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明細書 :外観検査装置、外観検査方法、外観検査プログラム及びそれを記録した情報記録媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4810659号 (P4810659)
公開番号 特開2007-248325 (P2007-248325A)
登録日 平成23年9月2日(2011.9.2)
発行日 平成23年11月9日(2011.11.9)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
発明の名称または考案の名称 外観検査装置、外観検査方法、外観検査プログラム及びそれを記録した情報記録媒体
国際特許分類 G01N  21/88        (2006.01)
G06T   1/00        (2006.01)
FI G01N 21/88 Z
G06T 1/00 300
請求項の数または発明の数 7
全頁数 20
出願番号 特願2006-073755 (P2006-073755)
出願日 平成18年3月17日(2006.3.17)
審査請求日 平成21年2月23日(2009.2.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
発明者または考案者 【氏名】尾崎 功一
個別代理人の代理人 【識別番号】100117226、【弁理士】、【氏名又は名称】吉村 俊一
審査官 【審査官】豊田 直樹
参考文献・文献 特開2006-047102(JP,A)
特開平06-235702(JP,A)
特開平01-316647(JP,A)
特開平08-152417(JP,A)
特開平07-012747(JP,A)
特開2005-291844(JP,A)
特開平08-101132(JP,A)
特開2001-013083(JP,A)
特開昭63-201556(JP,A)
特開平05-072141(JP,A)
調査した分野 G01N 21/84 - 21/958
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の軸に基づいて軸対象となる形状を有する被検査物を撮像カメラ装置によって撮像し、当該撮像された画像データに基づいて前記被検査物の外観検査を行う外観検査システムであって、
前記所定の軸に基づいて前記被検査物を前記撮像カメラ装置に対して相対的に回転させる回転装置と、
前記回転手段における回転に連動して所定の回転角度毎に前記被検査物を前記所定の軸方向から撮像する前記撮像カメラ装置と、
前記撮像カメラ装置から出力された各画像データ毎に、所与の画像データと当該所与の画像データの一つ前の回転角度にて撮像された画像データとに基づいて、画像を構成する各画素における輝度を基準として、前記被検査物の検査対象となる対象領域における画像間の差分の画像を示す差分画像を生成する画像生成手段と、
生成された前記差分画像における各画素の輝度を画素毎に総和して総和画像を算出する総和画像算出手段と、
前記総和画像に基づいて輝度変化を有する画素数を検出する検出手段と、
前記検出された画素数に基づいて前記被検査物の外観上における欠陥の有無を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする外観検査システム。
【請求項2】
請求項1に記載の外観検査システムにおいて、
前記画像生成手段が、前記差分画像を生成する際に、前記被検査物の検査の非対象となる非対象領域に属する画像の輝度成分の検出を不能にするためのフィルタ処理を行うことを特徴とする外観検査システム。
【請求項3】
請求項1に記載の外観検査システムにおいて、
前記画像生成手段が、前記差分画像を生成する際に、前記対象領域を複数の領域に分け、各領域毎に、当該対象領域に属する画像の輝度成分における検出すべき輝度レベルを調整するためのフィルタ処理を行うことを特徴とする外観検査システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の外観検査システムにおいて、
前記判定手段が、前記各回転角度の画像データ全てにおける前記対象領域に属する総画素数と検出された画素数の比率に基づいて前記被検査物の外観上における欠陥の有無を判定することを特徴とする外観検査システム。
【請求項5】
所定の軸に基づいて軸対象となる形状を有する被検査物を撮像カメラ装置によって撮像し、当該撮像された画像データに基づいて前記被検査物の外観検査を行う外観検査方法であって、
前記所定の軸に基づいて前記被検査物を前記撮像カメラ装置に対して相対的に回転装置を回転させる回転制御工程と、
前記回転手段における回転に連動して所定の回転角度毎に前記被検査物を前記所定の軸方向から前記撮像カメラ装置によって撮像させる撮像制御工程、
前記撮像カメラ装置から出力された各画像データ毎に、所与の画像データと当該所与の画像データの一つ前の回転角度にて撮像された画像データとに基づいて、画像を構成する各画素における輝度を基準として、前記被検査物の検査対象となる対象領域における画像間の差分の画像を示す差分画像を生成する画像生成工程と、
生成された前記差分画像における各画素の輝度を画素毎に総和して総和画像を算出する総和画像算出工程と、
前記総和画像に基づいて輝度変化を有する画素数を検出する検出工程と、
前記検出された画素数に基づいて前記被検査物の外観上における欠陥の有無を判定する判定工程と、を含むことを特徴とする外観検査方法。
【請求項6】
コンピュータによって、所定の軸に基づいて軸対象となる形状を有する被検査物を撮像カメラ装置によって撮像し、当該撮像された画像データに基づいて前記被検査物の外観検査を行う外観検査プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記所定の軸に基づいて前記被検査物を前記撮像カメラ装置に対して相対的に回転装置を回転させる回転制御手段、
前記回転手段における回転に連動して所定の回転角度毎に前記被検査物を前記所定の軸方向から前記撮像カメラ装置によって撮像させる撮像制御手段、
前記撮像カメラ装置から出力された各画像データ毎に、所与の画像データと当該所与の画像データの一つ前の回転角度にて撮像された画像データとに基づいて、画像を構成する各画素における輝度を基準として、前記被検査物の検査対象となる対象領域における画像間の差分の画像を示す差分画像を生成する画像生成手段、
生成された前記差分画像における各画素の輝度を画素毎に総和して総和画像を算出する総和画像算出手段、
前記総和画像に基づいて輝度変化を有する画素数を検出する検出手段、
前記検出された画素数に基づいて前記被検査物の外観上における欠陥の有無を判定する判定手段、
として機能させることを特徴とする外観検査プログラム。
【請求項7】
コンピュータに読み取り可能な情報記憶媒体であって、請求項6に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする情報記憶媒体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の表面状態を検査する外観検査装置等に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、部品などの他の部品とともに完成品に組み込まれる製品においては、接着や接合などによって他の部品又は完成品に取り付けられるようになっており、その構造及び形状の精度だけでなく、微細な表面上の傷さえも取り付けに影響を与えるため、これらの製品において、傷などの欠陥の無く、品質が高いことが要求されている。
【0003】
特に、最近では、回転軸に基づいてその軸対象となる形状を有する物体(以下、「検査対象」という。)の外観検査を行う場合には、検査対象に対し、その上方から光源により照明した状態の下で、中心軸方向から撮像カメラによって、その検査対象を撮像し、当該撮像された静止画面に基づいて外観検査を行う検査装置が知られている。
【0004】
具体的には、この検査装置は、撮像された静止画面に対して所定の処理を行い、当該検査対象の表面における汚れ、凹み、傷などの欠陥の有無を検査するようになっており、当該検査結果に基づいて、検査対象の良否の判定を行なうようになっている(例えば、特許文献1)。

【特許文献1】特開平5-72141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の検査装置であっては、検査の判定を行う基準となる画像が静止画像であるため、当該撮像された静止画像にノイズが包含されている場合には、的確に検査を行うことができない。
【0006】
また、この検査装置は、撮像された画像に対して画像を構成する各画素毎にその輝度を二値化し、二値化された各画素の輝度に基づいて表面上の欠陥の有無を検出するようになっており、画像を撮像する際の照明条件が厳しく要求されるので、すなわち、照明条件によって二値化する際の輝度値が変化してしまうため、環境の変化に弱く、絶対的な検査環境が必要となる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、撮像された複数の画像に基づいて、各画素の輝度を相対的な変化として捉え、環境変化に強く、的確に検査対象の良否を判定することが可能な外観検査システムなどを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、所定の軸に基づいて軸対象となる形状を有する被検査物を撮像カメラ装置によって撮像し、当該撮像された画像データに基づいて前記被検査物の外観検査を行う外観検査システムであって、前記所定の軸に基づいて前記被検査物を前記撮像カメラ装置に対して相対的に回転させる回転装置と、前記回転手段における回転に連動して所定の回転角度毎に前記被検査物を前記所定の軸方向から撮像する前記撮像カメラ装置と、前記撮像カメラ装置から出力された各画像データ毎に、所与の画像データと当該所与の画像データの一つ前の回転角度にて撮像された画像データとに基づいて、画像を構成する各画素における輝度を基準として、前記被検査物の検査対象となる対象領域における画像間の差分の画像を示す差分画像を生成する画像生成手段と、前記生成された各差分画像に基づいて輝度変化を有する画素数を検出する検出手段と、前記検出された画素数に基づいて前記被検査物の外観上における欠陥の有無を判定する判定手段と、を備える構成を有している。
【0009】
この構成により、請求項1に記載の発明は、各画像データ毎に、画素における輝度を基準として、対象領域における差分画像を生成し、当該各差分画像に各画素の輝度に基づく相対的な変化を現すことができるので、対象領域に傷や埃などの異常がある場合には、当該異常がある部分の画素における輝度のみが変化することとなり、対象領域の異常を各画素の輝度の相対的な変化として検出することができる。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明は、被検査物の外観を撮像した1枚の画像に基づいてのみ検査を行うのではなく、差分画像を生成することによって画像間の輝度差を見つけ出し、被検査物の一様でない部分を特定するので、絶対値を基準とした画像処理ではなく、相対値を基準とした画像処理を実行することができる。
【0011】
したがって、請求項1に記載の発明は、相対的に変化する輝度に基づいて、被検査物の外観上における欠陥の有無を判定することができるので、各画像の撮像中に、照明環境など検査上の環境の変化があったとしても、当該検査結果には、影響を与えることなく、的確に検査対象の良否を判定することができる。
【0012】
この結果、請求項1に記載の発明は、検査環境を厳しく整えることが不要となり、設置が容易であるとともに、検査状況を検査者に容易に視認させることができるので、環境変化に強く、かつ、設置環境に柔軟性を持たせることができ、設置環境を整備するためのコストを軽減させることができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検査システムにおいて、前記画像生成手段が、前記差分画像を生成する際に、前記被検査物の検査の非対象となる非対象領域に属する画像の輝度成分の検出を不能にするためのフィルタ処理を行うことを特徴とする構成を有している。
【0014】
この構成により、請求項2に記載の発明は、的確に検査対象のみに基づいて差分画像を生成することができ、非対象領域などの影響を受けることがないので、的確に被検査物の良否を判定することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の検査システムにおいて、前記画像生成手段が、前記差分画像を生成する際に、前記対象領域を複数の領域に分け、各領域毎に、当該対象領域に属する画像の輝度成分における検出すべき輝度レベルを調整するためのフィルタ処理を行う構成を有している。
【0016】
この構成により、請求項3に記載の発明は、対象領域において、輝度を検出する際の感度という概念を導入し、差分画像を構成する各画素において、輝度変化として検出される輝度レベルを各領域毎に設定することができる。
【0017】
したがって、請求項3に記載の発明は、対象領域において傷や埃などの異常を発見し難い、すなわち、輝度の変化を検出しにくい領域においては、感度を上げ、また、当該対象領域において、傷や埃などの異常を発見しやすい、すなわち、輝度の変化を検出しやすい領域においては、感度を下げるなど、各領域毎に輝度を検出する際の感度を調整することによって、対象領域における検出誤差を防止しつつ、的確に当該対象領域における画素の輝度変化を検出することができる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の外観検査システムにおいて、前記判定手段が、前記各回転角度の画像データ全てにおける前記対象領域に属する総画素数と検出された画素数の比率に基づいて前記被検査物の外観上における欠陥の有無を判定する構成を有している。
【0019】
この構成により、請求項4に記載の発明は、差分画像を生成する際の当該画像上に発生するノイズなど対象領域の撮像する際に発生する誤差を除去し、的確に当該対象領域における画素の輝度変化を検出することができる。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、所定の軸に基づいて軸対象となる形状を有する被検査物を撮像カメラ装置によって撮像し、当該撮像された画像データに基づいて前記被検査物の外観検査を行う外観検査方法であって、前記所定の軸に基づいて前記被検査物を前記撮像カメラ装置に対して相対的に回転装置を回転させる回転制御工程と、前記回転手段における回転に連動して所定の回転角度毎に前記被検査物を前記所定の軸方向から前記撮像カメラ装置によって撮像させる撮像制御工程、前記撮像カメラ装置から出力された各画像データ毎に、所与の画像データと当該所与の画像データの一つ前の回転角度にて撮像された画像データとに基づいて、画像を構成する各画素における輝度を基準として、前記被検査物の検査対象となる対象領域における画像間の差分の画像を示す差分画像を生成する画像生成工程と、前記生成された各差分画像に基づいて輝度変化を有する画素数を検出する検出工程と、前記検出された画素数に基づいて前記被検査物の外観上における欠陥の有無を判定する判定工程と、を含む構成を有している。
【0021】
この構成により、請求項5に記載の発明は、各画像データ毎に、画素における輝度を基準として、対象領域における差分画像を生成し、当該各差分画像に各画素の輝度に基づく相対的な変化を現すことができるので、対象領域に傷や埃などの異常がある場合には、当該異常がある部分の画素における輝度のみが変化することとなり、対象領域の異常を各画素の輝度の相対的な変化として検出することができる。
【0022】
すなわち、請求項5に記載の発明は、被検査物の外観を撮像した1枚の画像に基づいてのみ検査を行うのではなく、差分画像を生成することによって画像間の輝度差を見つけ出し、被検査物の一様でない部分を特定するので、絶対値を基準とした画像処理ではなく、相対値を基準とした画像処理を実行することができる。
【0023】
したがって、請求項5に記載の発明は、相対的に変化する輝度に基づいて、被検査物の外観上における欠陥の有無を判定することができるので、各画像の撮像中に、照明環境など検査上の環境の変化があったとしても、当該検査結果には、影響を与えることなく、的確に検査対象の良否を判定することができる。
【0024】
この結果、請求項5に記載の発明は、検査環境を厳しく整えることが不要となり、設置が容易であるとともに、検査状況を検査者に容易に視認させることができるので、環境変化に強く、かつ、設置環境に柔軟性を持たせることができ、設置環境を整備するためのコストを軽減させることができる。
【0025】
また、請求項6又は7に記載の発明は、コンピュータによって、所定の軸に基づいて軸対象となる形状を有する被検査物を撮像カメラ装置によって撮像し、当該撮像された画像データに基づいて前記被検査物の外観検査を行う外観検査プログラムであって、前記コンピュータを、前記所定の軸に基づいて前記被検査物を前記撮像カメラ装置に対して相対的に回転装置を回転させる回転制御手段、前記回転手段における回転に連動して所定の回転角度毎に前記被検査物を前記所定の軸方向から前記撮像カメラ装置によって撮像させる撮像制御手段、前記撮像カメラ装置から出力された各画像データ毎に、所与の画像データと当該所与の画像データの一つ前の回転角度にて撮像された画像データとに基づいて、画像を構成する各画素における輝度を基準として、前記被検査物の検査対象となる対象領域における画像間の差分の画像を示す差分画像を生成する画像生成手段、前記生成された各差分画像に基づいて輝度変化を有する画素数を検出する検出手段、前記検出された画素数に基づいて前記被検査物の外観上における欠陥の有無を判定する判定手段、として機能させる構成を有している。
【0026】
この構成により、請求項6又は7に記載の発明は、各画像データ毎に、画素における輝度を基準として、対象領域における差分画像を生成し、当該各差分画像に各画素の輝度に基づく相対的な変化を現すことができるので、対象領域に傷や埃などの異常がある場合には、当該異常がある部分の画素における輝度のみが変化することとなり、対象領域の異常を各画素の輝度の相対的な変化として検出することができる。
【0027】
すなわち、請求項6又は7に記載の発明は、被検査物の外観を撮像した1枚の画像に基づいてのみ検査を行うのではなく、差分画像を生成することによって画像間の輝度差を見つけ出し、被検査物の一様でない部分を特定するので、絶対値を基準とした画像処理ではなく、相対値を基準とした画像処理を実行することができる。
【0028】
したがって、請求項6又は7に記載の発明は、相対的に変化する輝度に基づいて、被検査物の外観上における欠陥の有無を判定することができるので、各画像の撮像中に、照明環境など検査上の環境の変化があったとしても、当該検査結果には、影響を与えることなく、的確に検査対象の良否を判定することができる。
【0029】
この結果、請求項6又は7に記載の発明は、検査環境を厳しく整えることが不要となり、設置が容易であるとともに、検査状況を検査者に容易に視認させることができるので、環境変化に強く、かつ、設置環境に柔軟性を持たせることができ、設置環境を整備するためのコストを軽減させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、相対的に変化する輝度に基づいて、被検査物の外観上における欠陥の有無を判定することができるので、各画像の撮像中に、照明環境など検査上の環境の変化があったとしても、当該検査結果には、影響を与えることなく、的確に検査対象の良否を判定することができる。
【0031】
したがって、本発明は、検査環境を厳しく整えることが不要となり、設置が容易であるとともに、検査状況を検査者に容易に視認させることができるので、環境変化に強く、かつ、設置環境に柔軟性を持たせることができ、設置環境を整備するためのコストを軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有する範囲を包含し、以下に示す図面等に限定されない。
【0033】
以下に説明する実施の形態は、被検査物として自動車のインジェクション(燃料噴射装置)に用いる部品(インジェクションカップ)の外観検査を行う外観検査システム及びその外観検査方法に対して本願発明を適用した場合の実施形態である。
【0034】
まず、図1を用いて本実施形態の外観検査システムの構成及び当該外観検査システムを構成する各装置の概略動作について説明する。なお、図1は、本実施形態の外観検査システムの構成を示すブロック図である。
【0035】
本実施形態の外観検査システムSは、例えば、検査対象物であるインジェクションカップCの製造工程のラインに設置され、製造された当該インジェクションカップCの外観上における欠陥の有無を判定するようになっている。
【0036】
このインジェクションカップCは、インジェクションに組み込まれ、その装置の一部として用いられるようになっており、他の部品と連結されて接合される場合に、接合面に微細な傷が存在すると、接合部分が経年劣化などにより割れ、インジェクション自体に著しいダメージを与えることになる。そこで、本実施形態の外観検査システムSは、当該インジェクションの接合面における微細な傷を検査し、その良否を判定するようになっている。
【0037】
この外観検査システムSは、図1に示すように、上方が開口された円筒形状を有するインジェクションカップCを設置する治具Jを有し、検査中に当該治具Jを回転させる回転装置100と、治具Jに固定されたインジェクションカップCの外観を撮像する撮像カメラ装置200と、撮像カメラ装置200によって撮像された画像データに基づいてインジェクションカップCの外観を検査し、外観上における欠陥の有無を判定する検査装置300と、から構成される。
【0038】
回転装置100は、インジェクションカップCを固定し、当該インジェクションカップCの円柱軸(円柱の高さ方向における中心軸)を基準とし、検査装置300の制御の下、撮像カメラ装置200と連動してインジェクションカップCを所定の回転角度毎に間欠回転させるようになっている。
【0039】
特に、本実施形態の回転装置100は、検査装置300の制御に基づいてインジェクションカップCが固定された治具Jを回転させるためのモータ110と、治具Jの回転角度を検出するために用いられ、当該回転台における所定の回転角度毎にパルスを検査装置300に出力するにエンコーダ120と、を備えている。
【0040】
なお、本実施形態では、回転中の移動速度に伴う「ぶれ」により明瞭に画像が撮像できないことを避け、インジェクションカップCの回転を制止させた状態にて当該インジェクションカップCの外観を撮像するようになっている。このため、本実施形態の回転装置100は、治具Jを間欠回転させるようになっている。ただし、十分にシャッター速度の速い撮像カメラ装置200を用いる場合には、回転を停止させなくてもよい。
【0041】
また、例えば、本実施形態の回転装置100は、一回転で30枚の静止画像を撮像する場合には、12度毎に間欠回転するようになっている。ただし、当該回転角度は、撮像される静止画像に基づいて可変可能であり、任意に設定可能となっている。
【0042】
撮像カメラ装置200は、インジェクションカップCの上面と対面して配設され、インジェクションカップCの上方から当該インジェクションカップCの外観を撮像するようになっている。また、この撮像カメラ装置200は、検査装置300の制御の下、回転装置100と連動して所定の回転角度毎に一回転分の複数の静止画像を撮像し、当該撮像された各静止画像を画像データとして検査装置300に出力するようになっている。
【0043】
検査装置300は、撮像カメラ装置200から出力された各画像データ毎に、所与の画像データと当該所与の画像データの一つ前の回転角度にて撮像された画像データとに基づいて、インジェクションカップCの検査対象となる対象領域(以下、単に、「対象領域」という。)における画像間の差分の画像を示す画像(以下、「差分画像」という。)を生成するようになっている。そして、この検査装置300は、生成された各差分画像の総和を算出するとともに、当該総和した画像(以下、「総和画像」)において、輝度変化が生じている画素数を算出し、当該検出された画素数に基づいて、検査対象となっているイグニッションコイルの外観上における欠陥の有無を判定するようになっている。
【0044】
特に、本実施形態の検査装置300は、撮像された静止画像を構成する各画素における輝度を基準として、差分画像を生成し、各差分画像に基づいて総和画像を生成することによって、画素変化の軌跡を有する画像を生成するようになっており、検査の対象領域に傷や埃などの異常がある場合には、総和画像における異常がある部分の画素における輝度のみが変化することから、対象領域の異常を各画素の輝度の相対的な変化として検出することができるようになっている。
【0045】
また、この検査装置300は、差分画像を生成する際には、対象領域を複数の領域に分け、各領域毎に、当該対象領域に属する画像の輝度成分における検出すべき輝度レベルを調整するとともに、インジェクションカップCの検査の非対象となる領域(以下、単に、「非対象領域」という。)に属する画像の輝度成分の検出を不能にするためのフィルタ処理を行うようになっている。
【0046】
このように、本実施形態の外観検査システムSは、検査対象となる被検査物、すなわち、インジェクションカップCの外観上の欠陥を、当該インジェクションカップCCの外観が撮像された画像における各画素の相対的な輝度変化に基づいて、判定することができるので、環境変化に強く、的確に検査対象の良否を判定することができるようになっている。
【0047】
次に、図2を用いて本実施形態の外観検査システムSにおいて被検査物となるインジェクションカップCの形状について説明する。
【0048】
本実施形態の被検査物となるインジェクションカップCは、図2に示すように、上方が開口された円筒形状を有し、当該円筒の上面に、他の部品と接合するためのフランジ部10と、フランジ部10から胴体部20に渡って円錐状に直径が徐々に減少する形状を示すテーパー部30とが設けられている。特に、このフランジ部10には、接合時にインジェクションカップC自体の廻りを止めるための廻り止め部40が設けられている。
【0049】
また、このインジェクションカップCの底面には、当該インジェクションカップCの円柱軸を基準とし、当該底面から外側に突起した形状を有する穴部50が設けられている。
【0050】
このように、本実施形態のインジェクションカップCは、円筒形状における中心軸、すなわち、円中軸を基準に軸対象な形状を有しており、本実施形態の外観検査システムSにて検査することができるようになっている。
【0051】
なお、本実施形態のインジェクションカップCは、例えば、プレス加工又は削りだし加工などによって成型されるようになっている。
【0052】
また、本実施形態では、インジェクションカップCを被検査物として用いているが、所定の軸に基づいて軸対象となる形状を有していれば、特に、全体の形状が軸対象となっていない場合であっても、検査の対象となる領域が軸対象となっている形状を有してれば検査の対象とすることができる。
【0053】
次に、図1とともに、図3及び図4を用いて本実施形態の外観検査システムSにおける検査装置300について説明する。なお、図3は、差分画像を生成するための基となる基準画像について説明するための図であり、部分フィルタ画像に基づいて生成されるフィルタ画像について説明するための図である。
【0054】
本実施形態の検査装置300は、撮像カメラ装置200から出力された各静止画像の画像データが入力される所定の入力処理を行う入力処理部305と、入力された画像データをモニタ400に出力するための所定の出力処理を行う出力処理部310と、検査に用いる種々のデータが記憶されるデータ格納部315と、入力された各画像データに対して差分画像を生成するための各種の画像処理を行う画像処理部320と、生成された各差分画像に基づいて、傷などが存在する画素を異常画素として検出する画素検出部325と、異常画素の画素数に基づいてインジェクションカップCの外観上の良否を判定する判定処理部330と、を備えている。
【0055】
また、この検査装置300は、回転装置100のモータ110を制御するモータ制御部335と、回転装置100から出力されたパルスを検出し、回転装置100の回転角度を認識するパルスカウンタ340と、操作者の入力を行う際に用いる操作部345と、回転装置100及び撮像カメラ装置200と検査装置300の各部を制御するシステム制御部350と、を備えている。
【0056】
なお、例えば、本実施形態の画像処理部320は、本発明の画像生成手段を構成し、算出手段は、本発明の検出手段を構成する。また、例えば、本実施形態の判定処理部330は、本発明の判定手段を構成する。
【0057】
入力処理部305には、所定の回転角度毎に撮像された静止画像の画像データが入力されるようになっており、入力された画像データに対して所定の処理を行うとともに、予め定められたデータ形式に変換するようになっている。
【0058】
例えば、本実施形態の入力処理部305は、入力された画像データがアナログデータの場合にはデジタルデータに変換する処理又は撮像された画像における画質の調整など所定の処理を行うようになっている。
【0059】
出力処理部310には、入力処理された各画像データが入力されるようになっており、この出力処理部310は、入力された各画像データをアナログデータに変換するなどの所定の出力処理を行い、モニタ400に出力処理された画像データを出力するようになっている。
【0060】
データ格納部315には、検査装置300にて用いる各種のデータが格納されており、例えば、フィルタ処理を行うフィルタを生成するための各種のパラメータ、フィルタとして用いる画像データ、各差分画像のデータ、総画像のデータ又は検査結果に関するデータが格納されるようになっている。
【0061】
このデータ格納部315は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)によって構成されているとともに、ネットワークなどの通信回線に基づいてパーソナルコンピュータなどの図示しない各種の通信端末装置と接続可能な構成を有している。
【0062】
画像処理部320は、入力された画像データ毎に差分画像を生成する際に基となる画像(以下、「基準画像」という。)を生成する基準画像生成部321と、フィルタを用いて基準画像に対してフィルタ処理を行い、差分画像を生成するフィルタ処理部322と、を備えている。
【0063】
基準画像生成部321は、入力された各画像データ毎に、当該入力された画像データとこの画像データの一つ前の回転角度にて撮像された画像データとに基づいて、画像を構成する各画素における輝度を基準として、差分画像を生成する際に基となる画像を生成するようになっている。
【0064】
具体的には、本実施形態の基準画像生成部321は、時系列的に入力された画像データにて構成される画像をS~Sとすると(撮影枚数を30枚とした場合,f=30となる)、所与の画像データにて構成される画像Sと当該時系列的に当該所与画像データに対して1ステップ前に入力された画像データにて構成される画像S(i-1)の2枚の画像に基づいて、以下の(式1)を用いて各画素毎に輝度の差分値を算出し、基準画像Δを生成するようになっている。
【0065】
【数1】
JP0004810659B2_000002t.gif

【0066】
なお、「i」は、i番目に入力された画像に基づいて算出された基準画像Δであることを示し、「n」は、画像上の画素の総数を示す。また、「δ」は、基準画像Δの各画素における差分値であり、以下の(式2)を満足する。さらに、画像S及び画像S(i-1)は、以下の(式3)及び(式4)を満足する。ただし、「j」は、画像上における任意の画素位置(1~n)を示す。なお、この表記はラスター形式で座標を表した場合であり、x, yのように表すこともできる。
【0067】
【数2】
JP0004810659B2_000003t.gif

【0068】
【数3】
JP0004810659B2_000004t.gif

【0069】
【数4】
JP0004810659B2_000005t.gif

【0070】
例えば、図3(a)に示すインジェクションカップCの表面に傷がある画像データD1が入力され、入力された画像データD1の一つ前の回転角度にて撮像された画像データが図3(b)に示す画像データD2である場合には、本実施形態の基準画像生成部321は、これらの画像データD1及びD2に基づいて、画像を構成する各画素の輝度を基準とし、差分画像を生成するための基となる図3(c)に示す基準画像Bを生成するようになっている。
【0071】
フィルタ処理部322は、データ格納部315に予め記憶されたパラメータに基づいてフィルタ処理に用いる画像(以下、「フィルタ画像」という。)を生成し、当該生成されたフィルタ画像を用いて各基準画像に対してフィルタ処理を行い、差分画像を生成するようになっている。
【0072】
具体的には、本実施形態のフィルタ処理部322は、データ格納部315に予め記憶されたパラメータに基づいて差分画像の非対象領域における各画素の輝度を検出不能にするため、及び、当該対象領域における検出すべき各画素の輝度レベルを調整するためのフィルタ画像を生成するようになっている。
【0073】
例えば、本実施形態のフィルタ処理部322は、図4に示すように、パラメータに基づいて、対象領域Aにおいて感度(T=0.38)を有する部分フィルタ画像mと、対象領域Bにおいて感度(T=0.95)を有する部分フィルタ画像mと、対象領域Cにおいて感度(T=0.28)を有する部分フィルタ画像mを生成し、それぞれ、論理積演算によって合成し、フィルタ画像Mを生成するようになっている。
【0074】
なお、感度Tとは、画素における輝度の最大値を「1」とした場合における比率を示し、後述するように、この比率が小さくても差分値としてその差を検出するようになっている。また、本実施形態では、この比率が小さいほど検出感度が高くなるようになっている。
【0075】
また、本実施形態のフィルタ処理部322は、一の部分フィルタ画像に基づいてフィルタ画像を生成してもよいし、4以上の部分フィルタ画像に基づいてフィルタ画像を生成するようになしてもよい。
【0076】
一方、本実施形態のフィルタ処理部322は、フィルタ画像Mが生成されると、当該フィルタ画像Mによって上述のように生成された各基準画像における対象領域以外の非対象領域を除去するとともに、対象領域の画素については、上述のように設定されたそれぞれ該当する感度を閾値として、フィルタ処理を行い、各差分画像を生成するようになっている。
【0077】
例えば、このフィルタ処理部322は、(式5)に示すように、フィルタ画像Mに基づいて、上述のように算出された基準画像Δにおける非対象領域に設定された画素には、「m=0」を乗算するとともに、当該基準画像Δにおける対象領域に設定された画素には、「m=1」を乗算する第1のフィルタ処理を行うようになっている。
【0078】
【数5】
JP0004810659B2_000006t.gif

【0079】
なお、「n」は、画像上の画素の総数を示す。また、「β」は、差分画像を算出する過程にて第1のフィルタ処理を行うことによって算出された基準画像(以下、「中間画像」という。)であり、「b(i,j)」は、この中間画像βの各画素の輝度を示す。さらに、非対象領域の画素の輝度b(i(非対象領域の画素))と中間画像βにおける対象領域の画素の輝度b(i,(対象領域))は、(式6)及び(式7)を満足する。ただし、「j」は、画像上における任意の画素位置(1~n)を示す。
【0080】
【数6】
JP0004810659B2_000007t.gif

【0081】
【数7】
JP0004810659B2_000008t.gif

【0082】
そして、このフィルタ処理部322は、フィルタ処理にて算出された中間画像βの各画素毎に、当該中間画像βの各画素と、フィルタ画像Mにおいて各対象領域の各画素に設定された感度Tと、をそれぞれ比較するとともに、(式8)及び(式9)に示すように、各画素が感度Tより大きければ各画素の輝度を「1」に設定し、各画素が感度T以下の場合には画素の輝度を「0」を設定する第2のフィルタ処理を行い、差分画像Dを算出するようになっている。
【0083】
【数8】
JP0004810659B2_000009t.gif

【0084】
【数9】
JP0004810659B2_000010t.gif

【0085】
なお、「i」は、i番目に入力された画像に基づいて算出された差分画像Dであることを示し、「n」は、画像上の画素の総数を示す。また、「d(i,j)」は、差分画像Dの各画素の輝度を示す。ただし、「j」は、画像上における任意の画素位置(1~n)を示す。
【0086】
このように、本実施形態の画像処理部320は、基準画像及び中間画像を介してフィルタ処理を行いつつ、差分画像を算出することによって当該差分画像を生成するようになっている。
【0087】
なお、本実施形態の画像処理部320は、フィルタ処理を行う場合に、例えば、1画素又は数画素が隣接している画素群について、輝度変化が検出された場合には、当該画素又は画素群については、ノイズと判定し、非対象領域に属する画素と同様に、これを消去する、すなわち、「0」にするようになっている。
【0088】
また、本実施形態の画像処理部320は、上述のフィルタ処理を行わずに直接的に入力された各画像データから差分画像を生成するようにしてもよい。すなわち、この場合には、画像処理部320は、上述の基準画像を差分画像として生成する。
【0089】
画素検出部325には、フィルタ処理部322によって最終的に算出された各差分画像が入力されるようになっており、この画像検出部は、入力された各差分画像に基づいて、傷などが存在する画素を異常画素として検出するようになっている。
【0090】
具体的には、本実施形態の画素検出部325は、(式10)を用いることによって、各差分画像の総和した総和画像Aを算出するようになっている。
【0091】
【数10】
JP0004810659B2_000011t.gif

【0092】
なお、(式10)において、「n」は、画像上の画素の総数を示し、「a」は、総和画像Aの各画素における差分値である。また、この総和画像Aは、jを傷の場所及びその度数を傷の数として取り扱うことによって、ヒストグラムとして考えることができることとなり、その場合に、最も高い値は、(f-1)となる。すなわち、傷が付く場合には、単に針で突くような1点の傷が付くのではなくある程度の範囲に傷が分布することが多く、傷がいくつか分布している領域では同じ軌跡を通過することが多いので、本実施形態では、傷が同じ軌跡(場所)を通った場合に、軌跡の有無で単に「1」として取り扱うよりも、同じところを通った傷の数をカウントして「2」として扱うことにより、傷検出の情報を強化することができるようになっている。さらに、本実施形態では、検出対象を一回転させて上述の処理を行っているが、傷検出の精度を上げる場合には、検出対象を数回転させれば、同じところを通った傷を更にカウントすることができるので、傷検出の精度を向上させることができるようになっている。
【0093】
そして、この画素検出部325は、(式11)に示すように、当該総和画像Aにおける「1」の値を示す画素を異常画素として検出し、当該検出された画素数の総数Xを算出するようになっている。
【0094】
【数11】
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【0095】
判定処理部330は、各差分画像における対象領域における画素数の総和、すなわち、生成された各差分画像においてそれぞれの画素数を総和した総画素数(以下、「総画素数」という)と、画素検出部325にて検出された画素数と、の比率に基づいて前記被検査物の外観上における欠陥の有無を判定するようになっている。
【0096】
具体的には、本実施形態の判定処理部330は、各差分画像において対象領域に属する画素数をそれぞれ加算し、総画素数を算出するとともに、(式12)によって総画素数と異常画素として検出された画素数の比率eを算出するようになっている。
【0097】
【数12】
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【0098】
なお、「X」は、画素検出部325にて算出された画素数の総数を示し、「R」は、総画素数を示す。
【0099】
また、判定処理部330は、算出された比率eと、データ格納部315に予め格納されている閾値(以下、「判定用閾値」という。)とを比較し、検査対象となっているインジェクションカップCの外観上における欠陥の有無、すなわち、合格、不合格及び再検査の判定を行うようになっている。
【0100】
特に、この判定部330は、検査合格用として用いる判定用閾値(以下、「合格閾値」という。)より検出比eが小さい場合には、当該外観検査が合格したものと判定し、検査不合格用として用いる判定用閾値(以下、「不合格閾値」という。)より検出比eが大きい場合には、当該外観検査が不合格したものと判定するようになっている。また、この判定処理部330は、合格閾値以上であり、かつ、不合格閾値以下の場合には、再検査を行うものと判定するようになっている。
【0101】
なお、例えば、本実施形態では、当該判定に基づいて、図示しない装置などにより、検査対象となっているインジェクションカップCをその判定種別に対応付けて分類するようになっている。
【0102】
モータ制御部335は、システム制御部350の制御の下、外観検査を行う際に、撮像カメラ装置200と連動しつつ、回転装置100の回転及びその停止を制御するようになっている。
【0103】
パルスカウンタ340は、システム制御部350の制御の下、外観検査を行う際に、回転装置100から治具Jが一定角度毎に回転した場合にエンコーダ120から出力されるパルスを受信し、当該受信したパルスをカウントすることによって、回転角度を認識するようになっている。
【0104】
操作部345は、各種確認ボタン、各操作指令を入力する操作ボタン、テンキー及びその他の数字キーなどを有するキーボード又は入力ポインティング装置であるマウスなどの入力インターフェースによって構成され、種々の設定又は動作指示を行う際に用いられるようになっている。
【0105】
システム制御部350は、主に中央演算処理装置(CPU)、ROM/RAMによって構成されるとともに、外観検査システムSの全般的な機能を総括的に制御するようになっている。そして、このシステム制御部350は、ROMに格納される制御プログラムを読み出すようになっており、RAMに処理中のデータを一時的に保持しつつ、読み出された制御プログラムに基づいて各種の処理を実行するようになっている。
【0106】
特に、本実施形態では、システム制御部350は、インジェクションカップCの外観検査を行う際に、当該外観検査の開始及び終了を制御するとともに、フィルタ画像の生成、差分画像の生成、外観上における欠陥の有無に関する処理(以下、「検査処理」という。)を制御するようになっている。
【0107】
なお、本実施形態のシステム制御部350は、検査装置300の各部とはバスBによって互いに接続されているとともに、回転装置100又は撮像カメラ装置200とは、所定の通信回線によって接続されている。
【0108】
次に、図5を用いて本実施形態の外観検査システムSにおける検査処理の動作について説明する。なお、図5は、本実施形態の外観検査システムSにおける検査処理の動作を示すフローチャートである。
【0109】
以下の動作では、既に回転装置100にインジェクションカップCが固定設置されているものとし、検査終了後は、判定種別に基づいて図示しない装置によって当該インジェクトションCが分類される。また、本動作は、被検査物であるインジェクトションカップC毎に実行される。
【0110】
まず、システム制御部350は、撮像画像数(撮像枚数)や判定用閾値などデータ格納部315に格納されている各種のパラメータを読み出して内部のRAMに記憶する(ステップS11)。具体的には、システム制御部350は、例えば、撮像カメラが撮像を行う際の回転角度など外観検査に用いる値を算出しつつ、読み出した各種のパラメータ又は読み出したパラメータに基づいて算出された各種の値をRAMに設定する。
【0111】
次いで、システム制御部350は、フィルタ画像を生成するためのパラメータを当該データ格納部315から読み出してフィルタ画像を生成し、フィルタ処理部322に設定する(ステップS12)。このとき、システム制御部350は、生成する部分フィルタ画像の画像数を認識しつつ、各部分フィルタ画像を生成し、それを合成することによってフィルタ画像を生成する。
【0112】
次いで、システム制御部350は、モータ制御部335を介して回転装置100を制御し、治具Jの回転を開始させ(ステップS13)、パルスカウンタ340によって回転装置100の回転角度を認識しつつ、回転装置100が所定の回転角度になったか否かを検出する(ステップS14)。
【0113】
次いで、システム制御部350は、ステップS14の処理において所定の回転角度であることを検出すると、モータ制御部335を介して回転装置100を制御し、治具Jの回転を停止する(ステップS15)。
【0114】
次いで、システム制御部350は、撮像カメラ装置200を制御してインジェクションカップCの外観における静止画像を撮像させ(ステップS16)、全ての静止画像の撮像、すなわち、取り込みが終了したか否かを判断する(ステップS17)。
【0115】
このとき、システム制御部350は、全ての静止画像の取り込みが終了していないと判断した場合には、ステップS13の処理に移行して次の静止画像の撮像を開始し、全ての静止画像の取り込みが終了したと判断した場合には、ステップS18の処理に移行する。
【0116】
次いで、ステップS17の処理において、全ての静止画像の取り込みが終了したと判断した場合には、画像処理部320に、撮像された各静止画像に基づいて、上述のように、フィルタ処理を行いつつ、基準画像及び中間画像を生成させて各差分画像を生成させる(ステップS18)。
【0117】
次いで、システム制御部350は、画像処理部320に、各差分画像のノイズを除去させるとともに(ステップS19)、画素検出部325に、各差分画像の総和を示す総和画像を算出させる(ステップS20)。
【0118】
次いで、システム制御部350は、画素検出部325に、算出させた総和画像に基づいて、異常画素として検出された画素数の総数を算出させるとともに(ステップS21)、判定処理部330に、当該異常画素として検出された画素数の総数と各差分画像における対象領域における総画素数との比率を算出させる(ステップS22)
次いで、システム制御部350は、判定処理部330に、算出された比率が合格閾値より小さいか否か、及び、当該算出された比率が不合格閾値より大きいか否かを判定させる(ステップS23及びステップS24)。
【0119】
次いで、システム制御部350は、判定処理部330に、算出された比率が合格閾値より小さいと判定された場合には、合格と判定させ(ステップS25)、本動作を終了させるとともに、当該算出された比率が不合格閾値より大きいと判定された場合には、不合格と判定させ(ステップS26)、本動作を終了させる。そして、システム制御部350は、判定処理部330に、合格閾値以上であり、かつ、不合格閾値以下と判定された場合には、再検査を行うものと判定し、本動作を終了させる。
【0120】
以上本実施形態の外観検査システムSは、各画像データ毎に、画素における輝度を基準として、対象領域における差分画像を生成し、当該各差分画像に各画素の輝度に基づく相対的な変化を現すことができるので、対象領域に傷や埃などの異常がある場合には、当該異常がある部分の画素における輝度のみが変化することとなり、対象領域の異常を各画素の輝度の相対的な変化として検出することができる。
【0121】
すなわち、本実施形態の外観検査システムSは、インジェクションカップCなどの被検査物の外観を撮像した1枚の画像に基づいてのみ検査を行うのではなく、差分画像を生成することによって画像間の輝度差を見つけ出し、被検査物の一様でない部分を特定するので、絶対値を基準とした画像処理ではなく、相対値を基準とした画像処理を実行することができる。
【0122】
したがって、本実施形態の外観検査システムSは、相対的に変化する輝度に基づいて、被検査物の外観上における欠陥の有無を判定することができるので、各画像の撮像中に、照明環境など検査上の環境の変化があったとしても、当該検査結果には、影響を与えることなく、的確に検査対象の良否を判定することができる。
【0123】
この結果、本実施形態の外観検査システムSは、検査環境を厳しく整えることが不要となり、設置が容易であるとともに、検査状況を検査者に容易に視認させることができるので、環境変化に強く、かつ、設置環境に柔軟性を持たせることができ、設置環境を整備するためのコストを軽減させることができる。
【0124】
また、本実施形態の外観検査システムSは、フィルタ処理を行うことによって、的確に検査対象のみに基づいて差分画像を生成することができるとともに、対象領域において、輝度を検出する際の感度という概念を導入し、差分画像を構成する各画素において、輝度変化として検出される輝度レベルを各領域毎に設定することができる。
【0125】
したがって、本実施形態の外観検査システムSは、非対象領域におけるノイズを除去し、対象領域において、輝度の変化を検出しにくい領域においては感度を上げ、また、輝度の変化を検出しやすい領域においては感度を下げるなど、各領域毎に輝度を検出する際の感度を調整することができるので、対象領域における検出誤差を防止しつつ、的確に各画素の輝度変化を検出することができ、的確に検査対象の良否を判定することができる。
【0126】
また、本実施形態の外観検査システムSは、このようなフィルタ処理によって画像処理を行っているので、当該各画像処理が極めて簡単であり、一般的なビデオ信号レベル(30Hzのフレームレート)にて撮像される撮像カメラ装置においても、特殊なハードウエア的な演算を不要とすることができるとともに、当該画像処理が単純かつ高速であるので、高速度の撮像カメラ装置又は高解像度の撮像カメラ装置への転用も容易となる。
【0127】
なお、本実施形態の外観検査システムSは、システム制御部350の制御に基づいて各動作を行うようになっているが、当該外観検査を行うための検査処理の動作を規定するプログラムが記録された記録媒体と、それを読み取るコンピュータと、を備え、このコンピュータで当該プログラムを読み込むことによって上述と同様の検査処理の動作を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本願に係る検査システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】一実施形態における検査システムにて検査の対象となる被検査物の隠者九九ションカップの外観図である。
【図3】一実施形態において、差分画像を生成するための基となる基準画像について説明するための図である。
【図4】一実施形態において、部分フィルタ画像に基づいて生成されるフィルタ画像について説明するための図である。
【図5】一実施形態の外観検査システムにおける検査処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0129】
C…インジェクションカップ(被検査物)
J…治具
S…外観検査装置
100…回転装置
110…モータ
120…エンコーダ
200…撮像カメラ装置
300…検査装置
305…入力処理部
310…出力処理部
315…データ格納部
320…画像処理部
321…基準画像生成部
322…フィルタ処理部
325…画素検出部
330…判定処理部
335…モータ制御部
340…パルスカウンタ
345…操作部
350…システム制御部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4