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明細書 :制御システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4331385号 (P4331385)
公開番号 特開2001-325005 (P2001-325005A)
登録日 平成21年6月26日(2009.6.26)
発行日 平成21年9月16日(2009.9.16)
公開日 平成13年11月22日(2001.11.22)
発明の名称または考案の名称 制御システム
国際特許分類 G05B  13/02        (2006.01)
G05B  11/32        (2006.01)
G05B  13/04        (2006.01)
G05B  21/02        (2006.01)
G11B  21/08        (2006.01)
G11B  21/10        (2006.01)
FI G05B 13/02 C
G05B 11/32 F
G05B 13/04
G05B 21/02 Z
G11B 21/08 B
G11B 21/10 L
請求項の数または発明の数 10
全頁数 29
出願番号 特願2000-172796 (P2000-172796)
出願日 平成12年6月8日(2000.6.8)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成12年3月10日 社団法人電気学会主催の「電気学会 産業計測制御研究会」において文書をもって発表
優先権出願番号 2000065154
優先日 平成12年3月9日(2000.3.9)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成19年4月16日(2007.4.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
発明者または考案者 【氏名】藤本 博志
個別代理人の代理人 【識別番号】100091904、【弁理士】、【氏名又は名称】成瀬 重雄
審査官 【審査官】川東 孝至
参考文献・文献 特開2000-048502(JP,A)
特開平11-203808(JP,A)
特開平11-265555(JP,A)
調査した分野 G05B 13/02
G05B 11/32
G05B 13/04
G05B 21/02
G11B 21/08
G11B 21/10
特許請求の範囲 【請求項1】
制御対象からの出力をサンプリングする出力サンプラと、制御対象へのフィードバック制御を行うフィードバック制御器と、制御対象への入力をマルチレートでホールドするホールダとを備え、かつ、下記式(a)によって表現される制御システムであって、下記式(b)~(d)を満たすことを特徴とする制御システム。
【数1】
JP0004331385B2_000037t.gif
【数2】
JP0004331385B2_000038t.gif

【請求項2】
制御対象からの出力をサンプリングする出力サンプラと、制御対象へのフィードバック制御を行うフィードバック制御器と、制御対象への入力をホールドするホールダとを備え、かつ、前記フィードバック制御器は、下記式(h)によって表現されるフィードバック制御を行う制御システムであって、下記式(h)における初期値は下記式(i)を満たすことを特徴とする制御システム。
【数3】
JP0004331385B2_000039t.gif

【請求項3】
請求項1記載の制御システムにおいて、M=N/nに設定されていることを特徴とする制御システム。
ここで、
M:1サンプル点間に外乱から制御対象の状態変数への影響を零にする回数
N:出力サンプラにおけるフレーム間隔内において、入力サンプラからの入力が切り替わる回数
n:制御対象における次数
である。
【請求項4】
請求項1記載の制御システムにおいて、M>N/nに設定されていることを特徴とする制御システム。
ここで、
M:1サンプル点間で制御対象の状態変数を評価する回数
N:出力サンプラにおけるフレーム間隔内において、入力サンプラからの入力が切り替わる回数
n:制御対象における次数
である。
【請求項5】
請求項記載の制御システムにおいて、さらに、N/nは非整数の値に設定されていることを特徴とする制御システム。
ここで、
M:1サンプル点間で制御対象の状態変数を評価する回数
N:出力サンプラにおけるフレーム間隔内において、入力サンプラからの入力が切り替わる回数
n:制御対象における次数
である。
【請求項6】
制御対象と、
前記制御対象への入力(u)を周期Tuでホールドするホールダと、
前記制御対象の出力(y)をサンプリング周期Tyでサンプリングする出力サンプラと、
前記制御対象への入力(u)及び前記出力サンプラの出力(y)を受けて前記制御対象及び予め定められた外乱モデルの状態変数の推定値(xハット)を出力するオブザーバと、
前記制御対象の状態を望ましい極配置により安定化し外乱を抑圧するように、前記オブザーバの出力を受けてフィードバック信号を生成して前記ホールダの入力にフィードバックするレギュレータと、を備え、
前記出力サンプラのサンプリング周期Tyは、前記ホールダの動作周期Tuよりも長く(Ty>Tu)、
Nを前記サンプリング周期Tyの間における前記ホールダの動作回数、nを前記制御対象の次数とするとき、前記オブザーバが前記出力サンプラの1サンプル点間において前記制御対象の状態変数xを評価する回数MをM=N/nに従い決定し、
前記オブザーバと前記レギュレータは、周期Tyの間でN回制御対象への入力(u)を出力し、
離散時間マルチレート制御系における前記レギュレータのフィードバック係数(F)を、あるサンプル点から所定の時間間隔(ν)離れた次のサンプル点への制御対象の状態変数の遷移行列が理想的な連続時間制御系に一致するように決定し、かつ、外乱の影響が外乱の状態変数の推定値に係る係数により相殺されるように定め、
前記オブザーバの係数を前記オブザーバの推定誤差を生じないように定めることにより、サンプル点上だけでなくM個のサンプル点間の点で理想的な連続時間制御系と応答の一致を実現することを特徴とするマルチレートサンプリング制御による制御システム。
【請求項7】
前記オブザーバの状態変数の初期値を、前記制御対象の状態変数の初期値と前記制御対象の出力の初期値の差から定めることにより初期値補償を行うことにより前記オブザーバの係数を前記オブザーバの推定誤差を生じないように定め、前記制御対象の状態を前記レギュレータのモードで減衰させてオーバシュートを防止することを特徴とする請求項記載の制御システム。
【請求項8】
制御対象と、
前記制御対象への入力(u)を周期Tuでホールドするホールダと、
前記制御対象の出力(y)をサンプリング周期Tyでサンプリングする出力サンプラと、
前記制御対象への入力(u)及び前記出力サンプラの出力(y)を受けて前記制御対象及び予め定められた外乱モデルの状態変数の推定値(xハット)を出力するオブザーバと、
前記制御対象の状態を望ましい極配置により安定化し外乱を抑圧するように、前記オブザーバの出力を受けてフィードフォワード信号を生成して前記ホールダの入力にフィードフォワードする制御器と、
前記オブザーバの出力を所定のタイミングで前記制御器に伝達するスイッチとを備え、
前記出力サンプラのサンプリング周期Tyは、前記ホールダの動作周期Tuよりも長く(Ty>Tu)、
Nを前記サンプリング周期Tyの間における前記ホールダの動作回数、nを前記制御対象の次数とするとき、前記オブザーバが前記出力サンプラの1サンプル点間において前記制御対象の状態変数xを評価する回数MをM=N/nに従い決定し、
前記オブザーバと前記制御器は、周期Tyの間でN回制御対象への入力(u)を出力し、
前記オブザーバはオープンループの推定を行うことにより周期外乱の各周波数成分の振幅と位相情報に相当する外乱モデルの状態変数を推定し、
前記スイッチは前記オブザーバによる状態変数の推定が定常状態に収束したときにその推定値を前記制御器に伝達し、
前記制御器は前記オブザーバからの状態変数の推定値を用いて周期外乱を計算し、
前記制御器の外乱モデルのフィードフォワード係数(F)を、前記周期外乱に基づき、フィードフォワード信号に含まれる外乱の影響が前記制御対象の状態方程式の外乱に係る係数により相殺されるように定めることにより、周期的な外乱の影響をサンプル点間にM回抑圧することを特徴とするマルチレートサンプリング制御による制御システム。
【請求項9】
さらに、前記制御対象の出力をフィードバックするフィードバック補償器を備え、
前記フィードバック補償器は内部モデルをもたず、
前記フィードバック補償器の初期値を、前記制御対象及び外乱モデルの状態変数の初期値と前記制御対象の初期値の差から定めることにより初期値補償を行うことにより前記オブザーバの係数を前記オブザーバの推定誤差を生じないように定め、前記制御対象の出力のオーバシュートを防止することを特徴とする請求項記載の制御システム。
【請求項10】
制御対象と、
前記制御対象への入力(u)を周期Tuでホールドするホールダと、
前記制御対象の出力(y)をサンプリング周期Tyでサンプリングする出力サンプラと、
前記制御対象への入力(u)及び前記出力サンプラの出力(y)を受けて前記制御対象及び予め定められた外乱モデルの状態変数の推定値(xハット)を出力するオブザーバと、
前記制御対象の状態を望ましい極配置により安定化し外乱を抑圧するように、前記オブザーバの出力を受けてフィードバック信号を生成して前記ホールダの入力にフィードバックするレギュレータと、を備え、
前記出力サンプラのサンプリング周期Tyは、前記ホールダの動作周期Tuよりも長く(Ty>Tu)、
Nを前記サンプリング周期Tyの間における前記ホールダの動作回数、nを前記制御対象の次数とするとき、前記オブザーバが前記出力サンプラの1サンプル点間において前記制御対象の状態変数xを評価する回数MをM>N/nに従い決定し、
前記オブザーバと前記レギュレータは、周期Tyの間でN回制御対象への入力(u)を出力し、
出力サンプラの動作時において外乱の影響が外乱の状態変数の推定値に係る係数により相殺されるとともに、サンプル点間応答において前記外乱から前記制御対象の状態方程式への影響が最小になるように定めることにより、前記制御対象の状態変数の評価点を増加させてサンプル点間における外乱抑制特性を向上させる制御システム。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御システム、例えば回転式の情報記録装置などにおけるヘッドの位置を制御するための制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6にハードディスク装置の一例を示す。このハードディスク装置では、ボイスコイルモータによってヘッドの位置が制御されて、ディスク上における所定のトラックにヘッドが位置するようになっている。こうしたヘッド位置を制御する方法として、例えば、連続時間(アナログ)系で設計してタスティン(Tustin)変換で離散化する方法などが用いられている。しかしながら、従来の制御方法では、振動抑圧および外乱防止の両者において十分な制御を行うことができないという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、マルチレートサンプリングを適用することにより、従来の制御方法よりも特性が良い制御システムを提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の制御システムは、制御対象からの出力をサンプリングする出力サンプラと、制御対象へのフィードバック制御を行うフィードバック制御器と、制御対象への入力をマルチレートでホールドするホールダとを備え、かつ、下記式(a)によって表現される制御システムであって、下記式(b)~(d)を満たす構成となっている。
【数4】
JP0004331385B2_000002t.gif【数5】
JP0004331385B2_000003t.gif【0005】
請求項2記載の制御システムは、制御対象からの出力をサンプリングする出力サンプラと、制御対象へのフィードバック制御を行うフィードバック制御器と、制御対象への入力をホールドするホールダとを備え、かつ、前記フィードバック制御器は、下記式(h)によって表現されるフィードバック制御を行う制御システムであって、下記式(h)における初期値は下記式(i)を満たす構成となっている。
【数6】
JP0004331385B2_000004t.gif【0007】
請求項記載の制御システムは、請求項1記載の制御システムにおいて、M=N/nに設定されているものである。ここで、
M:1サンプル点間に外乱から制御対象の状態変数への影響を零にする回数(M=N/nと選ぶ)
N:出力サンプラにおけるフレーム間隔内において、入力サンプラからの入力が切り替わる回数
n:制御対象における次数
である。
【0008】
請求項記載の制御システムは、請求項1記載の制御システムにおいて、M>N/nに設定されているものである。用いた符号の意味は請求項と同様である。
【0009】
請求項記載の制御システムは、請求項記載の制御システムにおいて、さらに、N/nは非整数の値に設定されているものである。用いた符号の意味は請求項と同様である。
【0010】
請求項記載の制御システムは、
制御対象と、
前記制御対象への入力(u)を周期Tuでホールドするホールダと、
前記制御対象の出力(y)をサンプリング周期Tyでサンプリングする出力サンプラと、
前記制御対象への入力(u)及び前記出力サンプラの出力(y)を受けて前記制御対象及び予め定められた外乱モデルの状態変数の推定値(xハット)を出力するオブザーバと、
前記制御対象の状態を望ましい極配置により安定化し外乱を抑圧するように、前記オブザーバの出力を受けてフィードバック信号を生成して前記ホールダの入力にフィードバックするレギュレータと、を備え、
前記出力サンプラのサンプリング周期Tyは、前記ホールダの動作周期Tuよりも長く(Ty>Tu)、
Nを前記サンプリング周期Tyの間における前記ホールダの動作回数、nを前記制御対象の次数とするとき、前記オブザーバが前記出力サンプラの1サンプル点間において前記制御対象の状態変数xを評価する回数MをM=N/nに従い決定し、
前記オブザーバと前記レギュレータは、周期Tyの間でN回制御対象への入力(u)を出力し、
離散時間マルチレート制御系における前記レギュレータのフィードバック係数(F)を、あるサンプル点から所定の時間間隔(ν)離れた次のサンプル点への制御対象の状態変数の遷移行列が理想的な連続時間制御系に一致するように決定し(式(29))、かつ、外乱の影響が外乱の状態変数の推定値に係る係数により相殺される(式(30))ように定め、
前記オブザーバの係数を前記オブザーバの推定誤差を生じない(式(31))ように定めることにより、サンプル点上だけでなくM個のサンプル点間の点で理想的な連続時間制御系と応答の一致を実現することを特徴とするマルチレートサンプリング制御による制御システムに構成されている。
【0011】
請求項記載の制御システムは、前記オブザーバの状態変数の初期値を、前記制御対象の状態変数の初期値と前記制御対象の出力の初期値の差から定めることにより初期値補償を行うことにより前記オブザーバの係数を前記オブザーバの推定誤差を生じない(式(31))ように定め、前記制御対象の状態を前記レギュレータのモードで減衰させてオーバシュートを防止することを特徴とする請求項記載の制御システムである。
【0012】
請求項記載の制御システムは、
制御対象と、
前記制御対象への入力(u)を周期Tuでホールドするホールダと、
前記制御対象の出力(y)をサンプリング周期Tyでサンプリングする出力サンプラと、
前記制御対象への入力(u)及び前記出力サンプラの出力(y)を受けて前記制御対象及び予め定められた外乱モデルの状態変数の推定値(xハット)を出力するオブザーバと、
前記制御対象の状態を望ましい極配置により安定化し外乱を抑圧するように、前記オブザーバの出力を受けてフィードフォワード信号を生成して前記ホールダの入力にフィードフォワードする制御器と、
前記オブザーバの出力を所定のタイミングで前記制御器に伝達するスイッチとを備え、
前記出力サンプラのサンプリング周期Tyは、前記ホールダの動作周期Tuよりも長く(Ty>Tu)、
Nを前記サンプリング周期Tyの間における前記ホールダの動作回数、nを前記制御対象の次数とするとき、前記オブザーバが前記出力サンプラの1サンプル点間において前記制御対象の状態変数xを評価する回数MをM=N/nに従い決定し、
前記オブザーバと前記制御器は、周期Tyの間でN回制御対象への入力(u)を出力し、
前記オブザーバはオープンループの推定を行うことにより周期外乱の各周波数成分の振幅と位相情報に相当する外乱モデルの状態変数を推定し、
前記スイッチは前記オブザーバによる状態変数の推定が定常状態に収束したときにその推定値を前記制御器に伝達し、
前記制御器は前記オブザーバからの状態変数の推定値を用いて周期外乱を計算し、
前記制御器の外乱モデルのフィードフォワード係数(F)を、前記周期外乱に基づき、フィードフォワード信号に含まれる外乱の影響が前記制御対象の状態方程式の外乱に係る係数により相殺される(式(30))ように定めることにより、周期的な外乱の影響をサンプル点間にM回抑圧することを特徴とするマルチレートサンプリング制御による制御システムである。
【0013】
請求項記載の制御システムは、請求項記載の制御システムにおいて、さらに、前記制御対象の出力をフィードバックするフィードバック補償器を備え、
前記フィードバック補償器は内部モデルをもたず、
前記フィードバック補償器の初期値を、前記制御対象及び外乱モデルの状態変数の初期値と前記制御対象の初期値の差から定めることにより初期値補償を行うことにより前記オブザーバの係数を前記オブザーバの推定誤差を生じない(式(31))ように定め、前記制御対象の出力のオーバシュートを防止することを特徴とするものである。
【0014】
請求項10記載の制御システムは、
制御対象と、
前記制御対象への入力(u)を周期Tuでホールドするホールダと、
前記制御対象の出力(y)をサンプリング周期Tyでサンプリングする出力サンプラと、
前記制御対象への入力(u)及び前記出力サンプラの出力(y)を受けて前記制御対象及び予め定められた外乱モデルの状態変数の推定値(xハット)を出力するオブザーバと、
前記制御対象の状態を望ましい極配置により安定化し外乱を抑圧するように、前記オブザーバの出力を受けてフィードバック信号を生成して前記ホールダの入力にフィードバックするレギュレータと、を備え、
前記出力サンプラのサンプリング周期Tyは、前記ホールダの動作周期Tuよりも長く(Ty>Tu)、
Nを前記サンプリング周期Tyの間における前記ホールダの動作回数、nを前記制御対象の次数とするとき、前記オブザーバが前記出力サンプラの1サンプル点間において前記制御対象の状態変数xを評価する回数MをM>N/nに従い決定し、
前記オブザーバと前記レギュレータは、周期Tyの間でN回制御対象への入力(u)を出力し、
出力サンプラの動作時において外乱の影響が外乱の状態変数の推定値に係る係数により相殺されるとともに、サンプル点間応答において前記外乱から前記制御対象の状態方程式への影響が最小になる(式(38))ように定めることにより、前記制御対象の状態変数の評価点を増加させてサンプル点間における外乱抑制特性を向上させる制御システムである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係る制御システムについて、添付の図面を参照しながら以下に説明する。まず、システムの概略を図1に基づいて説明する。このシステムは、制御対象1からの出力をサンプリングする出力サンプラ2と、制御対象1へのフィードバック制御を行うフィードバック制御器3と、制御対象1への入力をホールドするホールダ4と、制御対象への指示入力をサンプリングする入力サンプラ5と、制御対象1へのフィードフォワード制御を行うフィードフォワード制御器6とを主な機能要素として備えている。また、図1及び図2において、(t)は連続時間領域、[i]は離散時間領域、(T)、(T)、(T)は、おのおのの離散時間処理におけるサンプル間隔を示している。
【0016】
本実施形態では、フレーム間隔T=T間にN回だけ、制御対象1への入力が変化できる、いわゆるマルチレートサンプリング処理ができるようになっている。以下の説明では、いわゆる一入力一出力を例にするが、多入力多出力への拡張は容易である(Fujimoto他「Generalized digital redesign method for linear feedback system based on N-delay control」 IEEE/ASME Trans. Mechatronics, Vol.4, no.2, pp101-109, 1999参照…文献1)。前記したマルチレートサンプル回数Nは、この実施形態ではM=N/nにおけるMが整数となるように設定される。ここで、nは制御対象における次数である。
まず、連続時間におけるプラント(制御対象)を次のように記述する。
【数7】
JP0004331385B2_000005t.gifすると、図2に示されるようなマルチレートサンプリングを施した離散時間の制御対象は次のように記述できる。
【数8】
JP0004331385B2_000006t.gifここで、
x[i]=x(iT)であり、行列A,B,Cおよびベクトルuは次の式で与えられる。
【数9】
JP0004331385B2_000007t.gift=(i+ν)Tにおけるサンプル間でのプラントの状態は次のように表せる。
【数10】
JP0004331385B2_000008t.gifここで、μ(j=0,1,…,N)およびν(k=1,…,M)は、図2に示すようなマルチレートサンプリングのためのパラメータである(図2参照)。もし、間隔Tが等間隔に分割されているならば、μ=j/N,ν=k/Mである。
【0017】
ついで、レギュレータおよび外乱オブザーバに基づく、連続時間系での制御器の設計方法を説明する。下式11および12で示されるプラントのモデルを考える。
【数11】
JP0004331385B2_000009t.gifここで、d(t)は外乱入力である。外乱モデルを次のようにおく。
【数12】
JP0004331385B2_000010t.gif例えば、ステップ状の外乱は、13式で行列Acdの要素がすべて0,ベクトルccdの要素が全て1のようにモデル化できる。式11と13とで構成される連続時間系システムは次のように示せる。
【数13】
JP0004331385B2_000011t.gif14で表されるプラントについては、連続時間でのオブザーバは、Gopinathの方法により、次のように設計できる。
【数14】
JP0004331385B2_000012t.gif同様に、連続時間でのレギュレータは次のように設計できる。
【数15】
JP0004331385B2_000013t.gifまた、ベクトルe=vハット-vをオブザーバの推定偏差とすると、次式が得られる。
【数16】
JP0004331385B2_000014t.gifこの式から、閉ループシステムは次のように表せる。
【数17】
JP0004331385B2_000015t.gifここで、行列AFcp≡行列Acp+ベクトルbcp×ベクトルfcpである。t=iTからt=(i+ν)Tへの状態推移量であるベクトルx,ベクトルxは次のように示せる。
【数18】
JP0004331385B2_000016t.gif【0018】
次に、前記した連続時間での制御器から得られるディジタル制御器を示す。この制御器は、マルチレート入力制御を用いたものである。
式14を、マルチレートサンプリングにより離散化すると、サンプル間、つまり、t=(i+ν)Tにおけるプラントの状態は、式6におけるk番目の行を用いて次のように示せる。
【数19】
JP0004331385B2_000017t.gif式2に離散化されたプラント(式14)に対して、次式のような、サンプル点上での離散時間オブザーバを設計する。
【数20】
JP0004331385B2_000018t.gif図3に示されるように、フィードバック制御を次式のように置く。
【数21】
JP0004331385B2_000019t.gifここで、行列F≡[行列F,行列F]である。式24から27により、閉ループシステムは次のように示せる。
【数22】
JP0004331385B2_000020t.gif式22と28とを比較すると、下記式29から31に示される条件が満たされるならば、ディジタル制御系の前提となる連続時間系でのプラント状態と、ディジタル制御系でのプラントの状態(ベクトルx)とを、t=(i+ν)Tにおけるサンプル点間のM個の点で一致させることができる。
【数23】
JP0004331385B2_000021t.gifすべてのk(=1,…,M)において、式29と式30とを連立させることにより、次式を得る。
【数24】
JP0004331385B2_000022t.gif行列Bpにおける正則性が保証されている(藤本、河村:”N-delay制御を用いた新しいディジタル再設計法”,電学論D, 117, 5, pp.645-654(1997)…文献2; M. Araki and T. Hagiwara: "Pole assignment by multirate-data output feedback", Int. J. Control. 44, 6, pp. 1661-1673(1986)…文献3、を参照)ため、行列FとFは次のように得られる。
【数25】
JP0004331385B2_000023t.gifさらに、前記文献1はマルチレート出力制御に基づくオブザーバのための離散化を提案している。しかしながら、この実施形態では、出力のサンプリング周期が入力の周期よりも長い(T>T)プラントを想定しているので、簡単に、行列Aハットの固有値が行列exp(Aハット)の固有値と等しくなるように、離散時間オブザーバを設計することにする。
式25と27とを用いて、図4に示すフィードバックタイプの制御器は、次のように得られる。
【数26】
JP0004331385B2_000024t.gif【0019】
オブザーバにおける推定偏差を消去し、かつ、式31を満たすため、34式で示す制御器の初期値を考察する。式26から、もしベクトルx[0]が既知であれば、制御器の初期値を次式のように設定するものとする。
【数27】
JP0004331385B2_000025t.gifこの補償により、ステップ応答におけるオーバシュートを防ぐことができる。なぜなら、プラントの状態はレギュレータのモードのみによって収束するからである。
なお、前記においては、オブザーバの状態変数「ベクトルvハット」の初期値設定を説明したが、フィードバック制御器3(図1参照)に、式(34)により適用したオブザーバの状態変数「ベクトルvハット」の初期値を、前記と同様に、t=tにおいて式(35)に従って設定することもできる。その効果については後述する。
【0020】
ついで、1)内部モデル原理に基づくフィードバックアプローチと、2)開ループ推定に基づくフィードフォワード外乱抑止アプローチとについて、以下に説明する。
まず、フィードバックアプローチについて説明する。
周期T≡2π/ωの外乱は次式で表される。
【数28】
JP0004331385B2_000026t.gif式13における外乱モデルを式36とすると、繰り返しフィードバックコントローラは式34で得られる。これは、s+(kωという内部モデルを有するものである。
式28および30において、t=(i+ν)Tにおけるサンプル間状態x[i+ν]への外乱x[i]からの影響をゼロにすることができる。さらに、ApMチルダ+BpMチルダ×FおよびAハット(レギュレータおよびオブザーバにおける極)の固有値で決定される速度で、サンプリング点におけるx[i]、e[i]がゼロに収束する。したがって、定常状態では、M個の中間点において、外乱は完全に除去される。つまり、x[i+ν]=0となる。
ついで、フィードフォワードアプローチについて説明する。内部モデル原理に基づく繰り返しフィードバックは、閉ループ特性が悪くなり、ロバスト安定の保障が難しくなるという不都合がある。したがって、ここでは、開ループ推定とフィードフォワードによる外乱抑圧に基づく新規な繰り返し制御器が、図5に示されるように提案される。繰り返し外乱は、開ループ外乱オブザーバにより推測される。推測が定常状態にあれば、図5のスイッチがt=tでオンとなる。その後、スイッチは直ちにオフとなる。繰り返し外乱は、初期値xハット[t]に基づいて、次のように算出できる。
【数29】
JP0004331385B2_000027t.gifここで、Add=exp(Acd)である。式33により、外乱フィードフォワードFを得ることができるので、M個のサンプル間点において、完全な外乱防止が可能となる。
【0021】
図6に示すハードディスクにおけるヘッド位置制御では、一般に、制御の戦略は次の3つに分類される。シークモード(seeking mode:走査モード)、セトリングモード(settling mode:整定モード)、フォロイングモード(following mode:追従モード)である。シークモードでは、ヘッドは、目的のトラックにできるだけ速やかに移動する。ついで、セトリングモードでは、ヘッドは、オーバシュートなしに停止する。その後、ヘッドは、情報の書き込みまたは読み出し中において目的のトラックに位置し続けなければならない。フォロイングモードでは、ディスクの回転や外乱による振動があっても目的のトラックに位置し続けるよう制御される。
以下においては、前記したフィードバック制御器をセトリングおよびフォロイングモードに適用した例をさらに説明する。ハードディスクにおけるサーボ信号は、100μs程度の一定間隔で検出されるので、最近のハードウエアにおいては、一つのサンプリング間隔において制御入力を2~4回変化させることができる。したがって、前記した構成は使用可能である。
プラントのノミナルモデルを次のように置く。
【数30】
JP0004331385B2_000028t.gifこの式におけるパラメータを表1に示す。
【表1】
JP0004331385B2_000029t.gifこのモデルは、3.5インチのハードディスクドライブの実験器から得られたものである。図7に示すように、実際のプラントは、2.7kHz付近での一次の機械的共振モードを持つ。この振動モードは、個体により、±500Hz程度変動する。ナイキスト周波数(3.6kHz)は、この共振モードに近づいている。したがって、従来のシングルレート制御では、振動を抑えることは難しい。
連続時間での制御は、レギュレータおよび外乱オブザーバを用いて設計されている。ここにおいては、外乱は、ステップ形関数d(s)=1/sでモデル化され、レギュレータの極は、(s+ωに設定され、オブザーバの極は(s+ω(s+2ζω1ns+(ω1n)に設定されている。図8に示されるように、この制御器は、共振周波数においてノッチ特性を有している。閉ループシステムが高いバンド幅を持ち、±1kHzの共振の変動を安定化させるように、パラメータωが選ばれる。図8は、共振モードがナイキスト周波数に近づくとタスティン変換が大きな近似偏差を持つことを示している。
シミュレーションの結果を図9および図10に示す。これらは、本実施形態の構成がタスティン変換より良い結果をもたらすことを示している。ここで、本実施形態の利点を明確にするために、「マルチレートタスティン」という考えを導入する。これは、Ty/Nにおいてタスティン変換で離散化されたディジタル制御器と、アップサンプラおよび零次ホールダを備えた補間器(interpolator)とを備えたものとなっている。図から判るように、タスティン変換でのレスポンスは振動しているが、本実施形態の方法は振動していない。
【0022】
ついで、本実施形態に係るマルチレート繰り返し制御器をフォロイングモードに適用した例を示す。フォロイングモードにおけるブロック図を図11に示す。外乱d(t)は、ディスクの回転によって生じるトラックの振動を示している。この振動は、トラックランアウト(track runout)と言われている。このモードの目的は、ポジションエラー(位置誤差)pe(t)を零にすることである。n(t)は、pe(t)の観測ノイズ(測定ノイズ)を示し、入力端の外乱d(t)は、風乱などの加速度外乱(acceleration disturbance)を示している。
フォロイングモードでは、繰り返しランアウト(repeatable runout:以下「RRO」と言うことがある。)と非繰り返しランアウト(non-repeatable runout:以下「NRRO」と言うことがある。)という2種類の外乱を考慮しなければならない。RROはディスク回転に同期しており、NRROは同期していない。本実施形態に示した、M個のサンプル間点における繰り返し制御のシステムによれば、RROは完全に除去できる。
簡単のために、プラントのモデルを次のように与える。
【数31】
JP0004331385B2_000030t.gifまた、RROとしては、次式のように、1次、10次、20次のものを考慮する。
【数32】
JP0004331385B2_000031t.gifここで、ω0=2π×120rad/secである。図12は、t=0から加えられた、周波数120×k[Hz]で振幅が1[trk]=3.6μmの正弦波状ランアウトの下での、本実施形態による繰り返し外乱抑圧制御システムのシミュレーション結果を示すものである。過渡状態での位置偏差は大きいものの、図12(a)に示されるように、定常状態におけるサンプリング点での定常位置偏差を零にすることができる。なぜなら、このフィードバック制御器はRROの内部モデルを有しているからである。しかしながら、図12(b)~(c)は、定常状態にあっても、サンプル点間の応答は、トラッキング偏差を有していることを示している。プラント位置と速度における偏差は、この実施形態での制御器によれば、各T/2の点において零になる。つまり、この形態の制御システムによれば、T間において、M(=N/n=4/2=2)回、完全に外乱を抑止することが保障される。さらに、この実施形態における、サンプル間の定常位置偏差(位置誤差)は、0.015μmであり、シングルレートの制御器におけるものよりもかなり小さくなっている。特に、高周波領域(k=20:2.4[kHz])では、定常位置偏差がかなり改善されている。これに対して、シングルレートの制御器では、この例において、大きな偏差(0.8μm=22%)を有している。
図13に、本実施形態とシングルレート制御器との、外乱の次数に対する誤差率の計算結果を示す。ここで、誤差率(Error Ratio)は、RROに対する位置誤差の大きさを表し、サンプル点間応答も考慮に入れ、次式のように定義した。
【数33】
JP0004331385B2_000032t.gif【0023】
ここで、図15(後述)のような、本実施形態における特性に鑑みれば、過渡応答が大きく乱れるという問題点は解決できる。これを考慮して、定常状態だけを評価するために、t=20[s]と選んだ。図13より、シングルレート制御器は低次のRROに対しては十分な抑圧効果を有するが、高次のRROに対してはサンプル点間応答に大きく位置誤差を生じていることが分かる。以上のことから、ナイキスト周波数(3.6[kHz])に近い高次の外乱ほど、提案手法の有効性を発揮できることが明らかである。
図14(a)は、フィードバック型の繰り返し制御器の感度関数S[z]および相補感度関数T[z]を示している。これによれば、閉ループ特性は悪くなり、ロバスト安定の保障は難しくなる。一方、この実施形態に係るフィードフォワード型の繰り返し制御によれば、フィードバックの特性は、図5における制御器C[z]にのみ依存するので、図14(b)に示されるように、良好な閉ループ特性を保存することができる。ただし、ここで、C2[z]は、式(41)に対してステップ状の外乱を仮定して、式(34)に基づき設計することにより、積分器を持つ2次の補償器を得ている。
前記のフィードフォワード繰り返し制御の結果を図15に示す。なお、図15(b)における破線は、実線の上に載っているので読み取れないが、実質的に実線と同じ値を取っている。スイッチは、ちょうどt=10msにおいてオンとなる。その後、繰り返し外乱は、定常状態で、M個のサンプル点間において完全に抑圧されている。
また、図14(a)の実線に、フィードバック制御器3(図1参照)の状態変数「ベクトルvハット」の初期値を、t=tにおいて式(35)に沿って設定した場合の応答を示す(同図中破線はこの設定をしなかった場合である)。このように、フィードバック制御器3の初期値補償を行うことによって、オーバシュートを防止することができる。
【0024】
つぎに、前記した実施形態と異なる、他の実施形態(他形態と略称する。)について説明する。前記の実施形態では、M=N/nと定義して、外乱xから制御対象の状態xへの影響を、1サンプル間にM回零にすることを考えた。他形態では、整数MをN/n以上に選ぶことにより、xの評価点を増加させ、サンプル点間における外乱抑圧特性を全体的に最適化する手法を採用する。このように、サンプル点間応答をサンプリング周期より高速な周期で仮想的にサンプルし、設計を行う手法は、近年発展したサンプル値制御理論において、重要な役割を果たしている(T. Chen and B. Francis: "Optimal Sampled-Data Control Systems", Springer (1995)…文献4、を参照)。ただし、整数MをN/n以上に選ぶと、Bチルダpは縦長の行列になるので、式(32)を満足させることができなくなる。これは、式(27)において、外乱(ベクトル)x[i]からサンプル点間の制御対処の状態(ベクトル)x[i+ν]を表す行列
【数34】
JP0004331385B2_000033t.gifを全てのk(=1,…,M)において零にすることができないことを意味する。従って、この行列をできるだけ小さくすれば、サンプル点間応答を最小化できることが分かる。しかしながら、x[i]が零に収束することを保証するためには、式(32)のν(=1)に相当する行は成立していなければならない。したがって、この問題は、次のように定式化することができる。
【数35】
JP0004331385B2_000034t.gif なお、上式の制約条件は、制御器が内部モデルを含むための条件と解釈することができる。式(42)のノルムとしてフロベニウスノルムを選び、式(42)をラグランジュの未定乗数法を用いて解くと、次式が得られる。
【数36】
JP0004331385B2_000035t.gifただし、
【数37】
JP0004331385B2_000036t.gifである。上式において、行列X×行列Xの正則性を保証するためには、M>NとMを選ぶ必要がある。
前記実施形態では、M=N/n(ただしn=2)とし、サンプル点間にM回、外乱を完全に抑圧した。ここで説明する他形態では、M>NとなるMを選ぶ。ここで、M>Nとする場合、入力多重度Nを固定してMを増加させる場合と、N自体を増加させることでMを増加させる場合が考えられる。前者の例を図16(a)の破線に示す。実線は前記実施形態での値である。これから分かるように、入力多重度Nを固定してMを増加させても、あまり大きな向上は見られない。また、式(43)に比べて式(33)が非常に簡単であることを考えると、M=N/nとすることは、基本的には適切であると考えられる。
一方、入力多重度をN=2,3,4と変化させたときの応答を図16(b)に示す。図より、入力多重度を増加させると、外乱抑圧特性が大きく向上することが分かる。前記実施形態の手法は、N/nが整数であるときしか対応することができない。これに対して、ここで説明した他形態では、N/nが整数でなくともよい。したがって、Nを選択する自由度が増えるという利点がある。さらに具体的に説明すると、使用するCPUのクロック数などからNの上限値は定まる。N/n=整数という制約がなければ、理想的に言えば、Nの上限値をそのまま使用できる。その結果、外乱抑制特性を最適化できる。一方、N/n=整数という制約の下では、上限値であるNが使用できるとは限らない。上限値においてN/n=整数を満たさない場合、上限値以下であってかつN/nが整数となるNを使用しなければならないという問題がある。
【0025】
なお、前記実施形態および他形態は、下記の発明として把握することができる。
【0026】
(請求項に対応)
「制御対象と、
前記制御対象への入力(u)を周期Tuでホールドするホールダと、
前記制御対象の出力(y)をサンプリング周期Tyでサンプリングする出力サンプラと、
前記制御対象への入力(u)及び前記出力サンプラの出力(y)を受けて前記制御対象及び予め定められた外乱モデルの状態変数の推定値(xハット)を出力するオブザーバと、
前記制御対象の状態を望ましい極配置により安定化し外乱を抑圧するように、前記オブザーバの出力を受けてフィードバック信号を生成して前記ホールダの入力にフィードバックするレギュレータと、を備え、
前記出力サンプラのサンプリング周期Tyは、前記ホールダの動作周期Tuよりも長く(Ty>Tu)、
Nを前記サンプリング周期Tyの間における前記ホールダの動作回数、nを前記制御対象の次数とするとき、前記オブザーバが前記出力サンプラの1サンプル点間において前記制御対象の状態変数xを評価する回数MをM=N/nに従い決定し、
前記オブザーバと前記レギュレータは、周期Tyの間でN回制御対象への入力(u)を出力し、
離散時間マルチレート制御系における前記レギュレータのフィードバック係数(F)を、あるサンプル点から所定の時間間隔(ν)離れた次のサンプル点への制御対象の状態変数の遷移行列が理想的な連続時間制御系に一致するように決定し(式(29))、かつ、外乱の影響が外乱の状態変数の推定値に係る係数により相殺される(式(30))ように定め、
前記オブザーバの係数を前記オブザーバの推定誤差を生じない(式(31))ように定めることにより、サンプル点上だけでなくM個のサンプル点間の点で理想的な連続時間制御系と応答の一致を実現することを特徴とするマルチレートサンプリング制御による制御システム」
【0027】
(請求項に対応)
「前記オブザーバの状態変数の初期値を、前記制御対象の状態変数の初期値と前記制御対象の出力の初期値の差から定めることにより初期値補償を行うことにより前記オブザーバの係数を前記オブザーバの推定誤差を生じない(式(31))ように定め、前記制御対象の状態を前記レギュレータのモードで減衰させてオーバシュートを防止することを特徴とする制御システム」
【0028】
(請求項に対応)
「制御対象と、
前記制御対象への入力(u)を周期Tuでホールドするホールダと、
前記制御対象の出力(y)をサンプリング周期Tyでサンプリングする出力サンプラと、
前記制御対象への入力(u)及び前記出力サンプラの出力(y)を受けて前記制御対象及び予め定められた外乱モデルの状態変数の推定値(xハット)を出力するオブザーバと、
前記制御対象の状態を望ましい極配置により安定化し外乱を抑圧するように、前記オブザーバの出力を受けてフィードフォワード信号を生成して前記ホールダの入力にフィードフォワードする制御器と、
前記オブザーバの出力を所定のタイミングで前記制御器に伝達するスイッチとを備え、
前記出力サンプラのサンプリング周期Tyは、前記ホールダの動作周期Tuよりも長く(Ty>Tu)、
Nを前記サンプリング周期Tyの間における前記ホールダの動作回数、nを前記制御対象の次数とするとき、前記オブザーバが前記出力サンプラの1サンプル点間において前記制御対象の状態変数xを評価する回数MをM=N/nに従い決定し、
前記オブザーバと前記制御器は、周期Tyの間でN回制御対象への入力(u)を出力し、
前記オブザーバはオープンループの推定を行うことにより周期外乱の各周波数成分の振幅と位相情報に相当する外乱モデルの状態変数を推定し、
前記スイッチは前記オブザーバによる状態変数の推定が定常状態に収束したときにその推定値を前記制御器に伝達し、
前記制御器は前記オブザーバからの状態変数の推定値を用いて周期外乱を計算し、
前記制御器の外乱モデルのフィードフォワード係数(Fd)を、前記周期外乱に基づき、フィードフォワード信号に含まれる外乱の影響が前記制御対象の状態方程式の外乱に係る係数により相殺される(式(30))ように定めることにより、周期的な外乱の影響をサンプル点間にM回抑圧することを特徴とするマルチレートサンプリング制御による制御システム」
【0029】
(請求項に対応)
「さらに、前記制御対象の出力をフィードバックするフィードバック補償器を備え、
前記フィードバック補償器は内部モデルをもたず、
前記フィードバック補償器の初期値を、前記制御対象及び外乱モデルの状態変数の初期値と前記制御対象の初期値の差から定めることにより初期値補償を行うことにより前記オブザーバの係数を前記オブザーバの推定誤差を生じない(式(31))ように定め、前記制御対象の出力のオーバシュートを防止する制御システム。」
【0030】
(請求項10に対応)
「制御対象と、
前記制御対象への入力(u)を周期Tuでホールドするホールダと、
前記制御対象の出力(y)をサンプリング周期Tyでサンプリングする出力サンプラと、
前記制御対象への入力(u)及び前記出力サンプラの出力(y)を受けて前記制御対象及び予め定められた外乱モデルの状態変数の推定値(xハット)を出力するオブザーバと、
前記制御対象の状態を望ましい極配置により安定化し外乱を抑圧するように、前記オブザーバの出力を受けてフィードバック信号を生成して前記ホールダの入力にフィードバックするレギュレータと、を備え、
前記出力サンプラのサンプリング周期Tyは、前記ホールダの動作周期Tuよりも長く(Ty>Tu)、
Nを前記サンプリング周期Tyの間における前記ホールダの動作回数、nを前記制御対象の次数とするとき、前記オブザーバが前記出力サンプラの1サンプル点間において前記制御対象の状態変数xを評価する回数MをM>N/nに従い決定し、
前記オブザーバと前記レギュレータは、周期Tyの間でN回制御対象への入力(u)を出力し、
出力サンプラの動作時において外乱の影響が外乱の状態変数の推定値に係る係数により相殺されるとともに、サンプル点間応答において前記外乱から前記制御対象の状態方程式への影響が最小になる(式(38))ように定めることにより、前記制御対象の状態変数の評価点を増加させてサンプル点間における外乱抑制特性を向上させる制御システム」
【0031】
【発明の効果】
請求項1記載の制御システムによれば、出力サンプリング間隔Ts間で、N/n回の、理想アナログ応答との一致を保証することができる。これにより、特にナイキスト周波数に近づいた周波数範囲での振動防止を良好に行うことができ、さらに、外乱抑圧も良好となる。
【0032】
請求項2記載の制御システムによれば、ステップ応答におけるオーバシュートを防止することができる。
【0034】
請求項記載の制御システムによれば、サンプル点間にM回、外乱の影響を完全に抑圧することができる。また、簡単で見通しが良い式により、フィードフォワードゲインが求まる。
【0035】
請求項記載の制御システムによれば、サンプル点間の外乱抑圧特性を最適化することができる。
【0036】
請求項記載の制御システムによれば、サンプル点間の外乱抑圧特性を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、2自由度制御系を示しているものである。
【図2】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、マルチレート制御を示しているものである。
【図3】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、外乱オブザーバを用いたマルチレート制御を示しているものである。
【図4】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、フィードバック制御器C[z]の構成例を示しているものである。
【図5】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、フィードフォワード制御を示しているものである。
【図6】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、従来から用いられているハードディスクドライブを説明するものである。
【図7】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、プラントの周波数応答を示すものである。
【図8】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、制御器の周波数応答を示すものである。
【図9】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、制御器の時間応答(ω=ω1n)を示すものである。
【図10】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、感度関数S[z]、相補感度関数T[z]の周波数応答を示すものである。
【図11】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、フォロイングモードでのブロック図での構成を示すものである。
【図12】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、d(t)=Tsinkω、T=3.6μmとしたときの、フィードバック繰り返し制御のシミュレーション結果を示すものである。
【図13】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、外乱の次数に対する誤差率のシミュレーション結果を示すものである。
【図14】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、感度関数S[z]、相補感度関数T[z]の周波数応答のシミュレーション結果を示すものである。
【図15】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、式(40)におけるk=20での、フィードフォワード繰り返し制御のシミュレーション結果を示すものである。図中(b)は(a)の定常状態における拡大図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る制御システムのための概略的な説明図であり、サンプル間応答のシミュレーション結果を示すものである。
【符号の説明】
1 制御対象(プラント)
2 出力サンプラ
3 フィードバック制御器
4 ホールダ
5 入力サンプラ
6 フィードフォワード制御器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15