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明細書 :造粒システムおよび造粒方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第4474501号 (P4474501)
登録日 平成22年3月19日(2010.3.19)
発行日 平成22年6月9日(2010.6.9)
発明の名称または考案の名称 造粒システムおよび造粒方法
国際特許分類 C02F  11/16        (2006.01)
C02F  11/00        (2006.01)
A01B  35/00        (2006.01)
FI C02F 11/16 ZAB
C02F 11/00 101Z
A01B 35/00 Z
請求項の数または発明の数 7
全頁数 10
出願番号 特願2009-020809 (P2009-020809)
出願日 平成21年1月30日(2009.1.30)
審査請求日 平成21年2月16日(2009.2.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】594156880
【氏名又は名称】三重県
発明者または考案者 【氏名】原 正之
【氏名】鎌田 正行
【氏名】浅井 俊次
【氏名】服部 正明
【氏名】岡本 康男
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100100251、【弁理士】、【氏名又は名称】和気 操
審査官 【審査官】川合 理恵
参考文献・文献 特開2007-244970(JP,A)
特開2001-070996(JP,A)
特開2007-283282(JP,A)
特開平11-228265(JP,A)
特開2004-113878(JP,A)
特開平07-000040(JP,A)
特開平09-030881(JP,A)
特開平04-250893(JP,A)
特開2005-253313(JP,A)
調査した分野 C02F 11/00-11/20
要約 【課題】脱水機の設置を必要とせず、乾燥過程においては太陽光を用い、設備・運用コストが安価で、高い歩留まり率を実現し、環境への配慮をする。
【解決手段】工業用水等の浄水工程で発生する汚泥を天日乾燥ハウスを用いて粒土を製造する造粒システムであって、原料汚泥1を天日乾燥ハウス3内に敷き広げる手段と、該ハウス内に設置されて敷き広げられた汚泥を天日乾燥および撹拌しながら造粒する撹拌造粒手段4とを備え、撹拌造粒手段4は、ハウス内に敷き広げられた汚泥を、回転する耕うん爪である。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
工業用水もしくは上水道用水の浄水工程、または砂利採取の洗浄工程で発生する汚泥より略球形の粒土からなる園芸培土を製造する造粒システムであって、
前記汚泥を天日乾燥ハウス内に敷き広げる手段と、該ハウス内に設置され、前記敷き広げられた汚泥を、天日乾燥が進行するとともに同時に撹拌しながら造粒する撹拌造粒手段とからなり
該撹拌造粒手段は、前記ハウス内に敷き広げられた汚泥を、前記ハウス内部の地表長方形領域の短辺または長辺に平行に配置された回転軸が該長方形領域の短辺または長辺方向に平行に移動しながら、ハウス内部の地表面に平行に設けられた前記回転軸の軸方向に螺旋状に配置されて回転する複数の耕うん爪により撹拌する手段であることを特徴とする造粒システム。
【請求項2】
前記耕うん爪は、爪の主面が回転軸の軸方向に捻られて取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の造粒システム。
【請求項3】
前記汚泥を天日乾燥ハウス内に敷き広げる前の水分量が撹拌造粒前の汚泥全体に対して25~45重量%となるように、前記天日乾燥ハウスに隣接して設けられた汚泥水分調整装置により調整する手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の造粒システム。
【請求項4】
前記水分量は、前記天日乾燥ハウスに隣接して設けられた汚泥水分調整装置により、前記浄水工程で発生する汚泥に水を加えるか、または前記浄水工程で発生する汚泥に乾燥汚泥を加えることにより調整されることを特徴とする請求項3記載の造粒システム。
【請求項5】
前記汚泥水分調整装置内の汚泥に水溶性高分子を添加する手段を有することを特徴とする請求項4記載の造粒システム。
【請求項6】
前記汚泥水分調整装置内の汚泥に前記撹拌造粒手段により造粒された汚泥の一部を循環させる手段を有することを特徴とする請求項4または請求項5記載の造粒システム。
【請求項7】
工業用水もしくは上水道用水の浄水工程、または砂利採取の洗浄工程で発生する汚泥より略球形の粒土からなる園芸培土を製造する造粒方法であって、
前記汚泥を天日乾燥ハウス内に敷き広げる工程と、該ハウス内に設置され、前記敷き広げられた汚泥を、天日乾燥が進行するとともに同時に撹拌しながら造粒する撹拌造粒工程とからなり、
該撹拌造粒工程は、前記ハウス内に敷き広げられた汚泥を、前記ハウス内部の地表長方形領域の短辺または長辺に平行に配置された回転軸が該長方形領域の短辺または長辺方向に平行に移動しながら、かつハウス内部の地表面に平行に設けられた前記回転軸の軸方向に螺旋状に配置されて回転する複数の耕うん爪により前記汚泥を撹拌しながら造粒する工程であることを特徴とする造粒方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は工業用水もしくは上水道用水の浄水工程、または砂利採取の洗浄工程で発生する沈降汚泥を原料として、園芸培土として好適な乾燥粒土を製造する造粒システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工業用水もしくは上水道用水の浄水工程、または砂利採取の洗浄工程(以下、工業用水等の浄水工程ともいう)で発生する汚泥およびその処理方法の概要を図4に示す。
河川から導水管を経て取水した原水6は、原水濁度が高い場合には薬品混和池7で硫酸バンドなどの凝集剤が添加され、沈殿池8に導かれて配水池9に貯水された後に各工場10に供給される。
沈殿池8の池底に沈殿した汚泥は汚泥池、天日乾燥池、粉砕・ふるい分け機に順に導かれる。
浄水施設の一例として、汚泥池は20m×40m×7mの大きさの池が2池あり、沈殿池8に沈殿した汚泥を濃縮させ、天日乾燥池は25m×20mの大きさの池が6池あり、汚泥池で濃縮された汚泥を天日により自然乾燥させている。このため、浄水施設の約半分の敷地をこれら汚泥池、天日乾燥池が占めている。
また、天日乾燥池で乾燥された汚泥は粉砕・ふるい分け機にかけるため、天日乾燥池周辺に広げてさらに乾燥するという工程もあり、作業工程数が多くかかっている。さらに、粒子径が一定とならないという問題がある。
【0003】
上記工業用水等の浄水工程で発生する汚泥(以下、浄水ケーキともいう)は、従来、グランド改良材や園芸用土、セメント原料等としての利用が図られてきた。しかし、グランド改良材の利用は需要が限定されており、また、セメント原料への利用は廃棄物処理の一環であり処理費用が必要で、利用が制限される。
一方、園芸培土への利用については潜在的需要量は大きく、安価に水はけが良く通気性が高い培土をつくることができれば、成分の変動が少ない特性を有するが浄水ケーキの有効な利用法として大きく期待されるが、現状の処理法では粒子径が一定とならないなどの問題がある。
【0004】
特許文献1は、汚泥を園芸培土に改質する方法を開示している。
この方法は、脱水した汚泥を撹拌しながら、カチオン系高分子凝集剤を添加混合し、その後更にアニオン系高分子凝集剤を添加混合して凝集させることにより団粒を生成させ、熱風で水分を乾燥させる方法が開示されている。
しかし、この方法は、汚泥の脱水に加圧脱水機(フィルタープレス)を用い、また熱風乾燥には熱風乾燥機が必要で、設備・運用費用が高くなる問題がある。
【0005】
特許文献2は、汚泥の造粒乾燥システムを開示している。
このシステムは、原料汚泥を脱水して脱水ケーキ状にする脱水機と、該脱水ケーキ状原料汚泥を混練する混練機と、該混練機から供給される原料汚泥を造粒する造粒部と、該造粒部と連通され該造粒部から供給される粒状汚泥を加熱乾燥する乾燥部とを有する造粒乾燥機とからなるシステムを開示している。
しかし、このシステムは、汚泥の脱水には脱水機を用い、また乾燥には乾燥機が必要で、設備・運用費用が高くなる問題がある。また、このシステムの全ての装置は天然ガスを燃料とするガスエンジン型発電機の発電および発熱をエネルギー源としており、地球温暖化対策を考慮していない。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2001-178260
【特許文献2】特許第3626717
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題に対処するためになされたものである。脱水機の設置を必要とせず、乾燥過程においてはクリーンエネルギー(太陽光)を用い、設備・運用コストが安価で、汚泥の造粒に際して高い歩留まり率を実現し、環境への配慮をした、汚泥の造粒システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の造粒システムは、工業用水もしくは上水道用水の浄水工程、または砂利採取の洗浄工程で発生する汚泥より略球形の粒土からなる園芸培土を製造する造粒システムであって、上記汚泥を天日乾燥ハウス内に敷き広げる手段と、該ハウス内に設置され、敷き広げられた汚泥を、天日乾燥が進行するとともに同時に撹拌しながら造粒する撹拌造粒手段とからなり、該撹拌造粒手段は、上記ハウス内に敷き広げられた汚泥を、上記ハウス内部の地表長方形領域の短辺または長辺に平行に配置され、かつ上記回転軸が上記長方形領域の短辺または長辺方向に平行に移動しながら、ハウス内部の地表面に平行に設けられた回転軸の軸方向に螺旋状に配置されて回転する複数の耕うん爪により撹拌する手段であることを特徴とする。
また、上記耕うん爪は、爪の主面が回転軸の軸方向に捻られて取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の造粒システムは、上記汚泥を天日乾燥ハウス内に敷き広げる前の水分量が撹拌造粒前の汚泥全体に対して25~45重量%となるように汚泥水分調整装置により調整する手段を有することを特徴とする。
天日乾燥ハウス内に敷き広げる前の汚泥の水分量は、天日乾燥ハウスに隣接して設けられた汚泥水分調整装置により、浄水工程で発生する汚泥に水を加えるか、または浄水工程で発生する汚泥に乾燥汚泥を加えることにより調整されることを特徴とする。
また、上記汚泥水分調整装置内の汚泥に水溶性高分子を添加する手段を有することを特徴とする。
また、本発明の造粒システムは、上記汚泥水分調整装置内の汚泥に撹拌造粒手段により造粒された汚泥の一部を乾燥汚泥として循環させる手段を有する循環造粒システムであることを特徴とする。
また、本発明の造粒方法は、汚泥を天日乾燥ハウス内に敷き広げる工程と、該ハウス内に設置され、上記敷き広げられた汚泥を、天日乾燥が進行するとともに同時に撹拌しながら造粒する撹拌造粒工程とからなる造粒方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の造粒システムは、原料汚泥を脱水する脱水機を設置する必要が無く、乾燥過程においてはクリーンエネルギー(太陽光)を用いるので、地球環境を汚染することがなく、設備・運用コストが安価である。また、汚泥の造粒に際して、耕うん爪を用いることにより、高い製造歩留まり率で均一な粒土を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の造粒システムの作業工程を示すフローチャートである。
【図2】撹拌機の概要を示す図である。
【図3】取り付ける爪の形状と平均粒子径との関係を示す図である。
【図4】浄水工程で発生する汚泥の処理方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の造粒システムに原料として用いられる汚泥は、工業用水等の浄水工程で発生する汚泥である。このような汚泥は、河川表流水やダムから取水した原水に、ポリ塩化アルミニウムなどの凝集剤を加えまたは加えないで、原水中の濁り成分である土や砂等を沈殿させたものであり、その組成は土壌と略同一で重金属などの有害物質は含まれていない。

【0013】
上記汚泥の造粒システムの工程を図1を用いて説明する。図1は、造粒システムの作業工程を示すフローチャートである。
本発明の造粒システムは、原料汚泥の供給源となる原料供給槽1と、この原料汚泥の水分量を調整する汚泥水分調整装置2と、汚泥を乾燥する乾燥ハウス3と、乾燥ハウス3内に設けられ汚泥を乾燥しながら撹拌造粒する撹拌機4と、造粒された汚泥を分級する連続ふるい機5とから構成される。また、汚泥水分調整装置2には、水分および水溶性高分子供給装置1’が設けられている。

【0014】
汚泥水分調整装置2は、乾燥ハウス3に敷き広げる前の汚泥の水分量を予め調整する装置であり、例えば、パドルミキサー等、一般に汚泥の混合に使用される混合機を使用することができる。
汚泥の水分量は、汚泥全体の25~45重量%、好ましくは25~30重量%、より好ましくは26~28重量%であるように調整する。水分量が25重量%未満であると乾燥ハウス3内での撹拌造粒による粒形成が平均粒径2mm以下の細粒となりやすく、園芸培土などの用途に適さなくなる。また45重量%をこえると撹拌造粒による粒形成が困難になる。

【0015】
また、汚泥の水分量を調整するとともに、汚泥に水溶性高分子を添加することが好ましい。水溶性高分子を添加することにより造粒しやすくなる。また、完成粒土を園芸培土に使用したとき、灌水時の粒子形状の崩壊が起こりにくいため園芸培土として好適に使用できる。
水溶性高分子としては、カビなどの微生物が発生し難いポリビニルアルコールが好ましく、混合量は、原料汚泥の種類によっても異なるが、混合汚泥全体に対して0.3±0.2重量%が好ましい。0.1重量%未満では園芸培土の崩壊が生じやすく、0.5重量%をこえても造粒効果が向上しない。

【0016】
乾燥ハウス3は、内部地表面に敷き広げられた汚泥を天日により乾燥できるハウスであり、外壁および天井の少なくとも1つには太陽光を透過する素材を用いる。例えば、家畜糞を天日乾燥するのに使われる堆肥舎は、本願発明に用いる乾燥ハウスとして好適に使用することができる。
乾燥ハウスの内部地表面の広さは処理する汚泥量により定まるが、例えば、間口7m奥行き50mの長方形の乾燥ハウスであると、5t/日の汚泥を処理できる。

【0017】
乾燥ハウス3には、該ハウス内部の地表面に敷き広げた汚泥を撹拌しながら造粒するための撹拌造粒手段としての撹拌機4が設置されている。
撹拌機4の概要を図2に示す。図2(a)、(b)は撹拌機4を回転軸の軸芯方向からみた図であり、図2(c)は撹拌機4を回転軸に平行な方向からみた図である。図2(a)、(b)において、回転軸の軸芯は拡大して表されている。
撹拌機4はハウス内部の地表面に平行に設けられた回転軸4aと、この回転軸4aの軸方向に螺旋状に配置された複数の耕うん爪4bとから構成される。耕うん爪としては、なた爪などが好ましく用いられる。なた爪は、爪の主面が回転軸の軸方向に捻られており軸が回転することでなた爪が田畑を耕すように地表に敷き広げられた汚泥をかきながら撹拌する。
回転軸4aの軸方向に螺旋状に配置される複数の耕うん爪4bは、図2(a)に示す角度90度~図2(b)に示す角度45度の範囲で等間隔に設けることが好ましい。より好ましくは角度60度である。
また、耕うん爪4bの取り付け方向としては、図2(c)に示すように、回転軸の軸方向に捻られる爪の主面が同じ方向に連続しているとともに、軸の終端部において、主面が異なる方向を持つ耕うん爪4cを少なくとも1枚は設けることが好ましい。耕うん爪4cを設けることにより、土もしくは粒を戻す「かえし」ができ、乾燥ハウスから土粒がはみ出すのを防ぐことができる。

【0018】
撹拌機4は、少なくとも乾燥ハウス3内部の地表長方形領域を移動可能範囲として有し、撹拌機の回転軸4aは該長方形の短辺または長辺に平行に設置され、この平行を保ちつつ、該長方形領域の全域を上記なた爪を回転させながら平行移動することができる。これにより、長方形領域に敷き広げられた汚泥全体を撹拌することができる。例えば、鶏糞処理場で使用される一般的な撹拌乾燥機において、撹拌爪を耕うん機用なた爪に取り替えることによって好適に使用することができる。

【0019】
本発明において、造粒された汚泥を分級する連続ふるい機5を設けることが好ましい。この連続ふるい機5は、乾燥ハウス3にて造粒された粒土を園芸培土に適するような粒子に分級するためのふるい機であり、例えば、回転土ふるい機等の連続土ふるい機を使用することができる。

【0020】
以下、汚泥を造粒する作業手順を説明する。
原料供給槽1は、浄水処理施設の沈殿池の底に溜まった汚泥を濃縮する設備である。この該原料供給槽1で濃縮された原料汚泥を、モルタルポンプまたはホイルローダーにより排出する。汚泥水分調整装置2である混合機に、排出された原料汚泥を投入する。混合機には後述する、乾燥した未完成粒土を含有水分量の調整のために投入して混合することができる。この混合で得られる混合汚泥の水分量が、該混合汚泥全体の25~45重量%であるように調整する。

【0021】
また、汚泥水分調整装置2には、水分および水溶性高分子供給装置1’より、ポリビニルアルコールが添加される。
さらに、原料汚泥の水分量が少ない場合は、水分および水溶性高分子供給装置1’より、水が供給され水分量が混合汚泥全体の25~45重量%であるように調整される。好ましくは、混合汚泥の水分量を混合汚泥全体における約26~28重量%に調整する。後述するように、なた爪を用いて乾燥・造粒する場合は、水分量約26~28重量%が造粒を開始する造粒水分帯となるので、後の乾燥・造粒過程を効率的に行なうことができるからである。

【0022】
上記の混合汚泥はバキューム車等により、上記の乾燥ハウス3内部に搬入する。該混合汚泥を、撹拌機4が移動可能な上記長方形領域に厚さ1~30cmの厚さに敷き広げる。
撹拌機4を作動して、なた爪などの耕うん爪を回転させながら、敷き広げられた汚泥の長方形領域上を往復させて、この混合汚泥を撹拌する。撹拌条件としては、20cmの大きさのなた爪の場合、30~90回転/分であることが好ましい。
この作業開始にあたっては、天日によって混合汚泥の乾燥が進行するのを待つのではなく、搬入後すぐに撹拌を始めることが好ましい。撹拌作業と同時に天日乾燥が進行する。 乾燥が進行するとともに造粒が開始するが、造粒開始時の水分量、粒子の形状、粒度分布は撹拌機4に取り付ける爪の形状により変化する。

【0023】
取り付ける爪の形状と粒子径との関係について図3に示す。図3(a)は、フラットバータイプの撹拌爪の場合の例であり、図3(b)は、なた爪の場合の例である。
撹拌機4に取り付ける爪として回転軸の軸方向に平行な撹拌面を有するフラットバータイプの撹拌爪の場合、搬入時の水分量が30重量%以下になると、図3(a)に示すように、粒子径が2mm未満の細粒割合が多くなるので、園芸培土としての利用が困難になる。なお、フラットバータイプの撹拌爪の場合、40重量%以上の水分量域でも造粒は可能であるが、平均粒子径が7mm以上と大きく不均一な粒子分布の粒子しか得られないため、やはり園芸培土としての利用が困難になる。

【0024】
一方、撹拌機4に取り付ける爪として、なた爪を用いると、混合汚泥の水分含有量が汚泥全体の約26~28重量%になった時点で造粒が起こり、搬入時の水分量による平均粒子径への影響はフラットバータイプの撹拌爪に比較して小さい。また、図3(b)に示すように、園芸培土としての利用が困難な平均粒子径が2mm未満の細粒割合が少なくなる。

【0025】
混合汚泥の水分含有量が全体の10重量%以下になったら、乾燥・撹拌造粒作業を終了する。
乾燥・撹拌造粒作業を終えた後、造粒された混合汚泥を連続ふるい機5に投入して分級する。連続ふるい機5は、好ましくは、目の粗さが15mm、10mm、7mm、5mm、2mmのメッシュのふるい通過分を連続して取り出すことのできるふるい機である。
造粒された混合汚泥のうち、園芸培土として好ましく使用できるのは15mmのメッシュのふるい、好ましくは10mmのメッシュのふるいを通過し、かつ2mmのメッシュのふるいを通過しなかったものである。園芸培土として好ましく使用できるものを完成粒土と、完成粒度以外の分を未完成粒土として図1に示す。

【0026】
未完成粒土の一部または全部は、混合汚泥をつくる際に要する調整用乾燥汚泥として使用するために、汚泥水分調整装置2へ返送する。2mmのメッシュのふるいを通過する細粒の未完成粒土を返送して再利用することにより、本発明の造粒システムは循環的なシステムとなっている。なお、本発明のシステムを初めて立ち上げるとき、あるいは、未完成汚泥が何らかの理由で使用できないときは、混合汚泥をつくる際に要する調整用乾燥汚泥は、別の方法で調達したものであって使用できる。また、未完成粒土の他の用途としては、路床改良資材として利用することができる。
本発明の循環造粒システムを用いることにより、原料汚泥から完成粒土への製造歩留まりが70%をこえることができる。

【0027】
完成粒土は、園芸培土として使用できる。園芸培土として粒度が2~15mm、好ましくは2~10mm未満の範囲であり、かつポリビニルアルコールなどの水溶性高分子が配合されているので、粒土の崩壊がないため、透水性に優れている。
【実施例】
【0028】
原料汚泥として、5t/日の割合で汚泥を発生する浄水場の浄水ケーキを用いた。用いた乾燥浄水ケーキの特性を表1に示す。
【表1】
JP0004474501B1_000002t.gif
【実施例】
【0029】
浄水場の天日乾燥池から搬出された汚泥(搬出ケーキ、水分45重量%)を汚泥水分調整装置2に投入して、これに乾燥汚泥(乾燥ケーキ、水分5重量%)を加えて汚泥の水分量を38重量%に調整した。また、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製、ゴーセノールT-330)を混合汚泥全体に対してポリビニルアルコール固形分として0.3重量%添加した。
この混合汚泥を30cmの高さに乾燥ハウス3内部に敷き広げて、なた爪を60回転/分で回転させながら、敷き広げられた汚泥上を往復させて、この混合汚泥を撹拌した。混合汚泥の水分量が約26~28重量%になった時点で造粒が起こった。造粒された汚泥をさらになた爪で撹拌しながら乾燥することにより水分量を10重量%にした。
その後、連続ふるい機により2mm以上、10mm以下の略球形の粒子を得た。収率は固形分換算で90重量%であった。
また、得られた完成粒土の特性は、電気伝導度(EC)および塩基置換容量(CEC)は表1に示す値と略同一であり、保肥力は低下していなかった。また、他の特性も略同一の値を示した。
【実施例】
【0030】
得られた完成粒土について、以下の方法で評価した。まず、完成粒土をろ紙を敷いたロート中に充填して、1日2回、10mlの蒸留水をかん水して、2週間経過後の完成粒土の粒度を測定したところ、95%重量%の完成粒土が初期粒度分布を維持した。
また、園芸培土の適正を確認するために、完成粒土とピートモスとを容量比で(完成粒土:ピートモス=2:1)に混合して5寸鉢にベニカナメ苗(樹高平均28cm)を定植し生育を調査した。かん水は日量100~400mlを蒸留水で行なった。なお、培土の圧縮強度は約30Nであった。ベニカナメ苗の樹高に対する影響は慣行培土と同等であった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の造粒システムは、地球環境を汚染することがなく、設備・運用コストが安価であり、高い製造歩留まり率で均一な粒土を実現できるので、多量の汚泥が発生する工業用水、上水道用水、または砂利採取の浄水を行なう浄水施設の汚泥の再利用に有効である。
【符号の説明】
【0032】
1 原料供給槽(外部施設)
2 汚泥水分調整装置
3 乾燥ハウス
4 撹拌機
5 連続ふるい機
6 原水
7 薬品混和池
8 沈殿池
9 配水池
10 工場
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3