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明細書 :反応現像画像形成法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4590634号 (P4590634)
公開番号 特開2006-293111 (P2006-293111A)
登録日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発行日 平成22年12月1日(2010.12.1)
公開日 平成18年10月26日(2006.10.26)
発明の名称または考案の名称 反応現像画像形成法
国際特許分類 G03F   7/039       (2006.01)
C08G  73/10        (2006.01)
G03F   7/32        (2006.01)
H01L  21/027       (2006.01)
FI G03F 7/039
C08G 73/10
G03F 7/32
H01L 21/30 502R
請求項の数または発明の数 7
全頁数 15
出願番号 特願2005-115261 (P2005-115261)
出願日 平成17年4月13日(2005.4.13)
審査請求日 平成20年4月8日(2008.4.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
発明者または考案者 【氏名】大山 俊幸
【氏名】友井 正男
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
審査官 【審査官】古妻 泰一
参考文献・文献 特開2005-134744(JP,A)
特開2005-134742(JP,A)
特開2000-035668(JP,A)
特開平07-092667(JP,A)
調査した分野 G03F 7/039
C08G 73/10
G03F 7/32
H01L 21/027
特許請求の範囲 【請求項1】
基板上にフォトレジスト層を設け、所望のパターンでマスクし、このパターン面に紫外線を照射し、その後この層をアルカリを含む溶剤で洗浄することから成る現像画像形成法において、該フォトレジスト層が下式
【化1】
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(式中、Rは、芳香環又は-R-X-R-(式中、R及びRは、それぞれ同じであっても異なってもよく、芳香環を表し、Xはスルフィド基(-S-)、スルホキシド基(-SO-)、スルホン基(-SO-)、カルボニル基(C=O)又はアルキレン基を表す。)を表し、Rはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、nはこのポリマーの分子量に相当する数を表す。)で表されるポリエステルイミドと光酸発生剤とから成る反応現像画像形成法。
【請求項2】
前記Rが下式のいずれかの2価基を表す請求項1に記載の反応現像画像形成法。
【化2】
JP0004590634B2_000021t.gif

【請求項3】
前記Rが下式のいずれかの2価基を表す請求項1又は2に記載の反応現像画像形成法。
【化3】
JP0004590634B2_000022t.gif

【請求項4】
前記アルカリがアミンである請求項1~3のいずれか一項に記載の反応現像画像形成法。
【請求項5】
前記アルカリを含む溶液が、アミン並びに水及び有機溶剤の少なくとも一方から成る混合物である請求項4に記載の反応現像画像形成法。
【請求項6】
基板上に請求項1~5のいずれか一項に記載の方法により形成されたフォトレジスト層を有するフォトレジスト構造物。
【請求項7】
基板上に下式
【化1】
JP0004590634B2_000023t.gif
(式中、Rは、芳香環又は-R-X-R-(式中、R及びRは、それぞれ同じであっても異なってもよく、芳香環を表し、Xはスルフィド基(-S-)、スルホキシド基(-SO-)、スルホン基(-SO-)、カルボニル基(C=O)又はアルキレン基を表す。)を表し、Rはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、nはこのポリマーの分子量に相当する数を表す。)で表されるポリエステルイミドと光酸発生剤とから成るフォトレジスト層を有するフォトレジスト構造物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体集積回路、プリント配線基板、液晶パネル、光導波路等の製造に用いることのできるフォトレジスト技術に関し、より詳細には、ポリエステルイミドと光酸発生剤とを用いて成膜して光照射し、反応性アルカリ現像液を用いてポジ型画像を形成するためのフォトレジスト技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは通常、写真甲板加工における関連技術において、印刷板プリント電子回路及びプリント回路基板の製造、又はミクロ電子工学における半導体積層品の製造のために使用される光造形可能な有機ポリマーに用いられる。
ミクロ電子工学の半導体集積部品の製造において回路構造を作るために半導体基材はフォトレジストで被覆されるフォトレジスト層の画像形成露光及びこれに続く現像はフォトレジストレリーフ構造を作り出す。このレリーフ構造は半導体基材上に、金属又は他の半導体又は絶縁基材を用いたエッチング-ドーピング、被覆により実際の回路パターンを作るためのマスクとして使用される。その後、フォトレジストマスクは通常除かれる。複数のかかる加工サイクルを用いてマイクロチップのレリーフ構造は基材に形成される。
異なる2種のフォトレジスト、即ちポジ型レジストとネガ型レジストが知られている。2種の違うところはポジ型フォトレジストの露光域は現像プロセスにより除去され、未露光域が基材上に層として残る。一方、ネガ型作用フォトレジストの照射域はレリーフ構造として残ることにある。ポジ型フォトレジストは本質的に高い画像分解能を有していて、VLSI(超大規模集積回路)の製造に使用されている。
【0003】
通常の種類のポジ型フォトレジストは、有機溶媒中に水性アルカリに可溶な少なくとも一種のノボラック型樹脂と、アルカリ中においてこの樹脂の溶解度を低減させる感光性キノンジアジド化合物を本質的に含有する。かかる組成物で作られたフォトレジスト層を照射することにより、キノンジアジドのカルボン酸誘導体への光誘起構造変換によって露光域のアルカリ中の溶解度が増大し、このため水性アルカリ現像液中での現像の後、ポジ型フォトレジストレリーフ構造が得られる。
一般にカプトンと呼ばれるポリイミドは溶剤に難溶であるため、その前駆体の不安定なポリアミド酸を用い、これにアクリル酸系のエステルを添加した系の光照射によってネガ型の画像が得られていた。
【0004】
高分子レジストは光エネルギーにより内在するクロモフォアが反応し、高分子構造が変化してその物性が変化する。各種のクロモフォアを組みこんでいて高分子の光によって生ずる高分子構造の変化─光架橋、光重合、光崩壊、光極性変化─のいずれかに分類される。
光照射によりランダムにポリマーの主鎖切断が起こり低分子量化するポリマーが見出されている。カルボニル基を含むポリマーはNorrish反応のタイプ1及びタイプ2に分解する。この系列のポリマー主鎖切断は主鎖カルボニル基の励起を経て生じるため、X線、電子線、短波長紫外線を必要とし、感度は低いが、非常に高い解像度と優れたプロファイルを与える(非特許文献1、2)。
【0005】
従来のフォトレジストはポリマーの側鎖などに塩基と酸-塩基反応が可能な官能基(例えばカルボキシル基やフェノール性水酸基など)を持つか、あるいは酸や塩基により反応してカルボキシル基やフェノール性水酸基を発生できるような反応性基(保護基と結合したエステルあるいはフェノール型エーテルなど)を持たせることが必須であった(例えば、特許文献1~3等参照。)。例えば、単純なポリカーボネートを従来のような手法でレジストにするためには、このポリマーの側鎖にカルボキシル基やフェノール性水酸基又はこれらに適当な保護基が結合した基を導入する必要があるが、これらの官能基の導入は大変困難であった。
そのため、何らこのような特殊な反応基を樹脂骨格の側鎖に持たせることなしに、ヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を主鎖に有する樹脂を用いて、フォトレジストを行うために、発明者らは、「反応現像画像形成法」という全く新しい手段を開発した(特許文献4)。
【0006】
この「反応現像画像形成法」は、ポジ型のフォトレジスト技術の一種であり、まず、フォトレジスト層を後述するヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を主鎖に含む樹脂と光酸発生剤とから成る混合物により形成した後に、この層を適宜所望のパターンにマスクした後に、紫外線を照射する。この紫外線照射により光酸発生剤は酸を発生させる。これをアルカリ(特に、求核性のアミン)を含む現像液で洗浄すると、このアルカリ(特に、求核性のアミン)が生成した酸と反応することにより、塩が生成し、露光域の極性が増大する。その結果、現像液中のアルカリ(特に、求核性のアミン)がこの露光域のポリマーの主鎖を構成するヘテロ原子に結合したカルボニル基を攻撃する。この攻撃により該カルボニル基の箇所で主鎖は切断される。この主鎖の切断により、ポリマーは低分子化され、現像液に溶解する。
【0007】

【非特許文献1】M.Hatzaki,J.Electrochem.Soc.,116(7)1033(1969)
【非特許文献2】山岡亜夫監修 半導体集積回路用レジスト材料ハンドブックP46 リアライズ社(1996)
【特許文献1】特開2001-66781
【特許文献2】特開2001-192573
【特許文献3】特開2001-249458
【特許文献4】特開2003-76013
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の「反応現像画像形成法」は、発明者が開発した「反応現像画像形成法」(特許文献4)を更に改良したものであり、アミンの求核置換反応を起こし易くするために、ポリマーとして特に設計されたポリエステルイミドを用いた。その結果、現像を容易にし、かつそのパターンの強度を高くすることが可能になった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の、ポリエステルイミドは主鎖にエステル結合を持ち、このエステル結合がベンゼン環などの芳香環又はスルホン基などの電子吸引性置換基が結合した芳香環と結合する構造を持つ。このような構造を持つポリエステルイミドのエステル結合は、アミンの求核置換反応を起こし易くし、現像を容易にし、かつそのパターンの強度を高くすることができる。
即ち、本発明は、基板上にフォトレジスト層を設け、所望のパターンでマスクし、このパターン面に紫外線を照射し、その後この層をアルカリを含む溶剤で洗浄することから成る現像画像形成法において、該フォトレジスト層が下式
【化1】
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(式中、Rは、芳香環又は-R-X-R-(式中、R及びRは、それぞれ同じであっても異なってもよく、芳香環を表し、Xはスルフィド基(-S-)、スルホキシド基(-SO-)、スルホン基(-SO-)、カルボニル基(C=O)又はアルキレン基を表す。)を表し、Rはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、nはこのポリマーの分子量に相当する数を表す。)で表されるポリエステルイミドと光酸発生剤とから成る反応現像画像形成法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のポリエステルイミドが紫外線照射を受けた後に現像液に溶解するメカニズムは以下のように考えられる。後述のように光酸発生剤は化学放射線の照射により酸を発生する。これをアルカリ(特に、求核性のアミン)を含む現像液で洗浄すると、このアルカリが生成した酸と反応することにより、塩が生成し、露光域の極性が増大する。その結果、現像液中のアルカリが、下式のように、エステル結合を攻撃し、主鎖が切断され、ポリマーは低分子化され、現像液に溶解する。一方、未露光部においては、未反応の光酸発生剤が混在する樹脂膜は現像液に対する溶解速度が著しく遅く、溶解が抑制される。
【化4】
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【0011】
本発明で用いるポリエステルイミドは、下式
【化1】
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で表される。
は、芳香環又は-R-X-R-で表される2価基である。
及びRは、それぞれ同じであっても異なってもよく、芳香環を表す。
これらの芳香環としては、ベンゼン環、ナフタリン環、アントラセン環、ナフタセン環等が挙げられるが、ベンゼン環が好ましい。芳香環として、p-フェニレン基が好ましく用いられる。この芳香環は置換基を有していてもよい。置換基としては、短鎖アルキル基、短鎖アルコキシ基等が挙げられる。
【0012】
Xは、スルフィド基(-S-)、スルホキシド基(-SO-)、スルホン基(-SO-)、カルボニル基(C=O)又はアルキレン基を表す。このなかで、スルフィド基、スルホキシド基、スルホン基及びカルボニル基、特にスルフィド基、スルホキシド基及びスルホン基、より特にスルホン基は結合している芳香環に対して電子吸引性を持つため特に好ましい(以下これらを「電子吸引基」という。)。また、このアルキレン基は隣接する2つの芳香環の間の炭素数が好ましくは2以下、より好ましくは1であり、側鎖としてアルキル基又はパーフルオロアルキル基、好ましくは炭素数が2以下のアルキル基又はパーフルオロアルキル基を有していてもよい。
【0013】
従って、Rとしては、エステル結合に電子吸引基を有する芳香環が結合するものが、エステル結合に単に芳香環が結合するものよりも好ましい。
このRとしては、例えば、下式の2価基が挙げられる。
【化2】
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【0014】
は、特に限定は無く、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。Rとしては、例えば、下式の2価基が挙げられる。
【化3】
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【0015】
このポリエステルイミドは、通常下式
【化5】
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(式中、Rは上記と同様に定義される。)で表されるエステル基含有酸二無水物とHN-R-NH(式中、Rは上記と同様に定義される。)で表されるジアミンの重縮合により合成される。エステル基含有酸二無水物は文献既知の方法(J. Polym. Sci. A-1, 4, 1531(1966); J. Macromol. Sci. Pure Appl. Chem., A39, 815 (2002))に従って、ピリジンなどの塩基存在下でのトリメリット酸無水物クロリドと芳香族や脂肪族ジオールとの反応で得られる。得られたエステル基含有酸二無水物モノマー単独あるいは混合体と酸二無水物と当量のジアミンを文献既知の方法によりone-pot 重縮合(J. Polym. Sci. Part A, Polym. Chem., 39, 934 (2001) )させることでポリエステルイミドを合成することが出来る。
nはこのポリマーの分子量に相当する数を表す。重量平均分子量は通常5,000~500,000程度である。
【0016】
なお、このポリエステルイミドは、上記の酸二無水物を複数種用いて重合させたものであってもよいし、また上記の酸二無水物以外の酸二無水物をモノマーとして共重合したものであってもよい。
このようなポリエステルイミドとして、例えば、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6-ナフタレート、ポリアリレート、ポリウレタン等とのコポリマーが挙げられる。
【0017】
また、本発明の反応現像画像形成法が好ましく適用できるポリマーは、特にその側鎖などに、塩基と反応可能な官能基(例えば、カルボキシル基やフェノール性水酸基など)や、あるいは酸や塩基により反応してカルボキシル基やフェノール性水酸基を発生できるような反応性基(保護基と結合したエステルあるいはフェノール型エーテルなど)などを有する必要が無い。
【0018】
一方、アミンは、非共有電子対を有する窒素原子を有する化合物であり、有機アミン(アミノ酸を含む)と無機アミンに分類される。これらは求核性を有する化合物であり、光酸発生剤により生ずる酸によって、極性の増大した露光域のポリマー中のヘテロ原子に結合したカルボニル基に求核的に反応する。但し、求核性でないと考えられるアミンであっても、現像条件、特に溶媒の設定によってはカルボニル基に求核的に反応する場合がある。例えば、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)は通常条件では求核性でないため本発明の反応現像画像形成法には好ましいアミンとはいえないが、アルコール/N-メチル-2-ピロリドン(以下、NMPという。)のような水を含まない系やあるいは少量の水しか含まないような溶媒系では、TMAHのOHアニオンは水があると求核性が大きく低下するので、水の代わりにアルコールあるいはアルコールも含まない有機溶媒/NMPのような系ではカルボニル基への反応性が高くなると考えられる。アミンの塩基性は酸性度指数(pKa)が大きいほど強いが、本発明の反応現像画像形成法においては塩基性よりもカルボニル基(C=O)のC原子に対する反応性(求核性)が重要であり、それは分子サイズの小さいほど強いと考えられる。従って、一般にN原子に大きな炭素鎖が結合した有機アミンよりも無機アミンのほうが求核性が強く、本発明の反応現像画像形成法に適している。本発明の求核性アミンの具体例を酸解離定数とともに下表に列挙する。
【0019】
【表1】
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【0020】
好ましいアミンとしては、表1に記載のヒドロキシルアミン、ヒドラジン、及びアンモニアの無機アミン、並びに、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、エタノールアミン、N-メチルモルホリン、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、及びモルホリン、並びにグリシンやβ-アラニンなどのアミノ酸等の有機アミンが挙げられる。無機アミンは有機アミンに比べて防爆設備を必要とせず環境負荷が小さいなどの利点がある。
【0021】
本発明のポジ型フォトレジスト中に存在する光酸発生剤は化学放射線の照射により酸を発生する化合物であり、キノンジアジド化合物,オニウム塩、スルホン酸エステル類、有機ハロゲン化合物等が使用される。特にキノンジアジド化合物は1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸又は1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸と低分子芳香族ヒドロキノン化合物、例えば2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノンや2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン及びトリヒドロキシベンゼン、例えば1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、又はクレゾールのエステル生成化合物である。オニウム塩としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等がある。これらは安息香酸t-ブチルなどのエステルと一緒に使用される。これらの中で、特に、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸-p-クレゾールエステルが好ましい。光酸発生剤はフォトレジスト中に全固形含量に基づいて5~50重量%、好ましくは10~40重量%、より好ましくは20~30重量%用いられる。なお、データは示さないが、これらの光酸発生剤には、未露光部において、光酸発生剤を混合しない単独の樹脂膜に比べ、未反応の光酸発生剤が混在した樹脂膜は現像液(アミン)に対する溶解速度が著しく遅いという溶解抑制効果がある。
【0022】
フォトレジスト溶液の製造に適する溶剤は原則としてフォトレジストの不揮発成分、例えば縮合ポリマー及び光酸発生剤及び所望のその他の添加剤が十分に可溶であり、かつこれらの成分と不可逆的に反応しない全ての溶剤である。適する溶媒の実例は、非プロトン性極性溶媒、例えばN-メチル-2-ピロリドン、ブチロラクトン、シクロヘキサノン、ジアセトキシエチレングリコール、スルホラン、テトラメチル尿素、N,N’-ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジグラム、フェノール、クレゾール、トルエン等である。
【0023】
本発明のポジ型フォトレジスト中に存在し得る別の慣用の改良添加剤としては、カップリング剤、均添剤、可塑剤、別の膜形成樹脂、界面活性剤及び安定剤よりなる。これらの改質剤は当業者にとって周知であり、そして関連文献には詳細に記載されている。かかる改質剤の量は全て合わせてもフォトレジスト溶剤の固形分全含有量に基づいて25重量%を超えることはない。本発明のフォトレジストはそれ自身公知の方法により成分を溶剤又は溶剤混合物中に混合又は溶解することにより配合される。一旦成分は溶液中に溶解され、得られたフォトレジスト溶液は0.1~1μmの細孔を有するろ過膜を用いてろ過される。主用な用途分野はミクロ電子工学及びオプトエレクトロニクス回路ならびに部品の製造である。この利用のためにこれら材料は一時の間に合わせのフォトレジストマスク並びに永久構造体として例えば絶縁層、保護膜もしくは不導体層、誘電層又は液晶表示要素における配向膜として働く。
【0024】
このようなフォトレジスト溶液を用いて基板上にフォトレジスト層を形成することができる。この基板として、樹脂等有機物、無機物、金属などいずれを用いてもよいが、銅基板やシリコン基板が好ましい。
基板上への被覆は通常、浸漬、噴霧、ロール塗り又はスピンコーティングによって行われる。生じた層の厚さはフォトレジスト溶液の粘度、固形分含量及びスピンコーティング速度に依存する。本発明のフォトレジストは0.1~500μm、好ましくは1~100μmの層厚を持つ層及びレリーフ構造を作ることができる。多層回路における薄層は一時の間に合わせのフォトレジストとして又は絶縁層として1~50μmにすることができる。フォトレジストを基材に塗布した後、これに普通50~120℃の温度範囲で予備乾燥させる。オーブン又は加熱プレートを使用できる。オーブン中での乾燥時間は5~60分である。
【0025】
その後、フォトレジスト層は輻射を受ける。通常、化学放射線の光が使用されるが、また高エネルギー放射線、例えばX線又は電子ビーム線を試用することができる。直接照射又は露光マスクを介して行うことができる。また、輻射線ビームをフォトレジスト層の表面に当てることもできる。本発明で用いる紫外線はその中心が250~450nm、好ましくは300~400nmにある電磁波である。通常、輻射はこの波長を発する紫外線ランプを用いて行われる。市販で入手できる輻射装置、例えば接触又は非接触露光機、走査投光型露光装置又はウエハステッパーを使用することが好ましい。露光の後、ついでパターンはフォトレジストの照射域を取り除くアルカリ性現像液で層を処理する。例えば、浸漬又は噴霧により基材の露光部を現像する。
【0026】
現像液は上記のアミンを含む、水若しくは有機溶剤、又は水と有機溶剤との混合物が用いるのがよい。有機溶剤は用いた縮合系化合物を溶解し、光酸発生剤や各種添加物を溶解する性能を持つ溶媒が用いられる。好ましい例としてジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ブチロラクトン、ジアセトキシエチレングリコール、シクロヘキサノン等が用いられる。光酸発生剤の存在下でのポリエステルイミドの化学放射線の照射による分子量の変化はない。むしろ、その後の現像液中への浸漬によって光照射部分が分解し、アルカリ性溶液に溶解して現像が認められる。標題に示す反応現像である。従来の酸付加によるアルカリ性溶液への溶解性の増大という溶解性の変化に基づく現像法と著しく異なる。現像は露光エネルギー、現像剤のアルカリ性の強さ、現像の形式、予備乾燥温度、現像温度、現像時間を調節して行う。現像停止は、普通、非溶剤、例えばイソプロパノール、脱イオン水、微酸性水溶液中への浸漬又は噴霧によって行われる。本発明のポジ型フォトレジストは0.1~500μm、好ましくは1~100μmの層厚を有するポリマー被膜及び鋭い輪郭丸みを付けられたれレリーフ構造をとることができる。ポストベークは材料の種類によって異なるが、150~350℃の範囲で行うことができる。
【0027】
以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。本実施例においては、以下の方法でフォトレジストを形成させて観察した。フォトレジストは、各実施例のフォトレジスト配合物を3ミクロン細孔径の濾過膜で濾過して製造した。このフォトレジスト配合物を、表面処理した直径10cmの銅箔(三井金属株式会社製品、35ミクロン厚さ)の表面上に、スピンコート法で塗布した。ついで、赤外線熱風乾燥機中で90℃10分間乾燥した。このフォトレジスト膜の厚さは、約15μmである。このフォトレジスト配合塗布膜上に、ポジ型フォトマスク用のテストパターン(10、15、20、25、200μmのスルーホール及びラインアンドベースパターン)を置き、2kw超高圧水銀灯照射装置(オーク製作所製品:JP-2000G)を用いて、画像が得られる露光量で照射した(紫外線照射 2000mJ/cm)。現像液中に、上記照射後の塗布膜を浸漬した後、脱イオン水で水洗し、赤外線ランプで乾燥後、解像度を観察した。ここでエッチング部が銅箔部に達するまでの時間を現像時間とした。いくつかの実施例においては、形成したフォトレジストをSEM(日本電子製、走査型電子顕微鏡JSM-5500LV、加速電圧:10kV)により撮影した。
【実施例1】
【0028】
カルボン酸二無水物として下式のビス(p-トリメリットオキシフェニル)スルホン酸二無水物 (BTSD)
【化6】
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とジアミンとして下式の4, 4'-ビス(3-アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン(m-BAPS)
【化7】
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とをNMP/トルエン混合溶媒中で、γ-バレロラクトン/ピリジン触媒の存在下、180℃窒素気流下で反応させて下式
【化8】
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のポリエステルイミドを得た。ポリマーの重量平均分子量(GPC法)は10,000、ガラス転移温度は222℃であった。
【0029】
次いで、ジアゾナフトキノン系感光剤PC-5(東洋合成製、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸-p-クレゾールエステル)1.5gをNMP5gに溶解させた溶液に上記で得たポリエステルイミド20gを添加して、室温で約1時間、スターラーで撹拌してフォトレジスト配合物(感光性PC組成物)を調製した。この溶液を35μmの電解銅箔上(シャイン面もしくはマット面)にスピンコート法(600rpm/10秒+1000rpm/30秒)で塗布し、遠赤外線熱風循環式乾燥機でプリベーク後(90℃/10分)、膜厚7.1μmの感光性ポリエステルイミド被塗膜を得た。紫外線露光機(オーク社製)を用い、PET製のフォトマスクを介してi線からg線帯域の光を照射した。i線帯域用の照度計で測定した露光量は1000mJ/cmである。露光後、エタノールアミン/NMP/イオン交換水(重量比)=1/1/1からなる現像液100gを用いて、超音波処理により、45℃で現像を行い、イオン交換水100gで1分間リンスしてポジ型の像を得た。このときの現像時間は1分35秒であった。解像度はラインアンドスペースパターンで20μmであった。このフォトレジストのSEM写真を図1に示す。
【実施例2】
【0030】
カルボン酸二無水物として下式の2, 2-ビス(p-トリメリットオキシフェニル)プロパン酸二無水物 (BTPD)を用いて合成したポリエステルイミド(重量平均分子量 112,000)について、実施例1と同様の操作を行い、膜厚11.9μmの感光性被塗膜を得た。実施例1と同様の光照射の操作を行い、エタノールアミン/NMP/イオン交換水(重量比)=4/1/1からなる現像液100gを用いて現像を行った結果ポジ型の像を得た。現像時間は6分5秒であり、解像度はラインアンドスペースパターンで15μmであった。
【化9】
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【実施例3】
【0031】
BTSDとBTPDの1:1モル比混合物とm-BAPSから合成された共重合型ポリエステルイミド(重量平均分子量 12,000)を用いて、実施例1と同様の操作で膜厚13.3μmの感光性ポリエステルイミド被塗膜を得た。実施例1と同様の光照射の操作を行い、エタノールアミン/NMP/イオン交換水(重量比)=1/3/3からなる現像液100gを用いて現像を行った結果ポジ型の像を得た。現像時間は1分45秒であり、解像度はラインアンドスペースパターンで10μmであった。
【実施例4】
【0032】
BTSDとBTPDの1:2モル比混合物とm-BAPSから合成された共重合型ポリエステルイミド(重量平均分子量 21,000)を用いて、実施例1と同様の操作で膜厚12.2μmの感光性ポリエステルイミド被塗膜を得た。実施例1と同様の光照射の操作を行い、エタノールアミン/NMP/イオン交換水(重量比)=3/2/1からなる現像液100gを用いて現像を行った結果ポジ型の像を得た。現像時間は2分6秒であり、解像度はラインアンドスペースパターンで10μmであった。
【実施例5】
【0033】
カルボン酸二無水物として下式のビス(p-トリメリットオキシフェニル)ケトン酸二無水物 (BTKD)を用いて合成したポリエステルイミド(重量平均分子量 13,000)について、実施例1と同様の操作を行い、膜厚12.4μmの感光性被塗膜を得た。実施例1と同様の光照射の操作を行い、エタノールアミン/NMP/イオン交換水(重量比)3/3/7からなる現像液100gを用いて現像を行った結果ポジ型の像を得た。現像時間は2分20秒であり、解像度はラインアンドスペースパターンで10μmであった。このフォトレジストのSEM写真を図2に示す。
【化10】
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【実施例6】
【0034】
カルボン酸二無水物として下式の1, 4-ビス(トリメリットオキシ)ベンゼン酸二無水物 (BTZD)を用いて合成したポリエステルイミド(重量平均分子量 54,000)について、実施例1と同様の操作を行い、膜厚12.0μmの感光性被塗膜を得た。実施例1と同様の光照射の操作を行い、エタノールアミン/NMP/イオン交換水(重量比)=1/3/1からなる現像液100gを用いて現像を行った結果ポジ型の像を得た。現像時間は2分21秒であり、解像度はラインアンドスペースパターンで10μmであった。
【化11】
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【実施例7】
【0035】
カルボン酸二無水物として下式の1, 3-ビス(トリメリットオキシ)ベンゼン酸二無水物を用いて合成したポリエステルイミド(重量平均分子量 38,000)について、実施例1と同様の操作を行い、膜厚15.0μmの感光性被塗膜を得た。実施例1と同様の光照射の操作を行い、エタノールアミン/NMP/イオン交換水(重量比)=1/3/1からなる現像液100gを用いて現像を行った結果ポジ型の像を得た。現像時間は2分40秒であり、解像度はラインアンドスペースパターンで10μmであった。
【化12】
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【実施例8】
【0036】
カルボン酸二無水物として下式の2, 2-ビス(p-トリメリットオキシフェニル)パーフルオロプロパン酸二無水物を用いて合成したポリエステルイミド(重量平均分子量 31,000)について、実施例1と同様の操作を行い、膜厚12.5μmの感光性被塗膜を得た。実施例1と同様の光照射の操作を行い、エタノールアミン/NMP/イオン交換水(重量比)=3/1/1からなる現像液100gを用いて現像を行った結果ポジ型の像を得た。現像時間は4分10秒であり、解像度はラインアンドスペースパターンで10μmであった。
【化13】
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【実施例9】
【0037】
カルボン酸二無水物として下式のビス(p-トリメリットオキシフェニル)エーテル酸二無水物を用いて合成したポリエステルイミド(重量平均分子量 15,000)について、実施例1と同様の操作を行い、膜厚10.0μmの感光性被塗膜を得た。実施例1と同様の光照射の操作を行い、エタノールアミン/NMP/イオン交換水(重量比)=4/1/1からなる現像液100gを用いて現像を行った結果ポジ型の像を得た。現像時間は5分10秒であり、解像度はラインアンドスペースパターンで10μmであった。
【化14】
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【実施例10】
【0038】
カルボン酸二無水物として下式のビス(p-トリメリットオキシフェニル)チオエーテル酸二無水物を用いて合成したポリエステルイミド(重量平均分子量 18,000)について、実施例1と同様の操作を行い、膜厚14.0μmの感光性被塗膜を得た。実施例1と同様の光照射の操作を行い、エタノールアミン/NMP/イオン交換水(重量比)=3/1/1からなる現像液100gを用いて現像を行った結果ポジ型の像を得た。現像時間は3分10秒であり、解像度はラインアンドスペースパターンで10μmであった。
【化15】
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【0039】
比較例1
カルボン酸二無水物として下式の1,2-ビス(トリメリットオキシ)エタン酸二無水物を用いて合成したポリエステルイミド(重量平均分子量 51,000)について、実施例1と同様の操作を行い、膜厚12.3μmの感光性被塗膜を得た。実施例1と同様の光照射の操作を行い、エタノールアミン/NMP/イオン交換水(重量比)=1/1/1からなる現像液100gを用いて現像を行った結果ポジ型の像を得た。現像時間は90分であり、解像度はラインアンドスペースパターンで10μmであった。
【化16】
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【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】得られたフォトレジスト(実施例1)のSEM写真を示す図である。テストパターンは幅15μmのものを使用した。
【図2】得られたフォトレジスト(実施例5)のSEM写真を示す図である。テストパターンは幅15μmのものを使用した。
図面
【図1】
0
【図2】
1