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明細書 :インスリン抵抗性疾患モデルとしてのA170遺伝子ノックアウトマウス、及び該ノックアウトマウスを用いた方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4521510号 (P4521510)
公開番号 特開2005-304393 (P2005-304393A)
登録日 平成22年6月4日(2010.6.4)
発行日 平成22年8月11日(2010.8.11)
公開日 平成17年11月4日(2005.11.4)
発明の名称または考案の名称 インスリン抵抗性疾患モデルとしてのA170遺伝子ノックアウトマウス、及び該ノックアウトマウスを用いた方法
国際特許分類 A01K  67/027       (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
G01N  33/15        (2006.01)
FI A01K 67/027 ZNA
C12N 15/00 A
G01N 33/15 Z
請求項の数または発明の数 1
全頁数 10
出願番号 特願2004-126465 (P2004-126465)
出願日 平成16年4月22日(2004.4.22)
審査請求日 平成19年4月20日(2007.4.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
発明者または考案者 【氏名】▲柳▼川 徹
【氏名】石井 哲郎
【氏名】吉田 ▲広▼
個別代理人の代理人 【識別番号】100112874、【弁理士】、【氏名又は名称】渡邊 薫
審査官 【審査官】太田 雄三
参考文献・文献 日本口腔科学会雑誌,2002年11月10日,Vol. 51, No. 6,p. 562,51
Molecular and Cellular Biology,2002年10月,Vol. 22, No. 20,pp. 6959-6970
調査した分野 A01K 67/027
C12N 15/09
CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/PIR/GeneSeq
PubMed
CiNii
特許請求の範囲 【請求項1】
A170遺伝子ノックアウトマウスを用いる、インスリン抵抗性疾患治療剤のスクリーニング方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン抵抗性疾患モデルのノックアウトマウス、及び該ノックアウトマウスを用いた方法に関する。より詳細には、インスリン抵抗性疾患モデルとしてのA170遺伝子ノックアウトマウス、及び該ノックアウトマウスを用いたスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インスリン抵抗性疾患とは、インスリン抵抗性の上昇によって引き起こされる疾患のことをいい、2型糖尿病、高脂血症・脂肪肝、肥満、高血圧症、動脈硬化症等の成人病は、インスリン抵抗性疾患と深い関連性を持つ。即ち、インスリン抵抗性の上昇は、2型糖尿病、高脂血症・脂肪肝、肥満等を引き起こし、また、インスリン抵抗性上昇に伴う代償性の高インスリン血症は、高血圧症等の誘因となる。さらに、それらの病態が複合的に連関して、動脈硬化症等が誘発される場合もある(非特許文献1参照)。
【0003】
これらの病態の作用機序の解析、治療薬の開発等を目的として、疾患モデルマウス(ノックアウトマウス)が多く開発されている。例えば、糖尿病モデルマウスは、糖尿病に関連があると考えられる遺伝子を欠損させることにより作製し、該遺伝子の機能解析や糖尿病治療薬のスクリーニング等に用いられている。非特許文献2には、主な糖尿病モデルマウスが列記されている。
【0004】
ここで、本発明に係るA170遺伝子についての公知技術を以下に説明する。
【0005】
A170遺伝子とは、ヒトのp62をコードする遺伝子、ラットのZIPをコードする遺伝子、OSF-6と名付けられた骨関連タンパク質をコードする遺伝子等と相同性を示すマウスの遺伝子で(非特許文献3、特許文献1参照)、現在のところ、骨代謝と関連する病変(ページェット病等)との関連が強く示唆されている(特許文献1、非特許文献4参照)。そして、非特許文献4では、ページェット病の解析を目的として、p62不活性化マウスの作出が行われている。
【0006】
一方、非特許文献5には、A170と相同性を示すZIPが、Grb14と結合してインスリン・シグナルを制御することが記載されているが、A170とインスリン抵抗性疾患との具体的な関わり又は作用機序は、現在のところ知られていない。

【特許文献1】特開平6-256210号公報
【非特許文献1】「インスリン抵抗性と生活習慣病」、診断と治療社、P2等参照
【非特許文献2】「別冊・医学の歩み」、医歯薬出版株式会社、P113-117(2004)
【非特許文献3】Geetha T. et al, FEBS Letters 512 (2002) 19-24
【非特許文献4】Duran A. et al, Developmental Cell, Vol.6, 303-309, February,2004
【非特許文献5】Cariou B. et al,Molecular and Cellular Biology, Oct.2002, P.6959-6970
【非特許文献6】日本口腔科学会雑誌VOL.51、No6(2002)、p562、柳川徹ら、「A170遺伝子ノックアウトマウスの開発」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した、従来の糖尿病モデルマウスは、糖尿病と関連する遺伝子の機能解析等には有用であったが、ヒトとマウスとの間で、病態・表現型が異なる場合が多かった。
【0008】
即ち、ヒトの糖尿病等インスリン抵抗性疾患は、食物摂取量の増大、高脂血症・脂肪肝、肥満、代償性高インスリン血症による高血圧、動脈硬化等を併発する場合が多いのに対し、そのような病態を併発する糖尿病モデルマウスは作出されていなかった。そのため、ヒトのインスリン抵抗性疾患と同じ病態を示すモデルマウスの作出が課題となっていた。
【0009】
従って、本発明は、食物摂取量の増大、高脂血症・脂肪肝、肥満、高インスリン血症等、ヒトのインスリン抵抗性疾患と同様の病態を示すインスリン抵抗性疾患モデルマウスを提供すること、及び、該モデルマウスを用いたスクリーニング方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、ページェット病等の骨代謝疾患モデルとして、独自に、A170遺伝子ノックアウトマウスの作出を行った(非特許文献6参照)。その結果、意外にも、A170遺伝子ノックアウトマウスが、インスリン抵抗性を示すことを新規に見出した。
【0011】
そこで、本発明では、インスリン抵抗性疾患モデルとしてのA170遺伝子ノックアウトマウスを提供する。
【0012】
本発明は、A170遺伝子とインスリン抵抗性疾患との間の具体的な相関関係を強く示唆するものであり、インスリン抵抗性疾患の発症機序を明らかにする上で、重要な知見を与える発明である。
【0013】
即ち、本発明は、A170遺伝子と相同性を示すヒトのp62遺伝子が、骨代謝疾患だけではなく、ヒトのインスリン抵抗性疾患の発症因子としても、非常に重要な役割を果たしている可能性を強く示唆している点で、重要性が高い。
【0014】
また、本発明に係るA170遺伝子ノックアウトマウスは、インスリン抵抗性だけでなく、血中インスリン濃度の上昇、血中総コレステロール値・トリグリセリド値の上昇、体重増加(肥満)、食物摂取量の増加、脂肪肝等、ヒトのインスリン抵抗性疾患と同様の病態を示す点で、従来の糖尿病モデルマウス等よりも、有利性がある。
【0015】
即ち、従来のモデルマウスは、発現する病態(表現型)がヒトのインスリン抵抗性疾患とは必ずしも一致しなかったため、欠損させた遺伝子の機能解析等には適しているが、インスリン抵抗性疾患自体の病態解析、治療剤の開発等には、適用しにくい面があった。それに対し、A170遺伝子ノックアウトマウスはヒトのインスリン抵抗性疾患と同様の病態を示すため、該疾患関連遺伝子の機能解析だけでなく、インスリン抵抗性疾患自体の病態解析、発症機序の解明、治療剤の開発等に応用することができる。
【0016】
なお、A170遺伝子の塩基配列を配列番号1に、A170のアミノ酸配列を配列番号2に示した。配列番号1の塩基配列は、NCBIのGeneBankに登録されているcDNAの塩基配列で、翻訳される領域は、34番目から1362番目までの領域である。
【0017】
次に、本発明では、前記発明に基づき、A170遺伝子ノックアウトマウスを用いた、インスリン抵抗性疾患治療剤のスクリーニング方法を提供する。
【0018】
本発明に係るA170遺伝子ノックアウトマウスは、インスリン抵抗性だけでなく、血中インスリン濃度の上昇、血中総コレステロール値・トリグリセリド値の上昇、体重増加、食物摂取量の増加、脂肪肝等、ヒトのインスリン抵抗性疾患と同様の病態を示すため、該ノックアウトマウスに候補物質を投与することにより、これらの病態を改善する物質を探索することができる。
【0019】
なお、本発明において、インスリン抵抗性疾患とは、インスリン抵抗性を示す疾患をいい、2型糖尿病をはじめ、高インスリン血症、高脂血症、脂肪肝、高血圧、動脈硬化症等、インスリン抵抗性と病態との間に関連性がある疾患を包含する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るノックアウトマウスは、インスリン抵抗性疾患の疾患モデルとすることができる。
【実施例1】
【0021】
<A170遺伝子ノックアウトマウスの作製>
A170遺伝子ノックアウトマウスの作製は、通常用いられているジーンターゲティング法により行った。具体的な手順は、以下のとおりに行った。
【0022】
まず、ターゲッティングベクターに組み込むDNAの調製を行った。BAC/129SvJゲノムライブラリーより、A170遺伝子(A170遺伝子上流からA170遺伝子のエクソン8まで)を含むクローン数個をスクリーニングした。そして、スクリーニングにより得たクローンをもとにして、A170遺伝子をコードするDNAを調製した後、A170遺伝子のエクソン1からエクソン4をコードする領域を、ネオマイシン耐性遺伝子(Neo)に置換して、目的のDNAを作製した。
【0023】
なお、図1は、ターゲッティングベクターに組み込むDNAの構成を示したものであり、図1中、数字1~8はA170遺伝子のエクソン1~エクソン8を、Neoはネオマイシン耐性遺伝子を示している。Neoの両端には、解糖系の酵素PGK(ポリグリセリン酸キナーゼ)のプロモータとポリA末端が取り付けられており、ネオマイシン耐性遺伝子が常時発現するようにしてある。
【0024】
次に、ターゲッティングベクターの作製を行った。ターゲッティングベクターの作製には、New England Bio Labs社製のベクターパック「pGT-N28」を用いた。添付プロトコルに従って、「pGT-N28」に、制限酵素的に目的のDNAを組み込み、ターゲッティングベクターを作製した。
【0025】
次に、エレクトロポレーション法を用いて、マウスES細胞に、作製したターゲッティングベクターを導入した。マウスES細胞は、129Sv/B6由来のものを用いた。
【0026】
作製したターゲッティングベクターにはネオマイシン耐性遺伝子が含まれているため、ネオマイシン添加条件下でマウスES細胞を培養することにより、相同的組換えの起こったマウスES細胞を選抜することができた。このマウスES細胞は、相同的組換えにより、A170遺伝子のエクソン1からエクソン4をコードする領域が欠損している。
【0027】
次に、相同的組換えの起こったES細胞を、C57BL/6Nマウスから採取したブラストシストに注入してキメラ胚を作製し、そのキメラ胚を、偽妊娠雌マウス(レシピエントマウス)の子宮に移植した。そして、偽妊娠雌マウスに出産させ、キメラマウスを得た。なお、キメラマウスの判定は毛色で行い、野鼠色の部分は注入したES細胞由来、黒色部分はC57BL/6Nマウスから採取したブラストシストの細胞由来であると判断した。
【0028】
次に、該キメラマウスを交配し、F1マウスを作製し、さらにF1マウス同士を交配してF2マウスを作製し、A170遺伝子ノックアウトマウスを完成させた。なお、作製したA170遺伝子ノックアウトマウスは、メンデルの法則に従い、野生型(A170+/+)、ヘテロ型(A170+/-)、ホモ型(A170-/-)が1:2:1の割合で生まれた。また、作製したノックアウトマウスの生殖性も維持されていた。
【実施例2】
【0029】
<作製したノックアウトマウスに対するグルコース付加試験、インスリン付加試験>
グルコース負荷試験は、次の通り行った。実施例1で作製した、野生型(A170遺伝子+/+)、ヘテロ型(A170遺伝子+/-)、ホモ型(A170遺伝子-/-)のマウスを18時間絶食させた後、1g/kgのグルコースを腹腔内投与し、15分、30分、60分、120分後に血糖値を測定した。結果を図2に示す。図2中、横軸(Time)は時間(min)を、縦軸(Blood Glucose)は血糖値(mg/dl)を示している。
【0030】
インスリン負荷試験は、次の通り行った。実施例1で作製した、野生型(A170遺伝子+/+)、ヘテロ型(A170遺伝子+/-)、ホモ型(A170遺伝子-/-)のマウスに、0.75U/kgのインスリンを腹腔内投与し、15分、30分、60分、120分後に血糖値を測定した。結果を図3に示す。図3中、横軸(Time)は時間(min)を、縦軸(Glucose)は測定時の血糖値を投与時の血糖値で割った値(% of initial value)を示している。
【0031】
図2に示すとおり、グルコース負荷試験では、野生型・ヘテロ型のマウスとホモ型マウス(ノックアウトマウス)との間で、15分後の測定値には有意差が見られたものの、その他の時間では、有意差が見られなかった。一方、図3のインスリン負荷試験では、ホモ型マウス(ノックアウトマウス)は、野生型・ヘテロ型のマウスと比較し、明らかに血糖値の低下が少なかった。
【0032】
以上の結果は、本発明に係るノックアウトマウスのインスリン抵抗性が有意に上昇していることを示している。従って、本発明に係るノックアウトマウスは、インスリン抵抗性疾患モデルとして有効である。
【実施例3】
【0033】
<作製したノックアウトマウスの血中インスリン濃度の測定>
実施例1で作製した、野生型(A170遺伝子+/+)、ヘテロ型(A170遺伝子+/-)、ホモ型(A170遺伝子-/-)のマウスについて、通常飼育時と24時間絶食後の血中インスリン濃度を測定した。なお、図4中、「fed」は通常に餌を与えた個体を、「24fasted」は24時間絶食させた個体を示している。また、縦軸(Insulin)は血中インスリン濃度(ng/ml)を示している。
【0034】
その結果、図4に示すとおり、ホモ型マウス(ノックアウトマウス)は、野生型・ヘテロ型のマウスと比較し、通常飼育時・24時間絶食後ともに、明らかに血中インスリン濃度が上昇していた。
【0035】
この結果は、本発明に係るノックアウトマウスが、ヒトのインスリン抵抗性疾患の病態と同様に、高インスリン血症をも引き起こしていることを示している。従って、本発明に係るノックアウトマウスは、ヒトのインスリン抵抗性疾患と同様に高インスリン血症をも引き起こしている点で、従来のインスリン抵抗性疾患モデルマウスよりも有利性がある。
【実施例4】
【0036】
<作製したノックアウトマウスの血中総コレステロール及びトリグリセリドの測定>
実施例1で作製した、野生型(A170遺伝子+/+)、ホモ型(A170遺伝子-/-)の35週齢マウスについて、通常飼育時と24時間絶食後の血中総コレステロール及びトリグリセリドを測定した。血中総コレステロールの測定値を図5に、トリグリセリドの測定値を図6に示す。なお、図5、図6中の、「fed」は通常に餌を与えた個体を、「24fasted」は24時間絶食させた個体を示している。また、図5の縦軸(Total Choresterol)は血中総コレステロール(mg/dl)を、図6の縦軸(Triglyceride)はトリグリセリド(mg/dl)を示している。
【0037】
その結果、図5、図6に示すとおり、通常飼育時では、ホモ型マウス(ノックアウトマウス)は、野生型マウスと比較し、有意に血中総コレステロール値・トリグリセリド値ともに上昇していた。但し、絶食時には、有意な差は見られなかった。
【0038】
この結果は、本発明に係るノックアウトマウスが、ヒトのインスリン抵抗性疾患の病態と同様に、高脂血症をも引き起こしていることを示している。従って、本発明に係るノックアウトマウスは、ヒトのインスリン抵抗性疾患と同様に高脂血症をも引き起こす可能性がある点で、従来のインスリン抵抗性疾患モデルマウスよりも有利性がある。
【実施例5】
【0039】
<作製したノックアウトマウスの体重増加と食物摂取量>
実施例1で作製したノックアウトマウスを通常の飼育条件下で飼育し、体重及び食物摂取量を観察した。
【0040】
図7は野生型(A170遺伝子+/+)、ヘテロ型(A170遺伝子+/-)、ホモ型(A170遺伝子-/-)のマウスの体重の経時的変化を示した表である。横軸(age)はマウスの週齢を、縦軸(Body weight)は体重(g)を示している。
【0041】
図7に示すとおり、野生型とヘテロ型のマウスは、ほとんど体重の差はなかったのに対し、ホモ型のノックアウトマウスは、野生型・ヘテロ型と比較して有意に体重増加が見られた。
【0042】
図8の図面代用写真は、35週齢の同腹の雄マウスである。上のマウス(35 weeks Wild type)は野生型(A170遺伝子+/+)、下のマウス(35 weeks A170 KO)はノックアウトマウス(A170遺伝子-/-)である。
【0043】
図8に示すとおり、A170遺伝子ノックアウトマウスは、外見上、明らかに肥満化した。
【0044】
図9は、野生型(A170遺伝子+/+)、ヘテロ型(A170遺伝子+/-)、ホモ型(A170遺伝子-/-)のマウスの食物摂取量の経時的変化を示した表である。横軸(age)はマウスの週齢を、縦軸(Food intake)は食物摂取量(g/day)を示している。
【0045】
図9に示すとおり、野生型とヘテロ型のマウスは、ほとんど食物摂取量の増加は観察されなかったのに対し、ホモ型のノックアウトマウスは、野生型・ヘテロ型と比較して有意に食物摂取量の増加が見られた。
【0046】
以上の結果は、本発明に係るノックアウトマウスが、食物摂取量に関し、ヒトのインスリン抵抗性疾患と同様の病態を示すことを明らかにしている。従来の糖尿病疾患モデルマウス等は、肥満化・食物摂取量の増加等、ヒトのインスリン抵抗性疾患と同様の病態を必ずしも示さなかった。それに対し、本発明に係るノックアウトマウスは、ヒトのインスリン抵抗性疾患と同様の病態を示す点で、有利性がある。
【実施例6】
【0047】
<作製したノックアウトマウスと脂肪肝との相関>
実施例1で作製したノックアウトマウスを通常の飼育条件下で飼育し、42週齢(図11の顕微鏡所見は40週齢)となった時点で、解剖して肝臓を観察した。
【0048】
図10の図面代用写真は、野生型マウス(A170遺伝子+/+)及びノックアウトマウス(A170遺伝子-/-)の肝臓肉眼所見である。図10中、左側の写真(42 weeks WT female)は野生型マウスの肉眼所見、右側の写真(42 weeks A170KO female)はノックアウトマウスの肉眼所見を示す。また、図11は、野生型マウス(A170遺伝子+/+)及びノックアウトマウス(A170遺伝子-/-)の肝臓顕微鏡写真である。左側の写真(WT)は野生型マウスの顕微鏡写真、右側の写真(A170KO)はノックアウトマウスの顕微鏡写真である。図11の顕微鏡写真は、オイルレッド染色により脂肪を赤く染色した切片である。
【0049】
図10中、野生型マウスとノックアウトマウスを比較すると、ノックアウトマウスの肝臓は、明らかに黄赤色に変色しており、脂肪肝の所見である。また、図11の顕微鏡写真でも、ノックアウトマウスでは赤色に染色された部分が多く観察され、脂肪肝であると判断できる。
【0050】
この結果は、本発明に係るノックアウトマウスが、脂肪肝を併発する点で、ヒトのインスリン抵抗性疾患と同様の病態を示すことを明らかにしている。従来の糖尿病疾患モデルマウス等は、脂肪肝の病態を必ずしも併発していなかった。それに対し、本発明に係るノックアウトマウスは、脂肪肝を併発しており、ヒトのインスリン抵抗性疾患と極めて類似した病態を示している点で、有利性がある。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係るノックアウトマウスは、2型糖尿病等インスリン抵抗性疾患モデルとして、産業上有用である。本発明に係る方法は、創薬、機能性食品の開発等に貢献する可能性があるため、産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ターゲッティングベクターの構成を示す図。
【図2】グルコース負荷試験の結果を示す表。
【図3】インスリン負荷試験の結果を示す表。
【図4】血中インスリン濃度の測定結果を示す表。
【図5】血中総コレステロールの測定結果を示す表。
【図6】血中トリグリセリドの測定結果を示す表。
【図7】体重増加を示す表。
【図8】ノックアウトマウスの肥満化を示す図面代用写真。
【図9】食物摂取量の変化を示す表。
【図10】ノックアウトマウスの脂肪肝を示す肝臓肉眼所見の図面代用写真。
【図11】ノックアウトマウスの脂肪肝を示す肝臓顕微鏡写真の図面代用写真。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図9】
7
【図8】
8
【図10】
9
【図11】
10