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明細書 :試料中の微量元素を測定する方法、微量元素とフッ化物との共沈を抑制する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3755039号 (P3755039)
公開番号 特開2005-049170 (P2005-049170A)
登録日 平成18年1月6日(2006.1.6)
発行日 平成18年3月15日(2006.3.15)
公開日 平成17年2月24日(2005.2.24)
発明の名称または考案の名称 試料中の微量元素を測定する方法、微量元素とフッ化物との共沈を抑制する方法
国際特許分類 G01N   1/28        (2006.01)
G01N  27/62        (2006.01)
FI G01N 1/28 X
G01N 27/62 V
請求項の数または発明の数 10
全頁数 9
出願番号 特願2003-204828 (P2003-204828)
出願日 平成15年7月31日(2003.7.31)
審査請求日 平成15年7月31日(2003.7.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】田中 亮吏
【氏名】北川 宙
【氏名】牧嶋 昭夫
【氏名】中村 栄三
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
審査官 【審査官】西村 直史
参考文献・文献 特開2002-340860(JP,A)
特開2002-340803(JP,A)
特開平09-257669(JP,A)
特開2003-021619(JP,A)
特開平07-021973(JP,A)
竹井宏行 外4名,微量元素分析におけるTefron bombを用いた岩石試料の酸分解法,日本岩石鉱物鉱床学会学術講演会講演要旨集,日本岩石鉱物鉱床学会,2000年11月 5日,P.39
調査した分野 G01N 1/00-44
G01N 27/62
JICSTファイル(JOIS)
特許請求の範囲 【請求項1】
カルシウムを含む試料中に含まれる微量元素を測定するために、当該サンプルにアルミニウムを添加し、その後にフッ化水素酸又はフッ化水素酸と他の無機酸との混酸中で処理する過程から成ることを特徴とする、試料中の微量元素を測定する方法。
【請求項2】
前記微量元素が、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウムおよびタンタルから成る群から選択されたことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
試料にアルミニウムが添加された混合物中における、Al/(Ca+Al)モル濃度比が0.6以上であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
アルミニウム添加によりフッ化物の生成が抑制され、よって当該フッ化物と前記微量元素との共沈が抑制されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記フッ化物が蛍石(CaF2)であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
カルシウムを含む試料中に含まれる微量元素を測定するために、当該サンプルにアルミニウムを添加し、その後にフッ化水素酸又はフッ化水素酸と他の無機酸との混酸中で処理する過程から成ることを特徴とする、微量元素とフッ化物との共沈を抑制する方法。
【請求項7】
前記微量元素が、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウムおよびタンタルから成ることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
試料にアルミニウムが添加された混合物中における、Al/(Ca+Al)モル濃度比が0.6以上であることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項9】
アルミニウム添加によりフッ化物の生成が抑制され、よって当該フッ化物と前記微量元素との共沈が抑制されていることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記フッ化物が蛍石(CaF2)であることを特徴とする、請求項9記載の方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルシウムを含む岩石或は鉱物中に含まれる微量元素である、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、およびタンタルを精度良く測定するための分析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、岩石および鉱物試料に含まれる微量元素の定量分析を行う方法として、一般的には、岩石試料をフッ化水素酸或いはフッ化水素酸と他の無機酸との混酸を用いて分解し、これを蒸発乾固した後に、フッ化水素酸或いは他の無機酸等で溶解し、この溶解液に含まれる上記元素を、ICP(Inductively Coupled Plasma=誘導結合プラズマ)質量分析装置等によって分析する方法が用いられている(例えば、非特許文献1、公開特許公報1,2参照)。
【0003】
フッ化水素酸を用いて珪酸塩鉱物を分解する際は、100℃程度に加熱する加熱分解法か、超音波浴槽内で振動分解する超音波分解法が一般的に行われている。しかしながら、フッ化水素酸には難溶性である鉱物、例えばスピネルやジルコン、が含まれている場合は、分解時に試料を耐酸性外筒付きテフロン[デュポン(株)社登録商標]製の密封容器などを用い、加圧下で酸に分解させる酸加圧分解法が用いられている(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
ICP質量分析装置で微量元素を分析する際には、あらかじめ濃度が既知の標準溶液を利用した検量線法が一般的に用いられている。また、同位体希釈法を用いることにより、より高精度の分析結果が得られることが知られている(例えば、非特許文献1および2参照)。
【0005】
ICP質量分析装置によって微量元素を分析する際、試料に含まれる主成分元素による分析目的微量元素への干渉効果を軽減する為に、測定溶液を十分に希釈する必要がある。しかしながら、試料中の分析目的元素濃度が極微量の場合、希釈率を増大しすぎると十分な測定感度が得られなくなる。
【0006】
そこで、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタルなど、フッ素と容易に錯体を形成する元素については、フッ化化合物を形成することにより、主成分元素組成をフッ素化合物として沈殿させ、且つ、溶液中に含まれるこれらの元素濃度を軽減させない方法が有効且つ簡便な方法として用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
一方、石灰岩や苦灰岩などのカルシウムに富んだ岩石試料中のジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、およびタンタルをICP質量分析装置で分析した場合、他の分析法、例えば、蛍光X線分析法や放射化分析法で得られた値と有意の違いが見られ、正確な分析方法が確立していないことが問題となっている(例えば、非特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平9-257669
【特許文献2】
特開2002-340803
【非特許文献1】
A. Makishima et al.(1999) Determination of zirconium, niobium, hafnium and tantalum at ng g-1 levels in geological materials by direct nebulisation of sample HF solution into FI-ICP-MS Geostandards Newsletter, vol.23, p.7-20.
【非特許文献2】
C. Vandecasteele and C. B. Block (1993) Modern Methods for Trace Element Determination. John Wiley & Sons Ltd.
【非特許文献3】
D. Ionov and R. E. Harmer (2002) Trace element distribution in calcite-dolomite carbonatites from Spitskop: inferences for differentiation of carbonatite magmas and the origin of carbonates in mantle xenoliths. Earth and Planetary Science Letters, vol. 198, p495-510.
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、カルシウムを含む岩石試料などに含まれるジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタルなどの微量元素[以下HFSEと表す]を、簡便かつ正確に測定するための方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、試料分解の際にアルミニウムを添加することによって、上記微量元素とフッ化物との共沈を抑制することにより解決される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で言う微量とは、具体的には、1%以下の量を言う。
【0012】
上記において述べたように本発明は、カルシウムを含む岩石試料などに含まれるジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタルなどの微量元素の定量分析を行う際に、アルミニウムを添加することにより、フッ化水素酸と他の無機酸との混酸中でこれらの微量元素のフッ化物との共沈を抑制することにより、上記微量元素の簡便且つ正確な測定を可能としたものである。
【0013】
本発明において添加するアルミニウムの形態は、特に制限されるものではないが、通常、塩の形で水溶液として添加される。例えばフッ化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム水溶液が挙げられるが、特に好ましくは塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、あるいはフッ化アルミニウムと塩化アルミニウムの混合物の水溶液が用いられる。
【0014】
添加するアルミニウムは微量分析に使用するものであるから、高純度のものが要求され、99.999%以上の純度のものを使用するのが好ましい。アルミニウム含有溶液の添加方法としては、試料を秤量した後にアルミニウム含有溶液を添加し、その後にジルコニウムおよびハフニウムスパイクを添加し、最後にフッ化水素酸を加える。
【0015】
アルミニウムの添加量は、試料中に含まれる元素濃度及び、含有される鉱物種、分解方法によって異なるが、試料と添加したアルミニウムの混合物中のAl/(Ca + Al)モル濃度比が、0.6~0.9以上あればよい。なお本願明細書においてAl/(Ca + Al)モル濃度比[以下Al#と表す]とは、アルミニウムのモル濃度を、カルシウムのモル濃度とアルミニウムのモル濃度を合計した値で割り算することにより得た値を意味するものである。
【0016】
Al#が0.6以下の場合には、蛍石(CaF2)が生成してジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタルなどのHFSEと共沈する。サンプル中にアルミニウムが含まれないとき(Al#=0)には、ほとんど全てのHFSEは蛍石中に取り込まれるために、回収率は非常に低い値となる。Al#の値が上昇するとHFSEの回収率は増加するものの、Al#の値が0.6以下では蛍石は安定に存在するので、HFSEを完全に回収することはできない。一方Al#の値が上昇するにつれて、HFSEの回収率は増加する。そこで本発明においてはAl#の値が0.6以上とすることによって蛍石の生成を抑制することにより、蛍石とHFSEとの共沈を防ぎ、よって試料中に含まれるHFSEを正確に定量することを可能とする方法を提供するものである。
【0017】
また、HFSEの定量は、同位体のスパイクによる同位体希釈法により行うことが可能であり、またスパイクを行わない検量線法により行うことも可能である。同位体希釈法を用いることにより高精度の分析が可能となるために、同位体希釈法によってHFSEの定量を行うことは本発明において好ましい態様である。
【0018】
なお同位体希釈法を用いた場合であっても、試料中に含まれるジルコニウムとハフニウムの回収率および、スパイクされたジルコニウムとハフニウムの回収率は著しく低くなるために、十分な分析感度を得ることができない。なお、不十分なアルミニウムした添加せずに同位体希釈法を用いた場合には、試料中に含まれるジルコニウムとハフニウムの回収率と比較して、スパイクされたジルコニウムとハフニウムの回収率は常に高くなり、同位体平衡が損なわれている。サンプル溶解の進行に従ってフッ化水素酸中のアルミニウムがAl あるいはAl-Caフッ化物として消費され、見かけのAl#値が低下して、蛍石が形成されるような組成となってしまうからである。本発明のアルミニウム添加法により、同位体希釈法におけるこのような現象を回避して同位体平衡を達成するものであり、そのために同位体希釈法においてHFSEをより正確に定量することが可能となる。
【0019】
試料分解時に用いる容器および分解方法は、非特許文献1に記載されている通りである。また必要に応じて、非特許文献1に記載の方法に当業者が通常行う改変を適宜加えることもまた可能である。その方法は、難溶性鉱物、例えばジルコンやスピネルの有無によって異なる。試料中に難溶性の鉱物が含まれていない場合、用いる容器はポリプロピレン製が好ましく、分解は超音波浴槽内で行う。試料中に難溶性鉱物が含まれている場合は、耐酸性外筒付きテフロン[デュポン(株)社登録商標]密封容器を用い、205℃以上の温度で加圧酸分解する。
【0020】
本発明においては、例えば、分析目的試料にアルミニウム含有溶液を適量添加し、その後に、ジルコニウムおよびハフニウム濃縮同位体(スパイク)と30規定フッ化水素酸を加える。試料を超音波分解、あるいは200℃以上で加圧酸分解した後、溶液を蒸発乾固させ、0.5規定フッ化水素酸で溶解し、その溶解液に含まれるHFS元素濃度を、誘導プラズマ質量分析装置を用いて測定することが可能である。
【0021】
【実施例】
次に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0022】
(実施例1)
アルミニウム、マグネシウム、炭酸カルシウムをそれぞれ、フッ化水素酸、塩酸、および塩酸に溶解し、それぞれの金属イオン濃度が0.5%の溶液を作成する。
【0023】
ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、およびタンタル濃度がそれぞれ1000μg/g、100μg/g、50μg/g、および、5μg/gである標準溶液を準備する。この標準溶液を、蓋付きポリプロピレンビーカーおよび酸加圧分解用テフロン[デュポン(株)社登録商標]容器それぞれ21個ずつに約20mg添加し、添加した量を正確に秤量する。
【0024】
それぞれのポリプロピレンビーカーおよび加圧酸分解容器に上記の[0022]で準備したアルミニウム溶液、マグネシウム溶液、カルシウム溶液を、この順で添加する。それぞれの溶液の添加する量は、図1に示した割合で、且つ、加えた溶液中の金属イオンの酸化物換算総重量(Al2O3 + MgO + CaO)が12.5mgになるようにする。この後、それぞれのポリプロピレンビーカーおよび加圧酸分解容器に、30規定フッ化水素酸を0.3mL添加する。 ポリプロプレンビーカーに加えた試料は超音波浴槽内で超音波分解し、また、加圧酸分解容器に加えた試料は密閉した後205℃で加熱分解する。
【0025】
加熱分解した試料は、室温まで冷却した後にポリプロピレンビーカーに移す。その後、70℃で加熱し、蒸発乾固する。超音波分解に用いたポリプロピレンビーカーも同様に蓋を外し、70℃で蒸発乾固する。ここで言う乾固とは、ビーカー内の液滴が肉眼で確認できない状態を指す。
【0026】
それぞれのビーカーに0.5規定フッ化水素酸を8mL加えて、蓋を閉め、超音波浴槽内8時間以上攪拌し、乾固物を分解する。
【0027】
次に、溶液を遠心分離して、上澄み液と沈殿物に分離し、この上澄み液に含まれる、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル濃度をICP質量分析装置にて分析する。分析装置は、横河アナリティカルシステムズ(株)社製「PMS2000」を用いた。
【0028】
図1にそれぞれの上澄み溶液中に回収された、ジルコニウムおよびニオブの回収度を示した。ICP質量分析装置における分析誤差は約5%程度であるので、95%以上回収できた場合は完全に回収できたものとみなし、95%以下の時は完全に回収できなかったものとした。ハフニウムおよびタンタルについては図示していないが、これらの回収率は、ジルコニウムおよびタンタルとほぼ同じ結果となったのでここでは割愛する。なお図1において、Ca-Al-Mgモル濃度比における上澄み溶液中の元素の全回収の可否と蛍石の安定領域を示す。なお図1(a)は超音波分解した時のジルコニウムを、図1(b)は加熱分解した時のジルコニウムを、図1(c)は超音波分解した時のニオブを、図1(d)は超音波分解した時のニオブをそれぞれ示す。
【0029】
図1からわかるように、Al/(Ca+Al)モル濃度比(Al#)が0.6以下の時には、ジルコニウムが上澄み液に完全に回収されないことがわかった。また、ニオブについては、分解方法によって異なるが、超音波分解した場合には、Al#が0.25以下の時に、また、加熱分解した時は、Ca/(Ca+Al+Mg)が0.75以上の時に完全に回収できなかった。
【0030】
遠心分離した際に沈殿したフッ化物の鉱物組み合わせを検討するために、沈殿物を回収して、イオン交換水で3回洗浄した後、沈殿物をスライドガラス上に塗布し、この試料をX線回折分析装置によって定性分析を行った。装置はMACサイエンス社製「M18MHF」を用いた。その結果、蛍石(CaF2)が沈殿物に存在する時には、必ずジルコニウムの回収率が低くなることが分かった。図1には蛍石の安定領域を示してある。蛍石が存在しなくてもジルコニウムの回収率が低いことがあるが、これは、蛍石の存在比率が低かったために、X線回折分析では検出できなかったものと考えられる。従って、フッ化水素酸溶液中からジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタルを完全に回収するためには、蛍石を沈殿させないことが必要であることが分かった。
【0031】
(実施例2)
カルシウムを多く含む天然試料(カーボナタイト)を粉末状にしたものを、加圧酸分解容器に秤量し、適量のアルミニウム溶液、ジルコニウム-ハフニウム濃縮同位体(スパイク)、フッ化水素酸をこの順で添加し、加熱分解、その後蒸発乾固、フッ化水素酸溶解を行った後に、ICP質量分析装置にて、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、およびタンタルの定量分析を行った。
【0032】
Al#=0.81の時の定量値を100%とした時のジルコニウムおよびニオブの回収率を図2に示す。図2において、黒丸は試料からのジルコニウム回収率を、白丸はスパイクからのジルコニウム回収率を、黒四角は試料からのニオブ回収率を、それぞれ示す。この結果から、ジルコニウム及びニオブをカーボナタイト試料から完全に回収するためには、試料にアルミニウムを添加して、Al#が0.6以上になるように添加する必要があることが分かった。
【0033】
サブカルシックダイオプサイドを分析試料とし、同様の実験を超音波分解法及び高温分解法を用いて行った。その結果、超音波分解法ではAl#>0.9、高温分解法では、Al#>0.8の時にジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタルを完全に回収でき、また、スパイクと試料間の同位体平衡が達せられたことが分かった。
【0034】
(実施例3)
独立行政法人産業技術総合研究所発行の標準岩石試料の中から、カルシウムを多く含む天然試料2種類、JLs1(石灰岩)およびJDo1(苦灰岩)を加圧酸分解容器に秤量し、全体のAl#が0.8以上になるようにアルミニウム溶液を添加し、ジルコニウム-ハフニウム濃縮同位体(スパイク)、フッ化水素酸をこの順で添加し、加熱分解、蒸発乾固、フッ化水素酸溶解を行った後に、ICP質量分析装置にて、ジルコニウム、ニオブ、およびハフニウムの定量分析を行った。タンタルについては、検出限界以下の濃度であったために、定量値を与えることはできなかった。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
JP0003755039B2_000002t.gif【0036】
表1には、比較の為に、他の分析法によって得られた文献値(非特許文献4)も載せてあるが、従来の方法によって報告されていた分析値は、用いた分析方法によって定量値が大きく異なり、正確な分析方法が確立していなかったことが示唆される。
(非特許文献4) N. Imai, S. Terashima, S. Itoh and A. Ando (1996) 1996 compilation of analytical data on nine GSJ geochemical reference samples, "Sedimentary rock series", Geostandards Newsletter, 20,165-216.
【0037】
【発明の効果】
本発明のアルミニウム添加法を用いることにより、カルシウムを含む岩石試料をフッ化水素酸を用いて分解した際に、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、およびタンタルなどの微量元素をICP質量分析装置で正確に分析することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、Ca-Al-Mgモル濃度比における上澄み溶液中の元素の全回収の可否と、蛍石の安定領域を示す図である。
【図2】 図2は、カーボナタイト試料にアルミニウムを添加した時の、試料からのジルコニウムおよびニオブ回収率とスパイクからのジルコニウム回収率を示すグラフである。
【符号の説明】
1 黒丸は、回収率が95%以下であり、全回収できなかったことを示す。
2 白丸は、回収率が95%以上であり、全回収できたことを示す。
3 黒色で囲まれた領域は、蛍石の安定領域を示す。
4 試料からのジルコニウム回収率。
5 スパイクからのジルコニウム回収率。
6 試料からのニオブ回収率。
図面
【図1】
0
【図2】
1