TOP > 国内特許検索 > 新規な抗マラリア剤 > 明細書

明細書 :新規な抗マラリア剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4431796号 (P4431796)
公開番号 特開2008-094740 (P2008-094740A)
登録日 平成22年1月8日(2010.1.8)
発行日 平成22年3月17日(2010.3.17)
公開日 平成20年4月24日(2008.4.24)
発明の名称または考案の名称 新規な抗マラリア剤
国際特許分類 C07D 213/81        (2006.01)
C07D 213/75        (2006.01)
A61K  31/444       (2006.01)
A61P  33/06        (2006.01)
FI C07D 213/81 CSP
C07D 213/75
A61K 31/444
A61P 33/06
請求項の数または発明の数 18
全頁数 25
出願番号 特願2006-276588 (P2006-276588)
出願日 平成18年10月10日(2006.10.10)
審査請求日 平成21年8月6日(2009.8.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】佐々木 健二
【氏名】加来田 博貴
【氏名】日和佐 佳子
【氏名】本島 和典
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100114292、【弁理士】、【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100119530、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 和幸
審査官 【審査官】瀬下 浩一
参考文献・文献 特開2004-196670(JP,A)
特開平10-095773(JP,A)
特開平10-287566(JP,A)
特開2005-179212(JP,A)
特開2006-104116(JP,A)
Fujimoto.K,et al,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2006年,Vol.16, No.10,pages 2758-2760
Austin,W.C,et al,Journal of Pharmacy and Pharmacology,1959年,Vol.11, No.2,pages 80-93
調査した分野 C07D 213/00-213/90
A61K 31/00-31/80
CAPlus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(3)で示されるビスピリジニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア剤。
一般式(3)
【化1】
JP0004431796B2_000016t.gif
式中、R1は炭素数1から20の直鎖のアルキレン基、炭素数3から20の分岐したアルキレン基、そのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基又は炭素数1から5のアルキレン基を両端に有し且つそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基を表し、
2つのR2は同一もしくは異なり、それぞれ水素又は炭素数1から20のアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香環を末端に有する炭素数1から15のアルキル基を表し、
-はアニオンを表す。
【請求項2】
下記一般式(5)で示されるビスピリジニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア剤。
一般式(5)
【化2】
JP0004431796B2_000017t.gif
式中、R1は炭素数1から20の直鎖のアルキレン基、炭素数3から20の分岐したアルキレン基、そのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基又は炭素数1から5のアルキレン基を両端に有し且つそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基を表し、
4つのR2は同一もしくは異なり、それぞれ水素又は炭素数1から20のアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香環を末端に有する炭素数1から15のアルキル基を表し、
-はアニオンを表す。
【請求項3】
1,1’-(1,6-ヘキサメチレン)ビス[4-{(n-ブチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
【請求項4】
1,1’-(1,8-オクタメチレン)ビス[4-{(n-ブチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
【請求項5】
1,1’-(1,10-デカメチレン)ビス[4-{(n-ブチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
【請求項6】
1,1’-(1,12-ドデカメチレン)ビス[4-{(n-ブチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド]。
【請求項7】
1,1’-(1,6-ヘキサメチレン)ビス[4-{(n-ヘキシルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
【請求項8】
1,1’-(1,8-オクタメチレン)ビス[4-{(n-ヘキシルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
【請求項9】
1,1’-(1,10-デカメチレン)ビス[4-{(n-ヘキシルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
【請求項10】
1,1’-(1,12-ドデカメチレン)ビス[4-{(n-ヘキシルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
【請求項11】
1,1’-(1,6-ヘキサメチレン)ビス[4-{(n-オクチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド]。
【請求項12】
1,1’-(1,8-オクタメチレン)ビス[4-{(n-オクチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
【請求項13】
1,1’-(1,10-デカメチレン)ビス[4-{(n-オクチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
【請求項14】
1,1’-(1,12-ドデカメチレン)ビス[4-{(n-オクチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
【請求項15】
N,N’-ジベンジル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) 。
【請求項16】
N,N’-ジベンジル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) 。
【請求項17】
N,N’-ジベンジル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) 。
【請求項18】
N,N’-ジベンジル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) 。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスピリジニウム塩化合物を有効成分として含有する新規な抗マラリア剤に関する。
【背景技術】
【0002】
マラリア原虫感染によって引き起こされるマラリアは人類最大の寄生原虫感染症であり、世界保健機構(WHO)の最新統計によると、毎年、世界中で2億6700万人もの人々がマラリアに感染し、そのうち200万人が死亡している。マラリアの起因病原体は、プラスモジウム(Plasmodium)属に属する原虫であり、例えば、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの熱帯地域全体に分布する熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)、世界各地の熱帯と温帯の一部に分布する三日熱マラリア原虫(P. vivax)、主として熱帯西アフリカに分布する卵型マラリア原虫(P. ovale)、及び世界各地に分布する四日熱マラリア原虫(P. malariae)などの原虫がハマダラ蚊を媒介としてヒトに感染する。日本国内でも輸入感染症として増加する傾向にあり、中には、診断、治療の遅れから死亡する例も見られる。
【0003】
マラリアの治療及び予防には、キニーネ、クロロキン、ピリメタミン、アルテミシニン、メフロキン等が用いられている。しかしながら、クロロキン網膜症に代表されるように、従来の抗マラリア剤は安全性の点で問題があり、薬剤耐性の問題も生じている。このような状況に対し、WHOも新規化学治療法剤の開発を重要な目標に掲げている。そのため、マラリア感染症を治療するための毒性が低い新しいタイプの抗マラリア剤の開発が望まれている。またマラリアの感染地域には発展途上国が多く含まれるために、抗マラリア剤を安価に合成・供給することができることが望まれている。
【0004】
本発明者らはこれまで、安価な原料を用いて少ない工程数で収率よく合成できる、高活性な抗マラリア剤の探索を行なってきており、多くの成果を報告している。そのような一連の研究の中で本発明者らは特開2005-179212号公報において、ビス第四アンモニウム塩化合物を有効成分として含有する抗マラリア剤を開示している。なおこれと同様にダイマータイプの化合物であるビスチアゾリウム塩が抗マラリア活性を有するというHamzeらの報告もある(J. Med. Chem., 2005, 48, 3639-3643)。
【0005】
また本発明者らは、高い抗マラリア活性を有するN,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-ヘキシルピリジニウム ブロマイド)についても報告している(Bioorg.Med.Chem.Lett., 2006, 16, 2758-2760)。しかしこの化合物のリンカー部分であるアミド結合の代わりにピリジニウムジカチオン部位で結合させ、かつアミドを側鎖に配した構造を有するビスピリジニウム塩化合物については、これまで検討されていなかった。
【0006】
なお、含窒素ヘテロ環を含む化合物をハロゲン化銀写真感光材料として用いることが特開平8-76314公報において報告されており、該含窒素ヘテロ環は結合してビス型構造を形成してもよい旨が記載されている。しかし特開平8-76314公報において報告されているのはハロゲン化銀写真感光材料であり、この特許は抗マラリア活性に関連するものではない。
【0007】

【特許文献1】特開2005-179212号公報
【特許文献2】特開平8-76314号公報
【非特許文献1】Hamze, A. et al., J. Med. Chem., 2005, 48, 3639-3643
【非特許文献2】Fujimoto, K. et al., Bioorg.Med.Chem.Lett., 2006, 16, 2758-2760
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように優れた抗マラリア効果を示す化合物がこれまでにも報告されているが、マラリアは重要な疾患であるために、優れた効果を有し、安全性が高い新規な抗マラリア剤が更に求められていた。よって本発明の目的は、更なる構造を有するビス4級アンモニウム塩化合物について検討を展開し、それらの生物活性について検討を行うことである。そしてそれによって、マラリア原虫類による感染症の予防及び/又は治療に有用な抗マラリア剤、特に、高い有用性と安全性を兼ね備えた新規な抗マラリア剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
よって本発明は、下記一般式(1)で示されるビスピリジニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア剤であって、
【化1】
JP0004431796B2_000002t.gif
式中、2つのRは同一もしくは異なり、それぞれ炭素数1から10のアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香環を末端に有する炭素数1から10のアルキル基を表し、
は、炭素数1から20の直鎖のアルキレン基、又はそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基又は炭素数1から5のアルキレン基を両端に有し且つそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基を表し、
2つのRは同一もしくは異なり、それぞれ炭素数1から20のアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香環を末端に有する炭素数1から10のアルキル基を表し、
-はアニオンを表す。
【0010】
更に本発明は、下記一般式(2)で示されるビスピリジニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア剤であって、
【化2】
JP0004431796B2_000003t.gif
式中、2つのRは同一もしくは異なり、それぞれ炭素数1から10のアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香環を末端に有する炭素数1から10のアルキル基を表し、
は、炭素数1から20の直鎖のアルキレン基、又はそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基又は炭素数1から5のアルキレン基を両端に有し且つそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基を表し、
2つのRは同一もしくは異なり、それぞれ炭素数1から20のアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香環を末端に有する炭素数1から10のアルキル基を表し、
-はアニオンを表す。
【0011】
本発明は、下記一般式(3)で示されるビスピリジニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア剤であって、
【化3】
JP0004431796B2_000004t.gif
式中、R1は炭素数1から20の直鎖のアルキレン基、炭素数3から20の分岐したアルキレン基、そのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基又は炭素数1から5のアルキレン基を両端に有し且つそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基を表し、
2つのR2は同一もしくは異なり、それぞれ水素又は炭素数1から20のアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香環を末端に有する炭素数1から15のアルキル基を表し、
-はアニオンを表す。
【0012】
更に本発明は、下記一般式(4)で示されるビスピリジニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア剤であって、
【化4】
JP0004431796B2_000005t.gif
式中、Rは炭素数1から20の直鎖のアルキレン基、炭素数3から20の分岐したアルキレン基、又はそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基又は炭素数1から5のアルキレン基を両端に有し且つそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基を表し、
2つのRは同一もしくは異なり、それぞれ水素又は炭素数1から20のアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香環を末端に有する炭素数1から15のアルキル基を表し、
-はアニオンを表す。
【0013】
本発明は、下記一般式(5)で示されるビスピリジニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア剤であって、
【化5】
JP0004431796B2_000006t.gif
式中、R1は炭素数1から20の直鎖のアルキレン基、炭素数3から20の分岐したアルキレン基、そのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基又は炭素数1から5のアルキレン基を両端に有し且つそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基を表し、
4つのR2は同一もしくは異なり、それぞれ水素又は炭素数1から20のアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香環を末端に有する炭素数1から15のアルキル基を表し、
-はアニオンを表す。
【発明の効果】
【0014】
本発明のビスピリジニウム塩化合物は、安全性が高く、且つ低濃度で抗マラリア作用を示すことから、これを含有する抗マラリア剤はマラリア原虫類による感染症の予防及び/又は治療のために有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の抗マラリア剤について更に詳細に説明する。
【0016】
本発明の抗マラリア剤は一般式(1)、又は一般式(2)
一般式(1)
【化6】
JP0004431796B2_000007t.gif
一般式(2)
【化7】
JP0004431796B2_000008t.gif
で示されるビスピリジニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする。
【0017】
式中、2つのRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1から10のアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香環を末端に有する炭素数1から10のアルキル基を表す。該芳香環の好適な具体例として、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、クマリン環、イソクマリン環などを挙げることができる。該アルキル基は直鎖状でも分枝鎖状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。また該芳香環が有してもよい置換基として、例えば、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、トリフルオロ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、およびハロゲンなどを挙げることができる。
【0018】
は、炭素数1から20の直鎖のアルキレン基、又はそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基又は炭素数1から5のアルキレン基を両端に有し且つそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基を表す。該アルキレン基は-(CH-で表されるものが好適である。該フェニレン基は1,4-、1,3-、又は1,2-フェニレン基のいずれでもよい。また該ベンゼン環が有してもよい置換基として、例えば、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、トリフルオロ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、およびハロゲンなどを挙げることができる。
【0019】
2つのRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1から20のアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香環を末端に有する炭素数1から10のアルキル基を表す。該芳香環の好適な具体例として、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、クマリン環、イソクマリン環などを挙げることができる。該アルキル基は直鎖状又は分枝鎖状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。また該芳香環が有してもよい置換基として、例えば、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、トリフルオロ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、およびハロゲンなどを挙げることができる。
【0020】
-はアニオンを表す。該アニオンには、臭素イオン、塩素イオンなどの無機アニオン、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオン、シュウ酸アニオンおよびコハク酸アニオンなどの有機アニオンなどが包含される。
【0021】
更に本発明の抗マラリア剤は一般式(3)、一般式(4)、又は一般式(5)
一般式(3)
【化8】
JP0004431796B2_000009t.gif
一般式(4)
【化9】
JP0004431796B2_000010t.gif
一般式(5)
【化10】
JP0004431796B2_000011t.gif
で示されるビスピリジニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする。
【0022】
式中、R1は炭素数1から20の直鎖のアルキレン基、炭素数3から20の分岐したアルキレン基、そのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基又は炭素数1から5のアルキレン基を両端に有し且つそのベンゼン環に置換基を有してもよいフェニレン基を表す。該アルキレン基は-(CH-で表されるものが好適である。該フェニレン基は1,4-、1,3-、又は1,2-フェニレン基のいずれでもよい。またベンゼン環が有してもよい置換基として、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、トリフルオロ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、およびハロゲンなどを挙げることができる。
【0023】
2つ又は4つのR2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素又は炭素数1から20のアルキル基、又は置換基を有してもよい芳香環を末端に有する炭素数1から15のアルキル基を表す。該芳香環の好適な具体例として、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、クマリン環、イソクマリン環などを挙げることができる。該アルキル基は直鎖状又は分枝鎖状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。該芳香環が有してもよい置換基として、例えば、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、トリフルオロ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、およびハロゲンなどを挙げることができる。

【0024】
なお、抗マラリア活性を有する有効成分として使用することができる本発明の化合物の具体例として、以下の化合物を挙げることができる。なおこれらの化合物は新規物質である。
【0025】
1,1’-(1,6-ヘキサメチレン)ビス[4-{(n-ブチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
1,1’-(1,8-オクタメチレン)ビス[4-{(n-ブチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
1,1’-(1,10-デカメチレン)ビス[4-{(n-ブチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
1,1’-(1,12-ドデカメチレン)ビス[4-{(n-ブチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
1,1’-(1,6-ヘキサメチレン)ビス[4-{(n-ヘキシルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
1,1’-(1,8-オクタメチレン)ビス[4-{(n-ヘキシルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
1,1’-(1,10-デカメチレン)ビス[4-{(n-ヘキシルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
1,1’-(1,12-ドデカメチレン)ビス[4-{(n-ヘキシルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
1,1’-(1,6-ヘキサメチレン)ビス[4-{(n-オクチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
1,1’-(1,8-オクタメチレン)ビス[4-{(n-オクチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
1,1’-(1,10-デカメチレン)ビス[4-{(n-オクチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
1,1’-(1,12-ドデカメチレン)ビス[4-{(n-オクチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] 。
N,N’-ジメチル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) 。
N,N’-ジ-n-ブチル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) 。
N,N’-ジベンジル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) 。
N,N’-ジメチル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) 。
N,N’-ジ-n-ブチル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) 。
N,N’-ジベンジル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) 。
N,N’-ジメチル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) 。
N,N’-ジ-n-ブチル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) 。
N,N’-ジベンジル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) 。
N,N’-ジメチル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) 。
N,N’-ジ-n-ブチル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) 。
N,N’-ジベンジル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) 。
【0026】
本発明の化合物は、下記の実施例に記載した合成方法や以下に挙げた学術論文などを参照として合成することができる。下記の実施例に記載した以外の化合物も、本願明細書に記載された合成例や以下の学術論文の知見に必要に応じて適宜改変を加えて合成することが可能であり、かかる改変は当業者が成し得ることである。
1) Okazaki, K. et al., Chem. Pharm. Bull., 1997, 45, 1970-1974.
2) Maeda, T. et al., Biol. Pharm. Bull., 1998, 21, 1057-1061.
2) Maeda, T. et al., Chem. Pharm. Bull., 1999, 47, 1020-1023.
【0027】
本発明のビスピリジニウム塩化合物は、下記の実施例から明らかなように、マラリア原虫に対して現在使用されている既存の抗マラリア剤であるクロロキン、キニーネと同様にマラリア原虫増殖阻害作用を有しており、しかも、マラリア原虫に対する選択毒性の指標となる化学療法係数も上記の既存の抗マラリア剤と同等ないしそれ以上であった。よって本発明のビスピリジニウム塩化合物は毒性が少なく安全であり、抗マラリア剤として、マラリア感染の予防及び/又は治療のために有用である。またin vivoの検討においても本発明のビスピリジニウム塩化合物は、マラリア原虫増殖阻害作用と延命率の上昇を示した。
【0028】
本発明のビスピリジニウム塩化合物を抗マラリア剤として実際使用する場合、本発明のビスピリジニウム塩化合物は、ヒト又はそれ以外の哺乳類動物に対し、経口的又は非経口的(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、直腸内)に投与することができ、そして投与経路に応じた剤形、例えば、錠剤、カプセル剤、アンプル剤、散剤、顆粒剤、注射剤、点滴剤、坐剤などに製剤化することができる。
【0029】
製剤化は、それ自体既知の方法に従い、本発明のビスピリジニウム塩化合物を添加剤(例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、矯味矯臭剤、乳化剤など)と共に、所望の剤形に調製することにより行うことができる。その際に使用し得る添加剤としては、例えば、デンプン、ラクトース、シュクロース、グルコース、マンニトール、シリカ、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、炭酸カルシウム、カオリン、ベントナイト、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸カルシウム、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、界面活性剤などが挙げられる。
【0030】
本発明のビスピリジニウム塩化合物を含む製剤には、他の抗マラリア剤や、その他の薬理学的に活性な物質を含ませることもできる。
【0031】
本発明のビスピリジニウム塩化合物の1日当たりの投与量は、患者の症状、年齢、体重、医師の判断等に応じて広い範囲内で変えることができるが、一般には、成人1日当たり0.1~5000mg、好ましくは1~1000mgの範囲内で投与するのが好ましい。
【0032】
該投与量は、1日1回又は数回に分けて投与することができる。
【0033】
また、本発明の抗マラリア剤の適用対象となるマラリア原虫類は特定のものに限定されるものではなく、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵型マラリア原虫、四日熱マラリア原虫などによる感染に対して広く適用することができる。
【実施例】
【0034】
以下本発明を実施例により更に具体的に説明するが、これら実施例は単なる例示であり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0035】
以下の実施例で抗マラリア活性の評価を行なった一般式(3)に係るビスピリジニウム塩(4-6)の構造を図1に示す。そしてそれらのピリジニウム塩の合成スキームを図2に示す。更に以下の実施例で抗マラリア活性の評価を行なった一般式(1)に係るビスピリジニウム塩(11-14)の構造を図3に示す。そしてそれらのピリジニウム塩の合成スキームを図4に示す。より詳細にはこれらの化合物は以下のようにして合成した。
【0036】
N-ブチル-4-ピリジンカルボキサミド(1)の合成
n-ブチルアミン(0.73 g, 10 mmol)、dry DMF (20 mL)、イソニコチン酸(1.23 g, 10 mmol), HOBt (1.49 g, 11 mmol)、EDC (2.30 g, 12 mmol)を順番に加え、60 ℃にて1時間加熱攪拌した。反応はTLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; CH2Cl2-MeOH, 10:1, v/v) により追跡した。反応終了後、反応液をsat. NaHCO3 (50 mL) に注ぎ、AcOEt(50 mL×3) にて抽出した。有機層を水 (50 mL)、ブライン (50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥後、溶媒を減圧下溶媒留去した。得られた結晶性の残渣をTHF-シクロヘキサンから再結晶することにより、colorless plates として表題化合物(1)を得た。
Yield; 48%. Mp 47 - 47.5℃. 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 8.74 (2H, dd, J = 4.5, 1.6 Hz), 7.62 (2H, dd, J = 4.5, 1.6 Hz), 6.22 (1H, br s), 3.48 (2H, q, J = 7.3 Hz), 1.62 (2H, m), 1.42 (2H, m), 0.97 (3H, t, J = 7.3 Hz). FAB-MS m/z; 179 (MH+).
【0037】
N-ヘキシル-4-ピリジンカルボキサミド(2) の合成
n-ヘキシルアミン(1.01 g, 10 mmol) に dry DMF (20 mL)、イソニコチン酸(1.23 g, 10 mmol)、HOBt (1.49 g, 11 mmol)、EDC (2.30 g, 12 mmol) を順番に加え、室温で2.5時間攪拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; CH2Cl2-MeOH, 10:1, v/v) により反応の進行をチェックしたが、原料が消失していなかったので、60 ℃にて更に1.5時間加熱攪拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; CH2Cl2-MeOH, 10:1, v/v) により反応終了を確認した。反応終了後、反応液をsat. NaHCO3 (50 mL) に注ぎ、AcOEt(30 mL×3) にて抽出した。有機層を水 (30 mL)、ブライン (30 mL) で洗浄し、無水MgSO4で乾燥後、溶媒を減圧下溶媒留去し、得られた淡黄白色の結晶性残渣 2.40 g をフラッシュカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒; CH2Cl2-MeOH, 10:1, v/v) にて精製し、colorless plates として表題化合物(2)を得た。
Yield; 62%. Mp 56-58℃. 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 8.75 (2H, d, J = 5.9 Hz), 7.65 (2H, d, J = 5.9 Hz), 6.26 (1H, br s), 3.47 (2H, q, J = 6.9 Hz), 2.03 (2H, m), 1.63 (6H, m), 0.90 (3H, t, J = 6.9 Hz). FAB-MS m/z; 207 (MH+).
【0038】
N-オクチル-4-ピリジンカルボキサミド(3) の合成
n-オクチルアミン(1.29 g, 10 mmol)、dry DMF (20 mL)、イソニコチン酸(1.23 g, 10 mmol)、HOBt (1.49 g, 11 mmol)、EDC (2.30 g, 12 mmol)を順番に加え、60 ℃に加熱して1時間攪拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; CH2Cl2-MeOH, 10:1, v/v) により反応の進行をチェックした。反応終了後、反応液をsat. NaHCO3 (50 mL)に注ぎ、AcOEt(50 mL×4) にて抽出した。有機層を水 (50 mL)、ブライン(50 mL) で洗浄し、無水MgSO4で乾燥後、溶媒を減圧下溶媒留去し、得られた結晶性の残渣を Et2O から再結晶することにより、colorless plates として表題化合物(3)を得た。
Yield, 82%. Mp 61-62.5℃. 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 8.75 (2H, d, J = 6.0 Hz), 7.63 (2H, d, J = 6.0 Hz), 6.22 (1H, br s), 3.47 (2H, q, J = 7.1 Hz), 1.86 (2H, br s), 1.63 (2H, quin, J = 7.1 Hz), 1.30 (8H, m), 0.88 (3H, t, J = 7.1 Hz). FAB-MS m/z; 235 (MH+).
【0039】
1,1’-(1,6-ヘキサメチレン)ビス[4-{(n-ブチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] (4a) の合成
1,6-ジブロモヘキサン(97.6 mg, 0.4 mmol) 及び 1a (178 mg, 1.0 mmol) をすり付き試験管に入れ、Ar置換の後、セプタムで封管し、100 ℃で10時間加熱攪拌した。反応液が枯渇していたので反応が終了したとみなした。反応液中の結晶性固体をMeOH-AcOEtから再結晶することにより、colorless plates として表題化合物(4a)を 168 mg得た。
Yield; 70%. Mp 194-195℃. 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.27 (4H, d, J = 6.4 Hz), 8.45 (4H, d, J = 6.4 Hz), 4.65 (4H, t, J = 7.3 Hz), 3.30 (4H, t, J = 8.4 Hz), 1.93 (4H, br s), 1.55 (4H, quin, J = 7.3 Hz), 1.33 (8H, quin, J = 7.2 Hz), 0.91 (6H, t, J = 7.2 Hz). FAB-MS m/z; 519 ([M-H79Br]H+), 521 ([(M+2)-H79Br]H+).
【0040】
1,1’-(1,8-オクタメチレン)ビス[4-{(n-ブチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] (4b) の合成
1,8-ジブロモオクタン(109 mg, 0.4 mmol) 及び 1a (178 mg, 1.0 mmol) をすり付き試験管に入れ、Ar置換の後、セプタムで封管し、60 ℃で4時間加熱攪拌した。反応液が枯渇していたので反応が終了したとみなした。反応液中の結晶性固体をMeOH-AcOEtから再結晶することにより、colorless crystalline solid として表題化合物(4b)を 98.5 mg 得た。
Yield; 39%. Mp 224-225.5℃. 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.25 (4H, d, J = 6.9 Hz), 8.44 (4H, d, J = 6.9 Hz), 4.63 (4H, t, J = 7.3 Hz), 3.33 (4H, m), 1.91 (4H, br s), 1.55 (4H, quin, J = 7.3 Hz), 1.35 (4H, m), 1.28 (12H, br s), 0.91 (6H, t, J = 7.4 Hz). FAB-MS m/z; 547 ([M-H79Br]H+), 549 ([(M+2)-H79Br]H+).
【0041】
1,1’-(1,10-デカメチレン)ビス[4-{(n-ブチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] (4c) の合成
1,10-ジブロモデカン(120 mg, 0.4 mmol) 及び 1a (178 mg, 1.0 mmol) をすり付き試験管に入れ、Ar置換の後、セプタムで封管し、60 ℃で 19 時間加熱攪拌した。その後 dry DMF 0.5 mLを追加し、60℃で 更に 28 時間加熱撹拌した。反応終了後、反応液にAcOEtを加え、析出してきた白色結晶性固体をろ取した。この固体をMeOH-AcOEtから再結晶し、colorless crystalline solid として表題化合物(4c)を 200 mg 得た。
Yield; 76%. Mp 154-155.5℃. 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.24 (4H, d, J = 6.8 Hz), 8.42 (4H, d, J = 6.8 Hz), 4.62 (4H, t, J = 7.3 Hz), 3.33 (4H, m), 1.89 (4H, br s), 1.53 (4H, quin, J = 7.3 Hz), 1.32 (4H, m), 1.24 (12H, br s), 0.89 (6H, t, J = 7.3 Hz). FAB-MS m/z; 575 ([M-H79Br]H+), 577 ([(M+2)-H79Br]H+).
【0042】
1,1’-(1,12-ドデカメチレン)ビス[4-{(n-ブチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] (4d) の合成
1,12-ジブロモドデカン(131 mg, 0.4 mmol)、1a (178 mg, 1.0 mmol)をすり付き試験管に入れ、Ar置換後、セプタムで封管し、80℃で10 時間加熱攪拌した。反応液が枯渇していたので反応が終了したとみなした。反応液中の結晶性固体をMeOH-AcOEtから再結晶し、colorless crystalline solid として表題化合物(4d)を 265 mg得た。
Yield; 97%. Mp 184-185℃. 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ: 9.25 (4H, d, J = 6.8 Hz), 8.44 (4H, d, J = 6.8 Hz), 4.63 (4H, t, J = 7.4 Hz), 3.30 (4H, t, J = 8.9 Hz), 1.91 (4H, m), 1.55 (4H, quin, J = 7.4 Hz), 1.28 (20H, m), 0.91 (6H, t, J = 7.3 Hz). FAB-MS m/z; 603 ([M-H79Br]H+), 605 ([(M+2)-H79Br]H+).
【0043】
1,1’-(1,6-ヘキサメチレン)ビス[4-{(n-ヘキシルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] (5a) の合成
1,6-ジブロモヘキサン(122 mg, 0.5 mmol) 及び 1b (248 mg, 1.2 mmol) をすり付き試験管に入れ、Ar置換の後、セプタムで封管し、80℃で11 時間加熱攪拌した。反応液が枯渇していたので反応が終了したとみなした。反応液中の結晶性固体をMeOH-AcOEtから再結晶し、colorless needles として表題化合物(5a)を 301 mg得た。
Yield; 92%. Mp 203.5-205℃. 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.25 (4H, d, J = 6.7 Hz), 8.44 (4H, d, J = 6.7 Hz), 4.64 (4H, t, J = 7.4 Hz), 3.31 (8H, m), 1.92 (4H, m), 1.55 (4H, m), 1.29 (12H, m), 0.87 (6H, t, J = 6.8 Hz). FAB-MS m/z; 575 ([M-H79Br]H+), 577 ([(M+2)-H79Br]H+).
【0044】
1,1’-(1,8-オクタメチレン)ビス[4-{(n-ヘキシルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] (5b) の合成
1,8-ジブロモオクタン(109 mg, 0.4 mmol) 及び 1b (206.3 mg, 1.0 mmol)をすり付き試験管に入れ、Ar置換の後、セプタムで封管し、80℃で15 時間加熱攪拌した。反応液が枯渇していたので反応が終了したとみなした。反応液中の結晶性固体をMeOH-AcOEtから再結晶し、colorless prisms として表題化合物(5b)を 226 mg 得た。
Yield; 83%. Mp 217-218.5℃. 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.26 (4H, d, J = 6.4 Hz), 8.45 (4H, d, J = 6.4 Hz), 4.64 (4H, t, J = 7.3 Hz), 3.32 (4H, m), 1.92 (4H, br s), 1.55 (4H, m), 1.29 (16H, m), 0.87 (6H, t, J = 6.6 Hz). FAB-MS m/z; 603 ([M-H79Br]H+), 605 ([(M+2)-H79Br]H+).
【0045】
1,1’-(1,10-デカメチレン)ビス[4-{(n-ヘキシルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] (5c) の合成
1,10-ジブロモデカン(120 mg, 0.4 mmol) 及び 1b (206 mg, 1.0 mmol) をすり付き試験管に入れ、Ar置換の後、セプタムで封管し、80℃で 9 時間加熱攪拌した。反応液が枯渇していたので反応が終了したとみなした。反応液中の結晶性固体をMeOH-AcOEtから再結晶し、colorless needles として表題化合物(5c)を 210 mg 得た。
Yield; 74%. Mp 176-177.5℃. 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.25 (4H, d, J = 6.8 Hz), 8.43 (4H, d, J = 6.8 Hz), 4.63 (4H, t, J = 7.3 Hz), 1.91 (4H, br s), 1.55 (4H, m), 1.27 (26H, m), 0.87 (6H, t, J = 6.8 Hz). FAB-MS m/z; 631 ([M-H79Br]H+), 633 ([(M+2)-H79Br]H+).
【0046】
1,1’-(1,12-ドデカメチレン)ビス[4-{(n-ヘキシルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド] (5d) の合成
1,12-ジブロモドデカン(131 mg, 0.4 mmol) 及び 1b (206.2 mg, 1.0 mmol) をすり付き試験管に入れ、Ar置換後、セプタムで封管し,80℃で 14 時間加熱攪拌した。反応液が枯渇していたので反応が終了したとみなした。反応液中の結晶性固体をMeOH-AcOEtから再結晶し、colorless crystalline solid として表題化合物(5d)を260 mgを得た。
Yield; 88%. Mp 151-152.5℃. 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.25 (4H, d, J = 6.8 Hz), 8.43 (4H, d, J = 6.8 Hz), 4.63 (4H, t, J = 7.3 Hz), 3.30 (4H, m), 1.90 (4H, br s), 1.55 (4H, m), 1.26 (28H, m), 0.87 (6H, t, J = 6.8 Hz). FAB-MS m/z; 659 ([M-H79Br]H+), 661 ([(M+2)-H79Br]H+).
【0047】
1,1’-(1,6-ヘキサメチレン)ビス[4-{(n-オクチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド](6a) の合成
1,6-ジブロモヘキサン(97.6 mg, 0.4 mmol) 及び 1c (234 mg, 1.0 mmol) をすり付き試験管に入れ、Ar置換後、セプタムで封管し、80℃で 10 時間加熱攪拌した。反応液が枯渇していたので反応が終了したとみなした。反応液中の結晶性固体をMeOH-AcOEtから再結晶し、colorless scales として表題化合物(6a)を 155 mg得た。
Yield; 64%. Mp 205-207℃. 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.27 (4H, d, J = 6.3 Hz), 8.45 (4H, d, J = 6.3 Hz), 4.65 (4H, t, J = 7.3 Hz), 3.29 (8H, t, J = 8.1 Hz), 1.92 (4H, br s), 1.55 (4H, m), 1.26 (20H, m), 0.86 (6H, t, J = 7.0 Hz). FAB-MS m/z; 631 ([M-H79Br]H+), 633 ([(M+2)-H79Br]H+).
【0048】
1,1’-(1,8-オクタメチレン)ビス[4-{(n-オクチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド](6b) の合成
1,8-ジブロモオクタン(109 mg, 0.4 mmol) 及び 1c (234 mg, 1.0 mmol) をすり付き試験管に入れ、Ar置換後、セプタムで封管し、80℃で 15 時間加熱攪拌した。反応液が枯渇していたので反応が終了したとみなした。反応液中の結晶性固体をMeOH-AcOEtから再結晶し、colorless scales として表題化合物(6b)を 234 mg 得た。
Yield; 79%. Mp 234.5-235.5℃. 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.25 (4H, d, J = 6.6 Hz), 8.44 (4H, d, J = 6.6 Hz), 4.63 (4H, t, J = 7.6 Hz), 3.29 (8H, m), 1.90 (4H, br s), 1.55 (4H, m), 1.27 (30H, m), 0.86 (6H, t, J = 7.6 Hz). FAB-MS m/z; 659 ([M-H79Br]H+), 661 ([(M+2)-H79Br]H+).
【0049】
1,1’-(1,10-デカメチレン)ビス[4-{(n-オクチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド](6c) の合成
1,10-ジブロモデカン(120 mg, 0.4 mmol) 及び 1c (234 mg, 1.0 mmol) をすり付き試験管に入れ、Ar置換後、セプタムで封管し、60℃で 14 時間加熱攪拌した。反応液が枯渇していたので反応が終了したとみなした。反応液中の結晶性固体をMeOH-AcOEtから再結晶し、colorless crystalline solid として表題化合物(6c)を 298 mg得た。
Yield; 97%. Mp 134.5-136℃. 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.26 (4H, d, J = 6.3 Hz), 8.44 (4H, d, J = 6.3 Hz), 4.64 (4H, t, J = 7.3 Hz), 1.91 (4H, br s), 1.55 (4H, t, J = 6.4 Hz), 1.26 (16H, br s), 0.86 (6H, t, J = 6.6 Hz). FAB-MS m/z; 687 ([M-H79Br]H+), 689 ([(M+2)-H79Br]H+).
【0050】
1,1’-(1,12-ドデカメチレン)ビス[4-{(n-オクチルアミノ)カルボニル}ピリジニウム ブロマイド](6d) の合成
1,12-ジブロモドデカン(131 mg, 0.4 mmol) 及び 1c (234 mg, 1.0 mmol) をすり付き試験管に入れ、Ar置換後、セプタムで封管し、80℃で 10 時間加熱攪拌した。反応液が枯渇していたので反応が終了したとみなした。反応液中の結晶性固体をMeOH-AcOEtから再結晶し、colorless crystalline solid として表題化合物(6d)を 297 mgを得た。
Yield; 93%. Mp 162.5-163℃. 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.24 (4H, d, J = 6.5 Hz), 8.43 (4H, d, J = 6.5 Hz), 4.65 (4H, t, J = 7.3 Hz), 3.33 (12H, m), 1.91 (4H, br s), 1.55 (4H, m), 1.22 (28H, m), 0.86 (6H, t, J = 6.8 Hz). FAB-MS m/z; 715 ([M-H79Br]H+), 717 ([(M+2)-H79Br]H+).
【0051】
N,N’-ジメチル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) (11a) の合成
N,N’-ジメチル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイルピリジン) (9a) (532 mg, 1.50 mmol) にdry DMF 1.0 mL、1-ブロモヘキサン(0.42 mL, 3.00 mmol) を加え、100℃で11時間加熱撹拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 3:2, v/v) で原料消失を確認し、反応終了とした。反応終了後、反応混合物を AcOEt-MeOH でトリチュレートし、その不溶部を AcOEt-MeOH から再結晶することにより、無色粒状晶として表題化合物(11a)を 589 mg (58%) 得た。Mp 222.5-225.5℃.
IR (KBr) cm-1; 1627 (C=O). H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.19 (br d, 16 H, J = 6.5 Hz, syn- and anti-pyridyl-2,6-H), 8.21-8.15 (m, 16 H, syn- and anti-pyridyl-3,5-H), 4.61 (br t, 16 H, J = 7.2 Hz, syn- and anti-N+-CH2), 3.49, 3.41, 3.12 and 3.10 (each t, 16 H, J = 7.2 Hz, syn- and anti-CH2CH2N), 3.03, 2.99, 2.87 and 2.84 (each s, 24 H, syn- and anti-CH3N), 1.98-1.88 (m, 16 H, alkyl-H), 1.68-0.98 (m, 80 H, alkyl-H), 0.87 (br t, 24 H, J = 7.2 Hz, 8×CH3). FAB-MS m/z: 605 ([(M+2)-H79Br]H+), 603 ([M-H79Br]H+). IR (KBr) cm-1; 1627.
Anal. Calcd. for C32H52Br2N4O2・1/10HBr: C, 55.49; H, 7.58; N, 8.09. Found: C, 55.62; H, 7.44; N, 8.03.
【0052】
N,N’-ジ-n-ブチル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) (11b) の合成
N,N’-ジ-n-ブチル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイルピリジン)(9b) (431 mg, 0.98 mmol)にdry DMF 0.2 mL、1-ブロモヘキサン(0.28 mL, 1.96 mmol)を加え、100℃で7時間加熱撹拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 5:1, v/v) で原料消失を確認し、反応終了とした。反応終了後、反応混合物に対して熱AcOEt でトリチュレートを繰り返すことにより、その不溶部である表題化合物(11b)を無色粒状晶として662.3 mg (88%) 得た。このものは数種類の異なるsolvent system を用いたTLC において、全て single spot を与えた。Mp 103-105℃.
IR (KBr) cm-1; 1639 (C=O). H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.18 (br d, 16 H, J = 6.5 Hz, syn- and anti-pyridyl-2,6-H), 8.18 and 8.15 (each br d, 16 H, J = 6.5 Hz, syn- and anti-pyridyl-3,5-H), 4.61 (br t, 16 H, J = 7.5 Hz, syn- and anti-N+-CH2), 3.45 (br t, 16 H, J = 7.5 Hz, syn- and anti-NCH2), 3.12-2.99 (m, 16 H, alkyl-H), 1.98-1.88 (m, 16 H, alkyl-H), 1.69-1.04 (m, 112 H, alkyl-H), 0.94 (br t, 12 H, J = 7.5 Hz, 4×CH3) , 0.86 (br t, 24 H, J = 7.5 Hz, 8×CH3) , 0.75 (br t, 12 H, J = 7.5 Hz, 4×CH3).
Anal. Calcd. for C38H64Br2N4O2・2/5HBr: C, 56.97; H, 8.10; N, 6.99. Found: C, 56.95; H, 8.11; N, 6.92.
【0053】
N,N’-ジベンジル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) (11c) の合成
N,N’-ジベンジル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイルピリジン) (9c) (478 mg, 0.94 mmol) にdry DMF 0.6 mL、1-ブロモヘキサン(0.30 mL, 2.1 mmol)を加え、100℃で6時間加熱撹拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 5:2, v/v) で原料消失を確認し、反応終了とした。反応終了後、反応混合物に対して熱AcOEt でトリチュレートを繰り返すことにより、その不溶部である表題化合物(11c)を無色粒状晶として515.9 mg (66%) 得た。このものは数種類の異なるsolvent system を用いたTLC において、全て single spot を与えた。Mp 166.5-167.5℃.
IR (KBr) cm-1; 1640 (C=O). H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.20, 9.14 (each br d, 16 H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-2,6-H), 8.30-8.10 (m, 16 H, syn- and anti-pyridyl-3,5-H), 7.41-7.18 (m, 40 H, syn- and anti-phenyl-H), 4.73 and 4.69 (each br s, 8 H, syn- or anti-benzyl-H), 4.61 and 4.56 (each br t, 16 H, J = 7.5 Hz, syn- and anti-N+-CH2), 4.41 and 4.38 (each br s, 8 H, syn- or anti-benzyl-H), 3.30-2.92 (m, 16 H, alkyl-H), 2.03-1.82 (m, 16 H, alkyl-H), 1.64-1.03 (m, 16 H, alkyl-H), 0.86 (m, 24 H, 8×CH3). FAB-MS m/z: 757 ([(M+2)-H79Br]H+), 755 ([M-H79Br]H+).
Anal. Calcd. for C44H60Br2N4O2・1/8HBr: C, 62.40; H, 7.16; N, 6.62. Found: C, 62.59; H, 7.00; N, 6.70.
【0054】
N,N’-ジメチル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) (12a) の合成
N,N’-ジメチル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイルピリジン) (9a) (709 mg, 2.00 mmol) にdry DMF 0.8 mL、1-ブロモオクタン(0.70 mL, 4.00 mmol)を加え、100℃で14時間加熱撹拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 3:2, v/v) で原料消失を確認し、反応終了とした。反応終了後、反応混合物を AcOEt-MeOH でトリチュレートし、その不溶部を AcOEt-MeOH から再結晶することにより、無色粒状晶として表題化合物(12a)を 866 mg (59%) 得た。Mp 136-137℃.
IR (KBr) cm-1; 1631 (C=O). H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.20 (br d, 16H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-2,6-H), 8.20 and 8.18 (each br d, 16H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-3,5-H), 4.61 (br t, 16H, J = 7.2 Hz, syn- and anti-N+-CH2), 3.49, 3.42, 3.12 and 3.10 (each t, 16H, J = 7.2 Hz, syn- and anti-CH2CH2N), 3.03, 2.99, 2.87 and 2.84 (each s, 24H, syn- and anti-CH3N), 1.98-1.88 (m, 16H, alkyl-H), 1.69-0.98 (m, 112H, alkyl-H), 0.86 (br t, 24H, J = 7.2 Hz, 8×CH3). FAB-MS m/z: 661 ([(M+2)-H79Br]H+), 659 ([M-H79Br]H+).
Anal. Calcd. for C36H60Br2N4O2: C, 58.38; H, 8.16; N, 7.56. Found: C, 58.16; H, 7.91; N, 7.55.
【0055】
N,N’-ジ-n-ブチル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) (12b) の合成
N,N’-ジ-n-ブチル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイルピリジン) (9b) (147 mg, 0.34 mmol) にdry DMF 0.3 mL、1-ブロモオクタン(0.12 mL, 0.68 mmol) を加え、100℃で15時間撹拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 10:1, v/v) で原料消失を確認し、反応終了とした。反応終了後、反応混合物に対して熱 AcOEt 及び 熱 MeOHでトリチュレートを繰り返すことにより、その不溶部である表題化合物(12b)を無色粒状晶として 204 mg (73%) 得た。このものは数種類の異なるsolvent system を用いたTLC において、全て single spot を与えた。Mp 153-154.5℃.
IR (KBr) cm-1; 1640 (C=O). H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.17 (br d, 16H, J = 6.8 Hz, syn- and anti-pyridyl-2,6-H), 8.17, 8.18 and 8.15 (each br d, 16H, J = 6.8 Hz, syn- and anti-pyridyl-3,5-H), 4.60 (br t, 16H, J = 7.2 Hz, syn- and anti-N+-CH2), 3.48-3.40 (m, 16H, alkyl-H), 3.12-3.00 (m, 16H, alkyl-H), 1.98-1.88 (m, 16H, alkyl-H), 1.68-1.01 (m, 144H, alkyl-H), 0.94 and 0.93 (each t, 12H, J = 7.2 Hz, 4×CH3), 0.85 (br t, 24H, J = 7.2 Hz, 8×CH3), 0.74 (br t, 12H, J = 7.2 Hz, 4×CH3). FAB-MS m/z: 745 ([(M+2)-H79Br]H+), 743 ([M-H79Br]H+).
Anal. Calcd. for C42H72Br2N4O2・1/3HBr: C, 59.22; H, 8.56; N, 6.58. Found: C, 59.29; H, 8.57; N, 6.22.
【0056】
N,N’-ジベンジル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) (12c) の合成
N,N’-ジベンジル-N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイルピリジン) (9c) (500 mg, 0.99 mmol) にdry DMF 0.2 mL、1-ブロモオクタン(0.38 mL, 2.2 mmol)を加え、100℃で6時間加熱撹拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 5:1, v/v) で原料消失を確認し、反応終了とした。反応終了後、反応混合物に対して熱 AcOEtでトリチュレートを繰り返すことにより、その不溶部である表題化合物(12c)を無色粒状晶として 731 mg (83%) 得た。このものは数種類の異なるsolvent system を用いたTLC において、全て single spot を与えた。Mp 178-181℃.
IR (KBr) cm-1; 1637 (C=O). H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.21 and 9.15 (each br d, 16H, J = 6.7 Hz, syn- and anti-pyridyl-2,6-H), 8.28, 8.24, 8.21 and 8.18 (each d, 16H, J = 6.7 Hz, syn- and anti-pyridyl-3,5-H), 7.40-7.20 (m, 40H, syn- and anti-phenyl-H), 4.73 and 4.69 (each br s, 8H, syn- or anti-benzyl-H), 4.61 and 4.56 (each br t, 16H, J = 7.5 Hz, syn- and anti-N+-CH2), 4.42 and 4.39 (each br s, 8H, syn- or anti-benzyl-H), 3.30, 3.26, 3.04 and 2.97 (each t, 16H, J = 7.5 Hz, syn- and anti-CH2CH2N), 1.99-1.84 (m, 16H, alkyl-H), 1.63-1.43 (m, 16H, alkyl-H), 1.36-1.18 (m, 80H, alkyl-H), 1.14-0.99 (m, 16H, alkyl-H), 0.85 (br t, 24H, J = 7.5 Hz, 8×CH3). FAB-MS m/z: 815 ([(M+4)-H79Br]H+), 813 ([(M+2)-H79Br]H+), 811 ([M-H79Br]H+).
Anal. Calcd. for C48H68Br2N4O2・1/4HBr: C, 63.14; H, 7.53; N, 6.14. Found: C, 63.19; H, 7.39; N, 6.04.
【0057】
N,N’-ジメチル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) (13a) の合成
N,N’-ジメチル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイルピリジン) (10a) (408 mg, 1.07 mmol) に1-ブロモヘキサン(0.30 mL, 2.15 mmol)を加え、100℃で5時間加熱撹拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 5:1, v/v) で原料消失を確認し、反応終了とした。反応終了後、反応混合物を AcOEt-MeOH でトリチュレートし、その不溶部を AcOEt-MeOH から再結晶することにより、無色粒状晶として表題化合物(13a)を 522 mg (68%) 得た。Mp 30-31℃.
IR (KBr) cm-1; 1632 (C=O). H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.19 (br d, 16H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-2,6-H), 8.18 (br d, 16H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-3,5-H), 4.61 (br t, 16H, J = 7.2 Hz, syn- and anti-N+-CH2), 3.47 and 3.42 (each t, 8H, J = 7.5 Hz, syn- or anti-CH2CH2N), 3.10 and 3.08 (each br t, 8H, J = 7.5 Hz, syn- or anti-CH2CH2N), 3.01, 3.00, 2.86 and 2.85 (each s, 24H, syn- and anti-CH3N), 1.99-1.87 (m, 16H, alkyl-H), 1.65-1.44 (m, 16H, alkyl-H), 1.39-0.99 (m, 80H, alkyl-H), 0.87 (br t, 24H, J = 7.5 Hz, 8×CH3). FAB-MS m/z: 633 ([(M+2)-H79Br]H+), 631 ([M-H79Br]H+).
Anal. Calcd. for C34H56Br2N4O2・1/4H2O: C, 56.94; H, 7.94; N, 7.81. Found: C, 56.91; H, 7.67; N, 7.79.
【0058】
N,N’-ジ-n-ブチル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) (13b) の合成
N,N’-ジ-n-ブチル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイルピリジン) (10b) (420 mg, 0.90 mmol)に1-ブロモヘキサン(0.29 mL, 2.10 mmol) を加え、100℃で一晩撹拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 5:2, v/v) で原料消失を確認し、反応終了とした。反応終了後、反応混合物に対して熱 AcOEtでトリチュレートを繰り返すことにより、その不溶部である表題化合物(13b)を無色粒状晶として 670 mg (93%) 得た。このものは数種類の異なるsolvent system を用いた TLC において、全て single spot を与えた。Mp 122-123℃.
IR (KBr) cm-1; 1636 (C=O). H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.18 (br d, 16H, J = 6.8 Hz, syn- and anti-pyridyl-2,6-H), 8.19-8.13 (m, 16H, syn- and anti-pyridyl-3,5-H), 4.61 (br t, 16H, J = 7.2 Hz, syn- and anti-N+-CH2), 3.47-3.39 (m, 16H, alkyl-H), 3.10-3.01 (m, 16H, alkyl-H), 1.98-1.86 (m, 16H, alkyl-H), 1.68-1.02 (m, 128H, alkyl-H), 0.94 (br t, 12H, J = 7.2 Hz, 4×CH3) , 0.86 (br t, 24H, J = 7.2 Hz, 8×CH3) , 0.74 (br t, 12H, J = 7.2 Hz, 4×CH3). FAB-MS m/z: 719 ([(M+4)-H79Br]H+), 717 ([(M+2)-H79Br]H+), 715 ([M-H79Br]H+).
Anal. Calcd. for C40H68Br2N4O2・1/7HBr: C, 59.43; H, 8.50; N, 6.93. Found: C, 59.66; H, 8.26; N, 6.80.
【0059】
N,N’-ジベンジル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-ヘキシルピリジニウム ブロマイド) (13c) の合成
N,N’-ジベンジル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイルピリジン) (10c) (540 mg, 1.01 mmol) にdry AcOH 1.0 mL、1-ブロモヘキサン(0.28 mL, 2.02 mmol)を加え、100℃で5時間加熱撹拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 5:1, v/v) で原料消失を確認し、反応終了とした。反応終了後、反応混合物に対して熱 AcOEtでトリチュレートを繰り返すことにより、その不溶部である表題化合物(13c)を無色粒状晶として 804 mg (92%) 得た。このものは数種類の異なるsolvent system を用いたTLC において、全て single spot を与えた。Mp 86.5-87.5℃.
IR (KBr) cm-1; 1637 (C=O). H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.20 and 9.13 (each br d, 16H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-2,6-H), 8.29, 8.26, 8.20 and 8.17 (each d, 16H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-3,5-H), 7.40-7.21 (m, 40H, syn- and anti-phenyl-H), 4.73 and 4.72 (each br s, 8H, syn- or anti-benzyl-H), 4.62 and 4.56 (each br t, 16H, J = 7.5 Hz, syn- and anti-N+-CH2), 4.41 and 4.40 (each br s, 8H, syn- or anti-benzyl-H), 3.33-3.23 (m, 8H, syn- or anti-CH2CH2N), 3.07-2.97 (m, 8H, syn- or anti-CH2CH2N), 1.98-1.85 (m, 16H, alkyl-H), 1.58-1.33 (m, 16H, alkyl-H), 1.32-0.92 (m, 80H, alkyl-H), 0.86 (br t, 24H, J = 7.5 Hz, 8×CH3). FAB-MS m/z: 785 ([(M+2)-H79Br]H+), 783 ([M-H79Br]H+).
Anal. Calcd. for C46H64Br2N4O2・1/2HBr : C, 61.03; H, 7.18; N, 6.19. Found : C, 61.16; H, 7.20; N, 6.15.
【0060】
N,N’-ジメチル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) (14a) の合成
N,N’-ジメチル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイルピリジン) (10a) (318 mg, 0.83 mmol) に1-ブロモオクタン(0.29 mL, 1.66 mmol)を加え、100℃で3時間加熱撹拌したした段階では、TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 5:1, v/v) 上でまだ原料が残っていたため、dry DMF 0.10 mL、1-ブロモオクタン(0.9 mL) を加え、さらに12時間加熱撹拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 5:1, v/v) で原料消失を確認し、反応終了とした。反応終了後、反応混合物に対して熱 AcOEtでトリチュレートを繰り返すことにより、その不溶部である表題化合物(14a)を無色粒状晶として 465 mg (73%) 得た。このものは数種類の異なるsolvent system を用いたTLC において、全て single spot を与えた。Mp 201-203℃.
IR (KBr) cm-1; 1635 (C=O). H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.18 (br d, 16H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-2,6-H), 8.19 and 8.16 (br d, 16H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-3,5-H), 4.60 (br t, 16H, J = 7.2 Hz, syn- and anti-N+-CH2), 3.47 and 3.44 (each t, 8H, J = 7.5 Hz, syn- or anti-CH2CH2N), 3.10 and 3.08 (each br t, 8H, J = 7.5 Hz, syn- or anti-CH2CH2N), 3.01, 3.00, 2.86 and 2.85 (each s, 24H, syn- and anti-CH3N), 1.97-1.87 (m, 16H, alkyl-H), 1.64-1.41 (m, 16H, alkyl-H), 1.37-0.98 (m, 112H, alkyl-H), 0.86 (br t, 24H, J = 7.5 Hz, 8×CH3). FAB-MS m/z: 691 ([(M+4)-H79Br]H+), 689 ([(M+2)-H79Br]H+), 687 ([M-H79Br]H+).
Anal. Calcd. for C38H64Br2N4O2・1/2H2O: C, 58.68; H, 8.42; N, 7.20. Found: C, 58.63; H, 8.14; N, 7.23.
【0061】
N,N’-ジ-n-ブチル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) (14b) の合成
N,N’-ジ-n-ブチル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイルピリジン) (10b) (474 mg, 1.01 mmol) にdry DMF 0.1 mL、1-ブロモオクタン(0.35 mL, 2.03 mmol)を加え、100℃で6時間加熱撹拌した段階では、TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 5:1, v/v) 上でまだ原料が残っていたため、dry DMF 0.10 mL、1-ブロモオクタン(0.1 mL) を加え、さらに3時間加熱撹拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 5:1, v/v) で原料消失を確認し、反応終了とした。反応終了後、反応混合物に対して熱 AcOEtでトリチュレートを繰り返すことにより、その不溶部である表題化合物(14b)を無色粒状晶として 661 mg (77%) 得た。このものは数種類の異なるsolvent system を用いたTLC において、全て single spot を与えた。Mp 130-131℃.
IR (KBr) cm-1; 1636 (C=O). H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.18 (br d, 16H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-2,6-H), 8.18 (br d, 16H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-3,5-H), 4.61 (br t, 16H, J = 7.5 Hz, syn- and anti-N+-CH2), 3.51-3.33 (m, 16H, alkyl-H), 3.10-3.00 (m, 16H, alkyl-H), 1.98-1.88 (m, 16H, alkyl-H), 1.65-1.53 (m, 16H, alkyl-H), 1.49-1.39 (m, 16H, alkyl-H), 1.38-1.15 (m, 112H, alkyl-H), 1.08 (br quin, 16H, J = 7.5 Hz, alkyl-H), 0.94 (br t, 12H, J = 7.5 Hz, 4×CH3) , 0.86 (br t, 24H, J = 7.5 Hz, 8×CH3) , 0.74 (br t, 12H, J = 7.5 Hz, 4×CH3). FAB-MS m/z: 773 ([(M+2)-H79Br]H+), 771 ([M-H79Br]H+).
Anal. Calcd. for C44H76Br2N4O2・1/13HBr: C, 61.51; H, 8.93; N, 6.52. Found: C, 61.62; H, 8.66; N, 6.50.
【0062】
N,N’-ジベンジル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイル-1-n-オクチルピリジニウム ブロマイド) (14c) の合成
N,N’-ジベンジル-N,N’-オクタメチレンビス(4-カルバモイルピリジン) (10c) (477 mg, 0.89 mmol) にdry DMF 0.5 mL、1-ブロモオクタン(0.31 mL, 1.78 mmol)を加え、100℃で14時間加熱撹拌した。TLC (Merck, Kieselgel F254, Solvent system; AcOEt-MeOH, 5:1, v/v) で原料消失を確認し、反応終了とした。反応終了後、反応混合物に対して熱 AcOEtでトリチュレートを繰り返すことにより、その不溶部である表題化合物(14c)を無色粒状晶として 630 mg (77%) 得た。このものは数種類の異なるsolvent system を用いたTLC において、全て single spot を与えた。Mp 143-145℃.
IR (KBr) cm-1; 1647 (C=O). H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.24 and 9.17 (each br d, 16H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-2,6-H), 8.29, 8.27, 8.21 and 8.19 (each d, 16H, J = 6.0 Hz, syn- and anti-pyridyl-3,5-H), 7.40-7.21 (m, 40H, syn- and anti-phenyl-H), 4.74 and 4.72 (each br s, 8H, syn- or anti-benzyl-H), 4.64 and 4.57 (each br t, 16H, J = 7.2 Hz, syn- and anti-N+-CH2), 4.42 and 4.41 (each br s, 8H, syn- or anti-benzyl-H), 3.26-3.35 (m, 8H, alkyl-H), 3.08-2.98 (m, 8H, alkyl-H), 1.99-1.85 (m, 16H, alkyl-H), 1.60-0.99 (m, 128H, alkyl-H), 0.85 (br t, 24H, J = 7.2 Hz, 8×CH3). FAB-MS m/z: 845 ([(M+4)-H79Br]H+), 841 ([(M+2)-H79Br]H+), 839 ([M-H79Br]H+).
Anal. Calcd. for C50H72Br2N4O2・1/10HBr: C, 64.64; H, 7.82; N, 6.03. Found: C, 64.82; H, 7.58; N, 6.00.
【0063】
合成した上記化合物について、以下の方法により抗マラリア作用のin vitro評価を行なった。
【0064】
(1)熱帯熱マラリア原虫の培養
マラリア原虫として熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)FCR-3株(ATCC-30932)を用い、培地として濾過滅菌した RPMI 1640 培地(pH 7.4,ヒト血清 10% 添加)を用いて、酸素濃度 5.0%、二酸化炭素濃度 5.0%、窒素濃度 90%、温度 37 ℃ の条件で培養を行なった。ヘマトクリット値(赤血球浮遊液中に占める赤血球の体積の割合)は 5.0% とし、培養開始時の熱帯熱マラリア原虫の初期感染率は 0.3% とした。24 穴培養プレートを用いて培地を交換(培地交換は感染率が1%を超えているときに交換)し、感染率 2.0 ‐ 3.5% で植え継ぎを行なった。感染率は薄層塗抹標本を作成し、Diff-Quik 染色を行なった後、顕微鏡(油浸,1,000 x)下で計測し、マラリア原虫感染率を下記式により算出した。
マラリア原虫感染率(%)={(感染赤血球数)/(総赤血球数)}×100
【0065】
(2)マラリア原虫増殖阻害スクリーニング試験
培養したマラリア原虫感染赤血球を遠心分離で集め、血清を含む培地(RPMI(+)1640培地)で洗浄を行なった後、非感染赤血球を加え、初期感染率を0.3% とした。この時のヘマトクリット値は 3.0% とした。各サンプルは、滅菌水、又はジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して所定濃度の試験液とした。
【0066】
24 穴培養プレートに試験液を 5 μL ずつ加え、1 化合物について 2 又は 3 回の試験を行った。コントロールは滅菌水又は DMSO を 5 μL/ウェルを加えた。つぎに、予め所定濃度に調整した熱帯熱マラリア原虫培養液を静かにピペッティングを行ない、培地に一様に懸濁させ 995 μL ずつ各ウェルに加えた。培養プレートをインキュベーター中(酸素濃度 5.0%、二酸化炭素濃度 5.0%、窒素濃度 90%)で 72 時間培養した後、それぞれのウェルについて薄層塗抹標本を作成し、Diff-Quik 染色した後、顕微鏡下で観察し、試験液添加群及びコントロール群のマラリア原虫感染率を算出した。上記で求めたマラリア原虫感染率から、次式によって増殖率を算出し、50% 増殖阻害濃度(IC50)を求めた。
増殖率(%)={(b-a)/(c-a)}×100
〔式中、aは初期感染率、bは試験液添加時の感染率、cはコントロールの感染率を示す〕
【0067】
(3)マウス FM3A 細胞増殖阻害試験
マウス乳癌由来 FM3A 細胞の野生株である F28-7 株を用いた。培地は ES 培地に非働化した胎児牛血清を 2% となるように添加し、二酸化炭素濃度 5.0%、37 ℃ で培養した。この条件下での FM3A 細胞の倍加時間は約 12 時間であった。前培養を行ない、対数増殖期に入った細胞を 5.0×104 cells/ml となるように培地で希釈し、サンプルはマラリア活性測定時に調製したものを用いて、24 穴培養プレートにサンプル溶液を 5 μL ずつ加えた(培地などを加えた最終濃度は 1×10-4~1×10-9 M)。1 化合物について 2 又は 3 回の試験を行ない、コントロールとして滅菌水又は DMSO を 5 μL 加えたウェルを同時に用意した。つぎに、用意しておいた培養細胞浮遊液を 995 μL ずつ加え、静かにピペッティングして培地に一様に懸濁させた。48 時間培養した後、それぞれのウェルについて細胞数を血球計数板を用いて正立顕微鏡で計数し、下記式により増殖率を算出して 50% 増殖阻害率(IC50)を算出した。
増殖率(%)={(C-A)/(B-A)}×100
〔式中、A は初期細胞数、B は 2 日後のコントロールの細胞数、C はサンプル添加した 2 日後の細胞数を示す〕
【0068】
細胞増殖活性は、サンプルを添加したウェルの細胞数及びコントロールの細胞数から算出し、サンプルの細胞毒性を評価した。熱帯熱マラリア原虫並びにマウス FM3A 細胞に対するサンプルの各々の IC50 値からサンプルの抗マラリア作用を評価し、且つマラリア原虫に対する選択毒性の指標として用いられる化学療法係数を下記式により算出して薬効判定を行なった。
化学療法係数=(マウス FM3A 細胞に対するサンプルの IC50 値)÷(熱帯熱マラリア原虫に対するサンプルの IC50 値)
【0069】
【表1】
JP0004431796B2_000012t.gif

【0070】
【表2】
JP0004431796B2_000013t.gif

【0071】
表1、2の結果から明らかなように、本発明に係る化合物は優れたマラリア原虫増殖阻害活性と高い化学療法係数を示した。特に化合物4d、5c、12a、12b、12cは高い抗マラリア活性を示し、選択毒性の指標となる化学療法係数についても、クロロキンとキニーネに匹敵する高い値を示した。そして化合物4d、5c、12a、12b、12cについては更に、in vivoでの抗マラリア作用の評価を行なった。in vivoの評価方法は以下のとおりである。
【0072】
(1)急性毒性試験
体重25~30 gの 4~5 週齢雄性 ICR マウスにDMSO 1% を含む PBS (-) buffer に溶解した各濃度の化合物を腹腔内投与(投与量は 10 mL/kg に固定)し、飼育した。24 時間ごとの薬物投与を4 日間行った。マウスの体重測定は薬物投与開始日から毎日行い、その結果から、化合物の急性毒性の可能性を判断するとともに、in vivo 試験における薬物投与量を決定する目安とした。
【0073】
(2)4-Day Suppressive Test
被検物質の感受性評価試験法としては、マウスを用いた 4-Day Suppressive Test を行った。PBS (-) buffer に懸濁した感染赤血球1×106 個/200 μL をマウスの尾静脈内接種し、2時間後にDMSO 1% を含む PBS (-) buffer に溶解し各濃度に調整した化合物を投与量 10 mL/kg に固定し、腹腔内投与した。24 時間ごとに4日間薬物投与を続け、薬物投与終了翌日にマウスのマラリア感染率を求めた。このマラリア感染率は感染マウスの尾の先から血液を数滴採血し、スライドに滴下した後、薄層塗末標本を作成し、Diff-Quik染色を行い、倒立顕微鏡下で観察して、マラリア原虫感染率を算出した。コントロールとして薬物投与していないマウス(薬物の代わりにDMSO 1% を含む PBS (-) buffer を投与したもの)を用いて、コントロールのマラリア感染率と薬物投与したマウスのマラリア感染率の比から、以下の式を用いて、マラリア増殖率及び、50% 有効薬物量(ED50)を求めた。
マラリア原虫感染率(%)={(感染赤血球数)/(総赤血球数)}×100
増殖率(%)={(b-a)/(c-a)}×100
〔式中,a は初期感染率,b は試験液添加時の感染率,c はコントロールの感染率を示す〕
【0074】
(3)薬物投与後の延命率およびマラリア感染率の算出方法
マラリア感染したマウスが薬物投与によってマラリアから完治するか、または生存率がどのように変化するか検討するため、4-Day Suppressive Test後、それぞれのマウスの体重を測定し、以下の式を用いて、マウスの延命率を算出、及びマウスの尾静脈から血を採取し、マラリア感染率を算出した。
延命率(%)={(d×e)/(f×g)}×100
〔式中、d は被検物質投与群における被検物質投与後の生存日数、e は被検物質投与群における被検物質投与後の生存匹数、f はvehicle投与群におけるvehicle投与後の生存日数、g はvehicle投与群におけるvehicle投与後の生存匹数を示す〕
【0075】
【表3】
JP0004431796B2_000014t.gif

【0076】
【表4】
JP0004431796B2_000015t.gif

【0077】
表3に示されるように、化合物4d、5c、12a、12b、12cをマウスに投与したところ、特に15mg/kgの投与量において、明らかなマラリア原虫の増殖率の低下が認められた。表4に示した延命率についてはクロロキン程ではないものの、15mg/kgは延命効果が認められた。
【0078】
以上の結果から本発明のビスピリジニウム塩化合物は、抗マラリア剤としてマラリア原虫類による感染症の予防及び/又は治療に有用であり、臨床効果が期待される。中でも実施例において合成した化合物4d、5c、12a、12b、12cは高い抗マラリア活性と化学療法係数を示したため、優れた抗マラリア効果を有し、且つ安全性の高い新規な抗マラリア剤となり得る。また本発明に係る化合物は既存の抗マラリア薬にはない構造を有していることから、既存薬に対して耐性を有するマラリア原虫への効果も期待することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係るビスピリジニウム塩化合物は、抗マラリア剤としてマラリア原虫類による感染症の予防及び/又は治療に有用である。よって本発明に係るビスピリジニウム塩化合物を含有する医薬組成物は高い有用性と安全性を兼ね備えており、優れた抗マラリア剤として臨床において利用することができる。加えて本発明のビスピリジニウム塩化合物をリード化合物として、抗マラリア活性を有する物質を更に探索することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、ビスピリジニウム塩(4-6)の構造式を示す図である。
【図2】図2は、ビスピリジニウム塩(4-6)の合成スキームを示す図である。
【図3】図3は、ビスピリジニウム塩(11-14)の構造式を示す図である。
【図4】図4は、ビスピリジニウム塩(11-14)の合成スキームを示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3