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明細書 :液浸露光装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5055549号 (P5055549)
公開番号 特開2008-235620 (P2008-235620A)
登録日 平成24年8月10日(2012.8.10)
発行日 平成24年10月24日(2012.10.24)
公開日 平成20年10月2日(2008.10.2)
発明の名称または考案の名称 液浸露光装置
国際特許分類 H01L  21/027       (2006.01)
G03F   7/20        (2006.01)
FI H01L 21/30 515D
G03F 7/20 521
請求項の数または発明の数 6
全頁数 16
出願番号 特願2007-073891 (P2007-073891)
出願日 平成19年3月22日(2007.3.22)
審査請求日 平成21年11月25日(2009.11.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
発明者または考案者 【氏名】西田 靖
個別代理人の代理人 【識別番号】100117226、【弁理士】、【氏名又は名称】吉村 俊一
審査官 【審査官】久保田 創
参考文献・文献 特開2006-313905(JP,A)
特開2005-223342(JP,A)
国際公開第2004/053955(WO,A1)
特開2007-053193(JP,A)
特開2005-150734(JP,A)
国際公開第2005/041276(WO,A1)
調査した分野 H01L 21/027
G03F 7/20
特許請求の範囲 【請求項1】
液体を用いて被露光体に回路パターンを露光する液浸露光装置であって、
前記被露光体を保持する被露光体保持部材と、
光源から所定のパターンを有する遮光材に光を照射する照射手段と、
前記光にて照射されて形成される遮光材のパターンを前記被露光体に投影する投影手段と、
前記被露光体と前記投影手段との間に構成される空間に前記液体を供給する液体供給手段と、
前記空間に供給された液体を排出する液体排出手段と、
前記投影手段の周囲に設けられ、当該投影手段における被露光体に対する露光位置が変化する際に、前記空間内に供給された液体を当該露光位置に保持するための液体保持部材と、
を備え、
前記液体保持部材が撥水特性を有し、内側壁面と、該内側壁面と形成する鋭角の頂点が前記被露光体の上面に対向するように設けられる外側壁面と、で形成されており、
前記内側壁面と前記外側壁面のうち、いずれか一方が前記被露光体の上面に対して垂直に構成される垂直面であり、他方が前記被露光体の上面と鋭角を形成する傾斜面であり、
前記内側壁面には、前記液体供給手段と前記液体排出手段のうちいずれか一方が設けられている、ことを特徴とする液浸露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液浸露光装置において、
前記液体保持部材が、該液体保持部材と前記空間内に供給された前記液体との表面張力を利用して該液体を前記露光位置に保持する、液浸露光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液浸露光装置において、
前記液体保持部材に該液体保持部材の撥水特性を向上させるための静電界を印加する印加手段をさらに備える、液浸露光装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の液浸露光装置において、前記液体保持部材が親水特性を有する、液浸露光装置。
【請求項5】
請求項に記載の液浸露光装置において、
前記液体保持部材に該液体保持部材の親水特性を向上させるための静電界を印加する印加手段をさらに備える、液浸露光装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の液浸露光装置において、
前記液体保持部材に、前記垂直面と前記傾斜面とによって形成される円形上の突起部分に接合され、前記光路軸を中心とした半径方向の外側方向に傾斜する円形リングが設けられている、液浸露光装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ICやLSI等の半導体チップ等の各種デバイスの製造に用いられる露光装置に関し、さらに詳しくは、例えばレンズとウエハとの間に液体を浸して解像度を上げる露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の高密度化、高速化に伴い、集積回路のパターン線幅が縮小され、よりいっそうの高精細化が求められている。こうした要求に対し、半導体の製造方法の研究開発が行われ、例えば半導体製造工程中のリソグラフィー工程で用いられる露光装置においては、光源にKrFレーザ(248nm)、ArFレーザ(193nm)のような短波長レーザを用い、レジストパターンの高精細化を実現している。さらに短波長化として、F(フッ素ダイマー)レーザ(157nm)やEUV(13.5nm)等の極紫外線を用いた露光装置の開発が行われている。
【0003】
しかしながら、Fレーザを用いた露光装置には、非常に厳しいスペックが要求されており、開発に非常に時間を要している一方、半導体デバイスの微細化への要求は増しており、半導体製造現場からの要求に露光装置開発が追いつかない状況が生まれつつある。
【0004】
そこで、最近では、ArFレーザを用いて回路パターンの更なる高精細化を達成する手段として、投影レンズの下面と被露光基板との間を液体で満たす方法が提案されている。液体は、一般に屈折率が1より大きいため、投影露光光学系のNAが見かけ上「1」以上となり、従来の解像限界を超えた解像度を達成することができる。また、この方法においては、投影レンズと被露光基板の間に満たす液体(一般には「液浸剤」と言われる。)は、水が良いとされている。
【0005】
従来、このような方法においては、所定の機構を用いて又はエアーを用いて投影レンズと被露光基板との間に液体の供給及び除去を行う方法(例えば、特許文献1を参照)、投影レンズの周囲に基被露光板が設置される面と平行となる面を有する部材にてエアーカーテンを構成し、供給された液体の充填性を高める方法(例えば、特許文献2を参照)、又は、被露光基板が可動する範囲全体を覆うカバーを設置する方法(例えば、特許文献3を参照)等が報告されている。

【特許文献1】特開2005-45223号公報
【特許文献2】特開2005-166776号公報
【特許文献3】特開2006-60016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1又は2に記載の方法では、供給された液体に空気が混入し、当該液体を介して構成される画像、すなわち、当該液体にて形成されるレンズを介して構成される画像に乱れが生じ、被露光基板に集積回路のパターンを高精細に形成することができない場合がある。
【0007】
また、特許文献3に記載の方法では、被露光基板の移動速度を高速にした場合、液体が乱流状態になって液体が被露光基板上に残り、被露光基板に集積回路のパターンを高精細に形成することができないだけでなく、当該液体が外部にはじき出され、露光装置の他の部分に悪影響を与えることにもなる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、投影レンズと基板(例えばウエハ)との間に供給された液体を基板とともに的確に移動させ、液体があるべき空間以外にその液体を滞留させることのない液浸露光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る液浸露光装置は、液体を用いて被露光体に回路パターンを露光する液浸露光装置であって、前記被露光体を保持する被露光体保持部材と、光源から所定のパターンを有する遮光材に光を照射する照射手段と、前記光にて照射されて形成される遮光材のパターンを前記被露光体に投影する投影手段と、前記被露光体と前記投影手段との間に構成される空間に前記液体を供給する液体供給手段と、前記空間に供給された液体を排出する液体排出手段と、前記投影手段の周囲に設けられ、当該投影手段における被露光体に対する露光位置が変化する際に、前記空間内に供給された液体を当該露光位置に保持するための液体保持部材と、を備え、前記液体保持部材が撥水特性を有し、内側壁面と、該内側壁面と形成する鋭角の頂点が前記被露光体の上面に対向するように設けられる外側壁面と、で形成されており、前記内側壁面と前記外側壁面のうち、いずれか一方が前記被露光体の上面に対して垂直に構成される垂直面であり、他方が前記被露光体の上面と鋭角を形成する傾斜面であり、前記内側壁面には、前記液体供給手段と前記液体排出手段のうちいずれか一方が設けられている構成をしている。

【0010】
この構成により、発明は、投影手段と被露光体との間に構成される空間を囲う液体保持部材が撥水特性を有しているので、投影手段における被露光体に対する露光位置が変化した場合に、液体保持部材も移動し、それに伴って液体も移動する。また、撥水特性を有する面が、液体が供給される面に対向しているので、液体保持部材の撥水特性に基づく液体の表面張力と液体の粘性とを利用することにより、投影手段における被露光体に対する露光位置を変化させれば液体保持部材が移動し、それに伴って液体も移動させることができる。したがって、この発明によれば、投影手段(投影レンズ)と被露光体(基板)との間に供給された液体を露光位置の変化に伴って的確に移動させることができ、前記空間外の被露光体上への液体の流出を防止することができる。

【0011】
また、発明は、前記液体保持部材が、該液体保持部材と前記空間内に供給された前記液体との表面張力を利用して該液体を前記露光位置に保持する構成を有している。

【0012】
また、本発明は、前記液体保持部材に該液体保持部材の撥水特性を向上させるための静電界を印加する印加手段をさらに備える構成を有している。

【0013】
この構成により、本発明は、液体が高抵抗である場合には、電界が当該液体内部へ浸透せずに液体外部に集中するため撥水効果をより向上させることができるので、投影手段(投影レンズ)と被露光体(基板)との間に供給された液体を露光位置の変化に伴ってさらに確実に移動させることができる。

【0014】
また、本発明は、前記液体保持部材が親水特性を有する構成を有している。

【0015】
この構成により、本発明は、投影手段と被露光体との間に構成される空間を囲う液体保持部材が親水特性を有しているので、投影手段における被露光体に対する露光位置が変化した場合に、液体保持部材も移動し、それに伴って液体も移動する。したがって、この発明によれば、投影手段(投影レンズ)と被露光体(基板)との間に供給された液体を露光位置の変化に伴って的確に移動させることができ、前記空間外の被露光体上への液体の流出や滞留を防止することができる。

【0016】
また、本発明は、前記液体保持部材に該液体保持部材の親水特性を向上させるための静電界を印加する印加手段をさらに備える構成を有している。

【0017】
この構成により、本発明は、液体が高抵抗である場合には、電界が当該液体内部へ浸透せずに液体外部に集中するため親水効果をより向上させることができるので、投影手段(投影レンズ)と被露光体(基板)との間に供給された液体を露光位置の変化に伴ってさらに確実に移動させることができる。

【0018】
また、本発明は、記液体保持部材に、前記垂直面と前記傾斜面とによって形成される円形上の突起部分に接合され、前記光路軸を中心とした半径方向の外側方向に傾斜する円形リングが設けられている構成を有している。

【0019】
この構成により、本発明は、投影手段における被露光体に対する露光位置が変化する場合に、液体保持部材が突起部分も伴って移動するので、露光位置に保持された液体を液体保持部材の移動方向に移動するようにガイドさせることができる。したがって、この発明によれば、さらに確実に液体を移動させることができる。

【発明の効果】
【0035】
本発明の第1の観点に係る液浸露光装置によれば、液体が供給される空間であって投影手段と被露光体との間に構成される空間を囲うように撥水特性を有する液体保持部材が配置されているので、投影手段(投影レンズ)と被露光体との間に供給された液体を露光位置の変化に伴って的確に移動させることができ、空間外の被露光体上への液体の流出を防止することができる。
【0036】
本発明の第2の観点に係る液浸露光装置によれば、液体が供給される空間であって投影手段と被露光体との間に構成される空間を囲うように親水特性を有する液体保持部材が配置されているので、投影手段(投影レンズ)と被露光体との間に供給された液体を露光位置の変化に伴って的確に移動させることができ、空間外の被露光体上への液体の流出や滞留を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に、本発明に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有する範囲を包含し、以下に示す図面等に限定されない。
【0038】
以下に説明する実施の形態は、投影光学機構の被露光体側にある最終面(最終光学素子)と被露光体との間に供給される液体を介して、マスク(以下、「レチクル」という。)に形成された回路パターンをステップ・アンド・リピート方式やステップ・アンド・スキャン方式にて被露光体に露光する液浸型の投影露光装置に対して本願発明を適用した場合の実施形態である。
【0039】
本実施形態の液浸露光装置は、サブミクロンやクオーターミクロン以下のリソグラフィー工程に好適であり、本実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(「スキャナー」とも呼ばれる。)を例に説明する。
【0040】
「ステップ・アンド・スキャン方式」とは、レチクルに対して被露光体の被露光体(基板)を連続的にスキャン(走査)してレチクルパターンを被露光体に露光するとともに、1ショットの露光終了後に被露光体をステップ移動して、次の露光領域に移動する露光方法である。
【0041】
「ステップ・アンド・リピート方式」とは、被露光体の一括露光ごとに当該被露光体をステップ移動して次のショットの露光領域に移動する露光方法である。
【0042】
以下の説明においては、被露光体としてウエハを用いて説明するが、当該被露光体には液晶基板その他の被露光体を含む。
【0043】
〔第1実施形態〕
まず、図1から図5を用いて本発明に係る液浸露光装置の第1実施形態について説明する。特に、本実施形態では、液浸露光装置の構成を説明しつつ、第1実施形態について説明する。
【0044】
図1は、本実施形態の液浸露光装置の構成を示すブロック図であり、図2は、本実施形態の液体保持部材におけるA-A’を基準とした上部断面図である。また、図3は、本実施形態の液体保持部材におけるA-A’を基準とした側方断面図である。
【0045】
本実施形態の液浸露光装置100は、図1に示すように、光を照射する光照射装置110と、ウエハ50に転写すべき回路パターンを有するレチクル120と、レチクル120を載置するレチクルステージ130と、レチクル120に形成された回路パターンをウエハ50に投影する投影光学機構140と、を備える。
【0046】
また、この液浸露光装置100は、ウエハ50を載置するウエハステージ150と、レチクルステージ130とウエハステージ150の位置を測定する測距手段160と、レチクルステージ130とウエハステージ150の位置を制御するステージ制御部170と、液体Lをウエハ50の上面に形成された所定の空間に供給及び排出を行う液体給排装置200と、液体給排装置200を制御する液浸制御部180と、を備える。
【0047】
なお、例えば、本実施形態の光照射装置110は、本発明の照射手段を構成し、レチクル120は、本発明の遮光材を構成する。また、例えば、本実施形態の投影光学機構140は、本発明の投影手段を構成し、ウエハステージ150は、本発明の被露光体保持部材を構成する。さらに、例えば、本実施形態の液体給排装置200は、本発明の液体供給手段、液体排出手段及び液体保持部材を構成する。
【0048】
光照射装置110は、光源を有し、ウエハ50に転写するための転写用の回路パターンが形成されたレチクル120に光を照射するようになっている。
【0049】
例えば、本実施形態の光照射装置110は、波長約193nmのArFエキシマレーザ、波長約248nmのKrFエキシマレーザ等のレーザを照射する半導体レーザ回路を光源として有している。
【0050】
本実施形態の光照射装置110は、エキシマレーザに限定されず、例えば、波長約157nmのFレーザを光源とする半導体レーザ回路を有していてもよいし、複数の光源を有していてもよい。この光照射装置110は、レーザを照射するものに限定せずに、一又は複数の水銀ランプやキセノンランプ等のランプにて構成されていてもよい。
【0051】
また、本実施形態の光照射装置110は、レンズ、ミラー、オプティカルインテグレータ、絞り等を有し、例えば、コンデンサーレンズ、ハエの目レンズ、開口絞り、スリット、結像光学機構の順で構成される。
【0052】
なお、オプティカルインテグレータは、基本的には、ハエの目レンズや2組のシリンドリカルレンズアレイ(又はレンチキュラーレンズ)板を重ねることによって構成されるインテグレータを含むが、当該オプィカルインテグレータに代えて光学ロッドや回折素子を用いてもよい。
【0053】
レチクル120は、図示しないレチクル搬送機構により液浸露光装置100の外部から搬送され、所定の範囲を移動可能にレチクルステージ130に支持される。このレチクル120は、例えば、石英製で、その上にはウエハ50に転写されるべき回路パターンが形成されており、光が照射された際に発光し、投影光学機構140を介してウエハ50上に回路パターンを投影させる。
【0054】
このレチクル120は、ウエハ50と光学的に共役の関係になるように配置されており、当該ウエハ50とともに縮小倍率比の速度比にて走査される。
【0055】
なお、これにより、本実施形態の液浸露光装置100は、レチクル120のパターンをウエハ50上に転写することができるようになっている。ただし、ステップ・アンド・リピート方式の液浸露光装置100(「ステッパー」とも呼ばれる。)は、レチクル120とウエハ50を静止させた状態にて露光を行うようになっている。
【0056】
レチクルステージ130は、定盤131に取り付けられており、図示しないレチクルチャックを介してレチクル120を支持し、図示しない移動機構及びステージ制御部170によって移動制御される。
【0057】
なお、図示しない移動機構は、リニアモーター等で構成され、X軸方向にレチクルステージ130を駆動することでレチクル120を移動させる。
【0058】
投影光学機構140は、レチクル120に形成されたパターンを経た回折光をウエハ50上に結像する機能を有し、複数のレンズ素子のみからなる光学機構と、複数のレンズ素子と少なくとも一枚の凹面鏡とを有する光学機構(カタディオプトリック光学機構)と、複数のレンズ素子と少なくとも一枚のキノフォーム等の回折光学素子とを有する光学機構と、により構成される。
【0059】
なお、本実施形態の投影光学機構140は、色収差の補正が必要な場合には、互いに分散値(アッベ値)の異なるガラス材からなる複数のレンズ素子を用いる、又は、回折光学素子をレンズ素子と逆方向の分散が生じるように構成する。図1中、符号141は、投影光学機構140の最終面(下面)に位置するレンズ面であり、そのレンズ面141は、ウエハ50上の液体Lに接触するように配置される。
【0060】
ウエハ50は、図示しないウエハ搬送機構により液浸露光装置100の外部から搬送され、所定の範囲を移動可能にウエハステージ150に支持される。このウエハ50にはフォトレジストが塗布されている。
【0061】
なお、ウエハ50の端部から露光を開始するためには、ウエハ50の端部が露光領域(露光光が照射される領域)に到達する前に投影光学機構140の最終面(下面)の下に液膜を満たす必要があるので、本実施形態では、ウエハ50の外側に、ウエハ50とほぼ同じ高さの同面板(平面板)51が設けてある。
【0062】
ウエハステージ150は、定盤151に載置され、ウエハ50を支持する。このウエハステージ150は、ウエハ50の上下方向(鉛直方向)の位置や回転方向、傾きを調整、変更或いは制御する駆動装置を内蔵し、露光時には、駆動装置により投影光学機構140の焦点面にウエハ50上の露光領域が常に高精度に合致するように制御される。
【0063】
なお、ウエハ50上の面の位置(上下方向位置と傾き)は、図示しない光フォーカスセンサーによって計測され、ステージ制御部170に提供される。このとき、ウエハステージ150は、ウエハ50の所望のエリアを投影光学機構140の直下へ移動することや姿勢補正を行う。
【0064】
測距手段160は、レチクルステージ130及びウエハステージ150の二次元的な位置を参照ミラー161、162及びレーザ干渉計163、164を介してリアルタイムに計測し、測距結果をステージ制御部170に伝達する。
【0065】
ステージ制御部170は、図示しないシステム制御部の制御の下、位置決めや同期制御等レチクルステージ130とウエハステージ150の両ステージを一定の速度比率で駆動制御するようになっている。
【0066】
液浸制御部180は、ウエハステージ150の現在位置、速度、加速度、目標位置、移動方向といった情報をステージ制御部170から取得して、これらの情報に基づいて、液浸露光に係る制御を行う。すなわち、液浸制御部180は、液体Lの供給及び回収の切り替え、停止、供給及び回収する液体Lの量の制御等、制御指令を液体給排装置200の液体供給装置210や液体回収装置220に提供するようになっている。
【0067】
なお、液浸露光装置100は、図示しない環境チャンバの中に設置されており、当該液浸露光装置100を取り巻く環境が所定の温度に保たれており、レチクルステージ130、ウエハステージ150、レーザ干渉計163、164及びそれらを取り巻く空間や、投影光学機構140を取り巻く空間には、さらに個別に温度制御された空調空気が吹き込まれて、環境温度がさらに高精度に維持されている。
【0068】
液体給排装置200は、投影光学機構140とウエハ50との間の空間或いは間隙(以下、「液体保持空間」という。)を液体Lで充填する機能を有し、この液体保持空間に液体Lを供給する液体供給装置210と、当該液体保持空間に供給された液体Lを回収する液体回収装置220と、当該液体保持空間に供給された液体Lを保持するための撥水特性を有する液体保持部材230と、液体保持部材230に電圧を印加する電圧印加手段240と、を有する。
【0069】
なお、本実施形態においては、液体Lは、露光光の吸収が少ないものが選ばれ、さらに石英や蛍石等の屈折系光学素子とほぼ同程度の屈折率を有することが望まれる。具体的には、液体Lとしては、超純水、機能水、フッ化液(例えば、フルオロカーボン)等が候補として挙げられる。また、屈折率の高い液体を用いてもよく、解像度を向上させることが可能となる。屈折率の高い液体は特に限定されないが、炭化水素系の高屈折率材料を挙げることができる。
【0070】
ただし、この液体Lは、気泡の発生を抑制し、また、気泡が発生しても即座に液体L中に吸収できるように、あるいは液体外へ排出できるように、予め脱気装置を用いて溶存ガスが十分に取り除かれたものが好ましい。したがって、本実施形態では、例えば、環境気体中に多く含まれる窒素、酸素を対象とし、液体Lに溶存可能なガス量の80%以上を除去すれば、十分に気泡の発生を抑制することができるようになっている。もちろん、図示しない脱気装置を液浸露光装置100に備えて、常に液体L中の溶存ガスを取り除きながら液体供給装置210に液体Lを供給するように構成してもよい。
【0071】
脱気装置としては、例えば、ガス透過性の膜を隔てて一方に液体Lを流し、もう一方を真空にして液体L中の溶存ガスをその膜を介して真空中に追い出す、真空脱気装置が好適である。
【0072】
例えば、本実施形態の液体供給装置210は、本発明の液体供給手段を構成し、液体回収装置220は、本発明の液体排出手段を構成する。また、例えば、本実施形態の液体保持部材230は、本発明の液体保持部材を構成する。
【0073】
液体保持部材230は、撥水特性を有している。本実施形態の液体保持部材230は、電圧が印加されていない場合であっても撥水特性を有するが、電圧が印加された場合には、その撥水特性が向上するようになっている。
【0074】
なお、本実施形態の液体保持部材230は、アルミやステンレス鋼など、構成されているが、その表面(少なくとも、液体Lと対向する表面)にフッ素系樹脂等の撥水コーティング剤が塗布されていてもよい。また、本実施形態において、電圧が印加された場合であって、フッ化樹脂等の場合には、表面にアルミ等を塗布した構造材から形成されている。
【0075】
また、この液体保持部材230は、投影光学機構140の周囲に設けられ、当該投影光学機構140におけるウエハ50に対する露光位置が変化する際に、液体保持空間内に供給された液体Lを当該露光位置に保持する構成を有している。
【0076】
具体的には、本実施形態の液体保持部材230は、図2に示すように、投影光学機構140を囲うように、当該投影光学機構140にて形成される光路空間Cの中心を基準に所定の高さ(投影光学機構140の最終面からウエハ50の方向に所定の長さ)を有するリング形状またはレーストラック状にて構成されている。
【0077】
また、この液体保持部材230における外側の壁面(以下、単に「外側壁面」という。)231は、ウエハ50上面に対して垂直に形成されているとともに、内側の壁面、すなわち、光路空間C側に形成された側壁面(以下、単に「内側壁面」という。)232は、光路空間Cの中心方向へ所定の角度の傾斜を有し、外側壁面231と内側壁面232にてエッジ形状を構成している。すなわち、本実施形態の液体保持部材230は、外側壁面231と内側壁面232とで形成される断面が鋭角の三角形状を有しウエハ50上面に対向するように設けられ、光路空間Cの中心を基準としてリング形状またはレーストラック状にて構成されている。
【0078】
なお、本実施形態の液体保持部材230において、外側壁面231と内側壁面232とで形成される頂点233は、ウエハ50面と接触しないように構成され、例えば、液体保持部材230は、当該頂点233がウエハ50面から0.1mm程度の離隔した位置に配設されるように形成される。
【0079】
一方、本実施形態の液体保持部材230は、液体供給装置210から液体保持空間に液体Lを供給するための供給管250及び供給口251を有している。この供給口251は、内壁面の周方向に対して所定の間隔毎に設けられるとともに、図3に示すように、ウエハ50面の垂直方向に上下に設けられている。また、供給管250は、各供給口251に接続されるとともに、他端が液体供給装置210に接続されている。
【0080】
液体供給装置210は、液体保持部材230に設けられた供給管250を介して液体保持空間に液体Lを供給するようになっており、例えば、液体Lを貯めるタンク、液体Lを送り出す圧送装置、液体Lの供給流量の制御を行う流量制御装置、液体Lの供給温度を制御するための温度制御装置等を有している。
【0081】
液体回収装置220は、液体保持空間に保持されている液体Lを、回収管260を介して回収するようになっており、例えば、回収した液体Lを一時的に貯めるタンク、液体Lを吸い取る吸引装置、液体Lの回収流量を制御するための流量制御装置等を有している。
【0082】
なお、本実施形態の回収管260に接続された回収口261は、図3に示すように、投影光学機構140の中心を基準に液体保持部材230の内側に設けられている。
【0083】
電圧印加手段240は、図示しないシステム制御部の制御の下、5Vから10V程度の電圧を液体保持部材230に印加するようになっている。
【0084】
なお、本実施形態の電圧印加手段240は、液浸露光装置100が動作中に常に液体保持部材230に電圧を印加するようにしてもよいし、図示しないシステム制御部の制御の下、印加のタイミング又は電圧値等を切り換えるようにしてもよい。
【0085】
以上、本実施形態の液浸露光装置100は、投影光学機構140とウエハ50との間に構成される液体保持空間を囲う液体保持部材230が撥水特性を有しているので、投影光学機構140におけるウエハ50に対する露光位置が変化した場合に、液体保持部材230が移動し、それに伴って液体Lを移動させることができる。すなわち、本実施形態の液浸露光装置100は、液体保持部材230の撥水特性に基づく液体Lの表面張力と液体Lの粘性とを利用することによって、投影光学機構140におけるウエハ50に対する露光位置が変化した場合に、それに伴って液体Lを移動させることができる。
【0086】
したがって、本実施形態の液浸露光装置100は、投影光学機構140とウエハ50との間に供給された液体Lを露光位置の変化に伴って的確に移動させることができ、液体保持空間外のウエハ50上への液体の流出や当該液体の液体保持空間外における液体の滞留を防止することができる。
【0087】
また、本実施形態の液浸露光装置100は、液体保持部材230に静電界を印加すれば、液体Lが高抵抗である場合には、液体中の電界エネルギーは外部空間より小さくなるので、一層撥水効果を向上させることができる。その結果、投影光学機構140とウエハ50との間に供給された液体Lを露光位置の変化に伴ってさらに確実に移動させることができる。
【0088】
また、本実施形態の液浸露光装置100は、供給口251を内側壁面261に設けることにより、液体保持空間の外部への液体Lの流出を防止することができるので、光にて照射されて形成される高解像度の遮光材のパターンを的確にウエハ50に形成させることができる。
【0089】
なお、本実施形態の液浸露光装置100において、図4に示すような突起部分235を設けるようにしてもよい。
【0090】
具体的には、この突起部分235は、外側壁面231と内側壁面232とで形成される頂点233の部分に接合され、光路軸方向にその先端部が傾斜する円形リングを設けるようになっている。すなわち、この突起部分235は、図4に示すように、ウエハ50が光路軸を中心に半径方向外側に移動する場合には、当該移動方向と対向する方向に当該突起部分235が移動するため、液体Lを露光位置の変化に伴ってさらに確実に移動させることができるようになる。ただし、この場合であっても、この突起部分235は、ウエハ50面と接触しないように構成され、例えば、当該頂点233がウエハ50面から0.1mm程度の離隔した位置に配設されるように形成される。
【0091】
また、本実施形態の液浸露光装置100において、図5に示すように、光路空間Cの中心を基準に液体保持部材230の外側にさらに補助的な液体保持部材(以下、「補助的保持部材」という。)430を設け、当該補助的保持部材430に電圧を印加するようにしてもよい。
【0092】
この場合において、補助的保持部材430の液体保持部材230の内側壁面232からの距離dと液体保持部材230の内側壁面232から外側壁面231の距離dとの関係は(式1)に示すように定義され、投影光学機構140の外側の面の位置Xから液体保持部材230の内側壁面232の距離rは、(式2)のように機種によってベストな値を決定するようになっている。
【0093】
>d ・・・(式1)
【0094】
X≦r≦10mm ・・・(式2)
【0095】
また、本実施形態の液浸露光装置100は、撥水特性を有する部材にて液体保持部材230を構成しているが、親水特性を有する部材にて当該液体保持部材を構成するようにしてもよい。
【0096】
この場合において、一方、本実施形態の液体保持部材230は、後述する第2実施形態と同様に、供給口251に代えて、液体保持空間に液体Lを回収するための回収管及び回収口を備えており、回収管は、各回収口に接続されるとともに、他端が液体回収装置に接続されている。このため、液体Lは、液体Lを回収口を介して回収することができるようになっている。
【0097】
〔第2実施形態〕
次に、図6及び図7を用いて本発明に係る液浸露光装置の第2実施形態について説明する。
【0098】
本実施形態の液浸露光装置は、液体保持部材が撥水特性ではなく親水特性を有する点及びそのリング状の形状が異なる点を除き、第1実施形態と同様の構成をするため、同一部材には同一符号を付してその説明を省略する。
【0099】
ここでは、図6及び図7を用いて本実施形態の液浸露光装置の液体保持部材について説明する。図6は、本実施形態の液体保持部材におけるA-A’を基準とした上部断面図であり、図7は、本実施形態の液体保持部材におけるA-A’を基準とした側方断面図である。
【0100】
本実施携帯の液体保持部材330は、親水特性を有している。また、本実施形態の液体保持部材330は、電圧が印加されていない場合であっても親水特性を有するが、電圧が印加された場合には、その親水特性がさらに向上するようになっている。
【0101】
また、この液体保持部材330は、投影光学機構140の周囲に設けられ、当該投影光学機構140におけるウエハ50に対する露光位置が変化する際に、液体保持空間内に供給された液体Lを当該露光位置に保持する構成を有している。
【0102】
具体的には、本実施形態の液体保持部材330は、図6に示すように、投影光学機構140を囲うように、光路空間Cを基準に所定の高さを有するリング形状にて構成されている。
【0103】
この液体保持部材330における内側の壁面(以下、単に「内側壁面」という。)332は、ウエハ50上面に対して垂直に形成されているとともに、外側の壁面、すなわち、光路空間C側に形成された側壁面(以下、単に「内側壁面」という。)332は、中心方向へ所定の角度の傾斜を有し、外側壁面331と内側壁面332にてエッジ形状を構成している。すなわち、本実施形態の液体保持部材330は、第1実施形態とは外側壁面331と内側壁面332とで形状が反対になっており、当該外側壁面331と内側壁面332にて形成される鋭角の三角形状がウエハ50上面に対向するように、光路空間Cの中心を基準としてリング形状にて構成されている。
【0104】
本実施形態の液体保持部材330において、外側壁面331と内側壁面332とで形成される頂点333は、第1実施形態と同様に、ウエハ50面と接触しないように構成され、例えば、液体保持部材330は、当該頂点333がウエハ50面から0.1mm程度の離隔した位置に配設されるように形成される。
【0105】
一方、本実施形態の液体保持部材330は、液体保持空間に液体Lを回収するための回収管260及び回収口261を有している。この回収口261は、内壁面の周方向に対して所定の間隔毎に設けられるとともに、図7に示すように、ウエハ50面の垂直方向に上下に設けられている。また、回収管260は、各回収口261に接続されるとともに、他端が液体回収装置220に接続されている。
【0106】
以上、本実施形態の液浸露光装置100は、投影光学機構140とウエハ50との間に構成される液体保持空間を囲う液体保持部材330が親水特性を有しているので、投影光学機構140におけるウエハ50に対する露光位置が変化した場合に、液体保持部材330が移動し、それに伴って液体Lを移動させることができる。すなわち、本実施形態の液浸露光装置100は、液体保持部材330の親水特性に基づく液体Lの表面張力と液体Lの粘性とを利用することによって、投影光学手段140におけるウエハ50に対する露光位置の変化した場合に、それに伴って液体Lを移動させることができる。
【0107】
したがって、本実施形態の液浸露光装置100は、投影光学機構140とウエハ50との間に供給された液体Lを露光位置の変化に伴って的確に移動させ、液体保持空間外のウエハ50上への液体Lの流出や当該液体Lが液体保持空間外で滞留するのを防止することができる。
【0108】
また、本実施形態の液浸露光装置100は、液体保持部材330に静電界を印加すれば、液体Lが高抵抗である場合には、液体中の電界エネルギーは外部空間より小さくなるので、一層親水効果をより向上させることができる。その結果、液体保持空間に供給された液体Lを露光位置の変化に伴ってさらに確実に移動させることができる。
【0109】
また、本実施形態の液浸露光装置100は、回収口261を内側壁面332に配することによりに、液体保持空間外への液体Lの流出や滞留を防止し、高解像度の遮光材のパターンを的確にウエハ50に形成させることができる。
【0110】
なお、本実施形態の液浸露光装置100は、液体保持部材330の内側壁面332に回収口261を配設してあるが、図6に示すように内側壁面332及び外側壁面331に又は外側壁面331のみに回収口261を配設してもよい。この場合に、液体Lが保持されている空間内からはみ出した液体Lをも回収することができるので、空間内に液体Lを安定的に保持することができる。
【0111】
また、本実施形態の液浸露光装置100において、図8に示すような突起部分335を設けるようにしてもよい。
【0112】
具体的には、この突起部分335は、外側壁面331と内側壁面332とで形成される頂点333の部分に接合され、光路軸の中心を基準にその先端が半径方向外側に傾斜する円形リングを設けるようにしてもよい。すなわち、この突起部分335は、図8に示すように、ウエハ50が光路軸の中心方向に移動する場合には、ウエハ50の移動する方向と対向する方向に突起部分335が移動するため、液体Lを露光位置の変化に伴ってさらに確実に液体Lを回収することができるようになる。ただし、この場合であっても、この突起部分335は、ウエハ50面と接触しないように構成され、例えば、当該頂点333がウエハ50面から0.1mm程度の離隔した位置に配設されるように形成される。
【0113】
また、本実施形態の液浸露光装置100において、第1実施形態と同様に、図9に示すように、基準に液体保持部材330の外側にさらに補助的保持部材530を設け、当該補助的保持部材530に電圧を印加するようにしてもよい。
【0114】
また、本実施形態の液浸露光装置100は、親水特性を有する部材にて液体保持部材330を構成しているが、撥水特性を有する部材にて当該液体保持部材を構成するようにしてもよい。
【0115】
この場合において、一方、本実施形態の液体保持部材230は、第1実施形態と同様に、回収口261に代えて、供給口を設け、液体Lを適宜供給するようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係る液浸露光装置の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の液体保持部材におけるA-A’を基準とした上部断面図である。
【図3】第1実施形態の液体保持部材におけるA-A’を基準とした側方断面図である。
【図4】第1実施形態の液体保持部材のその他の例(i)である。
【図5】第1実施携帯の液体保持部材のその他の例(ii)である。
【図6】第2実施形態の液体保持部材におけるA-A’を基準とした上部断面図である。
【図7】第2実施形態の液体保持部材におけるA-A’を基準とした側方断面図である。
【図8】第2実施形態の液体保持部材のその他の例(i)である。
【図9】第2実施携帯の液体保持部材のその他の例(ii)である。
【符号の説明】
【0117】
C…光路空間
L…液体
50…ウエハ
100…液浸露光装置
110…光照射装置
120…レチクル
130…レチクルステージ
131…定盤
140…投影光学機構
141…レンズ面
150…ウエハステージ
151…定盤
160…測距手段
170…ステージ制御部
180…液浸制御部
200…液体給排装置
210…液体供給装置
220…液体回収装置
230、330…液体保持部材
231、331…外側壁面
232、332…内側壁面
233、333…頂点
240…電圧印加手段
250…供給管
251…供給口
260…回収管
261…回収口
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8