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明細書 :ビリルビン変性器及びビリルビン透析装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4899040号 (P4899040)
公開番号 特開2007-007292 (P2007-007292A)
登録日 平成24年1月13日(2012.1.13)
発行日 平成24年3月21日(2012.3.21)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
発明の名称または考案の名称 ビリルビン変性器及びビリルビン透析装置
国際特許分類 A61M   1/36        (2006.01)
A61M   1/18        (2006.01)
A61M   1/20        (2006.01)
FI A61M 1/36 535
A61M 1/36 500
A61M 1/18 523
A61M 1/20 510
請求項の数または発明の数 3
全頁数 12
出願番号 特願2005-194414 (P2005-194414)
出願日 平成17年7月1日(2005.7.1)
審査請求日 平成20年4月18日(2008.4.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】武田 吉正
【氏名】森田 潔
個別代理人の代理人 【識別番号】100080160、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 憲一郎
審査官 【審査官】小原 深美子
参考文献・文献 特開2004-358243(JP,A)
特開平08-131543(JP,A)
特開2004-223435(JP,A)
特開昭63-275351(JP,A)
特開平09-038221(JP,A)
特表2005-516978(JP,A)
調査した分野 A61M 1/36
A61M 1/18
A61M 1/20
特許請求の範囲 【請求項1】
血液に緑色光を照射して血液中の脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビン変性させるビリルビン変性器において、
光源と、
前記血液を流す複数の中空糸と、
この中空糸に沿って設けられ、前記光源から照射された前記緑色光を導いて前記中空糸に照射する複数の透光性繊維体または透光性平板体と、
前記中空糸と前記透光性繊維体または前記透光性平板体とを備え、端部に第1端部フレームと第2端部フレームが装着されたフレームとを装備し、
前記フレームに前記血液の透析に用いる輸液を送給しながら前記透光性繊維体または前記透光性平板体から前記中空糸に前記緑色光を照射して、前記血液を透析するとともに前記水溶性ビリルビンを前記輸液に溶出させることを特徴とするビリルビン変性器。
【請求項2】
内蔵した中空糸で血液の透析を行う透析用カラムを有する透析部と、この透析部での透析に用いる輸液を供給する輸液供給部と、前記透析部に前記血液を送給するとともに、前記透析部で透析された前記血液を返送する血液循環部とを備え、前記透析部に設けた照射手段により、前記中空糸内の血液に緑色光を照射して前記血液中の脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビンに変性させて輸液に溶出させるようにしたビリルビン透析装置であって、
前記照射手段は、光源と、この光源から照射された前記緑色光を前記中空糸に向けて照射するように照射方向を調整する多角柱状のミラー体とを備え、
前記ミラー体で反射された前記緑色光を前記中空糸に向けて照射することを特徴とするビリルビン透析装置。
【請求項3】
前記照射手段は、前記多角柱状のミラー体を回転操作する回転操作部を更に備え、
前記ミラー体は、前記中空糸の伸延方向に直交する方向の中心軸に設けた回転軸を有し、この回転軸を前記回転操作部により所定の角速度で回転駆動させ、前記ミラー体を回転させることにより、当該ミラー体で反射された前記緑色光による照射領域を前記中空糸の伸延方向に走査させることを特徴とする請求項2記載のビリルビン透析装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、肝臓の機能低下あるいは機能不能に起因して脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビンへと変性させる機能が低下した肝機能障害者の血液処理に用いるビリルビン変性器及びビリルビン透析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体内において赤血球中のヘモグロビンが分解されることによって生じるビリルビンは、通常、脂溶性ビリルビンとなっており、この脂溶性ビリルビンは肝臓において水溶性ビリルビンへと変性処理されている。そして、水溶性ビリルビンは腎臓において血液中から老廃物として濾し取られ、体外に排出されている。
【0003】
したがって、肝臓の機能低下あるいは機能不能が生じた場合には、脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビンへと変性させることができず、体内に脂溶性ビリルビンが蓄積されていわゆる黄疸の症状が現れることとなるので、脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビンへと変性させる治療または処置が必要となっている。
【0004】
脂溶性ビリルビンは、450nm~530nmの緑色光の照射によって水溶性ビリルビンへと変性可能であることが知られており、脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビンへと変性させる機能が低下した肝機能障害者に緑色光を照射可能とした光源を用いて緑色光を照射し、皮膚を透過した緑色光によって血液中の脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビンに変性させる装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ただし、成人の場合には体重当たりの体表面積が小さいために緑色光の照射による脂溶性ビリルビンの水溶性ビリルビンへの変性効率が極めて悪く、現実性のあるビリルビンの低減方法ではなかった。
【0006】
そこで、現状では、血液中の血漿を交換することによってビリルビン濃度を低減させる血漿交換や、ビリルビン吸着カラムを用いたビリルビンの吸着除去によってビリルビン濃度を低減させるビリルビン吸着が行われており、さらに他の方法として、肝機能障害者から血液の一部を抜き出して、血液に緑色光を直接的に照射し、その後、その血液を体内に戻すように循環させながら水溶性ビリルビンへの変性を行う装置も提案されている。

【特許文献1】特開平09-038221号公報
【特許文献1】特開2004-358243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、血漿交換の場合には、他人の血漿を輸血することになるために輸血にともなう感染症のリスクが存在し、また、ビリルビン吸着の場合には、血液中の凝固系や免疫系が賦活化されて血液の凝固や炎症反応が生じるリスクが存在しているという問題があった。
【0008】
さらに、血液循環式のビリルビンの変性装置では、その治療を受ける肝機能障害者の身体的及び時間的さらには経済的な負担が大きいという問題があった。
【0009】
このように、ビリルビンの低減化には、感染症や血液凝固などのリスクができるだけ小さいとともに、肝機能障害者への身体的、時間的、経済的な負担がより少ない治療方法が求められていた。
【0010】
本発明者は、ビリルビンの変質効率が低下している肝機能障害者の多くが腎臓の機能障害も併発していることが多く、人工透析が必要となっていることが多いという事実に着目し、人工透析にともなってビリルビンの変性を行うことによってリスクの低減を図る一方で、肝機能障害者への負担を大きく軽減できる可能性があることに思い至り、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のビリルビン変性器では、血液に緑色光を照射して血液中の脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビン変性させるビリルビン変性器において、光源と、血液を流す複数の中空糸と、中空糸に沿って設けられ、光源から照射された緑色光を導いて中空糸に照射する複数の透光性繊維体または透光性平板体と、中空糸と透光性繊維体または透光性平板体とを備え、端部に第1端部フレームと第2端部フレームが装着されたフレームとを装備し、フレームに血液の透析に用いる輸液を送給しながら透光性繊維体または透光性平板体から中空糸に緑色光を照射して、血液を透析するとともに水溶性ビリルビンを輸液に溶出させることとした。
【0012】
また、本発明のビリルビン透析装置では、内蔵した中空糸で血液の透析を行う透析用カラムを有する透析部と、この透析部での透析に用いる輸液を供給する輸液供給部と、透析部に血液を送給するとともに、透析部で透析された血液を返送する血液循環部とを備え、透析部に設けた照射手段により、中空糸内の血液に緑色光を照射して血液中の脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビンに変性させて輸液に溶出させるようにしたビリルビン透析装置であって、照射手段は、光源と、この光源から照射された緑色光を中空糸に向けて照射するように照射方向を調整する多角柱状のミラー体とを備え、ミラー体で反射された緑色光を中空糸に向けて照射することとした。
【0013】
さらに、本発明のビリルビン透析装置では、照射手段は、多角柱状のミラー体を回転操作する回転操作部を更に備え、ミラー体は、中空糸の伸延方向に直交する方向の中心軸に設けた回転軸を有し、この回転軸を回転操作部により所定の角速度で回転駆動させ、ミラー体を回転させることにより、当該ミラー体で反射された緑色光による照射領域を中空糸の伸延方向に走査させることとした。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、光源と、血液を流す複数の中空糸と、中空糸に沿って設けられ、光源から照射された緑色光を導いて中空糸に照射する複数の透光性繊維体または透光性平板体と、中空糸と透光性繊維体または透光性平板体とを備え、端部に第1端部フレームと第2端部フレームが装着されたフレームとを装備し、フレームに血液の透析に用いる輸液を送給しながら透光性繊維体または透光性平板体から中空糸に緑色光を照射して、前記血液を透析するとともに前記水溶性ビリルビンを前記輸液に溶出させるビリルビン変性器とすることによって、中空糸によって表面積を増大させて、血液に複数の透光性繊維体または透光性平板体より緑色光を照射できるので、水溶性ビリルビンへの変性を極めて向上させることができ、しかも血液を透析するとともに水溶性ビリルビンを輸液に溶出させることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、内蔵した中空糸で血液の透析を行う透析用カラムを有する透析部と、この透析部での透析に用いる輸液を供給する輸液供給部と、透析部に血液を送給するとともに、透析部で透析された血液を返送する血液循環部とを備え、透析部に設けた照射手段により、中空糸内の血液に緑色光を照射して血液中の脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビンに変性させて輸液に溶出させるようにしたビリルビン透析装置であって、照射手段は、光源と、この光源から照射された緑色光を中空糸に向けて照射するように照射方向を調整する多角柱状のミラー体とを備え、ミラー体で反射された緑色光を中空糸に向けて照射するビリルビン透析装置とすることによって、透析用カラムの外部に設けた照光部から緑色光の照射を行なえるため、比較的低コストで緑色光の照射を行うことができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、照射手段は、多角柱状のミラー体を回転操作する回転操作部を更に備え、ミラー体は、中空糸の伸延方向に直交する方向の中心軸に設けた回転軸を有し、この回転軸を回転操作部により所定の角速度で回転駆動させ、ミラー体を回転させることにより、当該ミラー体で反射された緑色光による照射領域を中空糸の伸延方向に走査させるビリルビン透析装置とすることによって、比較的高出力の光を中空糸に照射しても、中空糸が損傷するおそれを解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のビリルビン変性器及びビリルビン透析装置は、人工透析に用いる透析カラムに対して、脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビンに変性させる光を照射可能とした照射手段から光を照射し、透析カラムに内蔵した中空糸内を流れる血液中の脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビンに変性させているものである。
【0023】
このように中空糸に対して光を照射することにより、血液に対してほぼ直接的に光を照射できるとともに、中空糸によって表面積が増大化されているので照射効率を向上させることができ、効率よく脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビンに変性させることができる。
【0024】
照射する光は、波長が400~550nmの青色、青緑色あるいは緑色の光であればよく、好ましくは、450nm~530nmの緑色光及びその近傍の光がよく、本発明では、説明の便宜上、波長が400~550nmの光を緑色光と称する。緑色光の光源としては、蛍光灯などの光源に緑色のカラーフィルムを被着して構成してもよいし、キセノンランプやレーザー光源を用いてもよい。
【0025】
このように人工透析に用いる透析カラムに光を照射して脂溶性ビリルビンを水溶性ビリルビンに変性させることにより、腎機能障害者に対する治療として行われる人工透析とともにビリルビンの透析を行うことができ、腎機能障害を併発している肝機能障害者の身体的負担だけでなく、時間的負担及び経済的負担を大きく低減できる。
【0026】
特に、1分当たり100~200mlなどの比較的多量の血液を処理することができ、処理効率を向上させることができる。
【0027】
しかも、感染症や血液凝固などのようなリスクを人工透析におけるリスク程度にまで軽減でき、肝機能障害者が安心して利用することができる。
【0028】
以下において、図面に基づいて本発明の実施形態を詳説する。図1は、本実施形態のビリルビン変性器Aを備えたビリルビン透析装置Bの概略図である。
【0029】
ビリルビン変性器Aは、内蔵した中空糸で血液の透析を行う透析用カラムCと、この透析用カラムCの中空糸に緑色光を照射する光源装置Lを備えており、ビリルビン透析装置Bでは、中途部に血液送給ポンプP1を介設して人体から採取した血液を透析用カラムCに送給する血液送給管91と、透析用カラムCで処理された血液を返送する血液返戻管92と、透析用カラムCで透析を行うために用いる輸液を中途部に輸液送給ポンプP2を介設して輸液タンク93から透析用カラムCに送給する輸液送給管94と、透析用カラムCを通過した輸液を排出する輸液排出管95を備えている。
【0030】
血液送給管91、血液返戻管92、輸液送給管94、輸液排出管95には、それぞれ図示しない送給制御器や送給量検出器などを必要に応じて装着し、図示しない制御部によって透析が適正に行われるように制御している。
【0031】
図1中、96は後述するように透析用カラムCに設けた透光体に光源Lから照射された緑色光を導くための光ファイバからなる導光管である。
【0032】
透析用カラムCは、図2に示すように、一方向に伸延した円筒状フレーム80の内部に、多数の中空糸83を挿入して構成しており、円筒状フレーム80の一方の端部に設けた第1端部フレーム81に中空糸83の一方の端部をそれぞれ装着するとともに、円筒状フレーム80の他方の端部に設けた第2端部フレーム82に中空糸83の他方の端部をそれぞれ装着して、中空糸83を第1端部フレーム81と第2端部フレーム82との間に架設している。
【0033】
そして、透析用カラムCは、血液送給管91から第1端部フレーム81に送給された血液を各中空糸83内に円滑に送給可能としており、中空糸83から第2端部フレーム82に送出された血液を第2端部フレーム82に接続した血液返戻管92に円滑に送出するようにしている。
【0034】
円筒状フレーム80の内部は、輸液送給管94から送給された輸液で満たして中空糸83を輸液に浸漬させて血液の透析を行っており、円筒状フレーム80には、一方の端部に周面方向に突出させた輸液送給口84を設けるとともに、他方の端部に周面方向に突出させた輸液送出口85を設け、輸液送給口84には第1連結具86を介して輸液送給管94を連通連結するとともに、輸液送出口85には第2連結具87を介して輸液排出管95を連通連結して、輸液送給ポンプP2によって送給された輸液を輸液送給口84から円筒状フレーム80の内部に送給し、輸液送出口85から円筒状フレーム80の外部に送出している。
【0035】
上記したビリルビン透析装置Bは、基本的には従来の人工透析装置と同じであって、後述するように透析用カラムCに緑色光照射用の照射手段を設けている点が異なるだけである。
【0036】
以下において、本発明の要部であるビリルビン変性器Aの構成について実施形態ごとに説明する。なお、以下の説明においては、必要な場合を除いて図面中の中空糸83は省略している。
【0037】
<第1実施形態>
図3は、第1実施形態のビリルビン変性器A1の概略図であり、このビリルビン変性器A1は、上記した透析用カラムCと、この透析用カラムCの中空糸83に緑色光を照射する照射手段としての照光部D1を備えている。
【0038】
照光部D1は、レーザー光源L1と、このレーザー光源L1から照射された光を中空糸83に向けて照射する細線状の導光板からなる透光性繊維体11と、レーザー光源L1から透光性繊維体11まで光を導く光ファイバからなる導光管96とから構成している。
【0039】
透光性繊維体11は、導光管96によって導かれた光を散乱して透光性繊維体11の伸延方向と直行する方向に照射可能としており、この透光性繊維体11を中空糸83と略平行に配設して、中空糸83への緑色光の照射を行っている。
【0040】
本実施形態では、透析用カラムC内には、所定間隔で複数本の透光性繊維体11を配置しており、各透光性繊維体11にそれぞれ導光管96を接続している。
【0041】
本実施形態では、透光性繊維体11は、中空糸83と同程度の径寸法としているが、中空糸83と比較して大径としてもよく、透光性繊維体11の配設数との関係から好適な径寸法としてよい。
【0042】
また、本実施形態では、各透光性繊維体11と接続する各導光管96を、輸液送給口84に接続した第1連結具86、または輸液送出口85に接続した第2連結具87から透析用カラムCの内部に導入しており、透光性繊維体11及び導光管96が血液と直接的に接触することを防止して、血液に凝固などの不具合が生じることを防止している。
【0043】
特に本実施形態では、透析用カラムC内への透光性繊維体11の配設数を多くしていることによって、各透光性繊維体11に接続する導光管96を輸液送給口84と輸液送出口85とから挿入しているが、透光性繊維体11の配設数によっては、輸液送給口84と輸液送出口85のいずれか一方のみから導光管96を挿入してもよい。
【0044】
本実施形態のように、緑色光の照射する透光性繊維体11を中空糸83と略平行として透析用カラムCの内部に配設することによって、透析用カラムCの中心部分に位置した中空糸83にも緑色光を照射でき、照射効率を向上させることができる。
【0045】
特に、透光性繊維体11は、複数の中空糸83で囲繞されるように配置することによって、透光性繊維体11が放射した緑色光を全て血液に吸収させることができ、照射効率をさらに向上させることができる。
【0046】
本実施形態では、中空糸83と透光性繊維体11とを別々に透析用カラムCに装着しているが、中空糸の形成にともなって中空糸に透光性繊維体を接合させた透光性繊維体一体成形の中空糸としてもよいし、中空糸の一部を透光性繊維体で構成してもよいし、中空糸の周囲の一部を透光性繊維体を構成する導光板材料で被覆してもよく、透光性繊維体または導光板材料から緑色光を照射可能となっていればよい。
【0047】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態のビリルビン変性器A2の概略図であり、このビリルビン変性器A2は、上記した透析用カラムCと、この透析用カラムCの中空糸83に緑色光を照射する照射手段としての照光部D2を備えている。
【0048】
照光部D2は、緑色光で発光するLED(Light Emitting Diode)を内蔵したLED光源L2と、このLED光源L2から照射された光を中空糸83に向けて照射する平板状の導光板からなる透光性平板体21とから構成している。図4中、22はLED光源L2に通電するための通電配線である。
【0049】
透光性平板体21は、LED光源L2から照射された緑色光を散乱して透光性平板体21の伸延方向と直行する方向に照射可能としており、この透光性平板体21を中空糸83と略平行に配設して、中空糸83への緑色光の照射を行っている。すなわち、照光部D2はいわゆるバックライトとなっている。
【0050】
本実施形態では、透光性平板体21は単なる導光板で構成しているが、必要に応じて反射膜を設けて照射効率の向上を図ってもよい。
【0051】
また本実施形態では、透光性平板体21の両端にそれぞれLED光源L2を接続しているが、いずれか一方の端部にのみLED光源L2を接続してもよい。
【0052】
さらに、本実施形態では、透光性平板体21は大面積の平板状としているが、所定の間隔で輸液を流通させるためのスリットを設けてもよいし、あるいは細幅の平板を所定の間隔を設けながら平面上に配設してもよい。
【0053】
透光性平板体21は、透析用カラムCの内部に1つだけ配置する場合だけでなく、所定の間隔で複数の透光性平板体21を配置するとともに各透光性平板体21との間に中空糸83を配置することにより、緑色光の照射効率を向上させることができる。
【0054】
LED光源L2に接続した通電配線22は、輸液送給口84に接続した第1連結具86、及び輸液送出口85に接続した第2連結具87から透析用カラムCの内部に導入しており、LED光源L2及び透光性平板体21が血液と直接的に接触することを防止して、血液に凝固などの不具合が生じることを防止している。
【0055】
このように、透析用カラムCの内部に照光部D2の透光性平板体21を中空糸83と略平行に配設することによって、透析用カラムCの内部への透光体の配設を極めて容易に行うことができ、透析用カラムCが高コスト化することを抑制できる。
【0056】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態のビリルビン変性器A3の概略図であり、このビリルビン変性器A3は、上記した透析用カラムCと、この透析用カラムCの中空糸83に緑色光を照射する照射手段としての照光部D3を備えている。
【0057】
照光部D3は、平板状とした有機ELからなる有機EL光源L3で構成しており、図5中、32は有機EL光源L3に通電するための通電配線である。すなわち、本実施形態のビリルビン変性器A3は、第2実施形態のビリルビン変性器A2における透析用カラムC内の透光性平板体21及びLED光源L2の代わりに、有機EL光源L3を設けているものであり、この有機EL光源L3を中空糸83と略平行に配設している。
【0058】
有機EL光源L3は緑色光を発光するようにしている。有機EL光源L3は、できるだけ大面積とすることによってビリルビンの変性効率を向上させることができるが、有機EL光源L3には必要に応じて所定位置にスリットを設けて、輸液の流通性を阻害しないようにしてもよい。
【0059】
有機EL光源L3に接続した通電配線32は、輸液送給口84に接続した第1連結具86から透析用カラムCの内部に導入しており、有機EL光源L3が血液と直接的に接触することを防止して、血液に凝固などの不具合が生じることを防止している。
【0060】
有機EL光源L3は、透析用カラムCの内部に1つだけ配置する場合だけでなく、所定の間隔で複数の有機EL光源L3を配置するとともに各有機EL光源L3との間に中空糸83を配置することにより、緑色光の照射効率を向上させることができる。
【0061】
このように、透析用カラムCの内部に照光部D3の有機EL光源L3を中空糸83と略平行に配設することによって、透析用カラムCの内部への光源の配設を極めて容易に行うことができ、透析用カラムCが高コスト化することを抑制できる。
【0062】
<第4実施形態>
図6は、第4実施形態のビリルビン変性器A4の概略図であり、このビリルビン変性器A4は、上記した透析用カラムCと、この透析用カラムCの中空糸83に緑色光を照射する照射手段としての照光部D4を備えている。
【0063】
照光部D4は、レーザー光源L4と、このレーザー光源L4から照射された光を中空糸83に向けて照射するように照射方向を調整する揺動型照射調整体41と、この揺動型照射調整体41を揺動操作する揺動操作部42とから構成している。
【0064】
揺動型照射調整体41は、レーザー光源L4から入射されたレーザー光を所定の出射方向に反射するミラーで構成している。
【0065】
揺動操作部42は、駆動モータ42aと、この駆動モータ42aの出力軸に連動連結した棒状の螺旋体42bと、この螺旋体42bと螺合した支持体42cとで構成しており、揺動型照射調整体41は支持体42cに装着して、駆動モータ42aによって螺旋体42bを正転回転または逆転回転させることにより支持体42cを螺旋体42bに沿って進退揺動させ、この螺旋体42bの進退揺動にともなって揺動型照射調整体41を螺旋体42bに沿って進退揺動させている。
【0066】
螺旋体42bは、本実施形態では、透析用カラムCの中空糸83と略平行に配置して、揺動型照射調整体41で反射されたレーザー光による照射領域を中空糸83の伸延方向に揺動させている。
【0067】
このように透析用カラムCの外部に設けた照光部D4から緑色光の照射を行うことによって、比較的低コストで緑色光の照射を行うことができる。
【0068】
特に、光源として高出力のレーザー光源L4を用いることができ、脂溶性ビリルビンから水溶性ビリルビンへの変性に最も効果的な波長の緑色光を中空糸83に向けて照射できる。
【0069】
照光部D4では、揺動型照射調整体41を進退揺動させていることにより、比較的高出力のレーザー光を中空糸83に照射しても、中空糸83が損傷するおそれを解消できる。なお、照光部D4では、レーザー光源L4を1台だけ設置する場合に限定するものではなく、複数台のレーザー光源L4を設置してもよい。
【0070】
<第5実施形態>
図7は、第5実施形態のビリルビン変性器A5の概略図であり、このビリルビン変性器A5は、上記した透析用カラムCと、この透析用カラムCの中空糸83に緑色光を照射する照射手段としての照光部D5を備えている。
【0071】
照光部D5は、レーザー光源L5と、このレーザー光源L5から照射された光を中空糸83に向けて照射するように照射方向を調整する回転型照射調整体51と、この回転型照射調整体51を回転操作する回転操作部(図示せず)とから構成している。
【0072】
回転型照射調整体51は、レーザー光源L5から入射されたレーザー光を所定の出射方向に反射する多角柱状のミラー体であって、本実施形態では周面を6面の平面状鏡面で構成した六角柱の回転型照射調整体51としている。
【0073】
回転操作部では、六角柱の回転型照射調整体51の中心軸に設けた回転軸53を所定の角速度で回転駆動させており、回転型照射調整体51を回転させることにより、回転型照射調整体51で反射されたレーザー光による照射領域を中空糸83の伸延方向に走査させている。
【0074】
このように透析用カラムCの外部に設けた照光部D5から緑色光の照射を行うことによって、比較的低コストで緑色光の照射を行うことができる。
【0075】
特に、光源として高出力のレーザー光源L5を用いることができ、脂溶性ビリルビンから水溶性ビリルビンへの変性に最も効果的な波長の緑色光を中空糸83に向けて照射できる。
【0076】
照光部D5では、回転型照射調整体51を回転させて照射領域を中空糸83の伸延方向に走査させていることにより、比較的高出力のレーザー光を中空糸83に照射しても、中空糸83が損傷するおそれを解消できる。なお、照光部D5では、レーザー光源L5を1台だけ設置する場合に限定するものではなく、複数台のレーザー光源L5を設置してもよい。
【0077】
<第6実施形態>
図8は、第6実施形態のビリルビン変性器A6の概略図であり、このビリルビン変性器A6は、上記した透析用カラムCと、この透析用カラムCの中空糸83に緑色光を照射する照射手段としての照光部D6を備えている。
【0078】
照光部D6は、レーザー光源L6と、このレーザー光源L6から照射された光を拡散させて中空糸83に向けて照射する拡散用レンズ61とから構成している。この拡散用レンズ61が照射調整体となっている。すなわち、照光部D6では、レーザー光源L6から照射された光を拡散用レンズ61で拡散して中空糸83に照射するようにしている。
【0079】
さらに、本実施形態では透析用カラムCを所定の角速度で回転駆動させるようにしており、照射調整体である拡散用レンズ61に対して透析用カラムCを回転させることにより、透析用カラムCの全面に緑色光が照射されるようにしている。
【0080】
なお、逆に、透析用カラムCの周方向に照光部D6を回転させるように構成してもよく、照射調整体である拡散用レンズ61を透析用カラムCの周面に沿って相対的に回転可能に構成することによって、脂溶性ビリルビンから水溶性ビリルビンへの変性に最も効果的な波長の緑色光を中空糸83に向けて隈無く照射できる。
【0081】
この場合、透析用カラムCの中空糸83は、透析用カラムCの円筒状フレーム80の内周面に沿って円筒状に配置して、緑色光が届かない透析用カラムCの中央部には中空糸83を設けない方が望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施形態に係るビリルビン変性器を備えたビリルビン透析装置の概略図である。
【図2】一般的な透析用カラムの説明図である。
【図3】第1実施形態のビリルビン変性器の概略図である。
【図4】第2実施形態のビリルビン変性器の概略図である。
【図5】第3実施形態のビリルビン変性器の概略図である。
【図6】第4実施形態のビリルビン変性器の概略図である。
【図7】第5実施形態のビリルビン変性器の概略図である。
【図8】第6実施形態のビリルビン変性器の概略図である。
【符号の説明】
【0083】
A ビリルビン変性器
B ビリルビン透析装置
C 透析用カラム
L 光源装置
P1 血液送給ポンプ
P2 輸液送給ポンプ
11 透光性繊維体
80 円筒状フレーム
81 第1端部フレーム
82 第2端部フレーム
83 中空糸
84 輸液送給口
85 輸液送出口
86 第1連結具
87 第2連結具
91 血液送給管
92 血液返戻管
93 輸液タンク
94 輸液送給管
95 輸液排出管
96 導光管
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
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