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明細書 :イオンセンサ及びこのイオンセンサを用いた内燃機関制御システム並びに内燃機関の制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4834843号 (P4834843)
登録日 平成23年10月7日(2011.10.7)
発行日 平成23年12月14日(2011.12.14)
発明の名称または考案の名称 イオンセンサ及びこのイオンセンサを用いた内燃機関制御システム並びに内燃機関の制御方法
国際特許分類 F02D  35/00        (2006.01)
F02D  45/00        (2006.01)
G01L  23/22        (2006.01)
FI F02D 35/00 368Z
F02D 45/00 368Z
G01L 23/22
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2007-510525 (P2007-510525)
出願日 平成18年3月28日(2006.3.28)
国際出願番号 PCT/JP2006/306289
国際公開番号 WO2006/104144
国際公開日 平成18年10月5日(2006.10.5)
優先権出願番号 2005093057
優先日 平成17年3月28日(2005.3.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年1月29日(2009.1.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】吉山 定見
個別代理人の代理人 【識別番号】100080160、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 憲一郎
審査官 【審査官】赤間 充
参考文献・文献 特開平4-308339(JP,A)
特開昭63-66431(JP,A)
特開平7-158500(JP,A)
特開平6-2608(JP,A)
特開平10-27008(JP,A)
特開平11-351045(JP,A)
調査した分野 F02D 35/00
F02D 45/00
G01L 23/22
G01K 17/00
特許請求の範囲 【請求項1】
内燃機関の燃焼室内での燃焼で生じたイオンを検出するイオンセンサにおいて、
絶縁材で被覆していない露出部を設けた金属線と、
この金属線に所定の電圧を印加して前記金属線の電流変動を検出する検出手段と
を備え、
前記露出部を受感部として前記燃焼室の内部に配置しながら、前記燃焼室内を横断させて前記金属線を配置したことを特徴とするイオンセンサ。
【請求項2】
前記金属線は、前記内燃機関のシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介設したガスケットの前記燃焼室と連通する燃焼室用開口に架設し、前記受感部を前記燃焼室用開口の所定位置に配置したことを特徴とする請求項1記載のイオンセンサ。
【請求項3】
内燃機関の燃焼室内の燃焼状態を、前記燃焼室の内周面と同一平面に受感部を設けた検出用イオンセンサを用いてイオン電流として検出し、このイオン電流の波形が正常な燃焼状態の場合に示される波形となるように前記内燃機関の燃焼制御を行う前記制御部では、
前記燃焼室内に絶縁材で被覆していない露出部を設けた金属線を横断させて配置するとともに、前記露出部を受感部として前記燃焼室の内部に配置した内部イオンセンサで、前記燃焼室の内部における内部イオン電流の波形をあらかじめ計測して記憶する記憶部を有し、
前記検出用イオンセンサから出力された前記イオン電流の波形を、前記燃焼室の内部に受感部を配置した複数の内部イオンセンサであらかじめ検出した内部イオン電流の波形と一対一に対応付けし、対応付けされた内部イオン電流の波形と前記燃焼室内の燃焼状態との対応関係に基づいて前記内燃機関の燃焼制御を行う内燃機関の制御方法。
【請求項4】
前記燃焼制御では、前記検出用イオンセンサで検出したイオン電流の波形を、ニューラルネットワークを利用した解析手段で前記内部イオン電流の波形に対応付けすることを特徴とする請求項3記載の内燃機関の制御方法。
【請求項5】
内燃機関の燃焼室の内周面と同一平面に受感部を設けた検出用イオンセンサと、
この検出用イオンセンサで検出したイオン電流の波形を解析して、前記イオン電流の波形が正常な燃焼状態の場合に示される波形となるように前記内燃機関を制御する制御部と
を備えた内燃機関制御システムであって、
前記制御部では、前記燃焼室内に絶縁材で被覆していない露出部を設けた金属線を横断させて配置するとともに、前記露出部を受感部として前記燃焼室の内部に配置した内部イオンセンサで、前記燃焼室の内部における内部イオン電流の波形をあらかじめ計測して記憶する記憶部を有し、
前記検出用イオンセンサから出力された前記イオン電流の波形を、前記内部イオン電流の波形と一対一に対応付けし、対応付けされた内部イオン電流の波形と前記燃焼室内の燃焼状態との対応関係に基づいて前記燃焼室の燃焼状態の制御を行う内燃機関制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出用イオンセンサで検出したイオン電流の波形を、前記内部イオン電流の波形に対応付けするニューラルネットワークを利用した解析手段を備えていることを特徴とする請求項5記載の内燃機関制御システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンセンサ、及びこのイオンセンサを用いた内燃機関制御システム、並びに内燃機関の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の燃焼室における燃焼現象の状態を検出する方法の一つとして、燃焼にともなって発生したイオンの変動をイオン電流として検出するイオンセンサを用い、このイオンセンサから出力されたイオン電流の波形形状から燃焼状態を推察することが行われている。
【0003】
イオンセンサは、具体的にはガスケットに内蔵しており、特に、ガスケットにおけるシリンダと連通した開口部の端縁部分にイオンセンサの受感部を配置することにより、受感部を燃焼室の内側面と同一平面に位置させて、燃焼の妨げとなることなく、燃焼室内で発生したイオンの変動をイオン電流として検出している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このイオンセンサを用いることによって、燃焼室内での燃焼状態を、イオン電流波形を介して間接的に推察することができ、内燃機関における各種設定、すなわち、点火タイミングや燃料濃度などの設定の妥当性を判定するだけでなく、検出したイオン電流波形に基づいて内燃機関の点火タイミングや空燃比の変更を行うことにより燃焼状態を適正状態に維持する制御も試みられている。
【特許文献1】
特開2004-162550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したイオンセンサは、燃焼室内での燃焼の障害とならない位置に配置する必要があり、必然的にイオンセンサの受感部を燃焼室の内側面と同一平面に配置する必要があるので、イオンセンサでは、燃焼現象の最外縁の状態しか検出することができなかった。
[0006]
したがって、従来のイオンセンサを用いた燃焼状態の検出に基づく内燃機関制御では、イオンセンサで燃焼室を横断する方向に伝播する火炎の状態を検出することができないことによって燃焼現象の評価を適正に行えない場合があり、燃焼現象の異常の検出精度を高めることが困難であって、適正な制御がなされないおそれがあるという問題があった。
[0007]
本発明者は、このような現状に鑑み、燃焼室を横断する方向の火炎伝播も考慮した燃焼現象の検出を可能として、より高精度な内燃機関制御を可能とすべく研究開発を行い、本発明をなすに至ったものである。
[課題を解決するための手段]
【0008】
本発明のイオンセンサでは、内燃機関の燃焼室内での燃焼で生じたイオンを検出するイオンセンサにおいて、絶縁材で被覆していない露出部を設けた金属線と、この金属線に所定の電圧を印加して金属線の電流変動を検出する検出手段とを備え、露出部を受感部として燃焼室の内部に配置しながら、燃焼室内を横断させて金属線を配置した。
[0009]
さらに、金属線は、内燃機関のシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介設したガスケットの燃焼室と連通する燃焼室用開口に架設し、受感部を燃焼室用開口の所定位置に配置したことにも特徴を有するものである。
【0010】
また、本発明の内燃機関の制御方法では、内燃機関の燃焼室内の燃焼状態を、燃焼室の内周面と同一平面に受感部を設けた検出用イオンセンサを用いてイオン電流として検出し、このイオン電流の波形が正常な燃焼状態の場合に示される波形となるように内燃機関の燃焼制御を行う前記制御部では、燃焼室内に絶縁材で被覆していない露出部を設けた金属線を横断させて配置するとともに、露出部を受感部として燃焼室の内部に配置した内部イオンセンサで、燃焼室の内部における内部イオン電流の波形をあらかじめ計測して記憶する記憶部を有し、検出用イオンセンサから出力されたイオン電流の波形を、焼室の内部に受感部を配置した複数の内部イオンセンサであらかじめ検出した内部イオン電流の波形と一対一に対応付けし、対応付けされた内部イオン電流の波形と燃焼室内の燃焼状態との対応関係に基づいて内燃機関の燃焼制御を行うこととした。
[0011]
さらに、燃焼制御では、検出用イオンセンサで検出したイオン電流の波形を、ニューラルネットワークを利用した解析手段で内部イオン電流の波形に対応付けすることにも特徴を有するものである。
【0012】
また、本発明の内燃機関制御システムでは、内燃機関の燃焼室の内周面と同一平面に受感部を設けた検出用イオンセンサと、この検出用イオンセンサで検出したイオン電流の波形を解析して、イオン電流の波形が正常な燃焼状態の場合に示される波形となるように内燃機関を制御する制御部とを備えた内燃機関制御システムであって、制御部では、燃焼室内に絶縁材で被覆していない露出部を設けた金属線を横断させて配置するとともに、露出部を受感部として燃焼室の内部に配置した内部イオンセンサで、燃焼室の内部における内部イオン電流の波形をあらかじめ計測して記憶する記憶部を有し、検出用イオンセンサから出力されたイオン電流の波形を、内部イオン電流の波形と一対一に対応付けし、対応付けされた内部イオン電流の波形と燃焼室内の燃焼状態との対応関係に基づいて燃焼室の燃焼状態の制御を行うこととした。
[0013]
さらに、制御部は、検出用イオンセンサで検出したイオン電流の波形を、内部イオン電流の波形に対応付けするニューラルネットワークを利用した解析手段を備えていることにも特徴を有するものである。
[発明の効果]
[0014]
本発明のイオンセンサでは、絶縁材で被覆していない露出部を設けた金属線と、この金属線に所定の電圧を印加して金属線の電流変動を検出する検出手段とを備え、露出部を受感部として燃焼室の内部に配置したことにより、露出部を燃焼室内の所定位置に容易に配置できるので、燃焼室を横断する方向の火炎伝播を検出可能とすることができ、燃焼状態のより正確な状態を検出できる。
[0015]
特に、イオンセンサとなる金属線を、内燃機関のシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介設したガスケットの燃焼室と連通する燃焼室用開口に架設し、受感部を燃焼室用開口の所定位置に配置したことによって、極めて容易かつ確実に受感部を所定位置に配置できる。
[0016]
また、本発明の内燃機関の制御方法及び内燃機関制御システムでは、燃焼室の内部に受感部を配置した複数の内部イオンセンサであらかじめ検出した内部イオン電流の波形を、燃焼室の内周面と同一平面に受感部を設けた検出用イオンセンサで検出したイオン電流の波形と一対一に対応付けして、この対応関係に基づいて燃焼状態を特定することによって、検出用イオンセンサによって燃焼状態のより正確に検出することができ、内燃機関のより適正な制御を可能とすることができる。
[0017]
特に、検出用イオンセンサで検出したイオン電流の波形を、ニューラルネットワークを利用した解析手段で内部イオン電流の波形に対応付けすることによって、内部イオンセンサによる検出と比較して取得可能な情報が低下しやすい検出用イオンセンサによる検出における情報量の低下を、検出用イオンセンサで検出したイオン電流の波形の経時変化などを利用して補うことができ、内燃機関のより適正な制御を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明に係る内燃機関制御システムの概略説明図である。
【図2】図2は検出用イオンセンサの説明図である。
【図3】図3は検出用イオンセンサで検出されたイオン電流波形の参考図である。
【図4】図4は基準設定用イオンセンサの説明図である。
【図5】図5は基準設定用イオンセンサの説明図である。
【図6】図6は基準設定用イオンセンサの変容例の説明図である。
【図7】図7は基準設定用イオンセンサで検出されるイオン電流波形の説明図である。
【符号の説明】
【0019】
E 内燃機関
E1 シリンダブロック
E2 シリンダヘッド
E3 ガスケット
e 燃焼室
e3 開口
V 直流電源
R 抵抗器
1 検出用イオンセンサ
2 信号増幅器
3 解析部
4 制御部
5 記憶部
11 基準設定用イオンセンサ
11a センサ体
11b 絶縁材
S 受感部
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の内燃機関の制御方法及び内燃機関制御システムでは、内燃機関の燃焼室内の燃焼状態を、燃焼室の内周面と同一平面に受感部を設けた検出用イオンセンサを用いてイオン電流として検出し、このイオン電流の波形が正常な燃焼状態の場合に示す波形となるように内燃機関の燃焼制御を行うものであって、燃焼制御の基準となる燃焼状態は、燃焼室の内部の燃焼状態に基づいて設定した燃焼状態としているものである。
【0021】
燃焼室の内部の燃焼状態は、受感部を燃焼室の内部に配置した本発明のイオンセンサを内部イオンセンサとして用いて、この内部イオンセンサであらかじめ内部イオン電流の波形を検出しておき、この内部イオン電流の波形と検出用イオンセンサで検出したイオン電流の波形と一対一に対応付けして、この対応関係に基づいて検出したイオン電流の波形から特定している。
【0022】
内部イオンセンサは、絶縁材で被覆していない露出部を設けた金属線と、この金属線に所定の電圧を印加して金属線の電流変動を検出する検出手段とを備え、露出部を受感部として燃焼室の内部に配置している。
【0023】
したがって、内部イオンセンサとなるイオンセンサを極めて簡便に構成でき、低コストのイオンセンサを提供できる。
【0024】
しかも、イオンセンサとなる金属線は、内燃機関のシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介設したガスケットの燃焼室と連通する燃焼室用開口に架設し、受感部を燃焼室用開口の所定位置に配置することによって、極めて簡便かつ正確に、イオンセンサの受感部を燃焼室内の所定位置に配置できる。
【0025】
以下において、図面に基づいて本発明の実施形態を詳説する。
【0026】
図1は、本実施形態の内燃機関制御システムのシステム構成概略図である。内燃機関制御システムは、内燃機関Eの燃焼室e内の燃焼状態をイオン電流信号として検出する検出用イオンセンサ1と、この検出用イオンセンサ1で検出したイオン電流信号を増幅する信号増幅器2と、この信号増幅器2で増幅されたイオン電流信号の波形形状を解析する解析部3と、この解析部3での解析結果に基づいて内燃機関の制御信号を生成して出力する制御部4とから構成している。
【0027】
特に、解析部3には、後述するように基準設定用のイオン電流波形と対応づけられた基準イオン電流波形を記憶した記憶部5を接続しており、この記憶部5に記憶された基準イオン電流波形と、信号増幅器2から入力されたイオン電流信号の波形とから、記憶部5は所要の解析結果信号を生成して制御部4に入力するようにしている。解析部3と制御部4と記憶部5とで制御手段を構成している。
【0028】
検出用イオンセンサ1は、内燃機関EのシリンダブロックE1とシリンダヘッドE2との間に介設するガスケットE3に装着している。
【0029】
そして、検出用イオンセンサ1には直流電圧を印加する直流電源Vを接続するとともに、この直流電源Vを、イオン電流を検出するための基準電流生成用の抵抗器Rを介してグランドに接続し、さらに、シリンダブロックE1及びシリンダヘッドE2をグランドに接続して閉回路を構成している。
【0030】
このように、検出用イオンセンサ1には直流電源Vによって所定の電圧が印加されており、検出用イオンセンサ1の受感部にイオンが接触することによって生じる基準電流の変動を信号増幅器2によってイオン電流信号として増幅して出力している。
【0031】
ここで、検出用イオンセンサ1は、図2(a)に模式的に示すように、シリンダブロックE1のシリンダと連通させるようにガスケットE3に設けた開口e3に内側縁1aを臨ませたドーナツ状の金属板で構成している。検出用イオンセンサ1の内側縁1aは、開口e3の径寸法と略同一としてもよいし、図2(a)に誇張して示すように小径として、検出用イオンセンサ1にイオンを接触しやすくしてもよい。なお、検出用イオンセンサ1によって燃焼の阻害、及び燃焼にともなう検出用イオンセンサ1の破損が生じることを防止するために、検出用イオンセンサ1は、できるだけ燃焼室eの内側面と同一平面上に位置するようにしておくことが望ましい。
【0032】
また、検出用イオンセンサ1は1つに限定するものではなく、図2(b)に模式的に示すように、円弧形状の内側縁を有する円弧状イオンセンサ1'を複数設けてもよく、この場合、それぞれのイオンセンサ1'から出力されたイオン電流信号を合成して1つの合成イオン電流信号を生成し、信号増幅器2から出力するようにしてもよい。
【0033】
信号増幅器2から出力されたイオン電流信号または合成イオン電流信号(以下、単に「イオン電流信号」という)は、図3(a)~(c)に例示すように様々な波形を示しており、解析部3では入力されたイオン電流信号の波形形状を解析して、記憶部5に記憶された基準イオン電流波形に基づいて燃焼状態を推定している。
【0034】
ここで、解析部3には、イオン電流信号だけでなく、内燃機関Eの温度情報、空燃比情報、スロットル開度情報などの内燃機関Eの駆動状態に関する情報を入力して、これらの情報も利用して解析するようにしている。
【0035】
特に本実施形態では、解析部3にはニューラルネットワークを利用した解析回路を内蔵し、内燃機関Eの使用履歴なども勘案しながら解析を実行するようにしている。したがって、燃焼状態の解析のさらなる適正化を図ることができる。
【0036】
しかも、解析部3では、内燃機関Eの制御状態を変えない状態で検出された各イオン電流信号間の差分を検出し、この差分情報も利用して燃焼状態を検出することにより、燃焼状態の解析のさらなる適正化を図ることができる。
【0037】
解析部3では解析結果信号を生成して制御部4に入力し、制御部4では解析結果信号に基づいて、内燃機関Eにおける点火タイミングを調整したり、空燃比を調整したりするなどの制御信号を生成して出力し、内燃機関Eの制御を行っている。
【0038】
上記した解析部3が利用する記憶部5の基準イオン電流波形は、燃焼室eの内側面から所定寸法だけ内側の内側燃焼状態における基準設定用イオン電流波形と対応づけたものであって、基準設定用イオン電流波形は、図4に示す基準設定用の内部イオンセンサ11で検出している。以下において、内部イオンセンサ11について詳説する。
【0039】
内部イオンセンサ11は、金属線で構成したセンサ体11aを絶縁材11bで被覆して構成しており、センサ体11aの一部を絶縁材11bで被覆しないことにより露出させて受感部Sを設けており、上記した検出用イオンセンサ1の代わりに内部イオンセンサ11をガスケットE3に装着して、シリンダブロックE1とシリンダヘッドE2との間に介設している。
【0040】
センサ体11aは、ワイヤ状の金属体であって、本実施形態では比較的高温状態に晒されることにより高融点の金属体を用いることが望ましく、たとえばSUS-304のステンレスや白金やなどを用いることができる。
【0041】
絶縁材11bは、センサ体11aの外部との接触を遮断できる材料であれば何であってもよいが、本実施形態では比較的高温状態に晒されることになるのでガラスコーティングなどを用いることが望ましい。
【0042】
受感部Sはセンサ体11aの露出部分であって、絶縁材11bによるセンサ体11aの被覆時に、受感部Sの形成部分には絶縁材11bを設けずに絶縁材11bをセンサ体11a着設させて形成しているものである。なお、絶縁材11bで被覆されたセンサ体11aの所定位置の絶縁材11bを除去することによって受感部Sを形成してもよい。
【0043】
内部イオンセンサ11には、この内部イオンセンサ11に所定の電圧を印加する電源12を接続するとともに、この電源12を、イオン電流を検出するための基準電流生成用の抵抗器13を介してグランドに接続し、さらに、シリンダブロックE1及びシリンダヘッドE2をグランドに接続して閉回路を構成している。
【0044】
基準電流における電流変動として表れた電気信号は増幅器14で増幅し、増幅された電気信号を信号処理部15に入力して基準設定用イオン電流波形を取得している。
【0045】
この基準設定用イオン電流波形は、燃焼室eの燃焼状態に応じてそれぞれ特異な波形パターンを示し、基準設定用イオン電流波形と燃焼状態との関連づけを行うことにより、基準設定用イオン電流波形から燃焼室eにおける燃焼状態、すなわち正常な燃焼状態であるか、ノッキングが発生しかかっている燃焼状態であるか、あるいは失火しているかなどのように燃焼状態を精度よく推定することができる。
【0046】
特に、上記したワイヤ状の内部イオンセンサ11を用いることによって、図4に示すように、燃焼室eを横断させて内部イオンセンサ11を配置することができ、点火プラグ(図示せず)の直下方となるような燃焼室中央部分の燃焼状態を検出することができ、より高精度に燃焼状態を検知できる。
【0047】
内部イオンセンサ11は、図5(a)に示すように、ガスケットE3に設けた燃焼室eに臨む開口e3の略中央を横断するように1つだけ設け、しかも、受感部Sを開口e3の略中央部分に設ける場合に限定するものではなく、必要に応じて図5(b)に示すように複数の内部イオンセンサ11-1,11-2,11-3,11-4,11-5を互いに略平行に設け、それぞれ所望の位置に受感部S1,S2,S3,S4,S5を設けてもよいし、図5(c)に示すように、第1の方向に沿って互いに平行に設けた複数の第1内部イオンセンサ11'からなる第1内部イオンセンサ群と、この第1の方向と略直交となる第2の方向に沿って互いに平行に設けた複数の第2内部イオンセンサ11"からなる第2内部イオンセンサ群とを設け、それぞれ所望の位置に受感部S',S"を設けてもよい。
【0048】
このように複数の内部イオンセンサ11を設けることによって、燃焼状態の二次元データ、特に燃焼室eを横断する方向の火炎伝播情報を有するデータを取得することができ、より詳細な燃焼状態情報を取得することができる。
【0049】
特に、内部イオンセンサ11はワイヤ状となっているので、この内部イオンセンサ11を設けたことによって燃焼状態が攪乱されることをできるだけ抑制でき、精度の高い燃焼状態情報とすることができる。
【0050】
図5では、説明の便宜上、ガスケットE3をドーナツ形状としているが、ガスケットE3は、所定位置に所望の大きさの開口e3を設けた所定の形状としてよい。
【0051】
また、内部イオンセンサ11は、ガスケットE3に設けた燃焼室eに臨む開口e3を直線状に横断させて設けるだけでなく、図6に示すように、燃焼室e内において金属線で構成したセンサ体11aを適宜湾曲させて、絶縁材11bで被覆しないことにより露出させている受感部Sを所要の位置に配置してもよい。
【0052】
このように、センサ体11aを湾曲変形させることにより受感部Sを燃焼室e内の所要の位置に配置できるので、例えば燃焼室eの空間的な中央部に受感部Sを配置したり、あるいは図示しない点火プラグの近傍に受感部Sを配置したりすることができ、燃焼室eを縦断する方向の火炎伝播情報を有するデータを取得することができ、より詳細な燃焼状態情報を取得することができる。
【0053】
特に、内部イオンセンサ11を構成するセンサ体11aは金属線としていることによって、センサ体11a自体によって受感部Sを所要の位置に保持可能とすることができる。
【0054】
上記した内部イオンセンサ11を用いて取得した基準設定用イオン電流波形と燃焼室eの燃焼状態との関連づけに基づいて、内部イオンセンサ11を検出用イオンセンサ1に交換して検出したイオン電流波形と燃焼状態との関連づけを行って、基準イオン電流波形を特定している。
【0055】
具体的には、図5(b)に示すように、ガスケットE3に設けた燃焼室eに臨む開口e3部分に5つの受感部S1,S2,S3,S4,S5を設け、それぞれでイオン電流を検出すると、図7(a)~(e)の実線で示すように、5つの基準設定用イオン電流波形が得られる。図7(a)は図5(b)の受感部S1で検出された基準設定用イオン電流波形、図7(b)は図5(b)の受感部S2で検出された基準設定用イオン電流波形、図7(c)は図5(b)の受感部S3で検出された基準設定用イオン電流波形、図7(d)は図5(b)の受感部S4で検出された基準設定用イオン電流波形、図7(e)は図5(b)の受感部S5で検出された基準設定用イオン電流波形である。ここで、燃焼室e内での点火位置は、ガスケットE3に設けた燃焼室eに臨む開口e3の中央の上部である。
【0056】
このようにして得られた基準設定用イオン電流波形は、解析部3において、別途、図2(a)または図2(b)に示すようにガスケットE3に設けた開口e3に内側縁1aを臨ませた検出用イオンセンサ1,1'で検出された基準イオン電流波形とあらかじめ対応付けがなされ、対応関係が記憶部5に記憶されている。
【0057】
そして、通常の使用時に、検出用イオンセンサ1,1'で検出されたイオン電流波形と、記憶部5に記憶されている基準イオン電流波形とを比較して、ニューラルネットワークによる解析を行うことにより、解析部3は燃焼室e内での燃焼状態を判定している。なお、ニューラルネットワークによって燃焼判定の解析を行う場合には、内部イオンセンサ及び検出用イオンセンサ1,1'で得られたイオン電流波形を用いるだけでなく、圧力センサ、ノックセンサ、排気分析などの検出結果も用いて燃焼評価を行っている。
【0058】
図7(a)~(e)の実線は、燃焼状態が正常である場合のイオン電流波形を示しているが、燃焼状態が悪い場合には、図7(a)~(e)の破線で示すような内部イオン電流波形が得られる。
【0059】
このようにして得られた内部イオン電流波形と、検出用イオンセンサ1,1'で検出されたイオン電流波形とを対応づけて基準イオン電流波形を設定するとともに、たとえばこの場合には緩慢燃焼が生じていると判定している。
【0060】
そして、通常の使用時に、緩慢燃焼が生じていると判定される基準イオン電流波形と一致するイオン電流波形が検出された場合には、制御部4は、空燃比を高めたり、点火プラグによる点火タイミングを早めたりするなどの制御信号を内燃機関Eに入力している。
【0061】
ここでは、緩慢燃焼の場合について説明したが、緩慢燃焼以外にも、ノッキングや失火などの燃焼状態の場合にも同様に判定され、制御部4から内燃機関Eの点火タイミング、燃料噴射タイミング、燃料噴射量、空燃比、ガス流動などの調整を行って、正常な燃焼状態が維持されるようにしている。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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