図7からACAを添加したヒト皮膚線維芽細胞では、UVを照射しても、活性酸素種産生量が増加していないことがわかる。また、図8は、UV照射によるヒト皮膚線維芽細胞の活性酸素種産生量を測定したグラフである。図8において、横軸は各培養条件を、縦軸はタンパク質1mg当たりのジクロロフルオレセイン(DCF)の産生量(pmol)を示す。図8から、ACAを添加したヒト皮膚線維芽細胞では、UVを照射しても、UVを照射しないヒト皮膚線維芽細胞と同量の活性酸素種しか産生されていないことがわかる。このことから、本発明のACAは、光老化予防機能を有することがわかる。

【産業上の利用可能性】
【0074】
一般式(1)または(2)で表される化合物は、線維芽細胞増殖促進、角化細胞遊走・増殖促進能を有する。したがって、本発明の促進剤を用いれば、角化細胞および線維芽細胞の増殖を促進する。これにより、皮膚創傷治癒促進による褥瘡等の皮膚疾患の治療効果が期待される。この結果、皮膚外用剤や医薬品としての利用が可能である。また、角化細胞の増殖を促進することから、皮膚のターンオーバーサイクルの維持が図られ、皮膚のバリア機能の維持に重要な役割を果たし、日焼け・シミ等の修復、皮膚の水分保持、柔軟性や弾力性の維持、外敵の侵入の防御などの効果が得られる。また、角化細胞は、育毛効果を有する。この結果、育毛剤や養毛剤としての利用が可能である。さらに、エラスチンの産生を促進することから、皮膚の張りを維持し、皺の発生を有効に予防することができる。HSP47の産生を促進し、コラーゲンを正しくフォールディングさせることができる。α-SMAの産生を促進し、真皮の強度や皮膚のハリを増強し、細胞外マトリクス成分の合成を促進し、真皮を修復することができる。すなわち、本発明の促進剤を用いると、光回復、抗老化などの機能を有する総合的な皮膚外用剤や浴用剤、新規な育毛剤、あるいは皮膚の創傷治療剤などの医薬品類、医薬部外品類、化粧品類として、利用することができる。
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図8】
5
【図2】
6
【図7】
7