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明細書 :ポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3908210号 (P3908210)
公開番号 特開2005-066479 (P2005-066479A)
登録日 平成19年1月26日(2007.1.26)
発行日 平成19年4月25日(2007.4.25)
公開日 平成17年3月17日(2005.3.17)
発明の名称または考案の名称 ポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法
国際特許分類 B09B   5/00        (2006.01)
A62C   3/00        (2006.01)
C07B  35/06        (2006.01)
C07B  37/06        (2006.01)
C07C  25/18        (2006.01)
A62D   3/176       (2007.01)
A62D   3/30        (2007.01)
C07D 319/24        (2006.01)
A62D 101/22        (2007.01)
FI B09B 5/00 Z
A62C 3/00 J
C07B 35/06 ZAB
C07B 37/06
C07C 25/18
A62D 3/00 143
A62D 3/00 300
A62D 3/00 651
C07D 319/24
請求項の数または発明の数 13
全頁数 17
出願番号 特願2003-300293 (P2003-300293)
出願日 平成15年8月25日(2003.8.25)
審査請求日 平成17年12月2日(2005.12.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
発明者または考案者 【氏名】佐々木 敏
【氏名】赤城 正晃
【氏名】渡辺 敦雄
【氏名】西田 修身
【氏名】永田 進一
個別代理人の代理人 【識別番号】100078765、【弁理士】、【氏名又は名称】波多野 久
【識別番号】100078802、【弁理士】、【氏名又は名称】関口 俊三
審査官 【審査官】目代 博茂
参考文献・文献 特開2002-360728(JP,A)
特開平11-169835(JP,A)
調査した分野 B09B1/00-5/00
A62D3/00
A62C3/00-3/16
B01J19/00-19/32
特許請求の範囲 【請求項1】
ポリ塩化ビフェニル廃棄物から液抜きされたポリ塩化ビフェニル含有油及びポリ塩化ビフェニル液を無害化処理するポリ塩化ビフェニル無害化処理装置の下方にオイルパンが敷設され、前記ポリ塩化ビフェニル無害化処理装置から漏洩したポリ塩化ビフェニル含有油及びポリ塩化ビフェニル液を回収するオイルパンに冷却手段が設けられることを特徴とするポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設。
【請求項2】
前記オイルパン内には前記オイルパン内の温度を計測する温度センサが備えられることを特徴とする請求項1記載のポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設。
【請求項3】
前記オイルパン外部には、前記オイルパン内に回収されるポリ塩化ビフェニル含有油及びポリ塩化ビフェニル液中の油が引火して火災が発生すると警告信号を発する火災報知器が備えられることを特徴とする請求項1記載のポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設。
【請求項4】
前記オイルパン内に向かって消化剤を散布する消化剤散布手段を設けることを特徴とする請求項1記載のポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設。
【請求項5】
前記オイルパン内に回収されたポリ塩化ビフェニル含有油及びポリ塩化ビフェニル液を除去して回収する気化抑制槽を設けることを特徴とする請求項1記載のポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設。
【請求項6】
火災により前記オイルパン上で発生した火炎の熱が、前記オイルパン上方のポリ塩化ビフェニル無害化処理装置を加熱しないように、前記オイルパンと前記ポリ塩化ビフェニル無害化処理装置との間に耐熱性の加熱防止板を設けることを特徴とする請求項1記載のポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設。
【請求項7】
前記オイルパン内に、前記オイルパンの平面方向の断面が区画に分割されるように堰を備えたことを特徴とする請求項1記載のポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設。
【請求項8】
前記オイルパン内に備えられた複数の堰は、前記オイルパンの中央部から傍部に向かって順に堰が高くなるように設計されたことを特徴とする請求項7記載のポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設。
【請求項9】
前記オイルパンの区画の平面方向の長辺と短辺との比を25以上とすることを特徴とする請求項7記載のポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設。
【請求項10】
前記オイルパンの外壁及び堰が前記オイルパンの内側方向に上り傾斜となるように傾けられたことを特徴とする請求項7記載のポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設。
【請求項11】
前記オイルパンの外壁及び堰の縁が前記オイルパンの内側方向に上り傾斜となるように屈折されたことを特徴とする請求項7記載のポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設。
【請求項12】
火災時又は爆発時に外部に対して開放となる可能性のある、換気装置、排煙装置、窓及び屋根に対して、ススを捕獲するスス捕獲手段を取り付けることを特徴とする請求項1記載のポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設。
【請求項13】
ポリ塩化ビフェニル廃棄物から液抜きされたポリ塩化ビフェニル含有油及びポリ塩化ビフェニル液を無害化処理するポリ塩化ビフェニル無害化処理装置からオイルパンに漏洩したポリ塩化ビフェニル含有油及びポリ塩化ビフェニル液の温度を計測させる工程と、
ポリ塩化ビフェニル含有油及びポリ塩化ビフェニル液の温度が所要の温度になると自動的又は手動的にポリ塩化ビフェニル含有油及びポリ塩化ビフェニル液を冷却する工程とを有することを特徴とするポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ塩化ビフェニルの取扱い又は処理するための技術に係り、ポリ塩化ビフェニル、及び火災によりポリ塩化ビフェニルから生成されたダイオキシン類の外部排出防止のためのポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、安定性、絶縁性及び電気的特性等に優れる化学物質であり、PCBの使用量の約7割は、火災の危険の多い場所、例えば発電所、車両(地下鉄・新幹線他)、船舶、鉱山及び地下設備等の電気設備に使用され、燃えない絶縁油として使用された。その他PCBは、各種化学工業・食品工業の加熱又は冷却工程の熱媒体、電線・樹脂等の可塑剤、塗料・ノーカーボン紙の溶剤、及び農薬の効力延長剤等の幅広い用途で使用された。
【0003】
PCBは、製造工場・使用工場からの排水又は大気排出、PCBを含む製品の廃棄又は焼却、処理場又は保管場所からの漏洩(保管容器の破損、地震等自然災害等)、及び違法投棄等によって環境中に排出される。環境中に排出されたPCBは、海洋や河川等の低泥、土壌汚染及び生物汚染その他の環境汚染を引き起こす。さらに、PCBの不完全な焼却処理によって、毒性の強いCo-PCB(コプラナーポリ塩化ビフェニル)及びPCDFs(ポリ塩化ジベンゾフラン)等のダイオキシン類が生成される。
【0004】
環境汚染及び毒性等においてPCBの危険性が指摘され、また環境や人体への被害が実際に確認されたことから、PCBの製造及び使用が禁止された。しかし、PCB、PCBを含む油又はPCBが塗布され、染み込み、付着し、若しくは封入された物が廃棄物となったもの(以下、「PCB廃棄物」という。)が長期にわたり未処理のままであり、数万トンが未だ保管されている。PCB廃棄物の無害化処理方法としては、熱化学的分解法、物理化学的分解法、紫外線(若しくは放射線)照射分解法、又は微生物分解法等が挙げられる。
【0005】
熱化学分解法によるPCB廃棄物の無害化処理は最も経済的であり、国際的にも最も多用されている方法である。しかし、焼却炉中でPCBを約1400℃以上にて完全に焼却する必要があるので、焼却炉中の高温条件を均一かつ安定に維持する必要がある。均一又は安定な維持が不十分な温度条件によって焼却が行なわれると、猛毒のダイオキシン類を生成する可能性があり環境に悪影響を及ぼす。
【0006】
1998年に改正廃棄物処理法が施行されてから実質的に物理化学的分解法によるPCB廃棄物の無害化処理が可能となった。ただしその殆どは約200℃以上の高温条件でPCB処理を行なっており、また高圧を必要とする場合もある。また、金属ナトリウムを直接使用する方法もあるが、この金属ナトリウムは反応制御が困難であり、安全性の観点から充分な設備とは言い難い。
【0007】
一方、紫外線(波長約250~300nm)の照射を利用した紫外線照射分解法によるPCBの無害化処理では、低温かつ常圧下にて緩やかな分解反応が進行する。PCBを常温常圧かつ高効率で分解することで無害化でき、環境への負荷を軽減できるPCB無害化処理装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このPCB無害化処理装置による処理工程は、建屋内処理、外部排出防止、気密性の管理区域、不浸透性の床、建屋内負圧、局所換気及び安全サイドに作動する処理システムの構築等が設計上必要になる。
【0008】
図11は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の無害化処理施設を示す概略図である。
【0009】
図11は、PCB廃棄物の無害化処理施設1を示し、この無害化処理施設1は建屋2内に、PCB廃棄物から液抜きされたPCB含有油及びPCB液を含む容器等から洗浄・分離工程を経て得られたPCB液を無害化処理するPCB無害化処理装置、例えばPCB含有油及びPCB液を保有して1バッチ処理分のPCB含有油及びPCB液が秤取られるPCB抜取ユニット3を有する。
【0010】
PCB無害化処理装置としてのPCB抜取ユニット3の処理工程の下流側に、脱酸素処理された1バッチ処理分のIPA(イソプロピルアルコール)にNaOH(水酸化ナトリウム)を混合溶解させてIPA調製液とするIPA調製ユニット3aと、PCB抜取ユニット3からのPCB原液とIPA調製ユニット3aからのIPA調製液との混合液に紫外線(波長約250~300nm)を照射して一次分解を行なう光分解ユニット3bと、光分解ユニット3bにて第1分解されたPCB処理液を触媒としての貴金属によって二次分解する触媒分解ユニット3cと、触媒分解ユニット3cからのPCB処理液をHCl(塩酸)にて中和する中和ユニット3dと、中和ユニット3dの後液を蒸留してビフェニルを分離回収するIPA回収ユニット3eと、光分解ユニット3bの系統内で副生成物として生成するNaCl(塩化ナトリウム)を回収した洗浄水からNaCl、IPA、PCBを抽出する洗浄水無害化ユニット3fとが設けられる。
【0011】
各ユニット3~3fの下方には、第一次防油堤である第一次オイルパン8~8fがそれぞれ敷設される一方、建屋2内の床上のほぼ全域に第二次防油堤である第二次オイルパン9が敷設されている。よって、槽及び移送ライン等にて構成される各ユニット3~3fからIPAが万一漏洩した場合でも、第一次オイルパン8~8fによりIPAを受けて留まり、建屋2内の床上には漏洩しない。また、第一次オイルパン8~8fからIPAが漏洩した場合でも、第二次オイルパン9によりIPAを受けて留まり、建屋2内の床上には漏洩しない。すなわち、第一次オイルパン8~8f及び第二次オイルパン9により建屋2外部にIPAが漏洩することを2重に防止することができる。

【特許文献1】特開2002-360728号公報(第11頁、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
PCB廃棄物を取扱う施設において、環境汚染が最も著しいと想定される事故は火災である。図11に示された無害化処理施設1は、各ユニット3~3fから漏洩したPCB含有油及びPCB液を回収する機能はあるが、回収されたPCB含有油及びPCB液の火災に関する防火対策はとられていない。よって、各ユニット3~3fから漏洩されたPCB含有油及びPCB液中の可燃性の油が引火するとPCBが気化すると共に、猛毒のダイオキシン類を生成することになる。
【0013】
さらに、第一次オイルパン8~8f内のPCB含有油中の油が引火すると、火炎が各ユニット3~3fを加熱させ、各ユニット3~3fが破壊される等の二次災害が発生する可能性がある。
【0014】
また、火災により生成される猛毒のダイオキシン類の大部分は、油の燃え残りであるススに含まれる。このススは、建屋2に備える換気装置、排煙装置及び窓から建屋2外部に排出され、さらに火災による爆発が万一発生すると爆風圧によって屋根が吹き飛ばされ、そこから建屋2外部に排出されるので、猛毒のダイオキシン類が環境中に排出されることになる。
【0015】
換気装置は、通常運転時又は故障時に建屋内の空気を換気するものである。換気装置自体にPCBや有機溶剤等の有毒ガスを処理する排ガス処理装置が取り付けられることもあるが、火災により生成するダイオキシン類の排出に対する特別な対策はとられていない。よって、万一火災が発生して換気装置が停止又は故障すると、PCB及びダイオキシン類を含むススが換気装置から排出される可能性がある。
【0016】
排煙装置は、法令により設置が義務づけられているものであるが、ダイオキシン類の排出に対する対策はとられていない。よって、火災が発生して排煙装置が開放されるとPCB及びダイオキシン類を含むススが排煙装置から排出される。
【0017】
よって、PCB及びダイオキシン類による環境汚染対策としては、第一次オイルパン8~8f及び第二次オイルパン9に回収されたPCB含有油及びPCB液中のPCBの気化及び火災の発生防止、万一火災が発生した場合の火災の拡大防止、及び生成されたダイオキシン類の建屋2外部への排出防止の積極的な対策が必要となる。
【0018】
PCBの気化量を決める要素は、PCBの温度、濃度、気化時間及び気化面積であり、火災の発生原因としては、PCB含有油及びPCB液中の油の温度、酸素等である。また、火災の拡大を防止する要素は、火炎の大きさの低減及び二次災害の防止である。
【0019】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、ポリ塩化ビフェニルの気化量の低減及び火災発生の防止を図り、万一火災が発生しても火災の拡大を抑制すると共にポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止を図ることができるポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設は、上述した課題を解決するために請求項1に記載したように、PCB廃棄物から液抜きされたPCB含有油及びPCB液を無害化処理するPCB無害化処理装置の下方にオイルパンが敷設され、前記PCB無害化処理装置から漏洩したPCB含有油及びPCB液を回収するオイルパンに冷却手段が設けられることを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設は、請求項2に記載したように、前記オイルパン内には前記オイルパン内の温度を計測する温度センサが備えられることを特徴とする。
【0022】
加えて、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設は、請求項3に記載したように、前記オイルパン外部には、前記オイルパン内に回収されるPCB含有油及びポリ塩化ビフェニル液中の油が引火して火災が発生すると警告信号を発する火災報知器が備えられることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設は、請求項4に記載したように、前記オイルパン内に向かって消化剤を散布する消化剤散布手段を設けることを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設は、請求項5に記載したように、前記オイルパン内に回収されたポリ塩化ビフェニル含有油及びポリ塩化ビフェニル液を除去して回収する気化抑制槽を設けることを特徴とする。
【0025】
加えて、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設は、請求項6に記載したように、火災により前記オイルパン上で発生した火炎の熱が、前記オイルパン上方のPCB無害化処理装置を加熱しないように、前記オイルパンと前記PCB無害化処理装置との間に耐熱性の加熱防止板を設けることを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設は、請求項7に記載したように、前記オイルパン内に、前記オイルパンの平面方向の断面が区画に分割されるように堰を備えたことを特徴とする。
【0027】
さらに、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設は、請求項8に記載したように、前記オイルパン内に備えられた複数の堰は、前記オイルパンの中央部から傍部に向かって順に堰が高くなるように設計されたことを特徴とする。
【0028】
加えて、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設は、請求項9に記載したように、前記オイルパンの区画の平面方向の長辺と短辺との比を25以上とすることを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設は、請求項10に記載したように、前記オイルパンの外壁及び堰が前記オイルパンの内側方向に上り傾斜となるように傾けられたことを特徴とする。
【0030】
さらに、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設は、請求項11に記載したように、前記オイルパンの外壁及び堰の縁が前記オイルパンの内側方向に上り傾斜となるように屈折されたことを特徴とする。
【0031】
加えて、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設は、請求項12に記載したように、火災時又は爆発時に外部に対して開放となる可能性のある、換気装置、排煙装置、窓及び屋根に対して、ススを捕獲するスス捕獲手段を取り付けることを特徴とする。
【0032】
また、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止方法は、請求項13に記載したように、PCB廃棄物から液抜きされたPCB含有油及びPCB液を無害化処理するPCB無害化処理装置からオイルパンに漏洩したPCB含有油及びPCB液の温度を計測させる工程と、PCB含有油及びPCB液の温度が所要の温度になると自動的又は手動的にPCB含有油及びPCB液を冷却する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法によると、ポリ塩化ビフェニルの気化量の低減、火災発生の防止を図り、万一火災が発生しても火災の拡大を抑制すると共にポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の第1実施の形態を示す概略図である。
【0037】
図1は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、PCBを含む油又はPCBが塗布され、染み込み、付着し、若しくは封入された物が廃棄物となったもの(以下、「PCB廃棄物」という。)の無害化処理を行なうPCB及びダイオキシン類の環境排出防止施設(以下、「施設」という。)30を示し、この施設30は、PCB廃棄物から液抜きされたPCB含有油とPCB液を含む容器等から洗浄・分離工程を経て得られたPCB液とを無害化処理するPCB無害化処理装置、例えばPCB含有油を保有して1バッチ処理分のPCB含有油及びPCB液が秤取られるPCB抜取ユニット33を有する。PCB抜取ユニット33は、グローブボックス等の密閉作業室(図示しない)によって囲われ、局所排気されることが望ましい。
【0038】
なお、PCB無害化処理装置はPCB抜取ユニット33に限定されるものではなく、例えば脱酸素処理された1バッチ処理分のIPA(イソプロピルアルコール)にNaOH(水酸化ナトリウム)を混合溶解させてIPA調製液とするIPA調製ユニットと、PCB抜取ユニットからのPCB原液とIPA調製ユニットからのIPA調製液との混合液に紫外線(波長約250~300nm)を照射して一次分解を行なう光分解ユニットと、光分解ユニットにて第1分解されたPCB処理液を触媒としての貴金属によって二次分解する触媒分解ユニットと、触媒分解ユニットからのPCB処理液をHCl(塩酸)にて中和する中和ユニットと、中和ユニットの後液を蒸留してビフェニルを分離回収するIPA回収ユニットと、光分解ユニットの系統内で副生成物として生成するNaCl(塩化ナトリウム)を回収した洗浄水からNaCl、IPA、PCBを抽出する洗浄水無害化ユニット等でもよい。
【0039】
PCB抜取ユニット33には、PCB含有油及びPCB液を保有するPCB一時受槽34と、このPCB一時受槽34にPCB含有油及びPCB液を供給する供給ライン35と、PCB一時受槽34から1バッチ処理分のPCB含有油及びPCB液を抜出す抜出ライン36とが備えられる。
【0040】
また、PCB抜取ユニット33の下方には、PCB抜取ユニット33の各部から漏洩したPCB含有油及びPCB液の回収と床への浸透防止を目的とする防油堤である第一次オイルパン38と、耐油塗装を施した床を有し第一次オイルパン38から溢れたPCB含有油及びPCB液の防油堤である第二次オイルパン39とが敷設される。各オイルパン38,39の素材は、例えば熱伝導率の高い金属製とする。
【0041】
第一次オイルパン38内には温度センサ、例えば半導体の温度特性を利用した接触式のサーミスタ40が備えられる。温度センサはサーミスタ40に限定されるものではなく、例えば白金測温抵抗体、熱電対等の接触式でもよく、非接触式でもよい。
【0042】
第一次オイルパン38内に回収されるPCBの気化防止のために、第一次オイルパン38の側壁外側に冷却剤が通る冷却手段としての冷却パイプ41が、第一次オイルパン38の底部に冷却剤ラインを有するジャケット43がそれぞれ設けられ、第一次オイルパン38を冷却できるようになっている。なお、各オイルパン38,39の素材は断熱性の高いコンクリート又は樹脂等でもよく、コンクリート又は樹脂素材の場合、第一次オイルパン38の側壁内側に冷却剤が通る冷却パイプ又は冷却フィンが設けられ、第一次オイルパン38を冷却できるようにする。
【0043】
また、第一次オイルパン38内に回収されるPCBの気化防止のために、第一次オイルパン38内に冷却剤を投入できる位置に冷却手段としての冷却剤投入手段45が設けられる。冷却剤投入手段45は、水又は難燃性の油等を投入するノズル46と、氷又はドライアイス等を投入する固体投入手段47とからなり、第一次オイルパン38内のPCB含有油及びPCB液に水等の冷却剤を混合することで直接冷却できるようにする。
【0044】
さらに、第一次オイルパン38外部には、第一次オイルパン38に向かって火災報知器48が備えられ、第一次オイルパン38内に回収されるPCB含有油中の油が引火して火災が発生すると警告信号を発するようになっている。
【0045】
そして、火災の拡大を防止するために、火炎の初期消火を行なう消化剤散布手段49を設ける。消化剤散布手段49には、PCB一時受槽34の下端付近に消化剤、例えば炭酸ガスを散布できるような位置にノズル49aが設けられる。なお、消化剤散布手段49は炭酸ガスの散布に限定されるものではない。PCBは沸点が高いが、溶媒として用いられる油はPCBより沸点が低い。そのため、火災初期にはPCBの燃焼量は少なく、時間が経つにつれて油が気化して油中のPCB濃度が上昇するのでPCBの気化量が増加する。
【0046】
図2は、建屋50を示す概略図である。
【0047】
図2は、PCB廃棄物の無害化処理を行なう施設30であって建屋50を示す。この建屋50には、図1に示されたPCB無害化処理装置、例えばPCB抜取ユニット33と、施設30の通常運転時又は故障時に換気を行なったり建屋50内の空気を外部に排出して建屋50内を負圧に制御する換気装置51と、火災発生時に人命救助のため煙を外に逃がすための排煙装置52と、建屋50外部からの採光及び観察等を行なうための窓53と、放爆構造の屋根54とが設置される。
【0048】
続いて、施設30の処理動作について説明する。
【0049】
図1に示された施設30に有するPCB無害化処理装置、例えば1バッチ処理分のPCB及びPCB含有油及びPCB液を秤取りするPCB抜取ユニット33に備えるPCB供給ライン35からPCB一時受槽34に、PCB含有油及びPCB液が供給される。PCB一時受槽34ではPCB含有油及びPCB液が一時的に保有され、PCB一時受槽34から1バッチ処理量のPCB含有油及びPCB液がPCB抜出ライン36を介して抜出される。
【0050】
施設30では、脱酸素されたIPA(イソプロピルアルコール)とNaOH(水酸化ナトリウム)のIPA調製液に、PCB抜出ライン36からのPCB含有油及びPCB液をさらに混合してPCB処理液とし、このPCB処理液に紫外線を照射してPCBを分解する。施設30の紫外線照射分解法によると、低温かつ常圧下にてPCBの緩やかな分解反応が進行するので、PCB含有油及びPCB液に含まれるPCBを常温常圧かつ高効率で光分解して無害化できる。
【0051】
施設30の通常運転時又は故障時は、図2に示された建屋50内の空気は、換気装置51によって外部に排出され、建屋50内は負圧に維持される。一方、施設30の通常運転時又は故障時は、排煙装置52及び窓53は閉じられている。
【0052】
ここで、図1に示されたPCB抜取ユニット33に備えるPCB一時受槽34、供給ライン35、抜出ライン36等からPCB含有油及びPCB液が漏洩することがある。漏洩したPCB含有油及びPCB液は第一次オイルパン38に回収される。第一次オイルパン38内に回収されたPCB含有油及びPCB液中のPCBの沸点は約340℃であるので、PCBを気化させないように、PCB含有油及びPCB液を冷却する。すなわち、サーミスタ40によって第一次オイルパン38内に漏洩したPCB含有油及びPCB液の温度を計測させ、PCB含有油及びPCB液の温度が所要の温度になると自動的又は手動的に冷却パイプ41に冷却剤を流動させてPCB含有油及びPCB液がPCBの沸点以下になるように冷却する。また、第一次オイルパン38底部に設けられるジャケット43に有する冷却ラインに冷却剤を流動させてPCB含有油及びPCB液がPCBの沸点以下になるように冷却する。
【0053】
さらに、PCB含有油及びPCB液中のPCBを気化させないように、PCB含有油がアルコール類等の親水性の油の場合、所要の温度になると冷却剤投入手段45のノズル46から冷却剤としての水が、固体投入手段47から冷却剤としての氷がそれぞれ静かに投入される。一方、PCB含有油が炭化水素等の親油性の油の場合、所要の温度になると冷却剤投入手段45のノズル46から冷却剤としての難燃性の油が、固体投入手段47から冷却剤としてのドライアイスがそれぞれ投入されることで、PCB含有油及びPCB液が冷却される。火災の発生原因及び拡大を防止するために、PCBの沸点以下になるように冷却する。冷却剤投入手段45から水、氷、難燃性の油又はドライアイス等をそれぞれ投入することで、PCB含有油及びPCB液中のPCBが希釈されるので、PCBの気化の抑制と引火の防止を実現できる。
【0054】
PCB無害化処理装置がPCBを処理するためにPCB含有油及びPCB液の冷却が昇温されている場合は、特に冷却の効果が大きい。また、PCB含有油及びPCB液の温度を可燃性の油の引火温度以下にすることで、油が引火することによる火災の発生を防止することができるが、PCB含有油及びPCB液の温度を下げるほど蒸気圧が下がるため、室温以下に下げればよい。
【0055】
次いで、環境汚染が最も著しいと想定される事故である火災、例えば第一次オイルパン38内のPCB含有油及びPCB液中の可燃性の油が引火した場合、第一次オイルパン38内の火炎はPCB含有油及びPCB液中のPCBを加熱してPCBの気化を促進させる。加えて、PCBの不完全な燃焼により毒性の強いダイオキシン類が生成される。気化したPCB及び生成されたダイオキシン類は、事故等の非常時に開放される排煙装置52及び窓53から外部に排出されることになる。また、気化したPCB及び生成されたダイオキシン類は、放爆構造である屋根54が爆発によって吹き飛ばされてそこから外部に排出されることになる。
【0056】
また、万一第一次オイルパン38内の可燃性の油が引火して火災が発生すると、火炎がPCB抜取ユニット33に有するPCB一時受槽34、供給ライン35及び抜出ライン36等を破壊する二次災害が発生する可能性がある。
【0057】
よって、第一次オイルパン38内の油が引火した場合、火災報知器48によって第一次オイルパン38内の火災をいち早く検知して警告信号を発する。火災報知器48からの警告信号を受けて自動的又は手動的に消化剤散布手段49のノズル49aから消化剤、例えば炭酸ガスが第一次オイルパン38内に散布される。第一次オイルパン38内の火災が拡大する前に初期消火を行なう。
【0058】
溶媒として用いられる油はPCBに比べて沸点が低い。そのため、火災初期にはPCBの気化量は少なく、時間が経つにつれて油中のPCB濃度が上昇し、PCBの気化量が増加する。このためPCB含有油の火災では初期消火によって、PCBの気化、及びPCBから生成されるダイオキシン類の生成を防止することができる。
【0059】
図1及び図2に示された施設30によると、第一次オイルパン38の冷却並びに冷却剤投入手段45によるPCB含有油及びPCB液の冷却によって、PCBの気化量と油の引火を低減することができる。冷却剤投入手段45から冷却剤を投入することでPCB含有油及びPCB液を冷却及び希釈してPCBの気化量を低減することができる。万一油が引火して火災が発生しても、初期消火を行なって火炎の拡大を阻止することでPCB及びダイオキシン類の建屋50外部への排出を防止できる。
【0060】
なお、図1及び図2に示された施設30では、第一次オイルパン38に回収されたPCB含有油及びPCB液の冷却動作等を示したが、第一次オイルパン38に限られず、第二次オイルパン39に回収されたPCB含有油及びPCB液の冷却動作等についても同様とする。
【0061】
図3は、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の第2実施の形態を示す概略図である。
【0062】
図3は、PCB廃棄物の無害化処理を行なう施設30Aを示し、この施設30Aは、図1及び図2に示された施設30において、PCB一時受槽34の底部側に耐火性の加熱保護板60を設けている。加熱保護板60は内側に向かって下り傾斜しており、PCB一時受槽34、供給ライン35及び抜出ライン36等から漏洩したPCB含有油及びPCB液が加熱保護板60に溜まらないようになっている。加熱保護板60の素材は、金属又はセラミック等が挙げられる。
【0063】
また、施設30は、PCB抜取ユニット33に敷設される第一次オイルパン38底部と気化抑制槽61aとをドレン用の気化抑制ライン62aを介して接続したものである。
【0064】
第一次オイルパン38内に回収されたPCB含有油及びPCB液を第一次オイルパン38底部から高低差を利用して気化抑制ライン62aを介して気化抑制槽61aに移送させる。そして、PCB含有油及びPCB液を第一次オイルパン38内から除去できるような構成になっている。
【0065】
又は、第一次オイルパン38内にポンプ63を設置して、ポンプ63と気化抑制槽61bとを気化抑制ライン62bを介して接続する。ポンプ63を作動させると、第一次オイルパン38内に回収されたPCB含有油及びPCB液をポンプ63から気化抑制ライン62bを介して気化抑制槽61bに移送させる。そして、PCB含有油及びPCB液を第一次オイルパン38内から除去できるような構成になっている。なお、火災や爆発防止のため、気化抑制槽61a,61bはN2ガス(窒素ガス)等によってパージすることが望ましい。
【0066】
なお、図3に示された施設30Aにおいて、図1に示された施設30と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図3に示された施設30Aによる処理動作についても、図1に示された施設30による処理動作と同一の処理動作については説明を省略する。
【0067】
施設30Aでは、PCB一時受槽34、供給ライン35及び抜出ライン36等から漏洩したPCB含有油及びPCB液の一部が、加熱保護板60を伝って第一次オイルパン38に回収される。
【0068】
第一次オイルパン38内に回収されたPCB含有油及びPCB液は、気化抑制ライン62a又は62bを介して気化抑制槽61a又は61bに定期的又は連続的に回収される。よって、第一次オイルパン38内に溜められる気化時間が縮小されるので、第一次オイルパン38におけるPCB含有油及びPCB液中のPCBの気化が低減する。
【0069】
また、万一第一次オイルパン38内の可燃性の油が引火して火災が発生すると、加熱保護板60によって、PCB抜取ユニット33の火炎による加熱又は火炎からの輻射熱による加熱が抑制されるので、PCB抜取ユニット33の破壊が抑制される。
【0070】
図3に示された施設30Aによると、PCB含有油及びPCB液を気化抑制槽61a,61bに移送して、第一次オイルパン38内におけるPCB含有油及びPCB液の滞留時間(気化時間)を縮小することでPCBの気化量を低減することができる。万一火災が発生しても火災の拡大を阻止することでPCB及びダイオキシン類の建屋50外部への排出を防止できる。
【0071】
図4は、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の第3実施の形態を示す概略図である。
【0072】
図4は、PCB廃棄物の無害化処理を行なう施設30Bを示し、この施設30Bは、図1及び図2に示された施設30において、PCB抜取ユニット33に敷設される第一次オイルパン38が、堰66によって細かい区画に区切られている。なお、図4に示された第一次オイルパン38が4枚の堰66によって区切られているが、特に4枚に限定するものではない。また、堰66を格子状に備えてもよい。
【0073】
図5は、第一次オイルパン38を示す断面図である。
【0074】
図5に示された第一次オイルパン38は、図4に示された第一次オイルパン38の断面を示し、この第一次オイルパン38内を区切る仕切壁としての4枚の堰66の高さは、回収されるPCB含有油及びPCB液の最大液面Hよりそれぞれ低く、第一次オイルパン38の中央部から傍部に向かって順に堰66が高くなるように設計される。堰66に区切られる区画を中央部から傍部に向かって順に区画S1,S2,S3とする。
【0075】
図4に示されたPCB抜取ユニット33から漏洩したPCB含有油及びPCB液の大部分は第一次オイルパン38の中央部に位置する区画S1に回収される。区画S1に回収され続けると、区画S1から漏れたPCB含有油及びPCB液が堰66を超えて区画S2に流出する。同様に、PCB含有油及びPCB液が区画S2から堰66を超えて区画S3に流出する。すなわち、区画S1に回収されるPCB含有油及びPCB液の高さが最も低く、区画S2,S3と傍部の区画に向かうにつれてPCB含有油及びPCB液の高さが順に高くなるようにする。
【0076】
図6は、火炎の高さの長辺/短辺比依存性を示すグラフである。
【0077】
図6は、図4に示された第一次オイルパン38の平面方向において、第一次オイルパン38を区画化して、区画の長辺及び短辺からなる長方形の面積を所要の面積、例えば10mmと固定し、長辺と短辺との比(長辺/短辺比)を変化させたときの火炎の高さを測定したときの結果を示す。
【0078】
図6に示された曲線によると、第一次オイルパン38で発生する火炎の大きさは、第一次オイルパン38の長辺/短辺比に依存することがわかる。長辺/短辺比が大きい、すなわち、長辺と短辺との寸法差が大きいとき、火炎への空気の流入が増えて燃焼が促進されるため、火炎の高さが低くなる。
【0079】
また、第一次オイルパン38の長辺/短辺比を約25以上とすることが望ましく、その場合、火炎の高さを低くでき、火災の拡大の防止を図ることができる。
【0080】
図4に示された施設30Bによると、万一火災が発生しても火炎の大きな場所が第一次オイルパン38の傍部となりユニット33が破砕され火災の拡大を阻止することでPCB及びダイオキシン類の建屋50外部への排出を防止できる。第一次オイルパン38内を堰66によって区画S1,S2,S3のような区画を区切ることでPCB含有油及びPCB液の表面積(気化面積)を低減させてPCBの気化量を低減することができる。
【0081】
図7は、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の第4実施の形態を示す概略図である。
【0082】
図7(a)は、PCB廃棄物の無害化処理を行なう施設30Cにおける第1実施例を示し、この施設30Cは、図1及び図2に示された施設30において、PCB抜取ユニット33に敷設される第一次オイルパン38aが、堰66aによって細かい区画に区切られている。第一次オイルパン38aの外壁及び堰66aを第一次オイルパン38aの内側方向に傾けることにより、火災発生時に第一次オイルパン38a側面から流入する空気が油面に入らないようにする。
【0083】
第一次オイルパン38a及び堰66aを第一次オイルパン38aの内側方向に傾けることで、第一次オイルパン38a側面から流入する空気を上にそらして油面に達する空気量を減らすことにより、油面近くの火炎温度が下がる。
【0084】
図7(b)は、PCB廃棄物の無害化処理を行なう施設30Cにおける第2実施例を示し、この施設30Cは、図1及び図2に示された施設30において、PCB抜取ユニット33に敷設される第一次オイルパン38bが、堰66bによって細かい区画に区切られている。第一次オイルパン38bの外壁及び堰66bの縁を第一次オイルパン38bの内側方向に上り傾斜となるように屈折させることにより、火災発生時に第一次オイルパン38b側面から流入する空気が油面に入らないようにする。
【0085】
第一次オイルパン38b及び堰66bの縁を第一次オイルパン38bの内側方向に上り傾斜となるように屈折させることで、第一次オイルパン38b側面から流入する空気を上にそらして油面に達する空気量を減らすことにより、油面近くの火炎温度が下がる。
【0086】
図7(c)は、PCB廃棄物の無害化処理を行なう施設30Cにおける第3実施例を示し、この施設30Cは、図1及び図2に示された施設30において、PCB抜取ユニット33に敷設される第一次オイルパン38cが、堰66cによって細かい区画に区切られている。第一次オイルパン38cの外壁及び堰66cの縁を第一次オイルパン38cの内側方向にほぼ直角になるように屈折させることにより、火災発生時に第一次オイルパン38c側面から流入する空気が油面に入らないようにする。
【0087】
第一次オイルパン38c及び堰66cの縁を第一次オイルパン38cの内側方向にほぼ直角になるように屈折させることで、第一次オイルパン38c側面から流入する空気を上にそらして油面に達する空気量を減らすことにより、油面近くの火炎温度が下がる。
【0088】
図7に示された施設30Cによると、第一次オイルパン38c側面から流入する空気を上にそらして油面に達する空気量を減らすことでPCBの気化量を低減することができる。万一火災が発生しても火炎の拡大を阻止することでPCB及びダイオキシン類の建屋50外部への排出を防止できる。
【0089】
また、図7(c)のPCB廃棄物の無害化を行なう施設30Cの第3実施例に示された第一次オイルパン38c及び堰66cでは、作業員が第一次オイルパン38cの縁上に転落した場合に怪我を防ぐための安全対策としても効果的である。
【0090】
図8は、本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の第5実施の形態を示す概略図である。
【0091】
図8(a),(b)は、PCB廃棄物の無害化処理を行なう施設30Dにおける第1実施例を示し、この施設30Dは、図2に示された施設30の換気装置51、排煙装置52、窓53及び放爆構造の屋根54に設けられるスス捕獲手段、例えば金網72の構成を示す。
【0092】
図8(a),(b)は、例えば窓53に金網72が設けられる場合を示し、窓53の外側に金網72が設けられる。さらに、万一火災が発生し、火災によって起こる爆風圧により金網72が破損することのないように、金網72の内側に枠73をつけて補強することが望ましい。窓53の外側に金網72が設けられる場合に限定されず、窓53の内側に金網72が設けられてもよい。
【0093】
金網72は、例えば約0.1mmの隙間を有する。万一建屋50内で火災が発生した場合、火災により生成される猛毒のダイオキシン類の大部分は、油の燃え残りであるススに含まれる。火災が発生すると煙を外に逃がすために窓53は開かれるが、火災によって生じるススは金網72にて捕獲される。また、爆風圧によって窓53が破壊されても金網72にて回収することができ、ススを含んでいる窓53の破片を外部に漏らさない。なお、スス捕獲手段は金網72に限定されず布フィルタでもよく、布フィルタの場合は、焼却炉の煤塵を補修するバグフィルタのような耐火性の布、又は温度が低い場合は一般の布フィルタを用いる。
【0094】
また、換気装置51、排煙装置52又は放爆構造の屋根54では、金網72及び布フィルタのどちらか一方、又は金網72及び布フィルタを組み合わせて用いる。耐火性の布フィルタの場合は、目が細かく10μm程度のススを効果的に捕獲することができるが、圧力損失が大きく破損の恐れも大きい。そのため、爆風が小さいときは耐火性の布フィルタが効果的である。金網72は布フィルタと比較して隙間が大きいため、ススの捕獲効率は低い一方、圧力損失が小さくかつ強度も大きい。
【0095】
図9は、PCB廃棄物の無害化処理を行なう施設30Dにおける第2実施例を示し、この施設30Dは、図2に示された施設30において、換気装置51、排煙装置52、窓53及び放爆構造の屋根54に設けられるスス捕獲手段、例えば金網72及び布フィルタ74の構成を示す。
【0096】
図9は、例えば窓53に金網72が設けられる場合を示し、万一建屋50内で火災が発生した場合、内側の布フィルタ74で大部分のススを一時的に除去し、さらに爆発が起こり爆風圧が大きいときは、外側の金網72で大きなススを二次的に除去する。また、爆風圧によって窓53が破壊されても金網72にて回収することができ、ススの付着した窓53の破片を外部に漏らさない。加えて、爆風圧によって破れた布フィルタについても金網72にて回収することができ、ススの付着した破れた布フィルタを外部に漏らさない。
【0097】
図10は、PCB廃棄物の無害化処理を行なう施設30Dにおける第3実施例を示し、この施設30Dは、図2に示された施設30において、換気装置51、排煙装置52、窓53及び放爆構造の屋根54に設けられるスス捕獲手段、例えば金網72及び布フィルタ74の構成を示す。
【0098】
図10は、例えば窓53に金網72が設けられる場合を示し、内側の金網72で大きなススを一次的に除去し、外側の布フィルタ74で大部分のススを二次的に除去する。通常時に布フィルタ74は折りたたまれており、万一建屋50内で火災が発生して爆発があったときには、折りたたまれた布フィルタ74が爆風圧によって膨らみ爆風圧を吸収するものである。
【0099】
図8~図10に示された施設30Dによると、万一建屋50内で火災が発生した場合、建屋50の換気装置51、排煙装置52、窓53及び放爆構造の屋根54に設ける金網72及び布フィルタ74にてダイオキシン類を含んでいるススを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の第1実施の形態を示す概略図。
【図2】図1に示した第1実施の形態であって建屋を示す概略図。
【図3】本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の第2実施の形態を示す概略図。
【図4】本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の第3実施の形態を示す概略図。
【図5】図4に示した第一次オイルパンの断面図。
【図6】図5に示した第一次オイルパンにおいて火炎の高さの長辺/短辺比依存性を示すグラフ。
【図7】本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の第4実施の形態を示す概略図。
【図8】本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の第5実施の形態における第1実施例を示し、(a)は断面図、(b)は正面図。
【図9】本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の第5実施の形態における第2実施例を示す断面図。
【図10】本発明に係るポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類の環境排出防止施設及びその環境排出防止方法の第5実施の形態における第3実施例を示す断面図。
【図11】ポリ塩化ビフェニル廃棄物の無害化処理施設を示す概略図。
【符号の説明】
【0101】
30,30A,30B,30C,30D PCB及びダイオキシン類の環境排出防止施設
33 PCB抜取ユニット
38,38a,38b,38c 第一次オイルパン
40 サーミスタ
41 冷却パイプ
43 ジャケット
45 冷却材投入手段
48 火災報知器
49 消化剤散布手段
50 建屋
51 換気装置
52 排煙装置
53 窓
54 屋根
60 加熱防止板
61a,61b 気化抑制槽
63 ポンプ
66,66a,66b,66c 堰
72 金網
74 布フィルタ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10