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明細書 :共振制御式流体圧制御システムおよびその制御システム用流体圧制御弁

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4590562号 (P4590562)
公開番号 特開2007-156566 (P2007-156566A)
登録日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発行日 平成22年12月1日(2010.12.1)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
発明の名称または考案の名称 共振制御式流体圧制御システムおよびその制御システム用流体圧制御弁
国際特許分類 G05D  16/16        (2006.01)
FI G05D 16/16 C
請求項の数または発明の数 5
全頁数 12
出願番号 特願2005-347032 (P2005-347032)
出願日 平成17年11月30日(2005.11.30)
審査請求日 平成20年11月11日(2008.11.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】鈴森 康一
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100101096、【弁理士】、【氏名又は名称】徳永 博
【識別番号】100086645、【弁理士】、【氏名又は名称】岩佐 義幸
【識別番号】100107227、【弁理士】、【氏名又は名称】藤谷 史朗
【識別番号】100114292、【弁理士】、【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100119530、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 和幸
審査官 【審査官】川東 孝至
参考文献・文献 実開平06-055915(JP,U)
実開平01-142016(JP,U)
特開平09-183298(JP,A)
特開2005-169292(JP,A)
特開平07-117225(JP,A)
調査した分野 G05D 16/16
特許請求の範囲 【請求項1】
流体圧源からの加圧流体の供給路に接続され、前記供給路に摺動自在に配置されて前記加圧流体の流路を開放する弁体としての振動体を有し、前記流体圧源から流入した前記加圧流体が外部へ出力するのを制御する、一または複数の流体圧制御弁と、
前記流体圧制御弁を作動させるために、前記流体圧源からの加圧流体に所定周波数の振動を加える発振機と、
を具え、
記加圧流体から前記所定周波数の振動を伝えられるとその振動に共振した前記弁体が前記加圧流体の流路を開放するように振動して、前記加圧流体の前記流体圧制御弁からの出力を制御することを特徴とする、共振制御式流体圧制御システム。
【請求項2】
前記流体圧制御弁は前記流体圧源からの加圧流体の供給路に複数接続され、
前記発振機は前記所定周波数としての複数周波数の振動を同時または別個に前記加圧流体に加えることができ、
前記複数の流体圧制御弁は各々、前記複数周波数のうちの一つとしての前記所定周波数の振動を加えられると前記弁体がその振動に共振して前記加圧流体の流路を開放するように振動することを特徴とする、請求項1記載の共振制御式流体圧制御システム。
【請求項3】
前記流体は空気である、請求項1または2記載の共振制御式流体圧制御システム。
【請求項4】
スリーブと、
前記スリーブ内にそのスリーブの軸線方向に摺動自在に配置された弁体と、
前記弁体の前記摺動方向の端面と密接可能な端面を有する当接部材と、
前記弁体を前記当接部材へ向けて常時附勢するスプリングと、
を具え、
前記弁体が、前記加圧流体から前記所定周波数の振動を加えられると共振して前記当接部材から前記摺動方向に離間するように振動して、前記弁体と前記当接部材との両方に設けられるかまたは前記弁体と前記当接部材とのうちの一方と前記スリーブの周壁とに設けられた前記加圧流体の流路を開放するものであることを特徴とする、請求項1から3までの何れか記載の共振制御式流体圧制御システム用の流体圧制御弁。
【請求項5】
前記当接部材は前記スリーブ内にそのスリーブの軸線方向に摺動自在に配置され、
前記流体圧制御弁は、前記当接部材を前記弁体へ向けて常時附勢するスプリングを具えることを特徴とする、請求項4記載の共振制御式流体圧制御システム用の流体圧制御弁。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧制御弁への電気配線を不要にし、加圧流体の供給路のみで任意の流体圧アクチュエータの作動を制御し得る共振制御式流体圧制御システムおよび、その制御システム用の流体圧制御弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、流体圧アクチュエータの作動制御は通常、そのアクチュエータに、加圧流体を供給する流体圧制御弁としての電磁式制御弁を接続し、その電磁式制御弁をコントローラで電気的に制御することで行われている(例えば流体圧アクチュエータとしてのエアシリンダの作動制御については特許文献1参照)。
【0003】
また従来、流体圧アクチュエータの作動制御を、電気配線を用いずに行うことも提案されている(例えば流体圧アクチュエータとしてのエアシリンダの作動制御については特許文献2参照)。

【特許文献1】特開平8-42510
【特許文献2】特開2000-230504
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、流体圧アクチュエータの作動制御を電磁式制御弁を介して電気的に行う通常の方法では、アクチュエータと電磁式制御弁とが離れていると、それぞれのアクチュエータ毎に電磁式制御弁との間に配管が必要となり、その配管内がデッドボリュームとなるため応答性も低下する。その一方アクチュエータと電磁式制御弁とを近づけて配置すると、コントローラから電磁式制御弁までの電気配線が必要となり、水中や引火危険環境、嫌電磁波環境等では危険が伴うという問題がある。また、何れの方法にしてもアクチュエータの数が多いと、配管や配線の数が増えてシステムが複雑化するという問題がある。
【0005】
そこで、アクチュエータと電磁式制御弁とを近づけて配置するとともに、特許文献2記載の制御システムのように流体圧アクチュエータの作動制御を電気配線を用いずに行うことも考えられるが、特許文献2記載の制御システムでは、エアシリンダにパイロットポート付きの空気圧制御弁を接続し、エアシリンダの排出圧をパイロットポートに供給することでエアシリンダのストローク終了まで空気圧制御弁を自己保持させるものであるため、作動させるエアシリンダの用途や作動パターンが限られてしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の共振制御式流体圧制御システムおよびその制御システム用の流体圧制御弁は、加圧流体の供給路内の振動伝播および、共振による質量体の運動を利用することで、電気配線を用いずに流体圧制御弁の作動を制御するという着想に基づくものである。
【0007】
すなわち、本発明の共振制御式流体圧制御システムは、流体圧源からの加圧流体の供給路に接続され、前記供給路に摺動自在に配置されて前記加圧流体の流路を開放する弁体としての振動体を有し、前記流体圧源から流入した前記加圧流体が外部へ出力するのを制御する、一または複数の流体圧制御弁と、前記流体圧制御弁を作動させるために、前記流体圧源からの加圧流体に所定周波数の振動を加える発振機と、を具え、記加圧流体から前記所定周波数の振動を伝えられるとその振動に共振した前記弁体が前記加圧流体の流路を開放するように振動して、前記加圧流体の前記流体圧制御弁からの出力を制御することを特徴とするものである。
【0008】
そして、本発明の流体圧制御弁は、本発明の共振制御式流体圧制御システムに用いるものであって、スリーブと、前記スリーブ内にそのスリーブの軸線方向に摺動自在に配置された弁体と、前記弁体の前記摺動方向の端面と密接可能な端面を有する当接部材と、前記弁体を前記当接部材へ向けて常時附勢するスプリングと、を具え、前記弁体が、前記加圧流体から前記所定周波数の振動を加えられると共振して前記当接部材から前記摺動方向に離間するように振動して、前記弁体と前記当接部材との両方に設けられるかまたは前記弁体と前記当接部材とのうちの一方と前記スリーブの周壁とに設けられた前記加圧流体の流路を開放するものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
かかる本発明の共振制御式流体圧制御システムにあっては、流体圧源からの加圧流体の供給路に接続され、前記供給路に摺動自在に配置されて前記加圧流体の流路を開放する弁体としての振動体を有し、前記流体圧源から流入した前記加圧流体が外部へ出力するのを制御する、一または複数の流体圧制御弁を作動させるために、発振機が、前記流体圧源からの加圧流体に所定周波数の振動を加えると、その所定周波数の振動が前記供給路内の加圧流体を伝わって前記一または複数の流体圧制御弁に到達し、その流体圧制御弁の弁体が、前記加圧流体から前記所定周波数の振動を伝えられてその振動に共振して、前記加圧流体の流路を連続的または断続的に開放するように振動し、前記加圧流体の前記流体圧制御弁からの出力を制御する。
【0010】
従って、本発明の共振制御式流体圧制御システムによれば、流体圧制御弁を流体圧源から離してアクチュエータに近づけて配置しても、その流体圧制御弁による流体圧アクチュエータの作動制御を、電気配線を用いずに行うことができ、しかも一または複数の流体圧制御弁を開放作動させることができるので、一または複数の流体圧アクチュエータを同時に作動させることができる。
【0011】
そして本発明の流体圧制御弁にあっては、スリーブ内にそのスリーブの軸線方向に摺動自在に配置された弁体が、スプリングにより、その弁体の前記摺動方向の端面と密接可能な端面を有する当接部材へ向けて常時附勢されており、通常は、スプリングで附勢された弁体が当接部材と端面同士で密接するとともに前記加圧流体の流路を閉じて当該流体圧制御弁を閉止状態としているが、弁体が、前記加圧流体から所定周波数の振動を加えられると、その弁体が共振して当接部材から摺動方向に離間するように振動して、それら弁体と当接部材との両方に設けられるかまたは弁体と当接部材とのうちの一方とスリーブの周壁とに設けられた加圧流体の流路を連続的または断続的に開放し、これによって当該流体圧制御弁を連続的または断続的に開放状態とする。
【0012】
従って、本発明の流体圧制御弁によれば、上記本発明の共振制御式流体圧制御システムの流体圧制御弁を構成し得て、流体圧制御弁を流体圧源から離してアクチュエータに近づけて配置しても、その流体圧制御弁による流体圧アクチュエータの作動制御を、電気配線を用いずに行うことができ、しかも一または複数の流体圧制御弁を開放作動させることができるので、一または複数の流体圧アクチュエータを同時に作動させることができる。
【0013】
なお、本発明の共振制御式流体圧制御システムにおいては、前記流体圧制御弁は前記流体圧源からの加圧流体の供給路に複数接続され、前記発振機は前記所定周波数としての複数周波数の振動を同時または別個に前記加圧流体に加えることができ、前記複数の流体圧制御弁は各々、前記複数周波数のうちの一つとしての前記所定周波数の振動を加えられると弁体がその振動に共振して前記加圧流体の流路を開放するように振動するものであっても良い。このようにすれば、複数の流体圧制御弁を同時にあるいは別個に作動させる等それぞれ任意のタイミングで開放作動させることができるので、複数の流体圧アクチュエータをどのような用途や作動パターンでも作動させることができる。
【0014】
また、本発明の共振制御式流体圧制御システムにおいては、前記流体は空気であっても良い。加圧する流体として空気を用いれば、地上のどこでも無料で調達し得るとともに、アクチュエータ等からの排出や漏れ出しがあっても周囲の環境への悪影響の心配がない。
【0015】
一方、本発明の流体圧制御弁においては、前記当接部材は前記スリーブ内に固定されていても良いが、前記当接部材は前記スリーブ内にそのスリーブの軸線方向に摺動自在に配置され、前記流体圧制御弁は、前記当接部材を前記弁体へ向けて常時附勢するスプリングを具えていても良い。このように当接部材も摺動するとともにスプリングで常時附勢されるようにすれば、弁体が、その弁体と当接部材との何れかの加圧流体通路内の加圧流体から所定周波数以外の周波数の振動を加えられて振動しても、当接部材も弁体と一緒に振動して、弁体と当接部材との端面同士が離間しないので、弁体を附勢するスプリングをさほど強力なものとしなくても加圧流体の漏れ出しを防止し得て、スプリングの選択可能範囲ひいては所定周波数の選択可能範囲を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、本発明の共振制御式流体圧制御システムの第1実施例としての共振制御式空気圧制御システムを示す構成図、図2は、その第1実施例の共振制御式空気圧制御システムに用いる、本発明の流体圧制御弁の第1実施例としての空気圧制御弁を示す断面図である。
【0017】
この第1実施例の共振制御式空気圧制御システムは水中作業車両の制御のためのもので、その水中作業車両は、走行用左右クローラの駆動用および作業腕の関節やハンドの駆動用等のために、流体圧アクチュエータとしてのn(nは当該車両に所定の整数)台のエアモータM1~Mnを具えている。
【0018】
そしてこの第1実施例の共振制御式空気圧制御システムは図1に示すように、流体圧源としてのコンプレッサ1からの加圧流体としての加圧空気の供給路2に接続された、上記エアモータM1~Mnの各々に対する加圧空気の供給制御用のn個の上記第1実施例の空気圧制御弁3-1~3-nと、それらの空気圧制御弁3-1~3-nをそれぞれ任意のタイミングで作動させるためにコンプレッサ1からの加圧空気にそれらの空気圧制御弁3-1~3-nの各々に固有の所定周波数としての互いに異なる複数周波数の振動を重畳により同時に、または時間をずらして別個に加える、発振機としての例えばピエゾ素子からなる一つの振動子12およびその振動子12を電気的に駆動して振動させる一台の通常の振動子駆動回路13とを具えている。
【0019】
ここで、空気圧制御弁3-1~3-nは各々、図2に示すように、例えば円筒状のスリーブ4と、そのスリーブ4内にそのスリーブ4の軸線方向(図では左右方向)に摺動自在に配置されるとともに内部に加圧空気通路5aを有する、弁体としての第1の振動体5と、その第1の振動体5の上記摺動方向の端面5bと密接可能な端面を6b有するとともに内部に加圧空気通路6aを有する、当接部材としての第2の振動体6と、スリーブ4の一方(図では左方)の端壁4aによって支持されて上記第1の振動体5をその第2の振動体6へ向けて常時附勢する、スプリングとしての例えば金属製の蛇腹状の筒である第1のベローズ7とを具えている。
【0020】
そしてこの第1実施例の空気圧制御弁3-1~3-nでは、第2の振動体6もスリーブ4内にそのスリーブ4の上記軸線方向に摺動自在に配置され、空気圧制御弁3-1~3-nは各々、スリーブ4の他方(図では右方)の端壁4bによって支持されて第2の振動体6を第1の振動体5へ向けて常時附勢する、スプリングとしての例えば金属製の蛇腹状の筒である第2のベローズ8を具えており、第1のベローズ7はその一端部にスリーブ4の端壁4aの貫通孔に挿通されて上記加圧空気の供給路2に接続された供給ポート7aを有するとともに、その他端部を第1の振動体5に気密に結合されてその内部を第1の振動体5の内部の加圧空気通路5aに連通され、また第2のベローズ8はその一端部にスリーブ4の端壁4bの貫通孔に挿通されて上記エアモータM1~Mnのうち当該空気圧制御弁に対応するエアモータに接続されたコントロールポート8aを有するとともに、その他端部を第2の振動体6に気密に結合されてその内部を第2の振動体6の内部の加圧空気通路6aに連通されている。
【0021】
さらにこの第1実施例の空気圧制御弁3-1~3-nでは、第1の振動体5の内部の加圧空気通路5aが、その振動体5の上記軸線方向の端面のうち第2の振動体6に向く端面5bに開口部を有し、また第2の振動体6の内部の加圧空気通路6aが、その振動体6の上記軸線方向の端面のうち第1の振動体5に向く端面6bに、第1の振動体5の加圧空気通路5aの上記端面5bの開口部と対向しない位置に開口部を有し、第1の振動体5は当該空気圧制御弁に固有の所定周波数を共振周波数として持っている一方、第2の振動体6は第1の振動体5とは異なる周波数を共振周波数として持っており、第1の振動体5は、その振動体5の加圧空気通路5a内の加圧空気から、当該空気圧制御弁に固有の所定周波数の振動を加えられると共振して、第2の振動体6から上記軸線方向(摺動方向)に離間するように振動する。
【0022】
かかる構成の、この第1実施例の共振制御式空気圧制御システムにあっては、コンプレッサ1からの加圧空気の供給路2にそれぞれ接続されたn個の空気圧制御弁3-1~3-nのうちの任意の一または複数個を作動させるために、振動子駆動回路13が振動子12を振動させ、振動子12がコンプレッサ1からの加圧空気にその作動対象の空気圧制御弁3-1~3-nの第1の振動体5の共振周波数である一または複数の所定周波数の振動を加えると、その所定周波数の振動が供給路2内の加圧空気を伝わってn個の空気圧制御弁3-1~3-nに到達して、それらのn個の空気圧制御弁3-1~3-nの第1の振動体5が第2の振動体6とともに振動する。
【0023】
振動体5,6の非共振時には、振動体5,6は互いに密接して一緒にスリーブ4内を摺動するが、上記所定周波数の振動への振動体5の共振時には、その振動に共振しない振動体6よりも大幅に大きい振幅でスリーブ4内を摺動し、振動体5,6の端面5b,6b同士が断続的に互いに大きく離間して、振動体5の加圧空気通路5aの開口部が振動体6の端面6bから開放されるとともに振動体6の加圧空気通路6aの開口部が振動体5の端面5bから開放され、これにより、コンプレッサ1から供給ポート7aを経て振動体5の加圧空気通路5a内に流入した加圧空気が端面5bの開口部から端面5b,6b間の隙間および端面6bの開口部を経て振動体6の加圧空気通路6a内に流れて、コントロールポート8aからエアモータに供給される。
【0024】
従って、この第1実施例の共振制御式空気圧制御システムおよびこの第1実施例の空流体圧制御弁によれば、空気圧制御弁3-1~3-nをコンプレッサ1から離してエアモータM1~Mnに隣接させて配置しても、その空気圧制御弁3-1~3-nによるエアモータM1~Mnの作動制御を電気配線を用いずに行うことができ、しかもn個の空気圧制御弁3-1~3-nを開放作動させることができるので、n台のエアモータM1~Mnを同時に作動させることができる。
【0025】
そして、この第1実施例の共振制御式空気圧制御システムによれば、空気圧制御弁3-1~3-nはコンプレッサ1からの加圧空気の供給路2にn個接続され、振動子駆動回路13および振動子12は所定周波数としての複数周波数の振動を同時または別個に供給路2内の加圧空気に加えることができ、n個の空気圧制御弁3-1~3-nは各々、上記複数周波数のうちの一つとしての所定周波数の振動を加えられると振動体5がその振動に共振して加圧空気の流路を開放するように振動するものであることから、n個の流体圧制御弁3-1~3-nを同時にあるいは別個に作動させる等それぞれ任意のタイミングで開放作動させることができるので、n台のエアモータM1~Mnをそれぞれどのような用途や作動パターンでも作動させることができる。
【0026】
また、この第1実施例の共振制御式空気圧制御システムによれば、加圧する流体として空気を用いているので、地上のどこでも無料で調達し得るとともに、アクチュエータ等からの排出や漏れ出しがあっても周囲の環境への悪影響の心配がない。
【0027】
さらに、この第1実施例の共振制御式空気圧制御システムに用いた第1実施例の空気圧制御弁3-1~3-nによれば、当接部材としての第2の振動体6がスリーブ4内にそのスリーブ4の軸線方向に摺動自在に配置され、空気圧制御弁3-1~3-nは、第2の振動体6を第1の振動体5へ向けて常時附勢する第2のベローズ8を具えていることから、第1の振動体5が、その第1の振動体5の加圧空気通路5a内の加圧空気から所定周波数以外の周波数の振動を加えられて振動しても、第2の振動体6も第1の振動体5と一緒に振動して、第1の振動体5と第2の振動体6との端面5b,6b同士が離間しないので、第1の振動体5を附勢する第1のベローズ7の弾性力をさほど強力なものとしなくても加圧空気の漏れ出しを防止し得て、第1のベローズ7の選択可能範囲ひいては所定周波数の選択可能範囲を広げることができる。
【0028】
図3は、本発明の流体圧制御弁の第2実施例としての空気圧制御弁を示す断面図、図4は、その第2実施例の空気圧制御弁の構造を透視して示す斜視図であり、図中、先の実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。
【0029】
すなわち、この第2実施例の空気圧制御弁は、先の第1実施例の空気圧制御弁における第1のベローズ7および第2のベローズ8の代わりに、各々金属製の圧縮バネである第1のコイルスプリング9および第2のコイルスプリング10を用いるとともに、上記第1のベローズ7の供給ポート7aの代わりに端壁4aに供給ポート4cを設け、第2のベローズ8のコントロールポート8aの代わりに端壁4bにコントロールポート4dを設けた点のみ先の第1実施例の空気圧制御弁と相違し、これら以外は先の第1実施例の空気圧制御弁と同様に構成されている。
【0030】
かかる構成の、この第2実施例の空気圧制御弁によっても、スリーブ4と振動体5,6との隙間を充分小さくすれば、実質的に先の第1実施例と同様の作用効果を得ることができ、しかもベローズ7,8の代わりに、安価でかつバネ定数の設定が容易なコイルスプリング9,10を用いているので、本発明の空気圧制御弁を安価かつ高精度に構成することができる。
【0031】
ところで、第1の振動体5と第1のベローズ7または第1のコイルスプリング9がつくる振動系Aの(第2の振動体6と密着していないときの)固有振動数ωAはωA=√kA/mA、第2の振動体6と第2のベローズ8または第2のコイルスプリング10がつくる振動系Bの(第1の振動体5と密着していないときの)固有振動数ωBはωB=√kB/mB、2つの振動体5,6が密着して振動するときの固有振動数ωn={√(kA+kB)}/(mA+mB)となる。もしもmA=mB,kA=kBとして振動系を作ると、ωA=ωB=ωnとなるが、この場合に特にmA=mB,kA=kBとする必要はない。ωA,ωB,ωnが3つとも同じでも、2つ同じでも、上記実施例のように全部ばらばらでも何れも動作する。
【0032】
図5(a),(b)は、振動を加えた第1の振動体5および第2の振動体6の位置の変化を、非共振時および共振時についてそれぞれシミュレーションした結果を経時的に示すグラフであり、コンプレッサ1からの供給空気に上記ωA,ωB,ωnの何れかに一致する振動を加えると、振動体5または振動体6もしくはそれらの両方が共振して、2つの振動体5,6が互いに離間する。
【0033】
すなわち、図中実線は第1の振動体5、破線は第2の振動体6の動きを示し、振動体5,6の非共振時には、図5(a)に示すように振動体5,6は互いに密接して一緒に摺動するが、上記所定周波数の振動への振動体5,6の両方の共振時には、図5(b)に示すように、それら振動体5,6は非共振時よりも大幅に大きい振幅で振動し、振動体5,6の端面5b,6b同士が互いに離間して、第1の振動体5の加圧空気通路5aの開口部と第2の振動体6の端面6bの開口部とが連通する。
【0034】
図6は、本発明の共振制御式流体圧制御システムの第2実施例としての共振制御式空気圧制御システムおよび本発明の流体圧制御弁の第3実施例としての空気圧制御弁を示す構成図であり、図中先の実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。
【0035】
すなわち、この第2実施例の共振制御式空気圧制御システムは、先の実施例におけるエアモータM1~Mnのうち作業腕の駆動用のエアモータの一部または全部の代わりに一または複数本のスプリングリターン型のエアシリンダ11の作動を制御するためのもので、先の第1実施例の共振制御式空気圧制御システムにおいてコンプレッサ1とエアシリンダ11のヘッド側ポートとの間に、給気用に、第1実施例の空気圧制御弁の代わりに図では下側に示す第2実施例の空気圧制御弁を設けるとともに、排気用に、その第2実施例の空気圧制御弁と並列に、図では上側に示す上記第3実施例の空気圧制御弁を設けた点のみ先の第1実施例の共振制御式空気圧制御システムと相違し、これら以外は先の第1実施例の共振制御式空気圧制御システムと同様に構成されている。
【0036】
上記排気用の第3実施例の空気圧制御弁では、スリーブ4内の第1の振動体5が、加圧空気通路5aを持たないものとされるとともに、スリーブ4の、第1の振動体5と第2の振動体6との当接位置付近に排気ポート4が設けられており、上記給気用の空気圧制御弁と排気用の空気圧制御弁とが開放作動する所定周波数は互いに異なるように設計されている。
【0037】
かかる構成の、この第2実施例の共振制御式空気圧制御システムにあっては、上記給気用の空気圧制御弁が開放作動する周波数の空気振動を振動子駆動回路13および振動子12がコンプレッサ1からの供給空気に重畳すると、その給気用の空気圧制御弁が開放作動して、加圧空気がその給気用の空気圧制御弁を通ってエアシリンダ11内のヘッド側に流れ込み、エアシリンダ11のピストンロッドが伸長する。このとき上記排気用の空気圧制御弁では、第1の振動体5と第2の振動体6とは密接しているので、エアシリンダ11内の空気は排気ポート4eに流れてゆかない。
【0038】
一方、上記排気用の空気圧制御弁が開放作動する周波数の空気振動を振動子駆動回路13および振動子12が供給空気に重畳すると、その排気用の空気圧制御弁の第1の振動体5と第2の振動体6とが離間し、エアシリンダ11内の空気は振動体6の加圧空気通路6aを通るとともに、第1の振動体5と第2の振動体6との間にできる隙間を通って排気ポート4eへ流れ、排気ポート4eから外部に排出される。
【0039】
従って、この第2実施例の共振制御式空気圧制御システムによれば、給気用の空気圧制御弁を駆動するとエアシリンダ11のピストンロッドが伸長し、排気用の空気圧制御弁を駆動するとエアシリンダ11のピストンロッドが後退するので、エアシリンダ11を両方向に駆動することができる。なお、上記と同様に並列接続した給気用の空気圧制御弁と排気用の空気圧制御弁との組をコンプレッサとエアシリンダのロッド側ポートとの間にも設けて、往復動型のエアシリンダを駆動するようにしても良い。
【0040】
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば、加圧する流体は水蒸気や窒素ガス等、空気以外のものでも良い。また振動子12は小型スピーカ等、ピエゾ素子以外のものでも良い。そして振動子12および振動子駆動回路13の組は、出力する所定周波数毎に別個のものとして複数組み設けても良く、一個の振動子12と複数の振動子駆動回路13、あるいは複数の振動子12と一個の振動子駆動回路13を設けても良い。
【0041】
さらに、排気ポート4eだけでなく供給ポート4cやコントロールポート4dも、スリーブ4の周壁に設けても良い。そして、当接部材は、スリーブ4に固定されて第1の振動体5に弾性的に密接する弾性体でも良い。さらに、当接部材と弁体との間に、例えばそれらの端面中央部同士の密接をさまたげないようにスプリングを介挿して、弁体のみ共振し易くしても良く、また、コントロールポート4dにアキュームレータを接続して吐出圧を連続させる等、他の流体圧制御機器と適宜組合わせても良い。さらに、弁体と当接部材との互いに向き合う端面の少なくとも一方に他方へ向く凹部を設けて、その凹部内に留まる流体の圧力により、共振中は弁体を当接部材から連続的に離間させても良い。
【0042】
さらに、本発明の共振制御式流体圧制御システムは、電気配線を用いずに流体圧制御弁を駆動できるので、上記水中作業用車両に限られず、引火危険環境や嫌電磁波環境で作動する装置に対しても安全に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
かくして本発明の共振制御式流体圧制御システムによれば、流体圧制御弁を流体圧源から離してアクチュエータに近づけて配置しても、その流体圧制御弁による流体圧アクチュエータの作動制御を、電気配線を用いずに行うことができ、しかも一または複数の流体圧制御弁を開放作動させることができるので、一または複数の流体圧アクチュエータを同時に作動させることができる。
【0044】
そして本発明の流体圧制御弁によれば、上記本発明の共振制御式流体圧制御システムの流体圧制御弁を構成し得て、流体圧制御弁を流体圧源から離してアクチュエータに近づけて配置しても、その流体圧制御弁による流体圧アクチュエータの作動制御を、電気配線を用いずに行うことができ、しかも一または複数の流体圧制御弁を開放作動させることができるので、一または複数の流体圧アクチュエータを同時に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の共振制御式流体圧制御システムの第1実施例としての共振制御式空気圧制御システムを示す構成図である。
【図2】上記第1実施例の共振制御式空気圧制御システムに用いる、本発明の流体圧制御弁の第1実施例としての空気圧制御弁を示す断面図である。
【図3】本発明の流体圧制御弁の第2実施例としての空気圧制御弁を示す断面図である。
【図4】上記第2実施例の空気圧制御弁の構造を透視して示す斜視図である。
【図5】(a),(b)は、振動を加えた振動体5,6の位置の変化を、非共振時および共振時についてそれぞれシミュレーションした結果を経時的に示すグラフである。
【図6】本発明の共振制御式流体圧制御システムの第2実施例としての共振制御式空気圧制御システムおよび本発明の流体圧制御弁の第3実施例としての空気圧制御弁を示す構成図である。
【符号の説明】
【0046】
1 コンプレッサ
2 供給路
3-1~3-n 空気圧制御弁
4 スリーブ
4a,4b 端壁
4c,7a 供給ポート
4d,8a コントロールポート
4e 排気ポート
5 第1の振動体
6 第2の振動体
5a,6a 加圧空気通路
5b,6b 端面
7 第1のベローズ
8 第2のベローズ
9 第1のコイルスプリング
10 第2のコイルスプリング
11 エアシリンダ
12 振動子
13 振動子駆動回路
M1~Mn エアモータ
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
4
【図6】
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