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明細書 :電子顕微鏡システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3020157号 (P3020157)
登録日 平成12年1月14日(2000.1.14)
発行日 平成12年3月15日(2000.3.15)
発明の名称または考案の名称 電子顕微鏡システム
国際特許分類 H01J 37/22      
H01J 37/244     
H01J 37/26      
FI H01J 37/22 501A
H01J 37/244
H01J 37/26
請求項の数または発明の数 9
全頁数 13
出願番号 特願平10-274098 (P1998-274098)
出願日 平成10年9月28日(1998.9.28)
審査請求日 平成10年9月29日(1998.9.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390002901
【氏名又は名称】科学技術庁金属材料技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】木本 高義
審査官 【審査官】堀部 修平
参考文献・文献 特開 平5-343020(JP,A)
特開 平7-272665(JP,A)
特開 平10-255709(JP,A)
特開 昭59-65783(JP,A)
調査した分野 H01J 37/22 501
H01J 37/26
H01J 37/29
H01J 37/295
H01J 37/244
要約 【課題】 低温および高温環境下でも高分解能で試料の観察を行なうことのできる、新しい電子顕微鏡装置を提供する。
【解決手段】 パルス電圧印加手段(36)、マイクロチャネルプレート(4)、およびCCD撮影機(6)が備えられており、パルス電圧印加手段(36)によりマイクロチャネルプレート(4)に短時間幅のパルス電圧が印加され、マイクロチャネルプレート(4)に入力された電子顕微鏡像(3)が印加パルス電圧の短時間幅で連続して出力され、この短時間幅での連続電子顕微鏡像(3)がCCD撮影機(6)により順次撮影される。
特許請求の範囲 【請求項1】
パルス電圧印加手段、マイクロチャネルプレート、およびCCD撮影機が備えられており、
パルス電圧印加手段によりマイクロチャネルプレートに短時間幅のパルス電圧が印加され、マイクロチャネルプレートに入力された電子顕微鏡像が印加パルス電圧の短時間幅で連続して出力され、この短時間幅での連続電子顕微鏡像がCCD撮影機により順次撮影されることを特徴とする電子顕微鏡装置。

【請求項2】
パルス電圧印加手段、マイクロチャネルプレート、CCD撮影機、撮影像取込手段、位置ズレ計算手段、補正手段、および重合手段が備えられており、
パルス電圧印加手段によりマイクロチャネルプレートに短時間幅のパルス電圧が印加され、マイクロチャネルプレートに入力された電子顕微鏡像は印加パルス電圧の短時間幅で連続して出力され、この電子顕微鏡像がCCD撮影機により順次撮影され、
撮影像取込手段により撮影像が順次コンピュータのRAMに取り込まれ、位置ズレ計算手段によりRAMに記憶された撮影像間の位置ズレが計算され、補正手段により位置ズレを相殺補正した補正像が得られ、重合手段により補正像を重ね合わせた重合像が得られ、続けて位置ズレ計算手段により重合像と連続する他の撮影像間の位置ずれが計算され、補正手段により位置ズレを相殺補正した補正像が得られ、重合手段により補正像を重ね合わさせた重合像が順次得られる電子顕微鏡装置。

【請求項3】
パルス電圧印加手段、マイクロチャネルプレート、CCD撮影機、位置ズレ計算手段、シフト制御手段、電源部およびイメージシフト用偏向電磁石が備えられており、
パルス電圧印加手段によりマイクロチャネルプレートに短時間幅のパルス電圧が印加され、マイクロチャネルプレートに入力された電子顕微鏡像は印加パルス電圧の短時間幅で連続して出力され、この電子顕微鏡像がCCD撮影機により順次撮影され、
位置ズレ計算手段により任意の二枚の撮影像間の位置ズレが計算され、シフト制御手段により、位置ズレを相殺するように電子顕微鏡像をシフトさせる電流をイメージシフト用偏向電磁石に流すように電源部が制御され、イメージシフト用偏向電磁石により電源部からの電流に従って電子顕微鏡像がシフトされる電子顕微鏡装置。

【請求項4】
電子顕微鏡像がシフトされた後直ちに、再び、パルス電圧印加手段によりマイクロチャネルプレートに短時間幅のパルス電圧が印加され、マイクロチャネルプレートに入力された電子顕微鏡像は印加パルス電圧の短時間幅で連続して出力され、この電子顕微鏡像がCCD撮影機により順次撮影される請求項3の電子顕微鏡装置。

【請求項5】
撮影像取込手段、位置ズレ計算手段、補正手段、および重合手段が備えられており、
撮影像取込手段により撮影像が順次コンピュータのRAMに取り込まれ、
位置ズレ計算手段によりRAMに記憶された撮影像間の位置ズレが計算され、補正手段により位置ズレを相殺補正した補正像が得られ、重合手段により補正像を重ね合わせた重合像が得られ、続けて位置ズレ計算手段により重合像と連続する他の撮影像間の位置ずれが計算され、補正手段により位置ズレを相殺補正した補正像が得られ、重合手段により補正像を重ね合わさせた重合像が順次得られる請求項4の電子顕微鏡装置。

【請求項6】
パルス電圧印加手段は、ドリフト中の試料の格子像を撮影できる程度に短い時間幅のパルス電圧を印加する請求項1ないし5のいずれかの電子顕微鏡装置。

【請求項7】
CCD撮影機の撮影制御手段が備えられており、撮影制御手段により、パルス電圧の短時間幅と同調させて撮影するように、または一定時間内に所望の枚数を撮影するようにCCD撮影機が制御されている請求項1ないし6のいずれかの電子顕微鏡装置。

【請求項8】
位置ズレ計算手段は、一撮影像または一重合像において注目領域を指定し、次の撮影像において検索領域を指定し、検索領域内において注目領域と同一な領域を検索し、注目領域に対する同一領域の位置ズレを計算することで撮影像間または重合像と撮影像間の位置ズレを計算する請求項2ないし7のいずれかの電子顕微鏡装置。

【請求項9】
位置ズレ計算手段は、検索領域を指定する際に、一回目は注目領域の中心位置と同一の中心位置となるように、二回目以降は同一領域の中心位置と同一の中心位置となるように指定する請求項8の電子顕微鏡装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【01】

【発明の属する技術分野】この出願の発明は、電子顕微鏡装置に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、低温および高温環境下でも、高分解能で試料の観察を行なうことのできる、新しい電子顕微鏡装置に関するものである。

【02】

【従来の技術とその課題】従来より、電子顕微鏡を用いた試料の顕微像観察では、高い分解能での観察を行なうために、たとえば写真フィルムへの撮影に、通常2~4秒程度の時間を必要としていた。しかしながら、低温または高温環境下において電子顕微鏡像を観察すると、試料のわずかな温度変動に起因する試料のドリフトや試料を冷却するための液体ヘリウムの蒸発やヘリウムの循環に起因する試料の振動が生じてしまう。このため、2~4秒程度もの撮影時間で撮影していたのでは、ドリフトや振動の影響により撮影像の分解能が室温環境下での分解能に比べて著しく低い、たとば約1/10以下となってしまい、低温下での試料の顕微像観察を高分解能で行なうことは困難であるといった問題があった。

【03】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、低温および高温環境下でも、高分解能で試料の観察を行なうことのできる、新しい電子顕微鏡装置を提供することを目的としている。

【04】

【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、パルス電圧印加手段、マイクロチャネルプレート、およびCCD撮影機が備えられており、パルス電圧印加手段によりマイクロチャネルプレートに短時間幅のパルス電圧が印加され、マイクロチャネルプレートに入力された電子顕微鏡像が印加パルス電圧の短時間幅で連続して出力され、この短時間幅での連続電子顕微鏡像がCCD撮影機により順次撮影されることを特徴とする電子顕微鏡装置(請求項1)と、パルス電圧印加手段、マイクロチャネルプレート、CCD撮影機、撮影像取込手段、位置ズレ計算手段、補正手段、および重合手段が備えられており、パルス電圧印加手段によりマイクロチャネルプレートに短時間幅のパルス電圧が印加され、マイクロチャネルプレートに入力された電子顕微鏡像は印加パルス電圧の短時間幅で連続して出力され、この電子顕微鏡像がCCD撮影機により順次撮影され、撮影像取込手段により撮影像が順次コンピュータのRAMに取り込まれ、位置ズレ計算手段によりRAMに記憶された撮影像間の位置ズレが計算され、補正手段により位置ズレを相殺補正した補正像が得られ、重合手段により補正像を重ね合わせた重合像が得られ、続けて位置ズレ計算手段により重合像と連続する他の撮影像間の位置ずれが計算され、補正手段により位置ズレを相殺補正した補正像が得られ、重合手段により補正像を重ね合わさせた重合像が順次得られる電子顕微鏡装置(請求項2)と、パルス電圧印加手段、マイクロチャネルプレート、CCD撮影機、位置ズレ計算手段、シフト制御手段、電源部、およびイメージシフト用偏向電磁石が備えられており、パルス電圧印加手段によりマイクロチャネルプレートに短時間幅のパルス電圧が印加され、マイクロチャネルプレートに入力された電子顕微鏡像は印加パルス電圧の短時間幅で連続して出力され、この電子顕微鏡像がCCD撮影機により順次撮影され、位置ズレ計算手段により任意の二枚の撮影像間の位置ズレが計算され、シフト制御手段により、位置ズレを相殺するように電子顕微鏡像をシフトさせる電流をイメージシフト用偏向電磁石に流すように電源部が制御され、イメージシフト用偏向電磁石により電源部からの電流に従って電子顕微鏡像がシフトされる電子顕微鏡装置(請求項3)とを提供する。

【05】
また、この出願の発明は、上記の装置において、電子顕微鏡像がシフトされた後直ちに、再び、パルス電圧印加手段によりマイクロチャネルプレートに短時間幅のパルス電圧が印加され、マイクロチャネルプレートに入力された電子顕微鏡像は印加パルス電圧の短時間幅で連続して出力され、この電子顕微鏡像がCCD撮影機により順次撮影されること(請求項4)や、撮影像取込手段、位置ズレ計算手段、補正手段、および重合手段が備えられており、撮影像取込手段により撮影像が順次コンピュータのRAMに取り込まれ、位置ズレ計算手段によりRAMに記憶された撮影像間の位置ズレが計算され、補正手段により位置ズレを相殺補正した補正像が得られ、重合手段により補正像を重ね合わせた重合像が得られ、続けて位置ズレ計算手段により重合像と連続する他の撮影像間の位置ずれが計算され、補正手段により位置ズレを相殺補正した補正像が得られ、重合手段により補正像を重ね合わさせた重合像が順次得られること(請求項5)や、パルス電圧印加手段は、ドリフト中の試料の格子像を撮影できる程度に短い時間幅のパルス電圧を印加すること(請求項6)や、CCD撮影機の撮影制御手段が備えられており、撮影制御手段により、パルス電圧の短時間幅に同調させて撮影するように、または一定時間内に所望の枚数を撮影するようにCCD撮影機が制御されていること(請求項7)や、位置ズレ計算手段は、一撮影像または一重合像において注目領域を指定し、次の撮影像において検索領域を指定し、検索領域内において注目領域と同一な領域を検索し、注目領域に対する同一領域の位置ズレを計算することで撮影像間または重合像と撮影像間の位置ズレを計算すること(請求項8)や、位置ズレ計算手段は、検索領域を指定する際に、一回目は注目領域の中心位置と同一の中心位置となるように、二回目以降は同一領域の中心位置と同一の中心位置となるように指定すること(請求項9)などもその態様として提供する。

【06】


【07】


【08】

【発明の実施の形態】以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。

【09】

【実施例】図1は、この出願の発明の一実施例である電子顕微鏡装置を例示した要部構成図である。この図1に例示した電子顕微鏡装置では、電子銃(1)からの電子線(18)が各種レンズ等を通って試料(2)に照射され、試料(2)を透過した電子線(18)が各種レンズ等を通って電子レンズにより結像されて、試料の電子顕微鏡像(3)が得られる従来の透過型電子顕微鏡(=TEM)が利用されており、この透過型電子顕微鏡における電子顕微鏡像(3)の出力側には、図2にも例示したようなマイクロチャネルプレート(=MCP)(4)が備えられ、このマイクロチャネルプレート(4)の出力側にはCCD撮影機(6)が備えられている。また後述する図3(b)に例示したようなパルス電圧印加手段(36)も備えられている。

【10】
また、図1に示した例では、マイクロチャネルプレート(4)と電子顕微鏡像(3)の出力側との間に鉛製筒状のX線遮蔽手段(5)が設けられており、またマイクロチャネルプレート(4)とCCD撮影機(6)との間にはYAG蛍光板(7)、プリズム(8)、および投影レンズ(9)が配設されている。CCD撮影機(6)の周辺機器としては、CCD撮影機(6)の撮影を制御する撮影制御手段(16)およびCCD撮影機(6)を冷却する冷却水等の物質を循環させる冷却物質循環器(17)が備えられている。

【11】
このような構造を有する電子顕微鏡装置において、電子顕微鏡(3)はX線遮断手段(5)を通ってマイクロチャネルプレート(4)に入力される。このマイクロチャネルプレート(4)では、たとえば図3(a)に例示したように、その両端に順方向の電圧を印加した場合にのみ入力された電子の個数が増幅されながら通過する。したがって、図3(b)に例示したようにパルス電圧印加手段(36)により、マイクロチャネルプレート(4)の両端に順方向の短時間幅パルス電圧が印加されると、入力された電子顕微鏡像(3)はマイクロチャネルプレート(4)から印加パルス電圧の短時間幅で連続して出力するようになる。

【12】
そして、マイクロチャネルプレート(4)から短時間幅で出力した連続電子顕微鏡像(3)は、YAG蛍光板(7)を通り、プリズム(8)によって分光され、投影レンズ(9)を通ってCCD撮影機(6)に入射し順次撮影される。このようにして電子顕微鏡像(3)を短時間間隔で撮影、つまり高速撮影することができ、よって高温または低温環境下においても試料の電子顕微鏡像(3)の撮影分解能を向上することできる。

【13】
ここで、パルス電圧印加手段(36)は、ドリフト中の試料の格子像を撮影できる程度に短い時間幅のパルス電圧を印加することが好ましく、この短時間幅は、たとえば50ナノ秒等のように極めて短時間であり、短ければ短いほどよい。また、CCD撮影機(6)は、撮影制御手段(16)により、パルス電圧の短時間幅と同調させて撮影するように、または一定時間内に所望の枚数を撮影するように制御されていることが好ましい。

【14】
このような短時間幅のパルス電圧印加および撮影制御によって、電子顕微鏡像(3)の撮影分解能をさらに向上させて、ドリフト中の試料から格子像の撮影を実現することができる。また、図1に示した例では、エアーシリンダ(10)が、その可動部がマイクロチャネルプレート(4)とYAG蛍光板(7)とプリズム(8)とを固定した設置台(11)(図2においては内蔵器)に接続されて、備えられており、このエアーシリンダ(10)の可動部を引き出し・格納させることで任意に設置台(11)(または内蔵器)、つまりマイクロチャネルプレート(4)とYAG蛍光板(7)とプリズム(8)を電子顕微鏡像(3)の出力側に設けることができ、電子顕微鏡像(3)の高速撮影を必要時、たとえば高温または低温環境下での観察時において任意に行えるようになっている。

【15】
なお、図1においては、プリズム(8)により分光された電子顕微鏡像(3)の他方が、シャッター(30)、YAG蛍光板(31)、および光ファイバープレート(32)を介してCCD撮影機(33)によって撮影され、その撮影像が撮影機コントローラ(34)を介してコンピュータ本体(13)に送られ、コンピュータ本体(13)により電子顕微鏡像(3)の回折強度が計測されるようにもなっている。

【16】
また、CCD撮影機(6)としては、CCDカメラやCCDビデオカメラなどを用いることができるが、電子顕微鏡像(3)の撮影をより高速に行う観点からCCDカメラの方が好ましい。CCDカメラは、画像の蓄積と高速読込の両方が可能なデュアルモードのものがより好ましく、この場合短時間撮影時には高速読込モードを使用する。

【17】
ところで、上述のように高速撮影された電子顕微鏡像(3)は、結像に寄与する電子の個数が少ない、つまりS/N比が低いために、画質の低下が生じる恐れがある。そこで、この発明の装置では、以下のようにして撮影像のS/N比の向上を図ることができる。すなわち、たとえば図4に例示したように、撮影像取込手段(37)、位置ズレ計算手段(38)、補正手段(39)、および重合手段(40)が備えられ、まず、撮影像取込手段(37)によりCCD撮影機(6)により撮影された連続撮影像が順次コンピュータ本体(13)のRAM(41)に取り込まれる。次いで、位置ズレ計算手段(38)によりRAM(41)に記憶された撮影像間の位置ズレが計算され、補正手段(39)により位置ズレを相殺補正した補正像が得られ、重合手段(40)により補正像を重ね合わせた重合像が得られ、続けて位置ズレ計算手段(37)により重合像と連続する他の撮影像間の位置ずれが計算され、補正手段(38)により位置ズレを相殺補正した補正像が得られ、重合手段(39)により補正像を重ね合わさせた重合像が順次得られる。そして、最終的に得られた一枚の重合像がS/N比の良好な撮影像となる。

【18】
この場合さらに説明すると、図1に例示した装置では、記憶手段(12)と、CPUやRAMメモリ等を備えたコンピュータ本体(13)と、モニタ(14)およびプリンタ(15)等の周辺装置とによりなるコンピュータシステムが接続されており、このコンピュータシステムにおいて、撮影像取込手段(37)、位置ズレ計算手段(38)、補正手段(39)、および重合手段(40)はそれぞれ、図4に例示したように上述の各処理を行うソフトウェアとされている。また、コンピュータ本体(13)内のRAM(41)は、複数の撮影像を記憶することのできる容量(たとえば一枚2MBの撮影像を160枚記憶できる容量)を有するものが用いられており、記憶手段(12)は、磁気ディスクや光ディスクなどのデータ記憶媒体とすることができる。この記憶手段(12)は、図1に例示したように別体ではなく、コンピュータ本体(13)に内蔵されていてもよい。CCD撮影機(6)による撮影像は、コンピュータ本体(13)のRAM(41)に記憶させるためにデジタルデータである必要があり、たとえば撮影制御手段(16)にA/D変換器を内蔵させて、このA/D変換器により撮影像をデジタルデータに変換することができる。

【19】
このようなコンピュータシステムにおいて、ソフトウェアである撮影像取込手段(37)、位置ズレ計算手段(38)、補正手段(39)、および重合手段(40)がそれぞれコンピュータ本体(13)のCPU等により実行されると、まず、撮影像取込手段(37)により撮影像が順次コンピュータ本体(13)のRAM(41)に記憶される。この記憶は、たとえば毎秒5枚の速さで行うことができる。

【20】
次いで、位置ズレ計算手段(38)により、RAM(41)に記憶された一枚目の撮影像に対する二枚目の撮影像の位置ズレが計算され、補正手段(39)によりその位置ズレを相殺するように二枚目の撮影像が補正されて補正像が得られ、この補正像が、重合手段(40)により一枚目の撮影像に重ね合わされて重合像が得られる。

【21】
続いて、位置ズレ計算手段(38)により重合像に対する三枚目の撮影像の位置ずれが計算され、補正手段(39)により三枚目の撮影像が位置ズレを相殺するように補正され、得られた補正像が重合手段(40)により重合像に重ね合わされて次の重合像が得られる。そして、この一連の位置ズレ計算、位置ズレ補正および画像重合せ処理が、重合像および連続する他の撮影像に順次施されて、最終的に一枚の重合像が得られる。

【22】
ここで、位置ズレ計算手段(38)による位置ズレ計算処理をより具体的に説明する。まず、図5(a)に例示したように一枚目の撮影像において任意範囲の注目領域K(Kernel Areaとも呼ぶ)を指定し、図5(b)に例示したように二枚目の撮影像において検索領域I(Search Areaとも呼ぶ)を指定する。検索領域Iは、注目領域Kの中心位置と同じ中心位置であり、注目領域Kの範囲よりも大きな範囲を有するものである。この中心位置(図中x印)とは、各領域における対称軸の交点の位置のことである。

【23】
この検索領域I内において注目領域Kと同一な領域(同一領域Sと呼ぶ)が検索される。たとえば、まず検索領域Iにおいて注目領域Kと同範囲な領域(同範囲領域Rと呼ぶ)を一画素ずつずらし、各位置における同範囲領域R内の画像強度と注目領域K内の画像強度との差分の総和が計算される。この計算は、たとえば次式により行われる。

【24】

【数1】
JP0003020157B1_000002t.gif【0025】但し、K(i,j)およびI(i,j)はそれぞれ、注目領域Kおよび検索領域Iそれぞれにおける各画素(i,j)の強度値である。なお、強度値は、電子顕微鏡像が濃淡画像であるのでその輝度値(濃度値)である。次いで、この数1の計算により得られた差分総和=o(n,m)が最小となる(n,m)が検索される。つまり、差分総和が最も小さくなる同範囲領域Rが注目領域Kと同一な領域Sであるとして検索される。

【26】
そして、検索された同一領域Sの注目領域Kに対する位置ズレ、たとえば中心位置のズレ距離およびズレ方向が計算されて、この位置ズレが撮影像間の位置ズレとされる。図5(c)に例示した同一領域Sは、図5(a)における注目領域Kと比べて右上方向にずれており、そのズレ方向およびズレ距離と同じ方向および距離だけ、図5(c)の撮影像全体も図5(a)の撮影像に対してずれていることがわかり、このズレが、コンピュータにより、上述した位置ズレ計算手段(38)の一連の処理が実行されて自動認識されるのである。

【27】
このような位置ズレ計算の後、補正手段(39)により二枚目の撮影像に位置ズレの相殺補正が施される。この相殺補正は、たとえば二枚目の撮影像の中心位置が、ズレ方向とは反対方向にズレ距離分だけずらされて、一枚目の撮影像の中心位置と一致するように行われる。そして、このように位置ズレ相殺補正されて得られた補正像が、重合手段(40)により、一枚目の撮影像に重ね合わされて重合像が得られる。この重ね合わせは、両撮影像における対応する各画素の強度値が加算されることにより行われる。

【28】
続いて、上述の一連の各処理が重合像と連続する他の撮影像とに対して施すのであるが、位置ズレ計算手段(38)は、検索領域Iを指定する際に、一回目の位置ズレ計算では注目領域Kの中心位置と同一の中心位置となるように指定し、、二回目以降の計算では順次、図5(d)に例示したように前回の計算時に検索された同一領域Sの中心位置と同一の中心位置となるように指定することが好ましい。このように二回目以降における検索領域Iを順次ずらしていくことにより(範囲は同じまま)、検索時間を大幅に削減することができる。

【29】
以上のようにして得られた一枚の重合像は、複数枚の撮影像がそれぞれの位置が揃えられて重ね合わされて成るものなので、高いS/N比を有しており、したがって、S/N比の向上が実現され、画質の良い撮影像で試料の電子顕微鏡像を観察することができるようになる。なお、以上の説明では、便宜上、撮影像を一枚目、二枚目・・・としているが、RAMに記憶された連続する撮影像において、必ず一枚目の撮影像から処理する必要はなく、任意の一撮影像を一枚目の撮影像として選ぶことができ、それ以降の撮影像も、連続して二枚目、三枚目・・・としても、任意の枚数毎に二枚目、三枚目・・・としてもよい。

【30】
また、位置ズレ計算手段(38)による位置ズレ計算処理の前には、公知のフラットフィールディング処理を各取込撮影像に施して、さらなるS/N比の向上を図るようにされていてもよい。さらにまた、重合像には、公知のフーリエ変換によるノイズ除去を施しても、S/N比をより高くすることができる。図1に例示した装置におけるコンピュータシステムにおいては、位置ズレ計算手段(38)、補正手段(39)、および重合手段(40)による一連の各処理が実行される際、図6に例示したような処理表示がモニタ(14)に現れるようになっている。この図6に例示した処理表示において、読込画像表示部(42)には位置ズレ計算処理および位置ズレ補正処理が施される撮影像が表示され、重合像表示部(43)には重ね合わせ処理により得られた重合像が表示され、さらに実寸表示部(44)には注目領域Kおよび重合像が実寸で表示される。検索領域Iの範囲については、スライド式選択部(45)により、注目領域Kよりどの程度大きなものとするかを、たとえば注目領域Kの周りのピクセル量をもって、任意に選択できるようになっている。

【31】
各手段による各処理は、撮影像リスト表示部(46)に表示される撮影像のリストの中から、開始撮影像指定部(47)および終了撮影像指定部(48)において開始撮影像および終了撮影像を選択するだけで、開始撮影像から終了撮影像までの全ての撮影像が位置ズレ補正され、全ての補正像が重ね合わされて最終重合像が得られるまで、全て自動でコンピュータにより行なわれるようになっている。さらにまた、この全自動処理だけでなく、一部手動処理も可能となっている。すなわち、位置ズレ計算および補正処理の度に、読込画像表示部(42)においてRAM(41)に記憶された撮影像が順次読み込まれて表示され、各撮影像を実際に確認し、たとえば鮮明でないものなどを省きながら、それらの処理を施すに好ましい選択像を操作者が手動選択でき、さらに重合処理により得られた重合像を実際に重合像表示部(48)で確認し、十分なS/N比を得られたとした場合に処理の継続を任意に終了することができるようになっている。

【32】
ここで、この発明の装置を用いて、実際に試料(2)の電子顕微鏡像(3)を撮影したのでその結果を例示する。図7(a)は、一枚目の撮影像を拡大例示したもの、図7(b)は、一枚目の撮影像の撮影時から6秒経過した時の30枚目の撮影像を拡大例示したものであり、そして図7(c)は、図7(a)の一枚目の撮影像から図7(b)の30枚目の撮影像までの各連続撮影像29枚を位置ズレ補正して重ね合わせた最終重合像を拡大例示したものである。各撮影像の撮影時間は0.1秒である。これら図7(a)(b)と比較して図7(c)の最終重合像は、画質が明らかに向上していることがわかる。なお、図7(a)における矢印bおよびcは、それぞれ、この実施例において試料(2)として用いたBi2223と呼ばれる酸化物高温超伝導体(結晶)の結晶b軸方向およびc軸方向を示している。

【33】
また、図8(a)(b)は、各々、従来通りに撮影時間1秒および100m秒で電子顕微鏡像を一回撮影した際の撮影像を拡大例示したものであり、図8(c)は、図7(c)の最終重合像において位置ズレ補正・重合により発生した画像右端・上端部のズレ部分を削除した重合像を例示したものである。これら図8(a)(b)(c)に例示した各撮影像における1画素のS/N比(×√30)は、順に9.5、3.0、16.4となっており、この発明による図8(c)の最終重合像は、各段にS/N比が高く、良い画質となっていることがわかる。

【34】
ところで、上述した高速撮影や画像調整などは、電子顕微鏡像(3)の撮影および撮影像の画質調整に関するものである。しかしながら、撮影像をより効果的に鮮明なものとして、低温および高温環境下での電子顕微鏡像(3)のより優れた観察を実現するためには、電子顕微鏡像(3)自体に対してドリフトの影響を抑制する対応を施すことが望ましい。

【35】
そこで、この発明の装置は、図9および図10に例示したように、パルス電圧印加手段(36)、マイクロチャネルプレート(4)およびCCD撮影機(6)の他に、位置ズレ計算手段(49)、シフト制御手段(50)、電源部(20)およびイメージシフト用偏向電磁石(19)を備え、位置ズレ計算手段(49)により任意の二枚の撮影像間の位置ズレが計算され、シフト制御手段(50)により、位置ズレを相殺するように電子顕微鏡像(3)をシフトさせる電流をイメージシフト用偏向電磁石(19)に流すように電源部(20)が制御され、イメージシフト用偏向電磁石(19)により電源部(20)からの電流に従って電子顕微鏡像(3)がドリフト発生前の位置にシフトされるようになっている。

【36】
この場合さらに説明すると、位置ズレ計算手段(49)およびシフト制御手段(50)は、コンピュータシステムにおいて、上述の処理を行うソフトウェアとされている。その他のパルス電圧印加手段(36)、マイクロチャネルプレート(4)およびCCD撮影機(6)は、前述した図1~図3に例示したものと同じものが用いられる。また、コンピュータ本体(13)と電源部(20)とはA/D変換器(21)を介して接続されており、電源部(20)はイメージシフト用偏向電磁石(19)に接続されている。

【37】
このような構成を有する電子顕微鏡装置においては、まず、予め電流とその電流による実際の電子顕微鏡像(3)のシフトとの関係を求めておくコイルキャリブレーションを行っておく必要がある。すなわち、まず、イメージシフト用偏向電磁石(19)に流すX方向とY方向の電流制御用の電圧値と、その電圧値に従ったイメージシフト用偏向電磁石(19)により実際に移動する電子顕微鏡像(3)の移動方向および移動量とのキャリブレーションを行う。パルス電圧印加手段(36)、マイクロチャネルプレート(4)およびCCD撮影機(6)により上述したように電子顕微鏡像(3)の3枚の撮影像を短時間撮影する。一枚目は電流を流さずイメージシフトを働かせない場合の撮影像、二枚目はX方向に一定電圧を印加してイメージシフトを働かせた場合の撮影像、三枚目はX方向に一定電圧を印加してイメージシフトを働かせた場合の撮影像とする。一定電圧の印加は電源部(20)により行われる。

【38】
これら3枚の撮影像に対して、位置ズレ計算手段(49)により位置ズレ計算処理を施す。この位置ズレ計算処理は、前述したように位置ズレ計算手段(38)により行われた処理と同様にして、一枚目の撮影像において注目領域Kを指定し、二枚目および三枚目それぞれにおいて検索領域Iを指定し、それぞれの検索領域I内において注目領域Kと同一な領域Sを検索し、この同一領域Sと注目領域Kとの位置ズレを計算することにより、一枚目の撮影像と二枚目および三枚目それぞれの撮影像との位置ズレが計算される。この位置ズレにより、X方向およびY方向それぞれへの一定電圧によりどれだけの位置ズレ、つまり電子顕微鏡像(3)のイメージシフトが実現されるかが求められる。さらに、このキャリブレーションを電子顕微鏡の倍率毎に行っておく。

【39】
このようなコイルキャリブレーションは、実際のイメージシフトを効果的に実現させるために極めて重要な準備事項であり、キャリブレーションに用いた3枚の撮影像は、室温状態であって、電子顕微鏡像(3)のドリフトがほとんどない状態において、短時間に連続的に撮影されることが好ましい。そして、コイルキャリブレーションの結果、つまり倍率毎におけるX方向およびY方向の一定電圧と位置ズレ値との関係は、低温または高温環境下での電子顕微鏡像(3)の観察時に使用できるように記憶される。

【40】
さて、低温または高温環境下での電子顕微鏡像(3)の観察では、まず、パルス電圧印加手段(36)、マイクロチャネルプレート(4)およびCCD撮影機(6)により上述したように得られる電子顕微鏡像(3)の短時間幅での連続撮影像の中から、二枚の撮影像が任意に選択され、これらの撮影像間の位置ズレが位置ズレ計算手段(49)により計算される。この位置ズレ計算は、前述した位置ズレ計算手段(38)による計算と同様にして行われる。

【41】
次いで、シフト制御手段(50)により、位置ズレ方向および位置ズレ距離などの位置ズレ値に基づき、それらを相殺するように電子顕微鏡像(3)をシフトさせる電流、つまり電子顕微鏡像(3)を静止させる電流をイメージシフト用偏向電磁石(19)に流すように電源部(20)が制御される。具体的には、予め記憶されている上述のコイルキャリブレーションの結果を用いて、計算された位置ズレ値に対応する一定電圧値をイメージシフト用偏向電磁石(19)に印加するように電源部(20)が制御される。シフト制御手段(50)からの制御信号は、A/D変換器(21)を介して電源部(20)に送られる。

【42】
そして、イメージシフト用偏向電磁石(19)により、電源部(20)からの印加電圧による電流に従って電子顕微鏡像(3)が、ドリフトが発生する前の位置にシフトされる。つまり電子顕微鏡像(3)自体からドリフトによるシフト影響を取り除くことができる。以上のシフト後直ちに、再びパルス電圧印加手段(36)、マイクロチャネルプレート(4)およびCCD撮影機(6)を用いて前述したように電子顕微鏡像(3)の高速撮影を行うことにより、ドリフトの影響が除去されたさらに鮮明な撮影像を得ることができるようになる。

【43】
このように、この発明の装置では、リアルタイムに、コンピュータにより電子顕微鏡像(3)に対してドリフトの影響を除去するイメージシフトを働かせつつ、短時間露出の高速撮影を連続的に行うことにより、試料(2)が低温・高温環境下においてドリフトしても、電子顕微鏡像(3)はドリフトせず、よってドリフト影響のない撮影像を観察することができ、さらに高分解能で低温・高温環境下での試料の観察が実現される。

【44】
なお、以上の位置ズレ計算、イメージシフト制御などの一連の各処理は、コンピュータにより連続して行われるようになっていてもよい。この場合では、たとえば、まずモニタ(14)に撮影像が順次表示されるとともに、モニタ(14)上の撮影像には注目領域Kと検索領域Iとが常に表示されており、操作者が、このモニタ(14)上の連続撮影像を見ながら、なるべく明瞭で小さなマーク(たとえば格子像)が注目領域Kの中に入った瞬間に、たとえばモニタ(14)上に表示されているスタートボタンをマウスやキーボード等の入力により選択する。このスタートボタンの選択を持って、コンピュータが上述の一連の処理を行う。

【45】
ところで、たとえば図9および図11にも例示したように、従来一般の電子顕微鏡では、試料(2)を冷却するために冷却物質(22)、たとえば液体ヘリウムが用いられており、この冷却物質(22)をポンプなどの循環装置(26)により循環路(27)を介して循環させて、試料(2)を冷却する。そして、温度調整装置(24)およびTilt調整装置(25)などにより調節しながら、循環冷却物質(22)をヒータ(23)で加熱して、その温度を調整することにより、試料(2)の温度を調整している。

【46】
しかしながら、このように冷却物質(22)を加熱する方式では、冷却物質(22)が蒸発する場合があり、冷却物質(22)の循環そのものによる振動とこの蒸発による振動とにより、試料(2)が振動してしまうことがあった。この振動も、ドリフトとともに電子顕微鏡像の撮影像を悪化させる要因となっている。そこで、この発明の装置では、このような冷却媒質(22)の蒸発に起因する試料(2)の振動を防ぐために、ヒータ(23)を用いず、冷却物質(22)の流量を調整する冷却物質調整手段が備えられており、この冷却物質調整手段による流量調整によって試料(2)の温度制御を行う。

【47】
冷却物質(22)の流量調製は、たとえば冷却物質(22)の循環のオン・オフを断続的に切り替え、そのオン・オフの時間間隔を調製することにより行うことができる。たとえば、この冷却物質調整手段としては、図11に例示したような既存の循環装置(26)に対し、たとえばガス流量計(28)との間に、図12のように循環制御装置(29)を連結し、この循環制御装置(29)により、所望の時間間隔で循環装置(26)のオン・オフを制御して、冷却物質(22)の流量のオン・オフを断続的に切替えて、試料(2)の温度を調整できるようにすることができる

【48】
ヘリウム等の冷却物質(22)の流量をオフにし(たとえばオフ時間を55±5秒間とする)、その流れを遅くすれば(=低流量時)、試料(2)の振動が抑制されるようになる。したがって、流量のオオフ制御時に、前述した短時間連続撮影を行うことにより、振動の影響が抑制された高分解能の撮影像を得ることができる。

【49】
もちろん、冷却物質(22)をヒータ(23)で加熱する場合に比べて、冷却物質(22)の蒸発が抑制されるので、容器内の冷却物質(22)をより長時間保持することができる。ヘリウム等の冷却物質(22)の注入作業は大変であり、温度の再調整も必要となり、また冷却物質(22)がなくなると温度が急激に上昇して観察領域が汚れてしまうといったことが発生するので、冷却物質(22)の流量制御は、試料(2)の振動抑制だけではなく、冷却物質(22)の長時間保持の利点をも有している。また、ヒータ(23)を使用しないことにより冷却物質(22)の急激な蒸発に伴う試料(2)の振動も抑制でき、この場合の振動抑制は、150Kから室温までの比較的高温環境下において特に有効である。

【50】
なお、流量をオフするという表現を用いているが、これは完全に流量を遮断することではなく、流れを振動が起こらない程度に少量にするということを意味している。図13(a)(b)は、各々、循環制御装置(29)により循環装置(26)をオンおよびオフした場合それぞれにおける試料(2)の電子顕微鏡像(3)の撮影像を例示したものであり、これら図13(a)(b)から明らかなように、試料(2)の振動が抑制されて、より鮮明な撮影像が得られたことがある。

【51】
なお、このような冷却物質(22)の流量調整による試料(2)の温度調整では、試料(2)の振動は抑制できるが、試料(2)の温度変動が大きくなり、試料(2)のドリフトの速さがより速くなってしまう恐れもあるが、前述した位置ズレ計算手段(49)、シフト制御手段(50)、電源部(51)およびイメージシフト用偏向電磁石(19)などによるリアルタイムの試料(2)のドリフト抑制調整を組み合わせることにより、試料(2)の振動およびドリフトの影響を排除することができる。

【52】
また、試料(2)の温度調整としては、上述した冷却物質(22)の流量調整だけでなく、たとえば図9に例示したように、レーザー発生器や各種光学系から成るレーザー照射手段(51)およびレーザー強度調整手段(図示していない)とが備えられ、レーザー照射手段(51)により試料(2)に照射されるレーザの照射強度をレーザー強度調整手段により調整することにより試料の温度制御を行なうこともできる。

【53】
このレーザー照射手段(51)およびレーザー強度調整手段を用いたレーザー照射による試料温度制御は、単独でも効果的に試料(2)の振動を抑制することができ、また上述したこの発明の装置に組み込まれても、さらに効果的に試料(2)振動抑制を実現することができる。もちろん、この発明は以上の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。

【54】

【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によって、低温および高温環境下でも、高分解能で試料の観察を行なうことのできる、新しい電子顕微鏡装置が提供される。
図面
【図2】
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【図13】
1
【図1】
2
【図3】
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【図4】
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【図7】
5
【図5】
6
【図8】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
11
【図12】
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