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明細書 :化合物半導体素子の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4852755号 (P4852755)
公開番号 特開2008-078275 (P2008-078275A)
登録日 平成23年11月4日(2011.11.4)
発行日 平成24年1月11日(2012.1.11)
公開日 平成20年4月3日(2008.4.3)
発明の名称または考案の名称 化合物半導体素子の製造方法
国際特許分類 H01L  21/306       (2006.01)
H01L  21/205       (2006.01)
H01L  33/32        (2010.01)
FI H01L 21/306 N
H01L 21/205
H01L 33/00 186
請求項の数または発明の数 7
全頁数 11
出願番号 特願2006-254013 (P2006-254013)
出願日 平成18年9月20日(2006.9.20)
審査請求日 平成21年7月14日(2009.7.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
発明者または考案者 【氏名】八百 隆文
【氏名】▲チョ▼ 明煥
個別代理人の代理人 【識別番号】100098729、【弁理士】、【氏名又は名称】重信 和男
【識別番号】100133282、【弁理士】、【氏名又は名称】内野 春喜
【識別番号】100116757、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 英雄
【識別番号】100123216、【弁理士】、【氏名又は名称】高木 祐一
【識別番号】100089336、【弁理士】、【氏名又は名称】中野 佳直
審査官 【審査官】越本 秀幸
参考文献・文献 特開2006-005331(JP,A)
特開2002-284600(JP,A)
国際公開第2006/076208(WO,A1)
特開2004-363213(JP,A)
国際公開第2006/126330(WO,A1)
特開2008-078274(JP,A)
特開2008-103698(JP,A)
特開2004-269313(JP,A)
調査した分野 H01L 21/306
H01L 21/205
H01L 33/30
H01L 33/32
特許請求の範囲 【請求項1】
単結晶基板上に金属窒化物からなる結晶成長促進層を形成する工程と、上記結晶成長促進層上に、結晶成長阻止のためのマスク層であって、上記結晶成長促進層が複数の独立した素子形成領域となるように選択的にパターニングされた区画領域を構成するとともに、エッチング溶液注入口となる注入口領域を構成するマスク層を形成する工程と、上記素子形成領域上にAlGa1-xN(0≦x<1)バッファ層を成長させた後、AlGa1-xN(0≦x<1)バッファ層上にIII-V族窒化物半導体を主成分とする単結晶化合物半導体層を1層以上成長させて、そこに所望の化合物半導体素子を形成する工程と、上記化合物半導体素子の側面を被覆する工程と、上記注入口領域を除く全面に、金属支持層を形成する工程と、上記注入口領域からエッチング液を注入して、上記マスク層及び上記結晶成長促進層を除去する工程と、上記区画領域上の上記金属支持層から上記化合物半導体素子を分離する工程とを順に備えた、化合物半導体素子の製造方法。
【請求項2】
上記金属支持層は、上記注入口領域を除く全面に形成されたシード金属を介してメッキにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体素子の製造方法。
【請求項3】
上記複数の独立した素子形成領域は、上記単結晶基板上に繰り返しパターンをなすように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物半導体素子の製造方法。
【請求項4】
上記素子形成領域は、正方形であることを特徴とする請求項3に記載の化合物半導体素子の製造方法。
【請求項5】
上記注入口領域は、上記単結晶基板上に複数個均等に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化合物半導体素子の製造方法。
【請求項6】
上記単結晶基板は、サファイア基板であり、上記マスク層はSiO層であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の化合物半導体素子の製造方法。
【請求項7】
上記化合物半導体素子は、LEDであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物半導体素子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の化合物半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GaN系に基づく照明用、自動車搭載用高輝度青色、紫外線及び白色発光ダイオード等の発光素子の需要が増加している。特に、家庭用蛍光灯、LCDのバックライトなどへの応用のため、高輝度LEDの商品化が強く求められている。最近では高輝度LEDを実現するため垂直型LEDが提案され、サファイア基板からLED構造の分離によって良好な熱放出の効果を持ち、発光出力を2倍以上増加させることに成功している。
【0003】
主に垂直型LEDは、LLO(レーザーリフトオフ)に基づいて作製されている。これはサファイア基板上にLED構造を形成後、GaNのバンドギャップより短い波長を持つレーザー光を照射することによって、サファイア基板との界面に存在するGaN膜がレーザー光を吸収し、GaとNに分解することによってサファイア基板とLED構造を分離させる方法である。分離されたLED構造に、上下部に電極を形成して垂直型LED構造を実現する。
【0004】
LLOは、分離時に使用する高出力レーザーによってLED構造あるいはGaN薄膜にダメージを与え、また、チップの大きさが大きくなるにつれクラックが発生しやすい等の問題点がある。
【0005】
従来の低温多結晶あるいは非晶質状態のバッファ層の上に成長するGaN薄膜は高転位密度(>109 cm-2)を有している。発明者らは、金属窒化物からなる結晶成長促進層とGaNとの格子定数及び熱膨張係数の差が、従来の低温バッファ層より遥かに小さいことに着目し、これにより高品質のGaN結晶成長ができることを見出した(特許文献1参照)。単結晶の金属バッファ層を用いた場合、結晶成長初期からGaNは単結晶エピタキシーモードを維持し、低転位GaN膜成長が得られることである。 高性能の素子作製の為にはサファイア基板上にGaN系光・電子デバイスの作製後、デバイスをサファイア基板から分離する必要がある。
【0006】
垂直型LEDを製作するためLLOを用いてサファイア基板とLEDチップを分離する方法が提案されている。しかし、チップ分離時に使用する高出力レーザーによってLED構造あるいはGaN薄膜にダメージを与え、また、チップの大きさが大きくなるにつれクラックが発生しやすい、複雑な工程による低歩留まり等の問題がある。
【0007】

【特許文献1】PCT/JP2006/306958号
【非特許文献1】Comparison of p-Side Down and p-Side Up GaN Light-Emitting Diodes Fabricated by Laser Lift-Off, Chen-Fu CHU, Chang-Chin YU, Hao-Chun CHENG, Chia-Feng LIN and Shing-Chung WANG, Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 42 (2003) pp. L147-L150
【非特許文献2】Study of GaN light-emitting diodes fabricated by laser lift-off technique, Chen-Fu Chu, Fang-I Lai, Jung-Tang Chu, Chang-Chin Yu, Chia-Feng Lin, Hao-Chung Kuo, and S. C. Wang, J. Appl. Phys. Vol. 95, No. 8, 3916-3921 (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の点に鑑み、基板上に金属窒化物からなる結晶成長促進層を介して選択成長した高性能の化合物半導体素子を得るとともに、LED等の化合物半導体素子を基板及び金属窒化物からなる結晶成長促進層から容易に分離できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために本発明は、次のような手段を提供するものである。
(1)単結晶基板上に金属窒化物からなる結晶成長促進層を形成する工程と、上記結晶成長促進層上に、結晶成長阻止のためのマスク層であって、上記結晶成長促進層が複数の独立した素子形成領域となるように選択的にパターニングされた区画領域を構成するとともに、エッチング溶液注入口となる注入口領域を構成するマスク層を形成する工程と、上記素子形成領域上にAlGa1-xN(0≦x<1)バッファ層を成長させた後、AlGa1-xN(0≦x<1)バッファ層上にIII-V族窒化物半導体を主成分とする単結晶化合物半導体層を1層以上成長させて、そこに所望の化合物半導体素子を形成する工程と、上記化合物半導体素子の側面を被覆する工程と、上記注入口領域を除く全面に、金属支持層を形成する工程と、上記注入口領域からエッチング液を注入して、上記マスク層及び上記結晶成長促進層を除去する工程と、上記区画領域上の上記金属支持層から上記化合物半導体素子を分離する工程とを順に備えた、化合物半導体素子の製造方法。
(2)上記金属支持層は、上記注入口領域を除く全面に形成されたシード金属を介してメッキにより形成されていることを特徴とする(1)の化合物半導体素子の製造方法。
(3)上記複数の独立した素子形成領域は、上記単結晶基板上に繰り返しパターンをなすように配置されていることを特徴とする(1)又は(2)の化合物半導体素子の製造方法。
(4)上記素子形成領域は、正方形であることを特徴とする(3)の化合物半導体素子の製造方法。
(5)上記注入口領域は、上記単結晶基板上に複数個均等に設けられていることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の化合物半導体素子の製造方法。
(6)上記単結晶基板は、サファイア基板であり、上記マスク層はSiO層であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の化合物半導体素子の製造方法。
(7)上記化合物半導体素子は、発光ダイオードであることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の化合物半導体素子の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の化合物半導体素子の製造方法によれば、次のような効果が得られる。
(1)選択的成長による垂直型LED製作工程を単純化させることができ、またレーザーリフトオフ法で問題になっている収率や再現性の問題を解決することができる。
(2)選択成長によるため、従来の全面成長する場合よりも反りを抑制することができる。
(3)化合物半導体は選択成長により独立して形成されているため、クラックの発生を抑えることができる。
(4)マスクとして使った物質をエッチング除去することによって、金属窒化物からなる結晶成長促進層のエッチングのためのトンネルが形成され、このようなトンネルによってエッチング速度が向上する。
(5)基板にダメージを与えなないため、CLO(ケミカルリフトオフ工程)後に、基板のリサイクルが可能である。
(6)素子形成領域をLED等のチップの大きさと等しくしておくことにより、CLO後のチップ分割工程が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0012】
サファイア基板上に金属窒化物形成が可能なCr、Ti、Ta、Nb、Mo、Cuなどの金属層を形成し(図1(a))、金属層表面を窒化した後選択成長のため半導体デバイスの大きさに合わせてパターニングを行う(図1(b))。その後、この上にGaNバッファ層を介して半導体デバイスの構造を作製する(図1(c))。すなわちGaN、AlN、InGa1-xN、AlGa1-xN、AlInGa1-x-yN、AlGaIn1-x-y1-p(ここで、V=As、P、Sb、Biであり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1、0.9≦p≦1)のようなIII-V族窒化物半導体系物質又はIII-V族窒化物半導体系LED構造が作製される。
【0013】
図2~図5では化合物半導体素子として、垂直型LEDの製作工程を例示している。図1(c)のように単結晶基板の上に、n-(Al)GaN/InGaN(活性層)/p-(Al)GaNのLED構造を作製する。動作電流を注入するためp-(Al)GaNの上にオーミック金属電極を形成後、Ag、Al及びこれらの混合物等により、反射度が高く高温で安定した反射型電極を形成する(図2)。反射型電極の形成理由は、垂直型LED製作時、p-(Al)GaNの方がステムとボンディングする形態になるような場合に活性層から発光した光がn-GaN方へ反射されるようにするためである。
【0014】
選択成長したLED構造の側面は、漏洩電流の原因になるためこれを防止するために電気が流れない物質で側面に保護膜を形成する(図3)。次に金属メッキにより銅金属支持層を形成するために、シード金属を形成する(図4)。シード金属は、エッチング溶液注入口領域上には形成しないように注意する。
【0015】
シード金属は、下地基板との接合力を向上する接着層と、酸化防止目的の保護層で構成され、加えてCLO(ケミカルリフトオフ工程)に使われるエチャントにエッチングされない特性を持っていなければならない。接着層としてTa、Ti、Cr、Wなど、保護層としてはAu、Ptなどが可能である。これらの層の厚さはそれぞれ数百~数千Å程度であり、本実施例では接着層としてTi(1000Å)と保護層としてAu(1000Å)を用いて行った。金属支持層の形成は、電気メッキ法を用いて適切な厚さに形成する(図5)。金属支持層の使用目的は、素子動作時発生する熱の放出と良好な伝導性を持たせることである。金属支持層としては、電解又は無電解メッキにより形成が可能であり、良好な熱伝導率と電気伝導度を持つCuを用いた。その厚さは50nm~100nmにする。
【0016】
図6は、電気メッキによって形成された金属支持層の表面形態を示している。中央部に存在するエッチング溶液注入口は、マスクパターンによって模様と大きさが制御可能である。エッチング溶液注入口は、選択成長のためのマスク物質と金属窒化物からなる結晶成長促進層を效率的にエッチングするためのものである。
【0017】
エッチング溶液注入口となる注入口領域は、マスク層形成時に形成され、シード金属は、この注入口領域には形成されていない。
【0018】
実施例ではn-(Al)GaN/InGaN(活性層)/p-(Al)GaNのLEDの作製について述べた。本発明は、LED構造の組成によらず適用可能である。すなわち、一般的にAlGaIn1-x-yN組成の活性層、あるいはバリヤー層から構成されるLED構造に適用して作製プロセスとして用いることができる。
【0019】
図7は、Cu 電気メッキを行った2インチ試料の表面の写真である。試料には正四角形の25個のエッチング溶液注入口がある。エッチング溶液注入口とマスク層がエッチング除去された際に形成されるトンネルによって、效率的にエッチング溶液供給が可能になり、このためCLO工程時間を少なくすることができる。CLOのためのエッチング溶液注入口は、四角形以外にも多様な形態のパターンが可能である。
【0020】
金属支持層が形成された基板からCLOにより作製した垂直型LEDの製作工程を図8~図10に示している。金属窒化物からなる結晶成長促進層のエッチング用トンネル形成のために、マスク層であるSiO膜をBF溶液によりエッチングする(図8)。エッチング溶液は、25個のエッチング溶液注入口を通して早い速度で、正四角形のそれぞれのLEDの周りに存在しているSiO膜を取り除く。このように除去されたSiO膜の下側にはGaNを成長させるためのシード層として使われた金属窒化物からなる結晶成長促進層であるCr又はCrNが存在している。
【0021】
次に、金属窒化物からなる結晶成長促進層の選択エッチングによってサファイア基板と金属支持層により支持されているLEDを分離する (図9)。表面に形成されたエッチング溶液注入口と酸化膜除去によって形成されたエッチングトンネルを通して金属窒化物からなる結晶成長促進層にエッチング溶液が急速に供給され、エッチング速度を早めることができる。LEDのn-型オーミック電極の形成後、金属支持層により支持されているLEDをそれぞれのチップに分離して垂直型LED構造を実現する(図10)。
【0022】
図11は、図8に示した酸化膜の除去後、CLOのためのトンネルが形成されたSEM写真である。また図12は、チップの大きさを1mm×1mmとして選択成長を行い、CLOによって分離された裏側のチップ写真である。右側はその拡大写真である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】結晶成長促進層を用いた選択成長を説明する図である。
【図2】本発明に係る垂直型LEDの作製工程図である。
【図3】本発明に係る垂直型LEDの作製工程図である。
【図4】本発明に係る垂直型LEDの作製工程図である。
【図5】本発明に係る垂直型LEDの作製工程図である。
【図6】本発明に係る垂直型LEDの作製工程(図5)における斜視図である。
【図7】電気メッキした試料を示す図である。
【図8】チップ分離工程図である。
【図9】チップ分離工程図である。
【図10】チップ分離工程図である。
【図11】CLOトンネル形成を示すSEM写真である。
【図12】CLOによって分離された裏側のチップ写真である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図10】
8
【図7】
9
【図11】
10
【図12】
11