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明細書 :歩行補助装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5283282号 (P5283282)
登録日 平成25年6月7日(2013.6.7)
発行日 平成25年9月4日(2013.9.4)
発明の名称または考案の名称 歩行補助装置
国際特許分類 A61H   3/00        (2006.01)
A61H   3/04        (2006.01)
FI A61H 3/00 B
A61H 3/04
請求項の数または発明の数 5
全頁数 32
出願番号 特願2009-535989 (P2009-535989)
出願日 平成20年4月25日(2008.4.25)
国際出願番号 PCT/JP2008/058084
国際公開番号 WO2009/044568
国際公開日 平成21年4月9日(2009.4.9)
優先権出願番号 2007258994
優先日 平成19年10月2日(2007.10.2)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年4月25日(2011.4.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】小林 宏
【氏名】唐渡 健夫
【氏名】入江 和隆
【氏名】平松 万明
【氏名】佐藤 裕
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】松田 長親
参考文献・文献 特開2007-014698(JP,A)
調査した分野 A61H 3/00
A61H 3/04
特許請求の範囲 【請求項1】
複数個の車輪を備えた台車と、
前記台車のフレームに立設され、前記台車に立設された支柱と、この支柱へ連結され、歩行障害者の腰部及び胸部を保持する保持機構から成り、歩行障害者の起立姿勢を保持する起立姿勢保持機構と、
前記起立姿勢保持機構へ連結され歩行障害者の下肢に装着され、前記起立姿勢保持機構へ連結されるとともに、歩行障害者の腰部へ装着される腰フレームと、前記腰フレームを装着した歩行者の股関節に対応する前記腰フレームの位置へその一端が回転可能に接続され他端が膝関節の位置まで伸びる第1フレームと、前記第1フレームの膝関節位置に回転可能に接続され、膝関節から足首方向へ向かって伸びる第2フレームと、前記第2フレームへ設けられ、歩行者の膝関節近傍及び足首近傍へ前記第2フレームを固定する複数の固定部材とから成る連結体と、を備える歩行器と、
前記第1フレームを股関節周りに、膝上げ方向へ回動させる第1アクチュエータと、前記第2フレームを膝関節周りに後方向へ回動させる第2アクチュエータと、前記第2フレームを膝関節周りに前方向へ回動させる第3アクチュエータと、前記第1フレームを股関節周りに後ろ方向へ回動させる第4アクチュエータと、前記第1乃至第4アクチュエータを駆動制御することにより前記第1、第2フレームを介して装着者に歩行動作を実行させる制御装置とを備え、前記歩行器へ組み込まれ、健常者の歩行モードを模擬した態様にしたがって前記歩行器へ歩行アシスト動作を行わせる歩行アシスト機構と、
を備え、
前記第1乃至第4のアクチュエータは、内部へ空気を供給することにより短縮しながら短縮方向へ力を発生する空気圧式アクチュエータであり、
前記歩行アシスト機構は、更に、空気供給源と、この空気供給源から前記第1乃至第4のアクチュエータへの空気の給排切換えを行うエアー給排切換器とを有し、
前記制御装置は、前記エアー給排切換器を制御することによって、前記左右いずれか一方の連結体の第1、第2アクチュエータの短縮動作をオンにし、第3、第4アクチュエータの短縮動作をオフにするとともに、他方の連結体の第1、第2アクチュエータの短縮動作をオフにし、第3、第4アクチュエータの短縮動作をオンにする第1ステップと、当該一方の連結体の第1、第2アクチュエータの短縮動作をオフにし、第3、第4アクチュエータの短縮動作をオンにするとともに、当該他方の連結体の第1、第2アクチュエータの短縮動作をオンにし、第3、第4アクチュエータの短縮動作をオフにする第2ステップと、を順次繰り返して実行する、歩行補助装置。
【請求項2】
前記連結体は、前記腰フレームを装着した歩行者の左右両側面にそれぞれ1式が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1ステップから第2ステップへ移行する際に、当該一方の連結体においては第1アクチュエータの短縮動作のオフタイミングを第2アクチュエータの短縮動作のオフタイミングより遅らせるとともに、第3アクチュエータの短縮動作のオンタイミングを第4アクチュエータの短縮動作のオンタイミングより先にし、
当該他方の連結体においては、第1アクチュエータの短縮動作のオンタイミングを第2アクチュエータの短縮動作のオンタイミングより先にし、第3アクチュエータと第4アクチュエータの短縮動作を同時にオフすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歩行補助装置。
【請求項4】
前記第1乃至第4アクチュエータの短縮動作は、前記制御装置によって自動制御されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の歩行補助装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1乃至第4アクチュエータの短縮動作のオン/オフ切換を手動で行うための複数のスイッチを備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の歩行補助装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、神経経路が完全に遮断された全麻痺(脊髄損傷、頸椎損傷、二分脊椎)、及び遮断されずに経路が残っている不全麻痺(脳性麻痺、脊髄損傷、頸椎損傷、二分脊椎)等の障害を有する歩行障害者に対し、歩行機能を獲得または再獲得させようとする歩行補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳性麻痺などによる歩行障害者は、痙性が強い場合、筋活動の不随意性を伴う場合、あるいは筋活動の低緊張などで立位姿勢の保持ならびに正常歩行パターンの獲得が大変困難とされてきた。さらに脊椎損傷や二分脊椎などによる下肢機能全麻痺、では下肢運動神経への情報伝達が遮断されており、本来随意的に下肢を動かすことができず、移動手段は車椅子となっている。長期的な車椅子の利用では、下肢へ荷重がかからず、筋萎縮や関節拘縮など下肢機能の廃用を来す。加えて循環器系,消化器系機能の低下はQOL、ADLの低下につながっている。このため,歩行障害者への負担を軽減させつつ立位姿勢をとり歩行の練習を行うことが新しいリハビリテーションとして肝要である。
【0003】
これらの例として次のようなものがある(例えば、2004年1月作成の「The David Hart Clinic」のカタログ参照)。
【0004】
台車のフレームに一端を固定したゴムひもの他端を歩行運動者の足首付近に固定することで、歩行補助力を付与するようになっているもの(図21参照)や、長下肢装具(図22参照)や、懸垂式歩行訓練器(図23参照)等である。
【0005】
また、神経、脳の不全のため四肢を動かすことができないと、関節が拘縮し、可動域が狭くなり、ついに動かなくなってしまう。そのため、立位姿勢を取ることで循環器系や消化器系の活動を活性化させることも必要である。これらの訓練装置は、他動運動訓練装置であり電動斜面台(図24参照)や下肢用他動運動訓練装置(図25参照)等である。
【0006】
従来の装置では、拘縮防止、可動域の確保、立位訓練が主であった。
【0007】
脳性麻痺などによる歩行障害児では、歩行の獲得のために歩行訓練器を用い、保護者や訓練士が背後から体幹を支えて介助歩行の訓練をすることがあるが、大腿部内転によるはさみ足などが連続したステップを阻害するため十分な成果は得られていない。この点は脳梗塞などの患者に対する歩行訓練でも同様である。特に成人の場合には、リハビリテーション医学で急性期からの歩行訓練の必要性が叫ばれているにもかかわらず、歩行訓練の前にまず立位姿勢を取らせることが困難なケースが多く、転倒防止が確実にできる歩行器の開発が強く望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
人間は誕生後、脳からの指令により四肢筋肉を制御することで歩行動作を繰り返し訓練し,立位2足歩行が可能となる。
【0009】
いったん2足歩行を獲得、歩き始めると、歩行に関する神経の信号が脳まで届かなくても、一般に言われている反射神経により、自動的に歩行動作が修正され、一歩一歩の歩行速度指令も出されるようになり、脳に負担をかけないで歩行することができる。
【0010】
脳性麻痺等による歩行障害児の場合、運動神経による筋活動のコントロールが健常児の様に行われていないため、筋活動が部分的に強く誘起されたり不随意的に緊張が起こっていたりすることが多い。このため、従来の歩行補助器、訓練器を装着しても正しい立位姿勢の確保や歩行動作の実現は非常に困難であった。また、後天的に脊髄損傷や頸椎損傷により下肢への神経伝達が完全に遮断された場合は、歩くことは不可能と考えられてきた。
【0011】
本発明は上記事実を考慮し、上記課題を解決できる歩行補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様の歩行補助装置は、複数個の車輪を備えた台車と、前記台車のフレームに立設され、前記台車に立設された支柱と、この支柱へ連結され、歩行障害者の腰部及び胸部を保持する保持機構から成り、歩行障害者の起立姿勢を保持する起立姿勢保持機構と、前記起立姿勢保持機構へ連結され歩行障害者の下肢に装着され、前記起立姿勢保持機構へ連結されるとともに、歩行障害者の腰部へ装着される腰フレームと、前記腰フレームを装着した歩行者の股関節に対応する前記腰フレームの位置へその一端が回転可能に接続され他端が膝関節の位置まで伸びる第1フレームと、前記第1フレームの膝関節位置に回転可能に接続され、膝関節から足首方向へ向かって伸びる第2フレームと、前記第2フレームへ設けられ、歩行者の膝関節近傍及び足首近傍へ前記第2フレームを固定する複数の固定部材とから成る連結体と、を備える歩行器と、前記第1フレームを股関節周りに、膝上げ方向へ回動させる第1アクチュエータと、前記第2フレームを膝関節周りに後方向へ回動させる第2アクチュエータと、前記第2フレームを膝関節周りに前方向へ回動させる第3アクチュエータと、前記第1フレームを股関節周りに後ろ方向へ回動させる第4アクチュエータと、前記第1乃至第4アクチュエータを駆動制御することにより前記第1、第2フレームを介して装着者に歩行動作を実行させる制御装置とを備え、前記歩行器へ組み込まれ、健常者の歩行モードを模擬した態様にしたがって前記歩行器へ歩行アシスト動作を行わせる歩行アシスト機構と、を備え、前記第1乃至第4のアクチュエータは、内部へ空気を供給することにより短縮しながら短縮方向へ力を発生する空気圧式アクチュエータであり、前記歩行アシスト機構は、更に、空気供給源と、この空気供給源から前記第1乃至第4のアクチュエータへの空気の給排切換えを行うエアー給排切換器とを有し、前記制御装置は、前記エアー給排切換器を制御することによって、前記左右いずれか一方の連結体の第1、第2アクチュエータの短縮動作をオンにし、第3、第4アクチュエータの短縮動作をオフにするとともに、他方の連結体の第1、第2アクチュエータの短縮動作をオフにし、第3、第4アクチュエータの短縮動作をオンにする第1ステップと、当該一方の連結体の第1、第2アクチュエータの短縮動作をオフにし、第3、第4アクチュエータの短縮動作をオンにするとともに、当該他方の連結体の第1、第2アクチュエータの短縮動作をオンにし、第3、第4アクチュエータの短縮動作をオフにする第2ステップと、を順次繰り返して実行するものである。
前記連結体は、前記腰フレームを装着した歩行者の左右両側面にそれぞれ1式が設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記制御装置は、前記第1ステップから第2ステップへ移行する際に、当該一方の連結体においては第1アクチュエータの短縮動作のオフタイミングを第2アクチュエータの短縮動作のオフタイミングより遅らせるとともに、第3アクチュエータの短縮動作のオンタイミングを第4アクチュエータの短縮動作のオンタイミングより先にし、当該他方の連結体においては、第1アクチュエータの短縮動作のオンタイミングを第2アクチュエータの短縮動作のオンタイミングより先にし、第3アクチュエータと第4アクチュエータの短縮動作を同時にオフすることを特徴とすることができる。
また、前記第1乃至第4アクチュエータの短縮動作は、前記制御装置によって自動制御されることを特徴とすることができる。
また、前記制御装置は、前記第1乃至第4アクチュエータの短縮動作のオン/オフ切換を手動で行うための複数のスイッチを備えていることを特徴とすることができる。
【0013】
第1の態様の歩行補助装置によれば、歩行障害者の歩行が、健常者の歩行と同様に反射的に実行されるようになる。
【0014】
本発明の第1の態様の歩行補助装置は、前記アシスト補助機構が装着者の視野外に存することを特徴とすることができる。
【0015】
上記構成の歩行補助装置によれば、歩行障害者に、他人により動かされているのではなく、あくまで自分の意志で動いていると感じさせることが可能である。
【0016】
本発明の第1の態様の歩行補助装置は、前記アシスト補助機構が装着者を前進させる際、歩行障害者の踵に反力を与えることを、特徴とすることができる。
【0017】
上記構成の歩行補助装置によれば、歩行障害者に、確実に足の裏で地面を蹴らせることができ、これにより多くの筋電が発生し、神経束にフィードバックされる。
【0018】
本発明の歩行補助装置は、使用者の体幹に装着される体幹装着部と、使用者の下腿に装着される下腿装着部と、前記体幹装着部に股関節に対応する第1関節部を介して歩行方向及び後退方向へ回動可能に支持されると共に、前記下腿装着部を膝関節に対応する第2関節部を介して歩行方向及び後退方向へ回動可能に支持する連結部と、前記連結部を前記第1関節部周りに歩行方向側へ回動させる補助力を発生する第1アクチュエータと、前記下腿装着部を前記第2関節部周りに後退方向側へ回動させる補助力を発生する第2アクチュエータと、前記下腿装着部を前記第2関節部周りに歩行方向側へ回動させる補助力を発生する第3アクチュエータと、を有する。
【0019】
本発明の態様の歩行補助装置では、第1アクチュエータにより発生される補助力により連結部が第1関節部周りに歩行方向側へ回動されることによって、使用者の大腿部を上げる(腿上げする)動作が補助される。また、第2アクチュエータにより発生される補助力により下腿装着部が第2関節部周りに後退方向側へ回動されることによって、使用者の膝を曲げる動作が補助される。このため、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータの補助力を発生させることにより、使用者の膝を曲げながら腿上げするという歩行動作が補助される。
【0020】
また、第3アクチュエータにより発生される補助力により下腿装着部が第2関節部周りに歩行方向側へ回動されることによって、使用者の膝を伸ばす動作が補助される。このため、使用者の膝を曲げながら腿上げした後に、膝を伸ばして踵から接地するという歩行動作が補助される。
【0021】
よって、足底接地状態の脚により使用者の体重が支えられるようになり、これにより、使用者の歩行の安定性を向上させることが可能である。
【0022】
上記の歩行補助装置は、前記第3アクチュエータが、前記下腿装着部の歩行方向側において上下方向に延設されると共に、上端部を前記連結部に、下端部を前記下腿装着部に支持され、短縮しながら短縮する方向へ力を発生することを特徴とすることができる。
【0023】
上記構成の歩行補助装置では、第3アクチュエータが、下腿装着部の歩行方向側において上下方向に延設され、その上端部が連結部に、その下端部が下腿装着部に支持されており、この第3アクチュエータが、短縮しながら短縮する方向へ力を発生する。これにより、下腿装着部が、第2関節部周りに歩行方向側へ回動し、使用者の膝を伸ばす動作を補助する。
【0024】
また、上記の態様の歩行補助装置は、前記体幹装着部に歩行方向及び後退方向へ回動可能に支持され、前記連結部に沿って配置され、中間部に前記連結部が固定され、先端部に前記第1アクチュエータの下端部及び前記第3アクチュエータの上端部が支持され、基端部に前記第2アクチュエータの上端部が支持された連結プレート、を備えたことを特徴とすることができる。
【0025】
上記構成の歩行補助装置によれば、複数の部品を1つの連結プレートに固定または支持することができ、部品点数を少なくして簡易な構成とすることができる。
【0026】
また、上記の歩行補助装置は、前記第3アクチュエータが補助力を発生した状態において、前記連結部を前記第1関節部周りに後退方向側へ回動させる補助力を発生する第4アクチュエータを有することを特徴とすることができる。
【0027】
上記構成の歩行補助装置では、第3アクチュエータが補助力を発生した状態において、第4アクチュエータにより補助力が発生され、当該補助力により連結部が第1関節部周りに後退方向側へ回動されることによって、使用者の膝を曲げることなく大腿を後退方向側へ引く動作、即ち、立脚で地面を蹴る動作が補助される。
【0028】
よって、使用者の歩行安定性をより一層向上させることができる。
【0029】
本発明の歩行補助装置は、前記第1アクチュエータが、前記連結部の歩行方向側において上下方向に延設されると共に、上端部を前記体幹装着部に、下端部を前記連結部に支持され、短縮しながら短縮する方向へ力を発生し、前記第2アクチュエータ及び前記第4アクチュエータは、前記連結部の後退方向側において上下方向に延設されると共に、上端部を前記体幹装着部に、下端部を前記下腿装着部に支持され、短縮しながら短縮する方向へ力を発生することを特徴とする。
【0030】
上記の歩行補助装置では、第1アクチュエータが、連結部の歩行方向側において上下に延設され、その上端部が体幹装着部に、その下端部が連結部に支持されており、この第1アクチュエータが、短縮しながら短縮する方向へ力を発生する。これにより、連結部が、第1関節部周りに歩行方向へ回動し、使用者の腿上げ動作を補助する。
【0031】
また、第2アクチュエータが、連結部の後退方向側において上下方向に延設され、その上端部が体幹装着部に、その下端部が下腿装着部に支持されており、この第4アクチュエータが、短縮しながら短縮する方向へ力を発生する。これにより、下腿装着部が、第2関節部周りに後退方向側へ回動し、使用者の膝を曲げる動作を補助する。
【0032】
一方、第4アクチュエータは、連結部の後退方向側において上下方向に延設され、その上端部が体幹装着部に、その下端部が下腿装着部に支持されており、この第4アクチュエータが、第3アクチュエータが補助力を発生した状態において短縮しながら短縮する方向へ力を発生することにより、連結部が、第1関節部周りに後退方向側へ回動し、使用者の立脚で地面を蹴る動作が補助される。
【0033】
本発明の歩行補助装置は、前記第2アクチュエータの伸縮長が、前記第4アクチュエータの伸縮長よりも長いことを特徴とすることができる。
【0034】
上記構成の歩行補助装置では、第2アクチュエータの伸縮長を、第4アクチュエータの伸縮長よりも長くすることにより、使用者の膝を曲げる動作の可動範囲を広げている。
【0035】
本発明の歩行補助装置は、前記第1アクチュエータ、前記第2アクチュエータ、前記第3アクチュエータ、及び前記第4アクチュエータが、内部への空気の供給により短縮しながら短縮する方向へ力を発生する空気圧式アクチュエータであることを特徴とすることができる。
【0036】
上記構成の歩行補助装置では、第1アクチュエータ、第2アクチュエータ、第3アクチュエータ及び第4アクチュエータを、内部への空気の供給により短縮しながら短縮する方向へ力を発生する空気圧式アクチュエータとすることによって、簡単な構造により、上記補助力を発生する機能を得ることができる。
【0037】
なお、本発明の歩行補助装置は、前記第1アクチュエータ、前記第2アクチュエータ、前記第3アクチュエータ、及び前記第4アクチュエータの短縮動作を手動でオン/オフする手動スイッチを有することを特徴とすることができる。
【0038】
上記構成の歩行補助装置では、第1アクチュエータ、第2アクチュエータ、第3アクチュエータ、及び第4アクチュエータの短縮動作を、手動スイッチによる手動でオン/オフする。これにより、使用者の状況に合わせて上記補助力を発生させることが可能である。
【0039】
また、本発明の歩行補助装置は、前記手動スイッチが、左右何れか一方の前記第1アクチュエータ、前記第2アクチュエータ、及び左右何れか他方の前記第3アクチュエータ、前記第4アクチュエータの短縮動作を併せてオン/オフする第1スイッチと、左右何れか他方の前記第1アクチュエータ、前記第2アクチュエータ、及び左右何れか一方の前記第3アクチュエータ、前記第4アクチュエータの短縮動作を併せてオン/オフする第2スイッチと、を有することを特徴とすることができる。
【0040】
上記構成の歩行補助装置では、第1スイッチにより、左右何れか一方の第1アクチュエータ、第2アクチュエータ、及び左右何れか他方の第3アクチュエータ、第4アクチュエータの短縮動作を併せてオンにすることにより、使用者の当該一方の脚を膝を曲げながら上げ、膝を伸ばした状態の当該他方の脚で地面を蹴る動作が補助される。また、第1スイッチをオフにすると共に第2スイッチをオンにして当該一方の第3アクチュエータの短縮動作をオンにすることにより、使用者は、上げていた当該一方の脚を踵接地となるように下ろすことができる。
【0041】
これにより、使用者の当該一方の脚を前方へ踏み出す動作を、使用者の状況に適した良好なものにすることが可能である。
【0042】
一方、第2スイッチにより、当該他方の第1アクチュエータ、第2アクチュエータ、及び当該一方の第3アクチュエータ、第4アクチュエータの短縮動作を併せてオンにすることにより、使用者の当該他方の脚を膝を曲げながら上げ、膝を伸ばした状態の当該一方の脚で地面を蹴る動作が補助される。また、第2スイッチをオフにすると共に第1スイッチをオンにして当該他方の第3アクチュエータの短縮動作をオンにすることにより、使用者は、上げていた当該他方の脚を踵接地となるように下ろすことができる。
【0043】
これにより、使用者の当該他方の脚を前方へ踏み出す動作を、使用者の状況に適した良好なものにすることが可能である。
【0044】
本発明の歩行補助装置は、前記手動スイッチが、左右両側の前記第3アクチュエータ及び前記第4アクチュエータの短縮動作を併せてオン/オフする第3スイッチを有することを特徴とすることができる。
【0045】
上記構成の歩行補助装置では、第3スイッチにより、左右両側の第3アクチュエータ及び第4アクチュエータの短縮動作を併せてオンにすることによって、第1関節部及び第2関節部が伸展する補助力を発生させることができ、以って、使用者の起立動作が補助される。
【0046】
上記の歩行補助装置は、左右何れか一方の前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータの短縮動作をオンにし、当該一方の前記第3アクチュエータ及び前記第4アクチュエータの短縮動作をオフにすると共に、左右何れか他方の前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータの短縮動作をオフ、当該他方の前記第3アクチュエータ及び前記第4アクチュエータの短縮動作をオンにする第1ステップと、当該一方の前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータの短縮動作をオフにし、当該一方の前記第3アクチュエータ及び前記第4アクチュエータの短縮動作をオンにすると共に、当該他方の前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータの短縮動作をオン、当該他方の前記第3アクチュエータ及び前記第4アクチュエータの短縮動作をオフにする第2ステップと、を順次繰り返して実行する制御手段を有することを特徴とすることができる。
【0047】
上記構成の歩行補助装置では、制御手段が、第1ステップ及び第2ステップを順次繰り返して実行する。まず、第1ステップでは、左右何れか一方の第1アクチュエータ、第2アクチュエータ、及び他方の第3アクチュエータ、第4アクチュエータの短縮動作が併せてオンにされ、その他のアクチュエータはオフにされる。
【0048】
次に、第2ステップでは、左右何れか他方の第1アクチュエータ、第2アクチュエータ、及び一方の第3アクチュエータ、第4アクチュエータの短縮動作が併せてオンにされ、その他のアクチュエータはオフにされる。
【0049】
以上の第1及び第2ステップを繰り返し実行することにより、使用者は、左右何れかの脚を膝を曲げながら上げ、膝を伸ばした状態の反対側の脚で地面を蹴り、さらに、上げた脚を膝を伸ばしながら踵接地となるように下ろす動作を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0050】
以上説明したように、本発明によれば、従来の課題を解決できる歩行補助装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1A】本発明の実施形態に係る歩行補助装置の使用状態を示す図である。
【図1B】本発明の実施形態に係る歩行補助装置の使用状態を示す図である。
【図2A】本発明の実施形態に係る歩行補助装置の使用状態を示す図である。
【図2B】本発明の実施形態に係る歩行補助装置の使用状態を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る歩行補助装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置の使用状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置の装着準備状態の斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置が備える自動リフト装置の要部を示す模式図である。
【図7-1】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置が備える歩行器を示す斜視図である。
【図7-2】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置が備える歩行器の変形例を示す斜視図である。
【図8A】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置が備えるアクチュエータの概略を示す図である。
【図8B】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置が備えるアクチュエータの概略を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置が備えるアクチュエータの給排気機構の概略を示す図である。
【図10A】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置が備える歩行器を示す側面図である。
【図10B】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置が備える歩行器の前後方向の動きを模式的に示す模式図である。
【図11A】第1及び第2アクチュエータが対応する人体の筋肉を示す説明図である。
【図11B】第3アクチュエータ及び第4アクチュエータが対応する人体の筋肉を示す説明図である。
【図12】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置が備える歩行器を示す背面図である。
【図13】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置を構成する補助力付与機構の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図14】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置の使用者の歩行動作を示す側面図である。
【図15】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置の使用状態を示す側面図である。
【図16】本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置の使用状態を示す側面図である。
【図17】正常な歩行動作を説明するための説明図である。
【図18】本発明の第2の実施例に係る歩行補助装置が備える手動スイッチを示す図である。
【図19】本発明の第2の実施例に係る歩行補助装置が備える手動スイッチを示す図である。
【図20】本発明の第2の実施例に係る歩行補助装置が備える手動スイッチを示す図である。
【図21】従来の歩行補助装置を示す図である。
【図22】従来の歩行補助装置を示す図である。
【図23】従来の歩行補助装置を示す図である。
【図24】従来の歩行補助装置を示す図である。
【図25】従来の下肢用他動運動訓練装置を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
本発明の実施形態に係る歩行補助装置10について、図1~図18に基づいて説明する。
【0053】
図1~図3に示すように、歩行補助装置10は、歩行器(歩行補助器)12に、アシスト駆動機構102を取付けたものであり(共に図4参照)、その制御をリモコン(後述の手動スイッチ)120により行っている。
【0054】
本実施形態に係る歩行補助装置10は、歩行器12にアシスト駆動装置102を使用者(装着者)に意識させないように(視野外に)取り付けることで、使用者はあたかも歩行器12を装着しているだけと感じているにも関わらず、歩行訓練を行わせるものである。
【0055】
この訓練は出来るだけ使用者の自由にさせ、使用者が前方へ行こうとすれば前進の駆動力を与えてやる必要がある。これは、使用者の歩行しようとする意志と、実際に歩行を行う神経とを結びつけるために重要なことである。本装置により、一歩一歩の動きを筋肉に与えてやることができ、筋肉から発生した筋電信号が、末梢の神経を発していくつかの神経対(束)を通過し、最後に脊椎の太い神経に伝えられて行く。この訓練が繰り返されることにより、神経対に反射神経と云われている原始的な歩行パターンが書き込まれるのである。
【0056】
全麻痺であろうと不全麻痺であろうと、このような正しい歩行運動の反復訓練により、徐々に異常な筋緊張や不随意運動が緩んできたり、結果として自分の意志で歩行動作を行えるようになってきたりすることがこれまでに確認されている。この状態になれば、健常者の歩行と同様に歩行動作が反射的に実行される様になり、歩行動作を頭で考えて実行させることもなくなる。
【0057】
次に、本発明の第1の実施例に係る歩行補助装置10について説明する。なお、説明の便宜上、矢印Aにて示す歩行訓練者の歩行方向を前側、矢印Bにて示す歩行訓練者の後退方向を後側とし、上下左右の方向は、歩行方向を向いてみた場合の方向を基準とする。
【0058】
図4には、歩行訓練者が装着した状態の歩行補助装置10が斜視図にて示されており、図5には、未装着状態の歩行補助装置10が斜視図にて示されている。これらの図に示されるように、歩行補助装置10は、人体に装着される歩行器12が台車14に支持されて構成されている。
【0059】
歩行器12は、平面視で前方に開口した略半円状(U字状)に形成された体幹(腰部)装着部としての腰フレーム16を備えており、腰フレーム16は、後述する自動リフト装置64を介して台車14に取り付けられている。腰フレーム16の左右方向中央部の前面には、その内側に入り込ませた人体の体幹における腰部に当接する腰当板16Aが取り付けられている。腰当板16Aの左右両端には、ブラケット17が固定されている。
【0060】
図4に示されるように、腰フレーム16は、その左右両端にそれぞれ連結された腰ベルト18によって人体の体幹である腰部に装着されるようになっており、腰ベルト18は後部が人体の臀部に下側から支持するように巻き掛けられる。これにより、腰フレーム16が装着者の体重を台車14に伝える(支持させる)構成とされている。なお、図4以外の図では、腰ベルト18の図示を省略している。
【0061】
また、図5に示されるように、腰フレーム16の左右両端には、それぞれ略上下方向に長手とされた左右一対の縦フレーム20の下端が固着されている。左右の縦フレーム20は、それぞれの上端が装着者の胸部に至る程度の長さとされている。各縦フレーム20の下端側(腰フレーム16よりも上側)には、ブラケット22が固定されている。図4に示されるように、左右の縦フレーム20の各上端は、共通の胸ベルト23を介して人体の胸部に装着されるようになっている。なお、図4以外の図では、胸ベルト23の図示を省略している。
【0062】
さらに、腰フレーム16における各縦フレーム20の接合部よりもさらに前方の開口端近傍には、それぞれ略左右方向に沿う軸線を有するヒンジ軸24を介して、略上下方向に長手とされた連結部としての膝上フレーム26の上端がヒンジ軸24周りに回動可能に連結されている。膝上フレーム26の中間部は、ブラケット25に固定されている。ブラケット25は、略L字状とされ、一端側が腰フレーム16に回動可能に取付けられ、他端側に膝上フレーム26の中間部が固定されている。腰フレーム16とヒンジ軸24と膝上フレーム26とで、股関節に対応する第1関節部K1を構成している。各膝上フレーム26の下部には、それぞれ略前後方向に長手とされたブラケット30の後端が固定されている。
【0063】
さらにまた、各膝上フレーム26の下端には、それぞれ略左右方向に沿う軸線を有するヒンジ軸32を介して、下腿装着部としての膝下フレーム34の上端が連結されている。膝下フレーム34は、略上下方向に長手とされ、ヒンジ軸32周りに回動可能に連結されている。膝上フレーム26とヒンジ軸32と膝下フレーム34とで、膝関節に対応する第2関節部K2を構成している。各膝下フレーム34の上部には、それぞれ上下一対のブラケット36、37が固定され、各膝下フレーム34の下部には、それぞれ略前後方向に長手とされたブラケット35の後端が固定されている。
【0064】
一方、各膝下フレーム34における第2関節部K2の直下には、平面視で前向きに開口する半円状に形成され人体の膝下部を後側から受ける膝下受け38が取り付けられている。図4に示されるように、各膝下受け38は、中間部が該膝下受け38の背面側に固定された脚ベルト40によって、それぞれ左右異なる脚の膝下部に独立して装着されるようになっている。なお、図4以外の図では、脚ベルト40の図示を省略している。
【0065】
また、各膝下フレーム34の下端には、平面視で前向きに開口する半円状に形成され人体の足首を後側から受ける足首受け39が取り付けられている。図4に示されるように、各足首受け39は、中間部が該足首受け39の背面側に固定された脚ベルト40によって、それぞれ左右異なる脚の足首部に独立して装着されるようになっている。なお、図4以外の図では、脚ベルト40の図示を省略している。
【0066】
以上説明した歩行器12は、腰ベルト18によって腰フレーム16が体幹下部である腰部に、胸ベルト23によって各縦フレーム20の上端が体幹上部である胸部に、それぞれ脚ベルト40によって膝下受け38が下肢における膝下部に、足首受け39が足首に装着されて、主に下肢の運動方向を各関節部K1、K2の回動方向に規制するように人体に装着される構成である。
【0067】
台車14は、前後方向に長手とされたセンタフレーム48を備えている。センタフレーム48の前端には、左右方向に長手とされた前輪フレーム50の長手方向中央部が固定的に連結されており、該前輪フレーム50の左右両端には、それぞれ上下方向に沿う支軸52が連結されている。各支軸52には、それぞれアーム54が該支軸52周りに回転可能に支持されており、各アーム54の下端には、車輪56の軸心が回転自在に支持されている。
【0068】
一方、センタフレーム48の後端には、上下方向に長手とされた縦パイプ58の上下方向の中間部が固定的に連結されている。縦パイプ58の後方には、リヤフレーム60を介して左右方向に長手とされた後輪フレーム62が連結されている。後輪フレーム62の長手方向両端には、それぞれ車輪56の軸心が回転自在に支持されている。本台車14、即ち歩行補助装置10では、前後計4つの車輪56のみが使用される歩行面に接するようになっている。なお、リヤフレーム60には、上下方向の変位を吸収するためのサスペンション構造が採用されている。また、台車14は、4つの車輪56を有する構成に代えて、2つ、3つ又は5つ以上の車輪56を備えた構成とすることができる。
【0069】
この台車14には、自動リフト装置64が設けられている。自動リフト装置64は、縦パイプ58の上端部に固定された上ブロック66と、縦パイプ58の下端近傍に固定された下ブロック68とを備えている。上ブロック66、下ブロック68は、それぞれ凹部を有する本体66A、68Aと押さえ部66B、68Bとが、各凹部に入り込ませた縦パイプ58を挟み込んだ状態で互いに締結されることで、縦パイプ58、即ち台車14に固定されている。上下のブロック66、68の本体66A、68Aは、上下方向に長手とされた左右一対の連結板70にて連結されている。
【0070】
また、自動リフト装置64は、エアシリンダ72を備えている。エアシリンダ72は、シリンダ72A内に設けられたピストン72B(図6参照)に、一端がシリンダ72Aの外側に位置する伸縮ロッド72Cの他端が固定されて構成されており、ピストン72Bがシリンダ72A内を摺動することで、伸縮ロッド72Cがシリンダ72Aに対し伸縮する構造とされている。
【0071】
エアシリンダ72は、シリンダ72Aの下端部が上ブロック66に固定されており、シリンダ72Aの上端から突出している伸縮ロッド72C(の上端)が上下動するようになっている。この伸縮ロッド72Cの上端には、リフタ74の上端が固定されている。リフタ74は、エアシリンダ72の前方に並列して配置された本体74Aと、該本体74Aの上端から後方に延設され伸縮ロッド72Cの上端に固定された上フランジ74Bと、本体74Aの下端から前方に延設された下フランジ74Cとを有する。
【0072】
リフタ74の下フランジ74Cには、ガイドロッド76の上端が固定されている。ガイドロッド76は、台車14の縦パイプ58内に挿入され上下方向の移動のみが許容されるように支持されている。これにより、自動リフト装置64では、エアシリンダ72の伸縮ロッド72Cがシリンダ72Aに対し伸張すると、ガイドロッド76が縦パイプ58(内に配設したリニアガイド)にガイドされつつリフタ74が初期位置から上昇するようになっている。リフタ74の初期位置は、エアシリンダ72が最も短縮している場合の位置とされ、この実施形態では、下フランジ74Cが上ブロック66の上側近傍に位置する位置とされている。また、エアシリンダ72の最大ストロークは、略300mmとされている。
【0073】
そして、図6に示されるように、自動リフト装置64は、空気ボンベ78を備えている。空気ボンベ78は、電空レギュレータ80を介してシリンダ72Aの下端近傍に配置された空気出入口72Dに連通されている。電空レギュレータ80は、空気出入口72Dと空気ボンベ78とを連通するポートと、空気出入口と外部(大気)とを連通するポートとを独立して開閉可能に構成されており、制御装置82に制御されてシリンダ72A内におけるピストン72Bの空気出入口72D側の内圧を設定圧力にするように各ポートを開閉するようになっている。
【0074】
制御装置82は、昇降スイッチ84に電気的に接続されており、昇降スイッチ84が昇側に操作されるとシリンダ72Aの空気圧が所定圧力になるように電空レギュレータ80を制御してリフタ74を初期位置から所定量だけ上昇させ、昇降スイッチ84が降側に操作されるとシリンダ72A内の圧力を大気圧まで低下するように電空レギュレータ80を制御するようになっている。なお、制御装置82は、例えば歩行補助装置10を複数人で共用する場合などには、使用者の体格(身長、体重)に応じてリフタ74の上昇量を変化させたりするために、設定圧力を適宜変更する構成とされても良い。
【0075】
空気ボンベ78、電空レギュレータ80、制御装置82は、台車14上の適宜位置に搭載されている。この空気ボンベ78、電空レギュレータ80、制御装置82が本発明における駆動装置を構成する。なお、空気ボンベに代えてコンプレッサや空気ポンプ等を備えても良い。
【0076】
以上説明した自動リフト装置64は、上記の通り歩行器12を台車14に対し支持している。具体的には、自動リフト装置64を構成するリフタ74の下フランジ74Cに、連結部材(図示省略)を介して、歩行器12を構成する腰フレーム16の左右方向中央部(後端部)が固定されている。
【0077】
これにより、歩行補助装置10は、リフタ74の初期位置からの上昇によって、図4に示されるように歩行器12の腰フレーム16、即ち使用者の腰部を上方に移動させ得る構成とされている。そして、リフタ74の初期位置は、椅子(図示省略)に着座した使用者の腰部の位置に対応しており、リフタ74の上昇位置は、立位をとる使用者の腰部の位置に対応している。
【0078】
また、図7-1に示されるように、歩行補助装置10は、使用者に歩行補助力を付与するためのアシスト駆動機構102を備える。
【0079】
アシスト駆動機構102は、股関節の屈曲を補助する第1アクチュエータ104と、膝関節の屈曲を補助する第2アクチュエータ106と、膝関節の伸展を補助する第3アクチュエータ108と、股関節の伸展を補助する第4アクチュエータ110とを備えている。図7-1に示されるように、第1~第4アクチュエータ104、106、108、110は、それぞれ使用者の左右の脚に対応して左右一対設けられている。以下、左右のアクチュエータを区別して説明する場合には、右側のアクチュエータの符号に「A」の添え字を、左側のアクチュエータの符号に「B」の添え字を付すこととする。
【0080】
本実施形態では、第1~第4アクチュエータ104、106、108、110は、それぞれ圧縮空気が供給されると短縮して短縮方向の力を生じる空気圧式のアクチュエータ、所謂McKibben型人工筋肉とされている。図8A、図8Bに示されるように、空気圧式アクチュエータACは、膨張収縮体であるインナーチューブICと、インナーチューブICを覆う網状の被覆体であるメッシュスリーブMSとを備えている。メッシュスリーブMSは、例えば伸縮性を持たない高張力繊維等の線材により構成されている。また、メッシュスリーブMSの長さ(軸)方向の両端部は、インナーチューブICの長さ方向の両端部に固定されている。
【0081】
図8Bに示されるように、インナーチューブICは、内部に空気が供給されることにより膨張する。そして、インナーチューブICの膨張は、メッシュスリーブMSにより空気圧式アクチュエータAC全体の長さの縮小に変換される。即ち、空気圧式アクチュエータACは、空気が供給されると、径が拡大されつつ長さが縮小される。この長さの縮小により、空気圧式アクチュエータACはその短縮方向への力Fを発生する。
【0082】
図9に示されるように、第1~第4アクチュエータ104、106、108、110には、スイッチSWを介してコンプレッサCPが接続されている。スイッチSWは、吸気スイッチ(図示省略)と排気スイッチ(図示省略)が設けられており、吸気スイッチがオン、且つ、排気スイッチがオフにされた場合には、コンプレッサCPから第1~第4のアクチュエータ104、106、108、110へ圧縮空気が供給され、排気スイッチがオン、且つ、吸気スイッチがオフにされた場合には、第1~第4アクチュエータ104、106、108、110内の空気が排気される。スイッチSWは、制御手段としての制御装置112により、歩行訓練者の歩行動作に合わせて制御される。なお、この制御方法については後述する。
【0083】
図7-1及び図10Aに示されるように、左右の第1アクチュエータ104は、膝上フレーム26の前側において上下方向に延設されており、一端がブラケット22の前端に取付けられると共に、他端がブラケット30の前端に取付けられている。この第1アクチュエータ104は、短縮することで膝上フレーム26を第1関節部K1周りに前側へ回動させる力、即ち第1関節部K1を屈曲させる力を生じさせる。図11Aに示されるように、第1アクチュエータ104は、人体の大腿四頭筋Aに相当する力を生じる構成とされている。なお、図7-1に示されるように、第1関節部K1の屈曲には比較的大きな力を要することから、第1アクチュエータ104は、左右各2本ずつ設けられている。
【0084】
また、図7-1及び図10Aに示されるように、左右の第2アクチュエータ106は、膝上フレーム26の後側において上下に延設されており、一端がブラケット22の後端に取付けられると共に、他端がブラケット37に取付けられている。この第2アクチュエータ106は、短縮することで膝下フレーム34を第2関節部K2周りに後側へ回動させる力、即ち第2関節部K2を屈曲させる力を生じさせる。図11Bに示されるように、第2アクチュエータ106は、人体の下腿三等筋Bに相当する力を生じる構成とされている。
【0085】
また、図7-1及び図10Aに示されるように、左右の第3アクチュエータ108は、膝下フレーム34の前側において上下に延設されており、一端がブラケット30の前端に取付けられ、他端がブラケット35の前端に取付けられている。この第3アクチュエータ108は、短縮することで膝下フレーム34を第2関節部K2周りに前側へ回動させる力、即ち、第2関節部K2を伸展させる力を生じさせる(図10B参照)。図11Aに示されるように、第3アクチュエータ108は、人体の広筋Cに相当する力を生じる構成とされている。
【0086】
また、図7-1及び図10Aに示されるように、左右の第4アクチュエータ110は、膝上フレーム26の後側において上下方向に延設されており、一端がブラケット17に取付けられると共に、他端がブラケット36に取付けられている。この第4アクチュエータ110は、短縮することで、膝上フレーム26を第1関節部K1周りに後側へ回動させる力、即ち、第1関節部K1を伸展させる力を生じさせる。図11Bに示されるように、第4アクチュエータ110は、人体の大臀筋Dに相当する力を生じる構成とされている。
【0087】
なお、歩行器12にアシスト駆動機構102を取り付ける構成としては、図7-2に示す構成とすることもできる。図7-2に示す取付構成では、ブラケット22に代えてブラケット140が設けられ、ブラケット25及びブラケット30に代えて、プレート150が備えられている。また、第1アクチュエータ104、第2アクチュエータ106、第3アクチュエータ108、及び、第4アクチュエータ110の各部への取付けは、リングRを介しての取付けとされている。さらに、足首受け39に代えて、ステップ160が設けられている。その他の構成については、前述の取付構成と同様である。以下に、アシスト駆動機構102の歩行器12への取付構成において、前述と異なる部分の構成について説明する。
【0088】
ブラケット140A、140Bの各々は、各縦フレーム20の下端部に固定されており、腰フレーム16両端部から前方斜め上方向に突出されている。この突出部分142には取付孔142Hが構成されている。
【0089】
プレート150A、150Bは、長尺平板状とされ、板面を略左右方向に向け、膝上フレーム26に沿うように配置されている。プレート150A、150Bの一端側(基端側)は、取付板152を介してブラケット140A、140Bに各々歩行の前後方向に回動可能なように取付けられている(このときの回転中心は図中のM)。プレート150A、150Bの先端部は膝上フレーム26の下端部よりも歩行方向前側に配置されている。プレート150A、150Bの長手方向下端辺には、複数の取付孔153、154が構成されている。取付孔153は、プレート150A、150Bの基端側に構成され、取付孔154は、プレート150A、150Bの先端側に構成されている。
【0090】
プレート150A、150Bの内側の中間部には、固定部156が形成されている。固定部156には、膝上フレーム26の中間部が固定されている。膝上フレーム26の腰フレーム16側の端部は、ブラケット140に回転可能に取付けられている。
【0091】
第1アクチュエータ104の一端は、ブラケット140A、140Bの取付孔142HにリングRを介して取付けられている。第1アクチュエータ104の他端は、プレート150A、150Bの先端側の取付孔154にリングRを介して取付けられている。
【0092】
第2アクチュエータ106の一端は、プレート150A、150Bの基端側の取付孔153にリングRを介して取付けられている。第2アクチュエータ106の他端は、ブラケット37にリングRを介して取付けられている。
【0093】
第3アクチュエータ108の一端は、プレート150A、150Bの先端側の取付孔154にリングRを介して取付けられている。第3アクチュエータ108の他端は、ブラケット35にリングRを介して取付けられている。
【0094】
第4アクチュエータ110の一端は、ブラケット17にリングRを介して取付けられている。第4アクチュエータ110の他端は、ブラケット37にリングRを介して取付けられている。
【0095】
第1アクチュエータ104、第2アクチュエータ106、第3アクチュエータ108、及び、第4アクチュエータ110の機能については、アシスト駆動機構102と同様である。
【0096】
ステップ160は、略L字状とされ、膝下フレーム34の下端部にヒンジ162を介して取り付けられている。ステップ160の一辺は床面と平行になるように配置され、靴164が取り付けられる。
【0097】
次に、本実施形態における作用を説明する。
【0098】
上記構成の歩行補助装置10では、使用者は、椅子(図示省略)に着座した姿勢で歩行器12を装着する。具体的には、腰ベルト18を臀部の下に回り込むように巻き付けて腰フレーム16を腰部に装着し、胸ベルト23を胸部に巻き回して左右の縦フレーム20に胸部を固定し、脚ベルト40を膝下受け38の外側から膝下部分に巻き付けて装着し、脚ベルト40を足首受け39の外側から足首部分に巻き付けて装着する。
【0099】
歩行器12を装着した使用者は、昇降スイッチ84を昇側に操作する。すると、制御装置82が電空レギュレータ80を制御し、エアシリンダ72のシリンダ72Aの内圧を上昇させる。これにより、歩行補助装置10では、座位から、エアシリンダ72の伸縮ロッド72Cが伸張してリフタ74が上昇させつつ、リフタ74の下フランジ74Cに取り付けられている歩行器12を装着した使用者を着座状態から立ち上がらせる。電空レギュレータ80はシリンダ72Aの内圧を一定に保つので、使用者は立位(起立状態)が維持される。
【0100】
次いで、補助者が椅子を後方に引き抜く。この状態で、歩行補助装置10の使用者は、装着した多関節構造の歩行器12によって動作を規制されながら、かつ歩行器12が取り付けられた台車14によって転倒を防止されながら、適正な歩行姿勢で歩行運動を行う。
【0101】
使用者が歩行運動を行う際には、図9に示す制御装置112によりスイッチSWのオン/オフが制御され、第1~第4アクチュエータ104、106、108、110に対して空気の供給及び排出が行われる。
【0102】
図13のタイミングチャート、図14に示されるように、左右の各アクチュエータに対して、順次、吸気、排気が行われることにより、左右の各アクチュエータが伸縮し、歩行補助装置10による歩行補助力が歩行訓練者に付与される。
【0103】
まず、図15に示されるように、右脚側の第1アクチュエータ104A、第2アクチュエータ106A、及び左脚側の第3アクチュエータ108B、第4アクチュエータ110Bが空気を供給されて短縮する(第1ステップ)。その他のアクチュエータは、空気を供給されていない状態、即ち伸長した非作動状態とされる。
【0104】
第1アクチュエータ104Aの短縮により、右脚側の膝上フレーム26が第1関節部K1周りに前側へ回動する力、即ち、使用者の右脚の大腿四頭筋Aに相当する力が発生し、使用者の右脚の大腿を上げる動作(腿上げ動作)が補助される。
【0105】
また、第2アクチュエータ106Aの短縮により、右脚側の膝下フレーム34が第2関節部K2周りに後側へ回動する力、即ち、使用者の右脚の下腿三等筋Bに相当する力が発生し、使用者の右脚の膝を曲げる動作が補助される。
【0106】
即ち、第1アクチュエータ104A、第2アクチュエータ106Aが短縮することにより、使用者の右膝を曲げつつ右脚を上げる動作が補助される。
【0107】
また、第3アクチュエータ108Bの短縮により、左脚側の膝下フレーム34が第2関節部K2周りに前側へ回動する力、即ち、使用者の左脚の広筋Cに相当する力が発生し、使用者の左脚の膝を伸ばす動作が補助される。
【0108】
また、第4アクチュエータ110Bの短縮により、左脚側の膝上フレーム26が第1関節部K1周りに後側へ回動する力、即ち、使用者の左脚側の大臀筋Dに相当する力が発生し、使用者の左脚を後側へ引く(地面を蹴る)動作が補助される。ここで、第4アクチュエータ110Bの短縮により、左脚側の膝下フレーム34が第2関節部K2周りに後側へ回動し、第2関節部K2が屈伸されないのは、第3アクチュエータ108Bの短縮により逆方向への力が作用していることによる。
【0109】
即ち、第3アクチュエータ108B、第4アクチュエータ110Bが短縮することにより、使用者の膝を伸ばした状態の左脚で地面を蹴る動作が補助される。
【0110】
次に、図16に示されるように、右脚側の第1アクチュエータ104A、第2アクチュエータ106A、及び左脚側の第3アクチュエータ108B、第4アクチュエータ110Bの排気が行われて、これらが伸長する。また、これと共に、左脚側の第1アクチュエータ104B、第2アクチュエータ106B、及び右脚側の第3アクチュエータ108A、第4アクチュエータ110Aが空気を供給されて短縮する(第2ステップ)。
【0111】
第1アクチュエータ104Aの伸長により、右脚側の膝上フレーム26が第1関節部K1周りに前側へ回動する力、即ち、使用者の右脚の大腿四頭筋Aに相当する力の発生が停止され、使用者の上げていた右脚大腿が下ろされる。
【0112】
また、第2アクチュエータ106Aの伸長により、右脚側の膝下フレーム34が第2関節部K1周りに後側へ回動する力、即ち、使用者の右脚の下腿三等筋Bに相当する力の発生が停止され、使用者の右膝の屈曲が開放される。
【0113】
この際、第4アクチュエータ110Aの短縮に先行して第3アクチュエータ108Aが短縮されることにより、右脚側の膝下フレーム34が第2関節部K1周りに前側へ回動する力、即ち、使用者の右脚の広筋Cに相当する力が発生され、使用者の右膝を伸ばす動作が補助される。
【0114】
即ち、第1アクチュエータ104A、第2アクチュエータ106Aが伸長されるのに合わせて第3アクチュエータ108Aが短縮されることにより、使用者は、右膝を伸ばしつつ右脚を接地させる動作、即ち踵接地動作を良好に行うことができる。
【0115】
また、第1アクチュエータ104Bの短縮、第2アクチュエータ106Bの短縮により、使用者の左脚側の大腿四頭筋A、下腿三等筋Bに相当する力が発生し、使用者の左膝を曲げながら左脚を上げる動作が補助される。
【0116】
また、上述した第3アクチュエータ108Aの短縮と共に、第4アクチュエータ110Aが短縮することにより、使用者の右脚側の広筋C、大臀筋Dに相当する力が発生し、使用者の右膝を伸ばした状態で右脚を後側へ引く動作が補助される。
【0117】
使用者が歩行運動を行う際に、第1~第4アクチュエータ104、106、108、110は、以上の動作を繰り返して行う。
【0118】
ここで、図17に示すように、正常歩行動作は、踵接地A-足底接地B-踵離地C-足尖離地Dの順で行われる。踵接地は一連の正常歩行動作のスタートとなるが、踵接地ができない場合には、つま先から接地することになる。この場合、足底全体での体重支持ができないことになり、つま先に過大な負荷がかかり尖足を助長する緊張を伴うことになる。また、足部の接地面積が狭く(支持器底面が狭く)なることにより、立位時の身体全体のバランスの保持が難しくなり、体幹部等における代償行動的な緊張が誘発される。このため、支持器底面積の確保という観点からも踵接地から一連の歩行動作を行うことは重要とされる。
【0119】
そこで、本実施形態では、使用者が踵接地から一連の歩行動作を行うことを可能とするべく、使用者の膝を伸ばす動作を補助する力を発生する第3アクチュエータ108を設け、使用者が上げた脚を下ろす際に、この第3アクチュエータ108を作動させている。これにより、つま先から接地することによる種々の問題を解消できる。
【0120】
また、本実施形態では、台車14にサスペンション機能が備えられているため、踵接地状態において脚の関節が背屈位をとった場合に、下腿三頭筋等にかかる負荷が緩和される。これにより、下腿三頭筋等に過大な負荷をかけることなく歩行動作を繰り返して行うことが可能であり、以って、脚の関節可動域を徐々に広げていくことも期待できる。なお、座屈位と背屈位とを歩行動作の中で繰り返すことは、下腿三頭筋の柔軟性を促進し、また、その発達も促すことにも繋がる。
【0121】
また、本実施形態では、第3アクチュエータ108が補助力を発生した状態において、第4アクチュエータ110により補助力が発生され、当該補助力により膝上フレーム26が第1関節部K周りに後退方向側へ回動されることによって、使用者の膝を曲げることなく大腿を後退方向側へ引く動作、即ち、立脚で地面を蹴る動作が補助される。よって、使用者の歩行安定性をより一層向上させることができる。
【0122】
また、本実施形態では、第2アクチュエータ106の伸縮長を、第4アクチュエータ110の伸縮長よりも長くすることにより、使用者の膝を曲げる動作の可動範囲を広げている。
【0123】
さらに、本実施形態では、第1~第4アクチュエータ104、106、108、110を、内部への空気の供給により短縮しながら短縮する方向へ力を発生する空気圧式アクチュエータとすることによって、簡単な構造により、上記補助力を発生する機能を得ることを可能としている。
【0124】
次に、本発明の第2の実施例に係る歩行補助装置としての歩行補助装置100について説明する。なお、上述の第1実施形態に係る歩行補助装置10において、第1~第4アクチュエータ104、106、108、110が自動で作動されるのに対して、本実施形態に係る歩行補助装置100においては、図18に示される手動スイッチ120による手動操作(マニュアル操作)によって第1~第4アクチュエータ104、106、108、110が作動される。
【0125】
図18に示されるように、手動スイッチ120には、使用者が起立する際の補助力を発生させる起立ONスイッチ122A、及び当該補助力の発生をオフにする起立OFFスイッチ122Bと、使用者が右脚を踏み出す際の補助力を発生させる右脚ONスイッチ124A、及び当該補助力の発生をオフにする右脚OFFスイッチ124Bと、使用者が左脚を踏み出す際の補助力を発生させる左脚ONスイッチ126A、及び当該補助力の発生をオフにする左脚OFFスイッチ126Bとが備えられている。
【0126】
起立ONスイッチ122A及び起立OFFスイッチ122Bには、左右の第3アクチュエータ108A、108Bと、左右の第4アクチュエータ110A、110Bとが接続されている。起立ONスイッチ122Aが押圧され続けている間、接続されているアクチュエータへの空気の供給が続けられ、押圧を解除すると、これらのアクチュエータへの空気の供給が停止される。空気の供給が停止されたアクチュエータは、供給停止時点の状態に止まることとなる。
【0127】
また、起立OFFスイッチ122Bが押圧され続けている間、接続されているアクチュエータからの空気の排出が続けられ、押圧を解除すると、これらのアクチュエータからの空気の排出が停止される。空気の排出が停止されたアクチュエータは、排出停止時点の状態に止まることとなる。
【0128】
また、右脚ONスイッチ124A及び右脚OFFスイッチ124Bには、右脚側の第1アクチュエータ104A、第2アクチュエータ106A、及び左脚側の第3アクチュエータ108B、第4アクチュエータ110Bが接続されている。
【0129】
さらに、左脚ONスイッチ126A及び左脚OFFスイッチ126Bには、左脚側の第1アクチュエータ104B、第2アクチュエータ106B、及び右脚側の第3アクチュエータ108A、第4アクチュエータ110Aが接続されている。
【0130】
なお、本実施例では、起立ONスイッチ122A及び起立OFFスイッチ122Bを設けたが、必須ではなく、例えば、図19及び図20に示されるように、右脚及び左脚を上げ下げさせるためのスイッチ124、126のみを備えるように構成してもよい。その場合、図19に示されるように、押圧により右脚又は左脚が上がり、押圧解除により右脚又は左脚が下がるように構成してもよいし、図20に示されるように、右脚又は左脚を上げるためのスイッチ、右脚又は左脚を下げるためのスイッチをそれぞれ設け、それぞれのスイッチの押圧により脚が上がったり下がったりするように構成してもよい。
【0131】
次に、本実施形態における作用について説明する。
【0132】
使用者が起立(立位)する場合に、起立ONスイッチ122を押圧し、左右の第3アクチュエータ108A、108B及び左右の第4アクチュエータ110A、110Bを短縮させる。これにより、左右の膝下フレーム34が第2関節部K2周りに前側へ回動して第2関節部K2が伸展し、また、左右の膝上フレーム26が第1関節部K1周りに後側へ回動して第1関節部K1が伸展する。即ち、使用者の起立動作を補助する力が発生する。
【0133】
そして、使用者の起立動作が終わった時点で起立ONスイッチ122Aの押圧を解除し、左右の第3アクチュエータ108A、108B及び左右の第4アクチュエータ110A、110Bを短縮状態の所定長さに維持する。これにより、使用者の直立姿勢の維持が補助される。
【0134】
また、使用者が歩行動作を行う際に、右脚を前方へ踏み出すのに合わせて右脚ONスイッチ124Aを押圧し、右脚側の第1アクチュエータ104A、第2アクチュエータ106Aを短縮させ、左脚側の第3アクチュエータ108B、第4アクチュエータ110Bを短縮させる。これにより、右脚側の膝上フレーム26が第1関節部K1周りに前方へ回動して第1関節部K1が屈曲すると共に、右脚側の膝下フレーム34が第2関節部K2周りに後方へ回動して第2関節部K2が屈曲する。一方、左脚側の膝下フレーム34が第2関節部K2周りに前方へ回動して第2関節部K2が伸展すると共に、左脚側の膝上フレーム26が第1関節部K1周りに後方へ回動して第1関節部K1が伸展する。
【0135】
即ち、使用者の右膝を曲げながら右脚を上げ(右脚の腿上げ)、左膝を伸ばした状態で左脚を後方へ引く(左脚による地面の蹴り)動作を補助する力が発生する。
【0136】
そして、使用者の右脚の腿上げが終わった時点で右脚OFFスイッチ124Bを押圧すると(併せて右脚OFFスイッチ124Aの押圧を解除すると)、使用者の上げ終わった右脚が下ろされる。
【0137】
この際、左脚ONスイッチ126Aを押圧し、右脚側の第3アクチュエータ108Aを短縮させ、右脚側の膝下フレーム34を第2関節部K2周りに前方へ回動させることにより、使用者の右膝を伸ばす動作を補助し、右脚を踵接地とすることができる。
【0138】
また、左脚ONスイッチ126Aの押圧により、左脚側の第1アクチュエータ104B、第2アクチュエータ106Bが短縮され、左脚側の膝上フレーム26が第1関節部K1周りに前方へ回動されると共に、左脚側の膝下フレーム34が第2関節部K2周りに後方へ回動される。これにより、左脚側の第1関節部K1が屈曲すると共に、左脚側の第2関節部K2が屈曲する。
【0139】
また、右脚側の第3アクチュエータ108A、第4アクチュエータ110Aが短縮され、第2関節部K2が伸展した状態で、膝上フレーム26が第1関節部K1周りに後方へ回動されて第1関節部K1が伸展する。
【0140】
即ち、使用者の右膝を曲げながら右脚を上げ(右脚の腿上げ)、左膝を伸ばした状態で左脚を後方へ引く(左脚による地面の蹴り)動作を補助する力が発生する。
【0141】
そして、使用者の左脚の腿上げが終わった時点で左脚OFFスイッチ126Bを押圧すると(併せて左脚OFFスイッチ126Aの押圧を解除すると)、使用者の上げ終わった左脚が下ろされる。
【0142】
この際、右脚を下ろす場合と同様に、左脚についても踵接地となるように、右脚ONスイッチ124Aを押圧する。
【0143】
以上の操作を繰り返すことにより、歩行補助装置100の使用者に対して使用者の状況に適した良好な歩行運動を行わせることが可能となる。
【0144】
ここで、歩行補助装置100により使用者の歩行動作をアシストする場合には、不随意の筋活動や過度の緊張を伴うことがある。そこで、本実施形態では、手動スイッチ120の操作により、空気を第1~第4アクチュエータ104、106、108、110に供給するタイミング、流量等を使用者の状況に合わせて変化させることを可能とし、第1~第4アクチュエータ104、106、108、110の収縮(短縮)や弛緩(伸長)を徐々に変化させることを可能としている。これにより、使用者が安全な歩行動作を行うことが可能となる。
【0145】
また、歩行補助装置100をマニュアル(手動)動作させることにより、使用者の筋緊張の程度、不随意運動の有無等を判断し、使用者にとって安全な動作範囲を確認することも可能である。よって、当該確認情報を、第1実施形態で説明した自動制御式の歩行補助装置10において、制御条件の設定の際に役立てることも可能である。
【0146】
また、起立OFFスイッチ122B、右脚OFFスイッチ124B、及び左脚OFFスイッチ126Bを押圧し続けた場合には第1~第4アクチュエータ104、106、108、110は弛緩し、非作動状態となる。これにより、使用者の自発的な動きを確認することも容易に行うことができる。
【0147】
また、徐々に、第1~第4アクチュエータ104、106、108、110に徐々に空気を供給することにより、使用者の自発的な動きを確認しながら自在に補助の程度を調整することも可能である。
【0148】
さらに、起立ONスイッチ122Aの押圧により、第1関節部K1と第2関節部K2とを同時に伸展させることができることによって、使用者の起立姿勢保持を補助できるという効果のみならず、使用者が膝を屈曲している際に膝下受け38に使用者の体重がかかることを抑制でき、使用者の膝の痛みを緩和できるという効果も併せて得ることができる。
【0149】
以上、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、本実施形態では、第1~第4のアクチュエータとして、空気圧式アクチュエータを用いたが、モータの作動によりプーリに巻き付けられ、又はプーリから巻き出されるワイヤを、第1~第4のアクチュエータとして用いてもよい。また、第1~第4のアクチュエータを全て備えることは必須ではない。
【0150】
また、本実施形態では、台車14を含めて歩行補助装置10、100としているが、台車を歩行補助装置の構成要素とすることは必須ではない。
図面
【図3】
0
【図4】
1
【図5】
2
【図6】
3
【図7-1】
4
【図7-2】
5
【図8A】
6
【図8B】
7
【図9】
8
【図10A】
9
【図10B】
10
【図11A】
11
【図11B】
12
【図12】
13
【図13】
14
【図14】
15
【図15】
16
【図16】
17
【図17】
18
【図18】
19
【図19】
20
【図20】
21
【図1A】
22
【図1B】
23
【図2A】
24
【図2B】
25
【図21】
26
【図22】
27
【図23】
28
【図24】
29
【図25】
30