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明細書 :複合シート体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4644801号 (P4644801)
公開番号 特開2006-196280 (P2006-196280A)
登録日 平成22年12月17日(2010.12.17)
発行日 平成23年3月9日(2011.3.9)
公開日 平成18年7月27日(2006.7.27)
発明の名称または考案の名称 複合シート体及びその製造方法
国際特許分類 H01M   4/24        (2006.01)
H01M   4/26        (2006.01)
H01M   4/62        (2006.01)
H01M   8/04        (2006.01)
FI H01M 4/24 J
H01M 4/26 J
H01M 4/62 C
H01M 8/04 N
H01M 8/04 J
請求項の数または発明の数 16
全頁数 15
出願番号 特願2005-005822 (P2005-005822)
出願日 平成17年1月13日(2005.1.13)
審査請求日 平成17年8月9日(2005.8.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
発明者または考案者 【氏名】高島 正之
【氏名】米沢 晋
個別代理人の代理人 【識別番号】100111855、【弁理士】、【氏名又は名称】川崎 好昭
審査官 【審査官】瀧 恭子
参考文献・文献 特開平09-092272(JP,A)
特開平01-120774(JP,A)
特開平05-003029(JP,A)
特開昭61-066372(JP,A)
特開昭63-266767(JP,A)
特開平08-315811(JP,A)
特開2001-098493(JP,A)
登録実用新案第3000969(JP,U)
特開昭63-055862(JP,A)
特開2000-030700(JP,A)
特開2000-113880(JP,A)
特開2000-077064(JP,A)
特開平11-025961(JP,A)
調査した分野 H01M 2/14-2/18、 4/00-4/64、
8/00-8/24、10/00-10/34
特許請求の範囲 【請求項1】
繊維材料及び水素吸蔵合金微粉末を混合して分散させた水溶液を用いた抄紙により得られ、繊維材料が互いに絡み合って結合されるとともに繊維材料の間に形成された多数の隙間により通気性を有するシート状繊維構造体と、該繊維構造体の内部に分散保持された前記水素吸蔵合金微粉末とを備えていることを特徴とする複合シート体。
【請求項2】
繊維材料を分散させた水溶液を用いた抄紙により繊維材料が互いに絡み合って結合されるとともに繊維材料の間に形成された多数の隙間により通気性を有するシート状繊維構造体と、該繊維構造体の内部に層状に分散保持された水素吸蔵合金微粉末層とを備えていることを特徴とする複合シート体。
【請求項3】
前記繊維材料は、主としてセルロース繊維からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合シート体。
【請求項4】
前記繊維材料は、無機繊維又は有機合成繊維を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の複合シート体。
【請求項5】
前記シート状繊維構造体及び前記水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように形成された多孔質金属メッキ層を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の複合シート体。
【請求項6】
前記多孔質金属メッキ層は、金属以外の微粒子を含む金属メッキ層であることを特徴とする請求項5に記載の複合シート体。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の複合シート体からなる電極。
【請求項8】
繊維材料及び水素吸蔵合金微粉末を混合して分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体を乾燥させることを特徴とする複合シート体の製造方法。
【請求項9】
繊維材料及び水素吸蔵合金微粉末を混合して分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体を乾燥させ、乾燥させたシート体に対して金属化合物を溶解する溶液中で無電解メッキを施すことにより、前記シート体及び前記水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように金属メッキ層を形成し、前記金属メッキ層を多孔質化することを特徴とする複合シート体の製造方法。
【請求項10】
繊維材料及び水素吸蔵合金微粉末を混合して分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体を乾燥させ、乾燥させたシート体に対して金属化合物を溶解すると共に金属以外の微粒子を分散させた溶液中で無電解メッキを施すことにより、前記シート体及び前記水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように金属以外の微粒子を含む金属メッキ層を形成することを特徴とする複合シート体の製造方法。
【請求項11】
前記水溶液は、水素吸蔵合金微粉末を分散させた紙料液であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の複合シート体の製造方法。
【請求項12】
紙繊維材料を分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体の表面に水素吸蔵合金微粉末を積層し、積層された水素吸蔵合金微粉末層を被覆するように繊維材料を分散させた水溶液を抄紙して積層し、積層されたシート体を乾燥させることを特徴とする複合シート体の製造方法。
【請求項13】
繊維材料を分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体の表面に水素吸蔵合金微粉末を積層し、積層された水素吸蔵合金微粉末層を被覆するように繊維材料を分散させた水溶液を抄紙して積層し、積層されたシート体を乾燥させ、乾燥させたシート体に対して金属化合物を溶解する溶液中で無電解メッキを施すことにより、前記シート体及び前記水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように金属メッキ層を形成し、前記金属メッキ層を多孔質化することを特徴とする複合シート体の製造方法。
【請求項14】
繊維材料を分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体の表面に水素吸蔵合金微粉末を積層し、積層された水素吸蔵合金微粉末層を被覆するように繊維材料を分散させた水溶液を抄紙して積層し、積層されたシート体を乾燥させ、乾燥させたシート体に対して金属化合物を溶解すると共に金属以外の微粒子を分散させた溶液中で無電解メッキを施すことにより、前記シート体及び前記水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように金属以外の微粒子を含む金属メッキ層を形成することを特徴とする複合シート体の製造方法。
【請求項15】
前記水溶液は、紙料液であることを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の複合シート体の製造方法。
【請求項16】
前記水溶液には、増粘剤が添加されていることを特徴とする請求項8から15のいずれかに記載の複合シート体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水素吸蔵合金微粉末を担持する複合シート体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年二次電池や燃料電池に用いる材料として水素吸蔵合金が注目されている。水素吸蔵合金は、周囲の温度を低下させるか周囲の水素圧力を上昇させることにより水素を吸収し、周囲の温度を上昇させるか周囲の水素圧力を低下させることにより水素を放出する特性を有しており、その特性を生かして、燃料電池等の水素貯蔵体や水素分離膜、二次電池の電極材料、燃料電池の水素透過膜や水素透過電極等に用いられている。
【0003】
水素吸蔵合金は、水素の吸収と放出を繰り返すと、結晶格子に歪みが生じて合金に多数の割れが発生し微粉化することが知られている。微粉化することで水素との接触面積が増加することから水素の吸収・放出作用が高まる反面、支持体から脱落して周囲に飛散したり、電極に用いた場合導電性が悪化するといった問題点も指摘されている。
【0004】
こうした水素吸蔵合金の特性を考慮してシート状に成形する方法が種々提案されている。例えば、特許文献1では、水素吸蔵合金を粉砕した粒状物をPVA溶液と混練してペースト状物を生成し、ペースト状物を撹拌しながらニッケル繊維不織布を浸漬して超音波浴槽中に投入し、ペースト状物が不織布に十分進入した後乾燥させてプレスすることで二次電池の電極を製造する点が記載されている。また、特許文献2では、水素吸蔵合金の粉砕物とニッケル繊維とを混合し、PTFE溶液を添加して混練したペースト状物をシート状に成形した後焼成して多孔質シートとし、これに無電解メッキによりニッケルを添加して電極を製造した点が記載されている。また、特許文献3では、一対のロールの間に、水素吸蔵合金の粉末に炭素の粉末、フッ素樹脂の粉末及びバインダを混合した粉末混合物と、金属製で無孔又は多孔板状の基材を供給し、粉末圧延法により基材の両面に粉末混合物が固着した負極シートを製造した点が記載されている。
【0005】
なお、和紙原料に炭素繊維や炭素粉添加して超音波発振により均一分散させた点が特許文献4に記載されており、和紙原料に導電性繊維を混合して静電気除去紙を製造した点が特許文献5に記載されている。

【特許文献1】特開平9-92272号公報
【特許文献2】特開平5-3029号公報
【特許文献3】特開2000-113880号公報
【特許文献4】特開2001-98493号公報
【特許文献5】登録実用新案第3000969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、水素吸蔵合金の粒状物をペースト状にしてニッケル繊維不織布に進入させるようにしており、特許文献2でも水素吸蔵合金の粉砕物をペースト状にした後成形及び焼成処理をしており、煩雑な処理工程やシート状にするための成形工程を必要としている。また、特許文献3では、粉末圧延法により水素吸蔵合金粉末を固定するようにしているが、バインダ等の添加物が必要となり、また、水素吸蔵合金粉末への水素の通気を確保するための多孔性を形成する圧延調整が難しい。
【0007】
そこで、本発明は、水素吸蔵合金の微粉化に伴う脱落を抑止するとともに容易に変形可能な複合シート体及びそれを簡単な工程で製造することができる製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る複合シート体は、繊維材料及び水素吸蔵合金微粉末を混合して分散させた水溶液を用いた抄紙により得られ、繊維材料が互いに絡み合って結合されるとともに繊維材料の間に形成された多数の隙間により通気性を有するシート状繊維構造体と、該繊維構造体の内部に分散保持された水素吸蔵合金微粉末とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る別の複合シート体は、繊維材料を分散させた水溶液を用いた抄紙により繊維材料が互いに絡み合って結合されるとともに繊維材料の間に形成された多数の隙間により通気性を有するシート状繊維構造体と、該繊維構造体の内部に層状に分散保持された水素吸蔵合金微粉末層とを備えていることを特徴とする。
【0010】
上記の複合シート体において、前記繊維材料は、主としてセルロース繊維からなることを特徴とする。さらに、前記繊維材料は、無機繊維又は有機合成繊維を含むことを特徴とする。さらに、前記シート状繊維構造体及び前記水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように形成された多孔質金属メッキ層を有することを特徴とする。さらに、前記多孔質金属メッキ層は、金属以外の微粒子を含む金属メッキ層であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る複合シート体の製造方法は、繊維材料及び水素吸蔵合金微粉末を混合して分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体を乾燥させることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る別の複合シート体の製造方法は、繊維材料及び水素吸蔵合金微粉末を混合して分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体を乾燥させ、乾燥させたシート体に対して金属化合物を溶解する溶液中で無電解メッキを施すことにより、前記シート体及び前記水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように金属メッキ層を形成し、前記金属メッキ層を多孔質化することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るさらに別の複合シート体の製造方法は、繊維材料及び水素吸蔵合金微粉末を混合して分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体を乾燥させ、乾燥させたシート体に対して金属化合物を溶解すると共に金属以外の微粒子を分散させた溶液中で無電解メッキを施すことにより、前記シート体及び前記水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように金属以外の微粒子を含む金属メッキ層を形成することを特徴とする。
【0014】
上記の複合シート体の製造方法において、前記水溶液は、水素吸蔵合金微粉末を分散させた紙料液であることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るさらに別の複合シート体の製造方法は、紙繊維材料を分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体の表面に水素吸蔵合金微粉末を積層し、積層された水素吸蔵合金微粉末層を被覆するように繊維材料を分散させた水溶液を抄紙して積層し、積層されたシート体を乾燥させることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るさらに別の複合シート体の製造方法は、繊維材料を分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体の表面に水素吸蔵合金微粉末を積層し、積層された水素吸蔵合金微粉末層を被覆するように繊維材料を分散させた水溶液を抄紙して積層し、積層されたシート体を乾燥させ、乾燥させたシート体に対して金属化合物を溶解する溶液中で無電解メッキを施すことにより、前記シート体及び前記水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように金属メッキ層を形成し、前記金属メッキ層を多孔質化することを特徴とする。
【0017】
本発明に係るさらに別の複合シート体の製造方法は、繊維材料を分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体の表面に水素吸蔵合金微粉末を積層し、積層された水素吸蔵合金微粉末層を被覆するように繊維材料を分散させた水溶液を抄紙して積層し、積層されたシート体を乾燥させ、乾燥させたシート体に対して金属化合物を溶解すると共に金属以外の微粒子を分散させた溶液中で無電解メッキを施すことにより、前記シート体及び前記水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように金属以外の微粒子を含む金属メッキ層を形成することを特徴とする。
【0018】
上記の複合シート体の製造方法において、前記水溶液は、紙料液であることを特徴とする。さらに、前記水溶液には、増粘剤が添加されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る複合シート体は、抄紙により繊維材料が互いに絡み合って結合されたシート状繊維構造体の内部に水素吸蔵合金微粉末が分散保持されているので、水素吸蔵合金が微粉化してもシート状繊維構造体からの脱落を抑止することができ、また、繊維材料の間には隙間が多数形成されることから、水素吸蔵合金への水素の通気性を十分確保することができる。すなわち、本発明に係る複合シート体の製造方法によれば、繊維材料及び水素吸蔵合金微粉末を混合して分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体を乾燥させるので、抄紙の際に水素吸蔵合金微粉末がシート体内部に分散されるようになり、水素吸蔵合金微粉末はシート体内部に確実に保持される。また、抄紙することで繊維材料がシート表面に沿って配列されるようになり、可撓性の高い構造体とすることができ、さらに繊維材料の間に細長い微小な隙間が形成されるため、微粉末の確実な保持とともに十分な通気性が確保されるようになる。また、抄紙してシート状に形成し乾燥させるだけの工程で製造することができ、製造工程が極めて簡単になる。
【0020】
また、本発明に係る別の複合シート体は、抄紙により繊維材料が互いに絡み合って結合されたシート状繊維構造体と、該繊維構造体の内部に層状に分散保持された水素吸蔵合金微粉末層とを備えているので、シート状繊維構造体の内部に水素吸蔵合金微粉末が保持されシート状繊維構造体の表面近傍には水素吸蔵合金微粉末が保持されることがなくなり、微粉末の脱落抑止をさらに向上させることができる。すなわち、本発明に係る複合シート体の製造方法によれば、紙繊維材料を分散させた水溶液を抄紙してシート状に成形し、成形されたシート体の表面に水素吸蔵合金微粉末を積層し、積層された水素吸蔵合金微粉末層を被覆するように繊維材料を分散させた水溶液を抄紙して積層し、積層されたシート体を乾燥させるので、水素吸蔵合金微粉末がシート体内部に確実に分散保持され、またシート体の表面近傍に水素吸蔵合金微粉末が分散保持されることを防止できる。そして、抄紙することで繊維材料がシート表面に沿って配列されるようになり、可撓性の高い構造体とすることができ、さらに繊維材料の間に細長い微小な隙間が形成されるため、微粉末の確実な保持とともに十分な通気性が確保されるようになる。また、抄紙してシート状に形成し乾燥させるだけの工程で製造することができ、製造工程が極めて簡単になる。
【0021】
そして、複合シート体の製造方法において水溶液に紙料液を用いることで、従来の抄紙工程をそのまま利用して製造することができ、製造コストを軽減することが可能となる。また、複合シート体の繊維材料をセルロース繊維とすることで、繊維同士の絡み合いや水素結合により十分な強度のシート状繊維構造体が形成され、別途添加剤を追加する必要がないため構造体内部に通気のための多数の隙間が十分確保されるようになる。また、繊維材料に、無機繊維又は有機合成繊維といった従来不織布に用いられている材料を使用することで、複合シート体に多様な機能を持たせるようにすることができる。
【0022】
そして、複合シート体がシート状繊維構造体及び水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように形成された多孔質金属メッキ層を有するようにすることで、複合シート体全体に導電性を付与し電極としての機能を持たせることが可能となる。多孔質の金属メッキ層であるため水素吸蔵合金の水素の吸収・放出作用を迅速に行うことができ、また、水素吸蔵合金微粉末の脱落抑止及び高い可撓性を備えた電極となることから、複合シート体を様々に変形させて電池内部に配置することが可能となる。
【0023】
多孔質金属メッキ層は、乾燥させたシート体に対して金属化合物を溶解する溶液中で無電解メッキを施してシート体及び水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように金属メッキ層を形成し、金属メッキ層を多孔質化することで容易に形成することができる。また、別の製造方法として、乾燥させたシート体に対して金属化合物を溶解すると共に金属以外の微粒子を分散させた溶液中で無電解メッキを施してシート体及び水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように金属以外の微粒子を含む金属メッキ層を形成して多孔質金属メッキ層とすることもできる。いずれの製造方法においても、導電性及び通気性に優れた電極として機能する複合シート体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明に係る複合シート体の実施形態に関する一部拡大断面模式図である。複合シート1は、多数の繊維材料が絡み合って結合して形成されたシート状繊維構造体2の内部に水素吸蔵合金微粉末3が分散保持されて構成されている。繊維構造体2は、抄紙により形成されているため、複合シート体1のシート表面にほぼ沿うように繊維材料が配列されるようになる。したがって、各繊維材料の間には細長い隙間が多数形成されるようになり、その隙間に水素吸蔵合金微粉末3が保持されるようになる。
【0026】
そのため、水素吸蔵合金微粉末3は、脱落することなく確実に保持されるようになり、また、水素の吸収・放出作用によりさらに微粉末化しても絡み合った繊維材料により脱落が抑止されるようになる。そして、各繊維材料の間の多数の隙間は、通気性に優れ水素の流通がスムーズに行われるため、水素吸蔵合金の吸収・放出作用を迅速に行うことが可能となる。また、後述するように、無電解メッキを行う際にメッキ槽に複合シート体を浸漬する場合複合シート体内部の隅々にまでメッキ液が浸透し、複合シート体全体を満遍なくメッキ処理することができる。
【0027】
また、繊維構造体2は、多数の繊維材料がシート表面に沿うように配列されて形成されているため可撓性に優れた特性を有しており、様々な形状に変形することが可能である。例えば、図2(a)に示すように螺旋状に巻いた形状や図2(b)に示すように折り曲げ加工により波板状にすることができる。また、図2(b)に示す折り曲げ加工した複合シート体を丸めて円筒状にし、図2(c)に示すようにそれらを同心円状に配列すれば、複合シート体をコンパクトに配置することができ、燃料電池等の水素貯蔵体や水素分離膜として好適である。
【0028】
そして、繊維構造体2の厚さは、抄紙の際に容易に調整することができ、用途に応じて適宜設定すればよい。繊維構造体2の厚さが厚くなったとしても、各繊維材料の間の隙間により内部にまで通気性は確保されるため、水素吸蔵合金の吸収・放出作用に影響を与えることはない。
【0029】
繊維構造体2の繊維材料は、抄紙により製造される紙や不織布に従来より用いられる材料で、例えば、セルロース繊維としては、木材、麻類、綿類、靭皮といった植物から生成される繊維が挙げられる。また、無機繊維としては、金属、炭素、ガラス、セラミックとった材料の繊維が挙げられ、有機合成繊維としては、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維といったものが挙げられる。また、繊維材料の繊維長も紙や不織布が形成可能なものであればよい。繊維長が短い場合には、接着剤を併用して繊維材料の結合を強化してもよいし、繊維材料として熱可塑性を有するものを用いる場合には加熱により繊維材料を融着させるようにしてもよい。また、不織布の製造に用いられるパンチング等の方法でもよい。
【0030】
水素吸蔵合金微粉末3は、インゴットを機械的に粉砕して分級し、粒径の揃ったものを使用する。粒径は0.01μm~2mmのものを用いることができ、溶液中での分散状態からみて、好ましくは0.1~10μmのものがよい。そして、微粉末は、公知の方法で脱脂し、活性化処理を行う。水素吸蔵合金の材料としては、以下に挙げるような公知の合金を用いることができる。
(1)AB5型(希土類系)合金
LaNi5、LaNi4Cu、LaNi4Al、LaNi2.5Co2.5、La0.8Nd0.2Ni2Co3、La0.7Nd0.2Ti0.1Ni2.5Co2.4Al0.1、La0.8Nd0.2Ni2.5Co2.4Si0.1、La0.9Zr0.1Ni4.5Al0.5、MmNi5(Mm=ミッシュメタル)、MmNi3.55Co0.75Mn0.4Al0.3、MmNi4.2Mn0.6Al0.2、MmNi3Co1.5Al0.5、MmBx(x=4.55~4.76,B=Ni,Co,Mn,Al)。
(2)AB/A2B型(チタン系)合金
TiNi、Ti2Ni、TiMn1.5、Ti2Ni-TiNi基多成分合金(V,Cr,Zr,Mn,Co,Cu,FeなどでNiを部分置換 );Ti1-yZryNix(x=0.5~1.45,y=0~1)。
(3)AB2型(ラーベス相)合金
Ti2-xZrx4-yNiy、 Ti1-xCrx2-yNiy、 ZrV0.4Ni1.6、ZrMn0.6Cr0.2Ni1.2、 Ti17Zr1522Ni39Cr7、 LaNi2、 CeNi2
【0031】
水素吸蔵合金微粉末には、予めメッキ処理しておいてもよい。この場合のメッキ処理としては、例えば、特開平9-106817号公報に記載されたメッキ処理方法を用いることができる。
【0032】
図3は、図1に示す複合シート体1を製造するための工程を示す説明図である。まず、繊維材料の塊10及び水素吸蔵合金微粉末11を水12の中に投入して混合する(図3(a))。繊維材料の投入量は、製造する複合シート体1の大きさ及び厚さに応じて設定すればよい。通常の紙や不織布の製造の際の設定と同様に行えばよい。また、水素吸蔵合金粉末11の投入量は、複合シート体の性能に応じて投入する。例えば、電極として製造する場合には、例えば厚さ100μmのシート体の場合単位面積当り0.01g/cm2~0.5g/cm2分散保持されるように投入すればよい。水12には、予め増粘剤を添加しておいてもよい。増粘剤を添加することで、繊維材料及び水素吸蔵合金微粉末の溶液内での良好な分散状態を保つことができる。増粘剤としては、和紙の場合に用いるネリ(トロロアオイの根やノリウツギの皮などから作られるもの)や合成のり(PVA等)が好適である。
【0033】
投入後混合溶液を撹拌器13により撹拌し、溶液内の繊維材料及び素吸蔵合金微粉末がほぼ均等に分散した状態にする(図3(b))。次に、分散溶液を支持枠体14に設置した漉き網に均一な厚みとなるように流し込む(図3(c))。こうした紙漉きの手法は、一般に「溜め漉き」と称されている手法である。図3(c)’は、紙漉きされた状態を示す一部拡大図を示している。漉き網15は、ステンレスの線材を縦横に張設して多数の微細な網目が形成されており、網目の大きさは、通常の紙漉きに用いる大きさに設定されている。漉き網15は、支持枠体14に周縁部を支持されており、その上面には抄紙されたシート体16が形成される。分散溶液を漉き網15に流し込むと、水とともに細かい繊維材料や水素吸蔵合金微粉末が漉き網15を通過して落下するが、大部分の繊維材料は漉き網15に残留してその表面方向にほぼ沿って配列された状態となる。水素吸蔵合金微粉末は、繊維材料とともに流し込まれるため、残留した繊維材料の間に分散して保持されるようになる。漉き網15の網目より小さい微粉末についても繊維材料の間の隙間に係止されて保持されるようになる。したがって、漉き網15の網目は、水素吸蔵合金微粉末の粒径に合せて小さくする必要はない。漉き網15の網目の大きさは、10メッシュ~500メッシュが好ましい。
【0034】
抄紙されたシート体16は、漉き網15とともに載置台17の上面にシート体16が下になるように設置し、漉き網15を取り外す(図3(d))。図3(d)’に示すように載置台17の上面を波状の凹凸面に形成しておけば、後述するように、複合シート体の形状を容易に変形させることができる。
【0035】
載置台17に設置されたシート体16は、常温乾燥される(図3(e)、図3(e)’)ことで、繊維材料同士が絡み合った状態で結合し、十分な強度を有するようになる(図3(f)、図3(f)’)。湿った状態では、シート体16は柔かいため、図3(e)’に示すように重力の作用により載置台17の上面の形状に沿って容易に変形するようになる。そして、シート体16が乾燥すると強度を有するようになるため、図3(f)’に示すように、載置台17から取り外してもその形状を保持するようになる。
【0036】
図4は、本発明に係る複合シート体の別の実施形態に関する一部拡大断面模式図である。この例では、複合シート体20は、図1の場合と同様の繊維材料からなる上下の繊維層21a及び21bの間に水素吸蔵合金微粉末が層状に保持された微粉末層22が形成されている。上下の繊維層21a及び21bは分離しているのではなく、図1の場合と同様に層間においても繊維材料が互いに絡み合って結合しているが、その間に水素吸蔵合金微粉末が層状に密集して保持されている。こうした構造となっているので、水素吸蔵合金微粉末がシート体内部の中心部分に分散保持されるようになり、微粉末の脱落をさらに抑止することができる。また、繊維層21a及び21bは、図1の繊維構造体と同様に通気性に優れた特性を有しているので、中心部分に保持された水素吸蔵合金微粉末に十分な量の水素が流通するようになる。
【0037】
図5は、複合シート体20の製造工程を示す説明図である。まず、繊維材料の塊23を水24の中に投入して(図5(a))十分撹拌する(図5(b))。水24には、上述したように増粘剤を必要に応じて添加しておいてもよい。繊維材料が撹拌により分散した溶液を、図3で説明した溜め漉きと同様に、支持枠体26に設置したステンレス製の漉き網27に流し込み、シート状の抄紙層28aを形成する(図5(c))。
【0038】
次に、形成された抄紙層28aの上面に水素吸蔵合金微粉末を層状になるように散布して微粉末層29を形成する(図5(d))。次に、形成された微粉末層29の上に図3(c)に示す抄紙工程と同様に繊維材料を分散させた溶液を流し込み、抄紙層28bを形成する(図5(e))。この場合、溶液を流し込むことで抄紙層28bの繊維材料が下方の抄紙層28aの繊維材料と絡み合い、一体となる。また、水素吸蔵合金微粉末は、溶液の流し込みで少量の流出はあるものの大部分の微粉末は抄紙層28aに保持されて流出することが抑止される。
【0039】
こうして抄紙されたシート体30は、漉き網27とともに載置台31の上面にシート体30が下になるように設置して、漉き網27を取り外し(図5(f))、常温乾燥させることで(図5(g))シート体の強度が生じるようになり、複合シート体20に仕上げられる。
【0040】
図5の製造工程では、分散液の作成工程から抄紙工程までの従来の製紙工程に微粉末を散布する工程を付加するだけでよく、製造コストを抑えることができる。
【0041】
以上の例では、抄紙工程で溜め漉きの手法を用いているが、これ以外の手法を用いて抄紙することもできる。例えば、和紙の抄紙工程で用いられる「流し漉き」でもよく、また、公知の抄紙機を用いて機械的に製造することも可能である。
【0042】
上述のような複合シート体に導電性を付与する場合、複合シート体全体を金属メッキ処理することで付与することができる。金属メッキ処理には無電解メッキを用いることで、導電性のない繊維材料にもメッキ処理が可能となり、複合シート体の繊維材料及び水素吸蔵合金微粉末全体を被覆するように金属メッキ層を形成することができる。
【0043】
金属メッキ層を構成する金属としては、Ni、Ni系合金、Cu、Cu系合金、Sn、Cr、Zn、Co、Ti、Al、Au、Ag、Pt、Pt系合金、Pd、Rh、Ruの群の中から選択される金属、又は、Ni-P、Ni-B、Ni-Cu-P、Ni-Co-P、Ni-Cu-Bといった合金の中から選択される。こうした金属を用いることで、物性のばらつきの少ない金属メッキ層とすることができる。そして、金属メッキ層であることから、熱伝導性に優れ、接触抵抗が小さく、水素吸蔵合金微粉末の酸化も抑制される。特に、Niは、耐食性が高く、水素の電気化学反応に対して触媒としても作用するので、Niメッキ処理した複合シート体は、高分子固体電解質型燃料電池に好適である。
【0044】
こうした金属を多孔質に形成する場合には、メッキ処理後多孔質に形成すればよい。多孔質に形成する場合には、例えば、炭酸カルシウム粉末やアルミニウム粉末を含ませてメッキ処理し、メッキ層を形成後酸性溶液又はアルカリ性溶液により粉末を溶出するようにすればよい。このように多孔質に形成することで、ガス透過性を確保することができ、複合シート体の通気性を損なうことなく、十分な量の水素を水素吸蔵合金微粉末に対して流通させることができる。
【0045】
また、上述した金属中に金属以外の微粒子を分散して含ませることで、多孔質金属メッキ層を構成することもできる。金属以外の微粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリスルフォン(PSU)、AS樹脂、ポリスチレン(PS)、塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、ポリフェニレンエーテル(PFE)、メチルペンテン樹脂、メタクリル酸樹脂、炭素(C)、触媒担持微粒子、及び、熱硬化性樹脂の中から選択される。微粒子の粒径は、0.01μm~500μmのものが好ましい。こうした化合物を微粒子として用いることで、金属メッキ層が多孔質に形成され、優れたガス透過性を確保できると共に、それぞれの化合物の特性を金属メッキ層に付与することができる。
【0046】
複合シート体に無電解メッキを行う場合には、例えば、図6に示すように、メッキ槽40にメッキ液を貯留して複合シート体1を浸漬することで行われる。メッキ液には、炭酸カルシウム粉末又はアルミニウム粉末を適量添加しておき、メッキ処理後酸性溶液によりこれらの粉末を溶出してメッキ層を多孔質化する。また、メッキ液に、上述した微粒子を適量添加しておき、メッキ処理することで、多孔質な金属メッキ層を形成することができる。この製造方法であれば、メッキ処理により多孔質金属メッキ層が形成できるので、製造工程を簡略化できるとともに金属メッキ層全体にバラツキのないガス透過性を持たせることが可能となる。また、無電解メッキにより導電性を付与した後さらに電解メッキ処理することで導電性を向上させるようにしてもよい。図6では、メッキ液中にシート体を浸漬しているが、シート体にメッキ液を流し込んだりシート体内にメッキ液を吸引させて含浸させることでもメッキ処理可能である。
【0047】
こうして多孔質の金属メッキ層で複合シート体を被覆することで、ガズ透過性及び導電性を有することから、例えば、ニッケル水素蓄電池の負極材料に好適である。
【実施例】
【0048】
繊維材料として、マニラ麻及び木材のパルプ(マニラ麻3木材7;福井県和紙工業協同組合製)を1.2kg用いて紙料液を調製し、その繊維分が乾燥時に5g程度になるよう分散したものに、水素吸蔵合金微粉末として、MmNi3.55Co0.75Mn0.4Al0.3を機械粉砕し分級して平均粒径約30μmのものを15g用いた。そして、繊維材料及び水素吸蔵合金微粉末を水の中で撹拌して、微粉末の分散した紙料液を調製し、図1と同様の製造工程により、大きさが縦15cm横10cm厚さ0.1mmの複合シート体を製作した。なお、漉き網として50メッシュのものを用いた。出来上がった複合シート体は、図2(a)に示すように螺旋状に丸めることが容易に行えると共に元の平面に戻すことも簡単行うことができ、任意の形状に変形可能なフレキシブル性を有していることが確認された。また、変形の際に水素吸蔵合金微粉末の脱落はほとんど見られなかった。出来上がった複合シート体の水素吸蔵合金の含有量は、約52.3重量%であった。
【0049】
図7は、製作された複合シート体の断面をSEMにより分析した結果を示す写真である。紐状の繊維材料が互いに絡み合いながら結合した繊維構造体の内部に粒子状の水素吸蔵合金微粉末が分散保持されている状態が確認できる。
【0050】
図8及び図9は、複合シート体について水素の吸収・放出特性を測定した結果を示すグラフである。測定は、JIS H 7201に準拠した自動測定装置(レスカ社製)を用いた。試料として、(A)複合シート体及び(B)複合シート体に含まれる水素吸蔵合金微粉末と同量の微粉末を準備した。試料(A)及び(B)をそれぞれ試料容器内に設置し、試料容器内の水素の平衡圧力を変化させて水素と水素吸蔵合金の原子数比の変化量を算出した。図8は60℃の温度状態での測定結果を示しており、図9は20℃の温度状態での測定結果を示している。両図とも縦軸に水素の平衡圧力(MPa)をとり、横軸に水素の水素吸蔵合金の原子数比の変化量を積算した値(H/M)をとっている。
【0051】
図8及び図9をみると、複合シート体(△印)及び水素吸蔵合金微粉末(○印)はほぼ同じように変化しており、複合シート体において水素吸蔵合金の吸収・放出作用に関して繊維構造体による影響はほとんどないことがわかる。したがって、シート体内部に分散保持された水素吸蔵合金に対して水素の流通が十分行われ優れたガス透過性を備えていることがわかる。
【0052】
次に、製造された複合シート体に無電解メッキを行った。メッキ液の浴組成及び条件は以下の通りである。
<メッキ液>
硫酸ニッケル 15g/リットル
次亜リン酸ナトリウム 14g/リットル
水酸化ナトリウム 8g/リットル
グリシン 20g/リットル
PTFE(粒径0.3μm) 15g/リットル
界面活性剤 0.5g/リットル
<条件>
pH 9.5
浴温 90℃
撹拌時間 40分
メッキ槽に複合シート体を浸漬して無電解メッキ処理を行った後、十分水洗して真空減圧乾燥を5時間行った。その結果形成された金属メッキ層は、PTFEの微粒子が分散して含まれることで多孔質に形成されている。金属メッキ層の含有量は、約8重量%であった。
【0053】
メッキ処理された複合シート体の電極としての性能を確認するため、ニッケル水素蓄電池の負極としての適用性について検討した。試験電極としては、(C)メッキ処理された複合シート体及び(D)従来使用されている電極を準備した。試験電極(D)は、発泡ニッケルシート(0.5mm厚)に水素吸蔵合金微粉末が含まれるペーストを塗布して圧延・乾燥させたもので、従来より負極材料として公知のものである。両方の試験電極に含まれる水素吸蔵合金の重量は、0.168g(活物質0.087g)であった。
【0054】
試験装置として、試験電極の他に水酸化ニッケルからなる対極及びセパレータを試験セル内の電解液中に配置した。こうした配置構成は、ニッケル水素蓄電池の一般的な構成である。そして、試験電極及び対極を直流定電流源に接続して充放電を行った。
【0055】
充放電のサイクルは、以下のように設定した。
充電・・・・1時間当り0.1Ccalcの電気量で、15時間実施
充電休止・・1時間
放電・・・・1時間当り0.2Ccalcの電気量で、5時間実施
放電休止・・1時間
calcは、JIS H 7205で規定されている計算容量である。放電は、試験電極の電位が0.6Vになるまで行った。充放電のサイクルを繰り返す毎に測定結果に基づきJIS H 7205で規定されている放電容量Cdを算出した。図10は、放電容量に基づいた繰り返し充放電特性図を示している。縦軸には算出された放電容量をとり、横軸にサイクル数をとっている。
【0056】
図10をみると、試験電極(C)(●印)及び試験電極(D)(◇印)は、ほとんど同じような充放電特性を有しており、多孔質金属メッキ層で被覆された複合シート体は、優れたガス透過性及び導電性を有し、電極として十分な性能を備えていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る複合シート体は、燃料電池等の水素貯蔵体、二次電池の電極材料、燃料電池の水素透過膜や水素透過電極等に用いることができる。また、水素ガスセンサーや水素圧縮装置の材料としても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る実施形態に関する一部拡大断面模式図である。
【図2】複合シート体の形状を示す外観図である。
【図3】図1に示す複合シート体の製造工程を示す説明図である。
【図4】本発明に係る別の実施形態に関する一部拡大断面模式図である。
【図5】図4に示す複合シート体の製造工程を示す説明図である。
【図6】メッキ処理工程に関する概略図である。
【図7】複合シート体の断面をSEMにより分析した結果を示す写真である。
【図8】複合シート体に関する水素の吸収・放出特性の測定結果を示すグラフである。
【図9】複合シート体に関する水素の吸収・放出特性の測定結果を示すグラフである。
【図10】放電容量に基づいた繰り返し充放電特性図である。
【符号の説明】
【0059】
1 複合シート体
2 繊維構造体
3 水素吸蔵合金微粉末
20 複合シート体
21 繊維層
22 微粉末層
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図10】
8
【図7】
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