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明細書 :バイオマスのガス化方法及びガス化装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4048277号 (P4048277)
公開番号 特開2005-053972 (P2005-053972A)
登録日 平成19年12月7日(2007.12.7)
発行日 平成20年2月20日(2008.2.20)
公開日 平成17年3月3日(2005.3.3)
発明の名称または考案の名称 バイオマスのガス化方法及びガス化装置
国際特許分類 C10J   3/00        (2006.01)
B09B   3/00        (2006.01)
C10B  53/02        (2006.01)
C10J   3/54        (2006.01)
FI C10J 3/00 ZABK
B09B 3/00 302Z
C10B 53/02
C10J 3/54 A
C10J 3/54 H
C10J 3/54 L
C10J 3/54 M
請求項の数または発明の数 15
全頁数 18
出願番号 特願2003-206289 (P2003-206289)
出願日 平成15年8月6日(2003.8.6)
審査請求日 平成15年8月6日(2003.8.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
発明者または考案者 【氏名】冨重 圭一
【氏名】山田 宗慶
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100107227、【弁理士】、【氏名又は名称】藤谷 史朗
【識別番号】100114292、【弁理士】、【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100119530、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 和幸
審査官 【審査官】中島 庸子
参考文献・文献 特開2001-221415(JP,A)
特開2002-327183(JP,A)
特開昭61-106696(JP,A)
特開2001-279266(JP,A)
特開2001-240878(JP,A)
特開昭56-081392(JP,A)
特開昭50-126005(JP,A)
調査した分野 C10J 1/00~3/86
B09B 3/00
C10B 53/02
特許請求の範囲 【請求項1】
熱分解部内にタール改質部が設けられているデュアルベット型のガス化装置を用いて、
ガス化装置の上部からバイオマスを供給し、バイオマスを固体成分と気体成分とに熱分解させ、前記熱分解により生じた気体成分のみを触媒層に通過させ、
且つガス化装置の下部からガス化装置の熱分解部に酸素及び/又は水蒸気を導入し、該酸素及び/又は水蒸気を該熱分解部を通って熱分解部内に設けられたタール改質部内の触媒層に導入し
前記触媒層にて、前記熱分解により生じた気体成分を、酸素及び/又は水蒸気と反応させて、合成ガスを生成させる、バイオマスのガス化方法。
【請求項2】
前記固体成分が、チャー、又は灰分であることを特徴とする請求項1記載のガス化方法。
【請求項3】
前記気体成分が、ガス状のタールであることを特徴とする請求項1記載のガス化方法。
【請求項4】
前記熱分解を、800℃以下の温度で行なうことを特徴とする請求項1~3項のいずれか1項記載のガス化方法。
【請求項5】
バイオマスが、植物、動物、または菌類由来の物質である請求項1~4項のいずれか1項に記載のガス化方法。
【請求項6】
植物が、杉、バガス、稲わら、ジュートから群から選択される少なくとも1種である請求項5記載のガス化方法。
【請求項7】
触媒が、Rh/CeO2/M(MはSiO2、Al2O3、又はZrO2である。)である請求項1~6項のいずれか1項に記載のガス化方法。
【請求項8】
ガス化装置の上部からバイオマスを供給するバイオマスフィーダーと、
供給されたバイオマスを固体成分と気体成分とに熱分解及び分離する熱分解部と、
ガス化装置の下部からガス化装置の熱分解部に酸素及び/又は水蒸気を導入するためのガス注入口と、
前記熱分解部で分離された気体成分と熱分解部を通過した酸素及び/又は水蒸気のみをタール改質部に導入するための連通管及び触媒層を具えるタール改質部と
を有し、
前記タール改質部は、前記熱分解部内に設けられており、前記分離した気体成分と前記酸素及び/又は水蒸気のみが導入され、前記触媒層にて、前記分離した気体成分を、前記連通管を通って導入された酸素及び/又は水蒸気と反応させて、合成ガスを生成させることを特徴とするバイオマスのデュアルベット型のガス化装置。
【請求項9】
前記固体成分が、チャー、又は灰分であることを特徴とする請求項8記載のガス化装置。
【請求項10】
前記気体成分が、ガス状のタールであることを特徴とする請求項9記載のガス化装置。
【請求項11】
前記熱分解を、800℃以下の温度で行なうことを特徴とする請求項8~10項のいずれか1項記載のガス化装置。
【請求項12】
バイオマスが、植物、動物、または菌類由来の物質であることを特徴とする請求項9~11項のいずれか1項に記載のガス化装置。
【請求項13】
触媒が、Rh/CeO2/M(MはSiO2、Al2O3、又はZrO2である。)である請求項9~13項のいずれか1項に記載のガス化装置。
【請求項14】
さらに、ガス注入口を有する請求項9~14のいずれか1項に記載のガス化装置。
【請求項15】
ガス注入口が、少なくとも前記熱分解部に存在することを特徴とする請求項15記載のガス化装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオマスのガス化方法及びガス化装置に関し、特にバイオマスの熱分解と、その後のタール改質とを分離して行なうバイオマスのガス化方法及びガス化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、バイオマスは発電用燃焼燃料として用いられるか、又は廃棄物として処理されてきた。バイオマスの合成ガスへのガス化は、環境保護の観点から多くの利点を有する。即ち、合成ガスは、CO+H2を含むガスであるから、クリーン燃料に変換することにより、大気中へのCO2排出の低減が可能となる。例えば、クリーンディーゼル燃料とジメチルエーテルは、将来有望なスーパークリーン燃料であり、該燃料は合成ガスから効率よく製造することができる(T. Shikadaら, Stud. Surf. Sci. Catal. 119, 1998, 515)。
【0003】
従って、この分野における専らの関心は、バイオマスの合成ガスへのガス化において、より効率のよいプロセスを開発することである(I. Narvaezら, Ind. Eng. Chem. Res. 35, 1996, 2110; D. Xianwenら, Energy Fuels 14, 2000, 552;I. D. Bariら, Energy Fuels 14, 2000, 889; P. Vriesmanら, Fuel 79, 2000,1371; C. D. Blasiら, Energy Fuels 11, 1997, 1109)。このプロセスにおいて最も深刻な問題は、非常に高温で反応を行った場合でも、タールが生成してしまうことである(M. A. Caballeroら, Ind. Eng. Chem. Res. 39, 2000, 1143)。
【0004】
高いエネルギー効率で、かつ生産コスト及びCO2排出量を低減するためには、このプロセスをより低温で操作すべきである。しかしながら、低温で反応させると、合成ガスの収率は低下し、またタールの生成が多くなることが知られている(D. N. Bangalaら, Ind. Eng. Chem. Res. 36, 1997, 4184)。そこで、触媒を用いたバイオマスのガス化が、低温においてタールの生成を抑制するための最も有望な方法の1つとなっている(L. Garciaら, Energy Fuels 13, 1999, 851; L.Garciaら, Ind. Eng. Chem. Res. 37, 1998, 3812)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、触媒を用いた場合、触媒表面への炭素蓄積による付着物が原因で、触媒孔への接近が妨害され、急激に触媒が不活性化されるという問題がある。また、バイオマスの接触ガス化反応による合成ガスの製造は、通常800℃以上の高温で行われるが、この際、上述の通り、触媒表面上へのタール生成により、触媒活性が劣化してしまうおそれもある。また、より低温では、やはりタールの生成が増える傾向にあり、低温でのガス化は困難とされてきた。従って、触媒を用いたバイオマスのガス化において、炭素を完全にガスへと変換することが非常に重要な課題である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、バイオマスを熱分解することにより生じる固体成分と、気体成分とに分離して、気体成分を触媒と反応させることによって、生産コスト及びCO2排出量が極めて低く、高効率的なガス化方法及びガス化装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、種々のバイオマス(杉、バガス、稲わら、ジュート等)を用いて、当該バイオマスをガス化する反応において、様々な担体及び金属担持触媒の効果について検討するとともに、タールなどの触媒付着を防止するための条件について、検討した。
【0008】
その結果、バイオマスを熱分解する熱分解部と、触媒とガス状態のタールとの接触を図るタール改質部とを、分離することにより、高効率で、生産コスト及びCO2排出量を低減したガス化方法及びガス化装置を見出した。
【0009】
本発明のバイオマスのガス化方法は、熱分解部内にタール改質部が設けられているデュアルベット型のガス化装置を用いて、ガス化装置の上部からバイオマスを供給し、バイオマスを固体成分と気体成分とに熱分解させ、前記熱分解により生じた気体成分のみを触媒層に通過させ、且つガス化装置の下部からガス化装置の熱分解部に酸素及び/又は水蒸気を導入し、該酸素及び/又は水蒸気を該熱分解部を通って熱分解部内に設けられたタール改質部内の触媒層に導入し、前記触媒層にて、前記熱分解により生じた気体成分を、酸素及び/又は水蒸気と反応させて、合成ガスを生成させることを特徴とする。
【0010】
本発明のバイオマスのガス化方法の好ましい態様において、前記固体成分が、チャー、又は灰分であることを特徴とする。
【0011】
本発明のバイオマスのガス化方法の好ましい態様において、前記気体成分が、ガス状のタールであることを特徴とする。
【0012】
本発明のバイオマスのガス化方法の好ましい態様において、前記熱分解を、800℃以下の温度で行なうことを特徴とする。
【0013】
本発明のバイオマスのガス化方法の好ましい態様において、バイオマスが、生物由来の物質であることを特徴とする。
【0014】
本発明のバイオマスのガス化方法の好ましい態様において、生物由来の物質が、植物、動物、または菌類由来の物質であることを特徴とする。
【0015】
本発明のバイオマスのガス化方法の好ましい態様において、植物が、杉、バガス、稲わら、ジュートから群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0016】
本発明のバイオマスのガス化方法の好ましい態様において、触媒が、Rh/CeO2/M(MはSiO2、Al2O3、又はZrO2である。)であることを特徴とする。
【0017】
本発明のバイオマスのデュアルベット型のガス化装置は、ガス化装置の上部からバイオマスを供給するバイオマスフィーダーと、供給されたバイオマスを固体成分と気体成分とに熱分解及び分離する熱分解部と、ガス化装置の下部からガス化装置の熱分解部に酸素及び/又は水蒸気を導入するためのガス注入口と、前記熱分解部で分離された気体成分と熱分解部を通過した酸素及び/又は水蒸気のみをタール改質部に導入するための連通管及び触媒層を具えるタール改質部とを有し、前記タール改質部は、前記熱分解部内に設けられており、前記分離した気体成分と前記酸素及び/又は水蒸気のみが導入され、前記触媒層にて、前記分離した気体成分を、前記連通管を通って導入された酸素及び/又は水蒸気と反応させて、合成ガスを生成させることを特徴とする。
【0018】
熱分解部は、所望の温度下において、バイオマスの種類に応じて、当該バイオマスを固体成分と、気体成分とに分離する機能を有する。これによって、分離した気体成分を、合成ガスを生産するのに用いることができる。
【0019】
また、タール改質部は、分離した気体成分と、酸素及び水蒸気とを反応させて、最終的に合成ガスを得る場所であり、前記固体成分が触媒に接触しないような仕組みとなっている。これによって、触媒とチャーなどの固体成分とが接触を防止することができる。
【0020】
本発明のバイオマスのガス化装置の好ましい態様において、バイオマス前記固体成分が、チャー、又は灰分であることを特徴とする。
【0021】
本発明のバイオマスのガス化装置の好ましい態様において、前記気体成分が、ガス状のタールであることを特徴とする。
【0022】
本発明のバイオマスのガス化装置の好ましい態様において、前記熱分解を、800℃以下の温度で行なうことを特徴とする。
【0023】
本発明のバイオマスのガス化装置の好ましい態様において、バイオマスが、植物、動物、又は菌由来の物質であることを特徴とする。
【0024】
本発明のバイオマスのガス化装置の好ましい態様において、触媒が、Rh/CeO2/M(MはSiO2、Al2O3、又はZrO2である。)であることを特徴とする。
【0025】
本発明のバイオマスのガス化装置の好ましい態様において、さらに、ガス注入口を有することを特徴とする。このガス注入口から、空気、酸素、窒素などガスを供給することができる。
【0026】
また、本発明のバイオマスのガス化装置の好ましい態様において、ガス注入口が、少なくとも前記熱分解部に存在することを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の概略について説明すれば、以下のようである。
原則として、バイオマスの触媒的ガス化は、反応器においてバイオマスの熱分解によって形成されるタールの触媒的リフォーミングである。タール及びガス化剤は、触媒表面に吸着し、リフォーミング反応に加わり、合成ガスを形成する。タールの触媒的リフォーミングは、熱分解が起こる同じ反応器か、別の反応器において行なうことができる。形成されたものは、シングルベッド反応器(図1a)と呼ばれ、後者は、デュアルベッド反応器と呼ばれる(図1b)。
【0028】
以前の研究において、Rh/CeO2/SiO2触媒が純セルロース及び杉粉の完全なガス化用の多機能活性を示すシングルベット反応器を使用した。その装置において、バイオマスは、まず、熱分解し、タール、チャーを形成し、内部供給ラインで蒸発する。その後、すべての成分は、流動化した触媒へ接触し、燃焼及びリフォーミングに加わる。チャーは、CO及び蒸気を形成する燃焼反応に関わる。これは、リフォーミング反応に対してこれらの反応温度は比較的反応性が低いことによっている。それゆえ、バイオマス中の全炭素は、ガス生成物へ変わる。同時に、灰分は、触媒表面に吸着される。杉粉は、非常に少量の灰分を含み、それゆえ、顕著な活性劣化は8時間の反応試験において観察されなかった。しかしながら、非常に大量の灰分を含む稲わらのガス化を試みたとき、触媒は、20分以内の反応時間でさえ活性劣化した。反応後、触媒ベッド中に大量の灰分粉末が存在した。これは、灰分成分が、触媒の活性部位を覆っていることを示唆した。触媒を使用して、稲わらなど高い灰分含有量を有するバイオマスのガス化に対して、触媒をバイオマスにおける灰分から分離する必要がある。タールと灰分分離器の第二ベッドリフォーミング用の2つの別の反応器を使用した大部分の研究は、反応器間に使用したものである。しかしながら、灰分とチャー分離に対して、当方は、図1bに示すデュアルベッドを開発した。ここで、灰分とチャーは、第一ベッドに残存し、タール(揮発性成分)だけが、第二ベッドの触媒と接触することができる。
【0029】
本発明のバイオマスのガス化方法において、バイオマスとは、農林水産物の未利用部分又は廃棄物等を含め、広く、直物、動物、菌類等の生物由来の物質を意味する。本明細書においては、杉、バガス、稲わら、ジュート、木材、さとうきび等植物由来のバイオマスを一例として説明するが、特にこれらに限定されることを意図するものではない。当該バイオマスは、多量に入手可能でかつ再生可能なエネルギー源であり、本発明においては、このようなエネルギー源を効率良く利用することができる。
【0030】
また、本発明において、「合成ガス」とは、一酸化炭素及び水素を含むガスを意味し、CO+H2として反応する限りは、CO2、CH4、C26等が含まれてもよい。合成ガスは、例えばメタノール合成、オキソ法など化学工業用原料として用いられる。
【0031】
本発明のガス化反応は、バイオマスを少なくとも固体成分と気体成分とに熱分解する工程と、前記熱分解により生じた気体成分を、酸素及び水蒸気と反応させて合成ガスを得る工程とを、分離して行なうことを特徴とする。
【0032】
ここで、固体成分とは、チャー、又は灰分等を挙げることができ、また、気体成分とは、ガス状のタールなどを挙げることができる。
【0033】
まず、熱分解工程について説明する。バイオマスは、固体成分と、気体成分とに熱分解される。熱分解の条件は、400~800℃で、0.1~10秒とすることができる。これらの熱分解条件は、バイオマスの種類によって、適宜変更可能であるが、タール収率という観点から、好ましくは、500~700℃で、0.2~2時間とする。
【0034】
熱分解は、バイオマスを、少なくとも固体成分と気体成分とに分解できれば足り、特に限定されるものではない。固体成分と気体成分に分けるのは、後に続くガス化反応時において、固体成分が触媒に付着し、触媒の活性を低減することを避けるためにである。即ち、気体成分のみが触媒と効率よく反応することにより、チャーなどの触媒表面上への付着を防止し、ひいては、高活性下で効率よくガス合成を行なうことを意図するものである。
【0035】
なお、熱分解された固体成分は、適当な手段、例えば自重により反応器の下方へ蓄積させて、完全に触媒との接触を断つことができる。要するに、チャー等の固体成分と触媒との接触を断つことができれば、どのような手段を用いてもよい。
【0036】
一方、上述のように熱分解された気体成分は、その後、酸素及び水蒸気と反応させて合成ガスを性成することができる。前記反応は、適当な触媒下で行なうことができる。
【0037】
また、触媒としては、Rh/CeO2/M(MはSiO2、Al2O3、又はZrO2である。)で表される触媒、すなわち、セリウム酸化物(CeO2)を担体として、その表面上に金属金属を担持させた触媒を使用することができる。担持させる金属は、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、白金であり、ロジウム、ルテニウムが好ましく、特に、活性という観点から、ロジウムが好ましい。該触媒は、従来の含浸法に従って、上記金属のアセチルアセトナト錯体のアセトン溶液や様々な塩の水溶液(硝酸ロジウムetc)を用いて調製することができる。
【0038】
また、気体成分と、酸素及び水蒸気との反応において、反応温度は、400℃~1000℃であり、反応性及び熱効率という観点から、好ましくは500℃~900℃であり、さらに好ましくは550℃~800℃である。このような低温反応によって、低エネルギーで、高効率、かつ低コスト及び低CO2排出量を達成することが可能である。
【0039】
本発明を実施する反応容器は、流動層反応器が好ましいが、これに限定されない。流動層反応器は、高い伝熱速度を提供し、等温操作を維持できるため、燃焼とリフォーミングの組み合わせによるガス製造において非常に有効である(U. Olsbyeら, Stud. Surf. Sci. Catal. 81, 1994, 303)。
【0040】
次に、本発明のバイオマスのガス化装置の一実施態様について、図1aを参照して説明する。
【0041】
図1aは、本発明の一実施態様によるバイオマスのガス化装置を示す図である。図1a において、1が熱分解部であり、バイオマスフィダーからのバイオマスを供給するための連通管13、熱分解部1とタール改質部2との連通管11、ガス注入口5、6等を有する。2がタール改質部であり、熱分解部1とタール改質部2の連通管11、分散板8、合成ガス排出口12を有する。なお、分散板8は、触媒粒子を支持した上でガスを流通させるためのものです。
【0042】
なお、タール改質部2は、場合によってガス注入口4を有しても良い。これによって、触媒をより一層撹拌させることも可能であり、より高効率なガス化反応を進行させることができる。
【0043】
次に、バイオマスから合成ガスの生成までの過程を順を追って説明する。まず、原料のバイオマスを、例えば、図1のガス注入口3から供給する。供給されたバイオマスは、そのまま、又は一旦バイオマス供給層に蓄積された後、熱分解部1へ供給される。熱分解部1では、400~800℃の温度範囲で、0.1~10秒、好ましくは、500~700の温度範囲で、0.2~2秒、バイオマスが熱分解される。これによって、バイオマスは、チャー、灰分などからなる固体成分9と、ガス状のタールなどからなる気体成分とに分離される。ここで、タールが気体成分となる温度に調節することは重要である。気体成分であれば、チャーなどの固体成分9と分離して、別個に合成ガスを生成する反応系へと導入することが可能だからである。
【0044】
ガス状のタール等の分離された気体成分は、例えば、ガス注入口4,5、6などからのガスの流れに従って、場合によっては、空気、酸素、水蒸気などともに、連通管11を通じて、タール改質部へと導入される。特に、上部に設けたガス注入口4などによって、触媒を流動化させて、それによって、バイオマスのガス化反応を促進することができる。
【0045】
なお、連通管11は、どのような形状であってもよいが、タール改質部の触媒が、タール改質部外へ流出しないように逆止弁を設けるか、熱分解部1からタール改質部2へ下方となるような構成とする。タール改質部2では、分離された気体成分と、酸素及び水蒸気とが、触媒10存在下で反応し、合成ガス12を生成する。
【0046】
バイオマスに応じた適当な温度条件下では、気体成分と、固体成分とが分離し、上述のように触媒活性を低下させることなく、合成ガスを生成することが可能となる。
【0047】
本発明の実施例を以下に示すが、これらは特許請求の範囲を限定するものと解釈されない。
【0048】
【実施例】
実施例1
シングルベッド型とデュアルベッド型の(バッチ式or連続)供給流動層反応器を用い、杉粉のガス化について、Rh/CeO2/SiO2(60)の性能を比較した。
【0049】
フィダーはガラス製の容器であり、供給を調節するガラスコックを底部に有する。杉粉は、内径5mmの内部管を通じたN2ガス流によって、熱分解部へ導入した。ガス化反応器は、高さ40cm、内径3.5cmの石英管であり、流動床部分を有する。空気及び水は、反応器の底から導入し、石英分散板を介して熱分解部床に到達させた。水蒸気は、マイクロフィダーを用いて供給した。ステンレススチール製のキャピラリー管を通して上昇する間に蒸発する水は、分散板の底から反応器へ導入した。
【0050】
触媒層温度は、種々の点において熱電対により測定した。3gの触媒をタール改質部へ添加して、大気圧下でプロセスを行なった。
反応器の外部と内部との間の温度勾配も測定した。反応器外壁に取り付けた熱電対を温度コントローラにつないで、反応温度として制御した。CO、CO2、CH4
及び炭化水素の濃度は、ガスクロパック(Gaskuropack)54)が充填されステンレス製カラムを用いたメタネーターを具備したFID—GCにより測定した。また、水素の濃度は、モレキュラシーブ13Xが充填されたステンレス製カラムを用いたTCD-GCで測定した。流出ガスの流量は、ソープメンブレンメーターにより測定した。生成ガスの生成速度は、流出ガスのGC分析からμmol/minとして算出した。炭素変換率(C-conv)は、(CO+CO2+CH4の生成速度)/(バイオマスの全C供給量)×100から算出した。C‐conv及び生成速度は、25分間の平均値である。チャーの量は、バイオマスの供給を停止した後、反応温度での空気流のもとで生じるガス(主にCO)の量により決定した。
【0051】
シングルベッド型とデュアルベッド型の(バッチ式or連続)供給流動層反応器を用い、杉粉のガス化について、Rh/CeO2/SiO2(60)の性能を比較した結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
JP0004048277B2_000002t.gifa :チャーとコーク:シングルベッド反応器で別々に決定するのが困難であることを示す。
【0053】
ここでの反応条件は、以下のとおりである。
バイオマス供給速度:150mg/min(H2O10%、C:5748μmol/min、全H2:4815μmol/min、全O2:2208μmol/min)。
酸素流量:35ml/min(1432μmol/min)。
N2流量:150ml/min(6138μmol/min)。
ER=0.25(ERは、Equivalence ratioの略であり、完全燃焼に必要な酸素に対して、導入した酸素の割合を示す。)。
SiO2担持:アエロジル、380m/g。
【0054】
なお、C-conv=(CO+CO+CHの生成速度)/(バイオマスのC供給量)×100で表し、チャー%=(反応後のCO生成速度)/(供給されたバイオマスの総C量)×100を表し、タール%=(100-(C-conv%)-(チャー%))で表した。
【0055】
シングルベッド装置において、バイオマス中のすべての炭素が触媒及び酸素と接触するため、炭素のガスへの完全な転換の可能性がある。結果として、シングルベッド装置の炭素転換は、約98%であった。同様のプロフィールが以前に報告された。一方、デュアルベッドにおいて、タールと他の揮発性成分だけが触媒粒子及び酸素と接触することができる。それゆえ、デュアルベッド触媒装置における全炭素転換、通常、823-923Kの温度範囲において、約80%である。炭素の残分は、第一ベッドのチャーとして堆積した。タールの少量の一部は、ガス化温度に依存して、触媒表面上のコークに変化する。デュアルベッド装置は、シングルベッド装置より有益な生成ガス(CO、H2、及びCH4)のより高い収率を与えることが判明した。メタンの形成は、デュアルベッドよりシングルベッドの方が高い事もわかる。両方の反応系において、チャー及び/又はコークは、20分間の反応後、酸素流とともにそれらを燃焼させることによって評価された。触媒ガス化反応において、固体炭素材料(チャー及びコーク)は、2つの方法で形成され、一つは、熱分解中にバイオマスから直接的に形成され、他のものは、触媒上のタールリフォーミング中に形成された。シングルベッド装置において、炭素材料のこれらの2つのタイプは、活性試験後、それらを燃焼することによって別々に測定することができない。しかしながら、デュアルベッド装置において、これらは別々に測定することができ、Rh/CeO2/SiO2(60)触媒での杉粉のガス化に対して表1にリストされる。デュアルベッドでのコーク収率は、非常に低く、これは高い燃焼活性に関連することができると示唆された。
【0056】
理想的に考えた場合、全炭素材料は、ガス生成物に変えられるべきであるが、固体炭素のかなりの量は、シングルベッドにおいて、低温度で形成された。これらの固体炭素は、触媒表面に通常堆積する。さらに、バイオマスにおける固体灰分(SiO2、K2O、Na2Oなどの酸素の混合物)は、触媒表面に堆積することが可能である。これら固体の堆積は、酸素、及びタール、チャー、CH4及び他のガス生成物などの新しく生じるバイオマス熱分解生成物の接触を抑制する。そうして、それらの第二リフォーミング又は燃焼を抑制する可能性がある。
【0057】
この結果、本発明のように、バイオマスの熱分解と、タール改質とを分離して行なったデュアルベッド型の反応器において高合成ガス収率を達成した。
【0058】
実施例2
流動層反応器において、触媒粒子の強度は、非常に重要である。これは、物理的強度が低いときに摩擦速度がかなり高いからである。流動化による触媒損失は、約0.5g/hである。触媒粒子の物理的強度を改善するために、種々の種類のSiO2例えば、CARiACT G-6 (大きさ0.18~0.50mm、BET=535m2/g)、CARiCT G-6(大きさ0.35-1.7mm、BET=512m2/g)、及びCARiCT Q-3(大きさ0.08-0.50mm、BET=649m2/g)。
【0059】
そこで、触媒に異なるSiO2 を担持した場合の性能の違いを調べた。試験の条件に関しては、異なるSiO2を使用する以外、実施例1と同様とした。用いた粒子状SiO2は、商品名G-6(富士シリシア)は商品名CARiACT G-6(サイズ0.18~0.50mm、BET=535m2/g)、G-6は商品名CARiACT(サイズ0.35~1.7mm、BET=512m2/g)、Q-3は商品名CARiACT(サイズ0.08~0.50mm、BET=649m2/g)、及びG-91は、水蒸気改質ニッケル触媒(TOYO CCI、組成:14質量%のNi、65~70質量%のAlO3、10~14質量%のCaO、及び1.4~1.8質量%のK2O)の略である。
【0060】
結果を表2に示す。表2は、デュアルベッド反応器における杉粉のガス化に対するRh/CeO2/SiO(30)中の異なるSiO2担体の性能を示す。
【0061】
【表2】
JP0004048277B2_000003t.gif表2から、これらSiO2担体のすべては、流動化に対して十分な物理的強度を有する事がわかる。バイオマスのガス化に対してQ-3(0.08-0.50mm)の触媒性能は、それほど高くない。表2によれば、G-6の全体としての結果は、Q-3よりよい。さらに、G-6のより大きい粒子は、若干低い性能を示した。これは、触媒流動が十分でないためであると考えられる。より小さいG-6は、ガス化装置において適用される条件下、適当な流動化に対してより適切である。
【0062】
実施例3
CeO2は、その高い酸化還元特性のためにタールのリフォーミング及びバイオマスのガス化に対するコークの燃焼に関してRh/CeO2/SiO2触媒に重要な役割を演ずる。以前の研究において、セルロースガス化において、35%のCeO2担持が、最も良いことを見出した。さらに、より高い担持量では、反応中のCeO2の焼結のために触媒の性能を減少させる。そこで、SiO支持体上のCeOの最適担持量を見出すために、20~70質量パーセントの異なるCeO2担持を調べた。
【0063】
具体的に、Rh/Ce/SiO2触媒中の、SiO2に対するCeO2の添加量の影響を調べた。用いた装置、反応条件等について、触媒としてCARiACT G-6(大きさ0.18~0.50mm、BET=535m/g)を用いた以外、 実施例1と同様のものとした。
【0064】
結果を表3に示す。表3は、Rh/CeO2/SiO2触媒中のSiO2に対するCeO2堆積量の影響を示す。
【0065】
【表3】
JP0004048277B2_000004t.gif異なる担持量のCeOを有する触媒の性能を表3に示す。ガス生成速度とC転化率は、図3に示すように40%のCeO2担持まで殆ど同じである。触媒性能は、増加させたCeO2担持によって徐々に減少した。
【0066】
実施例4
実施例3の結果から、増加させたCeO2担持にしたがって、触媒性能が徐々に減少することが判明したが、これは、CeOの焼結の可能性がある。それゆえ、第二ベッド反応器において次の実験に対して、30%のCeO担持を有するRh/CeO2/SiO2触媒を使用した。
【0067】
反応条件の最適化に対して、まず、酸素量の影響を調べた(酸素の重量/乾燥バイオマスの重量/推計酸素のバイオマスに対する割合)。結果を表4に示す。表4は、Rh/CeO/SiOにわたるガス化率と生成速度に対する酸素量の影響を示す。ここでの反応条件は、以下のとおりである。
【0068】
バイオマス供給速度:150mg/min(HO10%、C 5748μmol/min、全H 4815μmol/min、全O2 2208μmol/min)。
触媒:3g、ER=0.25、N2:150ml/min(6138μmol/min) 。
温度:873K
酸素流量:28ml/min(1145μmol/min)-42ml/min(1718μmol/min)。
SiO2担持:CARiACT G-6(大きさ0.18-0.50mm、BET=535m2/g)。
【0069】
【表4】
JP0004048277B2_000005t.gif【0070】
また、図4に、ガス生成物の生成速度及び酸素量の関数としてのガス化率を示す。原則として、ERがより高いと、燃焼反応速度もより高くなる。そこで、COの生成は、ERの増加とともに増加し、同時にCO、H2及びCH4の生成は減少する。しかしながら、チャーは、触媒ベッドにおいて酸素と接触しないので、ガス化率は、それほど変化しない。ERが0.2より低いとき、酸素は、第二ベッド触媒中において促進する反応によってタールの全転換に対して不十分であった。これらの結果から、約0.25のERが最良であることが判明した。
【0071】
実施例5
次に、供給速度の影響を調べた。ここでの反応条件は、以下のとおりである。
バイオマス供給速度:150、250、300mg/min。
触媒:3g、ER=0.25、N2:150ml/min(6138μmol/min)。
温度:873K。
酸素流量:35ml/min(1432μmol/min)、58ml/min(2373μmol/min)
70ml/min(2864μmol/min)。
SiO2担持:CARiACT G-6(大きさ0.18-0.50mm、BET=535m2/g)。
【0072】
供給速度の影響についての結果を、表5及び図5に示す。表5は、Rh/CeO/SiOにわたるガス化率と生成速度に対する供給速度の影響を示す。
【0073】
【表5】
JP0004048277B2_000006t.gif【0074】
ERは杉粉のガス化に対して873Kで一定を維持した。触媒の量(3g)と他の条件を一定に維持した。反応装置において、1mgバイオマスは、室温で1mlガス生成物より多少高くなると算出できる。これは、バイオマス供給速度の増加は触媒流動化速度を増加させることを支持した。以前の研究から、より低い、及びより高い流動速度は、セルロースのガス化に対する触媒性能を減少させることを観察した。より高い流動条件においていくつかのタールは、触媒ベッドを通りねけてしまう。より低い流動化条件は、触媒表面上のタールとチャーの堆積を引き起こす。ここで、250mg/minの供給速度まで、触媒の流動化速度及び触媒の能力は、タールが完全に転換される。しかしながら、約300mg/minを使用した場合の触媒の能力を越え、転換は不十分になる。加えて、流動速度は、非常に高くなる。それゆえ、タールの一部は、触媒層を通り抜けてしまう。これは、図5に示すように、より低い炭素転換及びガス生成速度の理由と考えられる。
【0075】
実施例6
次に、従来のニッケル触媒(G-91)を備えるRh/CeO/SiO(30)の性能を比較するために、当方は、同じガス流条件下、異なる温度でバイオマスの高い供給速度(250mg/min)を使用して実験を行なった。
【0076】
ここでの反応条件は、以下のとおりである。
バイオマス供給速度:150(H2O10%、C:9562μmol/min、全H2:8025μmol/min、全O2:3680μmol/min)。
酸素流量:58ml/min(2373μmol/min)。
N2流量:150ml/min(6138μmol/min)。
触媒:3g、ER=0.25、N2:150ml/min(6138μmol/min) 。,
温度:873K。
SiO2担持:CARiACT G-6(大きさ0.18-0.50mm、BET=535m2/g)。
【0077】
結果を表6及び図6に示す。表6は、異なる温度でのRh/CeO/SiO(30)の性能の比較を示す。
【0078】
【表6】
JP0004048277B2_000007t.gif【0079】
Rh/CeO/SiO(30)触媒は、より早いものと(150mg/min)と同じ性能を示した。しかしながら、G-91触媒は、高温でさえ75%のガス化率を与え、それは、823Kで約66%だけである。コークの実質的な量(2-5%)は、G-91触媒表面上へ堆積した。加えて、約2~15%タールが触媒ベッドから流出した。一方、Rh/CeO2/SiO2(30)触媒では、823Kでさえ少しのタール生成することもなく、ほんの1%コークだけが、堆積した。
【0080】
次に、デュアルベッド反応器システムをRh/CeO2/SiO2(30)触媒を使用して、ジュートステック、バガス、稲わらなどの種々のバイオマスのガス化を試みた。バイオマスの決定的な分析を日本エネルギー学会(Japan Institute of Energy)で行なわれ、表7に示した。表7は、種々のバイオマスの特性を示す。
【0081】
【表7】
JP0004048277B2_000008t.gif【0082】
分析は、図7に示す示差熱重量分析(TGA)プロフィールに基づく。異なるバイオマスのTGAは、N2大気下で行なわれた。杉粉、ジュートスティック、バカス(640K~850Kまでの間で、S字を描く方)の組成は、殆ど同様であったが、稲わらの場合は非常に低かった。他方、稲わらにおける灰分含有量は、非常に高い(22.9%)。Cl(0.01~0.08%)、S(0.02~0.06%)、及びN(0.12~0.30%)などの他の不純物は、石油及び石炭より低いレベルであった。リグニンに相当するバイオマス、固定炭素のガス化は、ガスへの転換が困難である。それゆえ、この点に関して、ジュートスティックは、低温ガス化に最適であるようにみえる。しかしながら、杉粉は、触媒に対して非常に少量の灰分、他の毒性成分を含むので、触媒を使用して容易にガス化する可能性を有することが判明した。
【0083】
実施例7
次に、デュアルベッド反応器における異なる温度でのRh/CeO2/SiO2触媒での異なるバイオマスのガス化を調べた。
【0084】
ここでの反応条件は、以下のとおりである。
杉粉、ジュートステック、バガスの供給速度:150mol/min(水分:シダー10%、ジュートステック3%、バガス5%)及び稲わら200mg/min(湿度5%、C35%)。
上部から50ml/minで供給ラインを通じてN2流量100ml/min。触媒ベッドを通じて35ml/minのO2流量。
SiO2担体:CARiACT G-6(大きさ0.18-0.50mm、BET=535m2/g)。
【0085】
表8は、Rh/CeO/SiO2(30)触媒を用いた種々のバイオマスのガス化における温度の影響を示す。
【0086】
【表8】
JP0004048277B2_000009t.gif【0087】
823Kで、ジュートスティック(71%)のガス化率は杉粉(78%)のものより低かったが、合成ガス生成速度は殆ど同じであった。しかしながら、高温では(923K)、ジュートステックのガス化率は約84%であった。バガス及び稲わらに対するガス化率と合成ガス生成は、他の2つよりかなり低い。最も重要なことには、タールは、以前の上記873Kの場合において形成されない。後者の2つは、バイオマス由来の灰分が比較的高く、これが触媒の性能を下げているためかもしれない。当方のガス化系において、若干の粉末及びチャーは、サイドチューブなどの連通管を通して触媒ベッドに透過することができる。杉粉由来の灰分は、石のような固まりとして第一ベッド上へ堆積する。しかしながら、他のバイオマス由来の灰分は、粉末であり、触媒ベッドへ移動してしまうかもしれず、触媒表面上へ吸収される。これは、バガス、稲わらに対するより低い転換率及び生産ガス分布を説明している。
【0088】
図8は、反応時間と触媒性能とを示す。図8aとして、ガス化率及び生成速度は、Rh/CeO/SiO/(30)触媒での杉粉ガス化に対して、誤差範囲でかなり安定している。ジュートステックとバガスは、中程度のガスへの安定性を示す(図8b、c)。しかしながら、稲わらのガス化率において、ガス化率及び生成速度は、時間とともに徐々に減少した(図8d)。触媒のこの低下傾向は、図8eに示すようにシングルベッド型を使用した触媒ガス化におってもっと深刻である。これは、前述したように、大部分の固体灰分及びチャーが触媒上に堆積するからである。
【0089】
最終的に、デュアルベッドガス化系における第二ベッド触媒は、結論として、シングルベッド触媒ガス化系よりも、特に例えば稲わらなどの高灰分含有バイオマスに対して、優れている。粒径0.85~1.7mmのCARiACT G-6等の高い表面領域(512m2/g)のSiO2担体は、CeO2担体に対して良好な性能を示す。30%のCeO2堆積は、杉粉のガス化に対して適切な性能を示す。250mgバイオマス/分の最大値から誘導されたタールは、バイオマスに存在する全炭素のER=0.25を使用して、この装置において3gの触媒によって、完全にガス生成物へ転換することができる。この装置において、ガス化にさらされるバイオマスの中で、ガスの転換について、杉粉が最良を示し、稲わらが最も低い値を示した。第二ベッド反応器において、もし、第二触媒ベッド部でキャピラリー管の代りにふるいなどを使用することによって、灰分が完全に分離できれば、触媒は、稲わらですらタールのガスへの転換に対して効率的におこなわれる。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、チャー、灰分などの固体成分が触媒に付着することがないので、触媒の持つ性能を十分に発揮し、より効率的なバイオマスのガス化を達成し得るという有利な効果を奏する。
【0091】
また、本発明によれば、灰分量の多いバイオマスを出発材料に用いても、触媒性能を低下させないため、高灰分バイオマスにとっても有効であるという有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、シングルベッド型(a)とデュアルベッド型(b)反応器の概略図を示す。
【図2】 図2は、Rh/CeO2/SiO2(60)触媒を用いた炭素転化率と生成速度における温度の影響を示す。(a)が、シングルベッド型を用いた場合、(b)がデュアルベッド型を用いた場合をそれぞれ示す。
【外1】
JP0004048277B2_000010t.gif【図3】 図3は、ガス化率(*)及びCO+H2+CH4形成
【外2】
(■)
のCeO2堆積量の影響を示す。
【図4】 図4は、ガス生成物の生成速度及び酸素量の関数としてのガス化率を示す。
[外1]
【図5】 図5は、ガス化率と生成速度に対する供給速度の影響を示す。
[外1]
【図6】 図6は、(a)Rh/CeO2/SiO2/(30)と、(b)入手可能なスチームリフォーミング触媒の比較を示す。
[外1]
【図7】 図7は、示差熱重量分析(TGA)プロフィールを示す。
【図8】 図8は、反応時間と触媒性能とを示す。(a)杉粉(シダー)、(b)ジュートスティック、(c)バガス、(d)稲わら(デュアルベッド型での)、(e)稲わら(シングルベッド型)
【符号の説明】
1 熱分解部
2 タール改質部
3 ガス注入口
4 ガス注入口
5 ガス注入口
6 ガス注入口
7 バイオマスフィダー
8 分散板
9 固体成分
10 触媒
11 連通管
12 合成ガス排出口
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7