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明細書 :Zn-Al共析系合金接合材、Zn-Al共析系合金接合材の製造方法、Zn-Al共析系合金接合材を用いた接合方法及びZn-Al共析系合金接合材を用いた半導体装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4803834号 (P4803834)
公開番号 特開2009-113050 (P2009-113050A)
登録日 平成23年8月19日(2011.8.19)
発行日 平成23年10月26日(2011.10.26)
公開日 平成21年5月28日(2009.5.28)
発明の名称または考案の名称 Zn-Al共析系合金接合材、Zn-Al共析系合金接合材の製造方法、Zn-Al共析系合金接合材を用いた接合方法及びZn-Al共析系合金接合材を用いた半導体装置
国際特許分類 B23K  35/28        (2006.01)
B23K  35/40        (2006.01)
C22C  18/04        (2006.01)
C22F   1/16        (2006.01)
B23K  20/00        (2006.01)
C22F   1/00        (2006.01)
FI B23K 35/28 310D
B23K 35/40 340H
C22C 18/04
C22F 1/16 B
B23K 20/00 310A
B23K 20/00 310M
B23K 20/00 310L
C22F 1/00 630K
C22F 1/00 630M
C22F 1/00 614
C22F 1/00 622
C22F 1/00 623
C22F 1/00 650A
C22F 1/00 661A
C22F 1/00 682
C22F 1/00 683
C22F 1/00 691B
C22F 1/00 691C
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2007-285825 (P2007-285825)
出願日 平成19年11月2日(2007.11.2)
審査請求日 平成22年11月1日(2010.11.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
発明者または考案者 【氏名】大貫 仁
【氏名】田代 優
【氏名】本橋 嘉信
【氏名】佐久間 隆昭
【氏名】クウ キュウ ピン
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100074631、【弁理士】、【氏名又は名称】高田 幸彦
審査官 【審査官】小谷内 章
参考文献・文献 特開平09-312295(JP,A)
特開平02-088735(JP,A)
特開平04-210448(JP,A)
特開2003-130014(JP,A)
特開平11-222643(JP,A)
特開昭52-045567(JP,A)
調査した分野 B23K 35/00-35/40
B23K 20/00-20/26
C22C 18/00-18/04
特許請求の範囲 【請求項1】
半導体基体をセラミック基板もしくは金属基板に接合するための接合層を形成する合金接合材であって、前記合金接合材は、17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Zn系からなり、等軸粒状の微細組織を有し、200~410℃の温度領域で超塑性現象を発現し、280~410℃から徐冷することによって超塑性を発現しない層状の金属組織に変態することを特徴とするZn-Al共析系合金接合材。
【請求項2】
半導体基体をセラミック基板もしくは金属基板に接合するための合金接合材であって、前記合金接合材は、17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Zn共析系合金を溶解鋳造し、これを280~410℃の温度で30分~3時間保持した後、-4~20℃の水中で急冷した鋳塊を更に150~270℃の温度範囲において厚さ0.1~1mmの帯状に圧延加工して製造されることを特徴とするZn-Al共析系合金接合材の製造方法。
【請求項3】
半導体基体とセラミック基板もしくは金属基板との間に17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Zn系からなるZn-Al共析系合金接合材を介在し、該接合材を280~410℃に加熱し、超塑性を発現する状態で1~30分間保持した後徐冷することを特徴とする接合方法。
【請求項4】
半導体基体とセラミック基板もしくは金属基板との間に17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Zn系からなるZn-Al共析系合金接合材を介在し、該接合材を200~275℃に加熱し、超塑性を発現する状態で1~30分間保持した後、280~410℃に昇温後徐冷することを特徴とする接合方法。
【請求項5】
半導体基体、半導体基体に直接またはセラミック基板を介して接合層によって接合された金属基板を備え、接合層が17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Zn系からなるZn-Al共析系合金接合材からなり、接合時に超塑性現象を発現し、接合後は超塑性を発現しない金属組織を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基体が炭化珪素であることを特徴とする請求項5項記載の半導体装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は超塑性現象を利用して対象物を接合するZn-Al共析系合金接合材、Zn-Al共析系合金接合材の製造方法、Zn-Al共析系合金接合材を用いた接合方法及びZn-Al共析系合金接合材を用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体素子のダイボンデイング、パワーモジュールにおける半導体素子の実装基板への接合及び実装基板の放熱板への接合にはんだ接合が従来から使用されている。はんだ材としては鉛-錫系合金、Zn-Al共晶系合金が周知で、鉛-錫合金系は錫の添加量を調整することにより低温はんだ及び高温はんだを実現し、Zn-Al共晶系合金は鉛フリーの高温はんだとして使用されている。Zn-Al共晶系合金はんだの場合、液相状態から固相状態に凝固する過程で接合が行われる。この際、体積収縮が発生し、大きな熱応力が発生し、大きな残留応力をもつ固相になる。更に、脆いZn-rich相(β相)が大部分を占めるため、強度に問題が残る。これらの点から、Zn-Al共晶系合金はんだを用いて接合した場合、温度変化や機械的なストレスによって接合部に亀裂が入り易くなり、接合部の寿命が短くなること、及び過酷なヒートサイクルや外力が加わる用途には適用できなくなるという問題がある。
【0003】
環境対応ハイブリッド車の燃費向上及びコスト低減には、モータ制御に用いられるインバータ用IGBTモジュールの動作温度を高めることが極めて有効である。最高動作温度を現状の120℃から200℃に高めることが実現できれば、冷却装置を水冷方式から空冷方式に変更が可能になり、大幅な軽量化が期待できる。IGBTモジュールの200℃動作の実現に際して、半導体自体には基本的に障害はなく、インバータを構成するMOS型パワーデバイスのはんだ接合に使用する高温はんだ合金の実現が課題となっている。
【0004】
高温はんだ合金の一例として、1~7質量%Al-0.5~6質量%Mg-1~25質量%Sn-Znからなり300℃程度の融点を有するZn-Al共晶系合金はんだが提案されている(特許文献1)。

【特許文献1】特開平11-207487号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたZn-Al共晶系合金はんだは、300℃程度の融点を有し、鉛を使用しない点で環境性に優れた高温はんだであるが、接合に溶融工程及び凝固工程を経る必要があり、接合部が高い脆性を有しているという問題が残されている。
【0006】
本発明の目的は鉛フリーで高い融点を有しかつ固相状態で接合が可能なZn-Al共析系合金接合材を提供することにある。
本発明の他の目的はZn-Al共析系合金接合材の製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的はZn-Al共析系合金接合材を用いた接合方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的はZn-Al共析系合金接合材を使用した半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明Zn-Al共析系合金接合材の特徴とするところは、17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Znからなり、超塑性現象を利用して対象物を接合する点にある。Alを17~30質量%にする理由は250℃以上の高温で使用できるZn-Al共析系合金において超塑性を発現するために必要な組成範囲であること、Cu及びMgを添加する理由は強度の向上及び微細組織の安定化を図ることにある。Zn-Al共析系合金の強度は温度が上昇すると徐々に低下し、430℃を超えると急激に低下する特性を示す。Cu及びMgを添加すると温度上昇に伴う強度の低下を抑制することが可能となる。詳述すると、CuはAl-rich及びZn-rich相の何れにも固溶し、両相の強化(主に固溶強化)に寄与する。Mgは合金の粒界や異相境界に偏析し、粒界や異相境界の移動を抑制する働きがあり、結晶粒組織を微細な状態に保持する効果がある。しかしながら、添加量が多過ぎると延性が低下し脆性が現れる。従って、添加量は0~1.5質量%Cu及び0~0.5質量%Mgが好ましい。このような特徴を有するZn-Al共析系合金は、等軸粒状の微細組織を有し、200~410℃の温度領域で超塑性現象を発現し、280~410℃から徐冷することによって超塑性を発現しない層状の金属組織に変態するため、この金属組織の変態を利用することによって半導体基体をセラミック基板もしくは金属基板に接合するための接合層を形成する本発明の接合材として使用される。
【0008】
本発明Zn-Al共析系合金接合材の製造方法の特徴とするところは、17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Zn共析系合金を溶解鋳造し、これを280~410℃の温度で30分~3時間保持した後、-4~20℃の水中で急冷する点にある。この処理によって、等軸粒状の微細組織が形成される。急冷後のZn-Al共析系合金の鋳塊は、半導体とセラミック基板もしくは金属基板との接合材として、更に150~270℃の温度範囲において厚さ0.1~1mmの帯状に圧延加工される。このような組織を持つZn-Al共析系合金は低変形応力で大きな延性を示す超塑性を生じる。
【0009】
本発明Zn-Al共析系合金接合材を用いた第1の接合方法の特徴は固相にて対象物を接合することにある。固相には完全な固相と固相と液相が混合した半溶融状態を含み、具体的には次の接合方法がある。
第1の接合方法の特徴とするところは、第1の部材及び第2の部材の接合する面にZnまたはZn-Al系合金の被膜を形成し、第1の部材と第2の部材との間に17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Zn系からなるZn-Al共析系合金接合材を介在し、該接合材を加熱して固相状態で接合した後徐冷する点にある。この接合方法は超塑性を100%利用した固相による接合であるため低変形応力となる。超塑性を発現する組織は強度が低いけれど、接合後の徐冷によって超塑性を発現しない層状の強度の高い金属組織になる。この結果、低変形応力で接合強度の高い接合部を実現することが出来る。
また、第1の部材及び第2の部材がそれぞれ半導体基体及びセラミック基板もしくは金属基板である場合は、半導体基体とセラミック基板もしくは金属基板との間に17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Zn系からなるZn-Al共析系合金接合材を介在し、該接合材を280~410℃に加熱し、超塑性を発現する状態で1~30分間保持した後徐冷する接合方法、又は200~275℃に加熱し、超塑性を発現する状態で1~30分間保持した後、280~410℃に昇温後徐冷する接合方法である。
第2の接合方法の特徴とするところは、第1の部材と第2の部材との間に17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Zn系からなるZn-Al共析系合金接合材を介在し、該接合材を加熱して半溶融状態にした後徐冷する点にある。この接合方法は超塑性100%利用することは出来ないが、固液2相で超塑性のような変形が生じる状態で接合するため、第1の接合方法より劣るが共晶系合金を使用する場合に比較して低変形応力となる。接合後の徐冷によって超塑性を発現しない2種類の層状の強度の高い金属組織になる。この結果、低変形応力で接合強度の高い接合部を実現することが出来る。
【0010】
本発明半導体装置の特徴とするところは、半導体基体、半導体基体に直接またはセラミック基板を介して接合層によって接合された金属基板を備え、接合層が17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Zn系からなるZn-Al共析系合金接合材からなり、接合時に超塑性現象を発現し、接合後に超塑性を発現しない金属組織を有する点にある。超塑性接合材を用いて接合するメリットは、接合時には超塑性を利用して固相状態でかつ低変形応力で接合でき、接合後は超塑性を発現せず延性と機械的強度を持つ接合部を実現できることである。接合部が接合後において超塑性を発現しない金属組織になっていることは、過酷なヒートサイクルで使用される半導体装置においては必須の要件である。
半導体基体としては、シリコン、化合物半導体、炭化珪素が使用できる。本発明Zn-Al共析系合金接合材の特徴の一つは高い融点を有する点にあり、この点から半導体基体に炭化珪素を使用すると高温動作が可能な半導体装置を実現できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明Zn-Al共析系合金接合材は17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Znからなっているため、250℃以上の高温で使用でき、かつ超塑性現象を利用して対象物を固相状態で接合することが可能になり、延性があり長寿命の接合部を実現できる。また、本発明Zn-Al共析系合金接合材を使用した半導体装置は、接合材が接合時には超塑性を発現し、接合後は超塑性を発現しない金属組織になっているため、過酷なヒートサイクルに耐えかつ長寿命の接合部を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の最良の実施形態は、接合する対象物である一対の被接合材の間にZn-Al共析系合金接合材を介在した状態で加熱してZn-Al共析系合金接合材に超塑性を発現して固相状態で被接合材を接合し、接合後はZn-Al共析系合金接合材を徐冷して超塑性を発現しない金属組織にする使い方である。特に、半導体装置の接合材としての用途が本発明Zn-Al共析系合金接合材の効果を発揮できる分野である。
【実施例1】
【0013】
表1に種々の組成を有するZn-Al共析系合金接合材を準備し、被接合材を接合した後における接合層の延性特性及び強度特性を比較した結果を示す。No.1からNo.9の接合材は表に示す組成の合金を溶解鋳造し、これを280~410℃の温度で30分~3時間保持した後、-4~20℃の水中で急冷して製造したものを被接合材の間に介在して超塑性を発現する温度範囲において固相状態で接合した後徐冷した。No.10の接合材については表に示す組成の合金を溶製したものを被接合材の間に介在して360℃で加熱・溶融後凝固した。
【0014】
【表1】
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表1から明らかなように、No.1~3のZn-Al共析系合金接合材はCuを0.15質量%添加しMgを添加しないもので、超塑性を発現する微細粒状組織は高温で強度が低く耐クリープ性も低いが、接合後は超塑性を発現しない層状組織となり強度及び耐クリープ抵抗が大きくなる。No.4~6のZn-Al共析系合金接合材はCuを0.5質量%、Mgを0.02質量%それぞれ添加したもので、No.1~3のZn-Al共析系合金接合材に比較して超塑性を発現する温度が高くなり、接合後の層状組織はNo.1~3のZn-Al共析系合金接合材に比較して強度や耐クリープ抵抗が大きくなる。No.7~9Zn-Al共析系合金接合材はCuを1.0質量%、Mgを0.03質量%それぞれ添加したもので、No.1~6のZn-Al共析系合金接合材に比較して超塑性を発現する温度が高くなり、No.1~6のZn-Al共析系合金接合材に比較して強度や耐クリープ抵抗が大きい。これに対し、比較例として示したNo.10のZn-Al共晶系合金接合材は微細粒状組織でないため超塑性を発現せず、接合後は脆いZn-rich相が多いため強度特に衝撃強度が低い。以上のように、本発明Zn-Al共析系合金接合材は超塑性を発現して固相状態で接合でき、接合後は強度及び耐クリープ性の点で優れていることが分かる。比較例として示した従来のZn-Al共晶系合金接合材は超塑性を発現しないため液相が存在する温度範囲での接合となり、接合部の強度は低くなる。
【実施例2】
【0015】
図1は本発明Zn-Al共析系合金接合材の製造方法の工程図で、縦軸に処理温度、横軸に時間を採ってTMT(Thermo-Mechanical Treatment:加工熱処理)線図として示してある。まず、17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Znからなる組成のZn-Al共析系合金を準備し、室温から345±65℃まで加熱して所定時間(例えば30分~3時間)保持して溶体化処理した後、-4~20℃の水中で急冷する。20℃の水中で急冷したときはそのままの状態で所定時間(例えば10分~1時間)保持し、-4℃の水中で急冷したときは急冷後20~50℃の温度に10分~1時間保持した後室温に戻す。この処理によって、図2に示す超塑性を発現する等軸粒状の微細組織が形成される。図2(a)は22質量%Al-0.15質量%Cu-Zn共析系合金接合材の組織を示す電子顕微鏡写真で、平均粒径dが0.87μm、1.9μm、3.9μmの場合を示している。図2(b)は22質量%Al-1.0質量%Cu-0.03質量%Mg-Zn共析系合金接合材の組織を示す電子顕微鏡写真である。次に、等軸粒状の微細組織化されたZn-Al共析系合金を150~270℃で加熱しながら圧延して所定厚さ(0.1~1mm)に加工する。これによって得られた帯状のZn-Al共析系合金接合材が出来上がる。接合材として使用するときには、接合個所の面積に応じた寸法に切断して被接合材の間に介在する。
【実施例3】
【0016】
本発明Zn-Al共析系合金接合材を用いた第1の接合方法を説明する。まず、接合する第1の部材と第2の部材の接合する面にZnまたはZn-Al系合金の被膜を(ドブ付け法などにより)形成する。第1の部材と第2の部材との間に17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Zn系からなる板状または箔状のZn-Al共析系合金接合材を介在し、280~410℃(α’領域)または200~275℃(α+β領域)の温度領域で1~30分加熱して接合材に超塑性を発現して、固相状態で接合する。本発明のZn-Al共析系合金接合材は275℃以下では(α+β)の2相合金状態が熱力学的に安定相であるので、熱処理後は共析変態により(α+β)の2相状態になる。280~410℃の接合では接合後に徐冷する。200~270℃の接合では、接合後280~410℃の範囲に昇温後徐冷する。これによって、接合材(接合層)は図3に示す超塑性を発現しない層状の金属組織になる。図3(a)は22質量%Al-0.15質量%Cu-Zn共析系合金接合材を用いて接合した後徐冷した場合の接合部の金属組織を、図3(b)は22質量%Al-1.0質量%Cu-0.03質量%Mg-Zn共析系合金接合材を用いて接合した後徐冷した場合の接合部の金属組織をそれぞれ示す電子顕微鏡写真である。図から分かるように、図2に示す等軸粒状の微細組織が層状の金属組織になっていることが分かる。等軸粒状の微細組織は高温での強度が低くかつ耐クリープ性も低いが、接合によって強度及び耐クリープ性の高い層状の金属組織に変わることにより、強度及び耐クリープ性の高い接合部を実現できる。
【実施例4】
【0017】
本発明Zn-Al共析系合金接合材を用いた第2の接合方法を説明する。接合する第1の部材と第2の部材との間に17~30質量%Al-0~1.5質量%Cu-0~0.5質量%Mg-Zn系からなる板状または箔状のZn-Al共析系合金接合材を介在し、430~480℃の温度領域で1~30分加熱する。これによって接合材は固相と液相が混在した半溶融状態になる。この状態を所定時間保持した後徐冷する。徐冷により半溶融状態の接合材は凝固するが、このとき図4に示すように等軸粒状の微細組織の固相部分が残り、その後の冷却により2種類の層状組織が混在した金属組織になる。図4は22質量%Al-0.15質量%Cu-Zn共析系合金接合材を用いて接合した後徐冷した場合の接合部の金属組織を示す電子顕微鏡写真である。層状組織であるので超塑性を発現しない。従って、半溶融状態で接合しても固相状態で接合する場合に比較すれば多少劣るが、従来例に比較すれば強度及び耐クリープ性の優れた接合部が得られる。
【実施例5】
【0018】
図5は本発明Zn-Al共析系合金接合材を使用したダイオードを示す。図において、1は底部が閉鎖され上端が開放された例えば銅製の円筒状ヒートシンク、2はダイオード機能を備えたシリコンチップ、3は銅-インバー(鉄ニッケル合金)-銅からなる緩衝板、4は円板部4aと円板部から垂直に伸びるリード4bとからなるリード電極で、円筒状ヒートシンク1の底部上にZn-Al共析系合金接合材5を介して緩衝板3が、その上にZn-Al系合金接合材6を介してシリコンチップ2が、その上にZn-Al共析系合金接合材7を介してリード電極4の円板部4aが接合されている。シリコンチップ2、緩衝板3及び円板部4aのZn-Al共析系合金接合材と接する面にはNi-Pめっき膜を形成している。8は円筒状ヒートシンク1内に充填したシリコンゴムである。かかる構成のダイオードは所定数の貫通孔を有する冷却フィンの貫通孔に圧入されて自動車用整流装置に使用される。この種整流装置はエンジンルームに配置され、熱的及び機械的に過酷な環境で使用されることから、高温でかつ機械的強度の高い接合材が要求されている。本発明Zn-Al共析系合金接合材を使用することにより、250℃以上の高温に耐え、延性と強度を有する接合部を実現できる。この実施例ではシリコンチップを使用した場合を説明したが、シリコンチップの代わりに炭化珪素チップを使用することが出来る。炭化珪素チップは500℃でも安定した特性を保持できることから、接合材が固液共有状態に相変態する温度近くまで使用可能な高温ダイオードを実現できる。
【実施例6】
【0019】
図6、図7及び図8は本発明Zn-Al共析系合金接合材を用いた300A級IGBTモジュールの平面図及び断面図を示したものである。
図6は本発明の一実施例であり、1個の300A級モジュール単位の平面図を示したものである。また、図7は図6のA-Aに沿う断面図、図8は図6のB-B線に沿う断面図である。図において、101は放熱板及び支持板として機能する金属基板、102は金属基板101上に2枚並べてZn-Al共析系合金接合層103により固着された例えばAlNからなるセラミックス基板、104は各セラミックス基板102上に形成した例えばNi/Cuからなる回路層で、回路層104は分離された異なる形状を有する3個の部分、即ち、T字型のコレクタ共通電極となる第1の部分104a、エミッタ電極となる片状の第2の部分104b、ゲート電極となる片状の第3の部分104cからなり、第1の部分104aが中央部に、第1の部分104aの脚部一側に第2の部分104bが、他方側に第3の部分104cが配置されている。第2の部分104b及び第3の部分104cはNi層上にAl層105が形成されている。106はそのアノード側が回路層104の第1の部分104aの脚部上に3個並べてZn-Al共析系合金接合層107を介して接合されたIGBTチップ、108はそのカソード側が第1の部分104aの上辺部上にZn-Al共析系合金接合層109を介して接合されたダイオードチップ、110はIGBTチップ106のエミッタ層上に形成したAlを主成分とする金属層111と第2の部分104b上のAl層105とを超音波ボンディングによって接続した直径500μmAl-0.1~1質量%X(Cu、Fe、Mn、Mg、Co、Li、Pd、Ag、Hfから選ばれた少なくとも一種類の金属)ボンディングワイヤ、112はIGBTチップ105のゲート層上に形成したAlを主成分とする金属層113と第3の部分104c上のAl層105とを超音波ボンディングによって接続した直径500μmAl-0.1~1質量%X(同上)ボンディングワイヤ、114はダイオードチップ108のアノード層上に形成したAlを主成分とする金属層115と第2の部分104b上のAl層105とを超音波ボンディングによって接続したAl-0.1~1質量%X(同上)ボンディングワイヤである。これによって、1枚のセラミックス基板102上に3個の並列接続されたIGBTチップ106と1個のダイオードチップ108とが逆並列接続された回路要素が形成され、1枚の金属基板101上に2個の回路要素が形成される。インバータを構成する場合には、1枚の金属基板101上の2個の回路要素を直列接続し、これを3個並列接続して、各回路要素の接続点を交流出力端子に、並列接続点を直流入力端子にすればよい。電流容量を増やすときはIGBTチップ106及びダイオードチップ108の並列接続数を増やし、高電圧化するときはIGBTチップ106及びダイオードチップ108の直列接続数を増やせばよい。
【実施例7】
【0020】
図9は本発明Zn-Al共析系合金接合材を使用した電力用MOSトランジスタを示す概略断面図である。図において、21は放熱板及び支持板として機能する金属基板、22は金属基板21上にZn-Al共析系合金接合層23により固着された例えばAlNからなるセラミックス基板、24はセラミックス基板22上にZn-Al共析系合金接合層25により固着された電力用MOSトランジスタ基体、26、27及び28は電力用MOSトランジスタ基体のアノード領域、カソード領域及びゲート領域に設けられたアルミニウムからなるアノード電極、カソード電極及びゲート電極である。ゲート電極28は当然のことながら絶縁層29を介してゲート領域上に設けられている。30及び31はカソード電極27及びゲート電極28にZn-Al共析系合金接合層32及び33により固着されたカソード外部電極及びゲート外部電極である。これらカソード外部電極30及びゲート外部電極31は間に例えば樹脂を充填して一体構造にしてもよい。この実施例の特徴は、カソード電極27及びゲート電極28とカソード外部電極30及びゲート外部電極31をボンディングワイヤを使用せずに直接接合している点にある。この実施例におけるMOSトランジスタ基体24はシリコン及び炭化珪素を使用することが出来る。炭化珪素基体を使用する場合には炭化珪素が500℃でも安定した特性を保持できることから、接合材が固液共有状態に相変態する温度近くまで使用可能な高温MOSトランジスタを実現できる。
【0021】
本発明Zn-Al共析系合金接合材はIGBTモジュールに限らず一般のパワーモジュール、ダイオードモジュールなどに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明Zn-Al共析系合金接合材の製造方法の工程を示すTMT線図である。
【図2】超塑性を発現するような微細等軸粒状組織化にされた本発明Zn-Al共析系合金接合材の組織を示す顕微鏡写真である。
【図3】第1の接合方法において接合後徐冷した本発明Zn-Al共析系合金接合材の組織を示す顕微鏡写真である。
【図4】第2の接合方法において接合後徐冷した本発明Zn-Al共析系合金接合材の組織を示す顕微鏡写真である。
【図5】本発明Zn-Al共析系合金接合材を使用したダイオードの概略断面図である。
【図6】本発明Zn-Al共析系合金接合材を使用したIGBTモジュールの概略平面図である。
【図7】第6図のA-A線に沿う概略断面図である。
【図8】第6図のB-Bに沿う概略断面図である。
【図9】本発明Zn-Al共析系合金接合材を使用した電力用MOSトランジスタの概略平面図である。
【符号の説明】
【0023】
1・・・円筒状ヒートシンク、2・・・シリコンチップ、3・・・緩衝板、4・・・リード電極、5,6,7・・・Zn-Al共析系合金接合材、8・・・シリコンゴム。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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