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明細書 :摩耗ゲージ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4910143号 (P4910143)
公開番号 特開2008-164377 (P2008-164377A)
登録日 平成24年1月27日(2012.1.27)
発行日 平成24年4月4日(2012.4.4)
公開日 平成20年7月17日(2008.7.17)
発明の名称または考案の名称 摩耗ゲージ
国際特許分類 G01B   7/00        (2006.01)
G01N   3/56        (2006.01)
FI G01B 7/00 W
G01N 3/56 K
請求項の数または発明の数 7
全頁数 13
出願番号 特願2006-352957 (P2006-352957)
出願日 平成18年12月27日(2006.12.27)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 発行者 株式会社トヨタエンタプライズ トヨタ事業所(愛知県豊田市トヨタ町1 トヨタ自動車株式会社 旧本館内) 刊行物名 福井県新技術・新工法展示商談会ガイドブック 発行日 2006年11月1日
特許法第30条第3項適用 博覧会名 イノベーション・ジャパン2006-大学見本市 主催者名 独立行政法人科学技術振興機構 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 株式会社ビーピー 開催日 平成18年9月13日から15日「3日間」
特許法第30条第3項適用 博覧会名 知財ビジネスマッチングフェア2006 主催者名 特許庁 近畿経済産業局 近畿知財戦略本部 開催日 平成18年11月30日(木)~12月1日(金)
審査請求日 平成21年12月2日(2009.12.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
発明者または考案者 【氏名】吉長 重樹
【氏名】岩井 善郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100087398、【弁理士】、【氏名又は名称】水野 勝文
【識別番号】100067541、【弁理士】、【氏名又は名称】岸田 正行
【識別番号】100126147、【弁理士】、【氏名又は名称】川上 成年
審査官 【審査官】中川 康文
参考文献・文献 特開昭47-031646(JP,A)
特開昭62-083602(JP,A)
実開昭61-060109(JP,U)
実開昭63-139507(JP,U)
実開平02-067253(JP,U)
特表昭63-502129(JP,A)
特開平02-293603(JP,A)
実開平03-027600(JP,U)
特開平06-193629(JP,A)
特開平07-190708(JP,A)
特表2004-502930(JP,A)
特開2006-064487(JP,A)
調査した分野 G01B 3/00~3/08;3/11~3/56
G01B 5/00~5/30
G01B 7/00~7/34
G01N 3/00~3/62
特許請求の範囲 【請求項1】
産業機械の摺動部材の摩耗を検知するための摩耗ゲージであって、
前記摺動部材に固定可能であり、複数の回路絶縁板が積層してなり、当該複数の回路絶縁板の各々には、摩耗検知用ラインが先端部から前記積層の方向と垂直な方向に所定のピッチをもって各々配置されるとともに、前記複数の回路絶縁板内の所定の回路絶縁板上における摩耗検知用ラインを前記複数の回路絶縁板内の他の回路絶縁板上における摩耗検知用ラインに対して前記所定のピッチ未満の長さでずらすように前記複数の回路絶縁板は積層されており、前記摺動部材の摩耗に伴い前記複数の回路絶縁板の各々に形成された前記摩耗検知用ラインが段階的に摩滅する、摩耗ゲージ本体部を備えることを特徴とする摩耗ゲージ。
【請求項2】
前記複数の回路絶縁板の摩耗検知用ラインを回路内に各々含む複数の摩耗検知回路を備え、前記複数の回路絶縁板の摩耗検知用ラインの段階的な摩滅に伴い、前記複数の摩耗検知回路の各々が段階的に切断する摩耗ゲージ回路部を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の摩耗ゲージ。
【請求項3】
前記摩耗ゲージ本体部は、
サポート用絶縁板がさらに積層してなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の摩耗ゲージ。
【請求項4】
前記回路絶縁板の摩耗検知用ラインの形成面は、
前記積層された前記回路絶縁板及びサポート用絶縁板間の内面に挟み込まれていることを特徴とする請求項3に記載の摩耗ゲージ。
【請求項5】
前記摩耗ゲージ回路部は、
前記摩耗ゲージ本体部にマウントされるとともに、前記複数の摩耗検知回路の少なくとも1つの摩耗検知回路上に配置される所定の抵抗値を有する抵抗体を備え、
前記複数の回路絶縁板の摩耗検知用ラインの段階的な摩滅に伴い、前記摩耗ゲージ回路部全体の抵抗値が、段階的に変化することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の摩耗ゲージ。
【請求項6】
前記摩耗ゲージ本体部を構成する絶縁板は、
前記摺動部材に応じ、リジッド基板またはフレキシブル基板から選択されたプリント基板からなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の摩耗ゲージ。
【請求項7】
前記摩耗ゲージ本体部は、
略中心部に固定用穴を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の摩耗ゲージ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、産業設備の摺動部の摩耗を計測するゲージに関し、特に、摩耗状況を段階的に検出することによりメンテナンス時期を予測できる摩耗ゲージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業機械の摺動部については、摩耗状態を診断するために、実際に機械を分解し、摺動部の摩耗状態を測定することにより検査が行われている。
【0003】
しかしながら、点検に多くの時間と費用を要するという欠点があり、機械が稼働状態であっても実際の摺動部の摩耗量を検知する手法の開発が望まれている。
【0004】
機械が稼働状態であっても摺動部の摩耗量を検知する手法としては、切削用歯車を収容しかつ機械ハウジングの案内部に案内されて配置されるスラストスピンドルを備える歯車形削り盤の動作時に、切削用歯車に作用する半径方向力が案内部の領域に配置された少なくとも1つのセンサ(ひずみゲージ)によって検出され、センサ(ひずみゲージ)は切削用歯車の動作時の摩耗によって生じる半径方向力の変化を検出し、機械に一般的な許容範囲を超える半径方向力の増加を、たとえば機械を停止するための歯車形削り盤の動作に影響を及ぼす信号として使用する手法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、本発明者らは、摺動部の摩耗量を検知する手法として、産業機械の構成部材の摺動面の摩耗を検知する摩耗センサであって、互いに異なる高さの段差を有する絶縁体の複数の段部と、該複数の段部の表面に形成された導電膜部とを備える先端部を備え、先端部の先端面と構成部材の摺動面とが、同一面上になるように、構成部材に固定可能であり、構成部材の摩耗に伴い、複数の段部のうち、摺動面に近い段部から段階的に摩耗する本体部を備えるセンサを開発した(例えば、特許文献2参照)。

【特許文献1】特開2001-150244号公報
【特許文献2】特開2006-64487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法によれば、摩耗量の検知にひずみゲージを用いているためセンサ自体は安価ではあるものの、摺動部材の摩耗量を直接検知するのではなく、部材に生じる応力から間接的に検知する手法であるため、外乱等により測定結果にノイズが含まれる可能性があり、摩耗量検知の信頼性に乏しい。
【0007】
また、本発明者らが開発したセンサによれば、摺動部材の摩耗量を直接検知するため、信頼性の高い摩耗量の検知が可能となるが、ひずみゲージのように、より安価で簡易な摩耗検知手法が求められている。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、産業設備の摺動部の摩耗量を段階的に、かつ、正確に測定できる、より安価な摩耗ゲージを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願請求項1に記載の発明は、産業機械の摺動部材の摩耗を検知するための摩耗ゲージであって、摺動部材に固定可能であり、複数の回路絶縁板が積層してなり、当該複数の回路絶縁板の各々には、摩耗検知用ラインが先端部から積層の方向と垂直な方向に所定のピッチをもって各々配置されるとともに、複数の回路絶縁板内の所定の回路絶縁板上における摩耗検知用ラインを複数の回路絶縁板内の他の回路絶縁板上における摩耗検知用ラインに対して所定のピッチ未満の長さでずらすように前記複数の回路絶縁板は積層されており、摺動部材の摩耗に伴い複数の回路絶縁板の各々に形成された摩耗検知用ラインが段階的に摩滅する、摩耗ゲージ本体部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の摩耗ゲージによれば、機械が稼働状態であっても、摺動部の実際の摩耗状態を常時監視でき、適正な時期に部品の点検や交換を行うことができる。
【0011】
摺動部材の摩耗量に対応する回路の切断を検出することにより、摺動部の実際の摩耗量を段階的に検知することができ、摩耗量の変化の傾向を把握することができる。
【0012】
また、検出法としては、電気抵抗のみの単純な方法であるため、外乱に強く摩耗判定が容易である。そして、摩耗ゲージは単純な構造であるので、低コストで製作ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態である摩耗ゲージについて、図を参照して詳細に説明をする。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態の摩耗ゲージの外観を示す図である。図1(a)は本実施形態の摩耗ゲージの本体部及び回路部の側面図であり、図1(b)は本実施形態の摩耗ゲージの本体部及び回路部の正面図である。
【0015】
摩耗ゲージ本体部100は、プリント基板からなる。プリント基板は、測定対象となる摺動部材(以下、ターゲットともいう)に応じ、リジッド基板またはフレキシブル基板の中から適宜選択される。
【0016】
摩耗ゲージ本体部100にリジッド基板を用いた場合には、摩耗ゲージ自体が一定の剛性を有するため、特段の保持部材を設けることなく摩耗ゲージをターゲットに固定することが可能となる。
【0017】
摩耗ゲージ本体部100に、フィルム状のフレキシブル基板を用いた場合には、摩耗ゲージ自体は変形自在であるため、非測定部材の形状によらず、摩耗ゲージの接着によるターゲットへの取り付けが可能となる。また、フィルム状であるため、摩耗ゲージから発生する摩耗粉は微小であり、ターゲットより柔らかい素材で構成することが可能であるため、ターゲット及び相手材料の摩耗に及ぼす影響は極めて小さい。
【0018】
リジッド基板としては、一般的基板として、ベークライト基板、フェノール基板、エポキシ基板(紙エポキシ、ガラスエポキシ等)、ガラスコンポジット基板、ガラスクロス基板、セラミック基板(アルミナ等)、及び、金属基板(鉄、銅、アルミニウム、ステンレス等)等を使用することが可能である。
【0019】
また、リジッド基板の材料としては、特殊樹脂基板材料として、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂、フッ素系樹脂、PPE(ポリフェニレンエーテル)樹脂、PPO(ポリフェノールオキサイド)樹脂、及び、BT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂等を使用することが可能である。
【0020】
また、リジッド基板の材料としては、その他、近年開発されている基板材料として、シアネート樹脂、マレイミド樹脂、ポリオレフィン系、液晶性ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、アクリル系樹脂、PVB積層板、PEEK、ポリキノリン、ノルボルネン、ポリパラバン酸、及び、ビスアリルナジド系等を使用することが可能である。
【0021】
フレキシブル基板材料としては、ポリイミドフィルム、アラミドフィルム、ガラスクロス、及び、エポキシ樹脂等を使用することが可能である。
【0022】
図1(b)に示すように、本実施形態の摩耗ゲージ本体部100には、プリントライン1~5が設けられている。プリントライン1~5中の摩耗検出位置である各摩耗検知用プリントライン1a~5aについては、摩耗ゲージ本体部100の先端部に間隔をもって配置されている。
【0023】
各摩耗検知用プリントライン1aについては、摩耗ゲージ本体部100の先端面100aに露出して配置されている。摩耗検知用プリントライン2aについては、摩耗ゲージ本体部100の先端面100aから、L1の位置に形成されている。同様に、各摩耗検知用プリントライン3a~5aについては、摩耗ゲージ本体部100の先端面100aから、それぞれL2~L4の位置に形成されている。
【0024】
摩耗ゲージ本体部100の下部のプリントライン1~5の下端部にはビアホール1b~5bが備わり、図3に示す外部測定装置との接続部となる端子1c~5cが配置される。また、各プリントライン1~5については、共通プリントライン6に接続し、ビアホール6bに配置される図3に示す共通端子6cが、外部測定装置との共通の接続部となる。これらプリントライン1~5により、全体として摩耗ゲージ回路部を構成している。なお、端子1c~6cについては、外部測定装置との接続をコネクタにより実現するものであって、摩耗ゲージの取り付け時にはんだ付けが不要となり、外部測定装置の着脱を容易とするものである。
【0025】
本実施形態の摩耗ゲージ本体部100は、一般的なプリント基板製造技術を用いて製造可能である。
【0026】
摩耗ゲージ本体部100のほぼ中心位置には摩耗ゲージ固定用の固定穴100bが設けられている。固定穴100bはリーマー等により所定の寸法精度をもって形成されており、ノックピン等を介してターゲットに固定することにより、機械が稼働状態であっても、がたなく摩耗ゲージをターゲットに固定することが可能となり、安定した摩耗量の検知が可能となる。
【0027】
本実施形態においては、摩耗検知用プリントライン数は5とするが、これに限られるものではなく、摩耗検知用プリントライン数は任意に設定が可能である。また、同様に各摩耗検知用プリントライン1a~5aの間隔も任意に設定が可能である。また、本実施形態においては、各摩耗検知用プリントライン1a~5aは直線上となっているが、摩耗を測定する構成部材の形状に合わせて任意の曲線や形状とすることもできる。例えば、図2(a)は、摩耗検知用プリントラインの形状を円弧状とすることにより、無指向性の摩耗ゲージとしたものである。また、図2(b)は、摩耗検知用プリントラインの長さを狭めることにより、微小範囲の摩耗を検知することを可能とした摩耗ゲージである。
【0028】
図3は、摩耗ゲージ本体部100と測定部101との接続を表すブロック図である。図に示すように、プリントライン1については、端子1cを介して、測定部101の接続部101-1と接続し、接続部101-6と接続する共通プリントライン6と接続することにより、1つの回路を形成する。同様に、プリントライン2~5については、端子2c~5cを各々介して、測定部101の接続部101-2~101-5と接続し、接続部101-6と接続する共通プリントライン6と接続することにより、各々1つの回路を形成する。
【0029】
測定部101は、プリントライン1~5の抵抗値を測定し、プリントライン1の絶縁により、1段目のラインである各摩耗検知用プリントライン1aの摩耗を検知する。同様に、各プリントライン2~5の絶縁により、2~5段目のラインである各摩耗検知用プリントライン2a~5aの摩耗を各々検知する。
【0030】
図4は、本実施形態の産業機械への摩耗ゲージの取り付けの一例を示す図であって、本実施形態のフレキシブル基板からなる摩耗ゲージを摩耗検知対象となる産業機械内の摺動部材に取り付けた状態を示す図である。
【0031】
本実施形態の摩耗ゲージ100には、摩耗検知対象となる摺動部材と同種の材料で囲んで所定の形状に成型を行い、サポートブロック102を形成する。フレキシブル基板からなる摩耗ゲージ100は、フィルム状であるため、単独で摩耗させることが困難であるが、サポートブロック102を形成し、摺動部材に埋め込むことにより、摺動部材とともに摩耗させることが可能となる。サポートブロック102の形成時においては、摩耗ゲージ100の先端面100a及び各摩耗検知用プリントライン1aが露出するように研磨を行う。
【0032】
なお、本実施形態においては、サポートブロック102を形成する例を説明したが、これに限られず、リジッド基板からなる摩耗ゲージの場合には、摩耗ゲージ100本体を直接、摺動部材に接着させても良い。また、リジッド基板からなる摩耗ゲージの場合には、固定穴100bを用いて、ノックピン、リーマボルトにより固定してもよい。
【0033】
摩耗ゲージ100は、摺動部材40の側面に空けた貫通穴100bに挿入され、摩耗ゲージ100の先端面100aが、摺動部材40の摺動面40aとほぼ同一面上となるよう取り付けられ、接着剤等により固定される。
【0034】
実際に産業機械の運転が開始すると、所定の部材30と摺動部材40との摺動により、摺動部材40の内面部40aの摩耗が進行し、それに伴い、摩耗ゲージ100の一番摺動面に近い場所に位置する、摩耗深さの基準とするために露出させた先端面100a及び摩耗検知用プリントライン1aも摩耗する。摩耗検知用プリントライン1aの摩滅により、プリントライン1の電気的接続が切断されることとなり、プリントライン1の抵抗値は、無限大となる。基準となる摩耗検知用プリントライン1aが、まず摩滅することにより、以後の摩耗量の基準とすることが可能となる。
【0035】
摺動部材40の摩耗とともに、摩耗ゲージ100がさらに摩耗し、摩耗がL1進行したところで、各摩耗検知用プリントライン2aは、摩耗により消滅し、プリントライン2の電気的接続が切断されることとなる。これにより、プリントライン2の抵抗値は、無限大となる。すなわち、プリントライン2の抵抗値が、無限大となったことを検知することにより摩耗がL1進行したことを検知することができる。
【0036】
以後、摩耗ゲージ100の摩耗が進行するにつれて、摩耗検知用プリントライン3a~5aが摩耗し、プリントライン3~5の導通が順に失われることにより、摩耗がL2~L4進行したことが検知できる。
【0037】
この摩耗ゲージ100の摩耗量L1~L4は、そのまま摺動部材40の摺動面40aの摩耗量と同一であるため、摩耗ゲージ100の摩耗を段階的に検出することにより、摺動部材40の摩耗量を段階的に検知することができる。
【0038】
一般に、回路の導通が切断された状態、すなわち抵抗値が無限大の状態を検出することは容易であるため、確実な摩耗を検知することが出来る。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の摩耗ゲージによれば、摩耗検知用プリントラインが摩耗したときの回路の切断を検出することにより、摺動部材の摩耗量を段階的に検知することができる。検出法としては電気抵抗のみの単純な方法であるため、外乱に強く摩耗判定が容易である。また、実際の摩耗量を測定するため、誤差のない正確な測定が可能となる。
【0040】
そして、摩耗量の変化を段階的に把握できるため、摩耗量の変化の傾向を把握でき、機械システムの余寿命と最適なメンテナンスの時期を予測が可能となる。
【0041】
本実施形態の摩耗ゲージ100は、一般的なプリント基板製造技術を用いて製造可能であるため、高品質、高精度かつ低価格で大量生産をすることが可能である。
【0042】
また、摩耗ゲージ本体部100をフィルム状とすることも可能であるため、ゲージ本体から発生する摩耗粉は微小であり、摺動部材及び相手部材の摩耗に及ぼす影響は極めて小さい。
【0043】
そして、電気的な構成である回路配置がプリント基板上に一体的になされているので、振動により電極が移動するなどして測定誤差が生じるおそれがなく、また、計測ピッチを任意に精度良く設定することが可能である。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態である摩耗ゲージについて、図を参照して詳細に説明をする。本実施形態の摩耗ゲージは、本発明の第1実施形態の摩耗ゲージ本体部を複数枚の基板により構成したものである。なお、本実施形態のプリントライン1~6の配置、測定部への接続、及び、摺動部材への取り付け方法は、本発明の第1実施形態の摩耗ゲージと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
図5は、本発明の第2実施形態の摩耗ゲージの外観を示す図である。図5(a)は、本実施形態の摩耗ゲージの本体部及び回路部の側面図であり、図5(b)は本実施形態の摩耗ゲージの本体部及び回路部の正面図である。
【0046】
図5(b)に示すように、本実施形態の摩耗ゲージ本体部200には、プリントライン1~6が設けられている。摩耗ゲージ本体部200の下部のプリントライン1~6の下端部にはビアホール1b~6bが備わり、後述する回路プリント基板201、202、及び、サポート用プリント基板203間の電気的導通が図られている。
【0047】
図5(a)に示すように、本実施形態の摩耗ゲージ本体部200は、回路プリント基板201、202と、サポート用プリント基板203とを積層してなる。
【0048】
図6は、回路プリント基板201、202と、サポート用プリント基板203のプリントラインの配置を示す図である。図6(a)は回路プリント基板201の非プリント面201aを示し、図6(b)は回路プリント基板201のプリント面201bを示し、図6(c)は回路プリント基板202のプリント面202bを示し、図6(d)はサポート用プリント基板203を示している。
【0049】
回路プリント基板201のプリント面201bには、プリントライン1、3、5、6が形成され、回路プリント基板202のプリント面202bにはプリントライン2、4、6が形成されている。本実施形態の摩耗ゲージによれば、プリントラインを複数の回路プリント基板に分けて配置することにより、検出の信号を層毎に変えたり、1層では不可能な検出分解能を得ることが可能となる。
【0050】
一般的なプリント技術を用いた場合には、各回路プリント基板におけるプリントラインのピッチは0.1mm程度となるが、複数の回路プリント基板上に配置をずらしてプリントラインを形成することにより、0.1mm以下のピッチでプリントラインを配置することが可能となり、より高いレベルの検出分解能を得ることが可能となる。例えば、図6(b)において、摩耗検知用プリントライン1a、3a、5aを0.1mmピッチで配置するとともに、摩耗検知用プリントライン1aを回路プリント基板201の上端に配置し、図6(c)において、摩耗検知用プリントライン2a、4aを0.1mmピッチで配置するとともに、摩耗検知用プリントライン2aを回路プリント基板202の上端から、0.05mmの位置に配置した場合には、回路プリント基板201、202を積層した場合の摩耗ゲージ本体部200の摩耗検知用プリントライン1a、2a、3a、4a、5aは、0.05mmピッチで配置されることとなり、より高いレベルの検出分解能を得ることが可能となる。これにより、高度なプリント技術を用いなくとも高分解能の摩耗ゲージを低コストで製作することが可能となる。
【0051】
回路プリント基板201、202及びサポート用プリント基板203には、下部にビアホール1b~6bが形成されており。回路プリント基板201、202、及び、サポート用プリント基板203間の電気的導通を図ることを可能としている。
【0052】
プリント基板表面に導線をプリントした場合には、プリント基板が摩耗してもプリントライン自体は摩耗せず剥がれてしまい、摩耗を検知できない可能性があるが、プリントラインが配置されたプリント面を、回路プリント基板201、202、及び、サポート用プリント基板203間の内面に挟み込むことにより、確実にプリントラインが破断し、確実な摩耗の検知が可能となる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の摩耗ゲージによれば、本発明の第1実施形態の摩耗ゲージが有する効果に加えて、高分解能の摩耗ゲージを低コストで製作することが可能となるとともに、確実にプリントラインが破断し、確実な摩耗の検知が可能となる。
【0054】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態である摩耗ゲージについて、図を参照して詳細に説明をする。本実施形態の摩耗ゲージは、複数の回路を、摩耗ゲージ本体部300内で一体化することにより、摩耗ゲージ300からのリード線の数を減少させている点が特徴である。
【0055】
なお、本実施形態のプリントライン1~6の配置、測定部への接続、及び、摺動部材への取り付け方法は、本発明の第1及び第2実施形態の摩耗ゲージと、ほぼ同様であるので、相違する部分のみ説明をする。
【0056】
図7は、本発明の第3実施形態の摩耗ゲージの外観を示す図である。図7(b)に示すように、本実施形態の摩耗ゲージ本体部300には、プリントライン1~5が設けられている。プリントライン2~5内の所定の位置には抵抗値r(Ω)の抵抗体R2~R5が各々接続している。
【0057】
摩耗ゲージ本体部300の各プリントライン1~5の一端はプリントライン1に集合して接続する。プリントライン1の下端部にはビアホール1bが備わり、図9に示す外部測定装置との接続部となる端子1cが配置される。また、各プリントライン1~5の他端については、共通プリントライン6に接続する。共通プリントライン6の端部にはビアホール6bが備わり、図9に示す外部測定装置との接続部となる共通端子6cが配置される。
【0058】
図7(a)に示すように本実施形態の摩耗ゲージ本体部300は、回路プリント基板301、302と、サポート用プリント基板303とが積層してなる。
【0059】
図8は、回路プリント基板301、302及びサポート用プリント基板303のプリントラインの配置を示す図である。図8(a)は回路プリント基板301の非プリント面301aを示し、図8(b)は回路プリント基板301のプリント面301bを示し、図8(c)は回路プリント基板302のプリント面302bを示し、図8(d)はサポート用プリント基板303を示している。
【0060】
回路プリント基板301のプリント面301bには、プリントライン2、4、6が形成され、回路プリント基板302のプリント面302bにはプリントライン1、3、5、6が形成されている。プリントライン1~5にはそれぞれビアホール2c~5c及び2d~5dが設けられ、抵抗体R2~R5の取り付け位置となっている。
【0061】
回路プリント基板301、302及びサポート用プリント基板303には、下部にビアホール1b、6bが形成されており、回路プリント基板301、302及びサポート用プリント基板303間の電気的導通を図ることを可能としている。また、同様に、回路プリント基板301、302及びサポート用プリント基板303には、ビアホール2c~5c及び2d~5dがそれぞれ設けられ、抵抗体R2~R5の取り付け位置となっている。回路プリント基板301においては、ビアホール2cと3dとが電気的に接続しており、ビアホール4cと5dとが電気的に接続している。また、回路プリント基板302においては、ビアホール3cと4dとが電気的に接続している。
【0062】
サポート用プリント基板303には、ビアホール2c~5c及び2d~5dに接続する位置に抵抗体R2~R5がマウントされている。なお、図8に示すプリントラインの配置はあくまでも一例であって、抵抗体R2~R5が直列に接続されるプリントラインの配置であれば、プリントラインの配置は適宜変更が可能である。
【0063】
図9は、摩耗ゲージ本体部300と測定部305との接続を表すブロック図である。図に示すように、プリントライン1~5については、端子1cを介して、測定部305の接続部305-1と接続し、接続部305-6と接続する共通プリントライン6と接続することにより、全体として抵抗体R2~R5が直列に接続した1つの回路である摩耗ゲージ回路部を形成する。測定部305は、端子1c、6c間の抵抗値を測定し、各摩耗検知用プリントライン1a~5aの摩耗を各々検知する。
【0064】
本実施形態の摩耗ゲージ本体部300の具体的な作用を説明すると以下の通りである。初期状態において摩耗ゲージ300の端子1c、6c間の電気的導通はプリントライン1を介する導通であり、その抵抗値は0である。
【0065】
そして、摩耗ゲージ300の一番摺動面に近い場所に位置する、摩耗検知用プリントライン1aが摩耗により消滅すると、摩耗ゲージ回路部の電気的導通は、プリントライン1を介する導通からプリントライン2及び抵抗体R2を介する導通となり、その抵抗値はr(Ω)となる。この端子1c、6c間の抵抗値が、r(Ω)となることを検知することにより、摩耗が開始したことを検知できる。
【0066】
次に、摩耗検知用プリントライン2aが摩耗により消滅すると、摩耗ゲージ回路部の電気的導通は、プリントライン2を介する導通からプリントライン3及び抵抗体R2、R3を介する導通となり、その抵抗値は2r(Ω)となる。この端子1c、6c間の抵抗値が、2r(Ω)となることを検知することにより、摩耗がL1進行したことを検知できる。
【0067】
同様にして、端子1c、6c間の抵抗値が、3r(Ω)となることを検知することにより、摩耗が、L2進行したことを検知でき、4r(Ω)となることを検知することにより、摩耗が、L3進行したことを検知でき、端子1c、6c間の導通が失われることにより、摩耗がL4進行したことが検知できる。
【0068】
なお、本実施形態の摩耗ゲージでは、リード線を2本設け、測定装置305に入力することとしているが、これに限られず、例えば、リード線の一方を機器本体にアースしてもよい。この方式によれば、測定装置305へ引き出すリード線を1本とすることができるため、より簡易なゲージへの配線とすることができる。
【0069】
以上説明したように、本発明の第3実施形態の摩耗ゲージによれば、第1実施形態及び代2実施形態の摩耗ゲージの効果に加えて、抵抗体を複数直列に取り付けることにより、摩耗ゲージからのリード線の数を減らすことができる。また、ゲージ使用前にゲージ本体の抵抗値が0Ωであることを確認することにより、ゲージの健全性を確認することができる。
【0070】
以上説明した、上記各実施形態は、様々な変更や改良が加えられて実施されうるものである。
【0071】
上記各実施形態の摩耗ゲージは、軸受の摩耗や、工作機械の切削工具や、自動車のタイヤ及びブレーキパッドや、一般機械の摺動部や、一般機械のクラッチ及びブレーキや、圧延機のロール等の摺動面の摩耗の検出が可能であり、また、長い軸(シャフト)の中央部、回転体等の触れ回りの計測(ギャップセンサー機能)や、鉄道レール等の摩耗の検出や、工作機械のガイドレール等の摺動部の摩耗の検出や、軸の軸方向(スラスト)の変位量の検出に広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1実施形態の摩耗ゲージの外観を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態の摩耗検知用プリントラインの他の形状を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態の摩耗ゲージと測定部との接続を表すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態の摩耗ゲージの産業機械への取り付けの一例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態の摩耗ゲージの外観を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態の摩耗ゲージのプリントラインの配置を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態の摩耗ゲージの外観を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態の摩耗ゲージのプリントラインの配置を示す図である。
【図9】本発明の第3実施形態の摩耗ゲージと測定部との接続を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
1~5:プリントライン
6:共通プリントライン
1a~5a:摩耗検知用プリントライン
100:摩耗ゲージ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8