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明細書 :複素環式化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5181190号 (P5181190)
登録日 平成25年1月25日(2013.1.25)
発行日 平成25年4月10日(2013.4.10)
発明の名称または考案の名称 複素環式化合物の製造方法
国際特許分類 C07D 307/87        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07D 307/87
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 9
全頁数 20
出願番号 特願2008-505106 (P2008-505106)
出願日 平成19年3月9日(2007.3.9)
国際出願番号 PCT/JP2007/054644
国際公開番号 WO2007/105622
国際公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
優先権出願番号 2006066594
優先日 平成18年3月10日(2006.3.10)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年3月5日(2010.3.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】高井 和彦
【氏名】國信 洋一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100113181、【弁理士】、【氏名又は名称】中務 茂樹
審査官 【審査官】伊藤 幸司
参考文献・文献 J. Org. Chem. ,1960年,25(9),pp.1481-1484
J. Org. Chem.,1981年,46(18),pp.3752-3754
Tetrahedron Letters,1986年,27(7),pp.869-872
Tetrahedron Letters,2005年,46(24) ,pp.4225-4229
Tetrahedron Letters,2005年,46(42),pp.7201-7204
J. Am. Chem. Soc.,2006年,128(1) ,pp.202-209
調査した分野 C07D
CASREACT(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I)
【化1】
JP0005181190B2_000026t.gif
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基であり;R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基であり;R、R、R、R、R及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物と下記式(II)
【化2】
JP0005181190B2_000027t.gif
[式中、Rは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい芳香族複素環基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアルキニル基であり;Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子からなる群から選択される1種である。]
で示される化合物とを反応させることを特徴とする、下記式(III)
【化3】
JP0005181190B2_000028t.gif
[式中、R、R、R、R、R、R及びXは、上記式(I)及び式(II)と同じ。]
で示される複素環式化合物の製造方法。
【請求項2】
が置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい芳香族複素環基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアルキニル基である請求項記載の複素環式化合物の製造方法。
【請求項3】
Xが酸素原子である請求項1又は2記載の複素環式化合物の製造方法。
【請求項4】
遷移金属化合物からなる触媒の存在下に反応させる請求項1~のいずれか記載の複素環式化合物の製造方法。
【請求項5】
前記触媒が、周期表第7族、第8族、第9族又は第10族に属する遷移金属化合物である請求項記載の複素環式化合物の製造方法。
【請求項6】
前記触媒がレニウム化合物からなる請求項記載の複素環式化合物の製造方法。
【請求項7】
前記レニウム化合物がレニウム(I)化合物である請求項記載の複素環式化合物の製造方法。
【請求項8】
式(I)で示される化合物に対する、式(II)で示される化合物のモル比(II/I)を1.5以上として反応させる請求項1~7のいずれか記載の複素環式化合物の製造方法。
【請求項9】
生成する水を反応系から除去しながら反応を進行させる、請求項記載の複素環式化合物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、複素環式化合物、特にイソベンゾフランやそれに類する複素環式化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長いπ共役系を有する複素環式化合物は、有機電界発光(EL)素子や有機電界効果型トランジスタ(FET)素子、蛍光色素などの材料としての興味がもたれている。そして、そのような複素環式化合物の1つとしてイソベンゾフランやそれに類する化合物などが挙げられる。これまでに、イソベンゾフランやその酸素原子を硫黄原子やセレン原子などに置き換えた化合物を合成する方法がいくつか報告されている。
【0003】
例えば非特許文献1には、オルトジベンゾイルベンゼンを水素化ホウ素カリウムで還元してから、酸触媒を用いて脱水させて1,3-ジフェニルイソベンゾフランを合成する方法が記載されている。そして、この方法で得られた1,3-ジフェニルイソベンゾフランに対して、五硫化二リンを反応させることで、1,3-ジフェニルベンゾ[c]チオフェン(イソチアナフテン)が得られることも記載されている。非特許文献2には、2,2-ジメチル-1,3-ジフェニルイソインデンを空気中で酸化させて、1,3-ジフェニルイソベンゾフランを合成する方法が記載されている。非特許文献3には、ベンゾフェノントシルヒドラゾンのジリチウム塩に対して、ベンゾイルクロリドを反応させてから、臭化リチウムを反応させて1,3-ジフェニルイソベンゾフランを合成する方法が記載されている。非特許文献4には、イソベンゾフランに対してWoollins reagent([PhP(Se)(μ-Se)])を反応させることによってベンゾ[c]セレノフェン(イソセレナナフテン)を合成する方法が記載されている。
【0004】
しかしながら、これらの例に示されているように、従来の合成方法では、特殊な原料が必要になることが多かった。したがって、その原料の合成には多段階を必要とし、長時間を要するとともに、製造コストが高かった。また、得られる複素環式化合物の環骨格の任意の位置に置換基を導入することも容易ではなかった。さらに、反応剤の安全性、多量の溶媒の必要性、多量の副生成物の生成などの問題を有する場合も多かった。
【0005】
非特許文献5においては、イミノ基が結合した芳香環のオルト位のC-H結合をレニウム化合物によって活性化してから、アセチレンと反応させてインデン誘導体を合成する方法や、同様に活性化してからイソシアナートと反応させてフタルイミジン誘導体を合成する方法が、本件出願の発明者らによって既に報告されている。
【0006】

【非特許文献1】M. P. Cava、外2名、Journal of Organic Chemistry、1960年、第25巻、p.1481-1484
【非特許文献2】E. Johansson、外1名、Journal of Organic Chemistry、1981年、第46巻、p.3752-3754
【非特許文献3】J. T. Sharp、外1名、Tetrahedron Letters、1986年、第27巻、p.869-872
【非特許文献4】A. K. Mohanakrishnan、外1名、Tetrahedron Letters、2005年、第46巻、p.7201-7204
【非特許文献5】Y. Kuninobu、外3名、Journal of the American Chemical Society、2006年、第128巻、p.202-209
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、入手容易な原料から短い反応工程でイソベンゾフランやそれに類する複素環式化合物を合成する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、下記式(I)
【化1】
JP0005181190B2_000002t.gif
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基であり;R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基であり;R、R、R、R、R及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物と、下記式(II)
【化2】
JP0005181190B2_000003t.gif
[式中、Rは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい芳香族複素環基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアルキニル基であり;Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子からなる群から選択される1種である。]
で示される化合物とを反応させることを特徴とする、下記式(III)
【化3】
JP0005181190B2_000004t.gif
[式中、R、R、R、R、R、R及びXは、上記式(I)及び式(II)と同じ。]
で示される複素環式化合物の製造方法を提供することによって解決される。
【0010】
このとき、Rが置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい芳香族複素環基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアルキニル基であることが好適である。Xが酸素原子であることも好適である。また、遷移金属化合物からなる触媒の存在下に反応させることが好ましく、そのような触媒としては、周期表第7族、第8族、第9族又は第10族に属する遷移金属化合物、なかでもレニウム化合物、特にレニウム(I)化合物が好適に用いられる。反応に際しては、式(I)で示される化合物に対する式(II)で示される化合物のモル比(II/I)を1.5以上として反応させることが好ましい。またXが酸素原子である場合には、生成する水を反応系から除去しながら反応を進行させることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、入手容易な原料から短い反応工程でイソベンゾフランやそれに類する複素環式化合物を合成することができる。そして、当該複素環式化合物の環骨格の任意の位置にさまざまな置換基を導入することも容易であり、機能材料や医薬品、あるいはそれらの中間体などとして有用な化合物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、イミノ基の炭素原子に結合した少なくとも1つの芳香環を有し、かつ該芳香環においてイミノ基からオルトの位置に少なくとも1つの水素原子を有する芳香族イミンと、アルデヒド、チオアルデヒド、セレノアルデヒド及びテルロアルデヒドからなる群から選択される1種の化合物とを反応させることを特徴とする、イソベンゾフラン、イソチアナフテン、イソセレナナフテン及びイソテルラナフテンからなる群から選択される1種の複素環式化合物の製造方法である。
【0013】
まず、本発明の製造方法における原料化合物の一方である芳香族イミンについて説明する。当該芳香族イミンは、本発明の反応の進行を阻害しない任意の置換基を有してもよい。具体的には、下記式(I)で示される化合物が好適に用いられる。
【0014】
【化4】
JP0005181190B2_000005t.gif
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基であり;R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基であり;R、R、R、R、R及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。]
【0015】
ここで、式(I)において芳香環に結合している1価の置換基R、R、R及びRは、本発明の反応の進行を阻害しないものであれば特に限定されず、上述の各種置換基を採用することができる。しかしながら、式(I)に示されるように、上記芳香環において、イミノ基からみてオルトの位置には少なくとも1つの水素原子が結合していることが必要である。後に、本発明の反応の推定メカニズムを説明するが、イミノ基からみてオルト位のC-H結合を活性化することによって反応が進行していると推定されるからである。
【0016】
置換基R、R、R及びRにおいて、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基及びアリールアゾ基の炭素数は特に限定されず、高分子鎖であっても構わないが、通常1~20であり、好適には1~10である。
【0017】
式(I)において、Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基である。しかしながら、反応生成物の安定性の観点からは、Rが水素原子でない方が好ましい。すなわち、式(I)で示される化合物はアルジミンではなくケチミンである方が好ましい。また、得られる複素環式化合物の安定性の観点からは、Rは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい芳香族複素環基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアルキニル基であることがより好ましく、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい芳香族複素環基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基又は置換基を有してもよいアリールアルキニル基であることがさらに好ましい。Rの各置換基の炭素数は特に限定されず、高分子鎖であっても構わないが、通常1~20であり、好適には6~20であり、より好適には6~10である。Rの好適な具体例としては、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいシンナミル基などが例示される。
【0018】
式(I)において、Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基である。しかしながら、反応性の観点からは、Rが水素原子でない方が好ましい。Rの各置換基の炭素数は特に限定されず、高分子鎖であっても構わないが、通常1~20であり、好適には6~20であり、より好適には6~10である。Rは、最終的には目的生成物の中には取り込まれず、副生物であるアミンあるいはアルジミンの中に取り込まれる置換基である。Rの好適な具体例としては、フェニル基、ベンジル基などが例示される。
【0019】
式(I)においてR、R、R、R、R及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。例えば、R、R、R及びRのうち隣接する置換基同士が結合して環を形成してもよいし、離れた置換基同士が結合して環を形成してもよい。また、Rが、R、R、R又はRと結合してもよい。さらには、Rが、R、R、R、R又はRと結合してもよく、この場合には反応によって副生するアミンあるいはアルジミンが式(III)で示される複素環式化合物中に取り込まれることになる。また、R、R、R、R、R及びRの、3個以上の置換基が相互に結合してもよい。このようにして形成される環は、芳香環であっても、非芳香環であってもよい。また、炭素環であっても複素環であってもよい。環を形成する場合の置換基の炭素数は特に限定されず、その環が高分子鎖に結合していても構わないが、通常1~20であり、好適には6~20であり、より好適には6~10である。ここでの炭素数は、相互に結合して環を形成した置換基の合計の炭素数である。例えば、R及びRの位置でベンゼン環が縮合したナフタレン環を形成する場合にはその炭素数は4とカウントされる。
【0020】
次に、本発明の製造方法における原料化合物の他方である、アルデヒド、チオアルデヒド、セレノアルデヒド及びテルロアルデヒドからなる群から選択される1種の化合物について説明する。当該化合物は、本発明の反応の進行を阻害しない任意の置換基を有してもよい。具体的には、下記式(II)で示される化合物が好適に用いられる。
【0021】
【化5】
JP0005181190B2_000006t.gif
[式中、Rは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい芳香族複素環基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアルキニル基であり;Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子からなる群から選択される1種である。]
【0022】
式(II)において、Rは、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい芳香族複素環基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいアルキニル基である。すなわち、C=X結合と共役可能な芳香環又は不飽和結合を有するものである。なかでも、生成物の安定性の観点から、C=X結合と共役可能な芳香環を有するもの、すなわち、Rが、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい芳香族複素環基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基又は置換基を有してもよいアリールアルキニル基であることが好ましい。Rの好適な具体例としては、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいシンナミル基などが例示される。後の実施例でも示すように、本発明の方法によれば、Rが、電子吸引基を有するフェニル基であっても、電子供与基を有するフェニル基であっても良好な収率が得られることがわかっており、様々な置換基の導入が可能である。
【0023】
式(II)において、Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子からなる群から選択される1種である。Xが酸素原子である場合、式(II)で示される化合物は、アルデヒドである。Xが硫黄原子である場合、式(II)で示される化合物は、チオアルデヒドである。Xがセレン原子である場合、式(II)で示される化合物は、セレノアルデヒドである。Xがテルル原子である場合、式(II)で示される化合物は、テルロアルデヒドである。これらの化合物は安定な三量体を形成する場合があり、例えば、チオアルデヒドの場合にはトリチアン環を形成して三量体を形成する。本発明の製造方法では、このような三量体を原料として使用してもよく、この場合、反応系内で生成した単量体を経て反応が進行する。
【0024】
上記式(I)で示される化合物と、上記式(II)で示される化合物とを反応させることによって、式(III)で示される複素環式化合物が得られる。式(III)で示される複素環式化合物は、以下に示す分子構造を有するものである。
【0025】
【化6】
JP0005181190B2_000007t.gif
[式中、R、R、R、R、R、R及びXは、上記式(I)及び式(II)と同じ。]
【0026】
式(III)において、Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子からなる群から選択される1種である。Xが酸素原子である場合、式(III)で示される複素環式化合物はイソベンゾフラン(2-ベンゾフラン:ベンゾ[c]フラン)である。Xが硫黄原子である場合、式(III)で示される複素環式化合物は、イソチアナフテン(2-ベンゾチオフェン(ベンゾ[c]チオフェン)である。Xがセレン原子である場合、式(III)で示される複素環式化合物は、イソセレナナフテン(2-ベンゾセレノフェン:ベンゾ[c]セレノフェン)である。Xがテルル原子である場合、式(III)で示される複素環式化合物は、イソテルラナフテン(2-ベンゾテルロフェン:ベンゾ[c]テルロフェン)である。
【0027】
式(III)で示される複素環式化合物において、R、R、R、R、R及びRの置換基は、それぞれ原料である式(I)で示される化合物及び式(II)で示される化合物から位置選択的に導入される。式(I)で示される化合物も、式(II)で示される化合物も、さまざまな置換基を導入することが容易な化合物であるから、結果として、さまざまな置換基を所望の位置に有する式(III)で示される複素環式化合物を、一工程で容易に製造することができる。
【0028】
以上説明した反応を、Xが酸素原子である場合を例として反応式で示すと、下記式(1)のとおりである。すなわち、式(I)で示される化合物1モルに対して、式(IIa)で示される化合物2モルを反応させることによって、式(IIIa)で示される複素環式化合物1モルが得られるとともに、式(IV)で示される化合物(アルジミン)1モル及び水1モルが副生する。式(IIa)で示される化合物は、半分が式(I)で示される化合物と直接反応し、残りの半分は反応中に副生したアミンを捕捉して式(IV)で示される化合物(アルジミン)を形成するために消費される。ここで、式(IV)で示される化合物中のR及びRは、式(I)及び式(II)と同義である。
【0029】
【化7】
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【0030】
本発明の製造方法においては、式(I)で示される化合物に対して、式(II)で示される化合物を過剰に用いることが好ましい。具体的には、式(I)で示される化合物に対する、式(II)で示される化合物のモル比(II/I)を1.5以上として反応させることが好ましく、1.8以上とすることがより好ましい。モル比(II/I)は通常10以下であり、好適には5以下である。
【0031】
式(I)で示される化合物と、式(II)で示される化合物とを混合して反応させる方法は特に限定されない。溶媒を用いて溶液中で反応させても構わないし、無溶媒で反応させても構わない。使用できる溶媒は、特に限定されないが、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジクロロエタン、テトラヒドロフランなど、非プロトン性の有機溶媒が好適である。中でも、炭化水素溶媒あるいは含ハロゲン炭化水素溶媒が好適に使用される。式(II)中のXが酸素原子である場合、反応が進行するに従って水が副生するので、生成する水を反応系から除去しながら反応を進行させることが好ましい。反応系中に水が存在すると、原料である式(I)で示される化合物が加水分解するおそれがあるからである。水を反応系から除去する方法は、特に限定されない。モレキュラーシーブスなどの吸水剤を反応系内に共存させてもよいし、溶媒を加熱還流させる際に水分を除去してもよい。反応温度は特に限定されないが、通常0~300℃の温度が採用される。好適には、50℃以上であり、また200℃以下である。
【0032】
式(I)で示される化合物と式(II)で示される化合物とを反応させる際に、遷移金属化合物からなる触媒の存在下に反応させることが好ましい。遷移金属化合物の使用量は特に限定されないが、式(I)で示される化合物のモル数に対して、金属原子基準で0.001~0.5倍のモル数の遷移金属化合物を使用するのが好ましい。反応速度や収率の観点からは、遷移金属化合物の使用量は、式(I)で示される化合物のモル数に対してより好適には0.005倍以上であり、さらに好適には0.01倍以上である。一方、製造コストや廃棄物の削減の観点からは、遷移金属化合物の使用量は、式(I)で示される化合物のモル数に対してより好適には0.2倍以下であり、さらに好適には0.1倍以下である。
【0033】
触媒として用いられる遷移金属化合物は、周期表第7族、第8族、第9族又は第10族に属する遷移金属化合物であることが好ましい。これらの遷移金属化合物は、一般的に、C-H結合を活性化させる能力を有すると考えられているからである。特に、レニウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウムの化合物が好適である。これらのうちでも、レニウム化合物、特に1価のレニウム化合物(レニウム(I)化合物)が好適に用いられる。レニウム化合物としては特に限定されないが、配位子を含む化合物(錯体)であることも好ましく、この場合の配位子としては、臭素、塩素などのハロゲン原子、一酸化炭素、テトラヒドロフラン(thf)などが挙げられる。具体的なレニウム化合物としては、[ReBr(CO)(thf)]、ReBr(CO)、ReCl(CO)などが例示される。ここで、レニウム(I)化合物を用いる場合、反応系中にレニウム(I)化合物が存在していればよく、添加するレニウム化合物の価数が異なっていてもよい。例えば、0価のレニウム化合物が反応系内で酸化されてもよいし、多価のレニウム化合物が反応系内で還元されてもよい。
【0034】
本発明の反応のメカニズムは必ずしも明らかではないが、レニウム触媒を用い、式(II)で示される化合物としてアルデヒドを用いた場合には、下記式(2)のようなメカニズムが推定される。まず、芳香環のオルト位のC-H結合がレニウム触媒によって活性化され、形成されたC-Re結合に対してアルデヒドが挿入する。続いて、分子内で求核的に環化反応が進行し、レニウム塩が還元的に脱離するとともに、アミンが脱離する。脱離したアミンはアルデヒドと反応して脱水することにより、アルジミンを形成する。
【0035】
【化8】
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【0036】
こうして得られた、式(III)で示される複素環式化合物は、長いπ共役系を有するので、有機電界発光(EL)素子や有機電界効果型トランジスタ(FET)素子、有機発光ダイオード、蛍光色素などの材料として有望である。本発明の製造方法によれば、さまざまな置換基を所望の位置に有する複素環式化合物を、一工程で容易に製造することができる。したがって、式(III)で示される複素環式化合物の物理的性質を調整することが容易になり、分子設計に基づいた目的化合物を容易に得ることができるようになる。
【0037】
例えば、下記式(3)及び(4)に示される化合物(B1553)は、電子輸送能力(Electron Transport capability)とホール輸送能力(Hole Transfer capability)に優れ、固体状態において強く発光し、ホール輸送層(HT layer)に真空蒸着させることも容易なので、有機発光ダイオードに好適に用いられる。そして、その製造方法については、下記式(3)の方法が報告されている(J. Am. Chem. Soc. 1967, 89, 6091)。これに対し、本発明の製造方法によれば、式(4)に示される方法によって簡単にB1553を製造することができる。
【0038】
【化9】
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【0039】
【化10】
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【0040】
また、式(III)で示される複素環式化合物は、反応中間体としても有用である。例えば、式(III)で示される複素環式化合物に対して、オレフィン(V)又はアセチレン(VII)を反応させてDiels-Alder反応を進行させることも好ましい。このとき、予め合成した複素環式化合物に対して、オレフィン(V)又はアセチレン(VII)を反応させてDiels-Alder反応を進行させてもよい。しかしながら、式(I)で示される化合物、式(II)で示される化合物、オレフィン(V)又はアセチレン(VII)の三成分を共存させて反応を進行させ、生成した式(III)で示される複素環式化合物を、反応系中でオレフィン(V)又はアセチレン(VII)によって捕捉するのが好ましい。これは、式(III)で示される複素環式化合物が不安定である場合に特に有効な手法である。この場合、オレフィン(V)又はアセチレン(VII)を、式(I)で示される化合物に対して過剰の量配合することが好ましい。式(III)で示される複素環式化合物に対して、下記式(V)で示されるオレフィンを反応させた場合には、下記式(VI)で示されるDiels-Alder付加生成物が得られる。また、式(III)で示される複素環式化合物に対して、下記式(VII)で示されるアセチレンを反応させた場合には、下記式(VIII)で示されるDiels-Alder付加生成物が得られる。ここで、R、R、R10、R11、R12及びR13の各置換基は、前記R、R、R及びRと同じものを使用することができる。
【0041】
【化11】
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【0042】
【化12】
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【0043】
【化13】
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【0044】
【化14】
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【0045】
以上のようにしてDiels-Alder反応で得られる化合物は、多数の環が結合した骨格を有していて、長いπ共役系を有することも多いので、有機電界発光(EL)素子や有機電界効果型トランジスタ(FET)素子、有機発光ダイオード、蛍光色素などの材料として有望である。本発明の製造方法によれば、さまざまな置換基を所望の位置に有する多環式化合物を容易に製造することができる。例えば、新しい青色発光物質である7,16-ジヒドロヘプタセン誘導体は下記式(5)の方法で合成できることが報告されている(J. Org. Chem. 2006, 71, 4085)が、多段階の反応を要している。これに対し、本発明の製造方法によれば、式(6)に示されるように、工程の大幅な削減が可能である。
【0046】
【化15】
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【0047】
【化16】
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【実施例】
【0048】
実施例1
式(I)で示される化合物として、芳香族イミンである、N-(ジフェニルメチレン)ベンゼンアミン129mg(0.500mmol)、式(II)で示される化合物としてベンズアルデヒド102μL(1.00mmol)、触媒として[ReBr(CO)(thf)]10.6mg(0.0125mmol)、モレキュラーシーブス4A0.2g及びトルエン1.0mLの混合物を、115℃で還流条件下加熱した。24時間後、式(III)で示される複素環式化合物として1,3-ジフェニルイソベンゾフランが95%の収率(H-NMR収率)で生成した。このとき、N-(フェニルメチレン)ベンゼンアミンの副生が確認された。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離、精製したところ、1,3-ジフェニルイソベンゾフランが123mg(91)%得られた。生成物の構造は、H-NMR、13C-NMR及びIRにより同定した。触媒の[ReBr(CO)(thf)]はVitali, D.; Calderazzo, F. Gazz. Chim. Ital. 1972, 102, 587に記載された方法に従って調製した。本実施例の化学反応式を下記式(3)に示す。また、式(III)で示される複素環式化合物の収率を表1にまとめて示す。
【0049】
実施例1で得られた1,3-ジフェニルイソベンゾフランの化学構造は、下記式(IX)に示すとおりである。
【0050】
【化17】
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【0051】
また、実施例1で得られた1,3-ジフェニルイソベンゾフランの構造データは、以下のとおりである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.01-7.04 (m, 2H), 7.30 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.49 (t, J = 7.8 Hz, 4H), 7.83-7.87 (m, 2H), 7.95 (d, J = 7.8 Hz, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 120.17 (2C), 122.08 (2C), 124.77 (4C), 125.14 (2C), 126.88 (4C), 128.94 (2C), 131.63 (2C), 143.72 (2C); IR (nujol, ν / cm-1) 1653 (m), 1597 (m), 1492 (m), 1205 (m), 1068 (m), 1028 (m), 910 (m), 765 (s), 741 (m), 691 (s), 658 (s)。
【0052】
実施例2~7
式(I)で示される化合物と、式(II)で示される化合物とを、それぞれ下記表1に示す化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして式(III)で示される複素環式化合物を得た。そのときの化学反応式を下記式(7)に示す。式(III)で示される複素環式化合物の収率を表1にまとめて示す。
【0053】
【化18】
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【0054】
【表1】
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【0055】
実施例8
式(I)で示される化合物として、芳香族イミンである、N-(ジフェニルメチレン)ベンゼンアミン129mg(0.500mmol)、式(II)で示される化合物としてベンズアルデヒド102μL(1.00mmol)、オレフィンとしてシクロオクテン130μL(1.00mmol)、触媒として[ReBr(CO)(thf)]10.6mg(0.0125mmol)、モレキュラーシーブス4A0.2g及びトルエン1.0mLの混合物を、115℃で還流条件下加熱した。24時間後、1,3-ジフェニルイソベンゾフランのDiels-Alder付加生成物が90%の収率(H-NMR収率)で生成した。このとき、N-(フェニルメチレン)ベンゼンアミンの副生が確認された。シリカゲルクロマトグラフィー及びゲル濾過クロマトグラフィーにより単離、精製したところ、Diels-Alder付加生成物が158mg(83%)得られた。生成物の構造は、H-NMR、13C-NMR及びIRにより同定した。本実施例の化学反応式を下記式(4)に示す。また、Diels-Alder付加生成物の収率を表2にまとめて示す。
【0056】
実施例8で得られたDiels-Alder付加生成物の化学構造は、下記式(X)に示すとおりである。
【0057】
【化19】
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【0058】
上記式(X)で示されるDiels-Alder付加生成物の構造データは、以下のとおりである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.46-0.54 (m, 2H), 1.29-1.38 (m, 2H), 1.42-1.62 (m, 8H), 2.95-3.01 (m, 2H), 7.04 (dd, J = 5.3, 3.0 Hz, 2H), 7.21 (dd, J = 5.3, 3.0 Hz, 2H), 7.36-7.45 (m, 6H); 7.66 (d, J = 6.9 Hz, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 25.35 (2C), 26.19 (2C), 30.37 (2C), 46.82 (2C), 91.40 (2C), 121.32 (2C), 126.10 (2C), 128.34 (4C), 128.41 (2C), 128.59 (4C), 137.30 (2C), 146.79 (2C); IR (nujol, ν/ cm-1) 3055 (w), 1734 (w), 1700 (w), 1684 (w), 1635 (w), 1601 (w), 1521 (w), 1506 (w), 1445 (s), 1364 (m), 1315 (m), 1015 (m), 979 (m), 972 (m), 771 (m), 753 (s), 798 (s), 666 (m), 642 (m)。
【0059】
実施例9~12
式(I)で示される化合物と、式(II)で示される化合物とを、それぞれ下記表2に示す化合物に変更した以外は、実施例8と同様にしてDiels-Alder付加生成物を得た。そのときの化学反応式を下記式(8)に示す。また、Diels-Alder付加生成物のH-NMR収率を表2にまとめて示す。
【0060】
実施例9で得られたDiels-Alder付加生成物の化学構造は、下記式(XI)に示すとおりである。
【0061】
【化20】
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【0062】
上記式(XI)で示されるDiels-Alder付加生成物の構造データは、以下のとおりである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.42-0.52 (m, 2H), 1.21-1.58 (m, 10H), 2.53 (t, J = 10.2 Hz, 1H), 2.94 (t, J = 10.2 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 7.17-7.29 (m, 4H), 7.35 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.40-7.46 (m, 3H), 7.50 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.64 (d, J = 7.8 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 25.14 (1C), 25.30 (1C), 26.10 (1C), 26.17 (1C), 30.21 (1C), 30.72 (1C), 46.26 (1C), 50.57 (1C), 89.36 (1C), 91.51 (1C), 120.34 (1C), 121.52 (1C), 124.75 (1C), 126.17 (2C), 126.65 (2C), 127.88 (1C), 128.43 (2C), 128.52 (1C), 128.55 (2C), 128.63 (2C), 133.37 (1C), 136.75 (1C), 137.22 (1C), 145.59 (1C), 146.55 (1C); IR (nujol, ν/ cm-1) 3025 (w), 1734 (w), 1684 (w), 1653 (w), 1600 (w), 1576 (w), 1559 (w), 1360 (m), 1018 (m), 967 (s), 755 (s), 698 (s), 666 (m), 639 (m)。
【0063】
実施例10で得られたDiels-Alder付加生成物の化学構造は、下記式(XII)に示すとおりである。
【0064】
【化21】
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【0065】
上記式(XII)で示されるDiels-Alder付加生成物の構造データは、以下のとおりである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.44-0.52 (m, 2H), 1.28-1.61 (m, 10H), 2.38 (s, 3H), 2.93-3.00 (m, 2H), 7.01-7.06 (m, 2H), 7.18-7.24 (m, 4H), 7.36-7.44 (m, 3H), 7.54 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.65 (d, J = 7.7 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 21.25 (1C), 25.37 (2C), 26.21 (2C), 30.41 (2C), 46.81 (1C), 46.90 (1C), 91.31 (2C), 121.26 (1C), 121.39 (2C), 126.03 (2C), 128.32 (2C), 128.35 (1C), 128.54 (2C), 128.57 (2C), 129.05 (2C), 134.19 (1C), 138.17 (2C), 146.81 (1C); IR (nujol, ν/ cm-1) 1734 (w), 1700 (w), 1684 (w), 1635 (w), 1541 (w), 1506 (w), 1365 (m), 1317 (m), 981 (m), 821 (s), 762 (s), 697 (s)。
【0066】
【化22】
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【0067】
【表2】
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