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明細書 :構音障害改善用鼻孔栓

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4815613号 (P4815613)
登録日 平成23年9月9日(2011.9.9)
発行日 平成23年11月16日(2011.11.16)
発明の名称または考案の名称 構音障害改善用鼻孔栓
国際特許分類 A61M  16/06        (2006.01)
F16K  15/16        (2006.01)
FI A61M 16/06 Z
F16K 15/16 A
請求項の数または発明の数 11
全頁数 18
出願番号 特願2007-532025 (P2007-532025)
出願日 平成18年6月8日(2006.6.8)
国際出願番号 PCT/JP2006/311557
国際公開番号 WO2007/023607
国際公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
審査請求日 平成21年4月2日(2009.4.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】皆木 省吾
個別代理人の代理人 【識別番号】100080160、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 憲一郎
審査官 【審査官】望月 寛
参考文献・文献 特表2001-526577(JP,A)
特開昭49-87191(JP,A)
登録実用新案第3059270(JP,U)
調査した分野 A61M 16/06
F16K 15/16
特許請求の範囲 【請求項1】
鼻孔内に挿入して鼻からの呼気の漏洩を抑制する鼻孔栓であって、
呼吸における呼気の通過のみを抑制する弁ユニットと、
この弁ユニットが装着されて前記鼻孔内に配置される前記弁ユニットの支持体と
を備えた鼻孔栓。
【請求項2】
前記支持体は鼻孔に内接する筒状体とし、前記弁ユニットは、前記支持体内に着脱自在に装着したことを特徴とする請求項1記載の鼻孔栓。
【請求項3】
前記弁ユニットは、前記呼気によって前記鼻孔内の圧力が所定の圧力以上となった場合に、この圧力によって前記支持体から離脱可能としたことを特徴とする請求項2記載の鼻孔栓。
【請求項4】
左側鼻孔に挿入する第1の支持体と、右側鼻孔に挿入する第2の支持体と、前記第1の支持体と前記第2の支持体とを連結する連結バーとを備え、
この連結バーは、前記第1の支持体を前記左側鼻孔に挿入するとともに前記第2の支持体を前記右側鼻孔に挿入した際に、人中に接する位置に設けたことを特徴とする請求項3記載の鼻孔栓。
【請求項5】
左側鼻孔に挿入する第1の支持体と、右側鼻孔に挿入する第2の支持体と、前記第1の支持体と前記第2の支持体とを連結する連結バーとを備え、
いずれか一方の支持体に装着した前記弁ユニットを他方の前記弁ユニットよりも前記支持体から離脱させやすくしたことを特徴とする請求項3記載の鼻孔栓。
【請求項6】
前記弁ユニットは、通気用開口を設けた弁座と、前記通気用開口を閉塞する弁体とを備え、この弁体は、前記通気用開口を部分的に閉塞することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の鼻孔栓。
【請求項7】
前記弁ユニットは、複数の通気用開口を設けた弁座と、前記通気用開口を閉塞する弁体とを備え、この弁体は、一部の前記通気用開口のみを閉塞することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の鼻孔栓。
【請求項8】
前記弁ユニットには、所定流量の空気を流通させる通気路を設けたことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の鼻孔栓。
【請求項9】
前記支持体には所定流量の空気を流通させる通気路を設けたことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の鼻孔栓。
【請求項10】
前記弁ユニットは、両端が開口した筒状のフレームと、このフレームの一方の開口端側に設けて前記開口端を閉塞する平板状の弁座と、前記フレームの内側に面した前記弁座の側面に設けて前記弁座に設けられた通気用開口を閉塞する弁体とを備えるとともに、
前記弁座における前記弁体の配設面側には、前記フレームの内周面に設けた突部と係合するフックを備えたガイドアームを前記フレームの長手方向に沿って設け、前記フレームで前記ガイドアームを規制して前記弁座を前記フレームの長手方向に進退可能とし、
前記呼気によって前記鼻孔内の圧力が所定の圧力以上となった場合に、この圧力によって前記弁座を前記フレームから進出させて隙間を形成し、前記圧力を開放可能としたことを特徴とする請求項1記載の鼻孔栓。
【請求項11】
前記支持体は、鼻中隔に設けた貫通孔に挿通させて一方の端部を左側鼻孔内に配置するとともに他方の端部を右側鼻孔内に配置する棒状体とし、
前記弁ユニットは、前記支持体の端部に装着される弾性体で構成した弁座と、この弁座に設けた通気用開口を閉塞する弁体を備え、
前記呼気によって前記鼻孔内の圧力が所定の圧力以上となった場合に、この圧力によって前記弁座を弾性変形させて前記弁座と前記鼻孔との間に隙間を形成し、前記圧力を開放可能としたことを特徴とする請求項1記載の鼻孔栓。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻孔内に挿入して鼻からの呼気の漏洩を抑制することにより機能性構音障害を低減させる鼻孔栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、人が声を発する場合には、呼気に声帯で生成した振動に対応させた空気振動を生じさせ、口から呼気とともに発している。このとき、図29の人の鼻咽喉付近の構造を示す説明図に示すように、軟口蓋100は呼気が鼻腔200側に抜けることを防止して、呼気を主に口300から放出することにより、明瞭な音声を発せられるようになっている。
【0003】
しかしながら、脳梗塞、脳出血、筋無力症、先天異常、発育異常あるいは外傷等によって鼻咽腔400の閉塞が不完全となった場合には、発声時に鼻腔200側に呼気の一部が抜けることによって明瞭な発声が困難となっていた。これが、機能性構音障害と呼ばれているものである。
【0004】
このような場合には、鼻咽腔400の閉鎖を促すことによって機能性構音障害を低減できることが知られており、手術によって鼻咽腔400を狭窄する方法や、弛緩によって垂れ下がり状態となった軟口蓋100を持ち上げる軟口蓋拳上装置を口腔内に装着する方法、あるいは軟口蓋100の後方に栓塞子を附与するスピーチエイドなどが用いられることが多かった。図29中、500は耳管、600は鼻孔である。
【0005】
なお、図29に示すように、気道700にカニューレ800が装着された場合には、カニューレ800部分から呼気が漏れ出すことにより口からの十分な量の呼気の放出が困難となって構音障害を生じさることがあり、このような場合には、カニューレ800にスピーキングバルブと呼ばれる逆止弁900を装着し、呼吸器からの吸気は通過させる一方で呼気の通過を防止して、呼気は口を通過させて放出することにより、構音障害を発生させにくくしている。この場合に用いられる逆止弁900として、フィルタ付弁や、気管瘻孔弁などが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0006】
また、構音障害を低減させる方法として、特に、外傷性脳損傷の結果の筋弛緩による構音障害が生じていると思われる患者に対して、鼻孔600内に密に装着して鼻呼吸を完全に止める鼻孔塞子を用い、鼻孔からの呼気の漏れを止めることにより鼻腔200側への呼気の抜けを防止して発音治療を行った例が報告されている(例えば、非特許文献1参照。)
【0007】
なお、鼻孔600に装着して使用する器具として、鼻孔600からの花粉の侵入を防止することを目的とした鼻栓が知られている(例えば、特許文献3参照。)。この鼻栓は、プラスチック繊維による多孔質膜と不織布によるフィルタを内蔵した鼻栓であって、呼吸を阻害しない程度の通気性を有しながら花粉などの微粒子の除去を可能としているものであり、呼気の抜けを防止可能とはなっておらず、構音障害の低減は不可能であった。

【特許文献1】米国特許5259378
【特許文献2】米国特許4538607
【特許文献3】特開平09-239047
【非特許文献1】1994年発行のJournal of Medical Speech-Language Pathology, Vol.2, No.2, 第149頁~第155頁記載の、Stewart DS and Rieger WJの論文「A Device for the Management of Velopharyngeal Incompetence」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
機能性構音障害は、鼻咽腔を狭窄する手術や軟口蓋拳上装置の装着によって低減可能であるが、機能性構音障害の障害者の身体的負担が大きく、身体的負担のより少ない方法が求められていた。
【0009】
鼻孔に鼻孔塞子を装着する方法は身体的負担が少ない方法ではあるが、鼻孔塞子を鼻孔に装着した場合には、鼻での呼吸が完全に阻害されるとともに、鼻孔塞子による鼻孔の閉塞によって唾を飲み込む際などに生じる鼻腔内の頻繁な圧力変化により耳管を介して通じている耳の違和感や痛みが生じやすくなり、大きな不快感を与えやすいという不具合があった。
【0010】
一方、通気性を有したままの鼻栓では、機能性構音障害の低減には全く効果がなかった。
【0011】
本発明者は、このような現状に鑑み、鼻孔を閉塞して鼻孔からの呼気の漏洩を防止することにより機能性構音障害の低減を図るとともに、使用に際して不快感を覚えにくい機能性構音障害の改善器具を提供すべく研究開発を行うことにより、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、鼻孔内に挿入して鼻からの呼気の漏洩を抑制する鼻孔栓であって、呼吸における呼気の通過のみを抑制する弁ユニットと、この弁ユニットが装着されて鼻孔内に配置される弁ユニットの支持体とを備えた鼻孔栓とした。
【0013】
また、本発明では、支持体は鼻孔に内接する筒状体とし、弁ユニットは、支持体内に着脱自在に装着したことにも特徴を有するものである。
【0014】
また、本発明では、弁ユニットは、呼気によって鼻孔内の圧力が所定の圧力以上となった場合に、この圧力によって支持体から離脱可能としたことにも特徴を有するものである。
【0015】
また、本発明では、左側鼻孔に挿入する第1の支持体と、右側鼻孔に挿入する第2の支持体と、第1の支持体と第2の支持体とを連結する連結バーとを備え、この連結バーは、第1の支持体を左側鼻孔に挿入するとともに第2の支持体を右側鼻孔に挿入した際に、人中に接する位置に設けたことにも特徴を有するものである。
【0016】
また、本発明では、左側鼻孔に挿入する第1の支持体と、右側鼻孔に挿入する第2の支持体と、第1の支持体と第2の支持体とを連結する連結バーとを備え、いずれか一方の支持体に装着した弁ユニットを他方の弁ユニットよりも支持体から離脱させやすくしたことにも特徴を有するものである。
【0017】
また、本発明では、弁ユニットは、通気用開口を設けた弁座と、通気用開口を閉塞する弁体とを備え、この弁体は、通気用開口を部分的に閉塞することにも特徴を有するものである。
【0018】
また、本発明では、弁ユニットは、複数の通気用開口を設けた弁座と、通気用開口を閉塞する弁体とを備え、この弁体は、一部の通気用開口のみを閉塞することにも特徴を有するものである。
【0019】
また、本発明では、弁ユニットに所定流量の空気を流通させる通気路を設けたことにも特徴を有するものである。
【0020】
また、本発明では、支持体に所定流量の空気を流通させる通気路を設けたことにも特徴を有するものである。
【0021】
また、本発明では、弁ユニットは、両端が開口した筒状のフレームと、このフレームの一方の開口端側に設けて開口端を閉塞する平板状の弁座と、フレームの内側に面した弁座の側面に設けて弁座に設けられた通気用開口を閉塞する弁体とを備えるとともに、弁座における弁体の配設面側には、フレームの内周面に設けた突部と係合するフックを備えたガイドアームをフレームの長手方向に沿って設け、フレームでガイドアームを規制して弁座をフレームの長手方向に進退可能とし、呼気によって鼻孔内の圧力が所定の圧力以上となった場合に、この圧力によって弁座をフレームから進出させて隙間を形成し、圧力を開放可能としたことにも特徴を有するものである。
【0022】
また、本発明では、鼻中隔に設けた貫通孔に挿通させて一方の端部を左側鼻孔内に配置するとともに他方の端部を右側鼻孔内に配置する棒状体とし、弁ユニットは、支持体の端部に装着される弾性体で構成した弁座と、この弁座に設けた通気用開口を閉塞する弁体を備え、呼気によって鼻孔内の圧力が所定の圧力以上となった場合に、この圧力によって弁座を弾性変形させて弁座と鼻孔との間に隙間を形成し、圧力を開放可能としたことにも特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の鼻孔栓では、鼻孔内に挿入して鼻からの呼気の漏洩を抑制する鼻孔栓であって、呼吸における呼気の通過のみを抑制する弁ユニットと、この弁ユニットが装着されて鼻孔内に配置される弁ユニットの支持体とを備えた鼻孔栓としたことによって、装着時の身体的負担を極めて小さくしながら機能性構音障害を改善することができる。
【0024】
しかも、請求項1記載の鼻孔栓では、鼻から吸気できることによって口での吸気の必要がなく、自然な状態に近い呼吸を行うことができる。したがって、本発明の鼻孔栓を装着した患者が、不快感を覚えることなく使用することができる。
【0025】
また、請求項2記載の鼻孔栓では、請求項1記載の鼻孔栓において、支持体は鼻孔に内接する筒状とし、弁ユニットは支持体内に着脱自在に装着したことによって、支持体は、個人ごとに異なる鼻孔形状に適合させて比較的安価に形成することができ、支持体の装着感及び安定性を向上させる一方で、弁ユニットは共通化することにより、製造コストを低減させることができる。しかも、支持体の劣化あるいは弁ユニットの劣化にともなって、支持体のみあるいは弁ユニットのみの交換が可能であり、維持コストの低減を図ることができる。
【0026】
また、請求項3記載の鼻孔栓では、請求項2記載の鼻孔栓において、呼気によって鼻孔内の圧力が所定の圧力以上となった場合に、この圧力によって弁ユニットを支持体から離脱可能としたことによって、くしゃみなどによって鼻孔内の圧力が急激に高まった際に、弁ユニットだけが支持体から外れることにより鼻孔内の圧力を緩和でき、支持体が鼻孔から抜け落ちることを防止できる。したがって、弁ユニットの再装着を容易に行うことができる。
【0027】
また、請求項4記載の鼻孔栓では、請求項3記載の鼻孔栓において、左側鼻孔に挿入する第1の支持体と、右側鼻孔に挿入する第2の支持体と、第1の支持体と第2の支持体とを連結する連結バーとを備え、この連結バーは、第1の支持体を左側鼻孔に挿入するとともに第2の支持体を右側鼻孔に挿入した際に、人中に接する位置に設けたことによって、鼻孔栓の装着時に連結バーを目立たなくすることができる。しかも、鼻孔栓を取り外す場合に、連結バーを取っ手として利用することにより容易に取り外すことができる。
【0028】
また、請求項5記載の鼻孔栓では、請求項3記載の鼻孔栓において、左側鼻孔に挿入する第1の支持体と、右側鼻孔に挿入する第2の支持体と、第1の支持体と第2の支持体とを連結する連結バーとを備え、いずれか一方の支持体に装着した弁ユニットを他方の弁ユニットよりも支持体から離脱させやすくしたことによって、くしゃみなどによって鼻孔内の圧力が急激に高まった際に、離脱しやすい方の弁ユニットのみが支持体から外れて鼻孔内の圧力を緩和できるとともに、その後は、離脱した1つの弁ユニットだけの再装着を行えばよいので、弁ユニットの再装着を容易に行うことができる。
【0029】
また、請求項6記載の鼻孔栓では、請求項1~5のいずれか1項に記載の鼻孔栓において、弁ユニットは、通気用開口を設けた弁座と、通気用開口を閉塞する弁体とを備え、この弁体は、通気用開口を部分的に閉塞することによって、弁ユニットから呼気の一部を漏洩させることができ、鼻子音である「m」や「n」の音質を改善できる。
【0030】
また、請求項7記載の鼻孔栓では、請求項1~5のいずれか1項に記載の鼻孔栓において、弁ユニットは、複数の通気用開口を設けた弁座と、通気用開口を閉塞する弁体とを備え、この弁体は、一部の通気用開口のみを閉塞することによって、弁ユニットから呼気の一部を漏洩させることができ、鼻子音である「m」や「n」の音質を改善できる。
【0031】
また、請求項8記載の鼻孔栓では、請求項1~5のいずれか1項に記載の鼻孔栓において、弁ユニットには所定流量の空気を流通させる通気路を設けたことによって、弁ユニットから呼気の一部を漏洩させることができ、鼻子音である「m」や「n」の音質を改善できる。
【0032】
また、請求項9記載の鼻孔栓では、請求項1~5のいずれか1項に記載の鼻孔栓において、支持体には所定流量の空気を流通させる通気路を設けたことによって、弁ユニットから呼気の一部を漏洩させることができ、鼻子音である「m」や「n」の音質を改善できる。
【0033】
また、請求項10記載の鼻孔栓では、請求項1記載の鼻孔栓において、弁ユニットは、両端が開口した筒状のフレームと、このフレームの一方の開口端側に設けて開口端を閉塞する平板状の弁座と、フレームの内側に面した弁座の側面に設けて弁座に設けられた通気用開口を閉塞する弁体とを備えるとともに、弁座における弁体の配設面側には、フレームの内周面に設けた突部と係合するフックを備えたガイドアームをフレームの長手方向に沿って設け、フレームでガイドアームを規制して弁座をフレームの長手方向に進退可能とし、呼気によって鼻孔内の圧力が所定の圧力以上となった場合に、この圧力によって弁座をフレームから進出させて隙間を形成し、圧力を開放可能としたによって、くしゃみなどによって鼻孔内の圧力が急激に高まった際に、弁ユニットの脱落を生じさせることなく圧力を開放できる。
【0034】
また、請求項11記載の鼻孔栓では、請求項1記載の鼻孔栓において、鼻中隔に設けた貫通孔に挿通させて一方の端部を左側鼻孔内に配置するとともに他方の端部を右側鼻孔内に配置する棒状体とし、弁ユニットは、支持体の端部に装着される弾性体で構成した弁座と、この弁座に設けた通気用開口を閉塞する弁体を備え、呼気によって鼻孔内の圧力が所定の圧力以上となった場合に、この圧力によって弁座を弾性変形させて弁座と鼻孔との間に隙間を形成し、圧力を開放可能としたことによって、弁ユニット及び支持体を小型化でき、鼻孔栓の装着にともなう不快感を大きく低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は1実施形態の鼻孔栓の斜め前方から見た斜視図である。
【図2】図2は第1実施形態の鼻孔栓の斜め後方から見た斜視図である。
【図3】図3は第1実施形態の鼻孔栓の正面図である。
【図4】図4は第1実施形態の鼻孔栓の背面図である。
【図5】図5は第1実施形態の鼻孔栓の断面図である。
【図6】図6は第1実施形態の鼻孔栓の装着状態の説明図である。
【図7】図7は変容例の鼻孔栓の背面図である。
【図8】図8は第1実施形態の鼻孔栓による単音節明瞭度試験の試験結果を示すグラフである。
【図9】図9は変容例の鼻孔栓の装着状態の説明図である。
【図10】図10は2実施形態の鼻孔栓の斜め前方から見た斜視図である。
【図11】図11は2実施形態の鼻孔栓の断面図である。
【図12】図12は変容例の鼻孔栓の斜め前方から見た斜視図である。
【図13】図13は2実施形態の鼻孔栓の断面図である。
【図14】図14は弁ユニットの変容例の斜視図である。
【図15】図15は弁ユニットの変容例の断面図である。
【図16】図16は弁ユニットの変容例の断面図である。
【図17】図17は変容例の鼻孔栓の断面図である。
【図18】図18は変容例の鼻孔栓の装着状態の説明図である。
【図19】図19は変容例の鼻孔栓の断面図である。
【図20】図20は変容例の鼻孔栓の断面図である。
【図21】図21は変容例の鼻孔栓の断面図である。
【図22】図22は変容例の鼻孔栓の斜視図である。
【図23】図23は3実施形態の鼻孔栓の斜め前方から見た斜視図である。
【図24】図24は3実施形態の鼻孔栓における支持体の装着状態の説明図である。
【図25】図25は変容例の鼻孔栓の断面図である。
【図26】図26は変容例の鼻孔栓の動作説明図である。
【図27】図27は変容例の鼻孔栓の動作説明図である。
【図28】図28は変容例の鼻孔栓の斜め前方から見た斜視図である。
【図29】図29は人の鼻咽喉付近の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
A1 鼻孔栓
11 左側ハウジング
12 右側ハウジング
13 連結バー
14 弁ユニット
14a 弁体
14b 弁座
14c 通気用開口
14d 補助バー
15 飛散防止壁
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は第1実施形態の鼻孔栓A1の斜め前方から見た斜視図、図2は第1実施形態の鼻孔栓A1の斜め後方から見た斜視図、図3は第1実施形態の鼻孔栓A1の正面図、図4は第1実施形態の鼻孔栓A1の背面図、図5は第1実施形態の鼻孔栓A1の断面図である。
【0038】
第1実施形態の鼻孔栓A1は、左側鼻孔に挿入される筒状の左側ハウジング11と、右側鼻孔に挿入される筒状の右側ハウジング12と、左側ハウジング11の前端と右側ハウジング12の前端とを連結する連結バー13と、左側ハウジング11を支持体として左側ハウジング11内に設けた弁ユニット14、及び右側ハウジング12を支持体として右側ハウジング12内に設けた弁ユニット14を備えている。
【0039】
左側ハウジング11及び右側ハウジング12は、それぞれ構音障害を持つ使用者の鼻孔と内接する筒状としており、この鼻孔栓A1を使用する使用者の左右の鼻孔からそれぞれ型取りを行って、軟質のプラスチックで使用者の鼻孔形状に合わせて形成している。なお、左側ハウジング11及び右側ハウジング12は、複数の人の鼻孔から型取りをした代表的な複数種類の形状とし、使用者に適合する左側ハウジング11及び右側ハウジング12を用いてもよい。
【0040】
特に、左側ハウジング11及び右側ハウジング12は、鼻孔の奥に向けて漸次縮径したテーパ形状として、使用者の鼻孔内に密に嵌め合わせ可能としている。
【0041】
連結バー13は硬質のプラスチックで構成し、左側ハウジング11と右側ハウジング12との間の間隔を、使用者の鼻中隔の厚みよりも小さい間隔としながらそれぞれの前端とを連結することにより、左側ハウジング11と右側ハウジング12とで鼻中隔を挟んで、通常の呼吸時の呼気で鼻孔栓A1が外れることを防止している。
【0042】
特に、連結バー13は、図6に示す鼻孔栓A1の装着状態のように、装着時に使用者の人中Pに接する位置に設けることにより、鼻孔栓A1を装着した際に連結バー13を鼻で隠すことができ、鼻孔栓A1を目立たなくすることができる。
【0043】
さらに、連結バー13を人中Pに接する位置に設けた場合には、連結バー13を取っ手として鼻孔栓A1の取り外しを容易とすることができる。すなわち、一般的な日本人の鼻孔は、鼻先の裏側部分に窪み状の空間が形成されていることが多く、この窪み部分に左側ハウジング11及び右側ハウジング12の鼻先側の端部を嵌め合わせることにより左側ハウジング11及び右側ハウジング12を鼻孔内に安定的に保持できるとともに、鼻孔栓A1を取り外す際には、連結バー13を摘んで鼻孔栓A1を引き出す動作によって、鼻孔の窪み部分に嵌り合った左側ハウジング11及び右側ハウジング12の鼻先側端部を支点として左側ハウジング11及び右側ハウジング12を回転させることとなり、鼻孔栓A1が鼻先に引っ掛かった感覚を覚えることなく容易に鼻孔栓A1を取り出すことができる。
【0044】
左側ハウジング11及び右側ハウジング12の内部に設けた弁ユニット14は、図5に示すように、弾性的に反り返り変形可能な極めて薄いゴム製膜あるいはプラスチック製膜の弁体14aと、この弁体14aによって閉塞される通気用開口14cを設けた弁座14bとで構成しており、本実施形態の鼻孔栓A1では、それぞれ左側ハウジング11及び右側ハウジング12の鼻先側の開口部分に弁座14bを装着し、左側ハウジング11及び右側ハウジング12の内側に面した弁座14bの側面に弁体14aを装着している。
【0045】
特に、本実施形態では、弁体14aは左側ハウジング11及び右側ハウジング12のそれぞれ鼻中隔寄りの位置に固定的に装着しているが、弁座14bの通気用開口14cを閉塞可能となっていれば、どの位置に弁体14aを装着してもよい。
【0046】
図1及び図3に示すように、本実施形態では、弁座14bは左側ハウジング11及び右側ハウジング12の先端側の開口形状に合わせた角丸三角形状の通気用開口14cを備えたリング形状とし、通気用開口14cを横断するように互いに平行な2本の補助バー14dを架設して、弁体14aが通気用開口14cから外部に逸脱することを防止している。
【0047】
弁体14aは、左側ハウジング11及び右側ハウジング12の内側となる弁座14bの側面に装着したことによって、呼吸における吸気の際には、図5に示すように弁体14aが反り返り変形することにより通気用開口14cが大きく開口されて吸気可能となっている。
【0048】
一方、呼気の際には、弁体14aが通気用開口14cを閉塞することにより、鼻孔からの呼気の漏洩を抑制できるので、構音障害の改善を図ることができる。すなわち、弁ユニット14はいわゆる一方向弁となっている。
【0049】
なお、図4及び図5中、15は左側ハウジング11及び右側ハウジング12の後端側の開口部分に装着して破損した弁体14aの飛散を防止する飛散防止壁であって、弁体14aが万が一にも破損した場合にこの飛散防止壁15で弁体14aを受け止めている。飛散防止壁15は、呼吸の障害とならない程度の通気性を有していればどのような形状としてもよく、図4に示すように弁座14bと相似形状とする場合だけでなく、図7に示すように、角丸三角形のリング状に形成したフレーム15aに、円形の通気用開口を設けた板体15bを架設して構成してもよい。
【0050】
このように構成した鼻孔栓A1による単音節明瞭度試験の結果を図8に示す。ここで、明瞭度とは音(主として話声)の聞き取りやすさの程度をいい、発音が適切になされているかを判断する目安の一つとされているものである。
【0051】
単音節明瞭度試験では、「ア」、「ガ」、「ギュ」などの100個の単音節を被験者に発音させ、検者がどれだけ正しく聞き取れるかを聞き判定している。結果は、
PA(%)=(正しく聞き取られた音節の総数/音表の音節の総数)×100
のように、正しく聞き取られた音節の総数を音表の音節の総数で割った割合として判定しており、一般的には85%以上ならば良好で、70%以下ならば不良と考えられている。
【0052】
図8に示すように、本実施形態の鼻孔栓A1の未装着状態では明瞭度は約65%程度であるが、鼻孔栓A1を装着した場合には約83%となり、検者は聞き取りづらいという印象を受けなかった。また、鼻孔栓A1の代わりに軟口蓋拳上装置を使用した場合には、約68%程度であって、著しい改善がなされてはいなかった。
【0053】
前述した本実施形態の鼻孔栓A1は、左側ハウジング11と右側ハウジング12とを連結バー13で連結しているが、連結バー13を設けずに、図9に示すように、左側ハウジング11及び右側ハウジング12をそれぞれ鼻孔に装着してもよい。
【0054】
この場合には特に、左側ハウジング11及び右側ハウジング12は、できるだけ密に鼻孔と嵌り合うように使用者の鼻孔形状に合わせて形成することが望ましい。
【0055】
図6及び図9に示した本実施形態の鼻孔栓A1の装着状態では、左側鼻孔に挿入した左側ハウジング11の先端、及び右側鼻孔に挿入した右側ハウジング12の先端を、それぞれ鼻孔の前端縁とほぼ等しい位置としているが、左側ハウジング11の先端、及び右側鼻孔に挿入した右側ハウジング12の先端を、鼻孔の前端縁から数mm程度奥に位置させながら左側ハウジング11及び右側ハウジング12を装着することにより、鼻孔栓A1の使用者と対面した対面者から鼻孔栓A1が見えない状態とすることができ、対面者に鼻孔栓A1の存在を気づかせにくくすることができる。
【0056】
次に、第2実施形態の鼻孔栓について説明する。図10は第2実施形態の鼻孔栓A2の斜め前方から見た斜視図、図11は第2実施形態の鼻孔栓A2の断面図である。
【0057】
第2実施形態の鼻孔栓A2も、鼻孔に挿入される筒状のハウジング21と、このハウジング21を支持体としてハウジング21内に設けた弁ユニット24を備えている。
【0058】
本実施形態では、ハウジング21は軟質のプラスチックで形成した筒体であって、鼻孔に装着した際に鼻先側となる方の端部を鼻孔の奥側となる端部よりも太径として、鼻孔に嵌め合わせやすい一般的形状としている。なお、ハウジング21は、構音障害を持つ使用者の左側鼻孔または右側鼻孔からそれぞれ型取りを行って形成してもよい。
【0059】
弁ユニット24は、弾性的に反り返り変形可能な極めて薄いゴム製膜あるいはプラスチック製膜の弁体24aと、この弁体24aによって閉塞される通気用開口24cを設けた弁座24bとで構成している。
【0060】
特に、本実施形態では、弁座24bは、通気用開口24cを設けた円形の板体24b-1と、この板体24b-1の外周縁に設けた円筒状の筒状壁24b-2とで構成し、この筒状壁24b-2の一方の端縁に板体24b-1を設けている。板体24b-1には、互いに平行なスリット状に通気用開口24cを複数設けている。なお、通気用開口24cの形状はスリット状に限定するものではなく、例えば、図12に示すように円形状とした通気用開口24c'を設けてもよく、適宜の形状としてよい。
【0061】
弁体24aは、筒状壁24b-2の内側に面した板体24b-1の側面に装着して、通気用開口24cを閉塞可能としている。
【0062】
また、筒状壁24b-2における板体24b-1と対向した端部には、破損した弁体24aの飛散を防止する飛散防止壁25を装着しており、弁体24aが万が一にも破損した場合にこの飛散防止壁25で弁体24aを受け止めている。本実施形態では、飛散防止壁25は、筒状壁24b-2に装着可能とした円形の板体としており、複数のスリット状の通気用開口25cを設けて呼吸の障害となることを防止している。
【0063】
このように構成した鼻孔栓A2を鼻孔に装着すると、呼吸における吸気の際には、図11に示すように弁体24aが反り返り変形することにより通気用開口24cが大きく開口した状態となって吸気が可能となり、一方、呼気の際には、弁体24aが通気用開口24cを閉塞することにより、鼻孔からの呼気の漏洩を抑制できるので、構音障害の改善を図ることができる。
【0064】
特に、本実施形態の鼻孔栓A2では、筒状としたハウジング21の鼻先側の内周面に弁座24bの筒状壁24b-2と嵌り合う凹形状とした装着用凹部21bを設け、この装着用凹部21bに弁ユニット24を着脱自在に装着可能としている。装着用凹部21bは、鼻先側に向けて拡開状に形成して、弁ユニット24を嵌め入れやすくしている。
【0065】
弁ユニット24は、装着用凹部21bに嵌め込まれた際に、通常の呼吸によっては外れない一方で、くしゃみなどのように鼻腔側に大量の空気が流入して鼻孔内の圧力が所定の圧力以上に高まった場合に、この圧力によって図13に示すように装着用凹部21bから離脱する程度に装着用凹部21bに嵌め込んでいる。
【0066】
弁ユニット24がハウジング21から離脱する圧力は、弁ユニット24と装着用凹部21bの嵌り合いの強さによって調整しており、具体的には、弁ユニット24における筒状壁24b-2の径寸法を対応する装着用凹部21bの径寸法よりも少しだけ大きくして嵌り合いの強さを調整している。あるいは、弁ユニット24と装着用凹部21bの嵌り合いの強さの調整は、弁ユニット24における筒状壁24b-2と装着用凹部21bとの接触面積の大きさによって調整することもでき、例えば、筒状壁24b-2の外周面の一部を削って装着用凹部21bと接触しない非接触面を形成することにより調整することもできる。
【0067】
このように、本実施形態の鼻孔栓A2では、弁ユニット24をハウジング21に着脱自在としていることによって、ハウジング21の外周形状は利用者の鼻孔の形状に合わせた適宜の形状とするとともに、ハウジング21の内周形状は規格化した所定形状とすることにより弁ユニット24を共通化させることができ、製造コストの低減を図ることができる。しかも、ハウジング21の劣化及び弁ユニット24の劣化に応じて、ハウジング21のみ及び弁ユニット24のみの交換が可能であり、維持コストの低減を図ることができる。
【0068】
さらに、くしゃみなどによって鼻孔内の圧力が急激に高まった際には、この圧力によって弁ユニット24をハウジング21から離脱させることにより鼻孔内の圧力を緩和でき、ハウジング21が鼻孔から抜け落ちることを防止できる。したがって、くしゃみの後の弁ユニット24の再装着を容易に行うことができる。
【0069】
なお、くしゃみなどによって鼻孔内の圧力が急激に高まった際に、弁ユニット24をハウジング21から離脱させて圧力を緩和させるのではなく、弁ユニット自体に圧力を緩和させるための通気手段を設けてもよい。
【0070】
具体的には、図14及び図15に示すように、弁ユニット30は、両端が開口した筒状のフレーム31と、このフレーム31の一方の開口端部分に設けて開口端を閉塞する平板状の弁座32と、フレーム31の内側に面した弁座32の側面に装着して弁座32に設けられた通気用開口32cを閉塞する弁体33とで構成するとともに、弁座32における弁体33の配設面側にはフレーム31の内周面に当接させたガイドアーム34を突設して、弁座32をフレーム31の長手方向に進退可能としているものである。
【0071】
特に、ガイドアーム34の先端には、フレーム31の内周面に設けた膨出状の突部36と係合するフック35を設けて、このフック35が突部36と係合することにより弁座32がフレーム31から脱落することを防止している。
【0072】
さらに、突部36には、ガイドアーム34が嵌り込むガイド溝37を設けており、ガイドアーム34はガイド溝37に規制されながらフレーム31の長手方向に進退可能としている。
【0073】
また、フレーム31の内周面には、図15に示すように、弁座32を最も後退させた状態で、ガイドアーム34のフック35と係合する係合片38を設けている。ガイドアーム34は、フック35を係合片38に係合させることにより、通常の呼吸における呼気の圧力で弁座32が前進することを防止しており、くしゃみなどによって鼻孔内の圧力が所定値以上となった場合に、その圧力によって弁座32が押されることによりフック35と係合片38との係合状態が解除されて弁座32が進出し、図16に示すように、弁座32とフレーム31との間に隙間Sを形成して、この隙間Sから圧力を開放している。図15及び図16中、39はフレーム31に設けた弁体33の飛散防止壁である。
【0074】
弁座32は、ガイドアーム34のフック35が突部36と係合することによりフレーム31から脱落することはなく、弁座32とフレーム31との間に隙間Sが生じた場合には、弁座32をフレーム31側に押し込んでガイドアーム34のフック35をフレーム31の係合片38に係合させることにより、構音障害の改善が可能な状態に復帰可能としている。
【0075】
したがって、弁ユニット30をハウジング21から離脱させることなく鼻孔内の圧力を緩和できるので、ハウジング21から離脱した弁ユニット30が紛失することを防止でき、くしゃみをする際に慌てることなくくしゃみをすることができる。
【0076】
ハウジング21は、前述したように軟質のプラスチックで形成する場合に限定するものではなく、低反発弾性ウレタンフォームを用いることもできる。図17は低反発弾性ウレタンフォーム製のハウジング21'を用いた鼻孔栓A2'の断面図であり、低反発弾性ウレタンフォームは、指先で押し潰すことにより小さくすることができ、押し潰しを止めると元の形状にゆっくりと復元するので、鼻孔に密に接させることができ、軟質のプラスチックで形成したハウジング21と比較して短尺とすることができる。
【0077】
なお、低反発弾性ウレタンフォーム製のハウジング21'を用いた鼻孔栓A2'では、ハウジング21'自体が容易に変形するため、ハウジング21'で弁ユニット24を強固に保持するため、弁ユニット24における筒状壁24b-2には、外周面に周方向に沿ってほぞ溝26を設け、ハウジング21'の内周面にはほぞ溝26に嵌り合うほぞ27を設けて、このほぞ27とほぞ溝26との嵌り合いによって強固に装着している。
【0078】
低反発弾性ウレタンフォーム製のハウジング21'を用いた鼻孔栓A2'では、鼻孔への装着前にハウジング21'部分を指で押し潰し、ハウジング21'が元の形状に復元される前に鼻孔に挿入することにより、図18に示すように鼻孔に装着可能としている。この鼻孔栓A2'では、ハウジング21'が適宜変形することにより個人ごとに異なる鼻孔形状に適合するので、鼻孔の型取りが不要であり、しかも、左右の区別がないので、鼻孔の大きさに合わせて外周径の寸法を異ならせた複数種類のハウジング21'をあらかじめ準備しているだけでよいので、さらなる製造コストの低減を図ることができる。
【0079】
前述した実施形態では、弁ユニット24の弁体24aが弁座24bに設けた通気用開口24cをほぼ完全に閉塞するように弁体24aを設けているが、弁体24aは必ずしも通気用開口24cをほぼ完全に閉塞する必要はなく、例えば、図19に示す弁ユニット44のように、弁座44bに設けた複数の通気用開口44cの一部の通気用開口44cを弁体44aで閉塞するように弁体44aの大きさあるいは形状を調整し、常に開口状態となった通気用開口44cを設けてもよい。
【0080】
このように、常に開口状態となった通気用開口44cを設けた場合には、開口状態となった通気用開口44cから呼気の一部を漏洩させることができるので、鼻子音である「m」や「n」の音質を改善することができる。
【0081】
なお、複数設けた通気用開口44cの中から弁体24aで閉塞される通気用開口44cと、弁体24aで閉塞されない通気用開口44cとに区分するのではなく、1つの通気用開口44cを弁体24aで部分的に閉塞して、弁体24aで閉塞される領域と弁体24aで閉塞されない領域とに区分してもよい。図19中、46は低反発弾性ウレタンフォーム製のハウジング21'ほぞ27と嵌り合うほぞ溝である。
【0082】
あるいは、図20に示すように、図11に示した鼻孔栓A2で、弁座24bに所定流量の空気を流通させる通気路24eを設けて呼気の一部を漏洩可能としてもよいし、図21に示すように、ハウジング21に所定流量の空気を流通させる通気路21eを設けて呼気の一部を漏洩可能としてもよい。これらの場合でも、通気路21e,24eから呼気の一部を漏洩させることができるので、鼻子音である「m」や「n」の音質を改善することができる。
【0083】
前述した第2実施形態の鼻孔栓A2は、個々に左側鼻孔あるいは右側鼻孔に挿入してもよいし、図22に示すように、左側鼻孔に挿入する第1の鼻孔栓A2のハウジング21と、右側鼻孔に挿入する第2の鼻孔栓A2のハウジング21とを連結バー23で連結して一体化してもよい。
【0084】
特に、連結バー23は、第1の鼻孔栓A2におけるハウジング21の先端と、第2の鼻孔栓A2におけるハウジング21の先端とを連結するだけでなく、第1の鼻孔栓A2を左側鼻孔に挿入するとともに第2の鼻孔栓A2を右側鼻孔に挿入した際に、人中に接する位置に連結バー23を設けることにより、第1実施形態の鼻孔栓A1と同様に連結バー23を目立たなくすることができる。
【0085】
しかも、連結バー23を取っ手として用いることにより、鼻孔栓A2の取り扱い性を向上させることができ、特に、鼻孔栓A2を鼻孔から取り外す際に極めて容易に取り外すことができる。
【0086】
さらに、連結バー23で左側鼻孔に挿入する第1の鼻孔栓A2のハウジング21と、右側鼻孔に挿入する第2の鼻孔栓A2のハウジング21とを連結した場合には、第1の鼻孔栓A2の弁ユニット24と、第2の鼻孔栓A2の弁ユニット24のうち、何れか一方の弁ユニット24を他方の弁ユニット24よりもハウジング21から離脱させやすくすることにより、くしゃみなどによって弁ユニット24の離脱が生じる際には、一方の弁ユニット24のみが離脱することにより、弁ユニット24の再装着を容易とすることができる。
【0087】
なお、一般的には、人は左側の鼻孔と右側の鼻孔とで空気の通りやすさが異なっている場合が多く、連結バー23で連結した鼻孔栓A2を使用する使用者の状態に応じて、左右のどちらかを選択して弁ユニット24の離脱のしやすさを調整することが望ましい。弁ユニット24の離脱のしやすさの調整は、ハウジング21の装着用凹部21bと弁ユニット24との接触面積を調整することにより容易に行うことができる。
【0088】
次に、第3実施形態の鼻孔栓について説明する。図23は第3実施形態の鼻孔栓A3の斜め前方から見た斜視図である。
【0089】
第3実施形態の鼻孔栓A3も、弁ユニット54と、この弁ユニット54が装着される支持体51とで構成しており、特に、支持体51は、図24に示すように、鼻中隔Qに設けた貫通孔に挿通させて一方の端部を左側鼻孔L内に配置するとともに他方の端部を右側鼻孔R内に配置する棒状体としている。
【0090】
支持体51には、両端に第1フランジ51aと第2フランジ51bとをそれぞれ設け、この第1フランジ51aと第2フランジ51bとにより支持体51が鼻中隔Qに設けた貫通孔からの抜け出すことを防止している。なお、本実施形態では、第1フランジ51aは支持体51と一体化するとともに、第2フランジ51bは支持体51に螺着可能としている。そして、支持体51を鼻中隔Qに装着する場合には、鼻中隔Qに設けられた貫通孔に支持体51を挿入した後、支持体51の端部に第2フランジ51bを螺着している。
【0091】
弁ユニット54は、前述した第2実施形態の弁ユニット24と、この弁ユニット24が嵌め込まれる円筒状の連結具55とで構成している。弁ユニット24は連結具55に着脱自在としている。第2実施形態の弁ユニット24についての説明は重複するので省略する。
【0092】
連結具55は軟質のプラスチックで形成し、構音障害を持つ使用者の左側鼻孔L及び右側鼻孔Rと内接する円筒状としており、連結具55の外周面には、支持体51の端部に設けられた嵌合孔51cに挿入するロッド56を設けている。
【0093】
弁ユニット54は、鼻中隔Qに装着された支持体51の嵌合孔51cにロッド56を挿入させながら左側鼻孔Lまたは右側鼻孔Rに挿入して、鼻孔栓A3としている。
【0094】
このように、鼻孔栓A3を鼻中隔Qに装着する支持体51と、この支持体に装着する弁ユニット54とで構成することにより、比較的軽量な鼻孔栓A3とすることができる。
【0095】
なお、図25及び図26に示すように、弁ユニット54'は、支持体51の嵌合孔51cに挿入するロッド56'を備えたリング状の弁座54b'と、この弁座54b'に設けた通気用開口54c'を閉塞する弁体54a'とで構成することもできる。
【0096】
弁座54b'はプラスチック板などの弾性を有する平板体で構成し、リング状とした弁座54b'の外周縁の所定位置にロッド56'を設けている。なお、弁座54b'は形状記憶合金の平板で構成してもよく、形状記憶合金で弁座54b'を構成した場合には、弁ユニット54'を支持体51から取り外す際に、弁座54b'を適宜に撓ませて取り外すことができ、容易に取り外すことができるとともに、取り出した後には弁座54b'を所定温度のお湯に浸けることにより原形に容易に復元して再使用することができる。
【0097】
弁体54a'は、リング状とした弁座54b'と重なり合って通気用開口54c'を閉塞可能としており、特に、ロッド56'に配設した蝶番57に一端を連結して、この蝶番57によって弁体54a'を回動可能としている。本実施形態では、弁体54a'は蝶番57によって回動させているので、弁体54a'は必ずしも可撓性を有している必要はなく、本実施形態では、弁座54b'と同じプラスチック板で形成している。なお、弁体54a'は、弾性的に反り返り変形可能なゴム製膜あるいはプラスチック製膜で構成してもよい。
【0098】
このように構成した弁ユニット54'は、呼吸における吸気の際には、図26に示すように、弁体54a'が回動して通気用開口54c'を開口状態とすることにより吸気可能とするとともに、吸気の際には、弁体54a'が通気用開口54c'を閉塞して左側鼻孔L及び右側鼻孔Rからの呼気の漏洩を防止している。したがって、構音障害の改善を図ることができる。
【0099】
さらに、くしゃみなどによって鼻孔内の圧力が所定の圧力以上となった場合には、この圧力によって図27に示すように弁座54b'及び弁体54a'が弾性変形して鼻先側に撓むことにより、弁座54b'と左側鼻孔Lまたは右側鼻孔Rとの間に隙間を形成することができ、この隙間から速やかに圧力を開放できる。
【0100】
他の実施形態として、リング状の弁座54b'とするのではなく、例えば、図28に示すように、アーム状の弁座54b"として弁体54a"を閉状態に支持するようにしてもよい。特に、弁座54b"は二股に分岐したアーム状とすることにより弁体54a"を安定的に支持可能とするとともに、くしゃみなどによって鼻孔内の圧力が所定の圧力以上となった際に弁座54b"を撓ませやすくして、圧力を開放させやすくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
呼吸における吸気は通過させる一方で、呼気の通過は抑制する一方向弁として機能する弁ユニットを備えた鼻孔栓としているので、機能性構音障害を有する患者の構音障害を、身体的負担をできるだけ与えることなく改善できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28