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明細書 :水熱酸化分解処理装置および肥料の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4951760号 (P4951760)
公開番号 特開2008-207136 (P2008-207136A)
登録日 平成24年3月23日(2012.3.23)
発行日 平成24年6月13日(2012.6.13)
公開日 平成20年9月11日(2008.9.11)
発明の名称または考案の名称 水熱酸化分解処理装置および肥料の製造方法
国際特許分類 C02F  11/08        (2006.01)
B01J   3/00        (2006.01)
B01J   3/04        (2006.01)
C05C  11/00        (2006.01)
B01D  53/86        (2006.01)
FI C02F 11/08 ZAB
B01J 3/00 A
B01J 3/04 D
C05C 11/00
B01D 53/36 E
請求項の数または発明の数 11
全頁数 15
出願番号 特願2007-048194 (P2007-048194)
出願日 平成19年2月27日(2007.2.27)
審査請求日 平成22年2月16日(2010.2.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
発明者または考案者 【氏名】佐古 猛
【氏名】岡島 いづみ
個別代理人の代理人 【識別番号】100136674、【弁理士】、【氏名又は名称】居藤 洋之
審査官 【審査官】金 公彦
参考文献・文献 特開2005-246329(JP,A)
特開2002-273494(JP,A)
特開2006-218405(JP,A)
国際公開第2005/077514(WO,A1)
特開2000-167598(JP,A)
特開2000-254479(JP,A)
特開2004-313936(JP,A)
特開2001-198449(JP,A)
特開2006-000732(JP,A)
特開2001-179074(JP,A)
特開2000-070896(JP,A)
特開2000-229274(JP,A)
調査した分野 C02F 11/00-11/20
B01J 3/00
B09B 1/00- 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
加熱および加圧した水に酸化剤を加えた流体中で、窒素分を含む被処理物を酸化分解処理する水熱酸化分解処理装置において、
水の臨界温度(374℃)以上の温度、かつ水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力の前記流体中で、前記被処理物を酸化分解する第1反応器と、
前記第1反応器内の温度未満の温度、かつ同第1反応器内の圧力以下の圧力で、前記第1反応器から排出される排出流体に含まれる窒素分を触媒を用いて酸化分解する第2反応器と、
前記第1反応器から排出され前記第2反応器に導かれる前記排出流体の温度を、同第2反応器内の温度に対して±20℃の範囲内の温度であってかつ同第2反応器内の圧力を飽和水蒸気圧とする温度以上に維持にする第1の温度調節手段とを備えたことを特徴とする水熱酸化分解処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記第1反応器内における前記流体の温度が水の臨界温度(374℃)以上600℃未満、圧力が5MPa以上水の臨界圧力(22MPa)未満であり、
前記第2反応器内における前記排出流体の温度が200℃以上450℃以下、圧力が5MPa以上水の臨界圧力(22MPa)未満である水熱酸化分解処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記排出流体の温度が水の臨界温度(374℃)以上の場合、
前記第1の温度調節手段は、前記排出流体の温度を水の臨界温度(374℃)以上に維持する水熱酸化分解処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項のうちのいずれか1つに記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記第1の温度調節手段は、所定の材料および形状によって形成されることにより、前記第1反応器から排出された前記排出流体の温度を前記第2反応器内の温度に近づけながら同第2反応器に導く排出流体用配管である水熱酸化分解処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項のうちのいずれか1つに記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記第1の温度調節手段は、前記第1反応器から排出された前記排出流体を前記第2反応器に導くための配管の全部または一部に設けられ、前記排出流体を冷却するための放熱器または冷却器を含む水熱酸化分解処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項のうちのいずれか1つに記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記第1の温度調節手段は、前記第1反応器から排出された前記排出流体を前記第2反応器に導くための配管の全部または一部に設けられ、前記排出流体を保温するための保温部材を含む水熱酸化分解処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項のうちのいずれか1つに記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記第1の温度調節手段は、前記第1反応器から排出された前記排出流体を前記第2反応器に導くための配管の全部または一部に設けられ、前記排出流体を加熱するための加熱器を含む水熱酸化分解処理装置。
【請求項8】
請求項に記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記第1の温度調節手段は、
前記配管内を導かれる前記排出流体の温度を表す信号を出力する温度検出手段と、
前記温度検出手段から出力された前記排出流体の温度を表す信号に基づいて、前記加熱器の作動を制御する加熱器制御手段とを備えた水熱酸化分解処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項のうちのいずれか1つに記載した水熱酸化分解処理装置において、さらに、
前記第2反応器は、2つ以上存在するとともに、これらの第2反応器が連結配管を介して互いに直列に接続されており、
前記2つ以上存在する第2反応器のうち各前段の第2反応器から排出され前記連結配管を介して各後段の第2反応器に導かれる前記排出流体の温度を、同各後段の第2反応器内の温度に対して±20℃の範囲の温度に調節する第2の温度調節手段を備えた水熱酸化分解処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項のうちのいずれか1つに記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記第1反応器は、前記被処理物の酸化分解によって生じる固体状の物質を排出するための排出口を備える水熱酸化分解処理装置。
【請求項11】
加熱および加圧した水に酸化剤を加えた流体中で、窒素分を含む被処理物を酸化分解処理することによって肥料を生成する肥料の製造方法において、
水の臨界温度(374℃)以上の温度、かつ水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力の前記流体中で、前記被処理物を酸化分解する第1反応工程と、
前記第1反応工程の温度未満の温度、かつ同第1反応工程の圧力以下の圧力で、前記第1反応工程によって排出される排出流体に含まれる窒素分を触媒を用いて酸化分解する第2反応工程と、
前記第1反応工程によって排出され前記第2反応工程に導かれる前記排出流体の温度を、同第2反応器工程の温度に対して±20℃の範囲内の温度であってかつ同第2反応器工程の圧力を飽和水蒸気圧とする温度以上に維持にする温度調工程とを含むことを特徴とする肥料の製造方法。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素分を含む被処理物を高温・高圧の条件下で酸化分解処理する水熱酸化分解処理装置および肥料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、窒素や窒素化合物などの窒素分を含む有機性廃棄物、例えば、食品加工残渣、下水汚泥または家畜排泄物などの被処理物を超臨界水を用いて無害な物質に分解処理する水熱酸化分解処理装置が知られている。超臨界水は、水を臨界温度(374℃)以上に加熱するとともに、臨界圧力(22MPa)以上に加圧した状態の流体である。窒素分は分解が極めて困難な物質であるため、窒素分を含む被処理物を酸化分解する水熱酸化分解処理装置においては、窒素分が分解可能な温度および圧力の超臨界水、具体的には600℃以上の温度および25MPa以上の圧力の超臨界水を用いて酸化分解している。
【0003】
しかし、600℃以上の温度および25MPa以上の圧力は極めて高温・高圧であるため、超臨界水を充填して被処理物を酸化分解するための反応器の耐久性が問題となる。そこで、例えば、下記特許文献1~5に示すように、400~450℃の比較的低い温度の超臨界水中で被処理物を酸化分解する第1の工程と、第1の工程で排出される排出物に含まれる窒素分を酸化分解する第2の工程とによって同被処理物を二酸化炭素、水、無機塩などの無害な物質に転化する水熱酸化分解処理装置がそれぞれ提案されている。

【特許文献1】特開2000-70896号公報
【特許文献2】特開2000-167598号公報
【特許文献3】特開2000-229274号公報
【特許文献4】特開2001-179074号公報
【特許文献5】特開2002-273494号公報
【0004】
しかしながら、このような水熱酸化分解処理装置においては、被処理物を酸化分解する第1の工程での処理圧力が25MPa以上と高いため反応器の耐久性が依然として問題となる。すなわち、第1の工程で用いる反応器の製作・運用・メンテナンス等が困難かつ煩雑であるという問題がある。一方、本発明者らの実験によれば、窒素分を含む被処理物を水の臨界圧力(22MPa)未満である17MPaで酸化分解処理とすると、アンモニアなどの窒素化合物への転化率が処理圧力を25MPaにした場合に比して約1.5倍に上昇することが確認された。すなわち、第1の工程での処理圧力を水の臨界圧力(22MPa)未満とした場合、第1の工程から排出される窒素分の効率的な分解処理が問題となる。
【発明の開示】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、窒素分を含む被処理物を600℃未満の温度かつ水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力の条件の下で酸化分解するとともに、同被処理物に含まれる窒素分を効率的に分解処理することが可能な水熱酸化分解処理装置を提供するとともに、併せて同水熱酸化分解処理装置を用いて肥料を生成する肥料の製造方法を影響することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、加熱および加圧した水に酸化剤を加えた流体中で、窒素分を含む被処理物を酸化分解処理する水熱酸化分解処理装置において、水の臨界温度(374℃)以上の温度、かつ水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力の前記流体中で、被処理物を酸化分解する第1反応器と、第1反応器内の温度未満の温度、かつ同第1反応器内の圧力以下の圧力で、第1反応器から排出される排出流体に含まれる窒素分を触媒を用いて酸化分解する第2反応器と、第1反応器から排出され第2反応器に導かれる排出流体の温度を、同第2反応器内の温度に対して±20℃の範囲内の温度であってかつ同第2反応器内の圧力を飽和水蒸気圧とする温度以上に維持する第1の温度調節手段とを備えたことにある。


【0007】
この場合、例えば、第1反応器内における前記流体の温度を水の臨界温度(374℃)以上600℃未満、圧力を5MPa以上水の臨界圧力(22MPa)未満とし、第2反応器内における排出流体の温度を200℃以上450℃以下、圧力を5MPa以上水の臨界圧力(22MPa)未満にするとよい。
【0008】
このように構成した本発明の特徴によれば、第2反応器内に同第2反応器内の処理温度に近い温度(同一の温度を含む)、具体的には、第2反応器内の温度に対して±20℃の範囲内の温度の反応ガス導入している。このため、第2反応器内における温度分布のムラを防止でき、第2反応器内に設けられている触媒を安定した状態で機能させることができる。これにより、反応ガスに含まれる窒素分を迅速かつ定常的に酸化分解することができるとともに、触媒の劣化の進行を遅らせることができる。すなわち、窒素分を多く含む反応ガスを効率よく処理することができる。この結果、第1反応器において窒素分を含む被処理物を600℃未満の温度かつ水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力の条件の下で酸化分解することができ、第1反応器の製作・運用・メンテナンス等を容易することができるとともに、反応ガスに含まれる窒素分を効率的に分解処理することができる。


【0009】
また、このように構成した本発明の特徴によれば、第2反応器に導かれる反応ガスの温度は、第2反応器内の処理圧力を飽和水蒸気圧とする温度以上に維持されている。このため、反応ガスに含まれる水蒸気が液化して第2反応器内の触媒に液体水が付着することがない。これにより、触媒の崩壊や流出を防止することができ、反応ガスに含まれる窒素分を安定的に酸化分解することができるとともに、触媒の劣化の進行を遅らせることができる。すなわち、窒素分を多く含む反応ガスを効率よく処理することができる。この結果、第1反応器において窒素分を含む被処理物を水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力下で酸化分解することができ、第1反応器の製作・運用・メンテナンス等を容易することができるとともに、反応ガスに含まれる窒素分を効率的に分解処理することができる。


【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記水熱酸化分解処理装置において、前記排出流体の温度が水の臨界温度(374℃)以上の場合、第1の温度調節手段は、前記排出流体の温度を水の臨界温度(374℃)以上に維持することにある。このように構成した本発明の他の特徴によれば、第1反応器から排出され第2反応器に導かれる反応ガスの温度が水の臨界温度(374℃)以上に維持されている。このため、反応ガスに含まれる水蒸気が液化して第2反応器内に設けられている触媒に液体水が付着することがない。これにより、触媒の崩壊や流出を防止することができ、反応ガスに含まれる窒素分を安定的に酸化分解することができるとともに、触媒の劣化の進行を遅らせることができる。すなわち、窒素分を多く含む反応ガスを効率よく処理することができる。この結果、第1反応器において窒素分を含む被処理物を600℃未満の温度かつ水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力の条件の下で酸化分解することができ、第1反応器の製作・運用・メンテナンス等を容易することができるとともに、反応ガスに含まれる窒素分を効率的に分解処理することができる。


【0011】
また、本発明の他の特徴は、前記水熱酸化分解処理装置において、例えば、第1の温度調節手段を、所定の材料および形状によって形成されることにより、第1反応器から排出された排出流体の温度を第2反応器内の温度に近づけながら同第2反応器に導く排出流体用配管としたことにある。これによれば、第2反応器内に導入される排出流体の温度を第2反応器の処理温度に近い温度になるように排出流体配管の材質および形状(例えば、長さや太さ)を設定すればよい。これにより、簡易な方法で第1の温度調整手段を構成することができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記水熱酸化分解処理装置において、例えば、第1の温度調節手段は、第1反応器から排出された排出流体を第2反応器に導くための配管の全部または一部に設けられ、排出流体を冷却するための放熱器または冷却器を含むことにある。これによれば、第1反応器から排出される排出流体の温度が第2反応器内の処理温度より高い場合であっても、良好に排出流体の温度を第2反応器の温度に近づけることができる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、前記水熱酸化分解処理装置において、例えば、第1の温度調節手段は、第1反応器から排出された排出流体を第2反応器に導くための配管の全部または一部に設けられ、排出流体を保温するための保温部材を含むことにある。これによれば、第1反応器から排出される排出流体の温度が第2反応器内の処理温度に近い場合、第1反応器から排出される排出流体の温度を維持して第2反応器内に導くことができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記水熱酸化分解処理装置において、例えば、第1の温度調節手段は、第1反応器から排出された排出流体を第2反応器に導くための配管の全部または一部に設けられ、排出流体を加熱するための加熱器を含むことにある。この場合、第1の温度調節手段は、前記配管内を導かれる排出流体の温度を表す信号を出力する温度検出手段と、温度検出手段から出力された排出流体の温度を表す信号に基づいて、加熱器の作動を制御する加熱器制御手段とを備えるとよい。これによれば、第1反応器から排出される排出流体の温度が第2反応器内の処理温度より低い場合や、第1反応器から排出される排出流体の温度が冷め易い場合(例えば、第1反応器と第2反応器と間が離れている場合など)であっても、良好に排出流体の温度を第2反応器の温度に近づけることができる。
【0015】
また、本発明の他の特徴は、前記水熱酸化分解処理装置において、前記水熱酸化分解処理装置において、さらに、第2反応器は、2つ以上存在するとともに、これらの第2反応器が連結配管を介して互いに直列に接続されており、前記2つ以上存在する第2反応器のうち各前段の第2反応器から排出され前記連結配管を介して各後段の第2反応器に導かれる排出流体の温度を、同各後段の第2反応器内の温度に対して±20℃の範囲の温度に調節する第2の温度調節手段を備えたことにある。これによれば、各後段に設けられる第2反応器内に導入される排出流体の温度を同各後段の第2反応器内の処理温度に近い温度、具体的には、第2反応器内の温度に対して±20℃の範囲内の温度にすることができる。これにより、上記と同様に、第1反応器において窒素分を含む被処理物を600℃未満の温度かつ水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力の条件の下で酸化分解することができ、第1反応器の製作・運用・メンテナンス等を容易することができるとともに、反応ガスに含まれる窒素分を効率的に分解処理することができる。

【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記水熱酸化分解処理装置において、第1反応器は、被処理物の酸化分解によって生じる固体状の物質を排出するための排出口を備えていることにある。これによれば、被処理物を酸化分解することによって生じる固体(無機)残渣を他の反応生成物と分離して回収することができ、回収した固体(無機)残渣の廃棄、再利用・再資源化が容易となる。
【0017】
また、本発明は上記水熱酸化分解処理装置を用いた肥料の製造方法としても実施できるものである。具体的には、加熱および加圧した水に酸化剤を加えた流体中で、窒素分を含む被処理物を酸化分解処理することによって肥料を生成する肥料の製造方法において、水の臨界温度(374℃)以上の温度、かつ水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力の前記流体中で、被処理物を酸化分解する第1反応工程と、第1反応工程の温度未満の温度、かつ同第1反応工程の圧力以下の圧力で、第1反応工程によって排出される排出流体に含まれる窒素分を触媒を用いて酸化分解する第2反応工程と、第1反応工程によって排出され第2反応工程に導かれる前記排出流体の温度を、同第2反応器工程の温度に対して±20℃の範囲内の温度であってかつ同第2反応器工程の圧力を飽和水蒸気圧とする温度以上に維持にする温度調工程とを含むようにすればよい。これによれば、窒素分を含む被処理物から効率的に肥料を生成することができる。


【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る水熱酸化分解処理装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、水熱酸化分解処理装置の全体構成を模式的に示すブロック図である。この水熱酸化分解処理装置は、高圧過熱水蒸気を用いて窒素や窒素化合物などの窒素分を含む有機性廃棄物(例えば、食品加工残渣、下水汚泥または家畜排泄物など)を酸化分解して無害な物質に転化する装置である。本実施形態においては、水を450℃に加熱するとともに15MPaに加圧した状態の高圧過熱水蒸気を用いる。
【0019】
この水熱酸化分解処理装置は、貯留タンク11を備えている。貯留タンク11は、水熱酸化分解処理装置の処理対象である被処理物を貯留するための容器である。本実施形態においては、家畜排泄物や下水汚泥などの窒素分を含む有機性廃棄物に所定量の水を加えてスラリー状にした被処理物を貯留する。貯留タンク11の底部には、導入管12が接続されている。導入管12は、貯留タンク11に貯留されているスラリー状の被処理物を高圧ポンプ13およびバルブ14を介して第1反応器20に導くための配管である。高圧ポンプ13は、貯留タンク11に貯留されている被処理物を導入管12を介して第1反応器20に供給するための送液ポンプであり、後述する制御装置80により作動が制御される。また、高圧ポンプ13は、制御装置80による作動制御により、第1反応器20内の圧力を15MPaに加圧し維持するとともに、後述する第2反応器60内の圧力を15MPaに加圧し維持する。バルブ14は、導入管12を介して第1反応器20に供給される被処理物の流量を調節するための手動弁である。
【0020】
第1反応器20は、高圧過熱水蒸気を用いて被処理物を酸化分解するための容器であり、垂直方向(縦方向に)に沿って略円筒状に形成されている。この第1反応器20は、高圧過熱水蒸気、すなわち、450℃の温度かつ15MPaの圧力に耐えられる材料、例えば、ステンレス材で構成されている。第1反応器20の内部には、被処理物を酸化分解するための領域である反応室(図示せず)が液密性および気密性を備えて形成されているとともに、同反応室内の温度および圧力をそれぞれ検出して検出信号を出力する温度センサ21および圧力センサ22がそれぞれ設けられている。これらの温度センサ21および圧力センサ22はそれぞれ制御装置80に接続されている。
【0021】
第1反応器20の外周面上部には、前記導入管12が接続されているとともに、同導入管12に対向する外周面に給水管31が接続されている。給水管31は、第1反応器20の反応室内に水を供給するための配管である。第1反応器20の外周面における給水管31の下方には、第1反応器20の反応室内に酸化剤である空気(酸素)を供給するための3つの供給管41,42,43が縦方向に並んでそれぞれ接続されている。また、第1反応器20の外周面における導入管12の下方には、被処理物を酸化分解することにより生成される反応ガスを排出するための2つの排気管51,52が縦方向に並んでそれぞれ接続されている。
【0022】
第1反応器20の外周面における前記導入管12、排気管51,52および供給管41,42,43の各配管の間には、電熱コイル23が巻き回された状態で設けられている。電熱コイル23は、前記制御装置80によって作動が制御される加熱装置であり、第1反応器20の反応室内の温度を450℃に加熱するとともに、同温度状態を維持する。すなわち、この電熱コイル23は、被処理物に含まれる水を高圧過熱水蒸気にするための熱源である。
【0023】
給水管31の上流側には、バルブ32および送水ポンプ33を介して貯水タンク34が接続されている。バルブ32は、給水管31を流れる水の流量を調整するための手動弁である。送水ポンプ33は、制御装置80によりに作動が制御される送液ポンプであり、貯水タンク34に貯留された水を給水管31を介して第1反応器20の反応室内に供給する。また、供給管41,42,43の各上流側には、バルブ41a,42a,43a、共通配管44およびコンプレッサー45を介して空気取込口46が接続されている。バルブ41a,42b,43cは、供給管41,42,43内をそれぞれ流れる空気の流量を調節するための手動弁である。コンプレッサー45は、制御装置80により作動が制御される空気圧縮装置である。具体的には、コンプレッサー45は、空気取込口46を介して大気中から吸引した空気を圧縮して第1反応器20の反応室内に供給して同反応室および後述する第2反応器54の反応室内の圧力を15MPaに加圧し維持する。
【0024】
排気管51,52の各下流側は、バルブ51a,52aおよび共通排気管53を介して第2反応器60が接続されている。バルブ51a,52aは、排気管51,52内をそれぞれ流れる反応ガスの流量を調節するための手動弁である。共通配管53は、排気管51,52を介してそれぞれ導かれる第1反応器20からの反応ガスを第2反応器60に導くための配管である。この共通配管53の外周面には、電熱コイル54が巻き回された状態で設けられている。電熱コイル54は、前記電熱コイル23と同様に前記制御装置80によって作動が制御される加熱装置であり、共通配管53内を流れる反応ガスの温度を400℃に維持する。この電熱コイル54によって維持される温度は、第2反応器60での処理温度である。すなわち、この電熱コイル54は、本発明に係る第1の温度調節手段および加熱器に相当する。
【0025】
第2反応器60は、第1反応器20から排気された反応ガスに含まれる窒素分(例えば、アンモニア)を窒素ガスに転化するための容器であり、第1反応器20と同様に略円筒状に形成されている。第2反応器60の内部には、液密性および気密性を備えた反応室(図示せず)が形成されており、同反応室内に第1反応器20から排気された反応ガスに含まれるアンモニアなどを窒素ガスに転化するための粒状の触媒(例えば、二酸化マンガン)(図示せず)が設けられている。この第2反応器60の反応室内におけるアンモニアの酸化分解処理は、400℃の温度かつ15MPaの圧力の下で行われる。したがって、この第2反応器60は、400℃の温度かつ15MPaの圧力に耐えられる材料、例えば、ステンレス材で構成されている。また、この第2反応器60の反応室内には、同反応室内の温度および圧力をそれぞれ検出して検出信号を出力する温度センサ61および圧力センサ62がそれぞれ設けられている。これらの温度センサ61および圧力センサ62はそれぞれ制御装置80に接続されている。
【0026】
第2反応器60の外周面には、第2反応器60の反応室を加熱するための電熱コイル6
3が巻き回された状態で設けられている。電熱コイル63は、前記電熱コイル29と同様に、制御装置80によって作動が制御される加熱装置であり、第2反応器60内の温度を400℃に加熱するとともに、同温度状態を維持する。すなわち、この電熱コイル63は、触媒が効率よく作用する温度に加熱するための熱源である。
【0027】
第2反応器60の上部には、前記触媒を透過した反応ガスを第2反応器60の反応室ら排気するための排気管64が接続されている。排気管64の下流側には、冷却器65、焼結フィルタ66および気液分離器67がそれぞれ設けられている。冷却器65は、排気管64を空冷および水冷方式により冷却して第2反応器60から排気された反応ガスの温度を大気温度に略等しい温度にまで下げる冷却装置であり、制御装置80によって作動が制御される。焼結フィルタ66は、第2反応器60から排気された反応ガスに含まれる固形分を分離するためのものである。また、気液分離装置67は、第2反応器60から排気された反応ガスに含まれる水蒸気を液体として分離するとともに、同水蒸気が除かれた反応ガスを大気中に放出するための装置である。
【0028】
一方、第1反応器20の底部には、同第1反応器20の反応室内にて生成された固体(無機)残渣を排出するための廃棄管71が接続されている。廃棄管71の下流側には、残渣受器72およびバルブ73がそれぞれ設けられている。残渣受器72は、第1反応器20にて生成された固体(無機)残渣を回収して貯留しておく容器である。また、バルブ73は、残渣受器72に貯留された固体(無機)残渣を放出するための手動弁である。
【0029】
制御装置80は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されているとともに、作業者からの指示を入力するための入力装置(図示せず)および作業者に対して水熱酸化分解装置の作動状況を表示するための表示装置(図示せず)を備えている。この制御装置80は、作業者の指示に従ってROMなどの記憶装置に予め記憶されたプログラムを実行することにより、水熱酸化分解処理装置の各種作動を制御する。具体的には、制御装置80は、作業者からの指示に従って高圧ポンプ13、電熱コイル23,54,63、送水ポンプ33、コンプレッサー45および冷却器65の各作動の開始および停止を制御する。また、制御装置80は、温度センサ21,61および圧力センサ22,62からの検出信号を用いて第1反応器20および第2反応器60の各反応室内の温度および圧力を前記した各温度および圧力になるように高圧ポンプ13、電熱コイル23,53,63およびコンプレッサー45の各作動を制御する。
【0030】
上記のように構成した水熱酸化分解処理装置の作動について説明する。まず、作業者は、家畜排泄物(または下水汚泥)と水とを混ぜ合わせたスラリー状の被処理物(含水率約60%)を貯留タンク11内に貯留するとともに、貯水タンク34に水を貯める。そして、水熱酸化分解処理装置における図示しない電源スイッチを投入して、被処理物の処理の開始を制御装置80に指示する。この指示に応答して制御装置80は、コンプレッサー45および電熱コイル23,54,63の各作動を開始させる。これにより、第1反応器20の反応室内は、450℃に加熱されるとともに15MPaに加圧された状態となる。この場合、第1反応器20と連通する排気管51,52、共通排気管53および第2反応器60の反応室内の圧力も15MPaにそれぞれ加圧される。また、共通配管53の管内および第2反応器60の反応室内の温度は400℃に加熱される。
【0031】
また、制御装置80は、高圧ポンプ13および冷却器65の各作動をそれぞれ開始させる。これにより、高圧ポンプ13は、第1反応器20の反応室内に貯留タンク11に貯留されている被処理物の供給を開始する。導入管12を介して第1反応器20の反応室内に導入された被処理物は、同反応室の底部に向かって自由落下する。この場合、落下途中の被処理物に含まれる水分は450℃かつ15MPaの雰囲気中に曝されて高圧過熱水蒸気となり、被処理物に含まれる有機物を溶解する。高圧過熱水蒸気に溶解した有機物は、反応室内に供給されている酸化剤によって酸化分解されて、水蒸気、二酸化炭素ガスおよび窒素分を含むガス等からなる反応ガスに転化する。窒素分を含むガスとは、被処理物に含まれる窒素分が転化したアンモニアガスや、未だ酸化分解されていない一部のガス状の被処理物などである。また、被処理物に含まれる無機物(アルミナ、シリカ、リン、カルシウム、ナトリウムなど)は粉状の固体(無機)残渣として析出し、残渣受器72および第1反応器20の反応室の底部に堆積する。
【0032】
この第1反応器20内での被処理物の酸化分解処理過程において制御装置80は、第1反応器20に設置されている温度センサ21および圧力センサ22からの検出信号を用いて第1反応器20の反応室内の温度および圧力を450℃かつ15MPaに維持するための制御を行う。また、制御装置80は、被処理物の酸化分解に必要な高圧過熱水蒸気が不足すると判断した場合には、送水ポンプ43の作動を制御して貯水タンク44に貯水されている水を反応室内に適宜供給する。なお、この高圧加熱水蒸気量の過不足の検出は圧力センサ22の検出信号、すなわち反応室内の圧力状態に基づいて行われる。
【0033】
被処理物の酸化分解によって生成された前記反応ガスは、排気管51,52および共通排気管53を介して第2反応器60に導かれる。この場合、第1反応器20から排気された反応ガスは、共通配管53内を流れる過程において電熱コイル54の作動により400℃の温度に維持された状態で第2反応器60内に導かれる。すなわち、第2反応器60には、同第2反応器60内の処理温度である400℃の反応ガスが導入される。第2反応器60は、反応ガスに含まれる窒素分、具体的には、アンモニアガスや第1反応器20での未処理分の被処理物を窒素ガスに転化して排気管64から排気する。この第2反応器60内での窒素分の酸化分解処理過程において制御装置80は、第2反応器60に設置されている温度センサ61および圧力センサ62からの検出信号を用いて第2反応器60の反応室内の温度および圧力を400℃かつ15MPaに維持するための制御を行う。また、制御装置80は、第2反応器60に設置されている温度センサ61からの検出信号を用いて共通配管53内の温度を400℃に維持するための制御を行う。
【0034】
第2反応器60から排気された反応ガスは、排気管64を介して冷却器65、焼結フィルタ66および気液分離器67に導かれる。気液分離器67は、反応ガスに含まれる水蒸気を液化して貯留するとともに、二酸化炭素ガスおよび窒素ガスを大気中に放出する。一方、被処理物の酸化分解によって生成された固体(無機)残渣は、廃棄管71を介して残渣受器72内に回収され、作業者により適宜取り出される。この取り出された固体(無機)残渣は、そのまま廃棄してもよいし、他の用途、例えば、肥料などに再利用してもよい。このようにして、被処理物の酸化分解処理が連続的に実行されて、有機物を含む被処理物が水、二酸化炭素ガス、窒素ガスおよび無機物質などの無害な物質に分解される。そして、すべての被処理物を酸化処理した場合には、作業者は水熱酸化分解処理装置の作動を停止させて被処理物の酸化処理作業を終了する。
【0035】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、第2反応器60内に同第2反応器60の処理温度である400℃の反応ガスを導入している。このため、第2反応器60の反応室内における温度分布のムラを防止でき、第2反応器60内に設けられている触媒を安定した状態で機能させることができる。これにより、反応ガスに含まれる窒素分を迅速かつ定常的に酸化分解することができるとともに、触媒の劣化の進行を遅らせることができる。すなわち、窒素分を多く含む反応ガスを効率よく処理することができる。この結果、第1反応器20において窒素分を含む被処理物を水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力下で酸化分解することができ、第1反応器20の製作・運用・メンテナンス等を容易することができるとともに、反応ガスに含まれる窒素分を効率的に分解処理することができる。


【0036】
また、上記実施形態によれば、第1反応器20から排出され第2反応器60に導かれる反応ガスの温度を、第2反応器60の処理温度である400℃に維持している。すなわち、第2反応器60に導かれる反応ガスの温度は、第2反応器60内の処理圧力(15MPa)を飽和水蒸気圧とする温度(342℃)以上に維持されている。このため、反応ガスに含まれる水蒸気が液化して第2反応器60内の触媒に液体水が付着することがない。これにより、触媒の崩壊や流出を防止することができ、反応ガスに含まれる窒素分を安定的に酸化分解することができるとともに、触媒の劣化の進行を遅らせることができる。すなわち、窒素分を多く含む反応ガスを効率よく処理することができる。この結果、第1反応器20において窒素分を含む被処理物を水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力下で酸化分解することができ、第1反応器20の製作・運用・メンテナンス等を容易することができるとともに、反応ガスに含まれる窒素分を効率的に分解処理することができる。
【0037】
また、上記実施形態によれば、第1反応器20の底部に被処理物を酸化分解することにより生成される固体(残渣)残渣を排出するための排出口を設け残渣受器62内に回収している。このため、被処理物を酸化分解することによって生じる固体(無機)残渣を他の反応生成物と分離して回収することができ、回収した固体(無機)残渣の廃棄、再利用・再資源化が容易となる。
【0038】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0039】
上記実施形態においては、被処理物を酸化分解するために水の温度を450℃に加熱するとともに圧力を15MPaに加圧した状態の高圧過熱水蒸気を用いたが、600℃未満の温度かつ水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力の高圧過熱水蒸気を用いて被処理物を酸化分解処理できれば、これに限定されるものではない。具体的には、水の臨界温度(374℃)以上600℃未満の温度、5MPa以上水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力の高圧過熱水蒸気を用いるとよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0040】
また、上記実施形態においては、第2反応器60の温度を400℃とし圧力を15MPaとしたが、第1反応器20から排気される反応ガスに含まれる窒素分を比較的低い温度および圧力で分解処理できれば、これに限定されるものではない。すなわち、本実施形態においては、第2反応器60の耐久性を考慮しつつ二酸化マンガンによって構成される触媒が効率良く機能する温度および圧力を設定したものである。したがって、第2反応器60内の温度および圧力は、第2反応器60の耐久性を考慮しつつ被処理物の種類や処理量、触媒の種類(例えば、ルテニウム、パラジウムなど)や量などに応じて適宜設定すればよい。具体的には、200℃以上450℃以下の温度、5MPa以上水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力の条件の下で窒素分を分解するのが好ましい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0041】
また、上記実施形態においては、第2反応器60に導入される反応ガスの温度を400℃としたが、第2反応器60内での処理温度に近い温度(同一の温度を含む)であれば、これに限定されるものではない。具体的には、第2反応器60内での処理内容に応じて適宜決定すればよいが、好ましく±20℃程度の温度範囲、より好ましくは±10℃程度の温度範囲で維持するようにするとよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。なお、本実施形態のように二酸化マンガンによって構成される触媒を用いる場合には、反応ガスを530℃以上に加熱すると触媒が機能しなくなるので注意が必要である。
【0042】
また、上記実施形態においては、第2反応器60内に導入される反応ガスの温度を第2反応器60内の処理圧力(15MPa)を飽和水蒸気圧とする温度(約342℃)以上に維持した。これは、第2反応器60内に導入される反応ガスに含まれる水蒸気が液体水とることを防止することにより、第2反応器60内に設けられている固体状の触媒の崩壊または流出を防ぐためである。したがって、第1反応器20から排気された反応ガスの温度が374℃以上、すなわち反応ガスに含まれる水が超臨界状態である場合には、この超臨界状態(水の臨界温度である374℃以上)を保って第2反応器60に導くようにすればよい。また、第1反応器20から排気された反応ガスの温度が374℃未満の場合には、同反応ガスの温度を第2反応器60内の圧力を飽和水蒸気圧とする温度以上に維持しつつ同第2反応器60内に導くようにすればよい。さらに、触媒に悪影響を及ぼさない場合(例えば、液体状の触媒を用いた場合や第1反応器20から排出される反応物質が液体の場合)には、必ずしも第2反応器60内に導入される反応ガスの温度を第2反応器60内の処理圧力を飽和水蒸気圧または水の臨界温度である374℃以上に維持する必要はない。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0043】
また、上記実施形態においては、電熱コイル54を用いて反応ガスの温度を第2反応器60内の処理温度(400℃)に維持したが、第2反応器60内に導入する反応ガスの温度を同第2反応器60内の処理温度に近づけることができれば、これに限定されるものではない。したがって、他の熱源(加熱装置)を用いて第2反応器60内に導入される反応ガスの温度を調節するようにしてもよい。また、例えば、配管51,52や共通配管53を所定の材料および形状(例えば、長さ)によって形成することにより反応ガスの温度を第2反応器60内の処理温度に近づけることもできる。
【0044】
一方、第1反応器20から排気される反応ガスの温度が高い場合には、配管51,52や共通配管53の全部または一部にフィン状のヒートシンク(放熱器)または水冷または空冷式の冷却器を設けて第1反応器20から排気された反応ガスの温度を下げて第2反応器60内での処理温度に近づけるようにしてもよい。また、第1反応器20から排気される反応ガスの温度と第2反応器内の処理温度とが略同一の場合には、配管51,52や共通配管53の全部または一部に発泡スチロールなどの保温材(断熱材)を設けてもよい。さらに、これらの放熱器、冷却器、加熱装置および断熱材等を適宜組み合わせてもよい。これらによっても上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0045】
また、上記実施形態においては、第2反応器60内に設置した温度センサ61からの検出信号に基づいて第2反応器60内に導入する反応ガスの温度制御を行うように構成した。しかし、第2反応器60内に所定の温度の反応ガスを導入できれば、温度センサ61の位置や数、電熱コイル54の作動制御は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、共通配管53に温度センサを設置して同共通配管53内を導かれる反応ガスの温度を直接検出して電熱コイル54の作動を制御するように構成してもよい。また、単に電熱コイル54を作動させることにより反応ガスの温度を400℃に維持することができれば、上記実施形態のような電熱コイル54の制御は不要である。また、上記した配管51,52や共通配管53の材質や形状により反応ガスの温度を400℃に維持する場合や、放熱板、冷却器または保温材を用いて反応ガスの温度を400℃に維持する場合などにも電熱コイル54の制御は不要である。これらによっても上記実施形態と同様の効果が期待できる。なお、本実施形態においては、温度センサ62から出力される検出信号は、第2反応器60内の温度制御および共通配管53内を導かれる反応ガスの温度制御に兼用して用いられている。すなわち、温度センサ62から出力される検出信号は、第2反応器60内の温度を表すとともに、共通配管53内を導かれる反応ガスの温度を表している。


【0046】
また、上記実施形態においては、第1反応器20から排気された反応ガスに含まれる窒素ガスを1つの第2反応器60にて処理する構成とした。しかし、処理する窒素分が多い場合等には、第2反応器60を2つ以上設けて構成してもよい。例えば、図2に示すように、第1反応器20に対して2つの第2反応器60と第2反応器60’とを共通配管53を介して並列に接続してもよい。この場合、第2反応器60と第2反応器60’との間の共通配管53の外周面に電熱コイル53を延長して設けるとよい。また、図3に示すように、第2反応器60に対して第2反応器60’’を連結配管68を介して直列に接続してもよい。この場合、連結配管68の外周面に前記電熱コイル54と同様な電熱コイル69を巻き回して構成するとよい。この電熱コイル69も、制御装置80によって作動が制御される加熱装置であり、第2反応器60から排気され連結配管68内を流れる反応ガスの温度を400℃に維持する。この電熱コイル69によって維持される温度は、第2反応器60’’での処理温度である。すなわち、この電熱コイル69は、本発明に係る第2の温度調節手段に相当する。これによれば、各第2反応器60,60’,60’’に導入される反応ガスの温度を同各第2反応器60,60’,60’’内での各処理温度とすることができ、上記実施形態と同様の効果が期待できる。なお、各第2反応器60,60’,60’’内での処理温度がそれぞれ異なる場合には、各第2反応器60,60’,60’’ごとに反応ガスの温度を調整して導入すればよい。


【0047】
また、上記実施形態においては、第1反応器20に排気管61,62および廃棄管71をそれぞれ設け、被処理物の酸化分解反応により生じた反応ガスと固体(無機)残渣をそれぞれ第1反応器20の反応室から排出するように構成した。しかし、被処理物の酸化分解反応により生じた反応物質を排出は、反応物質の最終的な処分方法に応じて適宜決定すればよく、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、被処理物の酸化分解反応により生じた反応物質を1つの廃棄管からまとめて反応器20の外に排出し、同排出した反応物質の温度を所定の温度に調節しながら次の工程に導くように構成してもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0048】
また、上記実施形態においては、第1反応器20および第2反応器60は、各反応室が垂直方向(縦方向)に延びて形成された所謂縦型の反応器を用いたが、被処理物を水熱酸化分解処理物する反応器の形態は、これに限定されるものではない。すなわち、各反応室が水平方向(横方向)に延びて形成された所謂横型の反応器、または同横型の反応器を傾斜させた傾斜型の反応器に本発明を適用してもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0049】
また、上記実施形態においては、酸化剤として空気を用いたが、被処理物を酸化処理できる物質であれば、これに限定されるものではない。例えば、酸素、オゾンまたは過酸化水素などを用いることができる。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0050】
また、上記実施形態においては、家畜排泄物および下水汚泥を被処理物としたが、窒素分を含む被処理物であれば、これに限定されるものではない。例えば、家畜排泄物および下水汚泥以外のバイオマス系廃棄物(例えば、廃材、食品加工残渣など)、PCB(ポリ塩素化ビフェニル)、ダイオキシンなどの物質を含む被処理物を処理対象としてもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0051】
また、上記実施形態においては、窒素分を含む被処理物を高圧過熱水蒸気を用いて酸化分解処理する水熱酸化分解処理装置について説明した。しかし、第1反応器20から排出された固体(無機)残渣は、肥料として再利用できる資源でもある。すなわち、本発明に係る水熱酸化分解処理装置は、窒素分を含む被処理物から肥料を製造する肥料製造装置でもある。また、本発明に係る水熱酸化分解処理装置における第1反応器20内での処理方法は、窒素分を含む被処理物を高圧過熱水蒸気を用いて酸化分解して肥料を製造する肥料の製造方法でもある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係る水熱酸化分解処理装置の全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の変形例に係る水熱酸化分解処理装置の全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】本発明の他の変形例に係る水熱酸化分解処理装置の全体構成を模式的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
11…貯留タンク、12…導入管、13…高圧ポンプ、20…第1反応器、21,61…温度センサ、22,62…圧力センサ、23,54,63…電熱コイル、31…給水管、34…貯水タンク、41,42,43…供給管、45…コンプレッサー、51,52…排気管、53…共通配管、60…第2反応器、71…廃棄管。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2