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明細書 :通信システム、通信システムにおける中継端末および通信方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4737694号 (P4737694)
登録日 平成23年5月13日(2011.5.13)
発行日 平成23年8月3日(2011.8.3)
発明の名称または考案の名称 通信システム、通信システムにおける中継端末および通信方法
国際特許分類 H04W  84/12        (2009.01)
H04L  29/08        (2006.01)
FI H04L 12/28 300Z
H04L 13/00 307Z
請求項の数または発明の数 9
全頁数 18
出願番号 特願2007-508027 (P2007-508027)
出願日 平成18年1月20日(2006.1.20)
国際出願番号 PCT/JP2006/301272
国際公開番号 WO2006/098088
国際公開日 平成18年9月21日(2006.9.21)
優先権出願番号 2005073546
優先日 平成17年3月15日(2005.3.15)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年10月1日(2008.10.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
発明者または考案者 【氏名】藤井 威生
【氏名】児島 江里奈
個別代理人の代理人 【識別番号】100094488、【弁理士】、【氏名又は名称】平石 利子
審査官 【審査官】脇水 佳弘
参考文献・文献 国際公開第03/032617(WO,A1)
特開2005-064963(JP,A)
特開2004-282268(JP,A)
児島江里奈、藤井威生、神谷幸宏、鈴木康夫,OFDMアドホックネットワークのためのSTBCを用いた分散ARQ,電子情報通信学会技術研究報告 RCS2004-76~86〔無線通信システム〕,日本,社団法人電子情報通信学会,2004年 6月11日,Vol. 104, No. 123,pp. 7-12
調査した分野 H04L 12/28
H04W 84/12
H04L 29/08
特許請求の範囲 【請求項1】
送信端末から目的端末まで、少なくともひとつの中継端末で中継を行ってパケットデータを送信する通信システムにおいて、
前記送信端末が、パケットデータを前記目的端末に向けて送信する第1の送信手段と、
前記目的端末から送信された、前記第1の送信手段で送信したパケットデータに対する応答信号を受信する受信手段と、
前記応答信号の有無、種類により、送信端末および目的端末の情報やパケットデータの情報を含む制御信号を送信する第2の送信手段とを有し、
前記第1の送信手段が、前記第2の送信手段で制御信号を送信後、前記パケットデータを再送する手段をさらに有し、
前記目的端末が、前記第1の送信手段によって送信されたパケットデータに対する応答信号を、前記送信端末に向けて送信する第3の送信手段を有し、
前記中継端末が、前記パケットデータを受信し、該パケットデータを前記目的端末または他の中継端末へ送信する第1の中継手段と、
前記受信手段により受信した前記応答信号を前記送信端末または他の中継端末へ送信する第2の中継手段と、
前記第1の中継手段により中継送信したパケットデータの中継送信回数と、前記第2の中継手段により中継送信した応答信号の中継送信回数とから、当該中継端末の貢献度を数値により判定する判定手段とを有し、
前記判定手段により、前記貢献度が高いすなわち当該貢献度の数値が所定のしきい値に達しまたは超えたと判断した場合、前記中継端末は引き続きパケットデータの送信を行う中継モードとし、
前記貢献度が低いすなわち当該貢献度の数値がしきい値に達しないまたは超えないと判断した場合、前記中継端末はパケットデータの中継を行わない休止モードとする
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記中継モードおよび休止モードは、前記送信端末からのパケットデータの送信が行われるたびに前記判定手段によって決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1の送信手段により再送するパケットデータと、前記第1の中継手段により送信するパケットデータとでSTBC符号化を行い、パケットデータを送信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記中継端末が、前記第1の中継手段で受信する際に誤りの発生したパケットデータを記憶する記憶手段と、前記第1の送信手段によって前記送信端末から再送するパケットデータと前記記憶手段に記憶している誤りの発生したパケットデータとを合成する合成手段とを有し、前記第1の送信手段により前記送信端末からさらに再送するパケットデータと、前記中継端末が前記合成手段により合成したパケットデータとでSTBC符号化を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記目的端末からの応答信号の種類が、パケットデータを誤りなく受信した場合はACK信号、パケットデータに誤りがある場合はNACK信号であり、前記第2の送信手段が、前記目的端末からの応答信号を受信していない場合、または前記応答信号の種類がNACK信号であった場合に、制御信号を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
送信端末から目的端末へ送信するパケットデータを中継する中継端末において、
前記送信端末から送信されたパケットデータを受信し、該パケットデータを前記目的端末または他の中継端末へ送信する第1の中継手段と、
前記目的端末から送信された応答信号を受信し、該応答信号を送信端末または他の中継端末へ送信する第2の中継手段と、
前記第1の中継手段により中継送信したパケットデータの中継送信回数と、前記第2の中継手段により中継送信した応答信号の中継送信回数とから、当該中継端末の貢献度を数値により判定する判定手段とを有し、
前記判定手段により、前記貢献度が高いすなわち当該貢献度の数値が所定のしきい値に達しまたは超えたと判断した場合、引き続きパケットデータの中継を行う中継モードとし、
前記貢献度が低いすなわち当該貢献度の数値がしきい値に達しないまたは超えないと判断した場合、パケットデータの中継を行わない休止モードとする
ことを特徴とする中継端末。
【請求項7】
前記中継モードおよび休止モードは、前記送信端末からのパケットデータの送信が行われるたびに前記判定手段により決定する
ことを特徴とする請求項6に記載の中継端末。
【請求項8】
前記第1の中継手段で受信する際に誤りの発生したパケットデータを記憶する記憶手段と、
前記送信端末から送信されるパケットデータと前記記憶手段に記憶している誤りの発生したパケットデータとを合成する合成手段とを有する
ことを特徴とする請求項6に記載の中継端末。
【請求項9】
送信端末から目的端末まで、少なくともひとつの中継端末で中継を行ってパケットデータを送信する通信方法において、
前記送信端末が、パケットデータを前記目的端末に向けて送信するステップと、送信したパケットデータに対する応答信号を受信するステップと、
前記応答信号の有無、種類により、送信端末および目的端末の情報やパケットデータの情報を含む制御信号を送信するステップと、
前記制御信号を送信後、送信したパケットデータを再送するステップとを有し、前記目的端末が、送信されたパケットデータに対する応答信号を、前記送信端末に向けて送信するステップを有し、
前記中継端末が、
前記パケットデータを受信し、該パケットデータを前記目的端末または他の中継端末へ送信するステップと、
前記応答信号を受信し、該応答信号を前記送信端末または他の中継端末へ送信するステップと、
中継送信したパケットデータの中継送信回数と、中継送信した応答信号の中継送信回数とから、当該中継端末の貢献度を数値により判定するステップとを有し、
前記貢献度を判定するステップにおいて、前記貢献度が高いすなわち当該貢献度の数値が所定のしきい値に達しまたは超えたと判断した場合、引き続きパケットデータの中継を行う中継モードとし、
前記貢献度が低いすなわち当該貢献度の数値がしきい値に達しないまたは超えないと貢献度の数値がしきい値に達しないまたは超えないと判断した場合、パケットデータの中断を行わない休止モードとする
ことを特徴とする通信方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、送信端末から目的端末までパケットデータを送信する際に、中継端末で通信の中継を行う通信システム、中継端末および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基地局や有線網などの特定のインフラに頼らず、複数の無線端末が相互に通信を行うアドホックネットワークが注目されている。アドホックネットワークでは、互いの通信範囲内の端末同士では直接通信を行う一方、直接通信できない端末同士では、通信を中継する端末を中継したマルチホップ通信を行うことにより、柔軟かつ容易にネットワークを構築することができる。
【0003】
マルチホップ通信に関する技術の例として、伝送する通信回線の特徴により伝送に係るパケットのサイズを決定することによって、ビットエラー率の低減と通信効率の向上を図ることのできるものがある(例えば、特開2003-209577号公報参照)。
【0004】
一般に、ある端末(送信端末)が遠方の目的端末と、他の端末を介して通信を行う場合、中継端末が次に通信を行う端末を決めることで通信経路を決定するルーティングが必要となる。無線を用いたアドホックネットワークでは、端末の移動や接続切断などによりネットワーク情報が刻々と変化するため、任意の送信端末と目的端末の間の通信を効率よく行う上でのルーティング方式は複雑となり、多くの課題がある。
【0005】
そこで、無線を用いたアドホックネットワークにおいては、目的端末で誤りが発生した場合、目的端末から送信端末に向けてARQ(Automatic Repeat reQuest:自動再送要求)を行い、このARQに応じて、送信端末と中継端末とから一斉に再送を行うことで、ルーティングなしの通信を可能とする方式が提案されている。
【0006】
ARQに関する技術の例として、信号の受信には失敗したがその際に取得している各種情報と、ARQにより再送信された元の同じ信号とを結合させるというものがある(例えば、特表2001-518725号公報参照)。
【0007】
ところで、マルチホップ通信が必要となる環境において、送信端末と目的端末との距離が離れている場合や、フェージングによる電力の落ち込みが発生した場合、通常のマルチホップ通信を行うとパケットに誤りが発生し、特性が大幅に劣化することがある。
【0008】
上記の特性劣化を改善する方法の一つとして、複数のアンテナを用いてパケットを送信するアンテナダイバーシチ技術が知られている。この送信アンテナダイバーシチ技術の一つとして、STBC(Space-Time Block Code:時空間ブロック符号化)が知られている。これは、異なる符号化を施して複数の送信アンテナからそれぞれ同時にパケットを送信することで、受信側においてダイバーシチ利得を得るものである。図7(A)は2つの送信アンテナを用いたSTBC通信システムの構成例である。
【0009】
図7(A)では、情報源71からSTBC機能を備えた送信端末72に複素信号(シンボル)S0,S1,・・・が送られる。送信端末72では、連続する2つのシンボルS0,S1から、図7(B)に示すような第1のSTBC送信パターン(パターン1:S0,パターン2:S1)および第2の送信パターン(パターン1:-S1*,パターン2:S0*)を作成し、パターン1の信号S0,S1*をアンテナ731から、パターン2の信号S1,S0*をアンテナ732から送信する。受信端末74では、図7(A)の式に示すように、重み付け合成を行い最大比合成(MRC)と同等のダイバーシチ利得を得ることができる。
【0010】
アドホックネットワークにおいてダイバーシチ利得を得る場合、一つの端末に複数のアンテナを用意するのは、端末の小型化が求められるため難しい。そこで、周囲に分散して存在する端末(分散端末)を活用し、それぞれの端末をアンテナダイバーシチブランチとしてパケットを同時に送信することで、STBCにおけるダイバーシチ利得を得る方法が提案されている(例えば、児島江里奈、藤井威生、神谷幸宏、鈴木康夫「OFDMアドホックネットワークのためのSTBCを用いた分散ARQ」,信学技報,2004年6月,RCS2004-77,pp.7-12参照)。STBCでは、送信側でチャネルの情報を必要とせず、また分散端末での送信時に端末間で位相の共有が必要にならないというメリットもある。図8に複数端末によるSTBCのモデルを示す。
【0011】
アドホックネットワークのための、STBCを用いた端末分散ARQによる信号の送受信概略図を図9に、時間経過による信号の伝送状況の例を図10に示す。なお、通信方式には、ARQによる再送時の端末間のタイミングオフセットなどを考慮して、ガードインターバル(GI:Guard Interval)によるタイミング誤差の影響低減効果のあるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式を用いる。
まず、パケット送信時における、送信端末Sおよび中継端末Rn(n=1,2,3・・・)の動作を図11に示す。送信端末Sが目的端末Dに向けてパケットを送信すると(ステップSa1)、受信待機状態(ステップSb1)である中継端末Rnはこれを受信し(ステップSb3)、仮復調を行う(ステップSb5)。
【0012】
誤りなしで復調を行った場合(ステップSb7で「Yes」)、中継端末Rはパケットの再送を待機する(ステップSb9)。復調に誤りがあった場合(ステップSb7で「No」)、ステップSb1の受信待機状態に戻る。また、パケットの再送待機の時間が規定時間を経過した場合は(ステップSb11で「No」)、処理を終了する。
【0013】
一方、送信端末Sは、一定時間内に受信端末DからのACK(Acknowledgement)を受信しているか否か判断する(ステップSa3)。送信端末SがNACK(Negative Acknowledgement)を受信している場合、あるいは一定時間を過ぎても送信端末SがACKを受信していない場合(ステップSa3で「No」)、送信端末Sは、規定再送回数以下のパケットの送信回数であれば(ステップSa5で「Yes」)、パケット再送の回数(r回とする)と同じ数の再送用制御信号を送信する(ステップSa7)。例えば、パケット再送の回数が2回目ならば、再送用制御信号は2つ送信する。
【0014】
規定再送回数を超える場合(ステップSa5で「No」)、パケットを破棄し処理を終了する。
ここで、再送用制御信号には、送信端末Sのアドレス、目的端末Dのアドレス、パケットID、再送タイミング用ビット、送信回数、最大再送回数等を含んでいる。
【0015】
中継端末Rnが最初に受信した再送用制御信号が,送信端末SからN回目の送信であるとすると、現在のパケット再送回数がr回の時(ステップSb13で「Yes」)、中継端末Rnは送信された再送用制御信号に含まれる情報をチェックし、あらかじめ中継端末Rnに保存しておいた送信回数情報を更新する(ステップSb15)。この再送用制御信号に、ステップSb3で受信して中継端末Rnで保持しているパケットのIDが含まれている場合、中継端末Rnは再送タイミングを同期させ、送信端末Sからの制御信号を(r-N)回、目的端末Dまたは他の中継端末Rm(n≠m,m=1,2,3・・・)に送信する(ステップSb17)。
【0016】
次に、送信端末Sと、ステップSb3で送信端末Sからのパケットを受信した中継端末Rnの両者は、目的端末Dまたは他の中継端末Rmに向けて一斉に再送パケットを送信する(ステップSa9,Sb19)。このとき、送信端末Sと中継端末RnはSTBCの2つの送信パターンを自律的に選択して送信する。送信端末Sと中継端末Rnの両方から、STBCを用いた再送パケットを受信した中継端末Rmまたは目的端末Dは、STBCのパターン毎にチャネル推定値を分離し、重み付け合成を行い復調する。
【0017】
そして、送信端末SはステップSa3の動作に、中継端末RnはステップSb9の動作に戻る。
【0018】
次に、ACK送信時における目的端末Dおよび中継端末Rmの動作を図12に示す。
【0019】
目的端末Dはパケットを受信し(ステップSc1)、パケットに誤りがあった場合(ステップSc3で「Yes」)、送信端末Sに向けてNACKを送信する(ステップSc5)。パケットに誤りがなかった場合(ステップSc3で「No」)、目的端末Dは送信端末Sに向けてACKを送信する(ステップSc7)。
このACK、NACKの中継は、制御信号の中継の逆を行う。パケットがr回の再送で目的端末Dに届いた場合、目的端末はACKまたはNACKを(r+1)回送信する。
【0020】
送信されたACKまたはNACKをM回目で受信した(ステップSd1)中継端末Rmは、(r+1-M)回の送信を行って送信端末SまでのACKまたはNACKの中継を行う(ステップSd3)。
【発明の開示】
【0021】
STBCを用いて複数端末でのARQを行うと、単にOFDMのみで再送を行うより、ダイバーシチ利得を得られる分、パケット成功率が改善される。また、再送回数が多いほどパケット成功率が良くなり、ルーティングを用いなくても品質の良い通信が可能である。
【0022】
しかしながら、STBCを用いた複数端末でのARQは、再送を繰り返しているうちに全方向に信号を送信してしまうため、実際に目的端末までの中継の役に立っていない端末までも使用することになり、無駄な電力の消費をしてしまう。
【0023】
この発明は上記のような点に鑑みてなされたもので、無線端末のパケット伝送において、マルチホップ通信でのダイバーシチ利得で特性の改善を図りつつ、なおかつ無駄な再送による電力の消費を抑えることができる通信システム、通信システムにおける中継端末および通信方法を提供することを目的としている。
【0024】
本発明の通信システムは、(1)から(5)を要旨とする。
【0025】
(1)送信端末から目的端末まで、少なくともひとつの中継端末で中継を行ってパケットデータを送信する通信システムにおいて、前記送信端末が、パケットデータを前記目的端末に向けて送信する第1の送信手段と、前記目的端末から送信された、前記第1の送信手段で送信したパケットデータに対する応答信号を受信する受信手段と、前記応答信号の有無、種類により、送信端末および目的端末の情報やパケットデータの情報を含む制御信号を送信する第2の送信手段とを有し、前記第1の送信手段が、前記第2の送信手段で制御信号を送信後、前記パケットデータを再送する手段をさらに有し、前記目的端末が、前記第1の送信手段によって送信されたパケットデータに対する応答信号を、前記送信端末に向けて送信する第3の送信手段を有し、前記中継端末が、前記パケットデータを受信し、該パケットデータを前記目的端末または他の中継端末へ送信する第1の中継手段と、前記受信手段により受信した前記応答信号を前記送信端末または他の中継端末へ送信する第2の中継手段と、前記第1の中継手段により中継送信したパケットデータの中継送信回数と、前記第2の中継手段により中継送信した応答信号の中継送信回数とから、当該中継端末の貢献度を数値により判定する判定手段とを有し、前記判定手段により、前記貢献度が高いすなわち当該貢献度の数値が所定のしきい値に達しまたは超えたと判断した場合、前記中継端末は引き続きパケットデータの送信を行う中継モードとし、前記貢献度が低いすなわち当該貢献度の数値がしきい値に達しないまたは超えないと判断した場合、前記中継端末はパケットデータの中継を行わない休止モードとすることを特徴とする通信システム。
【0026】
(2)前記中継モードおよび休止モードは、前記送信端末からのパケットデータの送信が行われるたびに前記判定手段によって決定することを特徴とする(1)に記載の通信システム。
【0027】
(3)前記第1の送信手段により再送するパケットデータと、前記第1の中継手段により送信するパケットデータとでSTBC符号化を行い、パケットデータを送信する
ことを特徴とする(1)に記載の通信システム。
【0028】
(4)前記中継端末が、前記第1の中継手段で受信する際に誤りの発生したパケットデータを記憶する記憶手段と、前記第1の送信手段によって前記送信端末から再送するパケットデータと前記記憶手段に記憶している誤りの発生したパケットデータとを合成する合成手段とを有し、前記第1の送信手段により前記送信端末からさらに再送するパケットデータと、前記中継端末が前記合成手段により合成したパケットデータとでSTBC符号化を行う
ことを特徴とする(1)に記載の通信システム。
【0029】
(5)前記目的端末からの応答信号の種類が、パケットデータを誤りなく受信した場合はACK信号、パケットデータに誤りがある場合はNACK信号であり、前記第2の送信手段が、前記目的端末からの応答信号を受信していない場合、または前記応答信号の種類がNACK信号であった場合に、制御信号を送信することを特徴とする(1)に記載の通信システム。
【0030】
本発明の中継端末は、(6)から(8)を要旨とする。
【0031】
(6)送信端末から目的端末へ送信するパケットデータを中継する中継端末において、前記送信端末から送信されたパケットデータを受信し、該パケットデータを前記目的端末または他の中継端末へ送信する第1の中継手段と、前記目的端末から送信された応答信号を受信し、該応答信号を送信端末または他の中継端末へ送信する第2の中継手段と、前記第1の中継手段により中継送信したパケットデータの中継送信回数と、前記第2の中継手段により中継送信した応答信号の中継送信回数とから、当該中継端末の貢献度を数値により判定する判定手段とを有し、前記判定手段により、前記貢献度が高いすなわち当該貢献度の数値が所定のしきい値に達しまたは超えたと判断した場合、引き続きパケットデータの中継を行う中継モードとし、前記貢献度が低いすなわち当該貢献度の数値がしきい値に達しないまたは超えないと判断した場合、パケットデータの中継を行わない休止モードとすることを特徴とする中継端末。
【0032】
(7)前記中継モードおよび休止モードは、前記送信端末からのパケットデータの送信が行われるたびに前記判定手段により決定する
ことを特徴とする(6)に記載の中継端末。
【0033】
(8)前記第1の中継手段で受信する際に誤りの発生したパケットデータを記憶する記憶手段と、
前記送信端末から送信されるパケットデータと前記記憶手段に記憶している誤りの発生したパケットデータとを合成する合成手段とを有する
ことを特徴とする(6)に記載の中継端末。
【0034】
本発明の通信方法は、(9)を要旨とする。
【0035】
(9)送信端末から目的端末まで、少なくともひとつの中継端末で中継を行ってパケットデータを送信する通信方法において、前記送信端末が、パケットデータを前記目的端末に向けて送信するステップと、送信したパケットデータに対する応答信号を受信するステップと、前記応答信号の有無、種類により、送信端末および目的端末の情報やパケットデータの情報を含む制御信号を送信するステップと、前記制御信号を送信後、送信したパケットデータを再送するステップとを有し、前記目的端末が、送信されたパケットデータに対する応答信号を、前記送信端末に向けて送信するステップを有し、前記中継端末が、前記パケットデータを受信し、該パケットデータを前記目的端末または他の中継端末へ送信するステップと、前記応答信号を受信し、該応答信号を前記送信端末または他の中継端末へ送信するステップと、中継送信したパケットデータの中継送信回数と、中継送信した応答信号の中継送信回数とから、当該中継端末の貢献度を数値により判定するステップとを有し、前記貢献度を判定するステップにおいて、前記貢献度が高いすなわち当該貢献度の数値が所定のしきい値に達しまたは超えたと判断した場合、引き続きパケットデータの中継を行う中継モードとし、前記貢献度が低いすなわち当該貢献度の数値がしきい値に達しないまたは超えないと判断した場合、パケットデータの中継を行わない休止モードとすることを特徴とする通信方法。
【発明の効果】
【0036】
以上の説明で明らかなように、本発明の通信システム(上記した(1)から(5))によれば、送信端末が送信したパケットデータの中継送信回数と、目的端末が送信した応答信号の中継送信回数とから、中継端末の貢献度を判定するので、中継端末がパケットデータの中継送信における自身の貢献度を自律的に判定することができる。
【0037】
また、上記した(1)に記載の発明によれば、貢献度が高い中継端末はパケットデータの中継を行い、貢献度が低い中継端末はパケットデータの送信を行わないので、送信に係る端末の無駄な電力の浪費を抑えることができる。
【0038】
また、上記した(2)に記載の発明によれば、休止モードである中継端末も、判定手段により中継モードに移行してパケットデータの中継を行うことができる。
【0039】
また、上記した(3)に記載の発明によれば、STBC符号化を行うことにより、ダイバーシチ利得を得られパケットデータの特性を改善することができる。
【0040】
また、上記した(4)に記載の発明によれば、誤りの発生したパケットデータを保存し、次に再送されたパケットデータと合成するので、1リンク目におけるパケットデータの特性も改善し、パケットデータ全体の品質を向上することができる。
【0041】
また、上記した(5)に記載の発明によれば、目的端末がパケットデータを誤り無く受信できていない場合に、送信端末が制御信号を送信するので、目的端末がパケットデータを確実に受信することができる。
【0042】
また、上記した(6)から(8)に記載の中継端末によれば、中継送信したパケットデータの中継送信回数と、応答信号の中継送信回数とから、中継端末の貢献度を判定するので、中継端末がパケットデータの中継送信における自身の貢献度を自律的に判定することができる。
【0043】
また、上記した(6)に記載の中継端末は、貢献度が高い中継端末がパケットデータの中継を行い、貢献度が低い中継端末はパケットデータの中継を行わないので、送信端末から中継端末への、送信に係る無駄な電力の浪費を抑えることができる。
【0044】
また、上記した(7)に記載の中継端末は、休止モードであっても、判定により中継モードに移行してパケットデータの中継を行うことができる。
【0045】
また、上記した(8)に記載の中継端末は、誤りの発生したパケットデータを保存し、送信端末から次に再送されたパケットデータと合成するので、1リンク目におけるパケットデータの特性も改善し、パケットデータ全体の品質を向上することができる。
【0046】
また、上記した(9)に記載の通信方法は、中継端末が中継送信したパケットデータの中継送信回数と、応答信号の中継送信回数とから、中継端末の貢献度を判定するので、中継端末がパケットデータの中継送信における自身の貢献度を自律的に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1は、本発明の一実施形態に係る、送信端末S、中継端末R1~R13、目的端末Dの送受信図である。
図2は、同上の実施形態における各端末の概略構成を示すブロック図である。
図3は、分散ARQ適用時の端末貢献度判定例(判定条件を総ホップ数±1としたとき)のフローチャートである。
図4は、同上の実施形態における、中継端末R1に注目した場合の時間経過による信号の伝送状況である。
図5は、同上の実施形態における、中継端末R10に注目した場合の時間経過による信号の伝送状況である。
図6は、同上の実施形態における、中継端末のモード切替図である。
図7は、2つの送信アンテナを用いたSTBCの構成例である。
図8は、複数端末によるSTBCの構成例である。
図9は、アドホックネットワークのための、STBCを用いた端末分散ARQの送受信概略図である。
図10は、アドホックネットワークのための、STBCを用いた端末分散ARQの時間経過による信号の伝送状況である。
図11は、従来のパケット送信時における、送信端末Sおよび中継端末Rnの動作を示すフローチャートである。
図12は、従来のパケット送信時における、ACK送信時における目的端末Dおよび中継端末の動作を示すフローチャートである。
図13は、パケットを同位相合成した場合における時間経過による信号の伝送状況である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0049】
図1は、本発明の一実施形態に係る送信端末S、目的端末D、中継端末R1~R13の送受信図である。送信端末Sから目的端末Dへの送信方向の間にある中継端末をR1~R7、目的端末Dへの送信方向の逆側にある中継端末をR8~R13とする。
【0050】
図2は送信端末S、目的端末D、中継端末R1~R13の構成図である。
まず、中継端末R1~R13の構成について述べる。送受信アンテナ11で受信したパケット等の信号Xは、サーキュラー19を介して無線受信部12へ入力される。無線受信部12は、入力された信号Xをダウンコンバートし、A/D変換してディジタル信号Yに変換し、制御部10に出力する。次に制御部10は、このディジタル信号Yを復調部13に入力し、その信号がSTBC符号化されている場合にはSTBCの復号の操作を行った後、信号の復調を行わせる。次に制御部10は、インタリーバ/デインタリーバ部17で信号のデインタリーバを行う。これは、マルチキャリア通信の場合のキャリアシフトに対応している。
【0051】
次に制御部10は、メモリ16に記憶されている先に受信した信号Zを呼び出し、パケット合成部15で信号Yと信号Zを合成させ検波する。制御部10は、この合成信号に対して誤りがないかを判断する。誤りがあった場合、制御部10はその検波前の信号をメモリ16に格納し、再度次の信号到来を待つ。
誤りがなかった場合、制御部10は、検波されたこの合成信号を変調部14に入力し、変調を行わせる。さらに制御部10は、変調部14で変調した合成信号に対しSTBC符号化をし、無線送信部18へ出力する。無線送信部18は、この合成信号をD/A変換してディジタル信号をアナログ信号に変換し、無線周波数に合わせてアップコンバートする。そして信号はサーキュラー19を経由し送受信アンテナ11から送信される。
【0052】
送信端末Sの構成においては、送信信号は制御部10で生成される。また、インタリーバ/デインタリーバ部17ではインタリーバを行う。
また、目的端末Dの構成においては、無線送信部18に信号を送らない。
送信端末Sが1回目にパケットを送信する際、中継端末R1~R13は、先に示した図10の従来技術と同様に、パケットを受信した全端末において再送によるデータ伝送を実行する。
【0053】
送信端末Sが2回目以降にパケットを送信する際に、中継端末R1~R13は、パケット送信における中継と、返りのACK(またはNACK)中継のホップ数から、中継端末自身の貢献度を判定する。そして、貢献度の高い中継端末は「中継モード」、貢献度の低い中継端末は「休止モード」として自律的に決定する。
【0054】
中継端末の貢献度の判定条件は、典型的には、
判定条件1:中継端末がACKを受信している
判定条件2:中継端末のパケットの送信回数をSTDATA、中継端末のACKの送信回数をSTACKとすると、総ホップ数をTTHOPとしたときに、
TTHOP-1≦STDATA+STACK≦TTHOP+1 (1)
とすることができる。
【0055】
判定条件1では、判定の対象となる中継端末が、送信端末Sから目的端末Dまでの送信方向の間にあるか否かを判断することができる。また、判定条件2では、送信端末Sから目的端末Dまで大回りしたルート上にある中継端末への、2回目以降の無駄な再送を回避することができる。
ここで、判定条件2における「総ホップ数±1」とは、送信パケットとACKのデータ長の違いによる信頼度を考慮したものである。
【0056】
判定条件2の他の例として、
判定条件2:TTHOP-α1≦STDATA+STACK≦TTHOP+α2 (2)
とすることもできる。ここで、α1はたとえば「0」または正の整数であり、α2は正の整数である。また、α1≠α2であってもよいし、α1=α2であってもよい。
α1,α2の値を小さく設定し過ぎると、比較的貢献度が高かった端末が休止モードに入ったがために、再送回数が増えることがある。また、α1,α2の値を大きく設定し過ぎると、電力消費が大きくなる。
【0057】
上記の判定条件1および/または判定条件2を満たした中継端末は、貢献度が高いと判断し、中継モードとしてデータ再送を行う。
【0058】
逆に、判定条件1および/または判定条件2を満たさない中継端末は、貢献度が低いと判断し、休止モードとしてデータの再送を休止する。
【0059】
貢献度は、通常は、判定条件1および判定条件2を勘案して定義される。貢献度の定義手法はさまざまであり、貢献度を、関数F(b,α1,α2)あるいは関数F(b,α)(ただし、α=α1=α2)で表わし、判定条件1を充足する場合にはb=1,充足しない場合にはb=0として、貢献度を算出するようにしてもよい。また、関数Fのパラメータを、パケットデータ長等のパケットの属性を加えることができる
【0060】
貢献度は送信するデータの中継に、その中継端末がどの程度最適な中継経路として機能するかの度合いである。
【0061】
図3は、分散ARQ適用時の端末貢献度の、中継端末による自己判定例(判定条件2を総ホップ数±1としたとき)のフローチャートである。まず、中継端末に送信端末から制御パケットが到来し、データパケットの中継動作を行う(ステップSe1)。つぎに、当該端末におけるパケットの送信回数をカウントする(ステップSe3)。中継端末は、ACKが到来せずに、パケットの再送待機の時間が規定時間を経過した場合等により処理が終了するときは、判定条件1を満たさないので、休止モードを維持するか、中継モードから休止モードに移行する(ステップSe17)。
【0062】
ステップSe3において、ACKが到来したときはACKの中継動作を行い(ステップSe7)、中継端末におけるACKの送信回数をカウントする(ステップSe9)。そして、ACKに含まれている中継に要した総ホップ数を認識し(ステップSe11)、「STDATA(パケット送信回数)」+「STACK(ACKの送信回数)」が「TTHOP(総ホップ数)」又は「TTHOP(総ホップ数)±1」であるか否かを判断する(ステップSe13)。
【0063】
ステップSe13において、STDATA+STACKがTTHOP又はTTHOP±1である場合(ステップSe13で「Yes」)のときは判定条件1および判定条件2を満足するので、中継モードを維持するか休止モードから中継モードに移行する(ステップSe15)。ステップSe13において、STDATA+STACKがTTHOPでなく、かつTTHOP±1でない場合(ステップSe13で「No」)では、判定条件1および判定条件2を満足しないので、休止モードを維持するか中継モードから休止モードに移行する(ステップSe17)。
【0064】
中継端末R1に注目した場合の、時間経過による信号の伝送状況を図4に示す。図4で中継端末R1は、送信端末Sからのパケットを受信し、中継端末R4を経由して目的端末Dに送信する。送信端末Sからのパケット送信の中継では、総ホップ数が3ホップ、中継端末R1の送信回数が2回である。一方、目的端末DからのACK(またはNACK)の中継では、ACKの総ホップ数が3ホップ、中継端末R1におけるACKの送信回数が1回である。
【0065】
よって中継端末R1は、ACKを受信しているので判定条件1を満たし、また、パケットの送信回数とACKの送信回数の和が3と、総ホップ数の3と等しく判定条件2を満たしているので、貢献度Fが高いと判断し、中継モードの状態となる。
【0066】
中継端末R10に注目した場合の時間経過による信号の伝送状況を図5に示す。図5で中継端末R10は、送信端末Sからのパケットを中継端末R11経由で受信する。しかし、中継端末R10は送信端末Sをはさんで目的端末Dと逆側にあるため、中継端末R10から目的端末Dへパケットを直接送信することができない。図5において、送信端末Sからのパケット送信の中継では、総ホップ数が3ホップ、中継端末R10の送信回数が1回である。一方、目的端末DからのACK(またはNACK)の中継では、ACKの総ホップ数が3ホップ、中継端末R10におけるACKの送信回数が0回である。よって、判定条件1、2のどちらも満たさず、中継端末R10は貢献度Fが低いと判断し、休止モードの状態となる。
【0067】
図6に中継端末のモード切替図を示す。初期状態(a)において、中継端末は全て中継モードである。送信端末Sから目的端末Dまでのパケット中継を行った際に、判定条件1、2を満たした中継端末(b)は、中継モードを維持している。送信端末Sからのパケット中継を行った際に、判定条件1、2を満たさなかった中継端末(c)は、休止モードとなる。
【0068】
休止モードの中継端末は、パケットを受信して擬似的に中継処理をシミュレートしているものの、パケットの中継、ACKの中継は行わず、一定時間後には受信したパケットを廃棄する。その疑似中継時に判定条件1,2を満足した休止モードの中継端末(d)は、休止モードから中継モードに移行する。疑似中継時にも判定条件1,2を満たさない端末(e)は、休止モードの状態のままである。
パケットの中継が連続して失敗し、一定時間内での中継端末間の伝送が無い場合(f)、または規定再送回数以上まで送信端末Sが再送した場合(g)、休止モードの中継端末は中継モードに移行する。
【産業上の利用の可能性】
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、中継端末がパケットの中継とACKの中継とで自身の貢献度Fを判定し、中継モードあるいは休止モードを自律的に決定する。よって、送信端末Sから目的端末Dまでの送信方向にないため、パケットを中継するのに効率の悪い中継端末を休止モードとすることができ、パケットの無駄な再送を回避することができる。また、中継端末が送信方向外に移動した場合でも、モードを遷移することで対処することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0071】
例えば、上記実施形態では、送信端末Sから中継端末に送信される最初の1ホップが単ルートであるため、他のホップで得られるダイバーシチ利得と同様な特性改善効果を得られない。そこで、中継端末が最初の1ホップでパケットを受信する際に誤りが発生した場合、その誤った受信信号を保存し、次の再送1回目で送信されたパケットと同位相合成する。そして、再送2回目でこの中継端末と送信端末Sの両者が、目的端末Dまたは他の中継端末に向けて一斉に再送パケットを送信し、最初の1ホップであってもダイバーシチ利得を得るような構成としてもよい。図13にこの場合の時間経過による信号の伝送状況を示す。さらに2ホップ目以降でも、パケット受信に誤りが発生した場合には前の信号を保存し、次の再送時にSTBCの復号結果と共に合成することで、STBCのダイバーシチ利得に加えて、保存信号との間でのダイバーシチ利得を得ることができる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図8】
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【図11】
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