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明細書 :プラズマ処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4973887号 (P4973887)
登録日 平成24年4月20日(2012.4.20)
発行日 平成24年7月11日(2012.7.11)
発明の名称または考案の名称 プラズマ処理装置
国際特許分類 H05H   1/46        (2006.01)
C23C  16/511       (2006.01)
FI H05H 1/46 B
C23C 16/511
請求項の数または発明の数 14
全頁数 25
出願番号 特願2008-525893 (P2008-525893)
出願日 平成19年7月19日(2007.7.19)
国際出願番号 PCT/JP2007/064219
国際公開番号 WO2008/010537
国際公開日 平成20年1月24日(2008.1.24)
優先権出願番号 2006197928
優先日 平成18年7月20日(2006.7.20)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年7月12日(2010.7.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
発明者または考案者 【氏名】上坂 裕之
【氏名】飯田 斉
【氏名】梅原 徳次
個別代理人の代理人 【識別番号】100095577、【弁理士】、【氏名又は名称】小西 富雅
【識別番号】100114362、【弁理士】、【氏名又は名称】萩野 幹治
審査官 【審査官】山口 敦司
参考文献・文献 特開2004-047207(JP,A)
特開2006-152418(JP,A)
調査した分野 H05H 1/46
C23C 16/511
特許請求の範囲 【請求項1】
チャンバーと、
マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段と、
前記マイクロ波発生手段で発生したマイクロ波を前記チャンバー外部から内部に導入するマイクロ波導入手段と、
前記チャンバー内に配置される筒状被加工部を有する部材にバイアス電圧を付与するバイアス電圧付与手段と、
を備えるプラズマ処理装置において、
前記マイクロ波導入手段と前記筒状被加工部を有する部材の間に配置され、前記マイクロ波導入手段により前記チャンバー内に導入されたマイクロ波を前記筒状被加工部を有する部材の筒内に導入して、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させるマイクロ波増大手段を備え、
前記筒状被加工部を有する部材は、少なくとも一端が開口端となっており、
前記マイクロ波増大手段は、前記筒状被加工部を有する部材の開口端の外側のマイクロ波を前記筒状被加工部を有する部材の内側に導入することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記マイクロ波増大手段は、前記筒状被加工部を有する部材の開口端に配置されるものであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記マイクロ波増大手段は、前記筒状被加工部を有する部材の側面に形成される開口部であり、前記開口部は前記マイクロ波導入手段に覆われていることを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記マイクロ波増大手段は、前記チャンバー内の所定の位置で前記筒状被加工部を有する部材を保持する金属製筒状部材の側面に形成される開口部であり、前記開口部は前記マイクロ波導入手段に覆われていることを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記金属製筒状部材は、両端が開口形状とされていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記マイクロ波増大手段の開口部は、前記マイクロ波導入手段側に開口するスリットであることを特徴とする請求項3から5項のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記マイクロ波増大手段の開口部は、所定形状の孔であることを特徴とする請求項3から5項のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記マイクロ波増大手段のスリットまたは孔は、2つ以上設けられることを特徴とする請求項6または7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記2つ以上のスリットまたは孔は、互いに対向した位置に設けられることを特徴とする請求項8に記載のプラズマ処置装置。
【請求項10】
前記マイクロ波導入手段は、誘電体材料により形成されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記マイクロ波導入手段は、石英により形成されることを特徴とする請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
アルゴンプラズマ、窒素プラズマおよび炭化水素プラズマのうちの1つを用いることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記筒状被加工部を有する部材は、SiO2膜、DLC膜および窒化膜のうちのいずれか1つが表面にコーティングまたは形成されるものであることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記筒状被加工部を有する部材は、ガス配管、シリンダー部材、バルブ部材および金型穴部のいずれかに用いられることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料等の薄膜コーティングや表面処理を行う方法および装置に関するものであり、特に、装置内にプラズマを生成させて表面処理を行うものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、バルブ、シリンダー、ガイドブッシュ、金型穴部、内視鏡、ノズルなどの円筒形部品の内面に、機能性薄膜コーティングや表面処理を施し、母材を越える耐食性や摺動特性を得るための技術が研究されている。上記の目的を達成するために、非平衡プラズマを用いて表面処理等を行う技術が知られており、プラズマ生成法としては、SWP(Surface Wave-excited Plasma)とMVP(Microwave Voltage-coupled Plasma)が例として挙げられる。これらのSWPとMVPは、プラズマの濃度を高密度化し、パイプなどの微小口径内の内面の表面処理を可能とするものとして期待されており、開発が進められている。
【0003】
上述のMVPを応用した技術としては、以下に記載する特許文献が存在する。この特許文献に記載されるMVPは、チャンバー内で、マイクロ波導入手段に近接配置された金属物体に負のバイアス電圧を印加し、金属物体表面に沿って導入されるマイクロ波により生成されるプラズマである。生成されたプラズマは、等電位にある金属物体表面に沿って分布する。これにより、パイプ等の内側面に沿ってマイクロ波を伝播させ、生成されたプラズマにより内表面の処理を可能とするものである。

【特許文献1】特開2004-47207号公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の発明者らは、非常に微小な口径(例えば、内径10mm以下)の円筒形部品の内面の表面処理を行うにあたり、上記のMVPを用いてさらなる改良を行ってきた。しかしながら、円筒形部品の口径が小さくなるに従い、円筒形部品の内側にプラズマを生成させることは困難であった。これは、円筒形部品の内径がプラズマのシース幅よりも小さくなるとプラズマが発生しにくくなるからである。したがって、円筒形部品内側にプラズマを生成するためには、プラズマのシース幅を小さくすることが必要となる。本出願の発明者らは、上記シース幅がプラズマの濃度の1/2乗に反比例することに着目し、プラズマの濃度を向上させるための技術について、鋭意研究を重ね、円筒形部材の周囲の部材等の形状、配置を工夫して、チャンバー内に導入されたマイクロ波を良好に円筒形部品内側に導入することにより、円筒形部品内部に高濃度のプラズマを生成することができることの知見を得た。
【0005】
そこで、本発明は、筒状被加工部を有する部材の周辺の部材の形状を工夫することにより、筒内に高濃度のプラズマを発生させ、微小な口径の被加工部材の内面への表面処理等を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1に係る発明は、チャンバーと、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段と、前記マイクロ波発生手段で発生したマイクロ波を前記チャンバー外部から内部に導入するマイクロ波導入手段と、前記チャンバー内に配置される筒状被加工部を有する部材にバイアス電圧を付与するバイアス電圧付与手段と、を備えるプラズマ処理装置において、前記マイクロ波導入手段と前記筒状被加工部を有する部材の間に配置され、前記マイクロ波導入手段により前記チャンバー内に導入されたマイクロ波を前記筒状被加工部を有する部材の筒内に導入して、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させるマイクロ波増大手段をさらに備えることを特徴とするプラズマ処理装置によって構成される。上記の構成によれば、筒状被加工部を有する部材の筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量が増大されるため、筒内にプラズマを良好に発生させることができる。
【0007】
本発明のプラズマ処理装置は、筒内の表面処理や機能性コーディングを行うものである。また、マイクロ波増大手段は、チャンバー内に導入されたマイクロ波の内、筒状被加工部を有する部材の筒内に導入されていないマイクロ波を筒内に導入するものであり、チャンバー内のプラズマ生成用原料ガス中を進行するマイクロ波を筒内に導入しても良いし、マイクロ波導入手段の内部を進行するマイクロ波を筒内に導入しても良い。
【0008】
また、本発明は、前記筒状被加工部を有する部材は、少なくとも一端が開口端となっており、前記マイクロ波増大手段は、前記筒状被加工部を有する部材の開口端の外側のマイクロ波を前記筒状被加工部を有する部材の内側に導入することを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。この構成によれば、筒状被加工部の開口端の外側のマイクロ波を内側に導入することにより、筒状被加工部を有する部材の内側でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量が増大されるため、筒内にプラズマを良好に発生させることができる。
【0009】
また、本発明は、前記マイクロ波増大手段は、前記筒状被加工部を有する部材の開口端に配置されるものであることを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。この構成によれば、筒状被加工部を有する部材の開口端部は、最も筒内にマイクロ波を導入し易い位置であるため、ここにマイクロ波増大手段を配置することにより、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができる。
【0010】
また、本発明は、前記マイクロ波増大手段は、前記筒状被加工部を有する部材の側面に形成される開口部であり、前記開口部は、前記マイクロ波導入手段に覆われていることを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。この構成によれば、開口部がマイクロ波導入手段に覆われているため、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができる。また、マイクロ波増大手段は、筒状被加工部を有する部材の側面に形成されるものであるため、別の部材を設ける必要がなく、プラズマ処理装置の構成を簡素化することができる。
【0011】
また、本発明は、前記マイクロ波増大手段は、前記チャンバー内の所定の位置で前記筒状被加工部を有する部材を保持する金属製筒状部材の側面に形成される開口部であり、前記開口部は、前記マイクロ波導入手段に覆われていることを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。この構成によれば、金属製筒状部材の側面の開口部がマイクロ波導入手段に覆われているため、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができる。
【0012】
また、本発明は、前記金属製筒状部材は、両端が開口形状とされていることを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。この構成によれば、金属製筒状部材は、両端が開口形状とされているため、マイクロ波を良好に筒状被加工部材を有する部材の内部に導入することができるため、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができる。
【0013】
また、本発明は、前記マイクロ波増大手段の開口部は、前記マイクロ波導入手段側に開口するスリットであることを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。この構成によれば、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができる。
【0014】
また、本発明は、前記マイクロ波増大手段の開口部は、所定形状の孔であることを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。この構成によれば、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができる。なお、マイクロ波増大手段に設けられる所定形状の孔は、円形、正方形、楕円形、長方形など所定の形状を用いることができる。
【0015】
また、本発明は、前記マイクロ波増大手段のスリットまたは孔は、2つ以上設けられることを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。この構成によれば、スリットまたは孔が2つ以上設けられることで、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができる。
【0016】
また、本発明は、前記2つ以上のスリットまたは孔は、互いに対向した位置に設けられることを特徴とするプラズマ処置装置として構成することもできる。この構成によれば、2つ以上のスリットまたは孔が互いに対向した位置に設けられているため、良好にマイクロ波を筒状被加工部を有する部材の内部に導入することができるため、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができる。
【0017】
また、本発明は、前記マイクロ波導入手段は、誘電体材料により形成されることを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。この構成によれば、誘電材料により、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができる。なお、誘電体材料は、石英、アルミナ、サファイア等が例として挙げられる。
【0018】
また、本発明は、前記マイクロ波導入手段は、石英により形成されることを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。この構成によれば、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができる。
【0019】
また、本発明は、アルゴンプラズマ、窒素プラズマおよび炭化水素プラズマのうちの1つを用いることを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。
【0020】
また、本発明は、前記筒状被加工部を有する部材は、SiO膜、DLC膜および窒化膜のうちのいずれか1つが表面にコーティングまたは形成されるものであることを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。
【0021】
また、本発明は、前記筒状被加工部を有する部材は、ガス配管、シリンダー部材、バルブ部材、金型穴部のいずれかに用いられることを特徴とするプラズマ処理装置として構成することもできる。
【0022】
また、本発明は、チャンバー内にマイクロ波を導入し、チャンバー内に配置された筒状被加工部を有する部材にバイアス電圧を付与してプラズマ処理を行うプラズマ処理方法であって、前記チャンバー内のマイクロ波を前記筒状被加工部を有する部材の筒内に導入して筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させる部材を、前記マイクロ波導入手段と前記筒状被加工部を有する部材の間に配置して、プラズマ処置を行うことを特徴とするプラズマ処理方法とすることができる。この方法によれば、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができるため、筒内に良好にプラズマを発生させることができる。
【0023】
また、本発明は、筒状被加工部を有する部材の筒内の表面処理を行うプラズマ表面処理方法であって、前記プラズマ処理方法により筒状被加工部を有する部材の筒内にプラズマを発生させて、筒状被加工部を有する部材の筒内の表面処理を行うことを特徴とするプラズマ表面処理方法とすることができる。この方法によれば、筒状被加工部を有する部材の筒内の表面処理を良好に行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明においては、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができるため、筒内のプラズマを良好に発生させることができる。したがって、筒状被加工部を有する部材の筒内の表面処理を良好に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を実施するための実施の形態について以下に詳細に説明する。図1は、本発明が適用された第1の実施形態の全体概略図を示す断面図である。なお、一部の部品については、当該部品の相互関係を説明するために、断面図としていない。
【0026】
プラズマ処理装置2は、チャンバー4と、チャンバー4内に導入するためのマイクロ波を生成するマイクロ波発生装置6から構成される。
【0027】
チャンバー4は、チャンバー4内でプラズマが良好に発生するように、吸気口8を備えている。本実施形態では、放電用気体としてArが用いられている。また、チャンバー4には、排気口10が設けられており、吸気口8および排気口10に設けられる図示しないレギュレータ装置により、チャンバー4内の圧力が一定の圧力に維持される。各実施形態では、Arガスの流量は5sccm、圧力は50Paとされている。
【0028】
マイクロ波発生装置6は、導波管12およびマイクロ波供給部14を介してチャンバー4に接続されている。マイクロ波供給部14は、チャンバー4の一部に設けられた円形の孔を外側から覆うように配置されており、チャンバー4に設けられた孔には、石英管16が嵌め込まれている。なお、各実施形態では、マイクロ波のパワーは50Wとされている。
【0029】
石英管16は、誘電体材料である石英により形成され、かつチャンバー4内を外気から密閉状態となるようにチャンバー4の孔を塞ぐものである。マイクロ波発生装置6で発生したマイクロ波は、導波管12およびマイクロ波供給部14をとおり、石英管16を透過してチャンバー4内に導入される。
【0030】
石英管16は、チャンバー4に設けられた円形の孔に沿うような形状の円柱状の部分と、この円柱部よりも外径の大きい円柱状の部分とから構成されている。石英管16の外径の大きい部分の円柱状の部分は、チャンバー4の外側の壁に当接させられる。また、石英管16には、チャンバー4の内部側に開放される円柱状の空隙部が設けられており、この空隙部に管ホルダー18が挿入される。
【0031】
管ホルダー18は、金属製の外形円柱状の部材であり、石英管16の空隙部に挿入された状態で、図示しないネジ等により固定されるものである。管ホルダー18は、後述するように様々な形状を取りうるが、基本的には、内側に円柱状の空隙部を有する円筒形状である。
【0032】
管ホルダー18の内部には、被加工部材である微小口径管20が挿入され、固定されている。微小口径管20は、内径が数ミリ程度の円筒形の金属製の部材である。なお、石英管16、管ホルダー18および微小口径管20について、図1においては、相互部品間の関係を示すために、断面図を用いていない。これらの
部品のみの相互関係を図2に示す。
【0033】
また、微小口径管20は、電圧導入部23を介してバイアス電源22に接続されている。バイアス電源22は、チャンバー4外部の電源から電力を供給され、微小口径管20に負電圧を付与するものである。なお、バイアス電源22には直列に電流計24が、並列に電圧計26が配置されている。
【0034】
以上、説明したプラズマ処理装置において、本発明の実施形態および比較例では、石英管16および管ホルダー18の形状を複数種類作成し、そのそれぞれの組み合わせについて、測定を行った。まず、石英管16および管ホルダー18の形状について説明し、それぞれの部品を組み合わせたものを実施形態および比較例として説明する。
【0035】
図3(a)に、石英管16の全体図を示す。また、図3(b)に、石英管16の断面図を示す。石英管16は、チャンバー4の外部に配置される大径部28と、チャンバー4の内部に配置される小径部30により構成される。小径部30の内側には、円柱形状の空隙部32が形成されている。
【0036】
次に、図4(a)に石英管34の全体図、図4(b)に石英管34の断面図をそれぞれ示す。石英管34は、大径部のみにより形成されており、内部に空隙部36が形成されている。
【0037】
次に、図5(a)に管ホルダー18の全体図、図5(b)に管ホルダー18の円筒形状の軸を含む面で切った断面図をそれぞれ示す。図5に示すように、管ホルダー18の側面には、円形の孔が上下に2つ設けられている。管ホルダー18の両端部は開口状態とされている。なお、以下に示す各管ホルダーの説明においては、図中左方が石英管側であり、図中右方が微小口径管側である。
【0038】
次に、図6(a)に管ホルダー38の全体図、図6(b)に管ホルダー38の円筒形状の軸を含む面で切った断面図をそれぞれ示す。図6に示すように、管ホルダー38の側面には、上部に1つの孔が設けられている。管ホルダー38の両端部は開口状態とされている。
【0039】
次に、図7(a)に管ホルダー40の全体図、図7(b)に管ホルダー40の円筒形状の軸を含む面で切った断面図をそれぞれ示す。図7に示すように、管ホルダー40は、側面に孔を1つも有しておらず、単純な円筒形状とされている。なお、管ホルダー40の両端部は開口状態とされている。
【0040】
次に、図8(a)に管ホルダー42の全体図、図8(b)に管ホルダー42の円筒形状の軸を含む面で切った断面図をそれぞれ示す。図8に示すように、管ホルダー42の側面には、円形の孔が上下に2つ設けられている。また、管ホルダー42の図中左方の端部は開口状態とされておらず、右方の端部は開口状態とされている。
【0041】
次に、図9(a)に管ホルダー44の全体図、図9(b)に管ホルダー44の円筒形状の軸を含む面で切った断面図をそれぞれ示す。図9に示すように、管ホルダー44の側面には、円形の孔が上部に1つ設けられている。また、管ホルダー44の図中左方の端部は開口状態とされておらず、右方の端部は開口状態とされている。
【0042】
次に、図10(a)に管ホルダー46の全体図、図10(b)に管ホルダー46の円筒形状の軸を含む面で切った断面図をそれぞれ示す。図10に示すように、管ホルダー46の側面には、上下に2つのスリットが設けられている。スリットは、管ホルダー46の中央付近から右方の端部まで延びている。また、管ホルダー46の両端部は開口状態とされている。
【0043】
次に、図11(a)に管ホルダー48の全体図、図11(b)に管ホルダー48の円筒形状の軸を含む面で切った断面図をそれぞれ示す。図11に示すように、管ホルダー48の側面の上部には、1つのスリットが設けられている。スリットは、管ホルダー48の中央付近から右方の端部まで延びている。また、管ホルダー48の両端部は開口状態とされている。
【0044】
次に、本発明の各実施形態および比較例の構成、測定結果について説明する。各実施形態は、図1のプラズマ処理装置2を用いることで共通するものであるが、石英管または管ホルダーの形状が異なるものである。また、各実施形態および比較例においては、バイアス電源の電圧を時間とともに0Vから-200Vに変化させ、その後-200Vから0Vまで変化させた時の電流値および電圧値を、電流計24および電圧計26を用いて測定した。なお、微小口径管20の材質はステンレスであり、内径は4.4mm、長さは50mmである。
【0045】
(第1実施形態)
第1実施形態は、図3の石英管16と図5の管ホルダー18を用いて構成されるものである。石英管16、管ホルダー18および微小口径管20の相互の配置関係を示す図を図12に示す。図12に示すように、管ホルダー18は、石英管16に挿入され、管ホルダー18の側面の孔の外側は、石英管16の小径部30に覆われている。また、微小口径管20は、管ホルダー18の内部に配置されており、管ホルダー18の側面の孔の位置よりも図中右方に配置されている。
【0046】
次に、第1実施形態についての測定結果を図13に示す。図13(a)は、バイアス電圧に対する微小口径管20に流れる電流値の変化を測定したものであり、図13(b)は、バイアス電圧に対するマイクロ波のパワーの変化を測定したものである。図13に示すように、バイアス電圧を-200Vから0Vに変化させる場合に、0Vから-200Vに変化させた場合よりも大きな電流が微小口径管20に流れていることが分かる。このように、グラフ上にヒステリシスが見られる場合は、目視により微小口径管20の内側に濃いプラズマを確認している。なお、第1実施形態では、バイアス電圧を低下させた過程(0Vから-200Vに変化させた過程)では、-175Vで微小口径管内側にプラズマが発生し、バイアス電圧を上げる過程では、-50Vでプラズマが消失した。
【0047】
したがって、本発明の第1実施形態では、微小口径管20の内側に良好にプラズマを発生させることができる。また、本実施形態では、グラフ上にヒステリシスが現れるような濃いプラズマを発生させているため、微小口径管20の口径が小さい場合でも、良好に微小口径管20内側にプラズマを発生させることができる。
【0048】
(比較例1)
比較例1は第1の実施形態と比較するためのものであり、図4の石英管34と図5の管ホルダー18を用いて構成され、第1の実施形態と石英管の構成が異なっている。石英管34、管ホルダー18および微小口径管20の相互の配置関係を図14に示す。管ホルダー18は、石英管34に挿入されるが、管ホルダーの側面の孔は石英管34に覆われていない。
【0049】
この比較例1についての測定結果を図15に示す。図15に示すように、バイアス電圧を変化させても、グラフ上ではヒステリシスはほとんど見られないことがわかる。なお、この比較例1では、バイアス電圧を低下させた過程では、-175Vでプラズマが発生し、バイアス電圧を上げる過程では、-175Vでプラズマが消失した。
【0050】
(第2実施形態)
第2の実施形態は、図3の石英管16と図6の管ホルダー38を用いて構成されるものである。石英管16、管ホルダー38および微小口径管20の相互の配置関係は図12と同様であるので、図示は省略する。
【0051】
第2実施形態の測定結果を図16に示す。第1実施形態と同様に、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスを確認することができるが、電流値の差が第1実施形態よりも小さくなっている。なお、第3実施形態では、バイアス電圧低下過程では、プラズマが-175Vで出現し、バイアス電圧上昇過程では、-75Vでプラズマが消失した。
【0052】
(比較例2)
比較例2は第2の実施形態と比較するためのものであり、図4の石英管34と図6の管ホルダー38を用いて構成されるものである。石英管34、管ホルダー38および微小口径管20の相互の配置関係は図14と同様であるので、図示は省略する。
【0053】
比較例2の測定結果を図17に示す。図17(a)に示すように、第2実施形態と比較して、比較例では、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスは見られなくなっている。なお、比較例2では、バイアス電圧低下過程では、プラズマが-175Vで出現し、バイアス電圧上昇過程では、-175Vでプラズマが消失した。
【0054】
(第3実施形態)
第3の実施形態は、図3の石英管16と図8の管ホルダー42を用いて構成されるものである。石英管16、管ホルダー42および微小口径管20の相互の配置関係は図12と同様であるので、図示は省略する。
【0055】
第3の実施形態の測定結果を図18に示す。図18(a)に示すように、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスを確認することができる。第3実施形態では、良好に微小口径管20の内側にプラズマが発生していると考えられる。なお、第7実施形態では、バイアス電圧低下過程では、プラズマが-160Vで出現し、バイアス電圧上昇過程では、-60Vでプラズマが消失した。
【0056】
(比較例3)
比較例3は、第3の実施形態と比較するためのものであり、図4の石英管34と図8の管ホルダー42を用いて構成されるものである。石英管34、管ホルダー42および微小口径管20の相互の配置関係は図14と同様であるので、図示は省略する。
【0057】
比較例3の測定結果を図19に示す。図19(a)に示すように、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスはほとんど確認できない。なお、比較例3では、バイアス電圧低下過程では、プラズマが-175Vで出現し、バイアス電圧上昇過程では、-175Vでプラズマが消失した。
【0058】
(第4実施形態)
第4の実施形態は、図3の石英管16と図9の管ホルダー44を用いて構成されるものである。なお、石英管16、管ホルダー44および微小口径管20の相互の配置関係は図12と同様であるので、図示は省略する。
【0059】
第4の実施形態の測定結果を図20に示す。図20(a)に示すように、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスは確認することができるが、第3の実施形態に比べて電流値の差は少なくなっている。なお、第4実施形態では、バイアス電圧低下過程では、プラズマが-160Vで出現し、バイアス電圧上昇過程では、-60Vでプラズマが消失した。
【0060】
(比較例4)
比較例4は、第4の実施形態と比較するためのものであり、図4の石英管34と図9の管ホルダー44を用いて構成されるものである。なお、石英管34、管ホルダー44および微小口径管20の相互の配置関係は図14と同様であるので、図示は省略する。
【0061】
比較例4の測定結果を図21に示す。図21(a)に示すように、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスはほとんど見られない。なお、比較例4では、微小口径管20の内部にはプラズマは形成されなかった。
【0062】
(第5実施形態)
第5の実施形態は、図3の石英管16と図10の管ホルダー46を用いて構成されるものである。なお、石英管16、管ホルダー46および微小口径管20の相互の位置関係は図12と同様であるので、図示は省略する。
【0063】
第5の実施形態の測定結果を図22に示す。図22(a)に示すように、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスを確認することができる。電流値の差は、第1の実施形態よりも大きくなっている。なお、第5実施形態では、バイアス電圧低下過程では、プラズマが-175Vで出現し、バイアス電圧上昇過程では、-50Vでプラズマが消失した。
【0064】
(比較例5)
比較例5は、第5の実施形態と比較するためのものであり、図4の石英管34と図10の管ホルダー46を用いて構成されるものである。なお、石英管34、管ホルダー46および微小口径管20の相互の位置関係は図14と同様であるので、図示は省略する。
【0065】
比較例5の測定結果を図23に示す。図23(a)に示すように、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスはほとんど確認することができない。なお、比較例5では、微小口径管20の内部にはプラズマは形成されなかった。
【0066】
(第6実施形態)
第6の実施形態は、図3の石英管16と図11の管ホルダー48を用いて構成されるものである。なお、石英管16、管ホルダー48および微小口径管20の相互の位置関係は図12と同様であるので、図示は省略する。
【0067】
第6の実施形態の測定結果を図24に示す。図24(a)に示すように、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスをグラフ上で確認することができる。第5実施形態と比較すると、電流値の差は小さくなっている。なお、第6実施形態では、バイアス電圧低下過程では、プラズマが-175Vで出現し、バイアス電圧上昇過程では、-50Vでプラズマが消失した。
【0068】
(比較例6)
比較例6は、第6の実施形態と比較するためのものであり、図4の石英管34と図11の管ホルダー48を用いて構成されるものである。なお、石英管34、管ホルダー48および微小口径管20の相互の位置関係は図14と同様であるので、図示は省略する。
【0069】
比較例6の測定結果を図25に示す。図25(a)に示すように、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスは、ほとんどグラフ上で確認することができない。なお、比較例6では、バイアス電圧低下過程では、プラズマが-100Vで出現し、バイアス電圧上昇過程では、-100Vでプラズマが消失した。
【0070】
(比較例7)
比較例7は、第1の実施形態と比較するためのものであり、第1の実施形態と管ホルダーの形状が異なっており、図3の石英管16と図7の管ホルダー40を用いて構成されるものである。石英管16、管ホルダー40および微小口径管20の相互の配置関係は図12と同様であるので、図示は省略する。
【0071】
比較例7の測定結果を図26に示す。図26(a)に示すように、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスはほとんど確認できなくなっている。なお、比較例8では、バイアス電圧低下過程では、プラズマが-175Vで出現し、バイアス電圧上昇過程では、-175Vでプラズマが消失した。
【0072】
(比較例8)
比較例8は、図4の石英管34と図7の管ホルダー40を用いて構成されるものである。石英管34、管ホルダー40および微小口径管20の相互の配置関係は図14と同様であるので、図示は省略する。
【0073】
比較例8の測定結果を図27に示す。図27(a)に示すように、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスはほとんど確認できなくなっている。なお、比較例8では、微小口径管20の内部にはプラズマは形成されなかった。
【0074】
以上、第1の実施形態から第6の実施形態および比較例1から8について説明したが、以下に石英管および管ホルダーの形状についての考察を試みる。
【0075】
(石英管の形状)
実施形態1から6においては図3の石英管16を用い、比較例1から6においては図4の石英管34を用いて測定を行った。第1実施形態と比較例1の測定結果である図13(a)と図15(a)を比較してわかるように、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスの有無に差異が現れている。この差異は、第2実施形態と比較例2、第4実施形態と比較例4を比較した場合も同様に確認することができる。このことから、石英管16の小径部30の内部をマイクロ波が透過し、微小口径管20の筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量が増大し、微小口径管20の内側に濃いプラズマが発生しているものと考えられる。なお、本発明の各実施形態においては、石英管16は、小径部30および大径部28を備えるものとしたが、これに限らず、管ホルダーの孔あるいはスリットを外側から覆うものであれば他の形状を採ることもできる。例えば、図3の石英管16の小径部30の部分を大径部28の直径で形成したものであっても良い。
【0076】
(管ホルダーの孔の有無)
第1実施形態の管ホルダー18は、側面に2つの孔を備えているのに対し、比較例7の管ホルダー40は、側面に孔が設けられていないものである。この2つの測定結果である図13(a)と図26(a)を比較すると、第1実施形態ではヒステリシスが確認できるのに対し、比較例7ではほとんどヒステリシスを確認することができない。したがって、マイクロ波は、石英管16の小径部30を通り、管ホルダーの孔を通って微小口径管20の内部に侵入しているものと考えられる。
【0077】
(管ホルダーの孔の数)
第1実施形態の管ホルダー18は、側面に2つの孔を備えているのに対し、第2の実施形態の管ホルダー38は、側面に1つの孔を備えている。この2つの実施形態の測定結果である図13(a)と図16(a)を比較すると、第1実施形態のヒステリシスの幅(電流値の差)の方が第2実施形態よりも大きいことが分かる。したがって、側面の孔の数は1つよりも2つの方が良好に微小口径管20の内側にプラズマを発生させることができる。
【0078】
(管ホルダーの孔の形状)
第1実施形態の管ホルダー18は円形状の孔を備えるが、第5実施形態の管ホルダー46は端部まで開放したスリットを備える。管ホルダー側面の開口部の面積は、この2つの実施形態の測定結果である図13(a)と図22(a)を比較すると、第1実施形態よりも第5実施形態のヒステリシスの幅が大きいことが分かる。したがって、管ホルダーの側面の開口部の面積を大きくした場合、良好に微小口径管の内側にプラズマを発生させることができる。
【0079】
ちなみに、管ホルダーの側面の開口部の面積を最大にした場合、すなわち、管ホルダーの側壁をすべて除去した場合についても、同様に測定を行ったが、微小口径管20の内側にプラズマを発生させることが困難であった。したがって、管ホルダーの側面には、孔あるいはスリットなどの開口部が必要であるが、同時に管ホルダーの側面部分が存在することも重要であると考えられる。
【0080】
(管ホルダーの底面の有無)
第1実施形態の管ホルダー18は、石英管16側底面(図5の図中左方)は開口状態とされているが、第4実施形態の管ホルダー42のように、石英管16側底面は閉口状態とされている。この2つの実施形態の測定結果である図13(a)と図18(a)を比較すると、両者のグラフの間に差異はほとんど見られない。したがって、管ホルダーの底面の形状は、微小口径管20の内側にプラズマを発生させるにあたっては、影響は少ないものと考えられる。
【0081】
以上の記述をまとめると、プラズマ処理装置2において、マイクロ波発生装置6で発生したマイクロ波を微小口径管20に良好に導入し、微小口径管20の内側でプラズマを発生させるには、以下の事項に留意して、石英管および管ホルダーの形状を設計することが重要である。
【0082】
石英管の形状は、管ホルダーを外側から覆うように、小径部30を設けることが重要である。これは、マイクロ波供給部14から導入されるマイクロ波を、効果的に管ホルダーの内側に導入し、さらに、マイクロ波を微小口径管20の内側に導入するためである。
【0083】
また、管ホルダーの側面には、開口部を設けることが重要である。これは、石英管16の小径部30に導入されたマイクロ波を、開口部を通して管ホルダー内側に導入し、微小口径管20の内側に導入するためである。管ホルダーの側面に設けられる開口部は、孔やスリットがあるが、上述したように、開口部の大きさを大きくしすぎると、微小口径管20の内側にプラズマを発生させることが困難となるため、少なくとも管ホルダーの側面は、一部残すことが望ましい。
【0084】
また、管ホルダーの側面の孔あるいはスリットの数や大きさは、適宜変更することが肝要である。また、微小口径管20の内径が小さい場合は、比較的シビアに孔あるいはスリットの大きさを決定する必要がある。
【0085】
また、管ホルダーの石英管側の底面は、開口形状でも良いし、閉口形状でも良い。管ホルダーの作成の容易性を考慮すると、管ホルダーの石英管側の底面形状は、開口形状が望ましい。
【0086】
したがって、本発明では、微小口径管20の内側にマイクロ波を導入し、微小口径管20の内側のマイクロ波を増大させるために、上述した石英管16、各管ホルダーを用いることができる。石英管16と各管ホルダーの組み合わせでは、微小口径管20の内側にプラズマが発生しているため、この両者を用いることで、微小口径管20の内側にプラズマを発生させることができる。
【0087】
また、微小口径管20の内径が小さい場合は、微小口径管20の内側にプラズマが発生しにくくなるため、マイクロ波を効率的に微小口径管20内側に導入させることが望ましく、例えば、第1、第5実施形態のように、管ホルダー18あるいは管ホルダー46を用いることができる。
【0088】
次に、上記第1実施形態、比較例7および第5実施形態のプラズマ処理装置2について、バイアス電圧を-200Vに保持した状態で、マイクロ波発生装置の出力値を減少させた場合の測定結果について説明する。
【0089】
図28は、第1実施形態のプラズマ処理装置2についての測定結果である。図28に示すように、マイクロ波発生装置6の出力値を50Wから減少させるにつれて、電流値が減少していき、マイクロ波の出力値が約20Wになったときに、微小口径管20のプラズマが消失した。
【0090】
図29は、比較例7のプラズマ処理装置2についての測定結果である。図29に示すように、マイクロ波の出力値を減少させるにつれて電流値が減少し、マイクロ波の出力値が約30Wで微小口径管20の内側のプラズマは消失した。
【0091】
図30は、第5実施形態のプラズマ処理装置についての測定結果である。図30に示すように、マイクロ波の出力値を減少させていったところ、マイクロ波の出力値が約15Wの時点で微小口径管20の内側のプラズマは消失した。
【0092】
上記の3つの測定結果より、プラズマが消失した時点のマイクロ波出力値の大きさを比較したグラフを図31に示す。図31より、第5実施形態の管ホルダー46を用いることで、出力値の低いマイクロ波でもプラズマを維持することができることがわかる。したがって、管ホルダー46は、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を最も増大させることができると考えられる。図30の測定結果は、図24(a)でヒステリシスが大きく現れている測定結果と良好に合致している。すなわち、バイアス電圧に対する電流値のヒステリシスの幅(電流値の差)が大きい場合は、筒内でプラズマに吸収されるマイクロ波の分量を増大させることができることになり、これにより、微小口径管20内側にプラズマを発生させることができる。
【0093】
(微小口径管の内面観察結果および考察)
次に、本発明のプラズマ処理装置2において、微小口径管20の内側にプラズマを発生させ、微小口径管20の内面をプラズマ処理させたものについての観察結果を示し、これについて考察する。本実験については、微小口径管20としては、Tiパイプ(外径6mm、内径4mm、長さ75mm)を用いた。プラズマ処理装置2の窒化条件は、マイクロ波の出力を40W、ガス圧力を68Pa、Ar流量を40sccm、窒素流量を30sccmとした。また、本実験に用いた管ホルダーは、ホルダー側面に2つの孔を有する図5に示す管ホルダー18と、ホルダー側面に孔を有しない図7に示す管ホルダー40を用い、孔の有無による微小口径管20の内側の表面処理の差異について観察した。
【0094】
微小口径管20の内面を撮影した写真を図32に示す。図32は、微小口径管20を軸に平行な方向に沿ってカットしたものであり、図32には微小口径管20の内面が示されている。図32の微小口径管20の上から2つは、管ホルダー18を用いてプラズマ処理を行なったものであり、図32の微小口径管20の下から2つは、管ホルダー40を用いてプラズマ処理を行なったものである。なお、図32においては、図の左側が微小口径管20の管ホルダー側(根元側、図1における下側)であり、図の右側が微小口径管20の先端側である。
【0095】
また、比較例としてプラズマによる表面処理を行なっていない微小口径管20の内面の写真を図33に示す。図32と図33を比較すると、図32の微小口径管20の内面は図33の微小口径管20の内面に比べて色が変化しており、図32の微小口径管20の内面は、プラズマによって窒化膜が形成されていることが分かる。また、図32の上の2つと下の2つの微小口径管20を比較すると、上の2つの微小口径管20の内面は図中左側から右側にかけて、比較的均一な色をしているが、下の2つの微小口径管は、右に向かうにつれて色が変化している。実際の写真によれば、上の2つの微小口径管20は、左側から右側にかけて比較的均一に黄金色となっているが、下の2つの微小口径管20は、右側に向かうにつれて、黄金色に紫色や青色が混ざったような色に変色していた。これは、微小口径管20の内面にTiN以外の化合物が形成されたためと考えられる。
【0096】
また、微小口径管20の内面を顕微鏡により観察して撮影した写真を図34に示す。図34の左側の3つの写真が管ホルダー18を用いた場合の微小口径管20の内面の写真であり、図34の右側の3つの写真が官ホルダー40を用いた場合の微小口径管20の内面の写真である。図34に示す写真は、それぞれ、微小口径管20の根元付近、中央付近、先端付近の写真である。図34によれば、右上の写真、ずなわち、管ホルダー40を用いてプラズマ表面処理を行なった場合、左上の写真よりも、微小口径管20の内面が紫色が混ざった色に変色していることが観察された。
【0097】
図32および図34に示す観察結果より、管ホルダー18を用いた場合は、管ホルダー40を用いた場合に比較して、微小口径管20の内面に良好に窒化膜を形成させることができていたと考えられる。このことから、マイクロ波は、管ホルダー18に形成された孔を介して微小口径管20の内側に導入され、これによって微小口径管20の内側で良好にプラズマが発生したものと考えることができる。
【0098】
本発明は上記した実施の形態に限定されるわけではなく、種々の変更が可能であり、たとえば、微小口径管(筒状被加工部を有する部材)の両端側からマイクロ波を導入するような手段を用いたり、微小口径管の内部へ接地電極を挿入して、プラズマ発生の安定化を図ることも可能である。また、本発明のプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法(例えばアルゴンプラズマ・窒素プラズマ、炭化水素プラズマ等)を使用することで、筒状被加工部を有する部材の筒内に、表面処理を施すことが可能となる。筒状被加工部を有する部材としては、例えば、バルブ部材(例えば、自動車用燃料インジェクターのバルブやその他の用途に用いられるバルブ)、ノズル部材(例えば、記録用ヘッドのノズルやその他の用途に用いられるノズル)、シリンダー部材(例えば、エンジン用シリンダーやその他の用途に用いられるシリンダー)、ガイドブッシュ部材(例えば、工具チャック部に用いられるガイドブッシュやその他の用途に用いられるガイドブッシュ)、金型穴部(例えば、射出成形用金型のコアに形成された穴部やその他の部分に用いられる金型穴部)、ガス配管(例えば、プラズマプロセスやCVD用チャンバーへのガス導入配管やその他の部分の配管)、医療デバイス用部品(例えば内視鏡用パイプ状部品やその他の医療用部品)などが挙げられる。
【0099】
また、上記の筒状被加工部を有する部材の筒内に、表面処理を施すことで、耐摩耗性薄膜(耐摩耗性DLC膜:耐摩耗性ダイヤモンドライクカーボン膜)の形成、絶縁性薄膜の形成、耐腐食性コーティングの生成、絶縁性コーティングの生成を可能にする。なお、生成される膜種は、DLC、窒化膜等以外の膜種であってもよい。
【0100】
例えば、筒状被加工部を有する部材をガス配管やバルブに用いた場合、流路である筒状被加工部を有する部材の内面が腐食性ガスによって腐食されないよう、配管やバルブの材料としてステンレスが用いられるが、配管等の耐腐食性をさらに高めるために、SiOやDLC薄膜を配管の内面に形成するプラズマ表面処理技術が求められている。しかしながら、配管の内径が小さくなると従来のプラズマ処理ではプラズマを配管内に介在させることが困難となり、配管の表面処理が困難となる。これに対し、本発明によるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法では、プラズマの密度が高いため、プラズマを配管内に介在させることが可能となり、配管の表面処理が可能となる。
【0101】
また、筒状被加工部を有する部材を、内面に電気コード等が配置される機械要素部品としての長尺金属パイプに用いた場合、金属パイプの内面から外面への漏電を防止するために、金属パイプ内面にSiOやDLC薄膜を形成する表面加工技術が求められている。しかしながら、パイプの内径が小さくなると従来のプラズマ処理ではプラズマをパイプの内部に介在させることが困難となり、パイプの内面の表面処理が困難となる。これに対し、本発明によるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法では、プラズマの密度が高いため、プラズマをパイプの内側に介在させることが可能となり、パイプの内面の表面処理が可能となる。
【0102】
また、筒状被加工部を有する部材を、樹脂部品の射出成形用金型の一部として用いた場合、金型の内面と成形部品との間の摩擦は低摩擦、かつ離形性が良いことが望ましい。このため、DLC等をプラズマ処理により金型内面に形成する技術が望まれている。しかしながら、金型内面の内径が小さくなると従来のプラズマ処理ではプラズマを金型内側に介在させることが困難となり、金型内面の表面処理が困難となる。これに対し、本発明によるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法では、プラズマの密度が高いため、プラズマを金型内側に介在させることが可能となり、金型内面の表面処理が可能となる。
【0103】
また、筒状被加工部を有する部材を、ノズル部材、シリンダー部材、ガイドブッシュ部材、金型穴部(例えば、スライドコアとの摺動部)等の内面摺動部に用いた場合、上記各部材の表面は相手部材に対して低摩擦表面となることが望ましい。このため、上記各部材の摩擦面に、DLC等の低摩擦皮膜をプラズマ処理により形成する技術が望まれている。しかしながら、上記各部材の内面の内径が小さくなると当該内面にプラズマを介在させることが困難となり、内面の表面処理が困難となる。これに対し、本発明によるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法では、プラズマの密度が高いため、プラズマを内径の小さい内面に介在させることが可能となり、当該内面への表面処理が可能となる。
【0104】
このような表面処理の結果、筒状被加工部を有する部材の耐摩耗性、絶縁性が向上し、製品コストの低減化が図られるとともに、製品の小型化も図られる。更に、従来使用することが困難であった製品にも、内面が表面処理された筒状部材を使用することができ、産業上極めて大きな価値を創出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明に係る実施形態の全体概略を示す図である。
【図2】本発明に係る実施形態の各部材の配置関係を説明するための図である。
【図3】本発明に係る実施形態の石英管16を説明するための図である。
【図4】本発明に係る比較例の石英管34を説明するための図である。
【図5】本発明に係る実施形態の管ホルダー18を説明するための図である。
【図6】本発明に係る実施形態の管ホルダー38を説明するための図である。
【図7】本発明に係る比較例の管ホルダー40を説明するための図である。
【図8】本発明に係る実施形態の管ホルダー42を説明するための図である。
【図9】本発明に係る実施形態の管ホルダー44を説明するための図である。
【図10】本発明に係る実施形態の管ホルダー46を説明するための図である。
【図11】本発明に係る実施形態の管ホルダー48を説明するための図である。
【図12】本発明に係る実施形態の各部材の配置関係を説明するための図である。
【図13】本発明に係る第1実施形態の測定結果を説明するための図である。
【図14】本発明に係る実施形態の各部材の配置関係を説明するための図である。
【図15】本発明に係る比較例1の測定結果を説明するための図である。
【図16】本発明に係る第2実施形態の測定結果を説明するための図である。
【図17】本発明に係る比較例2の測定結果を説明するための図である。
【図18】本発明に係る第3実施形態の測定結果を説明するための図である。
【図19】本発明に係る比較例3の測定結果を説明するための図である。
【図20】本発明に係る第4実施形態の測定結果を説明するための図である。
【図21】本発明に係る比較例4の測定結果を説明するための図である。
【図22】本発明に係る第5実施形態の測定結果を説明するための図である。
【図23】本発明に係る比較例5の測定結果を説明するための図である。
【図24】本発明に係る第6実施形態の測定結果を説明するための図である。
【図25】本発明に係る比較例6の測定結果を説明するための図である。
【図26】本発明に係る比較例7の測定結果を説明するための図である。
【図27】本発明に係る比較例8の測定結果を説明するための図である。
【図28】本発明に係る第1実施形態の測定結果を説明するための図である。
【図29】本発明に係る比較例7の測定結果を説明するための図である。
【図30】本発明に係る第5実施形態の測定結果を説明するための図である。
【図31】本発明に係る実施形態、比較例の測定結果の比較を説明するための図である。
【図32】本発明に係る実施形態のプラズマ処理装置2を用いてプラズマ処理を行なった微小口径管20の内面を撮影した写真である。
【図33】プラズマ処理を行なう前の微小口径管20の内面を撮影した写真である。
【図34】本発明に係る実施形態のプラズマ処理装置2を用いてプラズマ処理を行なった微小口径管20の内面を顕微鏡で撮影した写真である。
【符号の説明】
【0106】
2 プラズマ処理装置
4 チャンバー
6 マイクロ波発生装置
16 石英管
18 管ホルダー
20 微小口径管
22 バイアス電源
24 電圧計
26 電流計
28 大径部
30 小径部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33