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明細書 :磁気援用微細研磨装置及び磁気援用微細研磨方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4185987号 (P4185987)
公開番号 特開2007-136637 (P2007-136637A)
登録日 平成20年9月19日(2008.9.19)
発行日 平成20年11月26日(2008.11.26)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
発明の名称または考案の名称 磁気援用微細研磨装置及び磁気援用微細研磨方法
国際特許分類 B24B  37/00        (2006.01)
B24B  31/112       (2006.01)
FI B24B 37/00 D
B24B 31/112
請求項の数または発明の数 5
全頁数 16
出願番号 特願2005-337065 (P2005-337065)
出願日 平成17年11月22日(2005.11.22)
審査請求日 平成18年3月13日(2006.3.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
発明者または考案者 【氏名】吉原 佐知雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100117226、【弁理士】、【氏名又は名称】吉村 俊一
審査官 【審査官】筑波 茂樹
参考文献・文献 特開2001-252862(JP,A)
特開昭59-001160(JP,A)
特開2005-193319(JP,A)
特開平11-090815(JP,A)
特開2005-255881(JP,A)
特開2000-061810(JP,A)
特開2001-088014(JP,A)
特開昭52-013197(JP,A)
特開2003-200343(JP,A)
調査した分野 B24B 37/00
B24B 31/112
特許請求の範囲 【請求項1】
研磨対象物を保持する保持部材と、
前記保持部材に保持された研磨対象物の被研磨面に対向し、且つ該被研磨面との間に所定の間隙を設けて配置された第1の磁石と、
前記保持部材と前記第1の磁石とを、前記被研磨面にほぼ平行な仮想平面内で相対的に回転及び/又は水平振動させる第1の駆動手段と、
前記第1の磁石の、前記保持部材を挟んだ反対側に配置され、前記第1の磁石の極性と反対の極性をもつ第2の磁石と、
前記保持部材と前記第2の磁石とを前記被研磨面にほぼ平行な仮想平面内で相対的に回転及び/又は水平振動させる第2の駆動手段と、
前記被研磨面と前記第1の磁石との間隙に、磁性砥粒、磁性粒子を含有する研磨砥粒、及び磁性砥粒を含有する研磨スラリーから選ばれる研磨材を供給する研磨材供給手段と、
を少なくとも備え、
前記第1の磁石は、前記被研磨面に平行となるヨークからなる固定具に取り付けられたものであって、複数の磁石棒を前記被研磨面側の磁極が同じになるように配し且つ当該個々の磁石棒を互いに離間して配置した構造であることを特徴とする磁気援用微細研磨装置。
【請求項2】
前記磁性砥粒は、粒子表面に研磨粒子を分散含有する磁性めっき皮膜が形成されてなるものであることを特徴とする請求項に記載の磁気援用微細研磨装置。
【請求項3】
前記研磨対象物が、前記被研磨面に被研磨特性の異なる領域が混在するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気援用微細研磨装置。
【請求項4】
前記被研磨対象物が、金属線層のダマシン構造を含むウエハ又はプリント配線板作製用はんだペースト印刷用マスクであることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の磁気援用微細研磨装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載の磁気援用微細研磨装置を用いて行うことを特徴とする磁気援用微細研磨方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨対象物の被研磨面の微細研磨を可能とした磁気援用微細研磨装置及び方法に関し、更に詳しくは、被研磨特性の異なる領域が混在する被研磨面であっても、研磨の偏りを極力なくすことができる磁気援用微細研磨装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)の配線として、銅配線が適用される場合がある。この銅配線は、通常、ダマシン法と呼ばれる方法で形成されている。ダマシン法は、先ず、各ICの銅配線を施す部分に配線用溝(トレンチともいう。)を形成し、そのトレンチの深さを埋めるに足る厚さ以上の銅層をシリコンウエハの全面にめっき等の手段により形成し、その後、化学的機械的平坦化研磨(Chemical Mechanical Planarization: CMP)と呼ばれる化学的溶解と機械的研磨とを組み合わせた研磨方法により、シリコンウエハ全面に形成された銅層のうち余分な部分を除去し、上記トレンチ内に埋め込まれた銅のみを残して銅配線を形成する方法である。
【0003】
上記の化学的機械的平坦化研磨法(CMP法)は、例えばシリカ粒子を含んだ研磨液(スラリー)をウエハ表面に供給しながら、スピンドルに貼り付け若しくはチャッキングしたウエハの表面を、ポリッシングプレート表面の研磨パッドに接触させて研磨する方法であり、ウエハの被研磨面とポリッシングプレート表面とを直接に加圧接触させて摩擦し、ウエハの被研磨面を一括して研磨する方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、CMP法は剛体同士を直接加圧接触させて研磨する方法であるので、ウエハの歪み、ウエハ厚さの不均一、ウエハ保持具にウエハを固定した際の傾斜ばらつき、ポリッシングプレート表面の平面度の不足等、様々な不均等要因がウエハ表面の均等研磨に影響を及ぼし易いという問題がある。こうした問題に対しては、例えば、バフを利用して被研磨面との加圧圧力を均一にしたり、ウエハの被研磨面に研磨スラリーを均等に供給したりすることが行われているが、いずれにおいても、被研磨面に均等な圧力を加えてその被研磨面を均等に研磨することは困難であった。
【0005】
また、被研磨面内で圧力の不均等が存在すると、銅のような柔らかく展性のある金属が形成された表面では、部分的な圧延が生じる可能性もある。
【0006】
従って、上述したような従来のCMP法では、ウエハの被研磨面で均等な研磨を行うためには依然として多くの課題があり、被研磨面内で最も研磨が遅い部分が加工終点(例えば不要な銅が完全に除去された時点)に達するまで研磨を行えば、被研磨面内に過剰研磨が行われる部分が生じてしまうという問題がある。過剰研磨が行われた部分では、例えば銅が表面に出ている配線用トレンチ部分と、銅以外の例えば絶縁酸化物やバリア金属が表面に出ている部分とで被研磨特性が異なるため、配線用トレンチ内の銅まで研磨されて銅配線がやせ細り、CMP法の特徴である平坦さが損なわれる等の問題がある。
【0007】
更に、従来のCMP法では、被研磨面に強い摩擦圧力が加わるために、配線形成に利用される絶縁層等に亀裂等の破損が生じる恐れもあり、このため、例えば誘電率に関する所望の特性を有する有望な絶縁層素材が脆性等のために採用できない等の問題もある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、被研磨特性の異なる領域が混在する被研磨面であっても、研磨の偏りを極力なくすことができ、被研磨面の微細研磨を可能とする磁気援用微細研磨装置及び磁気援用微細研磨方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の磁気援用微細研磨装置は、研磨対象物を保持する保持部材と、前記保持部材に保持された研磨対象物の被研磨面に対向し、且つ該被研磨面との間に所定の間隙を設けて配置された第1の磁石と、前記保持部材と前記第1の磁石とを、前記被研磨面にほぼ平行な仮想平面内で相対的に回転及び/又は水平振動させる第1の駆動手段と、前記第1の磁石の、前記保持部材を挟んだ反対側に配置され、前記第1の磁石の極性と反対の極性をもつ第2の磁石と、前記保持部材と前記第2の磁石とを前記被研磨面にほぼ平行な仮想平面内で相対的に回転及び/又は水平振動させる第2の駆動手段と、前記被研磨面と前記第1の磁石との間隙に、磁性砥粒、磁性粒子を含有する研磨砥粒、及び磁性砥粒を含有する研磨スラリーから選ばれる研磨材を供給する研磨材供給手段と、を少なくとも備え、前記第1の磁石は、前記被研磨面に平行となるヨークからなる固定具に取り付けられたものであって、複数の磁石棒を前記被研磨面側の磁極が同じになるように配し且つ当該個々の磁石棒を互いに離間して配置した構造であることを特徴とする。

【0010】
この発明によれば、被研磨面と第1の磁石とが所定の間隙を設けて配置され、その間隙に上記研磨材を供給するように構成されているので、その間隙に供給された研磨材が、保持部材と第1の磁石との相対運動により被研磨面を研磨する。その結果、従来のCMP法のような直接加圧接触させずに被研磨面を研磨することができる。こうした本発明の磁気援用微細研磨装置は、ウエハの歪み、ウエハ厚さの不均一、保持部材にウエハを固定した際の傾斜ばらつき等のような、様々な不均等要因を有するウエハのような研磨対象物であっても、その被研磨面の均等研磨を実現することができ、例えば銅ダマシン配線の形成工程に、部分的な圧延等の変質を生じさせることなく適用することができる。また、同様な作用効果は、プリント配線板作製用はんだペースト印刷用マスクに対しても好ましく適用できる。

【0012】
この発明によれば、第2の磁石が保持部材を挟んで第1の磁石の反対側に配置されているので、保持部材を挟んで配置された2つの磁石(第1の磁石と第2の磁石)を保持部材に対して相対的に移動させることにより、保持部材と第1の磁石との間隙に供給される研磨材による均等な研磨効果を高めることができる。なお、第2の磁石の磁性と第1の磁石の磁性とが相互に逆磁性を構成することが好ましく、その結果、第1の磁石と第2の磁石とで構成されたNS場内での磁性砥粒による均等な研磨効果を高めることができる。また、第2の磁石の磁場を可変可能な電磁石とすることによって、磁性砥粒と被研磨面との間の摩擦を制御でき、均質な微細研磨を実現することも可能となる。
【0013】
この発明によれば、第2の磁石を第1の磁石と同期させるように移動してもよいし、第1の磁石と独立に移動してもよい。

【0015】
本発明の磁気援用微細研磨装置においては、前記磁性砥粒は、粒子表面に研磨粒子を分散含有する磁性めっき皮膜が形成されてなるものであることが好ましい。
【0016】
本発明の磁気援用微細研磨装置においては、前記研磨対象物が、被研磨面に被研磨特性の異なる領域が混在するものに対して好ましく適用される。例えば、その被研磨対象物が、金属線層のダマシン構造を含むウエハ又はプリント配線板作製用はんだペースト印刷用マスクであることが好ましい。
【0017】
上記課題を解決するための本発明の磁気援用微細研磨方法は、上記本発明の磁気援用微細研磨装置を用いて行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の磁気援用微細研磨装置又は方法によれば、被研磨面と第1の磁石とが所定の間隔を設けて配置され、その間隙に研磨材が供給されるように構成されているので、その間隙に供給された研磨材が、保持部材と第1の磁石との相対運動により被研磨面を研磨する。その結果、従来のCMP法のような直接加圧接触させずに被研磨面を研磨することができる。こうした本発明の磁気援用微細研磨装置又は方法は、ウエハの歪み、ウエハ厚さの不均一、保持部材にウエハを固定した際の傾斜ばらつき等の様々な不均等要因を有するウエハのような、硬度、展性、脆性又は化学的性質等に代表される被研磨特性が異なる微細領域が混在する被研磨面を、均一且つ良好な表面に研磨することができる。
【0019】
本発明の磁気援用微細研磨装置又は方法を銅ダマシン配線の形成工程に適用すれば、部分的な圧延等の変質の発生を防ぐことができ、また、配線用トレンチ内の銅配線が研磨されるのを防いで、平坦さが損なわれるのを防ぐことができる。また、被研磨面に強い摩擦圧力が加わらないので、配線形成に利用される絶縁層等に亀裂等の破損が生じる恐れがなく、例えば誘電率に関する所望の特性を有する有望な絶縁層素材を採用することも可能である。
【0020】
また、本発明の磁気援用微細研磨装置及び方法を銅ダマシン配線の形成方法に適用すれば、銅研磨工程において、ウエハ全面にわたって強い圧力を掛けることなく銅研磨を過不足なく行うことができるので、銅配線のやせ細り等を減少させることができる。その結果、IC製品の歩留向上、信頼性向上、それに伴うコストダウン、化学薬液の不使用による環境にやさしいプロセス等を実現することができる。
【0021】
また、従来の研磨法では被研磨面全面を一括研磨することしかできなかったが、本発明の磁気援用微細研磨装置及び方法によれば、第1の磁石の形状と、第1の磁石又は保持部材の移動とを組み合わせることにより、被研磨面の一部を選択的に研磨したり、被研磨面を掃引研磨したり一括研磨することもできる。
【0022】
また、本発明の磁気援用微細研磨装置又は方法の特徴である大きな押圧を伴わない研磨装置又は方法は、非常に薄い層の研磨を制御よく行うことができ、また、強い圧力による研磨法が適用できなかった素材に対する研磨を可能とすると共に、広範なナノレベル研磨への応用も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の磁気援用微細研磨装置及び方法について説明するが、本発明は、その技術的思想を有する限りにおいて、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の磁気援用微細研磨装置の一例を示す模式的な構成図である。図2は、本発明の磁気援用微細研磨装置の他の一例を示す模式的な部分構成図である。本発明の磁気援用微細研磨装置10は、図1に示すように、研磨対象物1を保持する保持部材12と、その保持部材12に保持された研磨対象物1の被研磨面2に対向し、且つその被研磨面2との間に所定の間隙Sを設けて配置された第1の磁石14と、保持部材12と第1の磁石14とを、被研磨面2にほぼ平行な仮想平面2a内で相対的に回転及び/又は水平振動させる第1の駆動手段16と、被研磨面2と第1の磁石14との間隙Sに、磁性砥粒、磁性粒子を含有する研磨砥粒、及び磁性砥粒若しくは前記研磨砥粒を含有する研磨スラリーから選ばれる研磨材5を供給する研磨材供給手段18とを少なくとも備えるものである。以下、各構成について詳しく説明する。
【0025】
(研磨対象物)
本発明に好ましく適用される研磨対象物1は、微細研磨が要求される各種のものを挙げることができ、被研磨面2に被研磨特性が異なる領域が混在するものであることが好ましい。例えば、金属線層のダマシン構造を含むウエハや、プリント配線板作製用はんだペースト印刷用マスク等を挙げることができる。また、被研磨面2全面を平面に加工せずに、一定の厚さだけ研磨する必要がある研磨対象物1に対しても好ましく適用することができる。こうした研磨対象物1の研磨は、従来のCMP法では不可能であったが、本発明の磁気援用微細研磨装置では可能となる。以上のような研磨対象物1を本発明の磁気援用微細研磨装置10で研磨すれば、被研磨面2の全域を過不足なく微細且つ平坦に研磨することができる。特に、シリコンウエハに銅ダマシン配線を形成する際の銅研磨工程や、プリント配線板作製用はんだペースト印刷用マスクの製造工程に好ましく適用することができる。
【0026】
(保持部材)
保持部材12は、研磨対象物1を保持する部材であり、第1の磁石14と所定の間隙Sを隔てて対向配置されている。その間隙Sは、研磨対象物1の種類や研磨形態、さらには、研磨材5の種類等によって任意に変化させることができるが、通常、0.05mmから5mmの範囲に調整される。この保持部材12には、研磨対象物1の被研磨面2が第1の磁石12側になるように保持される。
【0027】
保持部材12は、シリコンウエハ等のように被研磨面2の裏面が平担になっている研磨対象物1を保持する場合には、研磨対象物1に接する側の面(以下、保持面3という。)を平面状とすることができ、また、その保持面3が吸着用の真空孔や真空溝等の部分的凹所を有していてもよい。但し、保持面3に部分的凹所を設けた場合には、その保持面3が研磨対象物1を平らに保持できることが前提である。
【0028】
保持部材12への研磨対象物1の保持方法としては、保持部材12に研磨対象物1を接着剤等で貼り付ける方法や、保持部材12に形成された真空孔や真空溝で研磨対象物1を吸着させる方法等を挙げることができる。また、研磨対象物1が柱状又は円筒状の物体であり、被研磨面2がその末端面である場合や、その他不定形物体の端面である場合においては、保持部材12は、それらの物体の被研磨面以外の任意の部位を万力又は締付具等の把持手段によって保持してもよい。
【0029】
保持面3の広さは、研磨対象物1の最大寸法以上であることが望ましいが、研磨対象物1を歪みや変形なく保持することができれば、研磨対象物1の最大寸法未満であっても構わない。また、保持部材12の四辺には、高さ調整ネジ等の傾斜調整機構26を設けてもよく、その傾斜調整機構26により、保持部材12の表面傾斜を調整することができる。
【0030】
保持部材12は、手動又はモーターにより駆動する移動用ネジ又は摺動機構等の移動手段(図1には図示しない)より、第1の磁石14との対向方向(Z方向:図1では上下方向Z)に移動することができる。その移動は移動距離調整機構(図1には図示しない)により手動又は自動で制御され、保持部材12に保持される研磨対象物1の被研磨面2と、第1の磁石14との間の間隔Sを任意に調整することができる。また、移動距離調整機構は、被研磨面2と第1の磁石14との間隔Sを検出する検出機構(図1には図示しない)を有していてもよい。なお、この移動手段は、後述する第1の磁石14が備えている場合には省略してもよいし、保持部材12と第1の磁石14の両方が備えていてもよい。
【0031】
(第1の磁石)
第1の磁石14は、保持部材12に保持された研磨対象物1の被研磨面2に対向し、且つ被研磨面2との間に所定の間隙Sを設けて配置されている。こうして配置された第1の磁石14において、研磨対象物1に対向する側の極性はN極であってもS極であってもよい。
【0032】
第1の磁石14の種類としては、NdFeB磁石等の永久磁石を好ましく用いることができるが、電磁石を用いても構わない。
【0033】
第1の磁石14は、図1に示すような単一の磁石棒からなるものであってもよいし、図2に示すような複数の磁石棒からなるものであってもよい。複数の磁石棒で第1の磁石14を構成する場合には、被研磨面2側の磁極を同じにしてもよいし異なるようにしてもよい。
【0034】
複数の磁石棒を用い、被研磨面2側の磁極を同じにした場合には、図2に示すように、個々の磁石棒を互いに離隔して配置し、それらを固定具28で束ねた構造とすることが好ましい。こうした構造からなる第1の磁石14は、被研磨面2側の角部分の長さを実質的に長くすることができるので、磁性砥粒等の研磨材5を個々の磁石棒の端面の角部分(すなわち、磁石棒の端面の周長部分)により多く着磁させることができるという利点がある。また、複数の磁石棒を用い、被研磨面2側の磁極を交互に異なるように束ねてもよい。この場合には、図示しないが、個々の磁石棒の他端(研磨対象物1側ではない端部のこと。)のうち、異なる極性の磁極同士を一対ごとに又はまとめてヨークで接続することが好ましく、その結果、研磨対象物1側の磁性砥粒吸引力を強めることができる。
【0035】
第1の磁石14として電磁石を用いる場合には、電源(図1には図示しない)として直流電源を用いることが好ましい。直流電源は、各磁極の極性を固定することができ、磁性砥粒の吸引力を高めることができる。一方、交流電源は、磁極の極性が交互に変化するために磁性砥粒の吸引力の面では不利であり研磨効率が低下するものの、装置コストや運用コストの面からは有利である。
【0036】
また、図2に例示したように、被研磨面2に平行となる固定具28に複数の第1の磁石14を取り付けることができるが、そうした固定具28は、棒状又は筒状の非磁性体又は磁性体で構成できる。なお、上述のように、極性を同じくする複数の第1の磁石14にヨークを接合する場合には、ヨークを固定具28として利用することもできる。
【0037】
第1の磁石14は、手動又はモーターにより駆動する移動用ネジ又は摺動機構等の移動手段(図1には図示しない)により、保持部材12との対向方向(Z方向)に移動することができる。その移動は移動距離調整機構(図1には図示しない)により手動又は自動で制御され、第1の磁石14と、保持部材12に保持される研磨対象物1の被研磨面2との間の間隔Sを任意に調整することができる。また、移動距離調整機構は、第1の磁石14と、被研磨面2との間隔Sを検出する検出機構(図1には図示しない)を有していてもよい。なお、この移動手段は、上記保持部材12が備えている場合には省略してもよいし、保持部材12と第1の磁石14の両方が備えていてもよい。
【0038】
(第1の駆動手段)
第1の駆動手段16は、図1に示すように、保持部材12と第1の磁石14とを被研磨面2にほぼ平行な仮想平面2a内で相対的に回転及び/又は水平振動させる手段である。図1においては、この第1の駆動手段16は第1の磁石14が備えているが、保持部材12が備えていてもよいし、両方が備えていてもよい。
【0039】
先ず、保持部材12が第1の駆動手段を備えている場合について説明する。保持部材12は、手動又はモーターにより駆動する移動用ネジ又は摺動機構等の移動手段により、第1の磁石14との対向方向に直交する方向、すなわち保持部材12の保持面3に平行な方向(X方向及びY方向)に移動させることができる。そうした移動はXY移動機構により行うことができ、研磨対象物1の被研磨面2を第1の磁石14との対向位置に移動させることができる。
【0040】
保持部材12の移動により、研磨対象物1の被研磨面2が所定の位置に調整される。その後、第1の駆動手段が、保持部材12を回転又は水平振動させることにより、被研磨面2と第1の磁石14とが被研磨面2にほぼ平行な仮想平面2a内で相対的に回転又は水平振動する。
【0041】
保持部材12の回転は、図1では示さないが、保持部材12に直接付設したギアをモーターで駆動する回転機構や、保持部材12に接続したスピンドルをギア機構を介してモーターで駆動する回転機構等により行うことができ、被研磨面2と第1の磁石14とを、被研磨面2にほぼ平行な仮想平面2a内で相対的に回転させることができる。一方、保持部材12の水平振動については、モーターによる回転をカムにより直線振動に変換する振動手段により、被研磨面2と第1の磁石14とを、被研磨面2にほぼ平行な仮想平面2a内でX方向又はY方向の何れかの方向に、所定の振幅で直線振動させることができる。また、X方向とY方向の両方向同時に振動させ、楕円振動させることもできる。
【0042】
次に、図1に示すように、第1の磁石14が第1の駆動手段16を備えている場合について説明する。第1の磁石14は、手動又はモーターにより駆動する移動用ネジ又は摺動機構等の移動手段により、保持部材12との対向方向に直交する方向、すなわち保持部材12の保持面3に平行な方向(X方向及びY方向)に移動させることができる。そうした移動はXY移動機構により行うことができ、第1の磁石14を研磨対象物1の被研磨面2との対向位置に移動させることができる。
【0043】
第1の磁石14の移動により、第1の磁石14が被研磨面2に対向する所定の位置に調整される。その後、第1の駆動手段16が、図1に示すように、第1の磁石14を回転又は水平振動させることにより、第1の磁石14と被研磨面2とが被研磨面2にほぼ平行な仮想平面2a内で相対的に回転又は水平振動する。
【0044】
第1の磁石14の回転は、第1の磁石14に直接付設したギアをモーターで駆動する回転機構や、第1の磁石14に接続したスピンドルをギア機構を介してモーターで駆動する回転機構等の第1の駆動手段16により行うことができ、第1の磁石14と被研磨面2とを、被研磨面2にほぼ平行な仮想平面2a内で相対的に回転させることができる。一方、第1の磁石14の水平振動については、モーターによる回転をカムにより直線振動に変換する振動手段により、第1の磁石14と被研磨面2とを、被研磨面2にほぼ平行な仮想平面内でX方向又はY方向の何れかの方向に、所定の振幅で直線振動させることができる。また、X方向とY方向の両方向同時に振動させて楕円振動させることもできる。
【0045】
(研磨材供給手段)
研磨材供給手段18は、図1示すように、被研磨面2と第1の磁石14との間隙Sに、磁性砥粒、磁性粒子を含有する研磨砥粒、及び磁性砥粒若しくは研磨砥粒を含有する研磨スラリーから選ばれる研磨材5を供給するものである。研磨材供給手段18による研磨材5の供給は、被研磨面2と第1の磁石14との間隙Sに直接供給してもよいし、その間隙Sの近傍に供給してもよい。
【0046】
研磨材供給手段18としては、適量の研磨材5を噴射又は滴下することができる供給手段を挙げることができる。具体的には、非磁性体又は不透磁性からなるノズルを有するものを挙げることができる。研磨材5の噴射量や滴下量、またその噴射時間や滴下時間は、ノズルに連設された導管途中に設けた電磁弁の開閉調整により制御することができる。こうした研磨材供給手段18は、第1の磁石14の側面に沿わせて設けてもよいし、第1の磁石14自体に導孔を設けて第1の磁石14に一体に形成してもよいし、第1の磁石14の磁力の影響が比較的小さい位置に配置してもよい。
【0047】
研磨材供給手段18には、研磨材5を貯蔵する貯蔵タンクが連設されている。その貯蔵タンクは、内容量や組成濃度を検出して、その内容量や組成濃度を常に一定に保つ調整補給システムを備えていることが望ましい。内容量や組成濃度の検出は、電気的な検出装置であっても光学的な検出装置であってもよい。研磨材5の噴射量や滴下量、またその噴射時間や滴下時間は、上記導管途中に設けた電磁弁の開閉調整の他、貯蔵タンクからノズルの送る導管に設けられた送出圧力弁の開閉調整によっても制御することができる。
(研磨材)
研磨材5としては、磁性砥粒、磁性粒子を含有する研磨砥粒、又は、磁性砥粒若しくは研磨砥粒を含有する研磨スラリー等を挙げることができる。
【0048】
磁性砥粒としては、研磨対象物1よりも高い硬度の磁性粉体や、研磨対象物1よりも高い硬度の非磁性粉体と磁性体とを一体化した複合粉体等を挙げることができる。後者の複合粉体の例としては、粒子表面に研磨粒子を分散含有する磁性めっき皮膜が形成されてなるものを挙げることができる。一例として挙げれば、例えば図3に示すように、直径が約10μm程度の微小なプラスチックボール34の表面に、ダイヤモンド微粒子36を分散含有したニッケル・コバルトめっき皮膜38を設けてなる磁性砥粒32を例示することができるが、この形態に限定されないことは言うまでもない。なお、磁性砥粒の素材、寸法、形状等は、所望の研磨速度、スラリーにする場合の溶媒液体の性質、研磨対象物1の被研磨面2における微細構造の寸法形状等に応じて適宜選択決定できる。
【0049】
研磨材5は、従来のCMP法と同様の化学的薬液の併用を妨げるものではないが、必ずしも薬液は必要としない。
【0050】
(バフ)
第1の磁石14の、被研磨面2に対向する側の先端には、バフ24を有するように構成してもよい。バフ24は、第1の磁石14の先端に接着剤で貼付して設けてもよいし、第1の磁石14の先端に当該磁石の磁気吸引力で着磁して設けてもよい。図4は、バフ24が設けられた第1の磁石14の一例を示す模式的な断面図である。
【0051】
バフ24としては、繊維からなるものであって、磁性砥粒を分散含有する無電解めっき皮膜で被覆されてなるものを好ましく挙げることができる。こうして設けられたバフ24により、第1の磁石14の磁気吸引力により着磁する磁性砥粒の保持性を向上させることができ、その結果、被研磨面2と第1の磁石14との間に働く研磨作用を均等に行うことができる。また、バフ24の素材が繊維で構成されていることから、緩衝作用も併せ持つことができ、研磨作用をより均等に行うことができる。
【0052】
バフ24の利用に伴う磁性砥粒の保持性の向上効果は、磁性砥粒の消費量の節減に寄与することができる。また、磁性砥粒の凝集による巨大粒子化を防いで磁性砥粒の過剰な供給を防ぐことができ、その結果、被研磨面2の荒れを効果的に防止することができる。
【0053】
また、被研磨面2と第1の磁石14との間に働く研磨作用の均等効果は、バフ24の存在により、研磨圧が分散して均等になることによるものである。また、被研磨面2と第1の磁石14との間に働く研磨作用の緩衝効果は、磁性砥粒が多少凝集して巨大粒子化が生じた場合にも有効であるが、この効果は、バフ24を構成する繊維素材に由来するものである。
【0054】
バフ24に形成された分散めっき皮膜中の磁性砥粒は、研磨中、横方向の力が主に加わる。そのため、バフ24のクッション性と相俟って、浮遊砥粒よりも被研磨面2に対する当たりが柔らかく、表面状態の良好な精密仕上げ研磨を可能とする。なお、バフ24と被研磨面2との間隔S’は、被研磨面2の脆弱性等に配慮して決定することが好ましく、例えば、僅かな間隔S’としてもよいし、ほぼ接触した状態としてもよいし、バフ24のクッション性を失わない範囲で被研磨面2に軽く押しつけた状態としてもよい。
【0055】
(第2の磁石)
第2の磁石22は、必要に応じて、第1の磁石14側からみて保持部材12を挟んだ反対側に設けることができる。この第2の磁石22を設ける場合には、保持部材12を挟んで、第1の磁石14とほぼ対向する位置に配置することが望ましい。また、第2の磁石22は、保持部材12に密着して設けてもよいし、保持部材12から離して設けてもよい。
【0056】
第2の磁石22は、上記第1の磁石14と同様、単一の磁石棒からなるものであってもよいし、複数の磁石棒からなるものであってもよい。また、第2の磁石22の種類としては、上記の第1の磁石14と同様、NdFeB磁石等の永久磁石を好ましく用いることができるが、電磁石を用いても構わない。なお、第2の磁石22の極性は、第1の磁石14の極性と反対であることが望ましいが、第2の磁石22及び/又は第1の磁石14に電磁石を用いる場合には、第2の磁石22の極性は、第1の磁石14の極性と同じであっても反対であっても構わない。
【0057】
第1の磁石14が異なる極性の磁石棒を束ねた構成である場合には、第2の磁石22の極性はいずれの極性としてもよいし、第2の磁石22を異なる極性の磁石棒を束ねた構成としてもよい。また、保持部材12自体を第2の磁石22としてもよいし、着磁可能な材料で形成した保持部材12に第2の磁石22を着磁させて配置することもできる。また、保持部材12を透磁性材料で形成し、その保持部材12から所定の間隔を隔てて第2の磁石22配置することもできる。
【0058】
第2の磁石22の保持部材側の磁極には、第1の磁石14を構成する磁石棒の他端(研磨対象物1側ではない端部のこと。)をヨークで接続することが好ましく、その結果、第1の磁石14の磁性砥粒の吸引力を強めることができる。
【0059】
第2の磁石22も上記第1の磁石14と同様、手動又はモーターにより駆動する移動用ネジ又は摺動機構等の移動手段により、保持部材12との対向方向(Z方向)に移動することができる。その移動は移動距離調整機構により手動又は自動で制御され、第2の磁石14と保持部材12との間の間隔を任意に調整することができる。また、移動距離調整機構は、第2の磁石22と被研磨面2との間隔を検出する検出機構を有していてもよい。なお、この移動手段は省略してもよい。
【0060】
(第2の駆動手段)
第2の駆動手段42は、保持部材12と第2の磁石22とを被研磨面2にほぼ平行な仮想平面2a内で相対的に回転等させる手段である。特にこの第2の駆動手段42は、第1の磁石14の動きに対して、適宜同期させ、時間差を与え、又は非同期に動作させることが好ましい。
【0061】
第2の磁石22は、手動又はモーターにより駆動する移動用ネジ又は摺動機構等の移動手段により、保持部材12との対向方向に直交する方向、すなわち保持部材12の保持面に平行な方向(X方向及びY方向)に移動させることができる。そうした移動はXY移動機構により行うことができ、第2の磁石22を第1の磁石14の対向位置に移動させることができる。
【0062】
第2の磁石22は、第2の磁石22に直接付設したギアをモーターで駆動する回転機構や、保持部材12に接続したスピンドルをギア機構を介してモーターで駆動する回転機構等の第2の駆動手段42により、第1の磁石14に同期させて又は同期させないで回転等させることができる。
【0063】
(他の構成)
第1の磁石14及び/又は第2の磁石22として電磁石を用いる場合において、電磁石の磁極変換周波数を適宜選択することにより、第1の磁石14と第2の磁石22とを同期させ、又は時間差を与え、又は非同期にすることができる。こうした態様で動作させることにより、研磨中の磁性砥粒の挙動モードを適宜選択することができ、所望の研磨状態を得ることができる。
【0064】
また、第1の磁石14及び/又は第2の磁石22として複数の電磁石を束ねたもの用いる場合においても、上記同様、束ねた電磁石を構成する個別磁石の磁極変換周波数を適宜選択することにより、第1の磁石14と第2の磁石22について、個別の磁石毎に同期させ、又は時間差を与え、又は非同期にすることができる。こうした態様で動作させることにより、研磨中の磁性砥粒の挙動モードを適宜選択することができ、所望の研磨状態を得ることができる。
【0065】
本発明の磁気援用微細研磨装置10は、被研磨面2と第1の磁石14の間隙Sに位置する研磨対象となる部分を視野に収めることができる非接触光学検知手段(図1では図示しない)を備えていることが好ましい。そうした非接触光学検知手段は、被研磨面2表面の反射率又は屈折率等の光学特性を検出することができ、その結果、被研磨面2を形成する材料を特定することも可能となる。
【0066】
また、本発明の磁気援用微細研磨装置10は、非接触光学検知手段で取得したデータを予め設定した基準値と比較処理する制御手段を備えていることが好ましい。この制御手段は、非接触光学検知手段で取得したデータを予め設定した基準値と比較処理することにより、(i)第1の磁石14と被研磨面2との3次元的な相対位置関係の調整や決定、(ii)第2の磁石22と被研磨面2の3次元的な相対位置関係の調整や決定、(iii)研磨終点に達したか否かの判定、(iv)研磨の継続の決定、(v)研磨の停止の決定、(vi)磁性砥粒の供給量調整、(vii)第1の磁石14、第2の磁石22又は被研磨面について、動作モード、回転速度、振動速度、振幅等の調整や決定等、各種の動作制御を行うようにすることが可能である。本発明の磁気援用微細研磨装置は、こうした制御手段よりなる総合制御システムが設けられていることが望ましい。
【0067】
また、第2の磁石22が設けられる場合には、第2の磁石22と保持部材12との3次元的な相対位置関係を検出又は計測できる位置検出手段を備えていることが好ましい。こうした位置検出手段は、機械的であっても、光学的であっても、電気的であってもよい。また、この場合、その位置検出手段から取得されたデータを予め設定した基準値と比較処理する制御手段を備えていることが好ましい。
【0068】
以上説明したように、本発明の磁気援用微細研磨装置又は方法によれば、被研磨面2と研磨砥粒との間に働く主たる力は、第1の磁石14に着磁した個々の磁性砥粒や連鎖状の磁性砥粒が第1の磁石14と被研磨面2の相対運動に伴って被研磨面2上を高速で引きずられて擦過しながら動く際に、被研磨面2に衝突する個々の磁性砥粒の質量と速度による瞬間的な衝撃力であることに特徴がある。
【0069】
個々の磁性砥粒が被研磨面2に衝突する衝撃力は、磁性砥粒の質量や硬さ、衝突時の速度等で定まり、研磨速度は、前記衝撃力を生じさせる磁性砥粒の密度とその衝撃力の平均の関数となる。また、磁性砥粒の速度は、第1の磁石14の動きへの追従で定まり、従って、第1の磁石14と個々の磁性砥粒との結合力(磁気吸引力)の強さに依存する。
【0070】
具体的には、被研磨面2に衝撃を与えた磁性砥粒が第1の磁石14から一旦離脱しないだけの結合力があれば、第1の磁石14の移動速度で次々と衝撃を与えることができるので、衝撃力の総和、すなわち研磨力は最大になる。しかしながら、被研磨面2に衝撃を与えた磁性砥粒が第1の磁石14から離脱すれば、次の待機中の磁性砥粒が第1の磁石14に着磁し、第1の磁石14の移動速度に達して被研磨面2に衝撃を与えるのにタイムラグが生じる。その結果、衝撃力の総和が下がり、研磨力が低下する。従って、磁性砥粒が第1の磁石14から離脱しない程度の強い磁気吸引力が望ましく、上述したバフ利用による保持力の向上も、この現象に対して効果がある。
【実施例】
【0071】
図5は、本発明の磁気援用微細研磨装置の実施形態を示す構成図であり、集積回路製造工程の銅ダマシン配線工程におけるシリコンウエハに設けられた銅表面を研磨する装置の例である。なお、本発明は、上記本発明の特徴を有する範囲において、以下に具体的に示した例に限定されるものではない。
【0072】
図5に示す磁気援用微細研磨装置51は、シリコンウエハ1aを搭載するウエハステージ52と、ウエハステージ52の中央下部に設けられた真空供給システム56と、ウエハ位置移動ステージ61と、ウエハ位置移動システム62と、ウエハステージ52の上部にシリコンウエハ1aから離間した位置に設けられた第1の磁石67と、第1の磁石の回転スピンドル68と、第1の磁石の回転システム69と、第1の磁石の振動用ステージ70と、第1の磁石の振動システム71と、第1の磁石の位置移動用ステージ72と、第1の磁石の位置移動システム73と、研磨スラリー供給システム74と、を有している。
【0073】
ウエハステージ52は、ウエハ搭載円盤53と、ウエハ搭載円盤53の直下に僅かな間隙を隔てて設けられた第2の磁石55と、それらを包むシリンダー状の筐体とで構成されている。このウエハステージ52には、研磨スラリーの飛散を防ぐ装置カバー78や、使用済みスラリー又は余剰スラリーの回収トレイ79が設けられていてもよい。
【0074】
ウエハ搭載円盤53は、透磁性を有する材料で形成されており、研磨対象物であるシリコンウエハ1aよりも大きな直径で形成されている。このウエハ搭載円盤53には、真空吸着孔54が所定の間隔で設けられ、その真空吸着孔54で吸着されたシリコンウエハ1aが搭載されている。なお、真空吸着孔54は、ウエハ搭載円盤53を貫通する複数の微小孔である。
【0075】
第2の磁石55は、ウエハ搭載円盤53と同じ直径のNdFeB永久磁石で構成されている。第2の磁石55の外縁部分には、第2の磁石55を貫通する真空導入孔が設けられており、その真空導入孔は上記の真空吸着孔54に通じている。
【0076】
真空供給システム56は、ウエハステージ52の中央下部に設けられ、真空取入口に接続される真空配管57と、電磁開閉弁58と、真空解除バルブ59と、真空ポンプと60を有している。
【0077】
ウエハ位置移動ステージ61は、ウエハ位置移動システム62により、ウエハ被研磨面にほぼ平行な仮想平面内でウエハステージ52を回転させたり、XY方向に移動させたりすることができるステージである。さらに、このウエハ位置移動ステージ61は、ウエハ被研磨面の傾斜を調整することもできる。
【0078】
ウエハ位置移動システム62は、ウエハ位置移動ステージ61の中心軸に接続したウエハステージ回転スピンドル63と、X方向及びY方向の適切な水平位置に接続された水平移動用ネジ64と、ウエハ位置移動ステージ61の四隅に設けたステージ傾斜調整ネジ65と、それらを動作させる制御モーター66とを有している。
【0079】
第1の磁石67は、ウエハステージ52の上部にシリコンウエハ1aから離間した位置に設けられている。この第1の磁石67は、上述した第2の磁石55の磁極と反対の極性を有したNdFeB永久磁石で構成されている。
【0080】
この第1の磁石67は、第1の磁石を保持する保持機構を先端に有する回転スピンドル68と、その回転スピンドル68の回転を制御する回転システム69とにより駆動する。回転システム69は、モーターの起動、停止、回転速度の設定や制御を行う。
【0081】
第1の磁石の振動用ステージ70は、回転スピンドル68と回転システム69とを保持し、第1の磁石67をウエハ研磨平面に沿って所定の振幅でX方向又はY方向に直線振動させ又はその両方向に同時に振動する楕円振動させるためのステージである。この振動用ステージ70は、X方向及びY方向の適切な位置に接続されたカム機構、スプリング、カム回転用モーター等よりなる振動システム71によって直線振動又は楕円振動する。
【0082】
第1の磁石の位置移動用ステージ72には、振動用ステージ70と振動システム71とが取り付けられており、第1の磁石67をウエハ被研磨面に沿ったX方向、Y方向及びウエハ被研磨面に垂直なZ方向に移動させる。
【0083】
第1の磁石の位置移動システム73は、位置移動用ステージ72のX方向、Y方向及びZ方向の適切な位置に接続された移動用ネジ並びに移動用ネジを回転させる制御モーターよりなるシステムである。
【0084】
研磨スラリー供給システム74は、研磨対象であるシリコンウエハ1a上の研磨領域に磁性砥粒を含む研磨用スラリーを供給するためのシステムであり、研磨スラリータンク、研磨スラリーをタンクより送出するポンプ、スラリー輸送配管、先端ノズル、先端ノズルを研磨領域の位置に保持する保持具等で構成されている。
【0085】
なお、上記磁気援用微細研磨装置51には、さらに、表面観察装置75や表面観察視野移動システム76が好ましく設けられる。表面観察装置75は、ウエハ研磨面全域の表面状態を観察する装置であり、表面観察視野移動システム76は、表面観察装置75のX方向、Y方向及びZ方向の適切な位置に接続された移動用ネジ並びに移動用ネジを回転させる制御モーターよりなるものである。
【0086】
次に、本発明の磁気援用微細研磨装置51の操作例について説明する。
【0087】
(1)先ず、研磨対象物であるシリコンウエハ1aの被研磨面を上にしてウエハステージ52上に置き、真空ポンプ60を起動した後に真空配管67の電磁開閉弁68を開き、ウエハ裏面をウエハステージ52に吸着して固定する。(2)次に、ウエハ位置移動システム62によりウエハ位置移動ステージ61を動かして、シリコンウエハ1aの第1の磁石67に対する傾きを調整し、ウエハ被研磨面と第1の磁石67の先端の間隙がシリコンウエハ1a又は第1の磁石67の移動によって変化しないようにする。さらに、シリコンウエハ1aを回転又はXY方向に移動して、第1の磁石67がウエハ研磨の最初の位置にくるよう調整する。(3)次に、第1の磁石の位置移動システム73により、第1の磁石の位置移動用ステージ72を上下に動かして、第1の磁石67の先端とウエハ被研磨面との間隔を適正な距離に設定する。(4)次に、研磨スラリー供給システム74により、シリコンウエハ1a上の研磨領域と第1の磁石との間隙に磁性砥粒を含む研磨用スラリーをノズルから適量供給する。(5)次に、第1の磁石の回転システム69により、第1の磁石の回転スピンドル68の先端に保持された第1の磁石67を回転させるのと同時に、第1の磁石の振動システム71により、第1の磁石67を予め設定した振幅及び方向で振動させる。(6)次に、所定の厚さの研磨を行うために、予め設定した時間だけ第1の磁石67を回転及び振動させて研磨を行う。その後、第1の磁石の位置移動システム73により、第1の磁石の位置移動用ステージ72を予め設定した距離だけX方向又はY方向に動かして、第1の磁石67の先端をシリコンウエハ1a上の次の研磨位置に来るように調整してから、上述の(4)から(6)までの作業工程を繰り返す。
【0088】
(7)次に、シリコンウエハ1a上の全研磨領域について、上述の(4)から(6)までの作業工程を終えた後、第1の磁石の回転システム69及び第1の磁石の振動システム71を停止して、第1の磁石の位置移動システム73により第1の磁石の位置移動用ステージ72を動かして第1の磁石67をウエハ領域外に待避させると共に、表面観察視野移動システム77により表面観察装置76の視野をシリコンウエハ1a上に移動して、ウエハ全表面の研磨状態を観察する。(8)ウエハ表面観察の結果、研磨不足の領域を発見した場合には、表面観察視野移動システム77により表面観察装置76をウエハ領域外に待避させ、その研磨不足領域に対して上述の(4)から(8)までの作業工程を繰り返す。(9)最後に、シリコンウエハ1a上の全ての研磨領域が十分に研磨されたことを確認した後、真空配管57の電磁開閉弁68を閉じ、同じく真空配管57の電磁開閉弁68より末端側に設けた真空解除バルブ59を開き、シリコンウエハ1aをウエハステージ52からとり外して研磨工程を完了する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の磁気援用微細研磨装置の一例を示す模式的な構成図である。
【図2】本発明の磁気援用微細研磨装置の他の一例を示す模式的な部分構成図である。
【図3】本発明に適用される研磨材の一例を示す模式的な断面図である。
【図4】バフが設けられた第1の磁石の一例を示す模式的な断面図である。
【図5】本発明の磁気援用微細研磨装置の実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0090】
1 研磨対象物
1a シリコンウエハ
2 被研磨面
2a 仮想平面
3 保持面
5 研磨材
10 磁気援用微細研磨装置
12 保持部材
14 第1の磁石
16 第1の駆動手段
18 研磨材供給手段
22 第2の磁石
24 バフ
26 傾斜調整機構
28 固定具
32 磁性砥粒
34 プラスチックボール
36 ダイヤモンド微粒子
38 めっき皮膜
42 第2の駆動手段
51 磁気援用微細研磨装置
52 ウエハステージ
53 ウエハ搭載円盤
54 真空吸着孔
55 第2の磁石円盤
56 真空供給システム
57 真空配管
58 電磁開閉弁
59 真空解除バルブ
60 真空ポンプ
61 ウエハ位置移動用ステージ
62 ウエハ位置移動システム
63 ウエハステージ回転スピンドル
64 ウエハステージ水平移動用ネジ
65 ウエハステージ傾斜調整ネジ
66 制御モーター
67 第1の磁石
68 第1の磁石の回転スピンドル
69 第1の磁石の回転システム
70 第1の磁石の振動用ステージ
71 第1の磁石の振動システム
72 第1の磁石の位置移動用ステージ
73 第1の磁石の位置移動システム
74 研磨スラリー供給システム
75 先端ノズル
76 表面観察装置
77 表面観察視野移動システム
78 装置カバー
79 回収トレイ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4