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明細書 :DLC膜で被覆の接着性改善ポリオレフィン部材

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5070582号 (P5070582)
公開番号 特開2008-120077 (P2008-120077A)
登録日 平成24年8月31日(2012.8.31)
発行日 平成24年11月14日(2012.11.14)
公開日 平成20年5月29日(2008.5.29)
発明の名称または考案の名称 DLC膜で被覆の接着性改善ポリオレフィン部材
国際特許分類 B32B   9/00        (2006.01)
C30B  29/04        (2006.01)
FI B32B 9/00 A
C30B 29/04 X
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2007-273854 (P2007-273854)
出願日 平成19年10月22日(2007.10.22)
優先権出願番号 2006286459
優先日 平成18年10月20日(2006.10.20)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年10月19日(2010.10.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
発明者または考案者 【氏名】堀田 篤
【氏名】星田 隆
【氏名】坪根 大
【氏名】中村 佑真
個別代理人の代理人 【識別番号】100105061、【弁理士】、【氏名又は名称】児玉 喜博
【識別番号】100122954、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷部 善太郎
審査官 【審査官】前田 知也
参考文献・文献 特開2006-247896(JP,A)
特開昭62-240542(JP,A)
特開昭63-010355(JP,A)
特開2003-310744(JP,A)
調査した分野 B32B1/00-43/00
C30B29/04
特許請求の範囲 【請求項1】
DLC中のSP2/SP3比におけるSP2の割合を高めてポリオレフィン素材の接着性を改善する方法において、DLCが、真空中のキャリアガス中0.04~0.10の範囲の分圧のフッ素を含むガスによって形成されたものであることを特徴とするポリオレフィン部材の接着性の改善方法。
【請求項2】
請求項1のフッ素を含むガスとして六フッ化炭素又は四フッ化エチレンを使用することを特徴とする請求項1の接着性の改善方法。
【請求項3】
請求項1又は2で得られることを特徴とする接着性の改善されたポリオレフィン部材。
【請求項4】
ポリオレフィン部材が、シート状、フィルム状、ボトル状、リング状、シリンダー状、パイプ状、レンズ状、棒状、球状の製品であることを特徴とする請求項3に記載の接着性の改善されたポリオレフィン部材。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性の極めて悪いポリオレフィン部材の表面にダイヤモンド様炭素(Diamond Like Carbon)(以下、「DLC」という)の薄膜を形成することによるポリオレフィン部材の接着方法の改善及びその製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック等の適宜の部材の表面にDLC薄膜を形成せしめる技術は、数多くの文献があり、とりわけボトルのような成形品でポリエチレンテレフタレート製品の表面にDLC薄膜を設けてガスバリア性などの物性改善をはかる技術は多い(特許文献1、特許文献2)。DLC薄膜を設ける対象は、ポリエチレンテレフタレートだけでなく、ポリメチレンテレフタレート(特許文献3)、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリアリルカーボネートやポリウレタン基板(特許文献4)などがあり、その物性改善の目的も多岐にわたっている。
従来のDLC薄膜は、薄層で、高い硬度と耐摩耗性を有するが、DLC薄膜内にSP2(グラファイト構造)に対してSP3結合(ダイヤモンド構造)が多く含まれると、薄膜内での凝集力が強いため応力を受けた場合に基材との界面で破壊する、いわゆる、界面破壊によりDLC薄膜が剥離する傾向がある。そのためDLC薄膜は、その接する基材との間に両者に親和性のある中間層を設ける等種々の方策が講じられているのが現状である。
例えば、基材の表面にDLC薄膜を形成せしめるのに、プラスチック基材の表面をメタン-アルゴン混合ガスを用いるCVDプラズマ処理で炭素中間層膜を形成した後、炭化水素含有ガスを用いてDLプラズマ処理することによりポリカーボネート、シリコンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンサルファイト等の基材にダイヤモンド様カーボン膜を形成する方法も知られている(特許文献5)。
しかし、用途面から極めて薄い薄膜が求められている中で、種々の原材料を用いた多層構造を設けることは、実用的に難しく、かつ、それを達成するには高コストになりやすい。
【0003】
一方、薄膜形成されたDLC薄膜は、血液や筋肉、血管等の人体組織に対しての耐溶着性があり、それを更に改善するための医療用機器への適用について研究例が多い。例えば、耐溶着性の向上を図るために医療用機器の表面にフッ素を含有するDLC薄膜を被覆するのに、表面の少なくとも一部を、フッ素(F)、炭素(C)及び水素(H)とした場合の原子比(F/F+C+H)が60%以上であるフッ素含有DLC薄膜で被覆したことを特徴とする体内埋め込み医療器(特許文献6)に開示され、さらに同じ医療機器で、耐付着性や耐擬着性の外に基材への強固な密着性及び耐摩耗性を改善するために、DLC薄膜に厚み方向に傾斜的にフッ素を含有率の差を設けて付着せしめた技術(特許文献7)も知られている。
しかしながら、上記従来技術にはポリオレフィンの接着性を改善するためにフッ素を含有したDLC薄膜を設けることは開示されていなかった。
【0004】

【特許文献1】特開平11-26155号公報
【特許文献2】特開2001-310412号公報
【特許文献3】特許第3735841号
【特許文献4】特開昭63-122533号公報
【特許文献5】特開2005-2377号公報
【特許文献6】特開2001-29447号公報
【特許文献7】特許第3714471号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
汎用樹脂であるポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンは、石油由来の熱可塑性合成樹脂の中でも軟化点が低く成型が容易であり、人体に対する安全性に優れることから食品関連材料、医療関連材料にも使用実績を有しており、かつまた、価格も安価であるため非常に多くの分野に用いられて高分子化学産業上欠かすことのできない材料であることは広く知られることである。
しかしながら、これらポリオレフィンは、構造組成として炭素及び水素からなり分子内での疎水性としての凝集力が大きく、ポリオレフィンを被接着体としたときに接着に有効な接着剤は皆無に近く、ポリオレフィンを成形してなるポリオレフィン部材の接着剤による接着は不可能であるという問題点があった。特に、ポリエチレンを対象として、接着剤を用いて接着するときはお手上げ状態であった。
このように経済的に有利な汎用樹脂であるポリオレフィン、特にポリエチレンの接着剤による接着力の問題を解決することができるなら、ポリオレフィンを原料とする製品の応用分野がぐっと広がるという期待感がでてくる。
なお、本発明でポリオレフィンとは、特に断りのない限り、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、3-メチルブテン-1、4-メチルペンテン-1、5-メチルヘキセン-1のホモポリマー又はコポリマーを意味する。
【0006】
ポリオレフィンを原料とする部材としては、経済性の原料として利用性が高く、熱可塑性であって、比較的低温での成形が可能であり、しかも食品や医療部品等へ用いたときの安全性が確保されており、フィルムやシート等の板状製品、射出成形等による容器等々に多用されてはいるが、これらポリオレフィン部材の接着性に難があり、ポリオレフィン部材の簡易な処理によりポリオレフィン部材の表面を改質できれば、ポリオレフィン部材の優れた特徴を維持したまま、この接着性が向上することによってその用途はさらに拡大することが期待できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題点を解決するために、ポリオレフィン部材の表面にフッ素を含有するDLC薄膜を施すことによりポリオレフィン部材に接着剤を用いることによってポリオレフィン部材同士、又はポリオレフィンと他の素材との強力な接着力を有する製品を得ることが可能となった。
すなわち、本発明では、プラズマCVD装置を用いてポリオレフィン部材の表面にフッ素を含有するDLC薄膜を形成することにより接着剤との親和性を高め、ポリオレフィン部材の接着力を大幅に改善したポリオレフィン製品を得るものである。
【0008】
すなわち、本願の第1の発明は、フッ素濃度が0~100容積%のDLC薄膜をポリオレフィン部材の表面に設けることによってポリオレフィン部材の接着性を改善する方法にある。
なお、フッ素濃度が0~100容積%とは、DLC薄膜を形成時の原料ガス中のフロン(C2F6)のガス分圧を示すものであって、実際的に形成された膜中のフッ素の容積率は0~50容積%に相当する。
また、本願の第2の発明は、フッ素濃度が0~100容積%で膜厚方向に連続的に異なるように形成することによってポリオレフィン部材の接着性を改善する方法にある。
さらに、本願の第3の発明は、上述するような方法によって接着性の改善されたポリオレフィン部材にある。
さらにまた、本願の第4の発明は、ポリオレフィン部材が、シート状、フィルム状、ボトル状、リング状、シリンダー状、パイプ状、レンズ状、棒状、球状の製品であるポリオレフィン製品にある。
【発明の効果】
【0009】
ポリオレフィン部材の表面にプラズマCVDによりフッ素濃度が0~100容積%のDLC薄膜を被覆することによりポリオレフィン部材同士、及びポリオレフィン部材と他の材質の部材との接着性が著しく改善されたポリオレフィン部材が得られた。また、該DLC薄膜におけるフッ素濃度が膜中で異なっても、0~100容積%であれば、接着性の改善に問題の無いことが明らかになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィンからなる部材は、炭化水素のみからなるため疎水性に起因する分子内における凝集性が大きく、したがってポリオレフィン部材の接着に適用できる接着剤に乏しく、ポリオレフィン接着面の改質が大きな問題となっている。
本発明でポリオレフィン表面の改質に用いられるDLC薄膜は、薄膜形成が比較的簡単であり、カミソリの刃では傷つかない程度の硬さを持ち、電気的絶縁性、紫外部の光の吸収の特性をもち、金属等の無機物質や有機物質への薄膜形成も可能であるため材料の表面を処理してDLC薄膜を形成して適宜の材料の表面を改質するものであるが、用途が広い。
ここで、DLCとは、ダイヤモンド様炭素の略語であり、炭素原子を主体として微量の水素原子を含んで構成される物質である。炭素原子から構成されるダイヤモンドは、ダイヤモンド構造(SP3)により構成され、同じく炭素原子で構成される物質であるグラファイトはグラファイト構造(SP2)により構成されるのに対し、DLCはSP3とSP2との両方を含んで、また一部水素との結合を含んで構成されるアモルファス構造を有する。
本発明では、ポリオレフィン部材の表面を0~100容積%のフッ素を含有するDLC膜を形成して接着力の改善を図るものである。
【0011】
ダイヤモンド様炭素の薄膜は、上述するようにSP2結合とSP3結合を有し、かつ、薄膜と部材の界面から0.1ミクロン以内にSP2/SP3比が薄膜表面より高い領域、すなわちSP2/SP3比のうちのSP2結合(グラファイト構造)の割合を高めることによって、基材であるポリオレフィン部材との密着性を高めることが可能となる。
これは、炭素原子がグラファイト結合(SP2結合)の炭素環が層状に位置して弱いファンデルワールス力で層間を維持しているため、この層状構造により生じた応力を吸収して密着性を向上させているが、DLC薄膜の膜厚が厚くなって層状構造の破壊、すなわち、凝集破壊が顕著になると、界面破壊は起こらなくても薄膜の剥離が進む。このため0.2ミクロン程度以下の膜厚に制御することによってDLC薄膜の部材への密着性を損なわないようにすることが好ましい。
【0012】
このようにDLC薄膜は薄層で高い硬度と耐摩耗性を有するが、その薄膜内のDLCにおけるSP2/SP3比を調整する、例えばSP2の割合が高くなると、密着性は高くなるが、層状構造の破壊が起こりやすくなり、逆にSP2に対してSP3結合が多く含まれると、薄膜内での凝集力が強いため応力を受けた場合に基材との界面で破壊して、DLC薄膜が剥離し易くなる。
【0013】
本発明におけるポリオレフィン部材では、上述するようにDLC薄膜にフッ素を含有せしめたDLC薄膜を被覆するときに、DLC中に含まれるフッ素濃度が0~100容積%程度のものが、ポリオレフィンの被接着体に対する接着性の改善のために適当であり、好ましくは、40~100容積%である。
本発明のポリオレフィン部材においては、薄膜表面からの深さが0.1ミクロンより深い領域においては、フッ素濃度の低い方が機械的な耐摩耗性や基材との密着性が優れるが、0~100容積%であれば、接着性が優れ、耐摩耗性や基材との密着性にも影響しない。
【0014】
したがって、フッ素を含有するDLC薄膜が層構造を示す場合には、いずれの層構造においてもフッ素濃度が0~100容積%でフッ素含有濃度の異なる多層構造であればよく、フッ素を含有するDLC薄膜のフッ素濃度が0~100容積%で膜厚方向に連続的に異なる場合には、最大のフッ素濃度が100容積%を超えないDLC薄膜を被覆したポリオレフィン部材であればよい。
【0015】
また、被接着体としてのポリオレフィン部材のための接着剤としては、シアノアクリレート系、エポキシ樹脂系、アミノ樹脂系、フェノール樹脂系、ポリエステル樹脂系、シリコーン系、アクリル系、ゴム系等の各種接着剤を用いることが可能であるが、中でもエポキシ樹脂系の接着剤が接着において強固な接着力が得られて好ましい。
これらポリオレフィン部材へのDLC薄膜の被覆は、物理蒸着法や化学蒸着法によって実現できるが、複雑形状に均一に被覆出来ることや、フッ素の含有量の調整が容易であるという観点からはプラズマCVD法が好ましい。
【0016】
本発明によるDLC薄膜は、基材となるポリオレフィン部材を真空装置内に挿入し、水素等のキャリアガスと炭素源となるメタン、エタン、プロパン、ブタン等のパラフィン系の他、エチレン、アセチレン、ベンゼン等を導入したガスをイオン化させることによって、部材の表面にDLC薄膜を形成するが、DLC被覆の雰囲気中におけるフッ素の部分添加は、フッ素を含むガス、例えば六フッ化炭素(CF6)、四フッ化エチレン(C2F4)等を前記キャリアガス及び炭素源ガスを同時に装置内に導入することによってフッ素を含有する領域を有するDLC薄膜が得られる。
薄膜内のフッ素濃度は、導入するフッ素含有ガスの分圧、装置内真空度によって制御し、付加領域は、フッ素含有ガスを導入するタイミングにより制御する。
本発明では、フッ素濃度を0~100容積%に制御することで、所望の接着力改善の効果が得られることが明らかになった。これらの原子の濃度測定は、X線光電子分光法(XPS)により行うことができる。
【0017】
ダイヤモンド様炭素の薄膜のとり得る結晶構造としては種々あるが、SP3結合とSP2結合を含み、ポリオレフィン部材とダイヤモンド様炭素の界面付近のSP2量を多くすることによって、DLC薄膜の密着性を向上させることができる。
本発明では、DLC薄膜を施したポリオレフィン部材における炭素膜と基材との密着性は、薄膜と部材の界面から0.1ミクロン以内においてSP2/SP3比が薄膜表面より高い領域を有することによって向上する。
これは、SP3結合は、最も強固な結合であるため、機械的な特性は優れる一方、SP2/SP3比が1以上、すなわちSP2結合がSP3結合より多い場合は耐摩耗性が低下するものの、SP2のグラファイト結合が六角形の環を形成している炭素原子が連なって層状構造をとり、原子の層間には弱いファンデルワールス力が作用している構造をしているので応力を分散する効果が発揮されるため、部材との相間密着性が向上するものである。
【0018】
(実施例)
以下に実施例に基づき、本発明の実施の態様を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
(DLC膜の作製)
ポリオレフィン部材である2軸延伸フィルムを平行平板型高周波プラズマCVD装置に装入し、成膜真空度0.1 Torr(13.3 Pa)、高周波出力 200 Wで、プロセスガスにアセチレンとテトラフルオロエタンの混合ガスを用いて、膜厚 50 nm DLC膜をポリオレフィンフィルム表面に形成させた。
【0020】
(接着強度の測定)
2枚のDLC膜を被覆したポリオレフィン部材であるフィルムの一方のDLC被覆面にエポキシ系接着剤Devcon S-31(Illinois Tool Works Inc.)を塗布し、他方のポリオレフィン部材のDLC被覆面を対面させる。接着剤を挟んだ2つのDLC被覆面にプレス機で5 MPa の圧力を5分間掛ける。しかる後、100 ℃のオーブンに入れ、12時間以上静置して接着剤の反応を加熱促進する。得られた試料をT型剥離試験(T-peel test)機で剥離試験を行う。
図1にポリオレフィンフィルムに接着剤を塗布して2枚のポリオレフィンフィルムで挟んだ状態を示す。
【実施例1】
【0021】
試験用の基板として、高密度ポリエチレン板(厚さ:0.5 mm)の成膜する表面をエチルアルコールで予め洗浄して用いた。基板は、平行平板型高周波プラズマCVD装置内に装入し、成膜真空度 0.003Torr(0.4 Pa)まで真空状態とした。その後、原料ガスであるアセチレンとテトラフルオロエタンの混合ガスをチャンバー内に流入し、0.1 Torr(13.3 Pa) で安定するように流量計で調整した。この際、チャンバー内の圧力計を基に、アセチレンとテトラフルオロエタンを別々に流し、それぞれの圧力を以下に示す表1のように調整した。それぞれの原料ガスの値が安定した後、同時にチャンバー内に流入させ、0.1 Torrに安定させた後に成膜を行った。
【0022】
【表1】
JP0005070582B2_000002t.gif

【0023】
F20~100は、DLC中のフッ素濃度を示す。
この状態で、装置内にプラズマを発生させるために13.56MHz、電力200Wの高周波電力を投入し、膜厚50 nm に成膜した。
【0024】
実施例1で得られた接着剤で接着した2枚のポリオレフィンフィルムの剥離試験結果を比較例と対比して表2に示す。
【0025】
【表2】
JP0005070582B2_000003t.gif

【0026】
DLCやFフッ素添加DLC薄膜(F20~100)の形成のないHDPEのみの薄膜での剥離試験では接着力は全くなく、簡単に剥離した。それに対しDLC薄膜層を付与した結果2~10(N/25mm)の接着力が生じ、さらにFを添加することにより接着力は増加した。F60のときに最大接着力60(N/25mm)がみられた。
【0027】
以上より、DLC膜をポリオレフィン基板に成膜することにより接着性が向上し、Fを添加することにより、一層の接着力向上がみられた。
【実施例2】
【0028】
実施例1の記載のDLC被覆工程に準じて、ポリオレフィンとして、LLDPE及びHDPEを対象として、DLC被覆を行い、実施例1と同様にエポキシ樹脂を使用して接着し、その剥離強度からDLC被覆効果を確認した。
各ポリエチレン(LLDPE、HDPE)の未処理とDLC被覆のそれぞれの剥離接着強さ(N/25m)を表3に示す。
【0029】
【表3】
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表3を図示した図2によれば、LLDPE及びHDPEともにDLC被覆によって大幅に改善されていることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ポリオレフィンフィルムに接着剤を塗布して2枚のポリオレフィンフィルムで挟んだ状態を示す。
【図2】LLDPE及びHDPEのDLC未処理及び被覆の場合の剥離接着強さの比較を示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1