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明細書 :液体二酸化炭素運送システムおよび液体二酸化炭素拡散方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4568837号 (P4568837)
公開番号 特開2006-061810 (P2006-061810A)
登録日 平成22年8月20日(2010.8.20)
発行日 平成22年10月27日(2010.10.27)
公開日 平成18年3月9日(2006.3.9)
発明の名称または考案の名称 液体二酸化炭素運送システムおよび液体二酸化炭素拡散方法
国際特許分類 B01J   4/00        (2006.01)
B63B  35/00        (2006.01)
F17C   7/02        (2006.01)
FI B01J 4/00 103
B63B 35/00 Z
F17C 7/02
請求項の数または発明の数 9
全頁数 6
出願番号 特願2004-246513 (P2004-246513)
出願日 平成16年8月26日(2004.8.26)
審査請求日 平成19年5月15日(2007.5.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
発明者または考案者 【氏名】圓山重直
個別代理人の代理人 【識別番号】100095359、【弁理士】、【氏名又は名称】須田 篤
【識別番号】100143834、【弁理士】、【氏名又は名称】楠 修二
審査官 【審査官】神田 和輝
参考文献・文献 特開平06-344979(JP,A)
特開平08-067291(JP,A)
特開平08-230772(JP,A)
特開2002-145187(JP,A)
特開2003-194957(JP,A)
調査した分野 B01D 53/14-53/18
B01J 19/00-19/32
C01B 31/20-31/22
B63B 21/00-29/22
B63B 35/00-59/10
B63G 1/00-13/02
F17C 1/00-13/12
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
液体二酸化炭素貯蔵庫と、
該液体二酸化炭素貯蔵庫を内蔵する無人潜水式タンカーと、
エネルギー供給用船舶と、
該エネルギー供給用船舶と該無人潜水式タンカーとを結び該無人潜水式タンカーに電力・制御情報供給する電力供給・通信ケーブルとを、
有することを特徴とする液体二酸化炭素運送システム。
【請求項2】
前記無人潜水式タンカーの配置水深を、二酸化炭素の液化圧以上、かつ、液体二酸化炭素が海水より低密度の深度とすることを、特徴とする請求項1記載の液体二酸化炭素運送システム。
【請求項3】
前記無人潜水式タンカーの配置水深を、300m以上、3000m以下とすることを特徴とする請求項1または2記載の液体二酸化炭素運送システム。
【請求項4】
前記電力供給・通信ケーブルはその断面流線型断面であることを特徴とする請求項1、2または3記載の液体二酸化炭素運送システム。
【請求項5】
前記電力供給・通信ケーブルを前記無人潜水式タンカーから離脱させるための切り離し可能接続機構を有することを、特徴とする請求項1、2、3または4記載の液体二酸化炭素運送システム。
【請求項6】
前記切り離し可能接続機構は、所定以上の応力がかかった時に作動し、前記電力供給・通信ケーブルを前記無人潜水式タンカーから切り離し、推進機構を有して前記無人潜水式タンカーと再接合可能であり、
前記無人潜水式タンカーは、前記電力供給・通信ケーブルが切り離された後に作動する自動ナビゲーションシステムを有することを、
特徴とする請求項5記載の液体二酸化炭素運送システム。
【請求項7】
前記無人潜水式タンカーはその表面および後部に前記液体二酸化炭素貯蔵庫内の液体二酸化炭素を放出するための多数のノズル孔を持つことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の液体二酸化炭素運送システム。
【請求項8】
請求項7記載の液体二酸化炭素運送システムを利用した液体二酸化炭素拡散方法であって、前記無人潜水式タンカーの運航中に前記多数のノズル孔から、前記液体二酸化炭素貯蔵庫内の液体二酸化炭素を徐々に海洋中層域に放出することを特徴とする液体二酸化炭素拡散方法。
【請求項9】
前記電力供給・通信ケーブルは、前記液体二酸化炭素貯蔵庫に高圧空気を供給可能であり、
前記多数のノズル孔から放出した液体二酸化炭素にほぼ等しい体積の高圧空気を、前記液体二酸化炭素貯蔵庫に補充することを
特徴とする請求項8記載の液体二酸化炭素拡散方法
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、地球温暖化の主要因である二酸化炭素を海洋に隔離するために輸送することと、航海中に海洋中層域に拡散し、大気から二酸化炭素を隔離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の原因である二酸化炭素を大気から隔離することは、今後の人類にとって重要な課題である。現在、二酸化炭素を隔離するためには地中への隔離や海洋への隔離が検討されている(特許文献1)。しかし、二酸化炭素は液化しても、二酸化炭素はその発生源の石油より体積が大きく、かつ、常温では高圧なので二酸化炭素の大量輸送には多大なエネルギーを必要とする。二酸化炭素の投棄方法としては、深海貯留の他に海洋中層域の膨大な水に拡散させる方法が検討されており(特許文献2)、膨大な量の二酸化炭素を効率良く中層域に拡散させる新しい技術が望まれている。

【特許文献1】特開平8-230772
【特許文献2】特開2001-187330
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
日本などのエネルギー消費地域で生産された二酸化炭素を油田などの地下帯水層に貯蔵する場合も二酸化炭素の輸送システムの低コスト化が重要問題となる。また、液体二酸化炭素を深海に貯留する場合も沿岸から貯留地へ輸送するコストの低減が、今後の重要課題となる。如何に、安価に大量の二酸化炭素を投棄海域まで輸送するかが、今後の重要問題となっている。
【0004】
一般には、海上船舶による輸送が考えられているが、二酸化炭素は常温では高圧にしないと液化しないため、高圧タンクが必要である。大容積の高圧タンクの製造には肉厚の大きいタンクが必要であり、重量と製造コストが膨大となる。
【0005】
一方、極低温の二酸化炭素を液体状体で輸送することは、冷却のためのエネルギーが必要となり輸送コストの増大を招く。また、二酸化炭素をドライアイスなどの固体状態で輸送することは、高圧二酸化炭素を固化させる有効エネルギーが無駄になるだけでなく、固体二酸化炭素の輸送や投棄が液体に比べて難しい。
【0006】
かかる問題を解決するために潜水艦による二酸化炭素輸送も検討されているが、有人の潜水艦は安全性の問題と乗員の人件費が大きくなるために、製造および運用コストが大きくなる。また、乗員交替のために海上に浮上すると二酸化炭素が気化するので、航海終了まで人員交代が不可能である。
【0007】
回収した二酸化炭素を海洋の中深層領域に希釈投棄する場合は、海上輸送船が水上航行中に、拡散用パイプを海中に伸ばし、パイプにあけられたノズル孔から海水希釈することが考えられているが、このパイプが抵抗となり航行時のエネルギー消費が増大し投棄コストの上昇につながる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、これらの問題を解決するために考案されたもので、燃焼排気ガスから分離・液化された二酸化炭素を液化圧以上の深度にある潜水型のタンカーに貯留する。このタンカーの外壁は耐圧容器の必要は無く、外部海水と圧力調整孔で接続されており、外部と等しい圧力となっている。また、3000mより浅い深度では、液体二酸化炭素は海水より低密度なので液化二酸化炭素が浮力を持つために特別な浮力装置を必要としない。
【0009】
潜水タンカーは、二酸化炭素収容倉、推進用モーターと推進装置、及び、予備電源用バッテリー、制御用コンピュータとナビゲーションシステムで構成される。
【0010】
海上には、タンカーに電力を供給する水上船があり、エネルギー・通信共通ケーブルで接続されている。エネルギー供給船は有人で、海面下にあるタンカーに電力を供給するほかタンカーの遠隔操作を行い、タンカーと水上船が離れないように制御される。
【0011】
接続ケーブルは、流体抵抗を極力低減するために、流線型断面をしており、内部に通信・制御用ケーブルと電力供給ケーブルが貫通している。タンカーとの接続部は所定以上の応力がかかったときには、タンカーから外れるようになっている。ケーブルが外れた場合、タンカーは所定のシークエンスに従ってタンカーに装備されている自動ナビゲーションシステムとコンピュータで自動航行又は停船する。この接続部は独自の推進装置を有しており、航行中に再びタンカーに接続できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無人潜水型のタンカーは、水上輸送船による二酸化炭素液化輸送に不可欠な高圧容器が必要ないので、タンカーの製造コストと重量を著しく低減できる。特に大型のタンカーを水上船で建造する場合、二酸化炭素を大気圧下で貯留出来る大型の圧力容器の建造は著しく困難であるが、このシステムでは、海水の外圧が圧力容器の役目をしているので、構造強度を著しく軽減できる。タンカーの貯蔵倉の形状も耐圧のために、球状である必要がなく、タンカー断面は、流体抵抗が著しく上昇しない限り、矩形状にすることもできるので、タンカー建造コストを低減することができる。タンカーの中で耐圧構造が必要な部位は推進装置や制御装置の収納部のみでよく、タンカーの大部分を占める船倉は耐圧構造である必要がない。また、300m以上の深度で、二酸化炭素は常温で液化しているので、水上船で必要な冷凍設備も不要であり、輸送時の冷凍エネルギーが不要である。
【0013】
さらに、このような輸送システムを構築することによって、水上船型輸送タンカーの抵抗の内約30%を占める造波抵抗が無いので、輸送に必要なエネルギーの節約にも貢献できる。
【0014】
回収した二酸化炭素を海洋の中深層領域に希釈投棄する場合は、タンカー航行中にタンカー表面から液化二酸化炭素を徐々に放出し、航行中のタンカーの表面に形成される乱流境界層の拡散を利用して効率よく海水に希釈することが出来る。この場合は、海中の投棄量に応じてタンカーの浮力が減少するので、海上船から高圧空気を供給し、タンカーの貯蔵倉に貯めることによって浮力の調整をする。
【0015】
近年のコンピュータと自動航行装置の発達にともない、タンカー本体は電動で無人とする。このために、潜水艦の乗員は不要で安全性と人件費の節減ができるほか、居住区を海上の船舶に設けることによって安全性を確保できる。電力供給・通信ケーブルは潜水タンカーから離脱可能であり、海上の波浪や安全上の理由によって、切り離されるが先端部が自動航行して再び潜水タンカーに接続する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態による液体二酸化炭素の輸送及び拡散装置の概略構成を示す図である。
1)は無人潜水式タンカーであり、その主要装置である液体二酸化炭素貯蔵庫5)は、海水の外圧が圧力容器の役目をしているので、構造強度を著しく軽減できる。タンカーの貯蔵倉の形状も耐圧のために、球状である必要がなく、タンカー断面は、流体抵抗が著しく上昇しない限り、矩形状にすることもできるので、タンカー建造コストを低減することができる。タンカーの中で耐圧構造が必要な部位は推進装置や制御装置の収納部のみでよく、タンカーの大部分を占める液体二酸化炭素貯蔵庫5)は耐圧構造である必要がない。
このタンカーは、水深300mから1000mの海域で運用される。300m以上の深度で、二酸化炭素は所定の海域温度では液化しているので、水上船で必要な冷凍設備も不要であり、輸送時の冷凍エネルギーが不要である。
【0017】
さらに、このような輸送システムを構築することによって、水上船型輸送タンカーの抵抗の内約30%を占める造波抵抗が無いので、輸送に必要なエネルギーの節約にも貢献できる。
【0018】
回収した二酸化炭素を海洋の中深層領域に希釈投棄する場合は、タンカー航行中にタンカー表面から液化二酸化炭素を徐々に放出し、航行中のタンカーの表面に形成される乱流境界層の拡散を利用して効率よく海水に希釈することが出来る。この場合は、海中の投棄量に応じてタンカーの浮力が減少するので、海上船から高圧空気を供給し、タンカーの貯蔵倉に貯めることによって浮力の調整をする。
【0019】
2)は有人のエネルギー供給船舶であり、通信電力ケーブル3)を介してタンカーに推進電力を供給すると共に、情報の通信を行う。近年のコンピュータと自動航行装置の発達にともない、タンカー本体は電動で無人とする。このために、潜水艦の乗員は不要で安全性と人件費の節減ができるほか、居住区を海上の船舶に設けることによって安全性を確保できる。
接続ケーブル3)は、流体抵抗を極力低減するために、流線型断面をしており、内部に通信・制御用ケーブルと電力供給ケーブルが貫通している。タンカーとの接続部は所定以上の応力がかかったときには、切り離し可能接続機構4)を介してタンカーから外れるようになっている。ケーブルが外れた場合、タンカーは所定のシークエンスに従ってタンカーに装備されている自動ナビゲーションシステムとコンピュータで自動航行又は停船する。この接続部4)は独自の推進装置を有しており、航行中に再びタンカーに接続できる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明に係る液体二酸化炭素の輸送及装置は、液化メタンガス、石油等の輸送分野に適用できる。特に本技術は、地球環境保全、造船技術、二酸化炭素の海洋隔離、運搬技術に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態による液体二酸化炭素の輸送及び拡散装置のシステム構成図。
【符号の説明】
【0022】
1) 無人潜水式タンカー
2) エネルギー供給船舶
3) 電力供給・通信ケーブル
4) 切り離し可能接続機構
5) 液体二酸化炭素貯蔵庫

図面
【図1】
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