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明細書 :気道確保具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4967139号 (P4967139)
登録日 平成24年4月13日(2012.4.13)
発行日 平成24年7月4日(2012.7.4)
発明の名称または考案の名称 気道確保具
国際特許分類 A61M  16/04        (2006.01)
FI A61M 16/04 A
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2007-546514 (P2007-546514)
出願日 平成18年11月24日(2006.11.24)
国際出願番号 PCT/JP2006/323499
国際公開番号 WO2007/061076
国際公開日 平成19年5月31日(2007.5.31)
優先権出願番号 2005341177
優先日 平成17年11月25日(2005.11.25)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年10月6日(2009.10.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】武田 吉正
【氏名】森田 潔
個別代理人の代理人 【識別番号】100080160、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 憲一郎
審査官 【審査官】久保 竜一
参考文献・文献 米国特許第5819733(US,A)
調査した分野 A61M 16/04
特許請求の範囲 【請求項1】
口腔から咽頭部に挿入可能としたチューブと、このチューブの周面に設けた膨脹収縮自在のカフを備えた気道確保具において、
前記チューブは、基端から先端に向けて前下がり状に湾曲させた弓形状とし、
前記チューブの先端には、咽頭部と食道との境界となる食道第一狭窄部よりも大径としたバルーン状の空洞部を設け、
前記チューブの周面には、通気用の貫通孔を設け、
前記チューブには、前記空洞部の近傍において鉤状に湾曲させることにより横方向に膨出させた膨出部を設けたことを特徴とする気道確保具。
【請求項2】
前記カフは、前下がり状に湾曲した前記膨出部の湾曲内側面または湾曲外側面の少なくともいずれか一方に設けたことを特徴とする請求項1記載の気道確保具。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記鉤状に膨出した前記膨出部の膨出内側面に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の気道確保具。
【請求項4】
前記膨出部は、前記鉤状に膨出した前記膨出部の膨出外側面に発光部を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の気道確保具。
【請求項5】
前記チューブは、咽頭部に挿入した場合に基端を腔外に位置させることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の気道確保具。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔から挿入して呼吸に必要な気道を確保する気道確保具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、意識を失った患者では呼吸のための気道が閉塞されて呼吸困難となる場合があり、このような患者に対しては、口腔または鼻腔から筒状のチューブを挿入して気道を確保することが必要である。
【0003】
このような気道確保に用いられる器具としては、気管内チューブ、経口経鼻エアウェイ、食道-気管エアウェイ、ラリンゲアルマスク、食道閉鎖式エアウェイ、食道胃チューブ付エアウェイなどが知られている。
【0004】
しかしながら、このような気道確保用の器具は、チューブの挿入にともなって気道を確保する一方で、胃から食道への内容物の逆流を防止する逆流防止機構を正しく機能させて、逆流した内容物が気管内に流入することを防止可能としているため、チューブの気道への確実な挿管、逆流防止機構の適正部位への配置、逆流防止機構による食道の確実な閉塞などの手順を正しく辿りながら使用する必要があり、正しく使用するための留意点が多く、十分な習熟が必要であった。
【0005】
そこで、熟練していない施術者であっても比較的容易かつ確実に気管内挿管を行うことができるように、気道に挿入するチューブの先端に発光ダイオードからなる発光部を設けた気管内挿管チューブが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この気管内挿管チューブでは、先端に発光部を設けたことによって懐中電灯や咽頭鏡を用いることなく挿管を行うことができるとともに、甲状舌骨膜や輪状甲状膜を通して頸部の表面に漏れる光を確認することによってチューブ本体を気管に確実に挿入することができるようにしている。
【0007】
あるいは、気管への挿入を行わず、下部咽頭まで気道用チューブを挿入し、気道用チューブの先端部に設けたカフで下部咽頭から食道へ移行する部位を閉塞するとともに、気道用チューブの中途部に設けたカフで咽頭口の入口を閉塞し、咽頭口に面した気道用チューブの周面に設けた通気用の貫通孔により気道を確保した気道確保具も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
この気道確保具では、カフによる気密性を高めやすいことによって、確実な気道確保を行うことができる。

【特許文献1】特開2003-339871号公報
【特許文献2】特開平08-322937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、先端に発光部を設けた気管内挿管チューブでは、最終的には先端部分を気管内に挿入する必要があるために、慎重な作業が要求され、緊急時においても慌てずに挿管作業を遂行できるだけの熟練が必要であり、しかも、盲目的に気管内挿管チューブを挿管することはできなかった。
【0010】
また、気道にはチューブを挿管せずに、気道用チューブに設けたカフによって気管と連通する気道を形成する場合には、下部咽頭から食道へ移行する部位を閉塞するカフを適正に位置させる作業に熟練を要するために、盲目的にチューブの挿入を行うことはできなかった。
【0011】
特に、このような気管内挿管チューブや気道用チューブなどの気道確保具による気道確保が必要な場合とは、一般的に一刻を争う場合が多く、できるだけ速やかに気道を確保する必要があるにもかかわらず、気道確保の挿管作業には慎重さが要求されるために、ある程度の熟練が少なからず必要であった。
【0012】
しかも、周知の気道確保具は、頸部に外傷のある患者に使用する場合に、頸部の可動域が制限されることによって挿入が困難となりやすく、このような場合には極めて高度な技量が要求されることがあった。
【0013】
本発明者は、このような気道確保が要求される状況下において、多くの場合で、図9に示すように仰向けに寝かせた患者Cの舌根部dが弛緩して咽頭部分に落ち込むことにより気道入口部eが咽頭後壁fと密に接し、気道が閉塞されていることを知見した。
【0014】
したがって、気道入口部と咽頭後壁との間に隙間を形成することできれば少なくとも気道を確保することはできるので、敢えて気管まで挿管を行ったり、カフによる閉塞を行ったりする必要はなく、気道入口部と咽頭後壁との間に隙間を形成することだけに着目すれば盲目的な挿管によっても気道の確実な確保が可能であると思い至り、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の気道確保具では、口腔から咽頭部に挿入可能としたチューブと、このチューブの周面に設けた膨脹収縮自在のカフを備えた気道確保具において、チューブは、基端から先端に向けて前下がり状に湾曲させた弓形状とし、チューブの先端には、咽頭部と食道との境界となる食道第一狭窄部よりも大径としたバルーン状の空洞部を設け、チューブの周面には、通気用の貫通孔を設け、チューブには、空洞部の近傍において鉤状に湾曲させることにより横方向に膨出させた膨出部を設けた
【0016】
さらに、以下の点にも特徴を有するものである。すなわち、
(1)カフは、前下がり状に湾曲した膨出部の湾曲内側面または湾曲外側面の少なくともいずれか一方に設けたこと。
(2)貫通孔は、鉤状に膨出した膨出部の膨出内側面に設けたこと。
(3)膨出部は、鉤状に膨出した膨出部の膨出外側面に発光部を備えること。
(4)チューブは、咽頭部に挿入した場合に基端を腔外に位置させること。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、口腔から咽頭部に挿入可能としたチューブと、このチューブの周面に設けた膨脹収縮自在のカフを備えた気道確保具において、チューブは、基端から先端に向けて前下がり状に湾曲させた弓形状とし、チューブの先端には、咽頭部と食道との境界となる食道第一狭窄部よりも大径としたバルーン状の空洞部を設け、チューブの周面には、通気用の貫通孔を設けたことによって、気道確保具を盲目的に咽頭部に挿入することにより気道入口部と咽頭後壁の間に間隙を形成することができ、特にカフを膨脹させることによって気道入口部と咽頭後壁の間に大きな間隙を形成することができ、確実な気道確保を行うことができる。特に、患者が頸部に外傷を有していたとしても、外傷の有無にかかわらず気道確保具を挿入でき、気道を確保することができる。
【0018】
しかも、チューブの先端には、咽頭部と食道との境界となる食道第一狭窄部よりも大径としたバルーン状の空洞部を設けたことによって、気道確保具を咽頭部に盲目的に挿入しても気道確保具先端が食道や気管に挿入されることを防止でき、そのうえ、食道第一狭窄部を基準としてチューブ周面に設けた通気用の貫通孔を所定位置に配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態にかかる気道確保具の平面図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる気道確保具の側面図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる気道確保具の斜視図である。
【図4】他の実施形態の気道確保具の使用状態説明図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる気道確保具の使用状態説明図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる気道確保具の使用状態説明図である。
【図7】本発明の実施形態にかかる気道確保具の使用状態説明図である。
【図8】変容例の気道確保具の説明図である。
【図9】患者における気道が閉塞された状態の説明図である。
【符号の説明】
【0020】
A 気道確保具
C 患者
d 舌根部
e 気道入口部
f 咽頭後壁
g 口腔
r 梨状窩
10 チューブ
11 空洞部
12 膨出部
13 貫通孔
15 鍔部
20 カフ
30 送気管
40 光ファイバ
41 発光部
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の気道確保具は、腔から咽頭部に挿入可能としたチューブと、このチューブの周面に設けた膨脹収縮自在のカフを備えた気道確保具であって、チューブの先端には、咽頭部と食道との境界となる食道第一狭窄部よりも大径としたバルーン状の空洞部を設けているものである。
【0022】
このように、チューブ先端に空洞部を設けることによって、気道確保具を盲目的に咽頭部に挿入しても気道確保具先端が食道や気管に挿入されることを防止でき、適正な位置にチューブを配置することができる。
【0023】
しかも、チューブは基端から先端に向けて前下がり状に湾曲させた弓形状とし、チューブの周面には通気用の貫通孔を設けていることによって確実な気道確保を行うことができ、特に、患者が頸部に外傷を有していたとしても、外傷の有無にかかわらず気道確保具を挿入でき、気道を確保することができる。
【0024】
さらに、空洞部の近傍において鉤状に湾曲させることにより横方向に膨出させた膨出部をチューブに設けた場合には、膨出部は、気道入口部の周囲の梨状窩に配置されることとなり、チューブを安定的に配置しながらチューブまたはカフによって気道入口部が閉塞されることを防止できる。
【0025】
以下において、図面に基づいて本発明の実施形態を詳説する。図1は、本実施形態の気道確保具Aの平面図、図2は同側面図、図3は同斜視図である。
【0026】
本実施形態の気道確保具Aは、先端が閉塞されたチューブ10と、このチューブ10の周面に設けた膨脹収縮自在のカフ20と、このカフ20への空気の圧入またはカフ20からの空気の排出を行うための送気管30とで構成している。
【0027】
さらに、気道確保具Aにはチューブ10に沿って光ファイバ40を装着し、この光ファイバ40の先端部をチューブ10の所定位置に配置して発光部41とし、光ファイバ40に光を入射することにより発光部41を発光させている。
【0028】
チューブ10は、本実施形態ではシリコン樹脂製のφ20mm程度の管状としており、先端部には、咽頭部と食道との境界となる食道第一狭窄部よりも大径としたバルーン状の空洞部11を設けている。
【0029】
チューブ10の基端部分には円盤状の鍔部15を設けており、気道確保具Aを挿入した際における鍔部15の位置によって、挿入後に生じた気道確保具Aの挿入位置の変動を素早く視認可能としている。
【0030】
さらに、チューブ10は、図2に示すように、基端から先端の空洞部11に向けて前下がり状に湾曲させた弓形状として、口腔から咽頭部に挿入しやすくしている。
【0031】
しかも、チューブ10には、図1に示すように、空洞部11の近傍において、弓形状の湾曲方向と直交する方向に鉤状に湾曲させて横方向に膨出させた膨出部12を設けている。
【0032】
そして、チューブ10における鉤状に膨出した膨出部12の膨出内側面には複数の貫通孔13を設け、この貫通孔13を介してチューブ10の内部と外部とを連通させている。
【0033】
貫通孔13は、本実施形態では、図1に示すようにチューブ10の長手方向に沿って一列に並べて設けているが、このように一列に並べて配設する形態に限定するものではなく、適宜に配置してよい。また、配設数は、本実施形態のように5つに限定するものではなく、5つ以下でも、5つ以上であってもよく、適宜の数だけ設けてよい。
【0034】
また、貫通孔13は、膨出部12の膨出内側面に設ける場合に限定するものではなく、図4に示すように、チューブ10の先端部の空洞部11に設けてもよい。特に、チューブ10の最先端に貫通孔13を設けた場合には、空洞部11が誤って気道入口部から気管に挿入された際にも、貫通孔13によって通気可能となっているので空洞部11によって気道が閉塞されることを防止できる。空洞部11に設ける貫通孔13は、1つに限定するものではなく、複数設けてもよい。
【0035】
カフ20は、図2及び図3に示すように、伸縮性を有するゴム製シートなどのシート体をチューブ10に装着して構成しており、特に、シート体は、前下がり状に湾曲したチューブ10における膨出部12部分の湾曲内側面に装着している。
【0036】
さらに、図1及び図2に示すように、カフ20には、チューブ10に沿わせて設けた送気管30の先端を装着して、この送気管30から供給された空気をシート体とチューブ10との間に圧入することにより膨脹可能としている。一方、膨脹したカフ20内の空気は、送気管30を介してカフ20内から排出されることによりカフ20を収縮可能としている。
【0037】
送気管30の基端には、逆止弁部31を介して注射器32を接続可能としている。逆止弁部31は、注射器32が装着されていない状態では、膨脹したカフ20からの空気の漏出を防止するように閉弁状態を維持する。一方、注射器32を装着した状態では逆止弁部31は開弁状態となって、注射器32におけるピストンの操作によってカフ20への空気の圧入、またはカフ20からの空気の排気を可能としている。なお、膨脹したカフ20から空気を排気する場合には、ピストンが装着されていない注射器32を逆止弁部31に装着することによって行うこともできる。
【0038】
本実施形態では、カフ20は、前下がり状に湾曲したチューブ10における膨出部12部分の湾曲内側面に設けているが、湾曲外側面に設けてもよい。なお、カフ20は、チューブ10の長手方向に沿って長手状に設けることが望ましい。
【0039】
チューブ10に装着した光ファイバ40は、基端側にペンライトなどの適宜の光源を装着することにより光を入力可能としており、入力された光を光ファイバ40で導いて、チューブ10の所定位置に設けた光ファイバ40の先端である発光部41から照射可能としている。
【0040】
特に、発光部41は、チューブ10における膨出部12の鉤状に膨出した膨出外側面に設けている。発光部41には、照射される光の拡散を抑制するようにレンズなどの照射調整手段を設けてもよい。
【0041】
本実施形態では、発光部41において、光ファイバ40によって伝播させた光を照射しているが、発光ダイオードなどの発光手段を設けてもよい。
【0042】
このように構成した気道確保具Aを使用する場合には、図5に示すように、患者Cを仰向けに寝かせ、口を開いて気道確保具Aを口腔gに挿入する。このとき、気道確保具Aの送気管30の逆止弁部31には注射器32をあらかじめ接続している。また、光ファイバ40の基端には点灯したペンライト(図示せず)を装着して、気道確保具Aの発光部41を発光させている。また、気道確保具Aの表面には、適宜の潤滑剤を塗布している。
【0043】
口腔gに挿入された気道確保具Aは、図6に示すように気道確保具Aの先端の空洞部11が咽頭部と食道との境界となる食道第一狭窄部に達するまで挿入され、空洞部11が食道第一狭窄部に当たった時点で挿入を停止する。
【0044】
空洞部11は、食道第一狭窄部よりも大径としていることにより、気道確保具Aを咽頭部に盲目的に挿入しても気道確保具Aの先端が食道や気管に挿入されることを防止でき、しかも、食道第一狭窄部を基準としてチューブ10の周面に設けた通気用の貫通孔13を所定位置に配置できる。
【0045】
したがって、チューブ10によって舌根部dを持ち上げて気道入口部eと咽頭後壁fの間に間隙を形成することができるとともに、貫通孔13を介してチューブ10と気管とが連通状態となることにより、気道を確保することができる。特に、患者Cが頸部に外傷を有していたとしても、外傷の有無にかかわらず気道確保具Aを挿入するだけでよく、熟練を要することなく確実な気道確保を行うことができる。
【0046】
特に、貫通孔13は、鉤状に膨出した膨出部12の膨出内側面に設けたことによって、貫通孔13の閉塞が生じるおそれがなく、気道入口部eと咽頭後壁fの間に形成した間隙からだけでなく、チューブの内部を介しても気道との空気の流通を可能とすることができ、確実に気道を確保できる。
【0047】
また、チューブ10には、空洞部11の近傍に鉤状に湾曲した膨出部12を設けていることによって、図6に示すように、チューブ10またはカフ20によって気道入口部eが閉塞されることを防止でき、しかも、チューブ10の先端の空洞部11が気管に挿入されることを防止できる。
【0048】
特に、膨出部12は、気道入口部eの周囲の梨状窩rに配置されることとなり、チューブ10を安定的に配置することができる。
【0049】
気道確保具Aが咽頭部に挿入されると、膨出部12の鉤状に膨出した膨出外側面に設けた発光部41が頸部に位置し、発光部41から照射された光が頸部の表面に漏れることによってチューブ10の挿入位置を確認することができる。
【0050】
チューブ10が適正な挿入位置に挿入されていることを確認した後、送気管30に接続した注射器32によりカフ20に吸気を圧入してカフ20を膨脹させることによって、図6に示すように、気道入口部eと咽頭後壁fの間に大きな間隙を形成することができ、確実な気道確保を行うことができる。
【0051】
その後、必要に応じて、気管内チューブなどの気管への挿管を行う気道確保具を用いて胃の内容物の逆流に対応可能としてもよく、気道確保具Aによって既に気道が確保されていることによって、心理的にゆとりをもって挿管を行うことができるので、確実な挿管を可能とすることができる。
【0052】
図7に示すように、気道確保具Aは、先端の空洞部11が食道第一狭窄部に当たるまで挿入された際に、基端が腔外に位置する長さとしている。したがって、気道確保具Aで気道が確保された後には、患者Cに麻酔器(図示せず)などに接続された呼吸用マスクH、あるいは手動ポンプ式の呼吸用マスクを装着することができ、陽圧呼吸を行わせることができる。
【0053】
特に、気道確保具Aの挿入後には、気道確保具Aにおけるチューブ10の基端部分に設けた円盤状の鍔部15の位置を目視確認することによって、挿入後に生じた気道確保具Aの挿入位置の変動を素早く認識でき、異常状態の早期発見を可能とすることができる。
【0054】
このとき、送気管30及び光ファイバ40が邪魔となる場合には、送気管30は所定位置で空気漏れがないようにクリップして切断し、光ファイバ40も所定位置で切断してもよい。
【0055】
気道確保具Aが不要となった場合には、送気管30を介してカフ20から空気を排出することによりカフ20を収縮させ、気道確保具Aを咽頭から引き抜く。
【0056】
上述した実施形態では、咽頭部に1つの気道確保具Aを挿入する場合について説明したが、変容例として、図8に示すように、例えば2本の気道確保具A'を咽頭部に挿入してもよい。この場合、一方の気道確保具A'の膨出部12'と、他方の気道確保具A'の膨出部12'は、それぞれ逆方向に膨出させて鏡面対称に構成し、気道入口部eを取り囲むように膨出部12',12'を配置することにより、より大きな気道を確保することができる。
【0057】
このように、2本の気道確保具A'を用いる場合には、各気道確保具A'の先端における空洞部11',11'は、互いに安定的に当接するように、平面状の当接面、あるいは互い嵌り合うように一方を凸形状に、他方を凹形状にした当接面を設けておくことが望ましい。
【0058】
また、2本の気道確保具A'を用いる場合には、各気道確保具A'の基端には、図8に示すように鍔部を設けなくてもよいし、必要に応じて適宜の形状の鍔部、あるいは他方の気道確保具A'を挿入させやすくするためのガイド構造を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の気道確保具は、口腔から挿入するチューブを基端から先端に向けて前下がり状に湾曲させた弓形状とし、チューブの先端に咽頭部と食道との境界となる食道第一狭窄部よりも大径としたバルーン状の空洞部を設けるとともに、チューブの周面に通気用の貫通孔を設けたことによって、盲目的に挿入しても確実に気道確保が行える気道確保具を提供でき、医療機関でだけでなく、介護施設や学校の保健室など医師が常駐しないものの気道確保の処置の必要性が生じるおそれのある施設に常備して、万が一の場合に速やかな気道確保の処置を可能とすることができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8