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明細書 :RNA型非天然ヌクレオシド誘導体を調製するための中間体化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5594722号 (P5594722)
公開番号 特開2011-153111 (P2011-153111A)
登録日 平成26年8月15日(2014.8.15)
発行日 平成26年9月24日(2014.9.24)
公開日 平成23年8月11日(2011.8.11)
発明の名称または考案の名称 RNA型非天然ヌクレオシド誘導体を調製するための中間体化合物の製造方法
国際特許分類 C07H  23/00        (2006.01)
C07H  19/067       (2006.01)
C07H  19/167       (2006.01)
FI C07H 23/00
C07H 19/067
C07H 19/167
請求項の数または発明の数 4
全頁数 28
出願番号 特願2010-017182 (P2010-017182)
出願日 平成22年1月28日(2010.1.28)
審査請求日 平成25年1月22日(2013.1.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
発明者または考案者 【氏名】磯部 寛之
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100130443、【弁理士】、【氏名又は名称】遠藤 真治
審査官 【審査官】三上 晶子
参考文献・文献 特開2007-204367(JP,A)
国際公開第2004/026890(WO,A1)
米国特許出願公開第2007/0225246(US,A1)
Organic Letters,2008年,Vol.10, No.17,pp.3729-3732
調査した分野 C07H 1/00- 99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
式(IA):
【化1】
JP0005594722B2_000036t.gif
[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
R1は、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
R3は、エチニル又はその保護形態である]
で表される化合物の製造方法であって、
D-キシロースを出発原料として、D-キシロースの3α-ヒドロキシルを3β-アジド化し、5-ヒドロキシルをエチニル化し、且つ3β-アジド化及びエチニル化を行った後、2-ヒドロキシル基が保護化された中間体に、ピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を用いてピリミジン塩基又はプリン塩基を導入することにより1-位にピリミジン塩基又はプリン塩基を結合させることを含む、前記方法。
【請求項2】
式(IB):
【化2】
JP0005594722B2_000037t.gif
[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
R1は、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
R2は、ヒドロキシル、又はその保護形態若しくは固定化形態であり;
R3は、エチニル又はその保護形態である]
で表される化合物の製造方法であって、
D-キシロースを出発原料として、D-キシロースの3α-ヒドロキシルを3β-ヒドロキシル化し、5-ヒドロキシルをエチニル化し、且つエチニル化を行った後、2-ヒドロキシル基が保護化された中間体に、ピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を用いてピリミジン塩基又はプリン塩基を導入することにより1-位にピリミジン塩基又はプリン塩基を結合させることを含む、前記方法。
【請求項3】
式(IA)で表される化合物が、式(Ia):
【化3】
JP0005594722B2_000038t.gif
[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
PG1は、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護される保護基であり;
PG2は、酸性条件下において安定で、且つ脱シリル化条件で脱保護される保護基である]
で表される化合物である、請求項1の方法であって、
(a) 式(II):
【化4】
JP0005594722B2_000039t.gif
[式中、
PG3及びPG4は、塩基性条件下において安定で、且つ酸処理によって脱保護される保護基であって、
但し、PG3及びPG4は、それぞれ同一若しくは異なる独立した基であるか、又は
それらが一緒になって形成される1個の基であり;
L1は、脱離基である]
で表される化合物を、塩基で処理して分子内環化反応させて、式(III):
【化5】
JP0005594722B2_000040t.gif
[式中、PG3及びPG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(b) 式(III)で表される化合物を、式(IV):
【化6】
JP0005594722B2_000041t.gif
[式中、PG2は上記と同義である]
で表されるアセチレンの保護誘導体と反応させて、式(V):
【化7】
JP0005594722B2_000042t.gif
[式中、PG2~PG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(c) 式(V)で表される化合物をアジド化して、式(VI):
【化8】
JP0005594722B2_000043t.gif
[式中、PG2~PG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(d) 式(VI)で表される化合物を酸処理することによってPG3及びPG4を脱保護し、式(VII):
【化9】
JP0005594722B2_000044t.gif
[式中、PG2は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(e) 式(VII)で表される化合物を保護化して、式(VIII):
【化10】
JP0005594722B2_000045t.gif
[式中、PG1及びPG2は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(f) 式(VIII)で表される化合物に、ピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を用いてピリミジン塩基又はプリン塩基を導入して、式(Ia)で表される化合物を形成させる工程;
を含む、前記方法。
【請求項4】
式(IB)で表される化合物が、式(Ib):
【化11】
JP0005594722B2_000046t.gif
[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
Ybは、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護される保護基又は固相であり;
PG1は、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護される保護基であり;
PG2は、酸性条件下において安定で、且つ脱シリル化条件で脱保護される保護基である]
で表される化合物である、請求項2の方法であって、
(a) 式(II):
【化12】
JP0005594722B2_000047t.gif
[式中、
PG3及びPG4は、塩基条件下において安定で、且つ酸処理によって脱保護される保護基であって、
但し、PG3及びPG4は、それぞれ同一若しくは異なる独立した基であるか、又は
それらが一緒になって形成される1個の基であり;
L1は、脱離基である]
で表される化合物を、塩基で処理して分子内環化反応させて、式(III):
【化13】
JP0005594722B2_000048t.gif
[式中、PG3及びPG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(b) 式(III)で表される化合物を、式(IV):
【化14】
JP0005594722B2_000049t.gif
[式中、PG2は上記と同義である]
で表されるアセチレンの保護誘導体と反応させて、式(V):
【化15】
JP0005594722B2_000050t.gif
[式中、PG2~PG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(c-1) 式(V)で表される化合物の3β-ヒドロキシルをケトンに酸化して、式(V’):
【化16】
JP0005594722B2_000051t.gif
[式中、PG2~PG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(c-2) 式(V’)で表される化合物の3-位のケトンを3α-ヒドロキシルに還元して、式(VIb):
【化17】
JP0005594722B2_000052t.gif
[式中、PG2~PG4及びYbは上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(d) 式(VIb)で表される化合物を酸処理することによってPG3及びPG4を脱保護し、式(VIIb):
【化18】
JP0005594722B2_000053t.gif
[式中、PG2及びYbは上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(e) 式(VIIb)で表される化合物を保護化して、式(VIIIb):
【化19】
JP0005594722B2_000054t.gif
[式中、PG1、PG2及びYbは上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(f) 式(VIIIb)で表される化合物に、ピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を用いてピリミジン塩基又はプリン塩基を導入して、式(Ib)で表される化合物を形成させる工程;
を含む、前記方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、RNA型非天然ヌクレオシド誘導体を調製するための中間体化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸は、遺伝情報の蓄積及び伝達を担う重要な生体高分子である。天然に存在する核酸は、リン酸ジエステルにより連結したフラノース骨格上に核酸塩基を配し、その配列により遺伝情報が記述される。核酸塩基の配列は、遺伝情報の記述のみならず、リボザイムなどにみられるような核酸の機能発現に重要な役割を果たしている。最近、ヒトの全塩基配列が解読され、この情報をもとに遺伝子療法が発展するものと期待されている。遺伝子療法として発展が期待されるいくつかの手法のうち、アンチセンス法及びアンチジーン法は、遺伝子の複写及び転写経路を阻害するものである。この手法では、特定の核酸塩基配列に対して、高選択的且つ高効率的に結合する配列認識能を有する分子が必要となる。これらの治療法開発においては、当初、天然型核酸を利用した試みが行われてきたが、主に以下の3つの点で問題があった。すなわち、1)標的塩基配列に対する結合力の弱さ、2)標的塩基配列に結合した後の複合体の、酵素などの生体物質に対する安定性、3)細胞内に移行してさらに標的塩基配列に到達するため生体膜透過性の問題である。特に、細胞内の核酸分解酵素による分解が大きな問題であった。
【0003】
現在では、アンチセンス分子として、非天然型骨格上に核酸塩基を配置した人工核酸を用いて検討が行われている。これまで知られているアンチセンス分子としては、1)リン酸ジエステル部位を修飾した人工核酸、2)フラノース部位のグリコシル結合やヒドロキシル基を修飾した人工核酸、3)核酸塩基部位を修飾した人工核酸、及び4)糖・リン酸骨格以外の構造を利用した人工核酸などがあり、具体的には以下のようなものが知られている。1)リン酸部位の酸素原子を硫黄原子で置換したホスホロチオエート型やホスホロジチオエート型、ホスホロジアミデート型、メチルホスホネート型、メチルホスホノチオエート型の人工核酸、2)フラノース環上の置換基修飾型、糖環骨格が1炭素増炭したピラノース型、多環式糖骨格型の人工核酸、3)塩基間スタッキングの強化や核酸鎖間静電反発の抑制を行う修飾塩基としてピリミジンC-5位修飾塩基型、プリンC-7位修飾塩基型、環拡張修飾塩基型の人工核酸、及び4)ペプチド鎖を基礎骨格としたペプチド核酸(PNA)などである(例えば、非特許文献1及び2、特許文献1~3)。
【0004】
これらの人工核酸のうち、PNAは、中性のペプチド鎖を骨格に利用するため特異的塩基配列に対する結合力が高く、さらに加水分解酵素に対する安定性も高いなど多くの利点を有している。さらにその合成に既存のオリゴペプチド合成手法が利用出来るため固相上で簡便に製造でき、もっとも注目されている人工核酸となっている。しかし、疎水的な骨格を利用するために溶解性が低いなどの短所も報告されている。また合成的にもペプチド鎖の伸長、核酸塩基をもつペプチド鎖の導入と多工程を要し、またこれらの工程に関わる置換基の保護・脱保護の工程が必要であり、合成が簡便であるとはいえない。
【0005】
これに対し、本発明者らは、核酸のリン酸ジエステル結合に代えて、1,2,3-トリアゾール環を介する結合を有する新規非天然ヌクレオシド誘導体を開発した(特許文献4)。この非天然ヌクレオシド誘導体は、1,2,3-トリアゾール環を介する結合を主骨格とするため、生体内で分解され難く、且つ相補鎖に対する結合力が高いという利点を有する。さらに、合成反応における鎖長伸長段階に、3-位アジドと5-位エチニルの付加環化反応を採用しているため、簡便な反応条件で鎖長伸長が可能であるという利点も有する(非特許文献3~6)。
【0006】
上記の非天然ヌクレオシド誘導体のうち、RNA型非天然ヌクレオシド誘導体は、下記の一般式:
【化1】
JP0005594722B2_000002t.gif
[式中、
「塩基」は、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
mは、1~500の整数である]
で表される。
【0007】
特許文献4に記載の方法では、式(1)で表されるRNA型非天然ヌクレオシド誘導体は、以下のスキームにしたがって製造される。
【0008】
【化2】
JP0005594722B2_000003t.gif

【0009】
まず、式(2)で表される1-位に塩基を有するリボヌクレオシドを出発原料とし、式(3)、(4)及び(5)で表されるリボヌクレオシド誘導体をそれぞれ調製し、式(3)で表される化合物の保護誘導体を5’-末端側の伸長始点として、これに複数の式(4)で表される化合物の保護誘導体を順次付加環化反応させ、最後に3’-末端側を形成するために、式(5)で表される化合物を付加環化反応させることにより、各リボヌクレオシドが1,2,3-トリアゾール環を介して互いに結合された、RNA型非天然ヌクレオシド誘導体を製造することが出来る。或いは、式(5)で表される化合物を3’-末端側の伸長始点として、これに複数の式(4)で表される化合物を順次付加環化反応させ、最後に5’-末端側を形成するために、式(3)で表される化合物を付加環化反応させることによっても製造することが出来る。
【0010】
式(1)において、各リボヌクレオシドを連結する1,2,3-トリアゾール環は無電荷である。このため、上記の式(1)で表されるRNA型非天然ヌクレオシド誘導体は、負電荷を有するリン酸ジエステル結合を主骨格とする天然型核酸と比較して静電相互作用が低くなるため、相補鎖に対する結合力が高くなる。
【0011】
加えて、1,2,3-トリアゾール環を介した結合は、リン酸ジエステル結合と異なり核酸加水分解酵素によって分解されない。それ故、上記の式で表されるRNA型非天然ヌクレオシド誘導体は、生体内においてより安定に存在することが出来る。
【0012】
上記のような特徴から、上記の一般式で表されるRNA型非天然ヌクレオシド誘導体は、PCRプライマー、アンチセンス分子、RNA干渉分子のような生命科学分野における機能性材料としてだけでなく、医薬、農薬及び植物生長調節剤の有効成分としても有用である。
【先行技術文献】
【0013】

【特許文献1】国際公開第92/20702号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/96355号パンフレット
【特許文献3】国際公開第01/96356号パンフレット
【特許文献4】特開2007-204367号公報
【0014】

【非特許文献1】ゲノムケミストリー、関根光雄・齋藤烈編、講談社サイエンティフィク、2003年
【非特許文献2】Peptide nucleic acids, 2nd ed. P. E. Nielsen著、Horizon Bioscience、2004年
【非特許文献3】Sharpless, K. B.ら, Angrew. Chem. Int. Ed., 2001年, 第40巻, p. 2004-2021
【非特許文献4】Zhang, L.ら, J. Am. Chem. Soc., 2005年, p. 15998-15999
【非特許文献5】Isobe, H.ら, Org. Lett., 2008年, 第10 (17)巻, p. 3729-3732
【非特許文献6】Fujino, T.ら, Tetrahedron Lett., 2009年, 第50 (28)巻, p. 4101-4103
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記のスキームに示すように、特許文献4に記載の方法では、RNA型非天然ヌクレオシド誘導体(1)を製造するための単量体(3)~(5)は、1-位に塩基を有し、且つ2-位にヒドロキシル基を有するリボヌクレオシド(2)を出発原料とする。このため、2-ヒドロキシル基に起因する副反応が進行して副生成物が生じ、目的物の収率が低下するという問題点があった。また、予め1-位に塩基が導入されたリボヌクレオシド(2)は高価であるため、各反応工程の収率を改善したとしても、全体の製造コストを低下させることは困難であるという問題点もあった。それ故本発明は、RNA型非天然ヌクレオシド誘導体を製造するための中間体化合物を、従来技術と比較してより高収率、高純度で且つ低コストで製造するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、安価なD-キシロースを出発原料とし、これにアジド及びエチニルを導入した後、ピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を用いて該塩基を導入することにより、1、2,3-トリアゾール環を含む有機基を介して結合した構造を含む、RNA型非天然ヌクレオシド誘導体を製造するために好適な中間体化合物を合成することに成功し、本発明を完成した。
【0017】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0018】
(1)式(IA):
【化3】
JP0005594722B2_000004t.gif
[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
R1は、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
R3は、エチニル又はその保護形態である]
で表される化合物の製造方法であって、D-キシロースを出発原料として、D-キシロースの3α-ヒドロキシルを3β-アジド化し、5-ヒドロキシルをエチニル化し、且つ1-位にピリミジン塩基又はプリン塩基を結合させることを含む、前記方法。
【0019】
(2) 式(IB):
【化4】
JP0005594722B2_000005t.gif
[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
R1は、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
R2は、ヒドロキシル、又はその保護形態若しくは固定化形態であり;
R3は、エチニル又はその保護形態である]
で表される化合物の製造方法であって、D-キシロースを出発原料として、D-キシロースの3α-ヒドロキシルを3β-ヒドロキシル化し、5-ヒドロキシルをエチニル化し、且つ1-位にピリミジン塩基又はプリン塩基を結合させることを含む、前記方法。
【0020】
(3) 式(IA)で表される化合物が、式(Ia):
【化5】
JP0005594722B2_000006t.gif
[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
PG1は、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護される保護基であり;
PG2は、酸性条件下において安定で、且つ脱シリル化条件で脱保護される保護基である]
で表される化合物である、前記(1)の方法であって、
(a) 式(II):
【化6】
JP0005594722B2_000007t.gif
[式中、
PG3及びPG4は、塩基性条件下において安定で、且つ酸処理によって脱保護される保護基であって、但し、PG3及びPG4は、それぞれ同一若しくは異なる独立した基であるか、又は
それらが一緒になって形成される1個の基であり;
L1は、脱離基である]
で表される化合物を、塩基で処理して分子内環化反応させて、式(III):
【化7】
JP0005594722B2_000008t.gif
[式中、PG3及びPG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(b) 式(III)で表される化合物を、式(IV):
【化8】
JP0005594722B2_000009t.gif
[式中、PG2は上記と同義である]
で表されるアセチレンの保護誘導体と反応させて、式(V):
【化9】
JP0005594722B2_000010t.gif
[式中、PG2~PG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(c) 式(V)で表される化合物をアジド化して、式(VI):
【化10】
JP0005594722B2_000011t.gif
[式中、PG2~PG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(d) 式(VI)で表される化合物を酸処理することによってPG3及びPG4を脱保護し、式(VII):
【化11】
JP0005594722B2_000012t.gif
[式中、PG2は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(e) 式(VII)で表される化合物を保護化して、式(VIII):
【化12】
JP0005594722B2_000013t.gif
[式中、PG1及びPG2は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(f) 式(VIII)で表される化合物に、ピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を用いてピリミジン塩基又はプリン塩基を導入して、式(Ia)で表される化合物を形成させる工程;
を含む、前記方法。
【0021】
(4) 式(IB)で表される化合物が、式(Ib):
【化13】
JP0005594722B2_000014t.gif
[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
Ybは、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護される保護基又は固相であり;
PG1は、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護される保護基であり;
PG2は、酸性条件下において安定で、且つ脱シリル化条件で脱保護される保護基である]
で表される化合物である、前記(2)の方法であって、
(a) 式(II):
【化14】
JP0005594722B2_000015t.gif
[式中、
PG3及びPG4は、塩基条件下において安定で、且つ酸処理によって脱保護される保護基であって、但し、PG3及びPG4は、それぞれ同一若しくは異なる独立した基であるか、又は
それらが一緒になって形成される1個の基であり;
L1は、脱離基である]
で表される化合物を、塩基で処理して分子内環化反応させて、式(III):
【化15】
JP0005594722B2_000016t.gif
[式中、PG3及びPG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(b) 式(III)で表される化合物を、式(IV):
【化16】
JP0005594722B2_000017t.gif
[式中、PG2は上記と同義である]
で表されるアセチレンの保護誘導体と反応させて、式(V):
【化17】
JP0005594722B2_000018t.gif
[式中、PG2~PG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(c-1) 式(V)で表される化合物の3β-ヒドロキシルをケトンに酸化して、式(V’):
【化18】
JP0005594722B2_000019t.gif
[式中、PG2~PG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(c-2) 式(V’)で表される化合物の3-位のケトンを3α-ヒドロキシルに還元して、式(VIb):
【化19】
JP0005594722B2_000020t.gif
[式中、PG2~PG4及びYbは上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(d) 式(VIb)で表される化合物を酸処理することによってPG3及びPG4を脱保護し、式(VIIb):
【化20】
JP0005594722B2_000021t.gif
[式中、PG2及びYbは上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(e) 式(VIIb)で表される化合物を保護化して、式(VIIIb):
【化21】
JP0005594722B2_000022t.gif
[式中、PG1、PG2及びYbは上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(f) 式(VIIIb)で表される化合物に、ピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を用いてピリミジン塩基又はプリン塩基を導入して、式(Ib)で表される化合物を形成させる工程;
を含む、前記方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、RNA型非天然ヌクレオシド誘導体を製造するための中間体化合物を、従来技術と比較してより高収率、高純度で且つ低コストで製造するための方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。

【0024】
本発明は、前記式(IA)、(IB)、(Ia)又は(Ib)で表される化合物の製造方法に関する。

【0025】
本明細書において、「ピリミジン塩基」は、ピリミジン核を有する塩基性化合物又はその1-位窒素原子上の水素原子を除去した1価の基を意味し、限定するものではないが、例えば、ウラシル、シトシン及びチミン等のピリミジン核酸塩基、並びにこれらの誘導体が包含される。また、本明細書において、「プリン塩基」は、プリン核を有する塩基性化合物又はその1-位窒素原子上の水素原子を除去した1価の基を意味し、限定するものではないが、例えば、アデニン及びグアニン等のプリン核酸塩基、並びにこれらの誘導体が包含される。上記のピリミジン核酸塩基及びプリン核酸塩基の誘導体としては、限定するものではないが、ウラシル、シトシン、チミン、アデニン又はグアニンのハロゲン化誘導体、脱アミノ誘導体、酸素原子に代えて硫黄原子を有する誘導体、ピリミジンのC-5位修飾塩基、プリンのC-7位修飾塩基、環拡張型修飾塩基などを挙げることが出来る。

【0026】
具体的には、ピリミジン核酸塩基及びその誘導体としては、以下の式で表される化合物を挙げることが出来る。

【0027】
【化22】
JP0005594722B2_000023t.gif

【0028】
式中、D1及びD2は、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子であり、D3は、ヒドロキシル又はアミノであり、D4は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ又はアミノアルコキシであり、Rは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル又はアルコキシである。

【0029】
ここで、上記の式において、好適なハロゲンとしては、フッ素、臭素、ヨウ素及び塩素を挙げることが出来る。好ましくは、フッ素、臭素又はヨウ素である。

【0030】
本明細書において、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C1~C6アルキル」は、少なくとも1個且つ多くても6個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖を意味する。上記の式において、好適なアルキルは、直鎖又は分枝鎖のC1~C6アルキルであって、より具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル及びヘキシル等を挙げることが出来る。

【0031】
本明細書において、「アルケニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。上記の式において、好適なアルケニルは、直鎖又は分枝鎖のC1~C6アルケニルであって、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチルアリル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、1,3-ブタンジエニル等を挙げることが出来る。

【0032】
本明細書において、「アルキニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。上記の式において、好適なアルキニルは、直鎖又は分枝鎖のC1~C6アルキニルであって、エチニル、2-プロピニル、2-ブチニル、2-ペンチニル、2-ヘキシニル、2-ペンテン-4-イニル等を挙げることが出来る。

【0033】
本明細書において、「アルコキシ」は、前記アルキルの1個以上の水素原子が酸素原子に置換された基を意味する。上記の式において、好適なアルコキシは、直鎖又は分枝鎖のC1~C6アルコキシであって、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ等を挙げることが出来る。

【0034】
本明細書において、「アミノアルコキシ」は、前記アルコキシの1個以上の水素原子がアミノ基に置換された基を意味する。上記の式において、好適なアミノアルコキシは、直鎖又は分枝鎖のアミノC1~C6アルコキシであって、アミノメトキシ、2-アミノエトキシ、3-アミノプロポキシ等を挙げることが出来る。

【0035】
より具体的には、ピリミジン核酸塩基及びその誘導体としては、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル及び5-ヨードウラシルのようなハロゲン化ウラシル誘導体、2-チオウラシル、4-チオウラシル及び2,4-ジチオウラシルのような酸素原子に代えて硫黄原子を有するウラシル誘導体、5-メチルウラシル、5-ビニルウラシル、並びに5-エチニルウラシル等の、ウラシルの誘導体;5-フルオロシトシン、5-ブロモシトシン及び5-ヨードシトシンのようなハロゲン化シトシン誘導体、5-エチニルシトシンのようなアルキニルを有するシトシン誘導体等の、シトシンの誘導体を挙げることが出来る。

【0036】
プリン核酸塩基及びその誘導体としては、以下の式で表される化合物を挙げることが出来る。

【0037】
【化23】
JP0005594722B2_000024t.gif

【0038】
式中、D1は、酸素原子又は硫黄原子であり、D3は、ヒドロキシル又はアミノであり、Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルケニル又はアルキニルである。ハロゲン、アルキル、アルケニル及びアルキニルについては上記と同様である。

【0039】
より具体的には、プリン核酸塩基及びその誘導体としては、ヒポキサンチンといった脱アミノグアニン誘導体、8-フルオログアニン、8-ブロモグアニン及び8-ヨードグアニンのようなハロゲン化グアニン誘導体等の、グアニンの誘導体;8-フルオロアデニン、8-ブロモアデニン及び8-ヨードアデニンのようなハロゲン化アデニン誘導体、並びに1,N6-エテノアデニン等の、アデニンの誘導体を挙げることが出来る。

【0040】
本明細書において、「保護基」は、望ましくない反応の進行を防止するために、特定の官能基に導入される基であって、特定の反応条件において定量的に除去され、且つそれ以外の反応条件においては実質的に安定、即ち反応不活性である基を意味する。本明細書において、「保護(化)」及び「脱保護(化)」は、それぞれ官能基に保護基を導入すること、及び保護基を定量的に除去することを意味する。また、本明細書において、「保護形態」は、1個又は複数の官能基に保護基が導入された形態を意味し、「保護誘導体」は、1個又は複数の官能基に保護基が導入された誘導体を意味する。保護誘導体は、以下で説明する保護化を実施することによって調製してもよく、予め所望の保護基が導入されている市販の保護誘導体を用いてもよい。

【0041】
具体的には、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護されるヒドロキシル基の保護基としては、限定するものではないが、例えば、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、並びにtert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)及びtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)のようなシリルを挙げることが出来る。上記の保護基による保護化は、例えば、トリエチルアミン又はピリジンのような有機塩基存在下、無水酢酸、塩化ベンゾイル又は塩化シランのような保護化試薬と反応させることにより実施することが出来る。また、かかる保護基の脱保護化は、メタノール又は水のような溶媒中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアンモニアのようなアルカリで処理することにより実施することが出来る。

【0042】
酸性条件下において安定で、且つ脱シリル化条件で脱保護される末端アルキンの保護基としては、限定するものではないが、例えば、トリメチルシリル(TMS)及びトリイソプロピルシリル(TIPS)のようなシリルを挙げることが出来る。上記の保護基の脱保護化は、テトラヒドロフラン(THF)のような非プロトン性極性溶媒中、テトラブチルアンモニウムフルオリド又は強塩基のような試薬と反応させることにより実施することが出来る。なお、本明細書において、「脱シリル化条件」は、上記で説明したような、シリルの脱保護化を実施するための反応条件を意味する。

【0043】
塩基性条件下において安定で、且つ酸処理によって脱保護されるヒドロキシル基の保護基としては、限定するものではないが、例えば、アセトニド、tert-ブチル及びトリチルを挙げることが出来る。上記の保護基による保護化は、例えば、硫酸又は塩酸のような酸存在下、アセトン又はイソブテンと反応させることにより、或いはトリエチルアミン又はピリジンのような有機塩基存在下、塩化トリチルと反応させることにより実施することが出来る。また、かかる保護基の脱保護化は、水性溶媒中、トリフルオロ酢酸(TFA)のような酸と反応させることにより実施することが出来る。

【0044】
なお、複数のヒドロキシル基を同時に保護化する場合、複数のヒドロキシル基に導入される保護基は、それぞれ同一の独立した基であっても良く、それらが一緒になって形成される1個の基であっても良い。後者の保護基としては、アセトニドが好ましい。

【0045】
本明細書において、「脱離基」は、ヒドロキシル基を除去するために導入される基であって、置換反応によって脱離し除去される基を意味する。脱離基としては、p-トルエンスルホン酸(TsO)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfO)、並びにフッ素、塩素、臭素及びヨウ素のようなハロゲンを挙げることが出来る。上記の脱離基の導入は、例えば、トリエチルアミン又はピリジンのような有機塩基存在下、p-トルエンスルホン酸クロリド(TsCl)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)又はトリフェニルホスフィン及びN-クロロコハク酸イミド等のハロゲン化剤のような脱離基の導入試薬と反応させることにより実施することが出来る。

【0046】
本明細書において、「固相」は、1個又は複数の反応性官能基を有する実質的に不溶性の材料を意味する。また、本明細書において、「固定化形態」は、1個又は複数の官能基に固相が結合した形態を意味する。上記の式(IB)又は(Ib)に含まれる固相としては、特に制限されず、公知の核酸合成法、例えばホスホロアミダイト法において用いられる固相を用いることが出来る。具体的には、ポリスチレン樹脂等の合成樹脂又は多孔性の球状ガラスビーズ(CPG)等のガラス材料などを挙げることが出来る。好ましくは、リンカー部にヒドロキシルを有するポリスチレン合成樹脂である。上記の固相は、例えば、ポリスチレン合成樹脂表面のリンカー鎖に、コハク酸エステルなどのスペーサーを介して、式(IB)又は(Ib)で表される化合物の3-ヒドロキシル基と結合することが出来る。

【0047】
本発明者らは、安価なD-キシロースを出発原料とし、さらに立体及び位置選択的なエチニル化及びアジド化反応、並びにピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を組み合わせることにより、特許文献4に記載の方法と比較してより高収率及び高純度で、式(IA)、(IB)、(Ia)及び(Ib)で表される化合物を製造することに成功した。

【0048】
本発明の製造方法で用いるD-キシロースは、特許文献4に記載の方法で使用されるヌクレオシドと比較して極めて安価である。それ故、式(IA)、(IB)、(Ia)及び(Ib)で表される化合物、並びに最終的な目的物であるRNA型非天然ヌクレオシド誘導体の製造コストを大幅に低下させることが可能となる。

【0049】
また、本発明の製造方法では、エチニル化及び/又はアジド化反応を行った後、2-ヒドロキシル基が保護化された中間体に、ピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を用いてピリミジン塩基又はプリン塩基を導入する。一般に、グリコシル化反応は、グリコシド基の立体化学を制御することは困難であるが、本発明の製造方法では、1-ヒドロキシル基がラセミ化した式(VIII)又は(VIIIb)で表される化合物を基質として用いても、所望のβ-配置でピリミジン塩基又はプリン塩基が導入された化合物を主生成物として得ることが出来る。それ故、式(IA)、(IB)、(Ia)及び(Ib)で表される化合物を高収率で製造することが可能となる。

【0050】
なお、本明細書において、「グリコシル化反応」は、ピリミジン塩基又はプリン塩基を、リボースの1-位炭素原子に結合させる反応を意味する。上記のグリコシル化反応は、例えば、アセトニトリル又は塩化メチレンのような有機溶媒中、トリメチルシリルトリフラート又は塩化スズ存在下、ピリミジン塩基又はプリン塩基を、リボフラノース骨格を有する化合物と反応させることにより実施することが出来る。或いは、ピリミジン塩基又はプリン塩基を、予め1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン及びクロロトリメチルシランと反応させることによってシリル化し、該シリル化されたピリミジン塩基又はプリン塩基を、1,2-ジクロロエタンのような無極性溶媒中、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートのような試薬存在下、リボフラノース骨格を有する化合物と反応させることにより実施することが出来る。ここで、リボフラノース骨格を有する化合物の1-ヒドロキシル基は、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護されるヒドロキシル基の保護基、好ましくはアセチルのような保護基により保護化されていても良い。また、リボフラノース骨格を有する化合物の1-ヒドロキシル基の立体化学は特に限定されず、α-配置であってもβ-配置であっても良く、或いはラセミ化していても良い。

【0051】
より具体的には、式(Ia)で表される化合物は、下記スキーム1にしたがって製造することが出来る。

【0052】
【化24】
JP0005594722B2_000025t.gif

【0053】
上記のスキーム中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
R1は、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
R3は、エチニル又はその保護形態であり;
PG1は、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護される保護基であり;
PG2は、酸性条件下において安定で、且つ脱シリル化条件で脱保護される保護基であり;
PG3及びPG4は、塩基性条件下において安定で、且つ酸処理によって脱保護される保護基であって、但し、PG3及びPG4は、それぞれ同一若しくは異なる独立した基であるか、又は
それらが一緒になって形成される1個の基であり;
L1は、脱離基である。

【0054】
上記のスキーム1において、式(Ia)で表される化合物の保護基PG1は、アセチル(Ac)であることが好ましい。

【0055】
式(Ia)で表される化合物の保護基PG2は、トリメチルシリル(TMS)又はトリイソプロピルシリル(TIPS)であることが好ましく、TMSであることがより好ましい。

【0056】
式(II)で表される化合物の保護基PG3及びPG4は、それらが一緒になって形成される1個の基であることが好ましく、アセトニドであることがより好ましい。

【0057】
式(II)で表される化合物の脱離基L1は、p-トルエンスルホン酸(TsO)又はトリフルオロメタンスルホン酸(TfO)であることが好ましく、TsOであることがより好ましい。

【0058】
本発明の式(Ia)で表される化合物の製造方法を、上記のスキーム1に基づきさらに詳しく説明する。

【0059】
上記のスキーム1において、D-キシロースの1-位及び2-位のヒドロキシル基を保護化するとともにフラノース環を形成させることにより、α-D-キシロフラノースの保護誘導体が形成される。

【0060】
得られたα-D-キシロフラノースの保護誘導体を、上記で説明した反応条件で脱離基の導入試薬と反応させることにより、式(II)で表される化合物が形成される。その後、式(II)で表される化合物を、メタノールのようなアルコール溶媒中、ナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシドのようなアルコキシドで3-ヒドロキシル基を脱プロトン化し、分子内環化反応させることにより、式(III)で表される化合物が形成される(工程(a))。

【0061】
次に、式(III)で表される化合物を、テトラヒドロフラン(THF)のような非プロトン性極性溶媒中、ブチルリチウム又はtert-ブチルリチウムのような強塩基存在下、式(IV)で表されるアセチレンの保護誘導体と反応させることにより、式(V)で表される化合物が形成される(工程(b))。

【0062】
次いで、式(V)で表される化合物を、上記で説明した反応条件で脱離基の導入試薬と反応させることにより、式(V)で表される化合物の3-位に、トリフルオロメタンスルホン酸(TfO)又はハロゲンのような脱離基を導入して、式(V)で表される化合物の保護誘導体を形成させる。その後、この保護誘導体を、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)のような非プロトン性極性溶媒中、アジ化ナトリウムを加えてアジド化することにより、式(VI)で表される化合物が形成される(工程(c))。

【0063】
次に、上記で説明した反応条件によって、式(VI)で表される化合物のPG3及びPG4を脱保護することにより、1-ヒドロキシル基がラセミ化した、式(VII)で表される化合物が形成される(工程(d))。

【0064】
次いで、式(VII)で表される化合物の1-及び2-ヒドロキシル基を、上記で説明した反応条件で保護化することにより、式(VIII)で表される化合物が形成される(工程(e))。

【0065】
その後、式(VIII)で表される化合物に、上記で説明したグリコシル化反応を用いて、ピリミジン塩基又はプリン塩基をβ-配置選択的に導入することにより、式(Ia)で表される化合物が形成される(工程(f))。

【0066】
次いで、所望により、式(Ia)で表される化合物を、上記で説明した反応条件で脱保護化することにより、R1がヒドロキシルであり、且つR3がエチニルであるか、R1がヒドロキシルであり、且つR3がエチニルの保護形態であるか、或いはR1がヒドロキシルの保護形態であり、且つR3がエチニルである、式(IA)で表される化合物が形成される(工程(g))。

【0067】
また、式(Ib)で表される化合物は、下記スキーム2にしたがって製造することが出来る。

【0068】
【化25】
JP0005594722B2_000026t.gif

【0069】
上記のスキーム中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
R1は、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
R2は、ヒドロキシル、又はその保護形態若しくは固定化形態であり;
R3は、エチニル又はその保護形態であり;
Ybは、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護される保護基又は固相であり;
PG1は、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護される保護基であり;
PG2は、酸性条件下において安定で、且つ脱シリル化条件で脱保護される保護基であり;
PG3及びPG4は、塩基性条件下において安定で、且つ酸処理によって脱保護される保護基であって、但し、PG3及びPG4は、それぞれ同一若しくは異なる独立した基であるか、又は
それらが一緒になって形成される1個の基であり;
L1は、脱離基である。

【0070】
上記のスキーム2において、式(Ib)で表される化合物の保護基PG1は、アセチル(Ac)であることが好ましい。

【0071】
式(Ib)で表される化合物の保護基PG2は、トリメチルシリル(TMS)又はトリイソプロピルシリル(TIPS)であることが好ましく、TMSであることがより好ましい。

【0072】
式(II)で表される化合物の保護基PG3及びPG4は、それらが一緒になって形成される1個の基であることが好ましく、アセトニドであることがより好ましい。

【0073】
式(II)で表される化合物の保護基又は固相Ybは、アセチル(Ac)又はベンゾイル(Bz)のような保護基であることが好ましく、Bzであることがより好ましい。

【0074】
式(II)で表される化合物の脱離基L1は、p-トルエンスルホン酸(TsO)又はトリフルオロメタンスルホン酸(TfO)であることが好ましく、TsOであることがより好ましい。

【0075】
本発明の式(Ib)で表される化合物の製造方法を、上記のスキーム2に基づきさらに詳しく説明する。

【0076】
上記のスキーム2において、D-キシロースの1-位及び2-位のヒドロキシル基を保護化するとともにフラノース環を形成させることにより、α-D-キシロフラノースの保護誘導体が形成される。

【0077】
得られたα-D-キシロフラノースの保護誘導体を、スキーム1と同様の条件で反応させることにより、式(III)で表される化合物(工程(a))及び式(V)で表される化合物(工程(b))が順次形成される。

【0078】
その後、式(V)で表される化合物を、ジクロロメタン又はクロロホルムのような溶媒中、二クロム酸ピリジニウム(PDC)のような酸化剤と反応させることにより、3-ヒドロキシルがケトンに酸化された、式(V’)で表される化合物が形成される(工程(c-1))。

【0079】
次いで、式(V’)で表される化合物を、メタノール又はエタノールのような溶媒中、水素化ホウ素ナトリウム、又は水素化リチウムアルミニウムのような還元剤と反応させることにより、3-位のケトンが立体選択的に3α-ヒドロキシルに還元される。得られた化合物の3α-ヒドロキシル基を、上記で説明した反応条件で保護化するか或いは固相と結合させることにより、式(VIb)で表される化合物が形成される(工程(c-2))。

【0080】
次に、上記で説明した反応条件によって、式(VIb)で表される化合物のPG3及びPG4を脱保護することにより、1-位ヒドロキシル基がラセミ化した、式(VIIb)で表される化合物が形成される(工程(d))。

【0081】
次いで、式(VIIb)で表される化合物の1-及び2-ヒドロキシル基を、上記で説明した反応条件で保護化することにより、式(VIIIb)で表される化合物が形成される(工程(e))。

【0082】
その後、式(VIIIb)で表される化合物に、上記で説明したグリコシル化反応を用いて、ピリミジン塩基又はプリン塩基をβ-配置選択的に導入することにより、式(Ib)で表される化合物が形成される(工程(f))。

【0083】
次いで、所望により、式(Ib)で表される化合物を、上記で説明した反応条件で脱保護化することにより、R1がヒドロキシルであり、R2がヒドロキシル若しくはその固定化形態であり、且つR3がエチニルであるか、R1がヒドロキシルであり、R2がヒドロキシル若しくはその固定化形態であり、且つR3がエチニルの保護形態であるか、或いはR1がヒドロキシルの保護形態であり、R2がヒドロキシルの保護形態若しくは固定化形態であり、且つR3がエチニルである、式(IB)で表される化合物が形成される(工程(g))。

【0084】
上記の条件で本発明の製造方法を実施することにより、高収率且つ高純度の式(IA)、(IB)、(Ia)又は(Ib)で表される化合物を、低コストで製造することが可能となる。
【実施例】
【0085】
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0086】
1.一般的実験方法
プロトン(1H)核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Biospin Avance 400P FT NMR (400 MHz)及びJEOL LA-400 (400 MHz)分光計を用いて測定した。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、蛍光検出試薬を含有するシリカゲル(230-400メッシュ、0.25 mm厚)を塗布したガラスプレート(silica gel 60F254, Merck社)を用いて実施した。質量分析は、JEOL JMS-T100LC (ESI-TOF MS)質量分析計を用いて測定した。
【実施例】
【0087】
2.合成
(1)1,2-O-イソプロピリデン-5-(トリメチルシリル)エチニル-5-デオキシ-α-D-キシロフラノース(5)の合成
【実施例】
【0088】
【化26】
JP0005594722B2_000027t.gif
【実施例】
【0089】
トリメチルシリルアセチレン(2.70 mL, 17.1 mmol)のTHF溶液(19.5 mL)中に、-78℃でn-ブチルリチウム (1.54 M ヘキサン溶液, 12.5 mL, 19.3 mmol)を滴下しながら加えた。反応混合物を-78℃で30分間撹拌した後、完全にリチオ化させるために0℃に昇温した。次いで、上記の混合物を再び-78℃に冷却し、トリフルオロホウ素ジエチルエーテル錯体(2.45 mL, 17.7 mmol)を加えた。10分後、3,5-アンヒドロ-1,2-O-イソプロピリデン-α-D-キシロフラノース(4)(1.00 g, 5.81 mmol)のTHF溶液 (39.1 mL)を加え、該混合物を-78℃で2時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40 mL)を加えた後、混合物を外気温まで昇温し、ジクロロメタンで抽出した(7 × 100 mL)。有機層を硫酸ナトリウム(ca. 3 g)上で乾燥させ、減圧濃縮した。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液: 10% 酢酸エチル/ジクロロメタン)によって精製し、表題の化合物(5)(1.28 g, 82%)を白色固体として得た。
【実施例】
【0090】
化合物(5)の物性値: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.15 (s, 9H), 1.32 (s, 3H), 1.52 (s, 3H), 1.99 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.60 (dd, J = 9.0, 16.8 Hz, 1H), 2.72 (dd, J = 5.4, 16.8 Hz, 1H), 4.28-4.35 (m, 2H), 4.54 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 5.92 (d, J = 3.6 Hz, 1H).
【実施例】
【0091】
(2)1,2-O-イソプロピリデン-3-O-トリフルオロメタンスルホニル-5-(トリメチルシリル)エチニル-5-デオキシ-α-D-キシロフラノース(6)の合成
【実施例】
【0092】
【化27】
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【実施例】
【0093】
1,2-O-イソプロピリデン-5-(トリメチルシリル)エチニル-5-デオキシ-α-D-キシロフラノース(5)(1.00 g, 3.70 mmol)の乾燥ジクロロメタン溶液(8.00 mL)中に、-78℃で乾燥ピリジン(0.510 mL, 6.34 mmol)を加え、次いで、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.950 mL, 5.79 mmol)を加えた。その後、反応混合物を0℃に昇温し、2時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(8 mL)を加えた後、該混合物をジクロロメタンで抽出した(4 × 20 mL)。有機層を硫酸ナトリウム(ca. 1 g)上で乾燥させ、減圧濃縮した。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液: 30% ジクロロメタン/ヘキサン)によって精製し、表題の化合物(6)(1.42 g, 95%)を無色油状物として得た。
【実施例】
【0094】
化合物(6)の物性値: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.15 (s, 9H), 1.33 (s, 3H), 1.54 (s, 3H), 2.60 (dd, J = 9.9, 17.0 Hz, 1H), 2.77 (dd, J = 5.7, 17.0 Hz, 1H), 4.47 (ddd, J = 2.6, 5.7, 9.9 Hz 1H), 4.76 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 5.26 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 5.98 (d, J = 4.0 Hz, 1H).
【実施例】
【0095】
(3)3-アジド-1,2-O-イソプロピリデン-5-(トリメチルシリル)エチニル-3,5-ジデオキシ-α-D-リボフラノース(7)の合成
【実施例】
【0096】
【化28】
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【実施例】
【0097】
1,2-O-イソプロピリデン-3-O-トリフルオロメタンスルホニル-5-(トリメチルシリル)エチニル-5-デオキシ-α-D-キシロフラノース(6)(317 mg, 0.788 mmol)の乾燥DMF溶液(2.19 mL)中に、0℃でアジ化ナトリウム(103 mg, 1.57 mmol)を加えた。反応混合物を、室温で24時間撹拌した。水(2 mL)を加えた後、該混合物をジクロロメタンで抽出した(3 × 20 mL)。有機層を飽和食塩水(40 mL)で洗浄後、硫酸ナトリウム(ca. 1 g)上で乾燥させ、減圧濃縮した。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液: 30% ジクロロメタン/ヘキサン)によって精製し、表題の化合物(7)(95.4 mg, 41%)を無色油状物として得た。
【実施例】
【0098】
化合物(7)の物性値: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.17 (s, 9H), 1.37 (s, 3H), 1.59 (s, 3H), 2.66 (dd, J = 5.5, 17.6 Hz, 1H), 2.72 (dd, J = 4.9, 17.6 Hz, 1H), 3.36 (dd, J = 4.4, 9.4 Hz 1H), 4.17 (ddd, J = 4.4, 4.9, 5.5 Hz, 1H), 5.26 (dd, J = 4.0, 4.4 Hz, 1H), 5.98 (d, J = 4.0 Hz, 1H).
【実施例】
【0099】
(4)3-アジド-5-(トリメチルシリル)エチニル-3,5-ジデオキシ-D-リボフラノース(8)の合成
【実施例】
【0100】
【化29】
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【実施例】
【0101】
3-アジド-1,2-O-イソプロピリデン-5-(トリメチルシリル)エチニル-3,5-ジデオキシ-α-D-リボフラノース(7)(228 mg, 0.772 mmol)の水溶液(1.10 mL)中に、0℃でトリフルオロ酢酸(1.60 mL)を加えた。反応混合物を、室温で4時間撹拌した。その後、混合物を0℃に冷却し、発泡が収まるまで固体の炭酸水素ナトリウムを加えることで、反応を停止させた。反応混合物を水(10 mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出した(15 × 20 mL)。有機層を硫酸ナトリウム(ca. 2 g)上で乾燥させ、減圧濃縮した。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液: 5% メタノール/ジクロロメタン)によって精製し、化合物(8)のアノマー混合物(191 mg, 97%)を無色油状物として得た。
【実施例】
【0102】
(5)1,2-ジ-O-アセチル-3-アジド-5-(トリメチルシリル)エチニル-3,5-ジデオキシ-D-リボフラノース(9)
【実施例】
【0103】
【化30】
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【実施例】
【0104】
3-アジド-5-(トリメチルシリル)エチニル-3,5-ジデオキシ-D-リボフラノース(8)(190 mg, 0.744 mmol)及びトリエチルアミン(0.310 mL, 2.22 mmol)のジクロロメタン溶液(2.10 mL)中に、0℃で無水酢酸(0.220 mL, 2.33 mmol)を加え、次いで、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(36.1 mg, 0.295 mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(2 mL)を加えることにより、反応を停止させた。反応混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した(3 × 10 mL)。有機層を飽和食塩水(10 mL)で洗浄後、硫酸ナトリウム(ca. 1 g) 上で乾燥させ、減圧濃縮した。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液: 20% 酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、化合物(9)のアノマー混合物(230 mg, 91%)を無色油状物として得た。
【実施例】
【0105】
アノマー化合物(9)の物性値: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.17 (s, 9H), 2.08 (s, 3H), 2.18 (s, 3H), 2.59 (dd, J = 7.3, 17.2 Hz, 1H), 2.77 (dd, J = 4.9, 17.2 Hz, 1H), 4.09 (dd, J = 5.1, 7.7 Hz, 1H), 4.18 (ddd, J = 4.9, 7.3, 7.7 Hz, 1H), 5.35 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 6.10 (s, 1H); HRMS (ESI-TOF) C14H21N8O5SiNaに対する計算値 [M+Na]+ 362.1148, 実測値362.1166.
【実施例】
【0106】
(6)9-[2’-O-アセチル-3’-アジド-5’-(トリメチルシリル)エチニル-3’,5’-ジデオキシ-β-D-リボフラノシル]アデニン(10a)の合成
【実施例】
【0107】
【化31】
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【実施例】
【0108】
1,2-ジ-O-アセチル-3-アジド-5-(トリメチルシリル)エチニル-3,5-ジデオキシ-D-リボフラノース(9)(37.5 mg, 0.110 mmol)及びアデニン(17.8 mg, 0.132mmol)のアセトニトリル溶液(0.551 mL)中に、0℃で塩化スズ(25.7μL, 0.220 mmol)を加えた。反応混合物を室温に昇温し、2時間撹拌した。反応混合物を再び0℃に冷却し、次いでジクロロメタン(1.5 mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1.2 mL)を加えた。反応混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した(5 × 10 mL)。有機層を飽和食塩水(10 mL)で洗浄後、硫酸ナトリウム(ca. 1 g)上で乾燥させ、減圧濃縮した。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液: 80% 酢酸エチル/ジクロロメタン)によって精製し、表題の化合物(10a)(32.2 mg, 71%)を得た。
【実施例】
【0109】
化合物(10a)の物性値: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.19 (s, 9H), 2.18 (s, 3H), 2.75 (dd, J = 4.6, 17.4 Hz, 1H), 2.89 (dd, J = 6.0, 17.4 Hz, 1H), 4.19 (ddd, J = 4.6, 5.9, 6.0 Hz, 1H), 4.65 (dd, J = 5.9, 6.1 Hz, 1H), 5.55 (bs, 2H), 5.98 (dd, J = 4.4, 6.1 Hz, 1H), 6.09 (dd, J = 4.4 Hz, 1H), 8.03 (s, 1H), 8.36 (s, 1H); HRMS (ESI-TOF) C17H22N8O3SiNaに対する計算値 [M+Na]+ 437.1482, 実測値437.1498.
【実施例】
【0110】
(7)1-[2’-O-アセチル-3’-アジド-5’-(トリメチルシリル)エチニル-3’,5’-ジデオキシ-β-D-リボフラノシル]シトシン(10b)の合成
【実施例】
【0111】
【化32】
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【実施例】
【0112】
乾燥シトシン(78.6 mg 0.707 mmol)を、1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(1.65 mL 7.77 mmol)及びクロロトリメチルシラン(0.983 mL, 7.78 mmol)中に懸濁した。この混合物を、還流温度に加熱した。2時間後、全ての固体物質が溶解した。トルエン(0.5 mL)を加えてこの溶液を蒸発させることにより、痕跡量の1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンを除去し、さらにトルエンを蒸発させた。シリル化されたシトシンのガム状残留物を1,2-ジクロロエタン(2.00 mL)中に溶解した後、この溶液の半量を、室温で1,2-ジ-O-アセチル-3-アジド-5-(トリメチルシリル)エチニル-3,5-ジデオキシ-D-リボフラノース(9)(60.0 mg, 0.177 mmol)の1,2-ジクロロエタン溶液(1.00 mL)に加え、次いで、0℃でトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(64.0 μL, 0.354 mmol)を加えた。反応混合物を、還流温度で2時間加熱した。0℃でジクロロメタン(4 mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2 mL)を加えた後、反応混合物をジクロロメタンで抽出した(3 × 10 mL)。有機層を飽和食塩水(20 mL)で洗浄後、硫酸ナトリウム(ca. 1 g)上で乾燥させ、減圧濃縮した。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液: 4% メタノール/酢酸エチル)によって精製し、表題の化合物(10b)(53.7 mg, 78%)を得た。
【実施例】
【0113】
化合物(10b)の物性値: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.19 (s, 9H), 2.04 (s, 3H), 2.71 (dd, J = 4.3, 17.3 Hz, 1H), 2.84 (dd, J = 4.6, 17.3 Hz, 1H), 4.04 (ddd, J = 4.3, 4.6, 6.5 Hz, 1H), 4.23 (dd, J = 6.2, 6.5 Hz, 1H), 5.50 (dd, J = 4.0, 6.2 Hz, 1H), 5.68 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 6.00 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 7.2 Hz, 1H); HRMS (ESI-TOF) C16H22N6O4SiNaに対する計算値 [M+Na]+ 413.1369, 実測値413.1364.
【実施例】
【0114】
(8)9-[2’-O-アセチル-3’-アジド-5’-(トリメチルシリル)エチニル-3’,5’-ジデオキシ-β-D-リボフラノシル]-2-N-イソブチリルグアニン(10c)の合成
【実施例】
【0115】
【化33】
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乾燥2-N-イソブチリルグアニン(66.5 mg 0.301 mmol)を、1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(1.40 mL 6.59 mmol)及びクロロトリメチルシラン(0.850 mL, 6.73 mmol)中に懸濁した。この混合物を、還流温度に加熱した。2時間後、全ての固体物質が溶解した。トルエン(0.5 mL)を加えてこの溶液を蒸発させることにより、痕跡量の1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンを除去し、さらにトルエンを蒸発させた。シリル化されたグアニンのガム状残留物を1,2-ジクロロエタン(1.50 mL) 中に溶解した後、この溶液の半量を、室温で1,2-ジ-O-アセチル-3-アジド-5-(トリメチルシリル)-エチニル-3,5-ジデオキシ-D-リボフラノース(9)(50.7 mg, 0.149 mmol)の1,2-ジクロロエタン溶液(0.500 mL) に加え、次いで、0℃でトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(54.0 μL, 0.299 mmol) を加えた。反応混合物を、還流温度で2時間加熱した。0℃でジクロロメタン(4 mL) 及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2 mL)を加えた後、反応混合物をジクロロメタンで抽出した(3 × 10 mL) 。有機層を飽和食塩水(20 mL) で洗浄後、硫酸ナトリウム(ca. 1 g)上で乾燥させ、減圧濃縮した。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液: 40% 酢酸エチル/ジクロロメタン)によって精製し、表題の化合物(10c)(72%)及び(10c’)(11%)を得た。
【実施例】
【0116】
化合物(10c)の物性値: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.19 (s, 9H), 1.28 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.29 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 2.18 (s, 3H), 2.65 (sep, J = 6.8 Hz, 1H), 2.74 (dd, J = 4.7, 17.3 Hz, 1H), 2.81 (dd, J = 5.5, 17.3 Hz, 1H), 4.16 (ddd, J = 4.7, 5.3, 5.5 Hz, 1H), 4.48 (dd, J = 5.3, 5.5 Hz, 1H), 5.82 (dd, J = 5.1, 5.5 Hz, 1H), 5.68 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 7.96 (s, 1H), 8.36 (bs, 1H), 12.12 (bs, 1H).
【実施例】
【0117】
(9)1-[2’-O-アセチル-3’-アジド-5’-(トリメチルシリル)エチニル-3’,5’-ジデオキシ-β-D-リボフラノシル]ウラシル(10d)
【実施例】
【0118】
【化34】
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【実施例】
【0119】
乾燥ウラシル (79.4 mg 0.708 mmol)を、1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(1.65 mL 7.77 mmol)及びクロロトリメチルシラン (0.985 mL, 7.80 mmol) 中に懸濁した。この混合物を、還流温度に加熱した。2時間後、全ての固体物質が溶解した。トルエン(0.4 mL) を加えてこの溶液を蒸発させることにより、痕跡量の1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンを除去し、さらにトルエンを蒸発させた。シリル化されたウラシルのガム状残留物をトルエン(2.00 mL) 中に溶解した後、この溶液の半量を、室温で1,2-ジ-O-アセチル-3-アジド-5-(トリメチルシリル)エチニル-3,5-ジデオキシ-D-リボフラノース(9)(58.2 mg, 0.171 mmol)に加えた。この混合物を減圧濃縮し、室温で濃縮残渣にジクロロメタン (1.50 mL)を加え、次いで、0℃でトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(64.0 μL, 0.354 mmol)を加えた。反応混合物を、室温で終夜撹拌した。0℃でジクロロメタン(4 mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(4 mL) を加えた後、反応混合物をジクロロメタンで抽出した(1 × 20 mL, 2 × 10 mL)。有機層を飽和食塩水(30 mL) で洗浄後、硫酸ナトリウム(ca. 1 g) 上で乾燥させ、減圧濃縮した。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液: 20% 酢酸エチル/ジクロロメタン)によって精製し、表題の化合物(10d)(66.2 mg, 96%)を得た。
【実施例】
【0120】
化合物(10d)の物性値: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.20 (s, 9H), 2.19 (s, 3H), 2.69 (dd, J = 3.6, 17.6 Hz, 1H), 2.81 (dd, J = 4.4, 17.6 Hz, 1H), 4.06 (ddd, J = 3.6, 4.4, 5.6 Hz, 1H), 4.27 (dd, J = 5.6, 5.6 Hz, 1H), 5.48 (dd, J = 5.6, 5.6 Hz, 1H), 5.76 (dd, J = 2.0, 8.0 Hz, 1H), 6.00 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 8.0 Hz, 1H); HRMS (ESI-TOF) C16H21N5O5SiNaに対する計算値 [M+Na]+ 414.1210, 実測値414.1229.