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明細書 :燃料電池セルおよび燃料電池反応計測装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5581547号 (P5581547)
公開番号 特開2011-065977 (P2011-065977A)
登録日 平成26年7月25日(2014.7.25)
発行日 平成26年9月3日(2014.9.3)
公開日 平成23年3月31日(2011.3.31)
発明の名称または考案の名称 燃料電池セルおよび燃料電池反応計測装置
国際特許分類 H01M   8/04        (2006.01)
H01M   8/10        (2006.01)
H01M   8/02        (2006.01)
G01N  21/76        (2006.01)
FI H01M 8/04 Z
H01M 8/10
H01M 8/02 E
G01N 21/76
請求項の数または発明の数 10
全頁数 30
出願番号 特願2010-069262 (P2010-069262)
出願日 平成22年3月25日(2010.3.25)
優先権出願番号 2009192116
優先日 平成21年8月21日(2009.8.21)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年2月5日(2013.2.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
発明者または考案者 【氏名】渡辺 政廣
【氏名】西出 宏之
【氏名】犬飼 潤治
【氏名】須賀 健雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100080322、【弁理士】、【氏名又は名称】牛久 健司
【識別番号】100104651、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 正
【識別番号】100114786、【弁理士】、【氏名又は名称】高城 貞晶
審査官 【審査官】久保田 創
参考文献・文献 特開2007-087691(JP,A)
特開2008-249696(JP,A)
特表平11-512819(JP,A)
特開2006-331733(JP,A)
特開2001-076747(JP,A)
特開2004-361335(JP,A)
特開2009-097905(JP,A)
調査した分野 H01M 8/04
G01N 21/76
H01M 8/02
H01M 8/10
特許請求の範囲 【請求項1】
固体高分子電解質膜の片面にアノード、反対面にカソードを接合した膜電極接合体と、アノードに導通するとともに膜電極接合体のアノードに面して燃料導入空間を形成するアノード側セパレータと、カソードに導通するとともに膜電極接合体のカソードに面して酸素導入空間を形成するカソード側セパレータとを備え、アノード側セパレータとカソード側セパレータとにより膜電極接合体を挟持する燃料電池セルにおいて、
二酸化炭素濃度により光特性が変化する二酸化炭素検出物質が、上記酸素導入空間内および上記燃料導入空間内の少なくともいずれか一方の二酸化炭素濃度測定部位に固定され、
上記二酸化炭素検出物質の光特性の変化を、燃料電池セルの外部から光学的に測定可能にするための密閉した光路が上記アノード側セパレータおよびカソード側セパレータの少なくともいずれか一方の上記二酸化炭素検出物質を固定した部位に対応して形成され、上記二酸化炭素検出物質が、二酸化炭素濃度に応答し、可逆的に発光強度が変化する蛍光色素として芳香族アミンから構成されることを特徴とする燃料電池セル。
【請求項2】
上記光路が上記アノード側燃料導入空間および上記カソード側酸素導入空間のうちの少なくとも一方の全面が外部から観測可能に広がっている、請求項1に記載の燃料電池セル。
【請求項3】
上記色素が、下記式(3) で示される芳香族アミン誘導体である請求項に記載の燃料電池セル。
【化12】
JP0005581547B2_000015t.gif

【請求項4】
前記色素がマトリクス高分子に混合或は分散されている塗膜として形成されている請求項に記載の燃料電池セル。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれかに記載の燃料電池セルと、上記二酸化炭素検出物質の光特性を計測する光検出器と、上記光路を介して上記二酸化炭素検出物質からの検出光を上記光検出器に導く検出光学系とを備えた燃料電池反応計測装置。
【請求項6】
上記二酸化炭素検出物質に励起光を照射する光源を含む励起光学系を備えた請求項に記載の燃料電池反応計測装置。
【請求項7】
上記励起光学系が上記燃料導入空間および上記酸素導入空間の少なくともいずれか一方の全面に励起光を照射するものである、請求項に記載の燃料電池反応計測装置。
【請求項8】
上記燃料導入空間および上記酸素導入空間の少なくともいずれか一方に、燃料または酸素と二酸化炭素ガスとを切換えて供給可能な切換え手段をさらに備えた、請求項からのいずれか一項に記載の燃料電池反応計測装置。
【請求項9】
請求項に記載の燃料電池反応計測装置を用い、上記切換え手段により上記燃料導入空間および上記酸素導入空間の少なくとも一方に、濃度を変えて二酸化炭素ガスを供給し、各濃度における上記二酸化炭素検出物質の光特性を測定して検量線を作成する、二酸化炭素測定方法。
【請求項10】
異なる位置からの二酸化炭素検出物質の光特性を検出する多数の光検出素子を備え、各検出素子ごとに、またはそのグループごとに検量線を作成する、請求項に記載の二酸化炭素測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子形燃料電池(PEFC)の電池特性や電池寿命の研究または評価に用いる燃料電池セルおよびこれを用いた燃料電池反応計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池の単セルは、固体高分子電極膜の片側の面にアノード、他方側の面にカソードを接合した膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、膜電極接合体のアノードに接触して電気的に導通し、アノード面との間に燃料ガス流路となる燃料導入空間を形成するアノード側セパレータと、膜電極接合体のカソードに接触して電気的に導通し、カソード面との間に酸素ガス流路となる酸素導入空間を形成するカソード側セパレータとからなり、アノード側セパレータとカソード側セパレータとによって膜電極接合体を挟持する構成である。そして、この単セルを複数個直列に接続したスタック構造にすることにより、積層型の固体高分子形燃料電池を形成し、所望の直流電圧を得るようにしてある。
【0003】
固体高分子形燃料電池を普及するには、コストをはじめ、いろいろな技術課題を解決する必要がある。例えば、燃料電池は運転時間の経過とともに電池性能が劣化するため、劣化に伴う電池寿命が重要な課題となっている。このような技術課題を解決するためには、燃料電池単セル内で生じている化学反応を解析する必要がある。
【0004】
特許文献1は、アノード側および/またはカソード側セパレータの一部を光透過窓にした可視化単セルを形成し、セル内の酸素分圧を観測するものである。これにより、酸素導入空間と燃料導入空間との間の酸素や燃料の漏れの分布を可視化した燃料電池セルが提供される。さらに、セル内での酸素の挙動や酸素分布を解析し、またはセル内での酸素分布の経時変化を計測し、セル内の酸素分布を改善して電圧特性、寿命等の電池性能に優れた燃料電池開発をするための研究、評価に利用することができる燃料電池セル、およびこれを用いた燃料電池反応計測装置が提供される。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2007-87691
【0006】
上述したように、セパレータの一部に光透過窓を形成した可視化燃料電池セルを用いて、酸素に関する観測を行うことにより、セル内の酸素分圧と電池性能との関係については解析がなされている。しかしながら、電池性能の変化に影響を与えるのは酸素だけではないので、酸素分布やその経時変化を観測するだけでは電池反応の解析は十分ではない。
【0007】
水素/空気(酸素)で作動する燃料電池自動車や家庭用燃料電池では、電池触媒性能の劣化、故障、その他の原因によって、燃料電池内の電極に用いられるカーボン材料が酸化腐食して性能劣化、寿命劣化することがある。特に、頻繁な電池の起動、停止時の燃料ガスと空気の入れ替わり時や過負荷による燃料欠乏時には、電池内に局部電池が形成され深刻な電池性能の劣化が起こる。このとき、カーボン材料は酸化されて燃料電池内に二酸化炭素が生じる。そのため、燃料電池のアノードおよび/またはカソード側の二酸化炭素濃度を高時間分解能、高空間分解能で検出できれば、適切な運転制御法の確立や、セパレータ構造設計による電池の長寿命化、高性能化が可能となり、燃料電池自動車や家庭用燃料電池の本格普及に著しく貢献する事になる。
【0008】
他方、メタノール燃料電池では、アノード側の燃料導入空間に、メタノール水溶液、またはその蒸気を燃料として供給すると、未反応メタノール、反応生成物の二酸化炭素、少量のメタノール酸化中間体がアノード側の出口から排出される。一部のメタノールは電解質膜中をクロスオーバーしてカソード側に到達し、ここで酸化されて二酸化炭素になり、カソード出口から最終的に排出される。アノード側における反応進行度および反応選択性、またはクロスオーバーするメタノール量のそれぞれを、生成する二酸化炭素量をモニタすることにより理解することは、電池特性の向上やセルの最適運転条件を決定する上で重要である。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、上述の電極触媒層中の触媒担体カーボンの腐食現象を、ミリ秒オーダ、マイクロメートルオーダの時間、空間分解能で計測し、燃料電池セル内の二酸化炭素の発生分布可視化像として提供することができるようにするものである。
【0010】
また、本発明は、セル内での二酸化炭素の挙動や二酸化炭素分布を解析し、またはセル内での二酸化炭素分布の経時変化を計測し、電圧特性、寿命等の電池性能に優れた燃料電池開発をするための研究、評価に利用することができる計測法と燃料電池セル、およびこれを用いた燃料電池反応計測装置を提供するものである。
【0011】
本発明は、さらにメタノール燃料電池においても同様に、アノード反応生成物中の二酸化炭素可視化計測、およびクロスオーバーメタノールよりカソードで生じた二酸化炭素の可視化計測を行うことを可能とするものである。また、メタノール燃料電池の場合における電池運転条件の最適化、触媒、電解質材料の改善に役立つ可視化燃料セル、燃料電池計測装置を提供する。
【0012】
上記課題を解決するためになされた本発明の燃料電池セルは、固体高分子電解質膜の片面にアノード、反対面にカソードを接合した膜電極接合体と、アノードに導通するとともに膜電極接合体のアノードに面して燃料導入空間を形成するアノード側セパレータと、カソードに導通するとともに膜電極接合体のカソードに面して酸素導入空間を形成するカソード側セパレータとを備え、アノード側セパレータとカソード側セパレータとにより膜電極接合体を挟持し、二酸化炭素濃度により光特性が変化する二酸化炭素検出物質を酸素導入空間内および/または燃料導入空間内の二酸化炭素濃度測定部位に固定し、二酸化炭素検出物質を固定した側のアノード側セパレータおよび/またはカソード側セパレータの少なくとも一部に光透過性材料からなる密閉した光路(光透過窓)を形成し、燃料電池セルの外部から光透過窓を介して酸素導入空間中および/または燃料導入空間中の二酸化炭素検出物質の変化を光学的に測定可能に構成するようにしている。
【0013】
アノード側セパレータが形成する燃料導入空間、カソード側セパレータが形成する酸素導入空間の空間形状は特に限定されないが、実際の燃料電池セルでは燃料ガスや酸素を流通させる流路が形成されているので、そのような流路と同じ形状にする、すなわちこのような流路を利用することが好ましい。
【0014】
また、触媒を担持したカーボン材料の腐食で性能劣化した触媒層部分の性能劣化度合いは、劣化箇所での反応で消費される酸素量の低下、反応温度の低下となって現れる。そこで、二酸化炭素検出物質の発光波長と異なる領域で発光する酸素モニタおよび/または温度モニタを二酸化炭素検出物質と混合または積層して固定することで二酸化炭素と酸素を同時に光学的に測定することが可能になるよう構成している。
【0015】
本発明によれば、膜電極接合体と、これを挟持するアノード側セパレータとカソード側セパレータとにより単セルが形成され、カソード側セパレータの一部もしくは全部、またはアノード側セパレータの一部もしくは全部、または両側セパレータに光路(光透過窓)が形成してあり、単セルの外部からカソード面、アノード面、または両電極面が観測できるようにしてある。また、アノードに面して形成される燃料導入空間およびカソードに面して形成される酸素導入空間には、二酸化炭素濃度を測定しようとする部位に二酸化炭素検出物質が固定してある。二酸化炭素検出物質は、二酸化炭素濃度により光特性が変化するので、二酸化炭素検出物質の光特性を、光路(光透過窓)を介して燃料電池セルの外部から光学的に観測することにより、二酸化炭素検出物質の光特性からセル内の二酸化炭素分布や二酸化炭素分布の経時変化を観測することができる。二酸化炭素と同時に酸素および/または温度を計測する場合は、発光検出光学系に光分岐鏡および/または光フィルタを導入することでこれらを分離して、かつ同時に計測することが可能となる。
【0016】
本発明によれば、燃料電池セル内での二酸化炭素の分布単独、またはこれに加えて酸素濃度および/または温度分布を可視化することができる。これにより、セル内での腐食発生分布を知り、また反応の進行や劣化の挙動を解析することができる。その結果をもとに、運転モードを改善し、セル構造を改善して、耐腐食性が高く、さらに電圧特性等に優れた燃料電池開発をするための研究、セル評価に利用することができる。また、燃料電池運転の効率化を図ることが出来る。
【0017】
酸素導入空間に酸素流路を形成する流路壁および/または燃料導入空間に燃料流路を形成する流路壁が形成され、流路壁がカソードとカソード側セパレータとの間、アノードとアノード側セパレータとの間を導通する導電性材料で形成されるようにしてもよい。
【0018】
本発明によれば、実際の燃料電池の単セルと同様の流路構造を有する酸素導入空間、燃料導入空間にすることができるので、単セル内の化学反応により発生した電子についても実際の燃料電池と同様の電子の流れを生じさせることができ、実際の燃料電池単セルに近い状況、または同じ状況での二酸化炭素分布を観測することができる。
【0019】
また、流路壁の少なくとも一部が光透過性材料により形成され、流路壁の表面に二酸化炭素検出物質が固定されるようにしてもよい。本発明によれば、光透過性材料で形成された流路壁の部分については、流路壁とカソードとの接触部分についても可視化することができ、接触部分の表面に二酸化炭素検出物質を固定しておけば、接触部分の二酸化炭素分布についても計測することができる。上記において、光透過性材料で形成される流路壁には透明導電膜が成膜されるようにしてもよい。本発明によれば、光透過性材料で形成される流路壁についても導電性を持たせることができるので、実際の流路壁のように導電性がある状態で可視化による評価を行うことができる。
【0020】
酸素導入空間内や燃料導入空間に固定される二酸化炭素検出物質には、例えば、二酸化炭素濃度に応答して光特性として発光ルミネッセンス特性や吸光特性が変化したり色が変化したりする物質を用いることができ、それぞれの発光ルミネッセンス波長領域、吸光波長領域、発色波長領域に対応した光透過性材料を光透過窓に用いることにより、外部から光透過窓を介して変化を観測することができる。二酸化炭素は水に溶解して水のpHを変化させるため、pH指示薬を二酸化炭素検出物質として使用することも可能である。
【0021】
酸素モニタ材料としては、特許文献1に示される材料が、また温度モニタ材料としては、ポリジフェニルアセチレン誘導体、オリゴフェニレンビニレン誘導体、ルテニウムトリスビピリジン錯体などが使われうる。
【0022】
上記発明において、二酸化炭素検出物質は二酸化炭素濃度により発光ルミネッセンス強度が変化する発光ルミネッセンス材料、または二酸化炭素濃度により色変化する発色材料を用いるようにしてもよい。二酸化炭素濃度により発光ルミネッセンス強度が変化する発光ルミネッセンス材料の場合は、励起光を光透過窓から照射することにより生じる発光ルミネッセンスを観測することにより、二酸化炭素検出物質付近の二酸化炭素濃度を測定することができる。また、二酸化炭素濃度により色変化する発色材料の場合は、白色光を照射して、発色材料からの反射光を観測することにより、二酸化炭素検出物質付近の二酸化炭素濃度を測定することができる。
【0023】
二酸化炭素検出物質を構成する発光ルミネッセンス材料としてはヒドロキシピレンスルホン酸、やフルオレセイン、クマリン、ブロモチモールブルーに代表される発光色素いわゆるpH指示色素が挙げられる。pH支持色素の存在する湿潤した環境に二酸化炭素が存在すると、二酸化炭素が水中に溶け込みpH指示色素の存在する場所のpHを変化させる。このようにして、pH色素を用いて、燃料電池内の二酸化炭素を測定することが可能となる。
【0024】
この発明による他の実施態様では、上記二酸化炭素検出物質は、二酸化炭素濃度に応答し、可逆的に発光強度が変化する蛍光色素として芳香族アミン(芳香族アミン誘導体を含む)から構成される。好ましい実施態様では、前記色素がマトリクス高分子に混合または分散されている。
【0025】
この実施態様では、湿度が変化する環境においても二酸化炭素濃度を定量化することができるので、濃度のコントロールが必ずしも必要なくなる。
【0026】
検出波長域が異なる複数種類の二酸化炭素検出物質を、酸素導入空間および/または燃料導入空間の異なる位置に固定し、それぞれの場所の二酸化炭素濃度を独立に計測するようにしてもよい。
【0027】
検出波長域が異なる酸素モニタ等および/または温度モニタ等を上記の二酸化炭素検出物質等と混合または積層して複数種の情報を同時に計測することもできる。以降、「二酸化炭素検出物質単独、またはこれに加えて酸素濃度モニタおよび/または温度分布モニタ」を、「二酸化炭素検出物質等」と、また「二酸化炭素濃度単独、またはこれに加えて酸素濃度および/または温度」を、「二酸化炭素濃度等」と、また「二酸化炭素濃度分布単独、またはこれに加えて酸素濃度分布および/または温度分布」を、「二酸化炭素濃度分布等」と、略記する。
【0028】
この発明によれば、発光ルミネッセンス波長領域、吸光波長領域、発色波長領域が異なる複数種類の材料をそれぞれ異なる部位に固定して、窓を介して観測することにより、それぞれの部位の二酸化炭素濃度等を独立に計測することが可能である。
【0029】
また、上記課題を解決するため、別の観点からなされた本発明の燃料電池反応計測装置は、上述した本発明にかかるいずれかの燃料電池セルと、二酸化炭素検出物質等の光特性を計測する光検出器と、光透過窓を介して二酸化炭素検出物質等からの各検出光を光検出器に導く光学系とを備えるようにしている。
【0030】
この発明によれば、二酸化炭素測定光学系等により、可視化した燃料電池単セルの光透過窓を介して二酸化炭素検出物質等から発せられる検出光を光検出器に導く。光検出器は、光透過窓から導光された検出光により二酸化炭素検出物質等の光特性を計測し、二酸化炭素濃度等を計測する。これにより、燃料電池単セルで反応中の電極の劣化挙動、反応分布を可視化し、リアルタイムで計測することができる反応計測装置を実現することができる。
【0031】
上記燃料電池反応計測装置において、二酸化炭素検出物質等が発光ルミネッセンス材料である場合に、二酸化炭素測定光学系等を利用して光透過窓から二酸化炭素検出物質等に励起光を照射するようにしてもよい。
【0032】
この発明によれば、励起光を照射することにより発光ルミネッセンスを発する発光ルミネッセンス物質を二酸化炭素検出物質等として使用することができ、検出光を光検出器に導くに二酸化炭素測定光学系等を共用して、励起光を照射するので、コンパクトな装置構成とすることができる。
【0033】
また、上記燃料電池反応計測装置の発明において、燃料電池セルを走査する走査手段を備えるようにしてもよい。ここで、走査手段は、光学系あるいは燃料電池セル側のいずれかを走査すればよい。
【0034】
この発明によれば、走査手段により、光学系に対し燃料電池セルを相対的に走査するようにして測定することにより、燃料電池セルの広い範囲についての二酸化炭素分布等のデータ測定することができる。
【0035】
この発明は特に研究、評価に適した燃料電池セルを提供している。この燃料電池セルでは、上記光路(光透過窓)が上記アノード側燃料導入空間および上記カソード側酸素導入空間の少なくとも一方の全面が外部から観測可能に広がっているものである。
【0036】
好ましい形態の燃料電池反応計測装置においては、励起光を投射する励起光学系が上記燃料導入空間および上記酸素導入空間の少なくともいずれか一方の全面に励起光を照射するものである。そして、二酸化炭素検出器によって、この全面の二酸化炭素濃度が測定される。
【0037】
励起光学系によって投射される励起光は、燃料導入空間または酸素導入空間の全面に均一な強度分布を有しているとは限らない。そこで上記燃料導入空間および上記酸素導入空間の少なくともいずれか一方に、燃料または酸素と二酸化炭素ガスとを切換えて供給可能な切換え手段をさらに設ける。そして、上記切換え手段により上記燃料導入空間および上記酸素導入空間の少なくとも一方に、濃度を変えて二酸化炭素ガスを供給し、各濃度における上記二酸化炭素検出物質の光特性を測定して検量線を作成する。異なる位置からの二酸化炭素検出物質の光特性を検出する多数の光検出素子を備えている場合には、各検出素子ごとに、またはそのグループごとに検量線を作成する。
【0038】
このようにして、励起光の強度分布を補正して、正しい二酸化炭素濃度分布を測定することができるようになる。
【0039】
この発明はさらに、湿度可変下においても二酸化炭素濃度を定量化する光学式センサを提供する。
【0040】
この光学式センサは、二酸化炭素濃度に応答し、可逆的に発光強度が変化する蛍光色素として芳香族アミンから構成されるものである。好ましくは、上記色素が、後述する式(3) で示される芳香族アミン誘導体である。
【0041】
一実施態様では、上記色素がマトリクス高分子に混合或は分散されている塗膜として形成されている。
【0042】
湿度によらず二酸化炭素濃度に対応した発光強度を示す蛍光色素を高分子に分散した塗膜を用いることで、二酸化炭素の光学的センサが実現する。前記塗膜は、好ましくは芳香族アミン誘導体と気体透過性マトリクス高分子である。発光強度がpHに依存しない蛍光色素を用いることで、加湿、乾燥条件に関わらず二酸化炭素濃度を定量可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】研究、評価のための燃料電池単セルの分解斜視図である。
【図2】図1に示す燃料電池単セルの中央部分を切り出し拡大して示す斜視図である。
【図3】図1に示す燃料電池単セルの中央部分を切り出し拡大して示す断面図である。
【図4】空気と二酸化炭素を切換えて供給する切換え装置の構成を示す。
【図5】燃料電池反応計測装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】(A)から(D)は二酸化炭素濃度分圧を変化させたときの二酸化炭素検出物質からの発光像を示す。
【図7】二酸化炭素検出物質の作動概念図である。
【図8】二酸化炭素検出物質の成膜および保管法を示すフローチャートである。
【図9】二酸化炭素濃度を変えた場合の本発明を適用した二酸化炭素検出物質からの発光スペクトル変化を示すグラフである。
【図10】二酸化炭素濃度(実線)および酸素濃度(点線)を変化させた場合の二酸化炭素検出物質からの発光強度のグラフであり、最高強度を1としている。
【図11】室温で相対湿度を変えた場合の二酸化炭素検出物質からの発光量の変化を示すグラフであり、最高強度を100%としている。
【図12】二酸化炭素検出物質からの発光強度の二酸化炭素濃度依存性を示すグラフで、(ア)は適切に保管された場合、(イ)は適切に保管されなかった場合を示す。
【図13】(A)から(G)は、水素/空気(酸素)燃料電池において、アノード供給ガスを空気から水素へ切り替えしたときのカソード触媒層の腐食に伴う二酸化炭素発生を二酸化炭素検出物質の発光で観測した例を示し、(H)は発光量を示す。
【図14】(A)および(B)はそれぞれ水素/空気(酸素)燃料電池において、アノード供給ガスを空気から水素へ切り替えしたときのカソード触媒層の腐食に伴う二酸化炭素濃度の時間変化を示す二酸化炭素検出物質の発光を観測した例、および該発光から定量したグラフである。
【図15】(A)から(G)は水素/空気(酸素)燃料電池において、アノード供給ガスを水素から空気へ切り替えしたときのカソード触媒層の腐食に伴う二酸化炭素発生を二酸化炭素検出物質の発光で観測した例を示し、(H)は発光量を示す。
【図16】(A)および(B)はそれぞれ、水素/空気(酸素)燃料電池において、アノード供給ガスを水素から空気へ切り替えしたときのカソード触媒層の腐食に伴う二酸化炭素濃度の時間変化を示す二酸化炭素検出物質の発光を観測した例、および該発光から定量したグラフである。
【図17】さらに他の一実施形態である燃料電池単セルの構成を示す断面図である。
【図18】さらに他の一実施形態である燃料電池単セルの構成を示す断面図である。
【図19】さらに他の一実施形態である燃料電池単セルの構成を示す断面図である。
【図20】他の一実施形態である燃料電池反応計測装置の概略構成を示すブロック図であり、レーザ光を絞り、セルの1点で可視化をする構成となっている。
【図21】さらに他の一実施形態であるセパレータに微小透過窓(光路)を取り付けた燃料電池単セルの構成図である。
【図22】二酸化炭素検出物質の他の例における実施例1、2、3の二酸化炭素応答挙動を示すグラフである。
【図23】二酸化炭素検出物質の他の例における実施例5において作成した検量線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。

【0045】
(研究/評価用燃料電池単セル)
図1から図3は、特に、研究および/または評価のために(以下、「研究/評価用」という)適した燃料電池単セルの構成を示している。一般に燃料電池単セルは、膜電極接合体と、アノード側セパレータと、カソード側セパレータとから構成され、アノード側セパレータとカソード側セパレータとが膜電極接合体を挟持する構造となっている。研究/評価用燃料電池単セル1もこの一般的な燃料電池単セルの構造を含んでいる。すなわち、膜電極接合体(以下、「MEA」という)11の両側にアノード側セパレータ12とカソード側セパレータ13が配置されている。MEA11は、高分子電界質膜14の両面に、周辺部を除いてアノード15とカソード16が接合されることにより構成される(図2、図3参照)。アノード15は白金触媒等の触媒金属層と、カーボンペーパ等の導電性多孔質支持層とからなり、カソード16は白金等の触媒金属層とカーボンペーパ等の導電性多孔質支持層とからなる。

【0046】
さらに詳細に説明すると、アノード側セパレータはカーボン材や耐腐食性の金属で作製され、アノード15と接触する面部にガス流路21A(水素、その他の燃料気体)が蛇行状に形成されている(その入口、出口は図示略)。このガス流路21Aは有底のものである(図3参照)。カソード側セパレータ13は、カソード集電板31とカソードエンドプレート39とから構成されている。カソード集電板31にはMEA11のカソード16と接触する面部にガス流路31A(空気や酸素)が蛇行状に形成されている(ガス入口、出口は図示略)。このガス流路31Aはカソード集電板31の両面に開口している。カソード集電板31はカーボン材や耐腐食性の金属材を加工して形成される。カソードエンドプレート39はアクリル材などの透明な板により構成され、光透過窓(光路)としてセルに出入りする光を透過する。すなわち、カソードエンドプレート39は後述する二酸化炭素検出物質40(図3参照)に励起光を外部から照射するとともに、二酸化炭素検出物質40からの発光ルミネッセンスを外部から観察するのに好適なように、その全体が透明体となっている。カソード集電板31にはカソード集電極31aが突出状に設けられている。

【0047】
さらにアノード側セパレータ12の外側には、アノード集電板21およびアノードエンドプレート29が設けられている。アノード集電板21もカーボン材や耐腐食性の金属(たとえば金メッキしたステンレス)により形成され、外方に突出するアノード集電極21aを有している。アノードエンドプレート29は好ましくは合成樹脂等の絶縁体により形成され、カソードエンドプレート39のように透明である必要はない。もっとも、アノード側に二酸化炭素検出物質を配置し、それをアノード側から観察するときには、アノード側も、カソード側と同じような構造とするとよい。

【0048】
カソードエンドプレート39およびアノードエンドプレート29は、他の構成部材(MEA11、カソード集電板31、アノード側セパレータ12、アノード集電板21)よりも大きくつくられており、その4隅に締結孔39a、29aがあけられている。これらの締結孔にボルト29Aをアノードエンドプレート29側から挿入し、カソードエンドプレート39側でナット39Aにより締付けることにより、これらのエンドプレート39と29との間に、上記構成部材が挟持される。アノード集電板21、アノード側セパレータ12、MEA11(アノード15、カソード16)およびカソード集電板31がぴったりと面接触して、研究/評価用燃料電池単セル1が組立てられる。ガス流路21A、31Aはその出入口を除いて密閉される。このセル1は、ヒーター等(図示略)により一定温度に保たれる。

【0049】
特に図2、図3に示されているように、カソード側ガス流路31A内のカソード16(さらに詳しくは導電性多孔質支持層)上に二酸化炭素検出物質40が設けられ(塗られ)ている。これにより、燃料電池セル内のこの部分の二酸化炭素分圧が測定されることになる。

【0050】
一般的には(燃料電池セルとして動作するときには)、アノード側の燃料入口からは、水素を代表とする可燃性の気体がガス流路21A内に導入され、カソード側の酸化剤入口からは、空気や酸素がガス流路31A内に導入される。特に研究/評価のために図4に示すようなカソード側に導入される気体の処理系が設けられる。供給管54からカソード側入口55に供給される気体は、供給管51からの空気、または供給管52からの窒素により様々な割合で希釈された二酸化炭素であり、これらは流量が制御された上で導入される。空気または窒素希釈された二酸化炭素の導入は、ガス切り替え弁50によって切り替えられる。アノード、カソードともに導入される気体は、温度湿度調節器(カソード側の温度湿度調整器53のみ図示)によって、所定の温度、湿度に調節される。

【0051】
次に、この燃料電池単セル1の動作について説明する。膜電極接合体(MEA)を挟んで、燃料ガスである水素がアノード側の燃料流路21A(21Bは流路壁を示す)を流れ、酸素がカソード側の酸素流路31A(31Bは流路壁を示す)を流れると、水素はアノード15の触媒金属層の白金触媒により水素イオンと電子とに分離する。水素イオンは高分子電解質膜14を選択的に透過する。透過した水素イオンは、カソード16の触媒金属層で酸素と反応し、水となる。このとき電極で発生した電子には、アノードから外部負荷を通ってカソードに向かう起電力が発生し、電子が流れる。

【0052】
以上の反応を起こさせることによって、燃料電池単セル1は発電することになるが、カソードおよびカソード側セパレータにおける二酸化炭素の分布に応じて、後に詳述するように単セル内の二酸化炭素検出物質等(「等」は二酸化炭素に加えて、前述したように酸素および/または温度検出を含む趣旨である)の発光ルミネッセンス強度が変化する。この発光ルミネッセンス強度を、光透過窓(透明カソードエンドプレート39)を通して観測することにより、反応中の燃料電池単セル1内の二酸化炭素分布等を測定することができる。

【0053】
(燃料電池反応計測装置)
次に、上述した研究/評価用燃料電池単セル1を用いて、燃料電池セルの反応をリアルタイムで計測する燃料電池反応計測装置について説明する。図5は燃料電池反応計測装置の概略構成を示すものである。この燃料電池反応計測装置60では、上述した燃料電池単セル内の二酸化炭素濃度等について計測することができる。

【0054】
燃料電池反応計測装置60は、ステージ機構61と二酸化炭素濃度等計測ユニット(装置)71とにより構成される。

【0055】
ステージ機構61は、燃料電池単セル1を載置するXYステージ62と、XYステージ62を二次元面のXY方向に移動する制御を行うステージ駆動制御部63とからなる。XYステージ62およびステージ駆動制御部63は、市販の顕微鏡装置等に付設してある周知のXYステージ装置を利用することができる。燃料電池単セル1は、XYステージ62上に、カソードエンドプレート39側を二酸化炭素濃度等計測ユニット71に向けて配置される。

【0056】
二酸化炭素濃度等計測ユニット71は、二酸化炭素検出物質を励起する光学系と、二酸化炭素検出物質からの発光ルミネッセンスを観測(測定、検出、撮影)する光学系とからなる。励起光学系は、励起用のレーザ光源72と、反射ミラー73および75と、半透過鏡(プリズム)77と、シャッタ74と光拡張子76とから構成される。観測光学系は、励起光をカットするフィルタ78と、対物レンズ79と、可視光検出器(CCDカメラ)69とを含む。

【0057】
レーザ光源72には、例えば波長407nmのダイオードレーザを用い、反射ミラー73に向けて入射レーザ光を照射する。このレーザ光はシャッタ74をとおり、反射ミラー75で曲げられ、光拡張子76で広げられて、半透過鏡77を介して燃料電池単セル1内のカソード側ガス流路31Aおよびカソード16のほぼ全面をほぼ均一に照射する。

【0058】
燃料電池単セル1内には、上述したように二酸化炭素濃度等を測定しようとする箇所に二酸化炭素検出物質40等が固定されており、これにレーザ光が照射されると発光ルミネッセンスが発せられる。燃料電池単セル1からの反射レーザ光および二酸化炭素検出物質40等からの発光ルミネッセンスは、半透過鏡77を通過してフィルタ78に至る。フィルタ78は、反射レーザ光をカットし、発光ルミネッセンスを透過して可視光検出器69に導くようにしてある。可視光検出器69は発光ルミネッセンス強度を測定することで二酸化炭素濃度等を計測することができる。

【0059】
使用する燃料電池セルの光透過窓の大きさに応じて、集光レンズ等を用いることもできる。また、二酸化炭素と酸素および/または温度を同時計測する場合は、発光検出光学系に光分岐鏡、または光フィルタを導入すれば、二酸化炭素検出物質、酸素検出物質、温度検出物質等からの異なる波長の発光ルミネッセンスを分離してこれらの同時計測が可能となる。

【0060】
セル内部の二酸化炭素などの濃度を決定するためには、発電前の(燃料ガスを導入しないで)燃料電池セル1のカソード側ガス流路31A内にさまざまな濃度の二酸化炭素をあらかじめ導入し、異なった濃度の二酸化炭素からの発光ルミネッセンスを測定して検量線を作成しておく必要がある。図4の機構において、ガス切り替え弁50により二酸化炭素+窒素の供給管52をカソード側入口55につないで、異なった濃度の二酸化炭素気体を燃料電池セル1のカソード側ガス流路31A内に導入して、図5の測定装置を用いて測定した発光ルミネッセンスの画像を図6(A)~(D)に示す。ここでは二酸化炭素濃度等計測ユニット71の可視光検出器69としてCCDカメラを用いている。二酸化炭素濃度が0から10%へと上昇していくに従って、二酸化炭素検出物質40からの発光ルミネッセンスが減少していくことが観察される。

【0061】
図6に見られる発光の面内での不均一性は、照射する光の照度が面内で不均一であることに起因する。そこで、CCDカメラのピクセル(画素)ごとに、二酸化炭素の濃度とCCDカメラにより測定された発光強度を対応させて、各ピクセルにおける二酸化炭素濃度と発光量の関係を示す検量線を作成することができる。このようにして、センチメートルからマイクロメートルまでの様々な空間分解能をもって(CCDカメラの画素の単位で)、二酸化炭素等の発生を可視化し、さらに定量化することが可能となる。

【0062】
(二酸化炭素検出物質、調整と測定)
上記発明において、二酸化炭素検出物質を構成する発光ルミネッセンス材料としてはヒドロキシピレンスルホン酸、やフルオレセイン、クマリン、ブロモチモールブルーに代表される発光色素いわゆるpH指示色素が挙げられる。pH支持色素の存在する湿潤した環境に二酸化炭素が存在すると、二酸化炭素が水中に溶け込みpH指示色素の存在する場所のpHを変化させる。このようにして、pH色素を用いて、燃料電池内の二酸化炭素を測定することが可能となる。

【0063】
これら色素はテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドに代表される塩基が過剰に存在するもと、pHにより発光ルミネッセンス強度または波長が変化する。両者を含む成膜性高分子化合物、例えばエチルセルロースの溶液を塗布することにより、二酸化炭素検出物質層を被覆できる。ヒドロキシピレントリスルホン酸のうち、例えば8-ヒドロキシ-1,3,6-ピレントリスルホン酸トリ(テトラオクチルアンモニウム) (HPTS)、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドのうち、例えばテトラ-n-オクチルアンモニウムヒドロキシド (TOA+OH-)を用いることができる。8-ヒドロキシ-1,3,6-ピレントリスルホン酸トリ(テトラオクチルアンモニウム) (HPTS)とテトラ-n-オクチルアンモニウムヒドロキシド (TOA+OH-)の構造式をそれぞれ下記(1)、(2)式で示す。

【0064】
【化1】
JP0005581547B2_000002t.gif

【0065】
【化2】
JP0005581547B2_000003t.gif

【0066】
ここで、8-ヒドロキシ-1,3,6-ピレントリスルホン酸トリ(テトラオクチルアンモニウム)は、8-ヒドロキシ-1,3,6-ピレントリスルホン酸ナトリウムと塩化ナトリウムを含む蒸留水に塩酸水溶液を加え、ピレンスルホン酸ナトリウムを脱プロトン化した後、テトラオクチルアンモニウムブロマイドを含むトルエンに加えて得ることもできる。また、テトラ-n-オクチルアンモニウムヒドロキシドは、テトラオクチルアンモニウムクロライドと酸化銀をメタノール中反応させてから銀を取り除き、減圧濃縮を経て得ることもできる。これらの発光ルミネッセンス材料はレーザ光照射(例えば波長473nm)により発光ルミネッセンスを発生し、二酸化炭素濃度に応じてpH濃度が変化するために発光ルミネッセンス強度が変化するので、発光ルミネッセンスを利用した二酸化炭素検出物質を実現することができる。

【0067】
また、8-ヒドロキシ-1,3,6-ピレントリスルホン酸トリ(テトラオクチルアンモニウム)とテトラ-n-オクチルアンモニウムヒドロキシドを混合した材料は、被膜として測定部位に形成することができるので、容易に酸素導入空間の測定部位へ取り付けることができる。

【0068】
本発明を水素/空気(酸素)燃料電池に適用した例について説明する。

【0069】
(例1)
まず、二酸化炭素検出物質として8-ヒドロキシ-1,3,6-ピレントリスルホン酸トリ(テトラオクチルアンモニウム) (HPTS)とテトラ-n-オクチルアンモニウムヒドロキシド (TOA+OH-)を合成した。本物質は、pHの変化に対して発光ルミネッセンスを変化させる。燃料電池内のpH変化を調べることにより二酸化炭素濃度を検出しようと試みは、本発明で始めて行われた。

【0070】
8-ヒドロキシ-1,3,6-ピレントリスルホン酸トリ(テトラオクチルアンモニウム) (HPTS)の収率は74%、この分子の一価イオンの質量は466.5と計算されるのに対して、実際の質量スペクトルで得られた値は467.1と、良い一致を示した。テトラ-n-オクチルアンモニウムヒドロキシド (TOA+OH-)についてCDCl3中でプロトン核磁気共鳴スペクトル(500 MHz)を測定したところ、化学シフト3.32 (t, 8H, N+CH2), 1.65 (m, 8H, N+CH2CH2), 1.32 (m, 40H, CH2CH2(CH2)5), 0.88 (t, 12H, CH3)の値が得られた。この分子の一価イオンの質量は499.9と計算されるのに対して、実際の質量スペクトルで得られた値は499.1と、良い一致を示した。OH伸縮振動の赤外ピークは3301cm-1に得られた。これらのデータは、合成が計画通り行われたことを示している。

【0071】
こうして合成された8-ヒドロキシ-1,3,6-ピレントリスルホン酸トリ(テトラオクチルアンモニウム) (HPTS) と テトラ-n-オクチルアンモニウムヒドロキシド TOA+OH-をエタノールに溶解させHPTSを脱プロトン化した後、エチルセルロース(EC)を溶解したトルエン溶液を加えてガラス基板上にスプレー成膜した。こうして得られた二酸化炭素検出物質の作動概念図を図7に示す。二酸化炭素の存在によって、二酸化炭素検出物質内のpHが変化し、これによって分子がPTS-とHPTSとにある割合を持って可逆的に変化することから発光量が変化する。発光の変化を検出器で検出することにより、二酸化炭素濃度を低了することができる。

【0072】
基本的に溶液と膜は保管せずに、溶液調整後すみやかに塗布成膜し、測定に供した。もし保管する場合には、加湿雰囲気下の密閉容器を用いるとよい。成膜法および保管法を図8にチャートにして示す。膜厚を変化させて測定を行ったところ、4μmの厚さのとき、良好な性能が得られた。

【0073】
作製した二酸化炭素検出物質がコートされたMEA11を燃料電池セル1内に固定し、二酸化炭素+窒素ガスのフロー下、励起光(472 nm)を照射したところ、520 nmを最大発光波長とする発光スペクトルが得られた。種々の二酸化炭素濃度(0-1%)における発光スペクトルを観測したところ、図9に示すように二酸化炭素検出物質膜の発光強度は二酸化炭素濃度増加に伴い減少した。二酸化炭素濃度が減少すると、発光強度は初期値まで回復した。また、図10に示すように酸素濃度を0%と21%の間で切り替えても発光強度がほぼ変化せず、酸素の影響はないことが示された。

【0074】
一方、加湿度を変化させたとき、発光量には図11のように変化が生じる。従って、本二酸化炭素検出物質を用いる場合には、加湿度を一定にして測定を行うことができる図4に示すような温度湿度調整器53が必須となる。また、図8のチャートに従って成膜後、保管容器内の加湿度を60%以上にして適切に保管しないと、二酸化炭素検出感度が大きく低下した。適切な保管法を用いなかった場合(外気中にさらした場合)および用いた場合の二酸化炭素検出感度をそれぞれ図12に(ア)および(イ)で示す。適切な保管法を行った二酸化炭素検出物質を使用して、一定温度、湿度条件下で二酸化炭素濃度の定量を行った。

【0075】
(例2)
(例1)で作製した二酸化炭素検出物質を、図1から図3に示す燃料電池セル1内の膜電極複合体(MEA)11のアノード16に図8の方法を用いて塗布した。MEA11のアノードが透明エンドプレート39から見えるように、MEAの表裏を反対にして取付ければ、燃料電池セル1の構成要素をそのまま利用することができる。作製した二酸化炭素検出物質の検出特性が良好であることを確認した後、上述のように燃料電池セル1に燃料ガスを導入しない発電前の状態でピクセルごとの二酸化炭素濃度と発光ルミネッセンス強度との関係を示す検量線を取得した。

【0076】
一般に、燃料電池のアノード側の供給ガスを空気と水素に切り替えることにより、カソード側で炭素担体の腐食が起こり、その時にカソード側で二酸化炭素が発生すると考えられている(燃料電池セルの実際の運転において、水素の供給を停止して発電を止めたときに、わずかに空気が流入することがあり、そのような場合にこの現象が起こる)。しかしながら、二酸化炭素がセル内のどの場所で発生するかは観測されたことがない。上述の方法で、各ピクセルごとの検量線を取得後、アノードでのガス切り替えによってカソードのどの場所で二酸化炭素が発生するかを、実時間で検出した。

【0077】
図13(A)~(G)にアノード供給ガスを空気から水素へ切り替えた時のカソード触媒層の腐食に伴う二酸化炭素発生を二酸化炭素検出物質で40ミリ秒の時間分解能、100マイクロメートルの空間分解能で観測した発光像の例を示す(図13(H)は発光量を示す)。5x5cmのガス流路に沿ってガス導入後半部で著しい発光減衰部分が観測され、この減衰部分で激しく腐食が起こっていることが分かる(図13(A)~(G)において左上角がガス入口、右下角がガス出口である)。

【0078】
図14(A)、(B)に、アノード供給ガスを空気から水素へ切り替えた時、流路の入口から出口にかけてア~カの7点で測定された二酸化炭素濃度の時間変化を示す。二酸化炭素濃度は上述の方法で得られた各ピクセルの検量線を用いて定量した。全ての点でほぼ同時に腐食が起こり、後半部の腐食は前半部より数倍大きいことが分かる。

【0079】
図15(A)~(G)に、アノード供給ガスを水素から空気へ切り替えた時のカソード触媒層の腐食に伴う二酸化炭素発生を示す発光像を示す(図15(H)は発光量を示す)(図15(A)~(G)において左上角が入口、右下角が出口である)。また、図16(A)、(B)にこのときの流路の入口から出口にかけて測定された二酸化炭素濃度の時間変化を示す。ガスを水素から空気に切り替えたときは、空気から水素に切り替えたときとは異なり、流路前半で著しい劣化が観察された。このように、マイクロメートルオーダーの空間分解能とミリ秒の時間分解能で二酸化炭素濃度変化を始めて観測することに成功した。

【0080】
上に加えて、燃料電池セル1のカソードに二酸化炭素検出試薬(発光波長:約530nm)と酸素検出試薬(発光波長:約650nm)を積層してコートし、同一のセンサ励起光(発光波長:約390nm)を用いて、同時に二酸化炭素濃度と酸素濃度を高時間分解能、高空間分解能で計測できた。

【0081】
(燃料電池単セルの他の構成)
図17は、燃料電池単セルの他の構成例を示す断面図である。

【0082】
燃料電池単セル1Aは、膜電極接合体(MEA)11と、アノード側セパレータ12と、カソード側セパレータ13とから構成され、アノード側セパレータ12とカソード側セパレータ13とが膜電極接合体11を挟持している。

【0083】
膜電極接合体11は、高分子電解質膜14の両面に、アノード15とカソード16とが接合してある。アノード15は白金触媒等の触媒金属層15aと、カーボンペーパ等の導電性多孔質支持層15bとからなる。カソード16は白金等の触媒金属層16aとカーボンペーパ等の導電性多孔質支持層16bとからなる。

【0084】
アノード側セパレータ12は、金属製の平板23と流路形成体22とにより構成される。平板23と流路形成体22とは一体に形成してもよい。

【0085】
カソード側セパレータ13は、アノード側セパレータ12と同様に金属製の平板33と蛇行状にガス流路32A(酸素等)が形成された流路形成体32とから構成される。これらは一体に形成してもよい。カソード側セパレータ13には、さらに平板33の一部に孔が形成され、この孔が光透過性材料により閉鎖され、光透過窓(光路)35となっている。光透過窓の材料は、二酸化炭素検出物質等の被膜に照射するレーザ光および二酸化炭素検出物質等が発する発光ルミネッセンスを透過する材料であればよい。たとえばガラスを用いる。この光透過窓35の周囲は図示しないガスケットにより密封してある(この点は以下に述べる他の構成例でも同じである)。なお、光透過窓35の内面に透明導電膜を形成し、光透過窓35に接する流路形成体32の流路壁の部分においても平板33と電気的に導通するようにするのがより好ましい。

【0086】
カソード側セパレータ13の光透過窓35から観測できる領域の一部には、二酸化炭素濃度等に応じて発光ルミネッセンス強度が変化する二酸化炭素検出物質等の被膜41a、41b、41cが塗布されている。光透過窓35や平板33の面に形成された二酸化炭素検出物質等41a、流路形成体32の流路壁に形成された二酸化炭素検出物質等41b、カソード16に形成された二酸化炭素検出物質等41cがあり、それぞれの位置で二酸化炭素濃度等に応じて発光ルミネッセンス強度が変化することにより、二酸化炭素の検出が可能となっている。

【0087】
図8は、他の水素/空気(酸素)燃料電池単セルの構成を示す一部断面図である。図において、図17と同じものは同符号を付すことにより、説明を省略する。

【0088】
この燃料電池単セル1Bでは、図17における流路形成体32の流路壁の一部がガラス等の光透過性材料を用いた光透過性壁36に置き換えられている。そして、光透過性壁36の表面には透明導電膜37が形成してあり、カソード16と平板33と電気的に導通するようにしてある。光透過性壁36と光透過窓35とが接触する位置では、光透過窓35にも透明導電膜を塗布しておき、導電性を確保するようにするとよい。

【0089】
光透過性壁36とカソード16との接触面付近には、二酸化炭素検出物質等被膜41dが塗布してある(図17と同様の場所に二酸化炭素検出物質等41a~41cを塗布してもよいがここでは省略してある)。なお、光透過性壁36に形成された透明導電膜37とカソード16との導電性を維持するために、二酸化炭素検出物質等30dは接触面の一部だけに塗布するようにしている。

【0090】
この燃料電池単セル1Bによれば、光透過性壁36の真下付近における二酸化炭素等の分布についても観測することができるので、流路壁近傍における二酸化炭素等の分布の変化や影響をさらに詳細に評価することができる。

【0091】
図19は、さらに他の燃料電池単セルの構成例を示す断面図である。この燃料電池単セル1Cは、メタノール水溶液やその蒸気を燃料として用いるメタノール燃料電池の場合に、アノードおよびカソード側に存在する二酸化炭素を検出し可視化する場合に利用することができる。この図において、図17に示すものと同じものは同符号を付すことにより、説明を省略する。

【0092】
この燃料電池単セル1Cでは、アノード側セパレータ12の金属製の平板23にも光透過窓(光路)25が設けられている。そして光透過窓25から観測できる領域の一部には、二酸化炭素検出物質等被膜が塗布されている。すなわち、光透過窓25に固定された二酸化炭素検出物質等41e、流路形成体22に固定された二酸化炭素検出物質等41f、アノード15の導電性多孔質支持層15bに固定された二酸化炭素検出物質等41gが形成される。それぞれの位置で二酸化炭素濃度等に応じて発光ルミネッセンス強度が変化して二酸化炭素を検出できる。なお、位置が異なる二酸化炭素検出物質等41e、41f、41gは、それぞれ種類が異なるようにして、独立に検出するようにしてもよい。例えば、光透過窓25の位置の二酸化炭素濃度等と導電性多孔質支持層15bの二酸化炭素濃度等とを個別に測定するようにしてもよい(カソード側についても同様である)。このようにして、この実施形態では、カソード側の光透過窓35およびアノード側の光透過窓25からそれぞれの側の二酸化炭素濃度分布等を計測することができる。

【0093】
(燃料電池反応計測装置の他の構成)
図5においては、燃料電池セルの広い領域で所量の可視化を可能とする反応計測装置の構成例を示した。しかしながら、図5の構成例においては、アノードおよび/またはカソードにおいてセパレータ全体、または相当に大きな部分を透過窓として用いることを前提としている。このような大きな透過窓を用いることなく、図17から図19に示すような小さな透過窓をセパレータ等に埋め込む燃料電池セルの構成も可能である。このような微小透過窓を有する燃料電池単セルを用いた場合の反応計測装置の構成例を図20に示す。この反応計測装置においては、図5の光拡張子76は用いず、代わりに集光レンズ68を用いる。このようにしてレーザ光の直径を微小透過窓の直径(または一辺)以下にすることによりレーザ光をセル1内に照射することが可能となり、また、二酸化炭素検出物質等からの発光ルミネッセンスを測定することが可能となる。

【0094】
(燃料電池装置)
実際の燃料電池の動作状態の把握にも使用が可能な燃料電池装置の例を図21に示す。燃料電池セル1Dのアノードセパレータ12のガス流路21Aおよび/またはカソードセパレータ13のガス流路31Aの二酸化炭素等の測定が必要な場所にのみ通ずる微小な孔をあけてここに透明体を密閉状態に充填して透過窓(光路)24、34を形成し、この透過窓24、34の奥に相当する箇所にのみ二酸化炭素濃度等の所量を測定するための検出物質42を存在させる。照射光は例えば発光ダイオード81を用いて発生させ、集光レンズ82を用いて検出物質42に照射する。発光ルミネッセンスは、ハーフミラー83により取出し、それぞれの透過窓24、34近傍に位置させたフォトダイオード84等の微小検出器を用いて定量する。このような構成を用いることによって、研究、評価用のみならず実際に使用される燃料電池単セルにおいても本発明は応用可能である。さらに、ガラスや高分子の透明材によって燃料電池スタック内に光路を確保することにより、燃料電池スタックにおいても、本発明は応用可能であり、燃料電池内の様々な位置において動作状態の把握が可能となる。

【0095】
(二酸化炭素検出物質の他の例)
先に例示した二酸化炭素検出物質は加湿条件下に保存する必要があり、測定のために温度湿度調整器53(図4)が必要であった。発明者らは加湿、乾燥条件に関わらず二酸化炭素濃度の定量が可能な物質を開発した。その構成と特徴について以下に説明する。

【0096】
それは湿度によらず二酸化炭素濃度に対応した発光強度を示す蛍光色素を高分子に分散した塗膜を用いることで、二酸化炭素の光学的センサーを実現するものであり、前記塗膜は、芳香族アミン誘導体と気体透過性マトリクス高分子であることを特徴とする。発光強度がpHに依存しない蛍光色素を用いることで、加湿、乾燥条件に関わらず二酸化炭素濃度を定量可能となる。

【0097】
以下に、実施例によって具体的に説明する。

【0098】
(実施例1)
ポリ(1-トリメチルシリル-1-プロピン)(式(4))20 mgをトルエン1mLに溶解した後、蛍光色素N,N,N',N'-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン(式(3))を8.4 mg加え撹拌し、溶液を調製した。

【0099】
【化3】
JP0005581547B2_000004t.gif

【0100】
【化4】
JP0005581547B2_000005t.gif

【0101】
スピンコーターを用いて700rpm,1minの条件でガラス板上に塗布し、室温大気下で12時間乾燥させることで、厚み400nm、色素含有量30質量%の塗膜を形成した。得られた色素分散塗膜は、273 nmに吸収極大波長を有し、光励起(励起光波長は271nm)にともない蛍光(最大発光波長392nm)を示した。

【0102】
色素を塗布したガラス基板を、ガス雰囲気の切り替え可能なUVセル内に設置し、ガスブレンダーを用いて窒素100%/二酸化炭素100%を2分ごとに切り替え、392nmの蛍光発光強度の経時変化を測定した。二酸化炭素雰囲気下での発光強度は、窒素雰囲気下に比べ49%減少し、高い検出感度を示した。また、ガス切り替えに対応して可逆的な強度変化を示した。その結果を図22(化学式(3)、(5)、(6)で示される物質についてのグラフ)に示す。

【0103】
塗膜中の蛍光色素N,N,N',N'-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン(式(3))の含有量を5,10,20,30質量%と変化させ、二酸化炭素濃度に対する応答感度を比較した(表1)。20質量%のときに最も感度が高く、発光強度は二酸化炭素100%下で59%減少し、二酸化炭素濃度に応じて繰り返し安定に発光強度変化を示した(発光強度率変化率は、各二酸化炭素濃度のときの発光強度を二酸化炭素0%のときの発光強度(初期発光強度)で割って算出)。

【0104】
【表1】
JP0005581547B2_000006t.gif

【0105】
(実施例2)
実施例1において、蛍光色素としてN,N,N',N'-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン(式(3))に代えて、式(5)に示すビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]メタンを使用した。それ以外の条件は実施例1と同一にして色素分散塗膜を形成した。励起光271nmに対する発光強度(353nm)変化率は11%であった(図22参照)。

【0106】
【化5】
JP0005581547B2_000007t.gif

【0107】
(実施例3)
実施例1において、蛍光色素としてN,N,N',N'-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン(式(3))に代えて、式(6)に示す4-ジメチルアミノピリジンを使用した。それ以外の条件は実施例1と同一にして色素分散塗膜を形成した。励起光287nmに対する発光強度(387nm)変化率は21%であった(図22参照)。

【0108】
【化6】
JP0005581547B2_000008t.gif

【0109】
(実施例4)
実施例1において、マトリクス高分子をポリ(1-トリメチルシリル-1-プロピン)(式(4))からポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、ポリエチレンオキシド(PEO)に代えて、蛍光色素N,N,N',N'-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン(式(3))を分散させた塗膜を形成した。得られた塗膜の蛍光強度は、PTMSPのときと比較し小さく、二酸化炭素応答性も示さなかった。

【0110】
ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチルセルロース(EC)、ポリスチレン(PS)をマトリクスとする色素分散塗膜では、二酸化炭素100%下でそれぞれ15%、24%、13%の蛍光強度変化率となり、繰り返し可逆な応答を示した(表2)。

【0111】
【表2】
JP0005581547B2_000009t.gif

【0112】
【化7】
JP0005581547B2_000010t.gif

【0113】
【化8】
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【0114】
【化9】
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【0115】
【化10】
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【0116】
【化11】
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【0117】
(実施例5)
実施例1において、色素分散塗膜の二酸化炭素応答性を定量化するため、各二酸化炭素濃度下での発光強度を、窒素雰囲気100%下での発光強度(初期発光強度)で割り規格化することで変化率として算出、二酸化炭素濃度に対してプロットし、検量線を作成した(図23に示す)。25℃にて加湿(100%RH)および乾燥(0%RH)した二酸化炭素を各濃度(0-100%)で流し、作成した検量線では、加湿、乾燥雰囲気いずれも同様の蛍光強度変化を示した。繰り返し安定な挙動を示すことから、湿度依存することなく二酸化炭素濃度を検出できる光学式センサー膜として適用可能であることを明らかにした。
【符号の説明】
【0118】
1、1A、1B、1C 燃料電池単セル
11 膜電極接合体(MEA)
12 アノード側セパレータ
13 カソード側セパレータ
14 高分子電解質膜
15 アノード
16 カソード
21A、31A ガス流路
21 アノード集電板
22、32 流路形成体
23、33 導電性平板
25、34、35、39 光透過窓(光路)
31 カソード集電板
40、41a~41g、42 二酸化炭素検出物質等
60 燃料電池反応計測装置
61 ステージ機構
62 XYステージ
69 二酸化炭素濃度等の計測用検出器
71 二酸化炭素濃度等の計測ユニット
72 レーザ光源
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図7】
5
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図17】
11
【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図6】
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【図13】
19
【図14】
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【図15】
21
【図16】
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