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明細書 :結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5061341号 (P5061341)
公開番号 特開2007-314356 (P2007-314356A)
登録日 平成24年8月17日(2012.8.17)
発行日 平成24年10月31日(2012.10.31)
公開日 平成19年12月6日(2007.12.6)
発明の名称または考案の名称 結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法
国際特許分類 C01B  25/32        (2006.01)
FI C01B 25/32 V
請求項の数または発明の数 10
全頁数 15
出願番号 特願2006-142904 (P2006-142904)
出願日 平成18年5月23日(2006.5.23)
審査請求日 平成21年5月14日(2009.5.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】押谷 潤
【氏名】今村 維克
【氏名】後藤 邦彰
【氏名】片岡 信秀
個別代理人の代理人 【識別番号】100113181、【弁理士】、【氏名又は名称】中務 茂樹
【識別番号】100114535、【弁理士】、【氏名又は名称】森 寿夫
【識別番号】100075960、【弁理士】、【氏名又は名称】森 廣三郎
【識別番号】100126697、【弁理士】、【氏名又は名称】松浦 瑞枝
審査官 【審査官】西山 義之
参考文献・文献 特開平03-261612(JP,A)
特公昭47-023666(JP,B1)
特開平10-045405(JP,A)
特開平06-206713(JP,A)
特開平07-102005(JP,A)
特開平05-017111(JP,A)
調査した分野 C01B 25/00-25/46
特許請求の範囲 【請求項1】
非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を水と陰イオン性界面活性剤の存在下で加熱処理する結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記加熱処理によって、得られる結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の形状を制御する請求項1記載の結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子がカルシウム塩とリン酸塩とを水溶液中で反応させて得られたものである請求項1又は2記載の結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法。
【請求項4】
上記水溶液中で反応させて得られた非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を洗浄して、水溶液中に溶解している未反応物及び副生物を除いてから加熱処理する請求項3記載の結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を洗浄した後に洗浄液と分離してから加熱処理する請求項4記載の結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法。
【請求項6】
前記非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の粒径が5~100nmの範囲にある請求項1~5のいずれか記載の結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記加熱処理の際の温度が35~400℃の範囲にある請求項1~6のいずれか記載の結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記陰イオン性界面活性剤がスルホン酸塩又は硫酸塩である請求項1~7のいずれか記載の結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法。
【請求項9】
得られる結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の形状が針状又は棒状である請求項1~8のいずれか記載の結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法。
【請求項10】
得られる結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の縦長さが70~500nmであり、かつアスペクト比が3~20である請求項9記載の結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水と陰イオン性界面活性剤の存在下で加熱処理することにより非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子から結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))は、骨や歯などの無機成分に近い組成であることから生体適合性を有し、骨や歯の修復材料としての利用が報告されている。また、アミノ酸やタンパク質等を分離するためのクロマトグラフィー用の充填剤としての利用も検討されている。このような様々な用途に対応するために、ヒドロキシアパタイト微粒子のサイズや形状について制御することのできる手法が求められていた。
【0003】
特開平3-261612号公報(特許文献1)には、カルシウム塩水溶液にリン酸塩水溶液をヒドロキシアパタイト換算析出速度以下で、Ca/Pモル比が1.67となるように混合し、撹拌しながら2時間以上煮沸し、生成した沈殿を濾取、水洗の後、アニオン性界面活性剤水溶液と混合することからなるヒドロキシアパタイト分散液の製造方法について記載されている。この方法は、粗大凝集粒子を多量に析出させずに安定したヒドロキシアパタイト微粒子分散液を得るために、撹拌しながら分散剤としてアニオン性界面活性剤を用いる方法であり、アニオン性界面活性剤の存在が、生成するヒドロキシアパタイト微粒子の形状に影響を与えるものではなかった。
【0004】

【特許文献1】特開平3-261612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子のサイズ及び形状を制御することのできる非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子からの結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を水と陰イオン性界面活性剤の存在下で加熱処理する結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造方法を提供することによって解決される。
【0007】
このとき、加熱処理によって、得られる結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の形状を制御することが好適であり、非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子がカルシウム塩とリン酸塩とを水溶液中で反応させて得られたものであることが好適である。水溶液中で反応させて得られた非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を洗浄して、水溶液中に溶解している未反応物及び副生物を除いてから加熱処理することが好適であり、非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を洗浄した後に洗浄液と分離してから加熱処理することが好適である。非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の粒径が5~100nmの範囲にあることが好適であり、加熱処理の際の温度が35~400℃の範囲にあることが好適である。陰イオン性界面活性剤がスルホン酸塩又は硫酸塩であることが好適であり、得られる結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の形状が針状又は棒状であることが好適である。また、得られる結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の縦長さが70~500nmであり、かつアスペクト比が3~20であることも好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、サイズ及び形状が制御された結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、水と陰イオン性界面活性剤の存在下で加熱処理することにより非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子から結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を製造する方法である。このことにより、サイズ及び形状が制御された結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を得ることが可能となる。
【0010】
本発明で用いられる非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子は特に限定されず、好適にはカルシウム塩とリン酸又はリン酸塩とを水溶液中で反応させることにより得られる。カルシウム塩としては、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム等を用いることができ、これらは1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。リン酸塩としては、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム等を用いることができ、これらは1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
【0011】
上記非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子は、好適にはカルシウム塩水溶液とリン酸塩水溶液を一定条件で混合することにより得られる。混合する方法は特に限定されず、攪拌機、超音波、ホモジナイザー等を用いることができ、混合する際の温度は0~30℃の範囲にあることが好ましい。用いられるカルシウム塩水溶液の濃度は、0.01~10mol/Lの範囲にあることが好ましく、リン酸塩水溶液の濃度は、0.01~10mol/Lの範囲にあることが好ましい。このとき、上記カルシウム塩水溶液及び上記リン酸塩水溶液をアルカリ水溶液でpHが8~12になるように調整することが好ましい。用いられるアルカリ水溶液としては、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液等が挙げられる。
【0012】
上記非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子は、アンモニア水溶液によりpHを調整された硝酸カルシウム水溶液とリン酸水素二アンモニウム水溶液とを混合する場合を例にとれば、以下のような反応式により得られる。
10Ca(NO+6(NHHPO+8NHOH
→ Ca10(PO(OH)+20NHNO+6HO (1)
このとき、析出するヒドロキシアパタイト微粒子は非晶性であり、本発明においてこの非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子が得られる工程を析出工程という。
【0013】
上記非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の粒径は、5~100nmの範囲にあることが好ましく、10~70nmの範囲にあることがより好ましい。このような範囲の数値とすることによって、後の熟成工程においてサイズ及び形状が均一な結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子が形成されやすくなる。
【0014】
本発明においては、上記非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を水と陰イオン性界面活性剤の存在下で加熱処理することにより結晶性ヒロドキシアパタイト微粒子が得られる。この加熱処理を行うことにより、溶解・再析出を繰り返して結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子が得られる。本発明においてこの加熱処理する工程を熟成工程という。このときの加熱処理する方法は限定されず、攪拌しながら加熱してもよいが、静置された状態で熟成することがより好ましい。特に、遠心分離又は濾別した後の湿潤状態の非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を静置された状態で加熱することが好ましい。
【0015】
上記加熱処理の際の温度は、35~400℃の範囲にあることが好ましい。加熱処理の温度が35℃未満の場合、非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の結晶化が困難となるおそれがあり、より好適には50℃以上であり、さらに好適には70℃以上である。一方、加熱処理の温度が400℃を超える場合、加熱装置が大がかりになるおそれがあり、より好適には300℃以下であり、さらに好適には250℃以下である。
【0016】
本発明は、上記非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を加熱処理する際に、水と陰イオン性界面活性剤の存在下で行うことを特徴とする。このことにより、得られる結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子のサイズ及び形状を制御することができる。後の実施例でも示すように、非イオン性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤を用いた場合には得られる結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の成長が不十分であることが認められ、陰イオン性界面活性剤特有の現象であった。その理由は必ずしも明らかではないが、ヒドロキシアパタイトは熟成工程で溶解・再析出を繰り返すため、陰イオン性界面活性剤が存在すると、Ca2+イオンと負電荷を持つ界面活性剤の親水基とが相互作用して錯体を形成すると考えられる。実際、遠心分離後にヒドロキシアパタイト微粒子の上に白色のゲル状物質が形成されることも確認されている。
【0017】
用いられる陰イオン性界面活性剤としては特に限定されないが、スルホン酸塩又は硫酸塩であることが好ましい。スルホン酸塩としては、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)等が挙げられ、硫酸塩としてはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等が挙げられる。
【0018】
上記陰イオン性界面活性剤は、水溶液として用いられることが好ましい。当該水溶液を上記非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子と混合した後に加熱処理することにより結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子が得られる。混合する方法は、陰イオン性界面活性剤水溶液と非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子が均一に攪拌されるのであれば特に限定されない。混合する際の温度は0~50℃の範囲にあることが好ましい。用いられる陰イオン性界面活性剤水溶液の濃度は、0.001~1mol/Lの範囲にあることが好ましい。
【0019】
本発明では、予め非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を洗浄して、水溶液中に溶解している未反応物及び副生物を除いてから加熱処理して結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を得る方法が好ましい。洗浄する際に用いる洗浄液としては特に限定されず、水、エタノール、アセトン等を用いることができるが、未反応イオン等の未反応物や副生成物を取り除く観点からは水を用いることが好ましい。このとき、水の代わりに洗浄液として陰イオン性界面活性剤水溶液を用いることで、一度の操作でイオン等の未反応物や副生成物を取り除くとともに非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の近傍に均一に陰イオン性界面活性剤を配置させることができる。
【0020】
また、本発明において、上記非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を洗浄した後に洗浄液と分離してから加熱処理して結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を得る方法が好ましい。洗浄した後に非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子と洗浄液とを分離する方法は特に限定されず、遠心分離、濾過等により行うことができるが、操作が簡便である観点からは遠心分離により上澄み液を取り除く方法が好ましい。
【0021】
本発明の製造方法は、非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を析出させる工程(析出工程)と、非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を洗浄した後に洗浄液と分離し(洗浄工程)、水と陰イオン性界面活性剤の存在下で熟成を行う工程(熟成工程)の3工程により行われることが好ましい。このことによりサイズ及び形状が制御された結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を得ることが可能となる。陰イオン性界面活性剤は、上記析出工程の際に添加されていてもよいが、得られる結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子のサイズ及び形状をより均一に制御する観点からは、未反応イオン等の未反応物及び副生物を取り除く上記洗浄工程の後に添加することがより好ましい。
【0022】
本発明の方法により得られた結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の形状は、好適には針状又は棒状である。このときの結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の縦長さは、70~500nmの範囲にあることが好ましい。また、上記結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子のアスペクト比は3~20の範囲にあることが好ましい。非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を水と陰イオン性界面活性剤の存在下で加熱処理する際の温度を変化させることによりこの結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の縦長さ及びアスペクト比を制御することができる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。本実施例において結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子のサイズ及び形状は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて観察し、100個の微粒子を任意に選択して得られた値の平均値から得た。ここで、非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子は粒径を、結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子はその縦長さと横長さを測定し、アスペクト比は、縦長さと横長さの比(縦長さ/横長さ)から得た。また、X線回折装置(XRD)を用いてXRDパターンを測定した。結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造工程図を図1に示す。
【0024】
実施例1
(1)非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造
0.5mol/Lの硝酸カルシウム水溶液5mlに水12.5mlを加え、1.0mol/Lのアンモニア水溶液によりpHを10に調整した。続いて1.0mol/Lのアンモニア水溶液によりpHを10に調整した0.5mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液3mlを添加した後、20℃で30分攪拌して、遠心分離後に上澄み液を取り除くことにより非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を得た。
【0025】
(2)結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造
0.02mol/Lのジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)水溶液を用いて、得られた非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を洗浄し、遠心分離後に上澄み液を取り除いた。この洗浄操作を2回繰り返した後、それぞれ20、30、40、60、90及び200℃にて24時間熟成を行った。アセトンを用いて洗浄し、遠心分離後に真空乾燥して微粒子を得た。得られた微粒子のSTEM写真を図2~7に示す。図13にXRDパターンを示す。また、図16及び図17に得られた微粒子の縦長さ(平均粒径)及びアスペクト比を示す。
【0026】
実施例2
実施例1において、AOT水溶液の代わりに、それぞれドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム(DTAB)水溶液、テトラエチレングリコールモノドデシルエーテル(C12)を用いて洗浄を行い、熟成を90℃のみで行った以外は実施例1と同様にして結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を得た。得られた結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子のSTEM写真を図8~図10に示す。図14にXRDパターンを示す。また、図18及び図19に得られた結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の縦長さ及びアスペクト比を示す。
【0027】
比較例1
実施例1において、AOT水溶液の代わりに水で洗浄し、90℃のみで熟成を行い、熟成後にアセトンを用いた洗浄及び真空乾燥を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を得た。結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子のSTEM写真を図11に示す。図15にXRDパターンを示す。また、図16及び図17に得られた結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の縦長さ及びアスペクト比を示す。
【0028】
比較例2
(1)非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造
0.5mol/Lの硝酸カルシウム水溶液5mlに0.02mol/LのAOT水溶液12.5mlを加え、1.0mol/Lのアンモニア水溶液によりpHを10に調整した。続いて1.0mol/Lのアンモニア水溶液によりpHを10に調整した0.5mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液3mlを添加した後、20℃で30分攪拌して、遠心分離後に上澄み液を取り除くことにより非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を得た。
【0029】
(2)結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造
アセトンを用いて、得られた非晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を洗浄し、遠心分離後に上澄み液を取り除いた。続いて、水を用いて同様に洗浄し、遠心分離後に上澄み液を取り除いた。熟成時の温度を90℃にて24時間熟成を行い、結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子を得た。得られた結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子のSTEM写真を図12に示す。図15にXRDパターンを示す。
【0030】
図15に示される90℃で熟成して得られた結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子のXRDパターンより、実施例1、比較例1及び2のいずれにおいてもヒドロキシアパタイト微粒子の結晶に由来するピークが観察されたが、実施例1においては特に鋭いピークが観察され、より規則性の向上した結晶が得られていることがわかる。また、比較例1及び2で得られた結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子は、図11及び図12のSTEM写真からわかるようにいずれも縦長さ30~50nmの針状微粒子であったが、実施例1で得られた結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子は、図6のSTEM写真からわかるように90~160nmの棒状微粒子であった。
【0031】
図13のXRDパターンより、20℃及び30℃で熟成を行った場合は、非晶性を示すハローピークとなり、40℃以上で結晶性を示すピークが観察された。図2のSTEM写真より、20℃では粒径約30nmの不定形微粒子が観察され、図3より30℃ではその一部が繊維状に変化していた。図4より40℃では全てが細長い針状微粒子が観察され、図5~8からわかるように60℃から200℃へと熟成時の温度が高くなるにつれて、太い棒状微粒子が観察された。また、図16及び図17からも、40℃以上で縦長さが100nmを超えるとともにアスペクト比が10を超えた値が得られ、細長い針状微粒子となっていることがわかる。60℃から200℃へと熟成温度が高くなるにつれて、縦長さはそれほど変化していないが、アスペクト比が低下していることから横方向に結晶成長して太く短い棒状微粒子となっていることがわかる。一方、30℃では結晶性微粒子と非晶性微粒子が混在していた。図16及び図17中の30℃における結果は、結晶性微粒子と非晶性微粒子をそれぞれ50個ずつ任意に選択して得られた値の平均値から算出したものである。
【0032】
図9及び図10のSTEM写真からわかるように、陽イオン性界面活性剤であるDTAB及び非イオン性界面活性剤であるC12では、界面活性剤を用いなかった比較例1の場合と同様に、縦長さ約30~50nmの針状微粒子が観察された。一方、図8からわかるように、AOTとは疎水基の構造が主に異なる陰イオン性界面活性剤であるSDSでも、AOTを用いた実施例1の場合と同様に棒状微粒子が観察された。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明で得られる結晶性ヒドロキシアパタイト微粒子の製造工程を示す図である。
【図2】実施例1において20℃で熟成して得られた微粒子のSTEM写真である。
【図3】実施例1において30℃で熟成して得られた微粒子のSTEM写真である。
【図4】実施例1において40℃で熟成して得られた微粒子のSTEM写真である。
【図5】実施例1において60℃で熟成して得られた微粒子のSTEM写真である。
【図6】実施例1において90℃で熟成して得られた微粒子のSTEM写真である。
【図7】実施例1において200℃で熟成して得られた微粒子のSTEM写真である。
【図8】実施例2においてSDSを用いて90℃で熟成して得られた微粒子のSTEM写真である。
【図9】実施例2においてDTABを用いて90℃で熟成して得られた微粒子のSTEM写真である。
【図10】実施例2においてC12を用いて90℃で熟成して得られた微粒子のSTEM写真である。
【図11】比較例1で得られた微粒子のSTEM写真である。
【図12】比較例2で得られた微粒子のSTEM写真である。
【図13】実施例1で得られた微粒子のXRDパターンである。
【図14】実施例1及び実施例2で得られた微粒子のXRDパターンである。
【図15】実施例1、比較例1及び2で得られた微粒子のXRDパターンである。
【図16】実施例1において熟成温度と微粒子の縦長さの関係を示す図である。
【図17】実施例1において熟成温度と微粒子のアスペクト比の関係を示す図である。
【図18】実施例1及び実施例2において界面活性剤の種類と微粒子の縦長さの関係を示す図である。
【図19】実施例1及び実施例2において界面活性剤の種類と微粒子のアスペクト比の関係を示す図である。
図面
【図1】
0
【図13】
1
【図14】
2
【図15】
3
【図16】
4
【図17】
5
【図18】
6
【図19】
7
【図2】
8
【図3】
9
【図4】
10
【図5】
11
【図6】
12
【図7】
13
【図8】
14
【図9】
15
【図10】
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【図11】
17
【図12】
18