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明細書 :振動体観察装置、声帯観察装置及び声帯観察プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3882088号 (P3882088)
登録日 平成18年11月24日(2006.11.24)
発行日 平成19年2月14日(2007.2.14)
発明の名称または考案の名称 振動体観察装置、声帯観察装置及び声帯観察プログラム
国際特許分類 A61B   1/267       (2006.01)
A61B   1/273       (2006.01)
A61B   5/11        (2006.01)
FI A61B 1/26
A61B 5/10 310K
請求項の数または発明の数 12
全頁数 26
出願番号 特願2005-236790 (P2005-236790)
出願日 平成17年8月17日(2005.8.17)
審査請求日 平成18年7月12日(2006.7.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】出口 真次
【氏名】鷲尾 誠一
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100080160、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 憲一郎
審査官 【審査官】門田 宏
参考文献・文献 特開平03-068347(JP,A)
特開昭51-078091(JP,A)
特開2001-078962(JP,A)
特開2002-172088(JP,A)
特開2002-306410(JP,A)
特開2004-166761(JP,A)
特開2005-044004(JP,A)
特開2005-087297(JP,A)
石丸正 他4名,発光ダイオードを用いた喉頭ストロボスコープの試作,日気食会報,日本,2000年,51(4),pp.335-339
調査した分野 A61B 5/11
A61B 1/00 - 1/32
JMEDPlus(JDream2)
JST7580(JDream2)
JSTPlus(JDream2)
要約 【課題】 病変を生じたこと等によって複数の振動部分を有する声帯の振動を、簡易な操作で、複数の振動部分を一度に、詳細に観察できる、小型軽量安価の声帯観察装置の提供。
【解決手段】 音声検出手段3によって検出した音声に含まれる被験者1の声帯2の複数の基本振動数を検出するための振動数検出手段10と、検出した複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる周波数を生成する信号生成手段10と、生成した各信号に基づいて発光し、声帯2のうち当該周波数に対応する基本振動数で振動する各振動部を照らす光源21、22と、光源21、22の発光によって照らされる各振動部を撮影する撮影手段5と、撮影された画像を出力する出力手段10とを有する声帯観察装置100。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも第1の基本振動数と第2の基本振動数で振動する振動体の前記第1の基本振動数と前記第2の基本振動数とを検出する振動数検出手段と、
前記振動数検出手段で検出した前記第1の基本振動数及び前記第2の振動数と異なる振動数で振動する第1の信号及び第2の信号をそれぞれ生成する信号生成手段と、
前記第1の信号及び前記第2の信号に基づくタイミングで前記振動体を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によって撮影された画像を連続的に表示する表示手段
を備えた振動体観察装置。
【請求項2】
前記信号生成手段は、前記第1の信号の振動数と前記第2の信号の振動数の比率を、前記第1の基本振動数と前記第2の基本振動数の比率と一致させたことを特徴とする請求項記載の振動体観察装置。
【請求項3】
前記撮影手段は、前記第1の信号及び前記第2の信号に基づくタイミングで発光して前記振動体を照らす光源を備えることを特徴とする請求項または請求項に記載の振動体観察装置。
【請求項4】
声帯から発せられた音声に含まれる複数の基本振動数を検出する振動数検出手段と、
前記振動数検出手段で検出した前記複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる振動数の信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段で生成した各信号に基づくタイミングで前記声帯を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によって撮影された画像を連続的に表示する表示手段
を有する声帯観察装置。
【請求項5】
前記振動数検出手段は、前記音声に含まれるいずれか1つの基本振動を第1の基本振動として検出するとともに、この第1の基本振動よりも振動数の大きい基本振動を第2の基本振動数として検出し、
前記信号生成手段は、前記第1の基本振動数に対応させた第1の信号の振動数と、前記第2の基本振動数に対応させた第2の信号の振動数を生成するとともに、前記第1の信号の振動数と前記第2の信号の振動数の比率を、前記第1の基本振動数と前記第2の基本振動数の比率と一致させたことを特徴とする請求項記載の声帯観察装置。
【請求項6】
前記撮影手段によって撮影された前記画像を前記第1の信号に基づくタイミングで撮影した画像ごと、及び前記第2の信号に基づくタイミングで撮影した画像ごとに抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出した抽出画像を合成する合成手段を有し、
前記表示手段では、前記合成手段によって合成した合成画像を表示することを特徴とする請求項または請求項に記載の声帯観察装置。
【請求項7】
前記撮影手段は、前記第1の信号及び前記第2の信号に基づくタイミングで発光して前記振動体を照らす光源を備えることを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の声帯観察装置。
【請求項8】
前記第1の信号に基づくタイミングでの発光は、前記第2の信号に基づくタイミングでの発光と異なる色で発光させていることを特徴とする請求項記載の声帯観察装置。
【請求項9】
前記撮影手段で撮影した前記声帯の画像に基づいて前記光源の光量を算出する光量算出手段と、
前記光量算出手段で算出された前記光源の光量に応じて前記声帯の画像を調整する光量制御手段
を有することを特徴とする請求項記載の声帯観察装置。
【請求項10】
振動数検出手段が1つの基本振動数しか検出できなかった場合には、この基本振動数を第1の基本振動数として、前記信号生成手段では前記第1の基本振動数に対応させた第1の信号のみを生成し、この第1の信号に基づくタイミングで前記撮影手段では前記声帯を撮影するようにしたことを特徴とする請求項記載の声帯観察装置。
【請求項11】
声帯から発せられる音声に基づいて前記声帯を観察するための信号を生成し、この信号に基づいて撮影した前記声帯の画像を出力させることを、コンピュータに実行させる声帯観察プログラムであって、
コンピュータを、
前記声帯から発せられた音声に含まれる複数の基本振動数を検出する振動数検出手段と、
前記振動数検出手段で検出した前記複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる振動数の信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段で生成した各信号に基づいて前記声帯を撮影する撮影手段で前記声帯の撮影を行う撮影制御手段と、
前記撮影制御手段で撮影された画像を表示手段に連続的に表示させる表示駆動手段
として機能させる声帯観察プログラム。
【請求項12】
前記振動数検出手段は、前記音声に含まれるいずれか1つの基本振動を第1の基本振動として検出するとともに、この第1の基本振動よりも振動数の大きい基本振動を第2の基本振動数として検出し、
前記信号生成手段は、前記第1の基本振動数に対応させた第1の信号の振動数と、前記第2の基本振動数に対応させた第2の信号の振動数を生成するとともに、前記第1の信号の振動数と前記第2の信号の振動数の比率を、前記第1の基本振動数と前記第2の基本振動数の比率と一致させたことを特徴とする請求項11記載の声帯観察プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、声帯などの振動体を観察するための振動体観察装置、声帯観察装置及び声帯観察プログラムに関するものであり、特に、人間の眼では視認できないほどの高振動数で振動している振動体の振動の様子を可視化可能とした振動体観察装置、声帯観察装置及び声帯観察プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人が発する声は声帯の振動によって生じていることはよく知られており、成人男性の場合では基本となる周波数として110~150Hz、成人女性の場合では基本となる周波数として220~270Hz程度で声帯が振動している。
【0003】
この声帯に病変等が生じると、病変部分によって振動が阻害されることにより声帯には正常な場合の振動数とは異なる振動数の振動が生じ、二重音声を生ずることが知られている。ただし、この二重音声を耳で聞いて確認できる状態の場合には、声帯に生じた病変がかなり進行しているため、より早期に声帯の振動異常を検出することが求められている。
【0004】
声帯の振動異常は、基本周波数の検出を行うことによって比較的容易に検出できるが、声帯は100Hz以上の振動数で振動しているので直接的に声帯の振動状態を観察することは不可能であり、初期状態の異常を目視によって確認することも現実的には不可能である。
【0005】
そこで、一部の施設では高速度カメラを用いて声帯の振動を高速度撮影し、声帯の振動状態をスローモーション映像として表示することにより、声帯の振動異常を目視により確認することが行われている。
【0006】
しかしながら、高速度カメラ及び高速度カメラで撮影した映像の再生装置は高価であって、操作も複雑であるので誰もが扱える装置ではなく、大学病院をはじめとした一部の病院にしか普及していないのが実情である。
【0007】
一方で、近年においてはインフォームド・コンセプトが重視され、声帯の振動を目視で観察することは、音声障害、声帯疾患の診断に役立つだけでなく、患者等への説明のためにも極めて有用である。
【0008】
そこで、高速度カメラよりも簡便に、かつ低コストで発声時の声帯の振動状態を観察することが求められている。このような要求に対して、所定の声を発声している状態では、声帯の振動は一定であるという特性を利用して、簡便にスローモーション画像を作成する方法が提案されている。
【0009】
すなわち、被験者から発せられた音声をマイクロフォンで拾って音声中の基本周波数の信号である音声信号を抽出し、この音声信号の周期よりも少し長い周期のサンプリング信号を生成して、このサンプリング信号に基づくタイミングで発光ダイオードを発光させ、この発光ダイオードの発光のタイミングでCCDカメラにより声帯を逐次撮影することにより声帯の見かけ上の振動速度を低下させて、高速度で撮影することなくスローモーション映像を生成可能とした技術が提案されている(たとえば非特許文献1)。
【0010】
また、上記の機構において、CCDカメラなどの撮影手段の撮影部と、発光ダイオードなどの照射部を一体化して声帯の撮影を容易に行うことができるようにした装置も知られている(たとえば特許文献1)。
【0011】
さらに、声帯の撮影でなく、同様に所定の振動数で振動している心臓や、その鼓動の影響を受ける食道等などの振動体の観察に、上記の装置と同様の機構により観察を行う装置も提案されている(たとえば特許文献2)。
【0012】

【特許文献1】特開2001-78962号公報
【特許文献2】特開平08-160319号公報
【非特許文献1】石丸 正、外4名、「発光ダイオードを用いた喉頭ストロボスコープの試作」、日気食会報、51(4)、2000、pp.335-339
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述の装置では、正常な基本振動に対して設定した所定振動数のサンプリング信号に基づいて検査対象物の撮影を行うものであり、たとえば検査対象物の声帯に病変が生じて2つ以上の基本振動が生じるようになった場合には、一方の基本振動に基づいてのみ撮影を行うと、それ以外の基本振動の状態を確認できる映像の生成が困難となって、複数の振動部分を一度に観察することが困難であるという問題があった。
【0014】
本発明は、複数の基本振動に基づいて振動している振動体の振動状態を観察する際に、簡易な操作で、かつ詳細に観察できる振動体観察装置及び声帯観察装置、さらには声帯観察装置に用いられる声帯観察プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の振動体観察装置では、少なくとも第1の基本振動数と第2の基本振動数で振動する振動体の第1の基本振動数と第2の基本振動数とを検出する振動数検出手段と、振動数検出手段で検出した第1の基本振動数及び第2の振動数と異なる振動数で振動する第1の信号及び第2の信号をそれぞれ生成する信号生成手段と、第1の信号及び第2の信号に基づくタイミングで振動体を撮影する撮影手段と、撮影手段によって撮影された画像を連続的に表示する表示手段を備えているものである。
【0018】
さらに、信号生成手段は、第1の信号の振動数と第2の信号の振動数の比率を、第1の基本振動数と第2の基本振動数の比率と一致させたことにも特徴を有し、撮影手段は、第1の信号及び第2の信号に基づくタイミングで発光して振動体を照らす光源を備えることにも特徴を有するものである。
【0021】
また、本発明の声帯観察装置では、声帯から発せられた音声に含まれる複数の基本振動数を検出する振動数検出手段と、振動数検出手段で検出した複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる振動数の信号を生成する信号生成手段と、信号生成手段で生成した各信号に基づくタイミングで声帯を撮影する撮影手段と、撮影手段によって撮影された画像を連続的に表示する表示手段を有するものである。
【0022】
さらに、以下の点にも特徴を有するものである。すなわち、
(1)振動数検出手段は、音声に含まれるいずれか1つの基本振動を第1の基本振動として検出するとともに、この第1の基本振動よりも振動数の大きい基本振動を第2の基本振動数として検出し、信号生成手段は、第1の基本振動数に対応させた第1の信号の振動数と、第2の基本振動数に対応させた第2の信号の振動数を生成するとともに、第1の信号の振動数と第2の信号の振動数の比率を、第1の基本振動数と第2の基本振動数の比率と一致させたこと。
(2)撮影手段によって撮影された画像を第1の信号に基づくタイミングで撮影した画像ごと、及び第2の信号に基づくタイミングで撮影した画像ごとに抽出する抽出手段と、抽出手段によって抽出した抽出画像を合成する合成手段を有し、表示手段では、合成手段によって合成した合成画像を表示すること。
(3)撮影手段は、第1の信号及び第2の信号に基づくタイミングで発光して振動体を照らす光源を備えること。
(4)第1の信号に基づくタイミングでの発光は、第2の信号に基づくタイミングでの発光と異なる色で発光させていること。
(5)撮影手段で撮影した声帯の画像に基づいて光源の光量を算出する光量算出手段と、光量算出手段で算出された光源の光量に応じて声帯の画像を調整する光量制御手段を有すること。
(6)振動数検出手段が1つの基本振動数しか検出できなかった場合には、この基本振動数を第1の基本振動数として、信号生成手段では第1の基本振動数に対応させた第1の信号のみを生成し、この第1の信号に基づくタイミングで撮影手段では声帯を撮影するようにしたこと。
【0023】
また、本発明の声帯観察プログラムでは、声帯から発せられる音声に基づいて声帯を観察するための信号を生成し、この信号に基づいて撮影した声帯の画像を出力させることを、コンピュータに実行させる声帯観察プログラムであって、コンピュータを、声帯から発せられた音声に含まれる複数の基本振動数を検出する振動数検出手段と、振動数検出手段で検出した複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる振動数の信号を生成する信号生成手段と、信号生成手段で生成した各信号に基づいて声帯を撮影する撮影手段で声帯の撮影を行う撮影制御手段と、撮影制御手段で撮影された画像を表示手段に連続的に表示させる表示駆動手段として機能させることとした。
【0024】
さらに、振動数検出手段は、音声に含まれるいずれか1つの基本振動を第1の基本振動として検出するとともに、この第1の基本振動よりも振動数の大きい基本振動を第2の基本振動数として検出し、信号生成手段は、第1の基本振動数に対応させた第1の信号の振動数と、第2の基本振動数に対応させた第2の信号の振動数を生成するとともに、第1の信号の振動数と第2の信号の振動数の比率を、第1の基本振動数と第2の基本振動数の比率と一致させたことにも特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0027】
請求項記載の発明によれば、少なくとも第1の基本振動数と第2の基本振動数で振動する振動体の第1の基本振動数と第2の基本振動数とを検出する振動数検出手段と、振動数検出手段で検出した第1の基本振動数及び第2の振動数と異なる振動数で振動する第1の信号及び第2の信号をそれぞれ生成する信号生成手段と、第1の信号及び第2の信号に基づくタイミングで振動体を撮影する撮影手段と、撮影手段によって撮影された画像を連続的に表示する表示手段を備えた振動体観察装置としたことによって、極めて容易に振動体における第1の基本振動数での振動状態だけでなく、第2の基本振動数での振動状態も明瞭に観察可能に表示できる振動体観察装置を提供できる。
【0028】
請求項記載の発明によれば、請求項記載の振動体観察装置において、信号生成手段では、第1の信号の振動数と第2の信号の振動数の比率を、第1の基本振動数と第2の基本振動数の比率と一致させたことによって、振動体における第1の基本振動数での振動状態だけでなく、第2の基本振動数での振動状態も極めて明瞭に観察可能に表示できる振動体観察装置を提供できる。
【0029】
請求項記載の発明によれば、請求項または請求項に記載の振動体観察装置において、撮影手段では、第1の信号及び第2の信号に基づくタイミングで発光して振動体を照らす光源を備えることによって、所要のタイミングでの確実な撮影を可能とした振動体観察装置を提供できる。
【0032】
請求項記載の発明によれば、声帯から発せられた音声に含まれる複数の基本振動数を検出する振動数検出手段と、振動数検出手段で検出した複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる振動数の信号を生成する信号生成手段と、信号生成手段で生成した各信号に基づくタイミングで声帯を撮影する撮影手段と、撮影手段によって撮影された画像を連続的に表示する表示手段を有する声帯観察装置としたことによって、声帯に病変などが生じて複数の振動を有するようになった声帯を簡易な操作で詳細に観察可能とした声帯観察装置を提供できる。
【0033】
請求項記載の発明によれば、請求項記載の声帯観察装置において、振動数検出手段では、音声に含まれるいずれか1つの基本振動を第1の基本振動として検出するとともに、この第1の基本振動よりも振動数の大きい基本振動を第2の基本振動数として検出し、信号生成手段では、第1の基本振動数に対応させた第1の信号の振動数と、第2の基本振動数に対応させた第2の信号の振動数を生成するとともに、第1の信号の振動数と第2の信号の振動数の比率を、第1の基本振動数と第2の基本振動数の比率と一致させたことによって、声帯における第1の基本振動数での振動状態だけでなく、第2の基本振動数での振動状態も極めて明瞭に観察可能に表示できる声帯観察装置を提供できる。
【0034】
請求項記載の発明によれば、請求項又は請求項に記載の声帯観察装置において、撮影手段によって撮影された画像を第1の信号に基づくタイミングで撮影した画像ごと、及び第2の信号に基づくタイミングで撮影した画像ごとに抽出する抽出手段と、抽出手段によって抽出した抽出画像を合成する合成手段を有し、表示手段では、合成手段によって合成した合成画像を表示することによって、声帯における第1の基本振動数での振動状態だけでなく、第2の基本振動数での振動状態も極めて明瞭に観察可能に表示できる声帯観察装置を提供できる。
【0035】
請求項記載の発明によれば、請求項4~6のいずれか1項に記載の声帯観察装置において、撮影手段は、第1の信号及び第2の信号に基づくタイミングで発光して振動体を照らす光源を備えることによって、所要のタイミングでの確実な撮影を可能とした声帯観察装置を提供できる。
【0036】
請求項記載の発明によれば、請求項記載の声帯観察装置において、第1の信号に基づくタイミングでの発光は、第2の信号に基づくタイミングでの発光と異なる色で発光させていることによって、抽出手段での画像の抽出処理を簡便とすることができ、安価な声帯観察装置を提供できる。
【0037】
請求項記載の発明によれば、請求項記載の声帯観察装置において、撮影手段で撮影した声帯の画像に基づいて光源の光量を算出する光量算出手段と、光量算出手段で算出された光源の光量に応じて声帯の画像を調整する光量制御手段を有することによって、第1の信号に基づくタイミングでの発光と、第2の信号に基づくタイミングでの発光とで光量を異ならせて発光させることにより撮像画像の区別を可能とすることができ、抽出手段での画像の抽出処理を簡便とすることができる。さらに、光量算出手段で検出した光量情報に基づいて補正することにより、光量バランスが調整された映像を生成でき、違和感のない映像とすることができる。
【0038】
請求項10記載の発明によれば、請求項記載の声帯観察装置において、振動数検出手段が1つの基本振動数しか検出できなかった場合には、この基本振動数を第1の基本振動数として、信号生成手段では第1の基本振動数に対応させた第1の信号のみを生成し、この第1の信号に基づくタイミングで撮影手段では声帯を撮影するようにしたことによって、声帯の異常の有無を考慮することなく声帯観察装置で声帯を観察でき、だれもが簡単に取り扱える声帯観察装置を提供できる。
【0039】
請求項11記載の発明によれば、声帯から発せられる音声に基づいて声帯を観察するための信号を生成し、この信号に基づいて撮影した声帯の画像を出力させることを、コンピュータに実行させる声帯観察プログラムであって、コンピュータを、声帯から発せられた音声に含まれる複数の基本振動数を検出する振動数検出手段と、振動数検出手段で検出した複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる振動数の信号を生成する信号生成手段と、信号生成手段で生成した各信号に基づいて声帯を撮影する撮影手段で声帯の撮影を行う撮影制御手段と、撮影制御手段で撮影された画像を表示手段に連続的に表示させる表示駆動手段として機能させることによって、声帯に病変などが生じて複数の振動を有するようになった声帯を簡易な操作で詳細に観察可能とした声帯観察プログラムを提供できる。
【0040】
請求項12記載の発明によれば、請求項11記載の声帯観察プログラムにおいて、振動数検出手段は、音声に含まれるいずれか1つの基本振動を第1の基本振動として検出するとともに、この第1の基本振動よりも振動数の大きい基本振動を第2の基本振動数として検出し、信号生成手段は、第1の基本振動数に対応させた第1の信号の振動数と、第2の基本振動数に対応させた第2の信号の振動数を生成するとともに、第1の信号の振動数と第2の信号の振動数の比率を、第1の基本振動数と第2の基本振動数の比率と一致させたことによって、声帯における第1の基本振動数での振動状態だけでなく、第2の基本振動数での振動状態も極めて明瞭に観察可能に表示できる声帯観察プログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の振動体観察装置は、複数の基本振動数で振動している振動体を撮影して、スローモーション映像として表示することにより振動体の振動の様子を目視で観察可能としている振動体観察装置であって、少なくとも2種類の基本振動数を検出し、それぞれの基本振動数に対してその振動数とは異なる振動数の信号であるサンプリング信号を生成し、このサンプリング信号に基づくタイミングで振動体を逐次撮影して、撮影された画像を表示手段に連続的に表示することにより振動体の振動の様子を観察可能としているものである。
【0042】
このように、異なる基本振動数の振動に対してそれぞれのサンプリング信号に基づいて振動体を撮影して画像合成を行うことにより、それぞれの基本振動での振動状態を確認可能としたスローモーション映像を容易に生成することができる。
【0043】
ここで、振動体を声帯として声帯の観察を行うことにより、声帯に病変が生じている場合に声帯に生じる複数の基本振動を確実に、かつ簡単に観察することができる声帯観察装置を提供できる。
【0044】
特に、単に声帯を観察するだけであれば、第1の基本振動数と第2の基本振動数とを特定し、第1の基本振動数に基づく第1の信号を生成するとともに、第2の基本振動数に基づく第2の信号を生成し、第1の信号に基づくタイミングで声帯に光を瞬間的に照射するとともに、第2の信号に基づくタイミングで声帯に光を瞬間的に照射して声帯を観察することによって、声帯の振動をスローモーションにより目視観察することができる。
【0045】
すなわち、声帯は喉の奥の暗い領域にあって、声帯を照らす光源がなければ観察できないため、このことを利用して瞬間的に声帯に光を照射するフラッシュ照射を連続的に行うことにより、光が照射された瞬間だけ声帯を視認でき、その後の残像現象によって声帯の振動をスローモーション的に観察することができる。
【0046】
なお、声帯の振動をスローモーション的に観察するために、第1の信号及び第2の信号は、第1の基本振動数及び第2の基本振動数に基づいてそれぞれスローモーション的な観察が可能となる信号が選択されている。
【0047】
さらに、声帯の振動を目視する代わりに、適宜の撮影手段で撮影することにより声帯の振動状態を撮影した映像を得ることができる。
【0048】
本発明の振動体観察装置、声帯観察装置及び声帯観察プログラムについて、以下図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では振動体は声帯として説明を行うが、声帯以外の振動体にも利用可能であることは言うまでもない。
【0049】
図1に示すように、本発明にかかる声帯観察装置100は、制御端末としてのコンピュータであるパーソナルコンピュータ10と、被験者1の声帯としての声帯2によって発せられる音声を検出する音声検出手段としてのマイク3と、マイク3の出力信号を増幅してパーソナルコンピュータ10に入力するアンプ4と、パーソナルコンピュータ10に接続されてパーソナルコンピュータ10の制御によって発光する2つの発光ダイオード(以下、「LED」という。)21、22と、このLED21、22の発光にともなって照らされた声帯2を撮影して、撮影した画像の信号をパーソナルコンピュータ10に出力する撮影手段としてのカメラ5と、LED21、22をその先端に一体に支持した光源支持部材としての支持棒6と、マイク3とアンプ4、アンプ4とパーソナルコンピュータ10、LED11とパーソナルコンピュータ10、LED12とパーソナルコンピュータ10、カメラ5とパーソナルコンピュータ10をそれぞれ接続してこれらの間で後述するような各種の信号を伝達する信号伝達手段としてのケーブル7とを有している。なお、カメラ5にはいわゆるCCDカメラを用いている。
【0050】
図2に示すように、パーソナルコンピュータ10はCPU等によって構成されており、特に声帯観察装置100の動作全般を制御する制御部11と、ハードディスク、ROM、RAM等で構成された記憶部12と、キーボード、マウス等によって構成された入力部13と、モニタ等によって構成された表示部14と、音声の出力を行うスピーカ15と、アンプ4からの入力信号とLED21、22への出力信号とをA/D変換するA/Dコンバータ16と、カメラ5からの入力信号を受けるビデオ入力ポート17を備えている。制御部11と、記憶部12と、A/Dコンバータ16と、ビデオ入力ポート17とは、パーソナルコンピュータ10の本体10aに備えられている。
【0051】
本実施形態のパーソナルコンピュータ10は表示部14を一体に有し、持ち運びが容易なノートパソコンである。
【0052】
LED21、22は互いに異なる色で発光するようにしている。具体的には、LED21、22はそれぞれ、赤色、緑色で発光する。なお、LED21、22の発光色の組み合わせとして赤色、緑色を用いたのは、これらの色が最も入手しやすくかつ利用しやすいためであり、しかも目で見たときに識別しやすいという利点を有するためであるが、他の色の組み合わせであっても良い。
【0053】
マイク3は、非接触のマイクロフォンであり、頸部にコンタクトマイクロフォンを当てる作業をする必要がなく、観察に至るまでの操作が容易であるとともに、被験者1の負担、不快感が軽減される。
【0054】
一般に、人間の声帯は、正常な状態では、100~400Hzの基本振動数で振動して音声を発する。このように声帯は高周波振動を行うため、単に声帯2に光を当てて観察しても、人間の目で捉えることができない。そのため、声帯観察装置100では、LED21、22をかかる基本振動数と異なる周波数で発光させて観察することで、声帯2の見かけ上の振動数を低減し、声帯の振動の様子を観察するようにしている。
【0055】
図3に沿って、声帯2の見かけ上の振動数が低減する原理を説明する。実線で示した波形が声帯2の実際の基本振動を示している。実際の基本振動の周期をTとする。ここで声帯2に、Tと異なる周期T’に基づくタイミングで光を当てると、声帯2は光をあてたときだけ目に見え、時間T’間隔で観察されるため、見かけ上、破線で示した波形にて声帯2の振動が観察され、見かけ上の周期がT”となる。周期T”は、周期Tと周期T’との関係によって定まる。
【0056】
したがって、LED21、22の発光周期(図3におけるT’)を調整することで、声帯2の見かけ上の周期(図3におけるT”)を人間の目で捉えることができる周期の範囲内とすれば、言い換えると、LED21、22の発光周波数(図3におけるT’を用いると1/T’)を調整することで、声帯2の見かけ上の振動数(図3におけるT”を用いると1/T”)を人間の目で捉えることができる振動数の範囲内とすれば、声帯2の振動の様子を詳細に観察することができる。
【0057】
なお、正常な声帯2は単一の基本振動数で振動することが知られている。たとえば、図4に示す声帯2が正常な状態であれば、左側の振動部2L、右側の振動部2Rは、それぞれの全体が同期して単一の基本振動数で左右対称に振動する。
【0058】
しかし、図4に示すように、声帯2が結節や癌などの病変に冒されてその箇所において生体組織が硬化し、病変部18を有する声帯疾患に至ると、病変部18において振動しにくくなる。
【0059】
この状態においては、声帯2は、病変部18を節とし、病変部18より前側の振動部2Fと後側の振動部2Bとが独立した振動を行い、それぞれの振動部2F、2Bが正常な状態における基本振動数と異なる複数の基本振動数による振動を示すようになる。
【0060】
すなわち、声帯2が、正常な声帯に見られる単一の基本振動数と異なる複数の基本振動数にて振動するようになり、局所的に基本振動数の異なる振動を共有した病態を示し、二重音声として現れる音声障害を生じる。なお、図4は、竹節様声帯症例の声帯振動動態の模式図(廣瀬肇、「音声障害の臨床」、インテルナ社、2000年)であって、声帯2に生じる病変の一例を示したに過ぎず、他の態様で病変が生じた場合には、図4に示したものと異なる状態で振動することがある。
【0061】
すでに述べたように、このような病変を生じた声帯2を従来の装置で観察するには、操作が煩雑であり、また複数の振動部分を一度に観察することができず、各振動部分の振動を対比しながら観察できないため、実際の声帯の振動の様子を把握することが困難である。
【0062】
すなわち、従来の咽頭ストロボスコープ装置は、正常な声帯に見られる単一の基本振動数を有する声帯振動の観察に適したものではあるが、臨床において診察や診断等のために正確な観察が必要とされる複数の基本振動数を有した病的な声帯振動を正確に観察することが困難である。
【0063】
そこで、高速度撮影が可能なカメラを用い、声帯の振動を人間の目で追従できる速度まで落として再生し観察する装置も提供されているが、そのような機器は大型であり、高価であるため、普及が難しい。
【0064】
一方で、近年においては、インフォームド・コンセプトが重視され、声帯の振動を人間の目で追従できるようにして観察することは、音声障害、声帯疾患の診断に役立つだけでなく、患者等への説明のためにも極めて有用である。
【0065】
そこで、声帯観察装置100は、病変を生じたこと等によって複数の振動部分を有する声帯2の振動を、複数のLED21、22を用いることによって、簡易な操作で一度に、詳細に観察できる小型軽量安価の声帯観察装置を提供するものである。声帯観察装置100を用い、図4に示した声帯2を観察する場合について説明する。
【0066】
はじめに、支持棒6を操作して、その先端に配設されたLED21、22を、被験者1の口腔内に挿入し、LED21、22にて、それぞれ、振動部2F、2Bを照射するに適した位置に配置する。カメラ5は、声帯2の、少なくとも振動部2F、2Bを撮影できる位置に配置する。マイク3は、被験者1の喉の近傍の位置であって被験者1の音声を拾うことができる位置に配置する。
【0067】
パーソナルコンピュータ10において、声帯観察装置100に関するプログラム(以下、「声帯振動観察プログラム」という)を起動させ、被験者1の発声を促し、マイク3で被験者1の音声を拾い、アンプ4で増幅された音声信号をA/Dコンバータ16でデジタル信号に変換する。
【0068】
デジタル信号を、記憶部12に記憶してから、または記憶部12に記憶させることなく直接に、制御部11に取り込み、FFT(高速フーリエ変換)によって周波数領域に変換する。変換により図5に示すような音声波形スペクトルが得られ、これに基づき、制御部11において、振動部2F、2Bのそれぞれの基本振動数F1、F2を検出する。
【0069】
制御部11は、基本振動数F1、F2に基づき、LED21、22を発光させるための、それぞれ基本振動数F1、F2とは異なる振動数F’1、F’2の信号を、後述するようにして生成するとともに、A/Dコンバータ16を介して、LED21、22を、それぞれ生成した振動数F’1、F’2の信号に基づいて発光させる。
【0070】
声帯2の振動部2F、2Bは、それぞれ周期T’1、(=1/F’1)、T’2(=1/F’2)でLED21、22によって照射されることにより、振動部2F、2Bの振動を、見かけ上の周期T”1、T”2でカメラ5により撮影する。特に、一方のLED21はたとえば赤色で発光し、他方のLED22はたとえば緑色で発光することにより、LED21の発光にともなって赤色の画像が撮影され、LED22の発光にともなって緑色の画像が撮影される。
【0071】
カメラ5は、撮影した画像の信号をビデオ入力ポート17を介してパーソナルコンピュータ10に逐次入力し、パーソナルコンピュータ10では入力された画像を表示部14に連続的に表示するようにしている。
【0072】
周期T”1、T”2は人間の目で追従できる速度である1/10sec以上程度に調整されており、声帯2の振動が、各振動部2F、2Bそれぞれの振動として、良好に観察される。
【0073】
これら一連の動作は記憶部12に記録された声帯振動観察プログラムに基づき、制御部11によって制御されている。
【0074】
よって、記憶部12、制御部11は、マイク3によって検出した被験者1の音声に含まれる、声帯2の複数の基本振動数F1、F2を検出するための振動数検出手段として機能するとともに、検出した複数の基本振動数F1、F2の各々について当該基本振動数F1、F2と異なる振動数F’1、F’2の信号を生成する信号生成手段として機能する。
【0075】
そのため、声帯振動観察プログラムは、被験者1の音声に含まれる基本振動数F1、F2を検出するためのプログラムとして、FFTにより図5に示した音声波形スペクトルを生成するためのスペクトル解析を行う解析プログラムと、生成した音声波形スペクトルから複数の基本振動数F1、F2を検出する検出プログラムとを含んでいるとともに、検出した複数の基本振動数F1、F2の各々について当該基本振動数F1、F2と異なる振動数F’1、F’2の信号を生成する生成プログラムを含んでいる。
【0076】
ここで、基本振動数とは、異なる振動源、ここでは振動部2F、2Bがそれぞれに持つ固有の振動数のうちの基本振動数、すなわち最低次の振動数をいい、基本振動数の2次や3次振動数などの倍数の、高調波振動数などといわれる振動数とは異なるものである。
【0077】
基本振動数を検出するのは、一般に、声帯の振動は完全な正弦波振動ではないことを考慮したものである。たとえば、単に複数の振動数を検出することとすれば、基本振動数とその倍数の振動数を検出することもありうる。このような場合には、本実施形態の例でいうと、振動部2Fのみの振動数または振動部2Bのみの振動数を検出することとなり、両振動部2F、2Bを同時に観察することができなくなる。
【0078】
検出プログラムは、音声波形スペクトルにおいてピークとして現れる複数の周波数成分から、最低次の周波数成分を示すものを基本振動数として検出して取り出すように構成されている。
【0079】
一方で、声帯に病変を生じていない被験者1の音声をマイク3によって検出した場合には、基本振動数は1つしか検出できず、この場合には従来の声帯観察装置と同様に1つの基本振動数から振動数の異なる一つの信号を生成し、この信号に基づいてカメラ5で声帯を撮影するようにしている。
【0080】
このように、基本振動数の検出数によってLED21、22の発光を制御する信号の生成を自動的に調整することにより、被験者1の声帯における病変の有無を考慮することなく本実施形態の声帯観察装置を用いることができる。
【0081】
本実施形態では、光源としてのLED21、22を2つ有することから、この数に合わせ、音声に含まれる声帯2の複数の基本振動数のうち、低いほうの基本振動数から、2つ、基本振動数を検出するようになっている。一般に、声帯は、振動部分が大きいほど振動速度が小さく、振動数が低くなるため、低いほうの基本振動数から検出することは、より大きな振動部の様子を捉えることに適している点においても優れている。
【0082】
生成プログラムは、図3を参照して、検出プログラムで検出された振動数の周期をT、これに基づいて当該プログラムによって生成する周波数の周期をT’、見かけ上の周波数の周期をT”としたとき、
T’=T”/(T”/T-1)
によってT’を生成する。
【0083】
ただし、T’1、T’2は、互いに異なり、かつ何れか一方が他方の整数倍とならないように決定される。何れか一方を他方の整数倍とならないようにするのは、LED21、22が同時に発光することを抑制し、観察を良好に行う利点があるためであるが、必ずしもこの関係とする必要はない。
【0084】
T”は、入力部13を用いて入力された、または、記憶部12に予め記録された、通常、1/10sec以上とされるデータを用いる。なお、周波数をデータとして用いても良い。
【0085】
T’1、T’2が互いに異なっているため、LED21、22によって発せられる光量は互いに異なり、よってカメラ5によって撮影された画像において観察される振動部2F、2Bの光量、言い換えると明度等が異なる。
【0086】
そのため、声帯観察装置100においては、制御部11が、カメラ5からの信号に基づいて各振動部2F、2Bそれぞれの光量を算出するとともに、それぞれの表示時における光量が一致するように、LED21、22に流す電流値を制御するようになっている。
【0087】
これらはそれぞれ声帯観察装置100に含まれる光量算出プログラム、光量制御プログラムを用いて行われる。これらのプログラムは記憶部12に記録され、制御部11によって制御される。よって、制御部11、記憶部12は、かかる機能を有する光量算出手段、光量制御手段として機能する。
【0088】
なお、光量制御プログラムは、LED21、22に流す電流を制御するのでなく、各振動部2F、2Bそれぞれの表示時における光量が一致するように画像処理を行うものであっても良い。
【0089】
表示部14は、カメラ5によって撮影された画像を出力する出力手段として機能している。
【0090】
スピーカ15は、マイク3によって集音した被験者1の音声を、出力手段による出力に同期して出力することができる。
【0091】
LED21、22は、生成された複数の振動数F’1、F’2のそれぞれで発光してパルス照射を行い、このストロボ照射によって、声帯2のうち、振動数F’1、F’2にそれぞれ対応する基本振動数F1、F2で振動する、各振動部2F、2Bを照らすようになっている。
【0092】
光源としてLEDを選択したのは、汎用性があり、小型、安価であるためである。小型であることは、持ち運びやすいのみならず、これを被験者1の喉頭等、口内に挿入する場合に被験者1の不快感が軽減されるという利点がある。
【0093】
また、LEDは明滅に関する応答性に優れ、見かけ上の周波数を低減するべく不連続の画像を連続的に観察するために瞬間的に発光する必要がある声帯観察装置100に用いる光源として適しているためである。さらには、LEDはほぼ単一波長で発光するから、後述する画像抽出の際に、抽出感度が良いという利点もある。
【0094】
声帯観察装置100は、以上述べた動作のみを行うように構成することもできるが、これのみでは、振動部2F、2Bの観察状態にノイズが出るおそれがある。
【0095】
すなわち、LED21、22による照射範囲が、それぞれの対象照射範囲である振動部2F、2Bでない他方の振動部2B、2Fに及んだ場合には、本来ならば周期T”1、T”2で単振動するように観察されるべき振動部2F、2Bの像に、他方のLEDで照射された振動部2F、2Bの像がゴースト画像として重畳されるおそれがある。
【0096】
そのため、本実施形態の声帯観察装置100においては、カメラ5によって撮影された声帯2の画像を、各振動部2F、2Bごとに抽出するとともに、抽出された各振動部2F、2Bの画像を、それぞれ元の位置を占めるように合成し、この合成画像を表示部14にて表示するようになっている。
【0097】
これにより、振動部2Fの振動の様子はLED21のみによって照射された画像として観察され、振動部2Bの振動の様子はLED22のみによって照射された画像として観察される。したがって、かかるノイズがなく、振動部2F、2Bの振動の様子が良好に観察される。
【0098】
かかる抽出は、これを行う前に声帯2の振動の様子を表示部にテスト表示させ、振動部2F、2Bを別々に領域指定して抽出領域を決定し、切り出したうえで合成するが、切り出しの際に、LED21、22が、異なる波長すなわちそれぞれ赤色、緑色を示す単一波長で発光することを利用して、カラーフィルタを用い、それぞれの色の画像を抽出し、それから切り出しを行うようにする。
【0099】
声帯振動観察プログラムは、フィルタリングを行うフィルタリングプログラム、かかる切り出しを行う切り出しプログラム、かかる合成を行う合成プログラムを含んでおり、これらのプログラムは記憶部12に記録され、制御部11によって制御される。
【0100】
よって、制御部11、記憶部12は、カメラ5によって撮影された声帯2の画像を、フィルタリングプログラムおよび切り出しプログラムを用いて各振動部2F、2Bごとに、すなわち色ごとに抽出する抽出手段として機能するとともに、上述のように抽出した各振動部2F、2Bの抽出画像を合成する合成手段として機能する。
【0101】
表示部14には、抽出画像を合成して形成した合成画像を出力し、表示させる。合成画像は、各振動部2F、2Bを赤色、緑色で表示するものであっても良いし、全体をモノクロで表示するものであっても良い。
【0102】
このような処理を行う場合、LED21、22の発光タイミングがずれているため、カメラ5は1つのみ備えられていれば十分であるが、カメラ5を、LED21、22の数に対応させて2つ設け、振動部2F、2Bのそれぞれに焦点を合わせるようにすれば、さらに鮮明な画像を得ることができる。
【0103】
また、表示部14による合成画像の表示は、カメラ5による撮影とリアルタイムで行っても良いが、記憶部12に撮影画像を一旦記録し、記憶された画像データを読み出して上述した抽出、合成を行ないつつ行っても良いし、合成画像を記憶部12に記録した上でこれを読み出して行っても良い。
【0104】
表示をリアルタイムで行う場合や、抽出合成を行いつつ行う場合にも、合成画像を記憶部12に記録しておくようにしてもよく、記憶部12記録しておけば、診断や患者等への説明に利用できるという利点がある。何れのモードで表示を行うか、記録を行うか否かの設定は、入力部13を用いて行うようにしても良いし、予め記憶部12に記録されていても良い。
【0105】
声帯観察装置100は、以上述べた動作のみを行うように構成することもできるが、生成プログラムに関し、当該プログラムによって生成する発光周波数の周期T1’、T2’は、単に、互いに異なり、かつ何れか一方が他方の整数倍とならないように決定されるのみならず、一定の関係を持って決定するようにすることができる。
【0106】
すなわち、発光周波数の周期T1’、T2’のそれぞれに対応する見かけ上の周波数の周期T1”、T2”の相互間の比と、各振動部2F、2Bの基本振動数の周期T1、T2の相互間の比と一致するように、発光周波数の周期T1’、T2’を生成するようにすることができる。
【0107】
この場合、生成プログラムは、
T1:T2=T1”:T2”
を満たすとともに、
T1’=T1”/(T1”/T1-1)
T2’=T2”/(T2”/T2-1)
を満たすように構成される。
【0108】
T1”、T2”は、そのいずれか一方のみが決められれば、自動的に他方が決まる。すなわち、
T1’=T1”/(T1”/T1-1)
であって、
T2’=T2/(1-T1/T1”)
となる。
【0109】
よって、目標とする見かけの周波数については、入力部13を用いて入力された、または、記憶部12に予め記録された、通常、1/10sec以上とされる1つのデータがあれば良い。なお、周波数をデータとして用いても良い。
【0110】
実施例として以上の構成の声帯観察装置100を用いたところ、振動部2F、2Bのそれぞれの基本周波数として630Hz、810Hzが検出され、目標とする見かけの周波数として1Hzを設定した場合に、実際の見かけの周波数が1.12Hz、1.48Hzとして観察された。
【0111】
ここで、目標とした見かけの周波数と実際の見かけの周波数が異なっているのは、生成プログラムを、目標の周波数と実際の周波数とが必ずしも一致する必要がないように構成したためであって、これらの周波数を厳密に一致させるように構成することもできる。
【0112】
なお、見かけの周波数の周期は、上述のように、人間の目で捉えられるように、通常、1/10sec以上とされ、これによって見かけの画像としてのスローモーション画像が得られるが、振動の様子を、振動の繰り返しとして、かつ詳細に捉えるには1Hz程度が望ましい。
【0113】
声帯観察装置100は、以上述べたように構成することもできるが、被験者1の負担をさらに考慮し、LED21、22を口腔部内に挿入するのでなく、LED21、22によるそれぞれの光を各振動部2F、2Bに向けて導いて照らす照射部材としての光ファイバーを口腔内に挿入するように構成しても良い。
【0114】
照射部材としては光ファイバーに限らないが、光ファイバーのように細く口腔部内に挿入することが容易で被験者1の不快感が大きく軽減されるものが望ましい。
【0115】
図6に示すように、以上述べた声帯観察装置100においては、マイク3、カメラ5、LED21、22等を上述した所定の位置に設置する等して各構成要素を作動可能な状態にセットアップし、パーソナルコンピュータ10において声帯振動観察プログラムを起動し、検出する基本振動数の数、目標とする見かけ上の振動数等の各種入力を行って、初期設定が完了すると(S1)、マイク3による集音が開始され(S2)、複数の基本振動数F1(=1/T2)、F2(=1/T2)が検出され(S3)、各基本振動数F1、F2について発光振動数F’1(=1/T’1)、F’2(=1/T’2)が生成され(S4)、各LED21、22により各発光振動数F’1、F’2で声帯2へのストロボ照射、具体的にはそれぞれ振動部2F、2Bへのストロボ照射が開始され(S5)、カメラ5で振動部2F、2Bが撮影され(S6)、赤、緑の色毎に画像が抽出され(S7)、各色の抽出画像について抽出領域が決定されると(S8)、各抽出領域の画像が合成され(S9)、振動数F”1(=1/T”1)、F”2(=1/T”2)で振動する合成画像としての動画がスローモーション像として表示部14に表示され(S10)、声帯2の動態が観察される。
【0116】
かかるステップS1は、少なくともパーソナルコンピュータ10の入力部13を用いて制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12においてかかる初期設定を行う初期設定ステップを構成している。
【0117】
そして、少なくともパーソナルコンピュータ10の入力部13、これに加えて制御部11、あるいはこれらの何れかに加えて記憶部12によって、かかる初期設定を行う初期設定手段が構成されている。
【0118】
かかるステップS2は、声帯2によって発せられる音声を検出するマイク3によって検出した音声に関する信号をパーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12において受信する音声信号受信ステップを構成している。
【0119】
そして、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12によって、声帯2によって発せられる音声を検出するマイク3によって検出した音声に関する信号を受信する音声信号受信手段が構成されている。
【0120】
かかるステップS3は、音声信号受信ステップによって受信した音声に関する信号に含まれる声帯2の複数の基本振動数F1、F2をパーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12において検出するための振動数検出ステップを構成している。振動数検出ステップは、上述した解析プログラムによりスペクトル解析を行うスペクトル解析ステップと、上述した検出プログラムによりスペクトル解析結果からかかる検出を行う検出ステップとを含んでいる。
【0121】
そして、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12によって、音声信号受信手段によって受信したかかる音声に関する信号に含まれる声帯2の複数の基本振動数F1、F2を検出するための上述した振動数検出手段が構成されている。この振動数検出手段は、上述した解析プログラムを実行してスペクトル解析を行うスペクトル解析手段と、上述した検出プログラムを実行してスペクトル解析結果からかかる検出を行う検出手段とを含んでいる。
【0122】
かかるステップS4は、上述した生成プログラムにより、振動数検出ステップによって検出した複数の基本振動数F1、F2の各々について基本振動数F1、F2と異なる振動数F’1、F’2をパーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12において生成する周波数生成ステップを構成している。
【0123】
そして、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12によって、上述した生成プログラムを実行し、振動数検出手段によって検出した複数の基本振動数F1、F2の各々について基本振動数F1、F2と異なる振動数F’1、F’2を生成する信号生成手段が構成されている。
【0124】
かかるステップS5は、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12において、上述の光量算出プログラム、光量制御プログラムを用い、周波数生成ステップによって生成した複数の振動数F’1、F’2でLED21、22を作動させ、それぞれの振動数F’1、F’2に対応する基本振動数F1、F2で振動する各振動部2F、2Bを照らす発光駆動ステップを構成している。発光駆動ステップは、上述した光量算出プログラムを用いて光量算出を行う光量算出ステップ、上述した光量制御プログラムを用いて光量制御を行う光量制御ステップを含む。
【0125】
そして、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12によって、上述の光量算出プログラム、光量制御プログラムを実行し、信号生成手段によって生成した複数の振動数F’1、F’2のそれぞれでLED21、22を作動させ、それぞれの振動数F’1、F’2に対応する基本振動数F1、F2で振動する各振動部2F、2Bを照らす発光駆動手段が構成されている。発光駆動手段は、上述した光量算出プログラムを実行して光量算出を行う光量算出手段、上述した光量制御プログラムを実行して光量制御を行う光量制御手段を含む。
【0126】
かかるステップS6は、発光駆動ステップによって照らされる各振動部2F、2Bをカメラ5で撮影する撮影ステップを構成している。撮影は、少なくとも、周波数生成ステップによって生成した複数の振動数F’1、F’2で、LED21、22の発光タイミングを含むように行われればよい。
【0127】
そして、カメラ5によって、発光駆動手段によってLED21、22が駆動され発光することによって照らされる各振動部2F、2Bをカメラ5で撮影する撮影手段が構成されている。撮影は、少なくとも、信号生成手段によって生成した複数の振動数F’1、F’2で、LED21、22の発光タイミングを含むように行われればよい。
【0128】
かかるステップS7は、上述したカラーフィルタ、フィルタリングプログラムを用いて、撮影ステップによって撮影された画像を、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12において、赤、緑の色毎に抽出する抽出ステップを構成している。
【0129】
そして、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12によって、上述したカラーフィルタを用い、上述したフィルタリングプログラムを実行し、カメラ5によって撮影された画像を、赤、緑の色毎に抽出する抽出手段が構成されている。
【0130】
かかるステップS8は、上述した切り出しプログラムを用いて、抽出ステップにおいて抽出した各色の抽出画像について、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12において、あるいはこれらのいずれかに加えて入力部13を用いて抽出領域を決定する領域決定ステップを構成している。
【0131】
そして、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12によって、あるいはこれらのいずれかに加えて入力部13によって、上述した切り出しプログラムを実行し、抽出手段において抽出した各色の抽出画像について、抽出領域を決定する領域決定手段が構成されている。
【0132】
かかるステップS9は、上述した合成プログラムを用いて、領域決定ステップで決定した各抽出領域の画像をパーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12において合成する合成ステップを構成している。
【0133】
そして、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12によって、上述した合成プログラムを実行し、領域決定手段で決定した各抽出領域の画像を合成する合成手段が構成されている。
【0134】
かかるステップS10は、カメラ5によって撮影され、最終的には合成ステップによって合成された画像を出力する表示部14を、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12において作動させ、かかる画像を出力する出力駆動ステップを構成している。
【0135】
そして、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12によって、カメラ5によって撮影され、最終的には合成手段によって合成された画像を出力する表示部14を作動させ、かかる画像を出力する出力駆動手段が構成されている。
【0136】
このように、本発明の声帯観察プログラムは、声帯2によって発せられる音声に基づいて声帯2を観察するための振動数F’1、F’2を生成するとともにかかる振動数F’1、F’2に対応して撮影した声帯2の画像を出力させることを、パーソナルコンピュータ10に実行させるものとして構成されている。
【0137】
以上説明した声帯観察装置100及び声帯観察プログラムでは、LED21、22を間欠的に発光させて声帯2を照射し、カメラ5によって撮影して声帯2の振動を見かけ上スローモーションとしたが、LED21、22を連続してあるいは間欠的に発光させて声帯2を照射し、カメラ5によって撮影した画像を間欠的に出力することによって声帯2の振動を見かけ上スローモーションとするように構成することができる。
【0138】
このような形態について、前述の形態と異なる部分について、主に説明する。なお、LED21、22は、少なくとも、カメラ5によって撮影した画像を間欠的に出力するタイミングで発光されればよいが、以下では連続して発光されるものとする。
【0139】
かかる形態では、前述のステップS5は、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12において、LED21、22を作動させ、振動数検出ステップで検出した基本振動数F1、F2で振動する各振動部2F、2Bを照らす発光駆動ステップとされる。光量算出ステップは、各振動部2F、2Bそれぞれの表示時における光量を算出するものとして構成される。光量制御ステップは前述同様である。発光駆動ステップはこれら光量算出ステップ、光量制御ステップを含む。
【0140】
そして、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えた記憶部12によって、振動数検出手段によって検出した基本振動数F1、F2で振動する各振動部2F、2Bを照らす発光駆動手段が構成される。光量算出手段は、各振動部2F、2Bそれぞれの表示時における光量を算出するものとして構成される。光量制御手段は前述と同様である。発光駆動手段はこれら光量算出手段、光量制御手段を含む。
【0141】
前述のステップS6は、発光駆動ステップによって照らされる各振動部2F、2Bをカメラ5で撮影する撮影ステップを構成する。撮影は、少なくとも、周波数生成ステップによって生成した複数の振動数F’1、F’2で、LED21、22の発光タイミングを含むように行われればよい。
【0142】
そして、カメラ5によって、発光駆動手段によってLED21、22が駆動され発光することによって照らされる各振動部2F、2Bを撮影する撮影手段が構成されている。撮影は、少なくとも、信号生成手段によって生成した複数の振動数F’1、F’2で、LED21、22の発光タイミングを含むように行われればよい。
【0143】
前述のステップS6以後であって前述ステップS10より前までの間に、LED21、22の発光によって照らされる各振動部2F、2Bを撮影するカメラ5によって、周波数生成ステップによって生成した複数の振動数F’1、F’2のそれぞれで撮影するための撮影駆動ステップが、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12において行われる。
【0144】
そして、パーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12によって、LED21、22の発光によって照らされる各振動部2F、2Bを撮影するカメラ5によって、信号生成手段によって生成した複数の振動数F’1、F’2のそれぞれで撮影するための撮影駆動手段が構成される。
【0145】
撮影駆動ステップは、カメラ5で連続して撮影した画像を、振動数F’1、F’2のそれぞれで取り出す撮影プログラムを用い、これがパーソナルコンピュータ10の制御部11、あるいはこれに加えて記憶部12によって実行されることによって行われるものである。
【0146】
撮影駆動ステップSは、前述のステップS6以後であって前述のステップS10より前までの間に行われればいつ行われてもよいが、処理するデータ量の抑制、これに伴うデータ処理の迅速性等の観点から、本実施形態では、前述のステップS8より前、特に前述のステップS6に含まれるステップとして行われる。
【0147】
したがって、この形態においても、表示部14に出力される画像は、周期T1”、T2”で振動するスローモーション像の動画として観察される。
【0148】
なお、前述したフィルタリングプログラムが、撮影プログラムを含み、振動数F’1、F’2のそれぞれで、カメラ5によって撮影された振動部2F、2Bの画像を取り出す処理を行うように拡張され、かかる処理を行って後、前述したカラーフィルタを用いた処理を行うように構成してもよい。
【0149】
この場合、前述の形態において、フィルタリングプログラムはステップS7において実行されるものとして説明したため、撮影駆動ステップもステップS7に含まれることとなる。
【0150】
また、この撮影プログラム、撮影駆動ステップ、撮影駆動手段は、前述の形態においては、カメラ5を用いて連続撮影を行ってその連続画像を取り出すものとして構成されていると言うこともできる。
【0151】
以上説明した声帯観察装置100によると、以下の各構成を備える声帯観察装置が実現される。
【0152】
被験者の声帯(たとえば、声帯2)によって発せられる音声を検出する音声検出手段(たとえば、マイク3)と、前記音声検出手段によって検出した前記音声に含まれる前記声帯の複数の基本振動数を検出するための振動数検出手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記振動数検出手段によって検出した前記複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる周波数を生成する信号生成手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記信号生成手段によって生成した各信号に基づいて発光して声帯(たとえば、振動部2F、2B)を照らす光源(たとえば、LED21、22)と、前記光源の発光によって照らされた前記声帯を撮影する撮影手段(たとえば、カメラ5)と、前記撮影手段によって撮影された画像を出力する出力手段(たとえば、表示部14)とを有する声帯観察装置。
【0153】
被験者の声帯(たとえば、声帯2)によって発せられる音声を検出する音声検出手段(たとえば、マイク3)と、前記音声検出手段によって検出した前記音声に含まれる前記声帯の複数の基本振動数を検出するための振動数検出手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記振動数検出手段によって検出した前記複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる周波数を生成する信号生成手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記振動数検出手段によって検出した前記複数の基本振動数で振動する各振動部(たとえば、振動部2F、2B)を照らす光源(たとえば、LED21、22)と、前記光源の発光によって照らされた前記声帯を、前記信号生成手段によって生成した各信号に基づいて撮影するための撮影手段(たとえば、カメラ5)と、前記撮影手段によって撮影された画像を出力する出力手段(たとえば、表示部14)とを有する声帯観察装置。
【0154】
前記撮影手段によって撮影された前記画像を、前記声帯ごとに抽出する抽出手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記抽出手段によって抽出した抽出画像を合成する合成手段(たとえば、制御部11、記憶部12)とを有し、前記出力手段が、前記合成手段によって合成した合成画像を出力する声帯観察装置。
【0155】
前記複数の光源が、互いに異なる色(たとえば、赤色、緑色)で発光し、前記抽出手段が、各色ごとに前記画像を抽出する声帯観察装置。
【0156】
前記振動数検出手段が、前記音声に含まれる前記声帯の複数の基本振動数のうち、低いほうの基本振動数(たとえば、F1、F2)から検出する声帯観察装置。
【0157】
前記信号生成手段が、前記複数の基本振動数の相互間の比(たとえば、F1:F2)と前記複数の周波数の相互間の比(たとえば、F1’:F2’)とが一致するように前記複数の周波数を生成する声帯観察装置。
【0158】
前記光源がLED(たとえば、LED21、22)である声帯観察装置。
【0159】
被験者の口腔部に挿入され前記複数の光源によるそれぞれの光を前記声帯に向けて導いて照らす照射部材(たとえば、光ファイバ)を有する声帯観察装置。
【0160】
前記撮影手段によって撮影した前記声帯の画像に基づき、前記声帯ごとの光量を算出する光量算出手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記光量算出手段によって算出された前記声帯ごとの光量に応じて、前記出力手段によって出力される前記声帯ごとの光量が等しくなるよう制御を行う光量制御手段(たとえば、制御部11、記憶部12)とを有する声帯観察装置。
【0161】
また以上説明した声帯観察装置100によると、以下の各ステップがコンピュータによって行われる声帯観察方法が実現される。
【0162】
声帯から発せられる音声に基づいて前記声帯を観察するための周波数を生成するとともに前記周波数に対応して撮影した前記声帯の画像を出力させることを、コンピュータ(たとえば、パーソナルコンピュータ10)に実行させるための声帯観察方法であって、被験者の声帯(たとえば、声帯2)によって発せられる音声を検出する音声検出手段(たとえば、マイク3)によって検出した前記音声に関する信号を受信する音声信号受信ステップ(たとえば、ステップS2)と、前記音声信号受信ステップによって受信した前記音声に関する信号に含まれる前記声帯の複数の基本振動数(たとえば、F1、F2)を検出するための振動数検出ステップ(たとえば、ステップS3)と、前記振動数検出ステップによって検出した前記複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる周波数(たとえば、F1’、F2’)を生成する周波数生成ステップ(たとえば、ステップS4)と、前記周波数生成ステップによって生成した各信号に基づいて複数の光源(たとえば、LED21、22)を作動させ、当該周波数に対応する基本振動数で振動する各振動部を照らす発光駆動ステップ(たとえば、ステップS5)と、前記発光駆動ステップによって照らされた前記声帯を撮影する撮影手段(たとえば、カメラ5)によって撮影された画像を出力する出力手段(たとえば、表示部14)を作動させる出力駆動ステップ(たとえば、ステップS10)とを有する声帯観察方法。
【0163】
声帯から発せられる音声に基づいて前記声帯を観察するための周波数を生成するとともに前記周波数に対応して撮影した前記声帯の画像を出力させることを、コンピュータ(たとえば、パーソナルコンピュータ10)に実行させるための声帯観察方法であって、被験者の声帯(たとえば、声帯2)によって発せられる音声を検出する音声検出手段(たとえば、マイク3)によって検出した前記音声に関する信号を受信する音声信号受信ステップ(たとえば、ステップS2)と、前記音声信号受信ステップによって受信した前記音声に関する信号に含まれる前記声帯の複数の基本振動数(たとえば、F1、F2)を検出するための振動数検出ステップ(たとえば、ステップS3)と、前記振動数検出ステップによって検出した前記複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる周波数(たとえば、F1’、F2’)を生成する周波数生成ステップ(たとえば、ステップS4)と、複数の光源(たとえば、LED21、22)を作動させ、前記振動数検出ステップによって検出した前記複数の基本振動数で振動する各振動部を照らす発光駆動ステップ(たとえば、ステップS5)と、前記光源の発光によって照らされた前記声帯を撮影する撮影手段(たとえば、カメラ5)により、前記周波数生成ステップによって生成した各信号に基づいて撮影するための撮影駆動ステップ(たとえば、ステップS6)と、前記撮影駆動ステップによって撮影された画像を出力する出力手段(たとえば、表示部14)を作動させる出力駆動ステップ(たとえば、ステップS10)とを有する声帯観察方法。
【0164】
また以上説明した声帯観察プログラム、声帯観察装置100によると、以下の各手段がコンピュータの機能とされる声帯観察プログラムが実現される。
【0165】
声帯から発せられる音声に基づいて前記声帯を観察するための周波数を生成するとともに前記周波数に対応して撮影した前記声帯の画像を出力させることを、コンピュータ(たとえば、パーソナルコンピュータ10)に実行させるための声帯観察プログラムであって、コンピュータを、被験者の声帯(たとえば、声帯2)によって発せられる音声を検出する音声検出手段(たとえば、マイク3)によって検出した前記音声に関する信号を受信する音声信号受信手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記音声信号受信手段によって受信した前記音声に関する信号に含まれる前記声帯の複数の基本振動数(たとえば、F1、F2)を検出するための振動数検出手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記振動数検出手段によって検出した前記複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる周波数(たとえば、F1’、F2’)を生成する信号生成手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記信号生成手段によって生成した各信号に基づいて複数の光源(たとえば、LED21、22)を作動させ、当該周波数に対応する基本振動数で振動する各振動部を照らす発光駆動手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記光源の発光によって照らされた前記声帯を撮影する撮影手段(たとえば、カメラ5)によって撮影された画像を出力する出力手段(たとえば、表示部14)を作動させる出力駆動手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、として機能させる声帯観察プログラム。
【0166】
声帯から発せられる音声に基づいて前記声帯を観察するための周波数を生成するとともに前記周波数に対応して撮影した前記声帯の画像を出力させることを、コンピュータ(たとえば、パーソナルコンピュータ10)に実行させるための声帯観察プログラムであって、コンピュータを、被験者の声帯(たとえば、声帯2)によって発せられる音声を検出する音声検出手段(たとえば、マイク3)によって検出した前記音声に関する信号を受信する音声信号受信手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記音声信号受信手段によって受信した前記音声に関する信号に含まれる前記声帯の複数の基本振動数(たとえば、F1、F2)を検出するための振動数検出手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記振動数検出手段によって検出した前記複数の基本振動数の各々について当該基本振動数と異なる周波数(たとえば、F1’、F2’)を生成する信号生成手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、複数の光源(たとえば、LED21、22)を作動させ、前記振動数検出手段によって検出した前記複数の基本振動数で振動する各振動部を照らす発光駆動手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記光源の発光によって照らされた前記声帯を撮影する撮影手段(たとえば、カメラ5)によって、前記信号生成手段によって生成した各信号に基づいて撮影するための撮影駆動手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、前記撮影手段によって撮影された画像を出力する出力手段(たとえば、表示部14)を作動させる出力駆動手段(たとえば、制御部11、記憶部12)と、として機能させる声帯観察プログラム。
【0167】
以上本発明を実施するための形態として、本発明を適用した声帯観察装置について説明したが、本発明の適用は、上述の説明において特に限定を行っていない限り、上述の形態に限られるものではない。たとえば、振動観察システムの中核をなし、振動観察システムを作動させるための振動観察プログラムを実行し、振動観察方法を実行するコンピュータは、パーソナルコンピュータ10のように、軽量安価であること、持ち運びのし易さ等を考慮すればノート型のパソコンであることが望ましいが、デスクトップ型のパソコンであっても良いし、他のタイプのコンピュータであっても良い。サーバ、クライアントなど、インターネットやローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して接続されたコンピュータが全体で機能するものであっても良い。振動観察プログラムは、コンピュータの出荷当初からその記録媒体に記録されていても良いし、上述した各種メディアを用いて、また、インターネット等のネットワークを介して出荷後に記録されるものであっても良い。
【0168】
LED21、22は、照射部材を設けることなく、その光量がカメラ5による撮影に十分であれば、被験者1の口腔内に挿入するのでなく、口腔部外に配設してもよい。光源は、観察したい振動部の数に応じて設けられるものであり、2つに限らず、3つ以上備えられていても良い。光源は、LEDに限らず、レーザー光を用いるものであっても良い。本願において、複数の光源とは、実質的に複数の光源を構成しているものであれば良く、たとえば、1つのLEDにより複数色を発光できる場合などは、各周波数で発光することによって上記の形態に適用できるのであって、このように1つの光源を実質的に複数の光源として用いることができる場合には、これも複数の光源の意に含む。マイク3は非接触型のマイクロフォンでなく、コンタクトマイクロフォンであっても良い。
【0169】
被験者の声帯は、声帯に限らず、複数の基本振動数で振動する部分であればどの部分であってもよい。たとえば、心臓、動脈等である。声帯と、各振動部との関係については、各振動部が声帯に含まれている必要はない。すなわち、たとえば、心臓が複数の基本振動数で振動する場合、食道や、動脈、静脈等の各器官が各基本振動数で振動するのであれば、声帯は心臓によって構成され、各振動部は、心臓自身に限らず、食道、動脈、静脈等の各器官によって構成される。被験者は、人に限らず、他の動物、更には植物、生物以外の物であってもよい。音声には、単なる音を含む。本発明は、人体に含まれるもの、人体以外に含まれるものものを問わず、一般的に複数の基本振動数を有する振動物の観察にも適用可能である。
【0170】
前記声帯観察装置及び声帯観察プログラムを構成する、音声検出手段、振動数検出手段、信号生成手段、音声信号受信手段、発光駆動手段、撮影駆動手段、出力駆動手段、記録媒体、コンピュータ、光源、撮影手段、入力手段、表示部、出力手段、抽出手段、合成手段、光源による発光の色、照射部材などの構成、各ステップ等については前述した形態の各要素に限らず任意に変更可能である。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0171】
上記した声帯観察装置では、カメラ5によって声帯の振動を撮影するように構成しているが、このカメラ5を設けずに、支持棒6の先端に配設したLED21、22で声帯に光を断続的に照射しながら声帯を観察することによって、声帯信号をスローモーションで観察することができる。
【0172】
特に、2つのLED21、22でそれぞれ異なる色の光を照射することにより、声帯の2つの基本振動数F1、F2での振動を視認しやすくすることができる。なお、基本振動数F1、F2はそれぞれマイク3で拾った被験者1の音声信号をA/Dコンバータ16でデジタル信号に変換し、このデジタル信号の音声信号をFFT(高速フーリエ変換)によって周波数領域に変換することにより音声波形スペクトルを得て、この音声波形スペクトルから基本振動数F1、F2を特定している。
【0173】
そして、特定した基本振動数F1、F2に基づいて、上記したように基本振動数F1、F2とは異なる振動数F’1、F’2の信号を生成し、A/Dコンバータ16を介して、LED21、22を、それぞれ生成した振動数F’1、F’2の信号に基づいて発光させる。
【0174】
このように、LED21、22で声帯に光を断続的に照射することにより、声帯の振動を目視で観察することができ、極めて速やかな診断を可能とすることができる。なお、声帯を直接的に視認することは困難であるとともに、被験者に多大な身体的ストレスを生じさせるおそれがあることから、鏡などを利用することによって容易に目し観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明を適用した声帯観察装置の構成の概観の例を示す模式図である。
【図2】図1に示した声帯観察装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図3】検出した声帯の振動と、声帯に照射する光の周期と、観測される声帯の振動との関係を示す概念図である。
【図4】病変を生じた声帯2の振動の様子を示す平面図である。
【図5】病変を生じた声帯2によって発せられた音声を解析して得た音声波形スペクトルを示す相関図である。
【図6】図1に示した声帯観察装置の作動態様に関するフローチャートの例を示す図である。
【符号の説明】
【0176】
1 被験者
2 声帯
2F、2B 各振動部
3 音声検出手段
5 撮影手段
10 コンピュータ
11 振動数検出手段、信号生成手段、抽出手段、合成手段、光量算出手段、光量制御手段、音声信号受信手段、発光駆動手段、撮影駆動手段、出力駆動手段
12 記録媒体
14 出力手段
21、22 複数の光源、LED
100 声帯観察装置
F1、F2 複数の基本振動数
S2 音声信号受信ステップ
S3 振動数検出ステップ
S4 周波数生成ステップ
S5 発光駆動ステップ
S6 撮影駆動ステップ
S10 出力駆動ステップ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5