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明細書 :混合流発生装置および混合流の発生方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5176103号 (P5176103)
登録日 平成25年1月18日(2013.1.18)
発行日 平成25年4月3日(2013.4.3)
発明の名称または考案の名称 混合流発生装置および混合流の発生方法
国際特許分類 B01F  13/08        (2006.01)
B01J  19/00        (2006.01)
H02K   7/14        (2006.01)
FI B01F 13/08 Z
B01J 19/00 311A
B01J 19/00 321
H02K 7/14 Z
請求項の数または発明の数 15
全頁数 16
出願番号 特願2007-512982 (P2007-512982)
出願日 平成18年4月7日(2006.4.7)
国際出願番号 PCT/JP2006/307487
国際公開番号 WO2006/109741
国際公開日 平成18年10月19日(2006.10.19)
優先権出願番号 2005111760
優先日 平成17年4月8日(2005.4.8)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年4月2日(2009.4.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】鈴森 康一
【氏名】神田 岳文
【氏名】武藤 明徳
【氏名】阪田 祐作
個別代理人の代理人 【識別番号】100113181、【弁理士】、【氏名又は名称】中務 茂樹
【識別番号】100114535、【弁理士】、【氏名又は名称】森 寿夫
【識別番号】100075960、【弁理士】、【氏名又は名称】森 廣三郎
審査官 【審査官】伊藤 紀史
参考文献・文献 米国特許出願公開第2004/0013587(US,A1)
特開昭62-221427(JP,A)
特表平03-503137(JP,A)
特開昭46-004111(JP,A)
特開平03-181324(JP,A)
特開昭64-051131(JP,A)
特開平01-199637(JP,A)
特開平07-190906(JP,A)
特開平08-196888(JP,A)
特開2001-009254(JP,A)
特開2001-252897(JP,A)
特開2004-121963(JP,A)
特開昭52-038672(JP,A)
実開昭57-062630(JP,U)
調査した分野 B01F 13/08
B01J 19/00
H02K 7/14
特許請求の範囲 【請求項1】
2種以上の液体を混合して混合流を発生させるための混合流発生装置であって、
[1]上流側に複数の液体導入口を有し、下流側に液体送出口を有するパイプPと、
[2]パイプPの外周部に配されて、パイプPの中心軸Lを中心とした回転磁界を発生する磁界発生手段Cと、
[3]パイプPの内部に収容されて、下流側の端部が先細りに形成され、前記回転磁界の発生によって中心軸Lを中心に回転する円柱状のロータRと、
[4]液体導入口と液体送出口との間に配されて、ロータRの下流側の端部を支持するピボット軸受Bと、
を備え、
液体導入口からパイプPの内部に導入された液体を通すための貫通孔がピボット軸受Bに設けられた混合流発生装置。
【請求項2】
複数の液体導入口のうち少なくとも1つの液体導入口がパイプPの上流側の端部に設けられ、残りの液体導入口のうち少なくとも1つの液体導入口がパイプPの側周部に設けられ、液体送出口がパイプPの下流側の端部に設けられてなる請求項1記載の混合流発生装置。
【請求項3】
2種以上の液体を混合して混合流を発生させるための混合流発生装置であって、
[1]上流側に複数の液体導入口を有し、下流側に液体送出口を有するパイプPと、
[2]パイプPの外周部に配されて、パイプPの中心軸Lを中心とした回転磁界を発生する磁界発生手段Cと、
[3]パイプPの内部に収容されて、下流側の端部が先細りに形成され、前記回転磁界の発生によって中心軸Lを中心に回転する円柱状のロータRと、
[4]液体導入口と液体送出口との間に配されて、ロータRの下流側の端部を支持するピボット軸受Bと、
を備え、
複数の液体導入口のうち少なくとも1つの液体導入口がパイプPの上流側の端部に設けられ、残りの液体導入口のうち少なくとも1つの液体導入口がパイプPの側周部に設けられ、液体送出口がパイプPの下流側の端部に設けられ、パイプPの側周部に設けられた液体導入口が、パイプPの中心軸Lと平行な方向に細長いスリット状に形成されるとともに、短手方向に沿った幅がパイプPの内半径rとロータRの外半径rとの差δr以下に設定されてなる混合流発生装置。
【請求項4】
磁界発生手段Cが中心軸Lを中心として回転対称に配された複数のコイルからなる請求項1~3いずれか記載の混合流発生装置。
【請求項5】
ロータRが磁化されてなる請求項1~4いずれか記載の混合流発生装置。
【請求項6】
パイプPの中心軸Lが鉛直方向に配されてなる請求項1~5いずれか記載の混合流発生装置。
【請求項7】
パイプPの内半径rとロータRの外半径rとの差が2mm以下である請求項1~6いずれか記載の混合流発生装置。
【請求項8】
液体送出口の下流側に断面積が10mm以下の流路が接続されてなる請求項1~7いずれか記載の混合流発生装置。
【請求項9】
請求項1~8いずれか記載の混合流発生装置を用いて混合流を発生させる混合流の発生方法。
【請求項10】
複数の液体導入口から互いに相溶しない液体を導入する請求項9記載の混合流の発生方法。
【請求項11】
パイプPの内周面とローラRの外周面との隙間で各液体間の界面が螺旋状に現われる螺旋流を発生させ、該螺旋流を各液体間の界面が流れ方向に繰り返し現われる交互流に変換して液体送出口の下流側に接続された流路に流す請求項10記載の混合流の発生方法。
【請求項12】
請求項11記載の混合流の発生方法によって交互流を発生させ、液体送出口の下流側に接続された流路で化学反応を進行させる化学反応方法。
【請求項13】
請求項11記載の混合流の発生方法によって交互流を発生させ、液体送出口の下流側に接続された流路で抽出を進行させる抽出方法。
【請求項14】
2種以上の液体を混合して混合流を発生させるための混合流発生装置を用いる抽出方法であって、
[1]上流側に複数の液体導入口を有し、下流側に液体送出口を有するパイプPと、
[2]パイプPの外周部に配されて、パイプPの中心軸Lを中心とした回転磁界を発生する磁界発生手段Cと、
[3]パイプPの内部に収容されて、下流側の端部が先細りに形成され、前記回転磁界の発生によって中心軸Lを中心に回転する円柱状のロータRと、
[4]液体導入口と液体送出口との間に配されて、ロータRの下流側の端部を支持するピボット軸受Bと、
を備えてなる混合流発生装置を用いて、複数の液体導入口から互いに相溶しない液体を導入し、パイプPの内周面とローラRの外周面との隙間で各液体間の界面が螺旋状に現われる螺旋流を発生させ、該螺旋流を液体送出口の下流側に接続された流路に流し、該流路で抽出を進行させる抽出方法。
【請求項15】
2種以上の液体を混合して混合流を発生させるための混合流発生装置を用いる抽出方法であって、
[1]上流側に複数の液体導入口を有し、下流側に液体送出口を有するパイプPと、
[2]パイプPの外周部に配されて、パイプPの中心軸Lを中心とした回転磁界を発生する磁界発生手段Cと、
[3]パイプPの内部に収容されて、下流側の端部が先細りに形成され、前記回転磁界の発生によって中心軸Lを中心に回転する円柱状のロータRと、
[4]液体導入口と液体送出口との間に配されて、ロータRの下流側の端部を支持するピボット軸受Bと、
を備えてなる混合流発生装置を用いて、複数の液体導入口から互いに相溶しない液体を導入し、パイプPの内周面とローラRの外周面との隙間で各液体間の界面が螺旋状に現われる螺旋流を発生させ、該螺旋流を各液体間の界面が流れ方向に繰り返し現われる交互流に変換して液体送出口の下流側に接続された流路に流し、該流路で抽出を進行させる抽出方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、2種以上の液体を混合して混合流を発生させるための混合流発生装置と、それを用いた混合流の発生方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の混合流発生装置が提案されており、例えば、特許文献1には、複数種の液体が導入されるパイプの内部にロータを収容し、該ロータを回転駆動することによって、前記パイプの内周面と前記ロータの外周面との隙間を流れる液体を混合する化学反応用の装置が記載されている。この装置では、前記ロータが前記パイプの外部に設けられたモータに駆動軸を介して連結されており、前記モータを駆動することによって前記ロータを回転駆動するものとなっている。
【0003】
しかし、特許文献1の装置では、駆動軸を軸支するための貫通孔をパイプやパイプに取り付けられる蓋体などに設ける必要があり、駆動軸と前記貫通孔との隙間には、パイプの外部に液体が漏れることのないように、何らかのシールを施す必要があった。ところが、前記シールを液密性の高いものとすると、駆動軸に作用する摩擦力が大きくなって、ロータが円滑に回転しなくなるばかりか、シールの磨耗やそれによる発熱など、新たな不具合が生じるおそれもあった。また、特許文献1の装置は、駆動軸やシールの存在が支障となるために、寸法の小型化が困難であった。
【0004】
近年のMEMS(Micro Electro Mechanical System)の進展に伴って、化学工学や生物工学などの分野においても装置の小型化が積極的に行われるようになっており、反応場の寸法が微小化されたマイクロリアクタとよばれる化学反応器が注目を集めるようになってきている。マイクロリアクタは、単にスペースを節約したり、環境に対する負荷を軽減したりすることができるというだけでなく、以下のように、化学反応器としても優れた性能を発揮するために、化学薬品のスクリーニングのための合成反応試験や、新しい化学プロセスの開発研究などにおいて、その実用化が期待されている。
【0005】
すなわち、マイクロリアクタは、(1)反応場の寸法が小さいために、混合や抽出に要する時間を短縮することができることや、(2)反応場を流れる液体の体積に対する表面積の割合が高くなるために、液体と液体の界面での反応や分子移動を効率的に行うことができることや、(3)反応場を流れる液体の熱容量が小さく熱交換が速やかに行われるために、精密な温度制御を容易に行うことができるなどの利点をも有している。
【0006】
しかしながら、反応場の寸法を小さくしていくと、従来のマクロなスケールでの反応とは異なった流動現象が発現するようになる。例えば、反応場を流れる液体のレイノルズ数が小さくなるために、層流が支配的になることや、反応場を流れる液体の体積に対する表面積の割合が大きくなるために、表面張力の影響が大きくなることなどが挙げられる。このように、反応場の寸法が小さくなると、マクロなスケールにおける機械的撹拌による乱流発生などとは大きく異なった現象が発現することになるので、それをうまく制御することが重要になってくる。
【0007】
マイクロリアクタにおいて、反応場を流れる液体の流動状態を調整する方法は、多数提案されており、その中には、互いに相溶しない2種類の液体を反応場である流路に同時に流して流路内に並行二相流を発生させるものや、互いに相溶しない2種類の液体を反応場である流路に交互に流して流路内に交互流を発生させるものなどもある(非特許文献1を参照。)。特に、交互流を発生させる方法は、並行二相流を発生させる方法と比較して、抽出率を大きくできることが分かっており、この優劣は、交互流のピッチを流路径よりもはるかに長くした場合においても確認されている。
【0008】
このことは、接触する界面までの分子移動の距離を考えれば驚きであるが、レイノルズ数が小さく、層流が支配的である微細な流路内での交互流において、分子移動に有利な特別な流動状態が発現していると考えられる。例えば、各相内において循環流が発生して撹拌と同じような効果が得られ、結果として界面近郷の境膜厚みが減少して界面における分子移動速度が増加するような現象が生じていると推定することができる。
【0009】
また、特許文献2には、容器に導入される2以上の物質を攪拌混合する装置であって、容器を非磁性材料によって形成し、容器内部に配した攪拌子に磁性体を装着し、回転磁界を発生するための巻線を容器の外部に配置したものが記載されている。この装置では、巻線から発生された回転磁界によって容器の内部に収容された攪拌子を回転させるものとなっており、攪拌混合する物質は、容器の下面に設けられた導入口から供給されるようになっている。特許文献2には、攪拌子の下面中央(上流側の端部の中央)に設けた尖頭を容器の下側の内壁面に接触させた状態で攪拌子を回転することについても記載されている。
【0010】
この特許文献2の装置は、攪拌子が回転磁界によって回転されるので、特許文献1の装置に見受けられた欠点を有さないものの、攪拌子が自重によって支持される構造のものとなっていた。このため、攪拌子を軽くすると、容器の下側から供給された物質によって攪拌子の尖頭が容器の下側の内壁面から浮き上がってしまい、攪拌子の中心軸がぶれるおそれがあるなど、攪拌子を安定して回転させることができるものとはなっていなかった。したがって、攪拌子を軽く寸法の小さいものとして、装置を小型化することが困難であった。
【0011】

【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0013587号明細書
【特許文献2】特開平03-181324号公報
【非特許文献1】園田 康夫、外3名、“3次元マイクロリアクター内流動状態の制御と流動状態が反応速度に及ぼす影響”,化学工学会第70年会予稿集(CD-ROM),平成17年2月,講演番号J215
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、駆動軸を設けなくともロータを回転させることが可能な混合流発生装置を提供することを目的とする。また、構造が簡素で小型化に適し、化学反応装置として好適に用いることもできる混合流発生装置を提供することも本発明の目的である。さらに、これらの混合流発生装置を用いて行うことが好適な混合流の発生方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、2種以上の液体を混合して混合流を発生させるための混合流発生装置であって、[1]上流側に複数の液体導入口を有し、下流側に液体送出口を有するパイプPと、[2]パイプPの外周部に配されて、パイプPの中心軸Lを中心とした回転磁界を発生する磁界発生手段Cと、[3]パイプPの内部に収容されて、下流側の端部が先細りに形成され、前記回転磁界の発生によって中心軸Lを中心に回転する円柱状のロータRと、[4]液体導入口と液体送出口との間に配されて、ロータRの下流側の端部を支持するピボット軸受Bと、を備え、液体導入口からパイプPの内部に導入された液体を通すための貫通孔がピボット軸受Bに設けられた混合流発生装置を提供することによって解決される。
【0014】
これにより、駆動軸を設けなくともロータRを回転させることが可能になるだけでなく、ロータRに作用する摩擦力を小さくすることや、ロータRの周囲を流れる液体によってロータRの中心軸を高い精度でパイプPの中心軸Lに自動的に一致させることも可能になる(自動調芯効果)。また、これにより、パイプPの内部を流れる液体を各貫通孔Hの周辺部で切断して、液体送出口の下流側に接続された流路を流れる混合流を交互流とすることも可能になると推測される。
【0015】
ここで、「混合流」とは、各液体が均一に混合された状態にある流れだけでなく、各液体が均一には混合しておらず界面が存在している状態にある流れをも含む概念であるものとする。なかでも、本発明の混合流発生装置は、層流支配下における流れを調整するものとして好適である。層流支配下における流れとしては、各液体間の界面が流れ方向に繰り返し現われる交互流や、各液体間の界面が螺旋状に現われる螺旋流などが例示される。
【0016】
また、「回転磁界」は、ある軸を中心に一定の回転速度で一定の強さを維持しながら回転する磁界を意味することもあるが、これに限定されず、回転速度や強さが変化しながら回転する磁界をも含む概念であるとする。
【0018】
複数の液体導入口に供給する液体は、混合流発生装置で発生させる混合流の種類などによっても異なり、特に限定されないが、それぞれの液体導入口から互いに相溶しない液体を導入すると好ましい。このような場合には、流路内において、それぞれの液体の間で形成される界面の状況を調整することができ、本発明のマイクロリアクタを採用する意義も高まる。
【0019】
パイプPの向きは、特に限定されないが、その中心軸Lが鉛直方向と平行になるように配されていると好ましい。これにより、重力によるロータRの偏心を防止して、ロータRの中心軸をパイプPの中心軸Lに高い精度で一致させることが可能となる。この場合には、パイプPを、液体導入口が設けられた側が鉛直上向きとなるように配すると好ましい。
【0020】
パイプPの内半径rやロータRの外半径rは、液体導入口から導入される液体や発生させる混合流の種類などによって異なり、特に限定されないが、混合流発生装置で層流支配の混合流を発生する場合には、通常、内半径rと外半径rとの差が2mm以下となるように設定される。
【0021】
液体送出口の下流側には、通常、パイプPの内部で発生した混合流を流すための流路が接続される。液体送出口の下流側に接続された流路は、化学反応や抽出を進行させるための反応流路として利用できる。液体送出口の下流側に接続される流路の断面積は、特に限定されないが、該流路内の流れを層流支配とするためには、通常、10mm以下に設定される。
【0022】
液体導入口や液体送出口の配置は、液体導入口が液体送出口よりも上流側に位置していれば特に限定されないが、複数の液体導入口のうち少なくとも1つの液体導入口をパイプPの上流側の端部に設け、残りの液体導入口のうち少なくとも1つの液体導入口をパイプPの側周部に設け、液体送出口をパイプPの下流側の端部に設けると好ましい。これにより、パイプPの上流側の端部に設けられた液体導入口から導入された液体と、パイプPの側周部に設けられた液体導入口から導入された液体とを、パイプPの内部で螺旋状に絡ませやすくすることが可能になる。従って、後述する交互流や螺旋流を綺麗に発生させることも容易になる。
【0023】
上記課題は、2種以上の液体を混合して混合流を発生させるための混合流発生装置であって、[1]上流側に複数の液体導入口を有し、下流側に液体送出口を有するパイプPと、[2]パイプPの外周部に配されて、パイプPの中心軸Lを中心とした回転磁界を発生する磁界発生手段Cと、[3]パイプPの内部に収容されて、下流側の端部が先細りに形成され、前記回転磁界の発生によって中心軸Lを中心に回転する円柱状のロータRと、[4]液体導入口と液体送出口との間に配されて、ロータRの下流側の端部を支持するピボット軸受Bと、を備え、複数の液体導入口のうち少なくとも1つの液体導入口がパイプPの上流側の端部に設けられ、残りの液体導入口のうち少なくとも1つの液体導入口がパイプPの側周部に設けられ、液体送出口がパイプPの下流側の端部に設けられ、パイプPの側周部に設けられた液体導入口が、パイプPの中心軸Lと平行な方向に細長いスリット状に形成されるとともに、短手方向に沿った幅がパイプPの内半径rとロータRの外半径rとの差δr以下に設定されてなる混合流発生装置を提供することによっても解決される。これにより、駆動軸を設けなくともロータRを回転させることが可能になるだけでなく、ロータRに作用する摩擦力を小さくすることや、ロータRの周囲を流れる液体によってロータRの中心軸を高い精度でパイプPの中心軸Lに自動的に一致させることも可能になる(自動調芯効果)。また、これにより、パイプPの側周部に設けられた液体導入口からパイプPの内部に帯状の流れを導入することが可能になり、パイプPの上流側の端部に設けられた液体導入口から導入された液体と、パイプPの側周部に設けられた液体導入口から導入された液体とを、パイプPの内部で螺旋状に絡ませることがさらに容易になる。
【0024】
磁界発生手段Cは、パイプPの中心軸Lを中心とした回転磁界を発生できるものであれば特に限定されず、例えば、パイプPの外周部を機械的に回転する永久磁石のようなものであってもよいが、中心軸Lを中心として回転対称に配された複数のコイルであると好ましい。これにより、磁界発生手段Cの構造を簡素化して、混合流発生装置をさらに小型化することが可能になる。また、各コイルに流す交流電流の大きさや周波数を変化させるだけで、前記回転磁界の強さや回転速度を調整することができるようになるために、ロータRを容易に制御することもできるようになる。磁界発生手段Cとして用いるコイルの本数は、2本以上であれば特に限定されないが、通常、3本以上に設定され、より好ましくは、3n本に設定される。ロータRは、前記回転磁界の発生によって回転するものであれば特に限定されず、誘導電動機に用いられるロータのように、誘導電流を流すための導体部(コイルなど)を備えたものを用いてもよいが、同期電動機に用いられるロータのように、磁化されたものを用いると好ましい。これにより、混合流発生装置を、ロータRのすべりが無く制御しやすいものとするだけでなく、大きなトルクを発揮しやすいものとすることもできる。ただし、「ロータRが磁化されてなる」とは、ロータR全体が磁化された磁性体からなる場合と、磁化された磁性体をロータRに固定した場合とのいずれの場合をも含む概念であるものとする。ロータRは、通常、その中心軸に対して磁極が回転対称に現われるように磁化される。
【0025】
また、上記課題は、2種以上の液体を混合して混合流を発生させるための混合流発生装置を用いる抽出方法であって、[1]上流側に複数の液体導入口を有し、下流側に液体送出口を有するパイプPと、[2]パイプPの外周部に配されて、パイプPの中心軸Lを中心とした回転磁界を発生する磁界発生手段Cと、[3]パイプPの内部に収容されて、下流側の端部が先細りに形成され、前記回転磁界の発生によって中心軸Lを中心に回転する円柱状のロータRと、[4]液体導入口と液体送出口との間に配されて、ロータRの下流側の端部を支持するピボット軸受Bと、を備えてなる混合流発生装置を用いて、複数の液体導入口から互いに相溶しない液体を導入し、パイプPの内周面とローラRの外周面との隙間で各液体間の界面が螺旋状に現われる螺旋流を発生させ、該螺旋流を液体送出口の下流側に接続された流路に流し、該流路で抽出を進行させる抽出方法を提供することによっても解決される。さらに、上記課題は、2種以上の液体を混合して混合流を発生させるための混合流発生装置を用いる抽出方法であって、[1]上流側に複数の液体導入口を有し、下流側に液体送出口を有するパイプPと、[2]パイプPの外周部に配されて、パイプPの中心軸Lを中心とした回転磁界を発生する磁界発生手段Cと、[3]パイプPの内部に収容されて、下流側の端部が先細りに形成され、前記回転磁界の発生によって中心軸Lを中心に回転する円柱状のロータRと、[4]液体導入口と液体送出口との間に配されて、ロータRの下流側の端部を支持するピボット軸受Bと、を備えてなる混合流発生装置を用いて、複数の液体導入口から互いに相溶しない液体を導入し、パイプPの内周面とローラRの外周面との隙間で各液体間の界面が螺旋状に現われる螺旋流を発生させ、該螺旋流を各液体間の界面が流れ方向に繰り返し現われる交互流に変換して液体送出口の下流側に接続された流路に流し、該流路で抽出を進行させる抽出方法を提供することによっても解決される。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によって、駆動軸を設けなくともロータRを回転させることが可能になり、駆動軸のための特別なシール構造を省略できるなど、混合流発生装置の構造を簡素化することができる。したがって、混合流発生装置の生産コストを低減できるだけでなく、混合流発生装置を大幅に小型化することも可能となる。ゆえに、マイクロリアクタと呼ばれる小型の反応装置に組み込むものとして好適な混合流発生装置を提供することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の混合流発生装置をパイプPの中心軸Lを含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。
【図2】本発明の混合流発生装置を図1におけるY-Yで切断した状態を示した断面図である。
【図3】本発明の混合流発生装置を図1におけるY-Yで切断した状態を示した断面図である。
【図4】本発明の混合流発生装置を図1におけるY-Yで切断した状態を示した断面図である。
【図5】パイプPの内部を螺旋状に絡み合って流れる液体Fと液体Fとを示した図である。
【図6】液体送出口OUTの下流側に接続された流路の内部を螺旋状に絡み合って流れる液体Fと液体Fとを示した図である。
【図7】液体送出口OUTの下流側に接続された流路の内部を短いピッチで交互に流れる液体Fと液体Fとを示した図である。
【図8】液体送出口OUTの下流側に接続された流路の内部を長いピッチで交互に流れる液体Fと液体Fとを示した図である。
【符号の説明】
【0028】
B ピボット軸受
C 磁界発生手段
~C コイル
,F,FAB 液体
H 貫通孔
パイプPの中心軸
P パイプ
パイプ上流部
パイプ中流部
パイプ下流部
液体送出口OUTの下流側に接続された流路
R ロータ
IN,IN 液体導入口
OUT 液体送出口
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の混合流発生装置の好適な実施態様を、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明の混合流発生装置をパイプPの中心軸Lを含む鉛直面で切断した状態を示した断面図である。図2は、本発明の混合流発生装置を図1におけるY-Yで切断した状態を示した断面図である。図3は、本発明の混合流発生装置を図1におけるY-Yで切断した状態を示した断面図である。図4は、本発明の混合流発生装置を図1におけるY-Yで切断した状態を示した断面図である。本発明の混合流発生装置は、図1に示すように、液体を流すためのパイプPと、回転磁界を発生するための磁界発生手段Cと、前記液体の流れを調整するためのロータRと、を備えたものとなっている。
【0030】
[パイプP]
パイプPは、図1に示すように、液体導入口IN,INを有するパイプ上流部Pと、液体導入口IN,INから導入された液体F,Fの流れを調整するためのパイプ中流部Pと、液体送出口OUTを有するパイプ下流部Pと、がそれぞれ別個に成形されたものとなっている。パイプ上流部Pとパイプ下流部Pは、大径開口部と小径開口部とを両端に有する漏斗状のものとなっており、パイプ中流部Pは、径の等しい開口部を両端に有する円筒状のものとなっている。パイプ上流部Pとパイプ下流部Pの大径開口部は、パイプ中流部Pの両端に設けられた各開口部と略同一の寸法となっており、それぞれがパイプ中流部Pの各開口部に接続されている。
【0031】
パイプPの素材は、特に限定されないが、鉄などの強磁性体であると、ロータRがパイプPによって磁気遮蔽された状態となり、磁界発生手段Cによって発生した磁界がパイプPの内部で著しく弱まるおそれがあるために、通常、ガラス、セラミックス、プラスチック、アルミニウム、銅、ステンレス鋼などの非磁性体が選択される。具体的にどの素材を選択するかは、液体F,Fとの相性などを考慮して適宜決定される。本例の混合流発生装置では、パイプ上流部Pとパイプ下流部Pの素材にオーステナイト系のステンレス鋼を採用し、パイプ中流部Pの素材に石英ガラスを採用している。
【0032】
[パイプ上流部P
パイプ上流部Pには、液体F,Fを導入するための液体導入口IN,INが設けられている。液体導入口IN,INは、合計2箇所以上に設けられていればよく、その配置も特に限定されないが、本実施態様の混合流発生装置においては、図1に示すように、液体導入口INから導入された液体Fと液体導入口INから導入された液体Fとがパイプ上流部Pの内部で垂直に交わるように、液体導入口INをパイプ上流部Pの小径開口部に設けて、液体導入口INをパイプ上流部Pの側周部に設けている。パイプ上流部Pにおける液体導入口IN近傍の内周面は、液体Fを円滑に案内できるように、テーパ状に形成されている。液体導入口IN,INは、互いに垂直でなく傾けて配置してもよい。
【0033】
また、本実施態様の混合流発生装置においては、液体導入口INを、パイプPの中心軸Lと平行な方向に細長いスリット状に形成しており、液体導入口INからパイプ上流部Pの内部に導入された液体Fの流れが帯状となるようにしている。液体導入口INの短手方向に沿った幅は、パイプP(パイプ上流部P)の内半径rとロータRの外半径rとの差δrや、液体Fと液体Fとの流量比などによって適宜調整され、特に限定されないが、パイプ上流部Pの内部で螺旋流を生じやすくするためには、通常、δr以下に設定される。本実施態様の混合流発生装置において、液体導入口INの短手方向に沿った幅は、δr/2(=0.5mm)となっている。また、液体導入口INの長手方向に沿った幅は3mmとなっている。
【0034】
さらに、本実施態様の混合流発生装置においては、図2に示すように、液体導入口IN2の内壁を構成する一の面をパイプ上流部Pの内周面と接するように接続しており、液体Fを液体導入口INからパイプ上流部Pの内周面の接線方向に導入することができるようになっている。これにより、液体導入口INから導入されてパイプ上流部Pの内周面とロータRの外周面との隙間で環状になって流れている液体Fの外周部に、液体Fを滑らかな角度で当てることが可能になり、パイプPの内部で螺旋流を容易に発生させることができるようになる。図2においては、ロータRは矢印Aの向きに回転している。
【0035】
[パイプ中流部P
パイプ中流部P(パイプP)の内半径rは、ロータRの外半径rや、液体F,Fの流量などによって異なり、特に限定されないが、パイプ中流部Pの混合流を層流支配とするために、通常、内半径rと外半径rとの差が2mm以下となるように設定することが好ましい。内半径rと外半径rとの差は、1.5mm以下であるとより好ましく、1mm以下であるとさらに好ましい。本実施態様の混合流発生装置においては、内半径rが4mm、外半径rが3mmで内半径rと外半径rとの差が1mmとなるように設定されている。パイプ中流部Pの長さは、ロータRの長さなどによっても異なり、特に限定されないが、本実施態様のパイプPにおいては26mmとなっている。パイプPの厚さは1mmとなっている。
【0036】
[パイプ下流部P
パイプ下流部Pには、液体F,Fが混合された液体FABを送出するための液体送出口OUTが設けられている。液体送出口OUTは、1箇所以上に設けられていればよく、その配置も特に限定されないが、本実施態様の混合流発生装置においては、図1に示すように、パイプPの内周面とロータRの外周面との隙間を環状に流れる液体F,Fを真直ぐパイプPの外部へ送出できるように、液体送出口OUTをパイプ下流部Pの小径開口部に設けている。パイプ下流部Pにおける液体送出口OUT近傍の内周面は、液体F,Fを円滑に案内できるように、テーパ状に形成されている。
【0037】
[磁界発生手段C]
磁界発生手段Cは、図3に示すように、パイプ中流部Pの外周部に配されており、パイプ中流部Pの中心軸Lを中心とした回転磁界を発生するためのものとなっている。本実施態様の混合流発生装置においては、磁界発生手段Cとして、パイプPの中心軸Lを中心として120°の回転対称に配された3本のコイルC~Cを用いている。各コイルC~Cの中心軸L~Lは、パイプ中流部Pの中心軸Lに対して垂直となっている。この磁界発生手段Cは、位相が120°ずつ遅れた正弦波状の三相交流電流がコイルC~Cに流されると、パイプPの中心軸Lを中心として一定の回転速度で一定の強さを維持しながら回転する回転磁界を発生するものとなっている。前記回転磁界の回転速度は、交流電流I~Iの周波数を変えることによって容易に調節することができ、前記回転磁界の強さは、交流電流I~Iの大きさを変えることによって容易に調節することができる。
【0038】
コイルC~Cの取り付け構造は、特に限定されないが、本実施態様の磁界発生手段Cにおいては、コイルC~Cを等間隔に固着したシートSをパイプ中流部Pの外周部に巻回することによって取り付けている。これにより、コイルC~Cを狭いスペースで密に配することが可能になり、混合流発生装置をさらに小型化することができる。シートSは、通常、コイルC~Cが固着された側の面を内側にして巻回される。シートSの素材は、特に限定されないが、各コイルC~Cで発生した磁界がシートSを伝搬して他のコイルC~Cで発生する磁界に影響を及ぼすのを防止するために、通常、非磁性体が選択される。コイルC~Cの内部には、鉄などの強磁性体からなる芯材を設けておくと、パイプPの内部に発生する回転磁界の強さを大きく確保することができる。
【0039】
[ロータR]
ロータRは、円柱状のものとなっている。ロータRの下流側の端部は、先細りに形成されており、後述するピボット軸受Bに支持されるようになっている。また、ロータRの上流側の端部も、先細りに形成されており、液体導入口INから導入された液体Fの流れが乱されないようになっている。本実施態様のロータRにおいて、ロータRの上流側の端部と下流側の端部を形成するテーパ面は、いずれもその母線がロータRの中心軸に対して30°の角度をなすように形成されている。ロータRの長さは、特に限定されないが、本実施態様のロータRにおいては、上流側の端部から下流側の端部までの長さが約40mmとなっている。
【0040】
ロータRの素材は、磁界発生手段Cによって発生した回転磁界によって回転するものであれば特に限定されないが、本実施態様の混合流発生装置においては、永久磁石によって形成している。ロータRに用いる永久磁石としては、サマリウムコバルト磁石やフェライト磁石などの化合物磁石や、KS磁石鋼やMK磁石鋼などの合金磁石が例示される。本実施態様の混合流発生装置においては、耐腐食性に優れているサマリウムコバルト磁石を円柱状に成形したものをロータRとして用いている。本実施態様のロータRは、全体が一体的に成形されたものとなっており、その中心軸を通る平面で分けた片側がN極で、その反対側がS極となるように磁化されているが、これに限定されない。例えば、複数の永久磁石を貼り合わせてロータRを形成するような場合には、磁極の数を3極以上とすることもできる。
【0041】
[ピボット軸受B]
ピボット軸受Bは、ロータRの先細りに形成された下流側の端部(ピボット)を支持するためのものとなっている。本実施態様のピボット軸受Bは、図1と図4に示すように、円盤状のものとなっており、その片面の中心にピボット穴を設けている。本実施態様のピボット軸受において、ピボット穴は、その開口径が0.5mmで深さが約0.4mmとなっており、その内壁面はテーパ状に形成されている。ピボット穴の内壁面を形成するテーパ面は、その母線がピボット軸受Bの中心軸に対して32.5°の角度をなすように形成されており、ロータRの下流側の端部を略1点で支持するものとなっている。
【0042】
また、ピボット軸受Bには、図4に示すように、液体F,Fを通すための貫通孔Hを設けている。このような構成を採用することで、パイプPの内部を流れる液体F,Fを各貫通孔Hの周辺部で切断して、パイプ下流部Pの液体送出口OUTから流れる混合流FABを交互流とすることも可能になると推測される。貫通孔Hの数や配置は、特に限定されないが、複数個の貫通孔HをパイプPの中心軸Lを中心として回転対称に設けた方が好ましい。これにより、パイプPの内部を流れる液体F,Fを各貫通孔Hの周辺部で規則正しく切断して、パイプ下流部Pの液体送出口OUTから流れる混合流FABをピッチの揃った交互流とすることも可能であると推測されるためである。本実施態様のピボット軸受Bにおいては、4個の貫通孔H~Hを、ピボット穴を中心として回転対称に設けている。貫通孔H~Hの合計の開口面積は、液体F,Fの流量などによっても異なり、特に限定されないが、本実施態様のピボット軸受Bにおいては、約21mmとなっている。
【0043】
[混合流の発生方法]
次に、本発明の混合流発生装置を用いて行うのに好適な混合流の発生方法について説明する。本発明の混合流の発生方法は、交互流や螺旋流などの混合流を発生させるためのものとして好適である。この場合には、液体導入口IN,INに供給する液体F,Fとして、互いに相溶しない液体を選択すると好ましい。これにより、液体Fと液体Fとの間に形成される界面の状況を容易に調整することができるようになるためである。以下においては、特に好適な例である交互流を発生させる場合を例に挙げて説明する。
【0044】
生じさせる交互流のピッチは、必ずしも均一でなくてもよいが、略均一であることが好ましい。これにより、液体送出口OUTの下流側に接続された流路で行う化学反応や抽出の再現性を高めることが可能になる。ここで、「交互流のピッチ」とは、液体送出口OUTの下流側に接続された流路を流れる一の液滴の先端から、次に流れてくる同じ種類の液滴の先端までの距離のことをいう。交互流のピッチは、液体送出口OUTの下流側に接続された流路Pの断面積や、液体Fや液体Fの流量を変えることによって調整することができる。
【0045】
具体的に交互流のピッチをいくらに設定するかは、液体送出口OUTの下流側に接続された流路Pの断面積や、化学反応や抽出の種類などによって異なるが、短く設定しすぎると、流路Pを流れる液体FABの分離回収が困難になるおそれがあるために、通常、0.01mm以上となるように設定する。交互流のピッチは、0.05mm以上であると好ましく、0.2mm以上であるとより好ましい。ところが、交互流のピッチが長すぎると、流路Pで行う化学反応や抽出の速度がそれ程速くならず、交互流を発生させる意義が低下するために、通常、30mm以下に設定される。交互流のピッチは、20mm以下であると好ましく、10mm以下であるとより好ましい。
【0046】
液体送出口OUTの下流側に接続された流路Pの断面積も、特に限定されないが、小さすぎると、流路Pを流れる液体FABの分離回収が困難になるおそれがあるために、通常、1×10-4mm以上に設定される。流路Pの断面積は、1×10-3mm以上であると好ましく、1×10-2mm以上であるとより好ましく、5×10-2mmであるとさらに好ましい。ところが、流路Pの断面積が大きすぎると、流路Pで行う化学反応や抽出の速度がそれ程速くならないばかりか、そもそも液体FABが乱流となって交互流が発生しないおそれもあるために、通常、10mm以下に設定される。流路Pの断面積は、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であるとより好ましい。
【0047】
液体F,Fの流量比も、特に限定されないが、流動状態を安定させるためには、1/9~9/1であること好ましく、2/8~8/2であるとより好ましい。
【0048】
[実験結果]
次に、本発明の混合流発生装置の動作を確認するために、下記初期条件で実験を行った。
液体F:水道水(青色に着色),流量50mL/分
液体F:シリコーンオイル,粘度10cst,流量50mL/分
ロータRの回転速度:300rpm
【0049】
その結果、図5に示すように、パイプPの内部で、液体Fと液体Fの界面が螺旋状に形成されて流れているのが確認できた。このとき、図6に示すように、液体送出口OUTの下流側に接続された流路Pの内部でも、液体Fと液体Fの界面が螺旋状に形成されて流れているのが確認できた。このように、パイプPの内部や液体送出口OUTの下流側に接続された流路で螺旋流を生じさせることによって、並行二相流の場合と比較して、液体Fと液体Fの界面の面積を増大させることができるので、反応効率を向上することができると考えられる。
【0050】
続いて、液体送出口OUTの下流側に接続された流路の先端部(液体送出口OUTに接続されていない側の端部)を押し潰して、該流路の内部圧力を高めてみると、図7に示すように、螺旋状に形成されていた界面が途切れて、液体Fと液体Fとが繰り返し現われる交互流が発生しているのが確認できた。さらに、液体Fの流量を大きくすると、図8に示すように、液体Fの容積比が高くなった交互流が発生しているのが確認できた。このように、液体送出口OUTの下流側に接続された流路で交互流を生じさせることによって、既述の分子移動に有利な特別な流動状態を発現させ、並行二相流の場合と比較して、液体Fと液体Fとの反応効率を向上することができると考えられる。
【0051】
以上の実験結果から、本発明の混合流発生装置は、各条件を変化させることで、層流支配下において、螺旋流や交互流など、化学反応や抽出に好ましい混合流を発生できるものであることが分かった。
【0052】
[用途]
本発明の混合流発生装置は、様々な用途に用いることができるが、化学反応や抽出を行わせるための混合流を発生させるためのものとして好適に用いることができる。中でも、層流支配下において、交互流や螺旋流などの混合流を発生させるためのものとして好適であり、特に、交互流を発生させるためのものとして好適なものである。また、小型化が容易であることから、マイクロリアクタとして実用化することもできる。中でも、化学薬品のスクリーニングのための合成反応試験に用いられるマイクロリアクタや、新しい化学プロセスの開発研究などに用いられるマイクロリアクタとしての実用化が期待される。また、一部のファインケミカルの分野で研究開発が進められている、製品を工業的に製造するためのマイクロリアクタとしての実用化も期待される。
図面
【図1】
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【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
7