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明細書 :X線撮影器具挿入装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2008-043479 (P2008-043479A)
公開日 平成20年2月28日(2008.2.28)
発明の名称または考案の名称 X線撮影器具挿入装置
国際特許分類 A61B   6/00        (2006.01)
G03B  42/02        (2006.01)
FI A61B 6/00 300W
G03B 42/02
G03B 42/02 Z
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2006-220724 (P2006-220724)
出願日 平成18年8月11日(2006.8.11)
発明者または考案者 【氏名】勝田 稔三
【氏名】井内 洋介
出願人 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100080160、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 憲一郎
審査請求 未請求
テーマコード 2H013
4C093
Fターム 2H013AA01
2H013AA02
2H013AA06
2H013AA30
2H013BA20
4C093AA03
4C093CA17
4C093EB04
要約 【課題】X線撮影に用いるX線フィルムを収容した薄板状のカセッテなどのX線撮影器具を、ベッドに伏臥した患者とベッドとの間に挿入するX線撮影器具挿入装置において、スムーズに挿入可能で、洗浄処理しやすいX線撮影器具挿入装置を提供する。
【解決手段】カセッテなどのX線撮影器具が収容される収容部を備えた上部基体と、この上部基体と平行に配置される下部基体と、上部基体に装着した無端状の上部帯状ベルトと、下部基体に装着した無端状の下部帯状ベルトとを備え、上部基体と下部基体とを互いに重ね合わせて上部帯状ベルトと下部帯状ベルトとを当接させ、下部基体を下としてベッド上面に載置し、患者とベッドとの間への挿入にともなって下部帯状ベルトを回転させるとともに、上部帯状ベルトを下部帯状ベルトとは逆方向に回転させて、上部帯状ベルトで上部基体の上面側に患者を案内するようにしてX線撮影器具を挿入するX線撮影器具挿入装置とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
X線管から照射されたX線に反応する受感体を収容した平板状のX線撮影器具を、ベッドに伏臥した患者と前記ベッドとの間に挿入するX線撮影器具挿入装置において、
前記X線撮影器具が収容される収容部を備えた平板状の上部基体と、
この上部基体と平行に配置される平板状の下部基体と、
前記上部基体の周面に沿って回転自在に前記上部基体に装着した無端状の上部帯状ベルトと、
前記下部基体の周面に沿って回転自在に前記下部基体に装着した無端状の下部帯状ベルトと、
を備え、
前記上部基体と前記下部基体とを上下に重ね合わせることにより前記上部帯状ベルトと前記下部帯状ベルトとを当接させて、前記下部基体を下として前記ベッド上面に載置して前記患者と前記ベッドとの間に挿入することを特徴とするX線撮影器具挿入装置。
【請求項2】
X線管から照射されたX線に反応する受感体を平板状のハウジングに収容してなるX線撮影器具を、ベッドに伏臥した患者と前記ベッドとの間に挿入するX線撮影器具挿入装置であって、
前記ハウジングと平行に配置される平板状の下部基体と、
前記ハウジングの周面に沿って回転自在に前記ハウジングに装着した無端状の上部帯状ベルトと、
前記下部基体の周面に沿って回転自在に前記下部基体に装着した無端状の下部帯状ベルトと、
を備え、
前記ハウジングと前記下部基体とを上下に重ね合わせることにより前記上部帯状ベルトと前記下部帯状ベルトとを当接させて、前記下部基体を下として前記ベッド上面に載置して前記患者と前記ベッドとの間に挿入することを特徴とするX線撮影器具挿入装置。
【請求項3】
前記下部基体には、前記下部帯状ベルトの幅方向に沿って長手状に、前記上部基体に向けて突出させた突条部を設けていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線撮影器具挿入装置。
【請求項4】
前記上部基体には、前記上部帯状ベルトの幅方向に沿って長手状に、前記下部基体に向けて突出させた突条部を設けていることを特徴とする請求項1記載のX線撮影器具挿入装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影に用いるX線フィルムを収容した薄板状のカセッテ、または、X線の線量を記録するプレート状の線量計を収容したカセッテ、若しくはX線を光電変換するセンサを収容したディテクタからなるX線撮影器具を、ベッドに伏臥した患者とベッドとの間に挿入するX線撮影器具挿入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等の医療施設においては、手術直後であったり、あるいは重傷を負ったりしたことにより自分自身で身体を動かせない患者や、意識のない患者に対して所定部位のX線写真の撮影が必要となる場合があり、このような場合には、患者をベッドに伏臥させたままでX線写真の撮影を可能とした装置が用いられている。
【0003】
この装置でX線写真の撮影を行う場合には、通常、ベッドに伏臥した患者とベッドとの間にX線フィルムまたはプレート状の線量計を収容した薄板状のカセッテを挿入するとともに、患者の上方にX線管を配置して、X線の照射を行っている。なお、最近では、X線フィルムの代わりに、X線を光電変換するセンサを収容したディテクタが用いられることもある。
【0004】
このとき、ベッドに伏臥した患者とベッドとの間にカセッテを挿入する作業は、複数名の介助者を必要とする作業となっていた。
【0005】
すなわち、このようなX線写真の撮影が行われる場合には、体幹部分の撮影を行う場合がほとんどであるとともに、撮影される患者は自分自身では身体を動かすことができないので、患者とベッドとの間にカセッテを挿入する際には、介助者が患者の体幹部分を持ち上げる必要があった。
【0006】
この場合、一人の介助者では患者を安全に持ち上げることが極めて困難であって、患者の持ち上げに二人以上の介助者が必要であり、さらに、所定位置にカセッテを挿入するための介助者が必要であって、最低でも3人以上の介助者が必要となっていた。このことは、カセッテではなく、ディテクタを使用した場合でも同様である。
【0007】
そこで、できるだけ簡便にカセッテを患者とベッドとの間に挿入する方法として、カセッテの挿入装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
この挿入装置は、カセッテを収容する矩形状の収容部と、この収容部の左右側にそれぞれ配置したクローラ状のベルト部とを備えているものである。
【0009】
特に、ベルト部では、収容部の側縁に沿って前後方向に長手状に配置した第1ベルトと第2ベルトとを上下に重ねて配置し、第1ベルトと第2ベルトとを互いに当接させ、第1ベルトの回転にともなって第2ベルトを第1ベルトの回転方向とは逆方向に従動回転させる構成としている。
【0010】
したがって、ベッドの上面に沿って挿入装置を押し進めると、第1ベルトが前転するとともに第2ベルトが後転し、この第2ベルトによって患者を挿入装置上に移送することとなって、極めて簡単に患者とベッドとの間にカセッテを挿入可能となっている。

【特許文献1】特開2003-061943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、カセッテを収容する矩形状の収容部と、この収容部の左右側にそれぞれ配置したクローラ状のベルト部とを備えた挿入装置では、収容部とベルト部との間に患者が着用している寝間着が噛み込まれる場合があり、ベルト部の回転が阻害されて挿入装置をスムーズに挿入できなくなる場合があった。
【0012】
さらに、挿入装置では、ベルト部が洗浄しにくい構成となっており、血液などの体液がベルト部に付着した場合の洗浄作業が極めて繁雑となりやすいという不具合があった。
【0013】
本発明者らはこのような現状に鑑み、寝間着などの噛み込みがなく、スムーズに患者とベッドとの間に挿入可能であって、しかも洗浄処理しやすい挿入装置を提供すべく開発を行って、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のX線撮影器具挿入装置では、X線管から照射されたX線に反応する受感体を収容した平板状のX線撮影器具を、ベッドに伏臥した患者とベッドとの間に挿入するX線撮影器具挿入装置において、X線撮影器具が収容される収容部を備えた平板状の上部基体と、この上部基体と平行に配置される平板状の下部基体と、上部基体の周面に沿って回転自在に上部基体に装着した無端状の上部帯状ベルトと、下部基体の周面に沿って回転自在に下部基体に装着した無端状の下部帯状ベルトとを備え、上部基体と下部基体とを上下に重ね合わせることにより上部帯状ベルトと下部帯状ベルトとを当接させて、下部基体を下としてベッド上面に載置して患者とベッドとの間に挿入することとした。
【0015】
また、本発明のX線撮影器具挿入装置では、X線管から照射されたX線に反応する受感体を平板状のハウジングに収容してなるX線撮影器具を、ベッドに伏臥した患者とベッドとの間に挿入するX線撮影器具挿入装置であって、ハウジングと平行に配置される平板状の下部基体と、ハウジングの周面に沿って回転自在にハウジングに装着した無端状の上部帯状ベルトと、下部基体の周面に沿って回転自在に下部基体に装着した無端状の下部帯状ベルトとを備え、ハウジングと下部基体とを上下に重ね合わせることにより上部帯状ベルトと下部帯状ベルトとを当接させて、下部基体を下としてベッド上面に載置して患者とベッドとの間に挿入することとした。
【0016】
さらには、下部基体には、下部帯状ベルトの幅方向に沿って長手状に、上部基体に向けて突出させた突条部を設けていることにも特徴を有し、上部基体には、上部帯状ベルトの幅方向に沿って長手状に、下部基体に向けて突出させた突条部を設けていることにも特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のX線撮影器具挿入装置では、X線撮影器具が収容される収容部を備えた平板状の上部基体と、この上部基体と平行に配置される平板状の下部基体と、上部基体の周面に沿って回転自在に上部基体に装着した無端状の上部帯状ベルトと、下部基体の周面に沿って回転自在に下部基体に装着した無端状の下部帯状ベルトとを備え、上部基体と下部基体とを上下に重ね合わせることにより上部帯状ベルトと下部帯状ベルトとを当接させながら、下部基体を下としてベッド上面に載置して、ベッドと患者との間に上部基体と下部基体とを挿し入れることにより、寝間着の噛み込みを生じにくくして、スムーズに挿入可能なX線撮影器具挿入装置を提供できる。
【0018】
しかも、上部帯状ベルト及び下部帯状ベルトは、上部基体及び下部基体にそれぞれ回転自在に装着しているだけであるので、上部帯状ベルトと、下部帯状ベルトと、上部基体と、下部基体を個々に分離して容易に洗浄することができる。
【0019】
さらに、下部基体に突条部を設けたり、あるいは、上部基体に突条部を設けたりした場合には、突条部部分で上部帯状ベルトと下部帯状ベルトとを密に接触させることができ、上部帯状ベルトと下部帯状ベルトとの間で滑りが生じることによる下部帯状ベルトの空転が生じることを抑制して、下部帯状ベルトによって上部帯状ベルトを確実に回転させて上部帯状ベルトによる患者の案内をスムーズに行うことができる。
【0020】
また、X線撮影器具としてX線管から照射されたX線に反応する受感体を収容した平板状のハウジングを用いた場合に、ハウジング自体を上部基体として、ハウジングと平行に配置される平板状の下部基体と、ハウジングの周面に沿って回転自在にハウジングに装着した無端状の上部帯状ベルトと、下部基体の周面に沿って回転自在に下部基体に装着した無端状の下部帯状ベルトとを備えて、ハウジングと下部基体とを上下に重ね合わせることにより上部帯状ベルトと下部帯状ベルトとを当接させて、下部基体を下としてベッド上面に載置してベッドと患者との間にハウジングと下部基体とを挿し入れることにより、寝間着の噛み込みを生じにくくして、スムーズに挿入可能なX線撮影器具挿入装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のX線撮影器具挿入装置は、図1及び図2示すように、平板状の上部基体10と、この上部基体10と平行に配置される平板状の下部基体20と、上部基体10の周面に沿って回転自在に上部基体10に装着した無端状の上部帯状ベルト11と、下部基体20の周面に沿って回転自在に下部基体20に装着した無端状の下部帯状ベルト21とを備えている。
【0022】
上部基体10は所定厚みの平板状の矩形体とし、受感体としてX線撮影に用いるX線フィルムを収容したカセッテCからなるX線撮影器具を収容する収容部12を備えるとともに、上部基体10の一側面に収容部12にカセッテCを挿入するための挿入口13を設けている。なお、カセッテCの代わりに、受感体としてX線の線量を記録するCR(Computed Radiography)用のイメージプレートと呼ばれているプレート状の線量計、若しくは受感体としてX線を光電変換する光電変換素子で構成されるセンサを収容したディテクタをX線撮影器具として用い、上部基体10に出し入れ自在に収容可能としてもよい。
【0023】
上部基体10は、X線の撮影を阻害しないようにX線の透過性を有するプラスチックなどを用いており、さらに、一側面に挿入口13を設けた単なる箱形状として、洗浄処理を行いやすくしている。なお、挿入口13には図示しない蓋を着脱自在に装着可能として、この蓋を挿入口13に装着することにより、収容部12内に収容したカセッテCを安定的に固定して保持状態としている。
【0024】
上部基体10は、外周面をテフロン(登録商標)によってコーティングしており、表面の摩擦抵抗を軽減させている。なお、摩擦抵抗を軽減できるのであれば、テフロン(登録商標)以外の材料でコーティングしてもよいし、例えば上部基体10をカーボンファイバー製とした場合には、それ自体で摩擦抵抗が十分小さいので、コーティングを施さなくてもよい。
【0025】
下部基体20は薄板状の矩形体とし、後述するように下部基体20に装着した下部帯状ベルト21を回転可能となっていればどのような厚さであってもよく、可能であればできるだけ薄い方が望ましい。下部基体20を薄くすることによりX線撮影器具挿入装置自体を薄型化することができる。
【0026】
下部基体20はX線の透過性を有している必要はなく、金属材料を適宜配置して、できるだけ剛性の高い構成として、撓みが生じないようにしておくことが望ましい。このように下部基体20の剛性を高めておくことにより、ベッド上に載置したX線撮影器具挿入装置に沈み込みが生じることを抑制して、後述するようにベッド上をスムーズに移動させることができる。
【0027】
本実施形態では、下部基体20は金属材料で骨格を形成し、表面に薄板状としたテフロン(登録商標)板を貼着して構成している。
【0028】
下部基体20の大きさは、動作の安定性を確保するために、上部基体10と同じ程度の左右の幅寸法を有していることが望ましく、さらに前後の長さ寸法は、上部基体10と同じ程度か、それよりも小さい程度が望ましい。
【0029】
上部帯状ベルト11は、上部基体10の周面に沿って回転自在に上部基体10に装着した所定幅を有する無端状のシート体であり、下部帯状ベルト21は、下部基体20の周面に沿って回転自在に上部基体に装着した所定幅を有する無端状のシート体としている。
【0030】
特に、上部帯状ベルト11は、X線の透過性を有している必要があり、上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21は、ビニールシートのような合成樹脂製のシート体としている。
【0031】
このとき、上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21は、上部基体10及び下部基体20と接する内側面はできるだけ摩擦抵抗が小さくなっていることが望ましい一方で、外測面は摩擦抵抗が大きくなっていることが望ましく、必要に応じて上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21の内周面及び/または外周面に適宜のシート体を積層したり、あるいはコーティングを施したりして、摩擦抵抗を調整してもよい。
【0032】
上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21の幅寸法は、上部基体10及び下部基体20の幅寸法よりも少しだけ細幅としており、上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21の長さ寸法は、それぞれ上部基体10及び下部基体20の周回長にほぼ一致させるよりも多少長めに形成して、遊びを持たせている。このように上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21には遊びの長さを設けておくことにより、上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21を上部基体10及び下部基体20に装着した際に、上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21が上部基体10及び下部基体20に密着することを抑制でき、上部基体10及び下部基体20周りに沿ってスムーズに回転させることができる。
【0033】
上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21がそれぞれ装着された上部基体10及び下部基体20は、下部基体20を下として上下に重ね合わせることにより、図2に示すように、上部帯状ベルト11と下部帯状ベルト21とを当接させている。
【0034】
上部基体10の挿入口13は、上部基体10に装着した上部帯状ベルト11の周回方向上の側面とは異なる側面に設けており、上部帯状ベルト11によって挿入口13が塞がれないようにしている。
【0035】
上下に重ねた上部基体10と下部基体20は、上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21によって被覆されていない側面部分にU字状とした連結金具31を装着して一体化している。
【0036】
特に、連結金具31は、一体化した上部基体10と下部基体20とで構成されるX線撮影器具挿入装置の挿入方向の先端側の左右側と、挿入方向の後端側の左右側にそれぞれ装着しており、挿入方向の後端側に装着した連結金具31には、左右方向に長手状に配置した棒状のハンドル40の前端を接続している。
【0037】
ハンドル40は、本実施形態では、中央部で左側ハンドル部40Lと右側ハンドル部40Rとに分離可能とするとともに、左側ハンドル部40Lと右側ハンドル部40Rのいずれか一方に装着したスリーブ状の連結部40Cを介して一体的に連結している。
【0038】
すなわち、挿入方向の後端側に装着した連結金具31には、左側ハンドル部40Lまたは右側ハンドル部40Rが接続されている。
【0039】
X線撮影器具挿入装置は、上部帯状ベルト11が装着された上部基体10と、下部帯状ベルト21が装着された下部基体20を上下に重ね合わせ、X線撮影器具挿入装置の挿入方向における先端側の左右両側に連結金具31を装着するとともに、挿入方向における後端側の左側に、左側ハンドル部40Lが接続された連結金具31を装着し、挿入方向における後端側の右側に、右側ハンドル部40Lが接続された連結金具31を装着し、このとき左側ハンドル部40Lと右側ハンドル部40Rとを連結部40Cで連結して、上部基体10と下部基体20を一体化している。
【0040】
このように構成したX線撮影器具挿入装置の上部基体10には、挿入口13からカセッテCを挿入して、図3に示すように、患者とベッドとの間に挿入する。
【0041】
X線撮影器具挿入装置を患者とベッドとの間に挿入する際には、図2に示すように、ベッドとの摩擦によって下部帯状ベルト21を下部基体20の周面に沿って回転させるとともに、患者との摩擦によって上部帯状ベルト11を上部基体10の周面に沿って回転させている。
【0042】
この上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21の回転は、互いに逆方向の回転となって一方の回転が他方の回転を促すように作用することにより互いにスムーズな回転とすることができ、上部帯状ベルト11の回転によって上部基体10の上面側に患者をスムーズに案内することができるので、ほぼ一人の介助者によってカセッテCの所定位置への配置を行うことができる。
【0043】
しかも、挿入口13は上部帯状ベルト11によって閉塞されていないので、図3に示すように、患者とベッドとの間に上部基体10を配置した後も上部基体10のカセッテCの差し替えを容易に行うことができる。
【0044】
X線の写真撮影後は、X線撮影器具挿入装置を引き出すことにより、上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21がそれぞれ挿入時とは逆回転して、速やかにX線撮影器具挿入装置を抜き取ることができる。
【0045】
X線撮影器具挿入装置は、使用後は個々に分解し、それぞれを適宜洗浄処理することができる。特に、上部帯状ベルト11及び下部帯状ベルト21は使い切りとすることにより、衛生管理の手間を大きく削減できる。
【0046】
なお、上部基体10と下部基体20は、図2に示すように面同士で接触する面接触状態とした場合には、上部基体10と下部基体20の製造精度に起因した平面度のバラツキによって、上部帯状ベルト11と下部帯状ベルト21とを緊密に接触させることができない場合があり、下部帯状ベルト21が上部帯状ベルト11に対して空転するおそれがある。
【0047】
そこで、図4に示すように、下部基体20には、下部帯状ベルト21の幅方向に沿って長手状に、上部基体10に向けて突出させた突条部25を設けている。
【0048】
このように突条部25を設けた場合には、この突条部25の部分で下部帯状ベルト21を上部帯状ベルト11に線接触させることができ、下部帯状ベルト21と上部帯状ベルト11の当接部分に患者の体重に基づく十分な力を作用させることができるので、上部帯状ベルト11に対する下部帯状ベルト21の空転を抑制できる。
【0049】
ここで、突条部25は、X線撮影器具挿入装置の挿入法方向における先端側と後端側にそれぞれ設けて、上部基体10の上面が水平に近い平面となるようにしている。
【0050】
他の実施形態として、下部基体20に突条部25を設けるのではなく、図5に示すように、上部基体10に、上部帯状ベルト11の幅方向に沿って長手状に、下部基体20に向けて突出させた突条部15を設けてもよい。
【0051】
このように突条部15を設けた場合にも、この突条部15の部分で下部帯状ベルト21を上部帯状ベルト11に線接触させることができ、下部帯状ベルト21と上部帯状ベルト11の当接部分に患者の体重に基づく十分な力を作用させることができるので、上部帯状ベルト11に対する下部帯状ベルト21の空転を抑制できる。
【0052】
上部基体10に突条部15を設ける場合にも、突条部15は、X線撮影器具挿入装置の挿入法方向における先端側と後端側にそれぞれ設けて、上部基体10の上面が水平に近い平面となるようにしている。
【0053】
このとき、図5に示すように、下部基体20は、突条部15間の間隔寸法程度の前後長を有するようにしておくことにより、X線撮影器具挿入装置の挿し入れ時にX線撮影器具挿入装置に作用する力の方向が、下部帯状ベルト21と上部帯状ベルト11とをより緊密に接触させる方向となって、下部帯状ベルト21の空転をさらに防止しやすくすることができる。
【0054】
他の実施形態として、X線撮影器具を上部基体10に挿入するのではなく、X線撮影器具自体を上部基体10とすることもできる。
【0055】
すなわち、X線撮影器具は、X線フィルム、プレート状の線量計、光電変換素子などのセンサで構成される受感体を平板状のハウジングに収容して構成しており、図6に示すように、このハウジングHを上部基体10としているものである。
【0056】
この場合、ハウジングHには連結金具31'を装着可能とした装着部を適宜設けており、ハウジングHには、ハウジングHの周面に沿って回転自在に無端状の上部帯状ベルト11'を装着するとともに、ハウジングHと平行に配置される平板状の下部基体20'には、下部基体20'の周面に沿って回転自在に無端状の下部帯状ベルト21'を装着して、ハウジングHと下部基体20'とを上下に重ね合わせることにより上部帯状ベルト11'と下部帯状ベルト21'とを当接させて、X線撮影器具挿入装置の挿入方向における先端側の左右両側に連結金具31を装着するとともに、挿入方向における後端側にも半反る40'が接続された連結金具31'を装着して、上部基体10と下部基体20を一体化している。
【0057】
そして、X線撮影器具挿入装置は、下部基体20'を下としてベッド上面に載置し、患者とベッドとの間に差し入れることによって、X線撮影器具を患者とベッドとの間に容易に挿入可能としている。
【0058】
このように、X線撮影器具を構成するハウジングHをそのまま上部基体として利用することにより、X線撮影器具挿入装置をより小さい厚みで形成できるので、患者とベッドとの間にX線撮影器具挿入装置を挿入しやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係るX線撮影器具挿入装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るX線撮影器具挿入装置の側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るX線撮影器具挿入装置の使用状態説明図である。
【図4】変容例の説明図である。
【図5】変容例の説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係るX線撮影器具挿入装置の側面図である。
【符号の説明】
【0060】
C カセッテ
10 上部基体
11 上部帯状ベルト
12 収容部
13 挿入口
15 突条部
20 下部基体
21 下部帯状ベルト
25 突条部
31 連結金具
40 ハンドル
40L 左側ハンドル部
40R 右側ハンドル部
40C 連結部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5