TOP > 国内特許検索 > 蛍光性化合物及びそれから成る標識剤 > 明細書

明細書 :蛍光性化合物及びそれから成る標識剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5177427号 (P5177427)
登録日 平成25年1月18日(2013.1.18)
発行日 平成25年4月3日(2013.4.3)
発明の名称または考案の名称 蛍光性化合物及びそれから成る標識剤
国際特許分類 C07F   5/02        (2006.01)
G01N  21/78        (2006.01)
FI C07F 5/02 CSPD
G01N 21/78 C
請求項の数または発明の数 9
全頁数 44
出願番号 特願2008-513292 (P2008-513292)
出願日 平成19年4月27日(2007.4.27)
国際出願番号 PCT/JP2007/059168
国際公開番号 WO2007/126052
国際公開日 平成19年11月8日(2007.11.8)
優先権出願番号 2006126208
優先日 平成18年4月28日(2006.4.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年4月5日(2010.4.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
発明者または考案者 【氏名】鈴木 孝治
【氏名】梅澤 啓太郎
【氏名】牧野 弘
【氏名】チッテリオ ダニエル
個別代理人の代理人 【識別番号】100088546、【弁理士】、【氏名又は名称】谷川 英次郎
審査官 【審査官】上村 直子
参考文献・文献 特開2002-169275(JP,A)
特開2005-022985(JP,A)
特表平08-509471(JP,A)
米国特許第06005113(US,A)
CHEN,J. et al.,4,4-difluoro-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene (BODIPY) dyes modified for extended conjugation and restricted bond rotations,Journal of Organic Chemistry,2000年,Vol.65, No.10,p.2900-2906
調査した分野 C07F 5/02
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式[I]
【化1】
JP0005177427B2_000072t.gif
(ただし、式中、
R1とR2は互いに協働して、イオウ、酸素、窒素及びリンから成る群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む5員若しくは6員のヘテロ環を形成するか又は該ヘテロ環を形成しない場合には互いに独立に水素原子若しくは前記化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表し、
R6とR7は互いに協働して、イオウ、酸素、窒素及びリンから成る群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む5員若しくは6員のヘテロ環を形成するか又は該ヘテロ環を形成しない場合には互いに独立に水素原子若しくは前記化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表し、
(1)R1とR2、及び、(2)R6とR7、の少なくともいずれか一方は上記ヘテロ環を形成し、
Qは炭素原子又は窒素原子を表し、
R3、R4及びR5は互いに独立に水素原子又は前記化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表し(ただし、Qが窒素原子の場合にはR4は存在しない)、
R8及びR9は互いに独立にハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を示し、
前記R1とR2、及び/又はR6とR7により形成される前記ヘテロ環が、互いに独立に、下記式
【化2】
JP0005177427B2_000073t.gif
(ただし、これらの式中、X、Y及びZは、互いに独立にイオウ、酸素、窒素又はリン原子を示し、R10ないしR17は互いに独立に水素原子又は前記化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表す)
で表されるいずれかの構造を有する
で示される構造を有する蛍光性化合物。
【請求項2】
前記ヘテロ環が、
【化3】
JP0005177427B2_000074t.gif
(ただし、これらの式中、X、Y及びZは、互いに独立にイオウ、酸素、窒素又はリン原子を示し、R10ないしR13は互いに独立に水素原子又は前記化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表す)
で表されるいずれかの構造を有する請求項記載の化合物。
【請求項3】
前記R10ないしR17が互いに独立に水素原子又は電子供与性基である請求項又は記載の化合物。
【請求項4】
前記電子供与性基がアルキル基、フェニル基、p-アルコキシフェニル基、p-ジアルキルアミノフェニル基、2-チエニル基、2-フリル基又はジアルコキシフェニル基である請求項記載の化合物。
【請求項5】
前記電子供与性基が炭素数1~10のアルキル基、アルキル部分の炭素数が1~10のアルコキシフェニル基若しくはアルキル部分の炭素数がそれぞれ1~10のジアルコキシフェニル基である請求項記載の化合物。
【請求項6】
前記一般式[I]中、R8及びR9が互いに独立にハロゲン原子である請求項1ないしのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記一般式[I]中、R8及びR9がフッ素原子である請求項記載の化合物。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の化合物から成る標識剤。
【請求項9】
請求項記載の標識剤で標識した物質を反応に供し、反応後、該標識剤を発光させて該物質を測定することを含む標識物質の測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光性化合物及びそれから成る標識剤に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光色素は、試料を可視化する目的で用いられ、生物および生化学分野においては標識材料(ラベル化色素)や染色色素、生体関連物質の認識プローブ、光線力学療法(PDT)などに広く用いられる。また、長波長とりわけ近赤外領域(具体的には650 900nm)に吸収および蛍光を有する蛍光色素は、生体組織や血液、脂質や水といった生体物質の存在下でもこれらの光学的妨害を受けることなく測定できる。さらに低エネルギーかつ高い光浸透性といった利点から、生体深部組織のイメージングへの応用が期待される。
【0003】
また、長波長の蛍光色素は生物や生化学分野に限らず化学系およびその他の分野でも用いられる。例えば赤色の表示材料や色素レーザー、光学記録材料などに頻繁に用いられる。このように、長波長の蛍光色素は生物分野のみならず、幅広い分野で求められている。
【0004】
優れた長波長蛍光色素、たとえば生体物質の標識材料を目的とした蛍光色素として求められる特性は、以下のような項目がある。
1) 長波長の蛍光
2) 高いモル吸光係数
3) 高い蛍光量子収率
4) 鋭い吸収スペクトル
5) 非環境応答性(溶媒に対する応答が小さいこと)
6) 波長の多様性(さまざまな波長の色素が合成できること)
【0005】
現在、上記の条件の一部を満たす分子として、下記構造式で示されるボロンジピロメテン骨格(4,4-difluoro-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacenes)がある。
【0006】
【化1】
JP0005177427B2_000002t.gif

【0007】
ボロンジピロメテン骨格は、高い光耐久性、高い蛍光量子収率、鋭い吸収スペクトルをもつ優れた色素であるが、基本骨格の蛍光波長はおおよそ500 nm前後であるため、近赤外蛍光色素としての十分な機能を持っていない。そこでボロンジピロメテンの長波長化に関する研究がいくつか行われてきた。その手法としては、1)強い電子供与基の導入、2)骨格の堅牢化、3)共役系の拡張などが挙げられる。
【0008】
1)に関しては、例えば特許文献1や非特許文献1に代表されるように、R1とR7に強い電子供与基を導入することで長波長化は達成できるが、 モル吸光係数の向上は達成できていない。また導入する官能基の電子供与性が強くなるほど、光誘起電子移動(PET)が起こり易くなるため、蛍光量子収率の低下が起こるとともに、溶媒極性に対する蛍光量子収率の依存性が強くなる。具体的には、水やメタノールなどの極性溶媒中においては、これらの分子の蛍光量子収率は著しく低下するため、バイオ分析などには適していない。
【0009】
2)は、例えば非特許文献2に代表されるように、ボロンジピロメテンのR1およびR7に導入された電子供与基を、R2およびR6と適切なメチレン鎖ないしはヘテロ原子で架橋することで長波長化している報告例であるが、モル吸光係数の向上は達成しておらず、合成法も煩雑であるためバリエーションは限定される。
【0010】
3)は、例えばシアニン系色素のようにオレフィンなどの共役二重結合を拡張することにより長波長化するというものであるが、これはシアニン系色素などでしばしば報告されているようなオレフィンの光異性化に由来する光安定性や蛍光量子収率の低下が懸念されるため、有効は手法とはいえない。また、例えば特許文献2および特許文献3に代表されるように、芳香環をR2, R3およびR5, R6に縮合することで長波長化を達成することができるが、モル吸光係数の向上は達成できていない。また、報告されている合成法では、縮合できる環も芳香環に限定され、色素のバリエーションも限られる。
【0011】

【特許文献1】米国特許第5,248,782号
【特許文献2】米国特許第5,433,896号
【特許文献3】米国特許第6,005,113号
【非特許文献1】A. Burghart et. al. J. Org. Chem. 1999, 64, 7813.
【非特許文献2】J. Chen et. al. J. Org. Chem. 2000, 65, 2900.
【非特許文献3】Current Medicinal Chemistry 2005, 12, 795-895.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、高い光耐久性、高い蛍光量子収率、鋭い吸収スペクトルを持ち、かつ、長波長領域の蛍光を発し、モル吸光係数が高い新規な蛍光性化合物及び標識剤としてのその用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明らは、鋭意研究の結果、上記したボロンジピロメテン骨格において、R1とR2、及び/又は、R6とR7で特定のヘテロ環を形成することにより、ボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素が有する高い光耐久性、高い蛍光量子収率及び鋭い吸収スペクトルという優れた特性を維持したまま、蛍光の長波長化及びモル吸光係数の向上が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、下記一般式[I]
【0015】
【化2】
JP0005177427B2_000003t.gif

【0016】
(ただし、式中、
R1とR2は互いに協働して、イオウ、酸素、窒素及びリンから成る群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む5員若しくは6員のヘテロ環を形成するか又は該ヘテロ環を形成しない場合には互いに独立に水素原子若しくは前記化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表し、
R6とR7は互いに協働して、イオウ、酸素、窒素及びリンから成る群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む5員若しくは6員のヘテロ環を形成するか又は該ヘテロ環を形成しない場合には互いに独立に水素原子若しくは前記化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表し、
(1)R1とR2、及び、(2)R6とR7、の少なくともいずれか一方は上記ヘテロ環を形成し、
Qは炭素原子又は窒素原子を表し、
R3、R4及びR5は互いに独立に水素原子又は前記化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表し(ただし、Qが窒素原子の場合にはR4は存在しない)、
R8及びR9は互いに独立にハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を示し、
前記R1とR2、及び/又はR6とR7により形成される前記ヘテロ環が、互いに独立に、下記式
【化2】
JP0005177427B2_000004t.gif
(ただし、これらの式中、X、Y及びZは、互いに独立にイオウ、酸素、窒素又はリン原子を示し、R10ないしR17は互いに独立に水素原子又は前記化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表す)
で表されるいずれかの構造を有する
で示される構造を有する蛍光性化合物を提供する。
【0017】
また、本発明は、上記本発明の蛍光性化合物から成る標識剤を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の標識剤で標識した物質を反応に供し、反応後、該標識剤を発光させて該物質を測定することを含む標識物質の測定方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ボロンジピロメテン骨格を含む蛍光色素が有する高い光耐久性、高い蛍光量子収率及び鋭い吸収スペクトルという優れた特性を維持したまま、長波長の蛍光を発し、高いモル吸光係数を有する新規な蛍光性化合物が提供された。本発明の蛍光性化合物は、蛍光波長が長いので、これを標識剤として用いた場合、生体組織や血液、脂質や水といった生体物質の存在下でもこれらの光学的妨害を受けることなく測定できる。さらに低エネルギーかつ高い光浸透性といった利点から、生体深部組織のイメージングへの応用が可能である。また、赤色の表示材料や色素レーザー、光学記録材料、光線力学治療(PDT)などに用いることもできる。さらに、本発明の蛍光性化合物は、蛍光量子収率及びモル吸光係数が高いので、これを標識剤として用いることにより、高感度の測定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の蛍光性化合物と、市販の蛍光性化合物Cy7(商品名)の吸光度の経時変化を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
上記の通り、本発明の蛍光性化合物は、上記一般式[I]で表される化学構造を有する。一般式[I]中、R1とR2は互いに協働して、イオウ、酸素、窒素及びリンから成る群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む5員若しくは6員のヘテロ環を形成するか又は該ヘテロ環を形成しない場合には互いに独立に水素原子若しくは前記化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表し、同様に、R6とR7も互いに協働して、イオウ、酸素、窒素及びリンから成る群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む5員若しくは6員のヘテロ環を形成するか又は該ヘテロ環を形成しない場合には互いに独立に水素原子若しくは前記化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表わす。そして、(1)R1とR2、及び、(2)R6とR7、の少なくともいずれか一方は上記ヘテロ環を形成する。このヘテロ環により、蛍光が長波長化される。
【0021】
上記ヘテロ環としては、下記式のいずれかで表される化学構造を有するものである。上記ヘテロ環が2個形成される場合には、互いに独立である。

【0022】
【化3】
JP0005177427B2_000005t.gif

【0023】
ただし、これらの式中、X、Y及びZは、互いに独立にイオウ、酸素、窒素又はリン原子を示し、R10ないしR17は互いに独立に水素原子又は本発明の蛍光性化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表す。なお、これらの式中、左側の2本の波線は、各ヘテロ環が結合している、本発明の化合物の一部分を模式的に表すものである。好ましいヘテロ環を示す上記各式から明らかなように、ヘテロ環は、最も好ましくは5員環である。また、ヘテロ原子として、酸素原子又はイオウ原子を有するものが好ましい。上記各式で表されるヘテロ環の中でも、特に下記式のいずれかで表される化学構造を有するものが特に好ましい。
【0024】
【化4】
JP0005177427B2_000006t.gif

【0025】
上記各式中、R10ないしR17は互いに独立に水素原子又は本発明の蛍光性化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表す(本発明の蛍光性化合物の蛍光を阻害しない任意の基については、R3ないしR5の説明の項で併せて後述する)が、R10ないしR17として、電子供与性基を有するものが、蛍光の波長がより長波長になるので好ましい。特に、電子供与性が高い基ほど、蛍光の波長がより長波長になるので好ましい。R10ないしR17が1つのヘテロ環上に2個存在する場合には、少なくともいずれか一方が電子供与性基を有するものが好ましい。
【0026】
電子供与性基の例としては、アルキル基、フェニル基、p-アルコキシフェニル基、p-ジアルキルアミノフェニル基、2-チエニル基、2-フリル基、ジアルコキシフェニル基(好ましくは3,6-ジアルコキシフェニル基)等を挙げることができる。これらのうち、アルキル基又はアルキル部分を含む基のアルキル部分の炭素数は、特に限定されないが、1~10程度が好ましい。これらの電子供与性基のうち、特に炭素数1~10のアルキル基又はアルキル部分の炭素数が1~10のアルコキシフェニル基が好ましい。
【0027】
上記一般式[I]中、Qは炭素原子又は窒素原子を表す。Qが窒素原子の場合には、Qが炭素原子の場合に比べて蛍光が長波長化される。なお、Qが炭素原子の場合、R4に電子吸引性の置換基(例えばニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基等)を導入することによりQが窒素原子の場合と同様、蛍光が長波長化される。
【0028】
R3、R4及びR5は互いに独立に水素原子又は本発明の蛍光性化合物の蛍光を阻害しない任意の基を表す。ただし、Qが窒素原子の場合にはR4は存在しない。
【0029】
上記一般式[I]中のR3ないしR5、ヘテロ環を形成しない場合のR1とR2又はR6とR7や上記した好ましいヘテロ環中のR10ないしR17が表す、本発明の蛍光性化合物の蛍光を阻害しない任意の基としては、次のものを挙げることができる。なお、ここで、「蛍光を阻害しない」とは、蛍光の波長を短くしたり、モル吸光係数を低下させたり、蛍光量子係数を低下させたりすることが全く又はほとんどない(好ましくは、その置換基を有さない化合物の値の95%以上を有する)ことを意味する。なお、蛍光を阻害しない任意の基が、後述する標的イオンや標的化合物の認識部位である場合には、標的との結合の有無により蛍光が変化するが、標的と結合した場合及び結合していない場合の少なくともいずれかにおいて、蛍光を阻害しないことを意味する。
【0030】
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホン酸基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ハロゲノアシル基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルカルボニルアミド基、アルキルアミドカルボニル基、モノアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、トリアルキルシリル基、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基、アルキルスルフォニル基、ハロゲノスルフォニル基、アリール基及びヘテロアリール基。
【0031】
これらの置換基中、「アルキル基」は、炭素数1~20のものが好ましく、直鎖状、分岐状及び環状(すなわち、シクロアルキル基)のいずれであってもよい。この場合、アルキル基に含まれる水素原子はすべて置換されていないか、あるいはそのうち1つ以上が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホン酸基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、アリール基及びヘテロアリール基から成る群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。また、上記置換基中のアルコキシ基、アルキルチオ基等の、アルキル基部分を含む基中のアルキル基についても同様である。なお、アルキル基上の上記した置換基は特に必要ではない。
【0032】
また、上記各置換基中、「アルケニル基」は、炭素数2~20のものが好ましく、直鎖状、分岐状及び環状(すなわち、シクロアルケニル基)のいずれであってもよい。この場合、アルケニル基に含まれる水素原子はすべて置換されていないか、あるいはそのうち1つ以上が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホン酸基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、アリール基及びヘテロアリール基から成る群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。もっとも、アルケニル基上のこれらの置換基は特に必要ではない。
【0033】
また、上記各置換基中、「アルキニル基」は、炭素数2~20のものが好ましく、直鎖状、分岐状及び環状(すなわち、シクロアルキニル基)のいずれであってもよい。この場合、アルキニル基に含まれる水素原子はすべて置換されていないか、あるいはそのうち1つ以上が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホン酸基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、アリール基及びヘテロアリール基から成る群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。もっとも、アルキニル基上のこれらの置換基は特に必要ではない。
【0034】
また、上記各置換基(上記したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基上に置換しているものも包含する)中、アリール基としては、芳香環数1~4で構成される芳香環ないしは縮合多環が好ましく、例えばフェニル基、1-または2-ナフチル基、1-, 2-または9-アントラニル基、1-, 2-または4-ピレニル基などが好ましい。この場合、芳香環に含まれる水素原子はすべて置換されていないか、あるいはそのうち1つ以上がハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホン酸基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ハロゲノアシル基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルカルボニルアミド基、アルキルアミドカルボニル基、モノアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、トリアルキルシリル基、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基、アルキルスルフォニル基及びハロゲノスルフォニル基から成る群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。もっとも、アリール基上のこれらの置換基は特に必要ではない。
【0035】
また、上記各置換基(上記したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基上に置換しているものも包含する)中、ヘテロアリール基としては、ヘテロ原子を1~3つ含む芳香環(5員環または6員環)あるいは、ヘテロ芳香環に芳香環が1~2つ縮合されたものが好ましい。ここでいうヘテロ原子は、酸素、窒素又はイオウが好ましく、これらの組み合わせは限定されない。たとえば2-, 3-フリル基、2-, 3-チエニル基、N-, 2-, 3-ピロリル基、2-, 3-ベンゾフラニル基、2-, 3-ベンゾチエニル基、N-, 2-, 3-インドリル基、N-, 1-, 2-イソインドリル基、2-, 3-, 4-ピリジル基、2-, 3-, 4-キノリル基、1-, 3-, 4-イソキノリル基、2-, 4-, 5-(1,3-オキサゾリル)基、2-ベンゾキサゾリル基、2-, 4-, 5-(1,3-チアゾリル)基、2-ベンゾチアゾリル基、N-, 2-, 4-イミダゾリル基、N-, 2-ベンズイミダゾリル基、1-, 2-ナフトフラニル基、1-, 2-ナフトチエニル基、N-, 2-, 3-ベンズインドリル基などである。この場合、ヘテロ芳香環に含まれる水素原子はすべて置換されていないか、あるいはそのうち1つ以上がハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホン酸基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ハロゲノアシル基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルカルボニルアミド基、アルキルアミドカルボニル基、モノアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、トリアルキルシリル基、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基、アルキルスルフォニル基及びハロゲノスルフォニル基から成る群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。もっとも、ヘテロアリール基上のこれらの置換基は特に必要ではない。
【0036】
上記一般式[I]中、R8及びR9は互いに独立にハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基については、上記したR3~R5及びR10~R17により表されるこれらの基についての説明がそのまま当てはまる。R8及びR9は互いに独立にハロゲン原子であることが好ましく、特に両者ともフッ素原子であることが好ましい。
【0037】
本発明の蛍光性化合物はまた、上記した本発明の蛍光性化合物の蛍光を阻害しない任意の基として、以下(1)~(6)の機能性基を1個又は複数有していてもよい。なお、上記した蛍光を阻害しない任意の置換基がアリール基又はヘテロアリール基の場合に、該アリール基又はヘテロアリール基上に以下の1個又は複数の機能性基を置換してもよい。
【0038】
(1) 結合性基
本発明の蛍光性化合物は、少なくとも1つ、結合性基を有することが好ましい。ここで、結合性基は、他の化合物に結合させるために利用できる基を意味する。蛍光標識剤は、タンパク質、ポリペプチド、糖等の生体関連物質に結合されることが多いため、結合性基としては、これらの生体関連物質との結合に好都合な、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、ジスルフィド基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、スクシンイミジルエステル基、ペンタフルオロフェニルエステル基、マレイミド基等を好ましい例としてあげることができる。なお、これらの基は、他の化合物との結合のために用いることができればよいので、これらの基の少なくともいずれかを含む任意の基(例えば、アミノアルキル基等)も結合性基として利用することができる。なお、結合性基は、1つあれば足り、また、結合部位を1つに特定するためにも1つであることが通常好ましいが、2個以上の結合性基を含んでいてもよい。また、後述する嵩高基の一部に上記したアミノ基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基等を結合させて結合性基と嵩高基を兼用することも可能である。
【0039】
(2) 嵩高基
合成の収率を上げるために、本発明の蛍光性化合物は、少なくとも1つ、嵩高基を有していることが好ましい。本発明の化学発光性化合物は、ボロンジピロメテン骨格部分の平面性が高く、また、化学発光基も平面性が高い場合が多いので、化合物が全体として平面的になる場合が多い。このような場合、平面的な化合物が積層され、それぞれの芳香環のπ結合間で生じて各分子同士がπ-π結合され(π-πスタッキング)て凝集が生じ、収率が低下することがある。このような事態を避け、合成収率が低下しないように、π-πスタッキングを防止する嵩高な基を一般式[I]中の一般式中のR1~R17、あるいはアリール基やヘテロアリール基へ導入する置換基として、少なくとも1つ有していることが好ましい。ここで、嵩高基は、少なくとも直鎖状のアルキル基よりも厚さ方向(ボロンジピロメテン骨格を平面として、該平面に垂直な方向)に厚みのある基であり、好ましくは炭素数10以上、さらには炭素数10~20の分枝アルキル基や分枝アルコキシル基が好ましい。
【0040】
(3) 脂溶性又は水溶性調整基
さらに、必要に応じ、少なくとも1つ、溶解性(脂溶性又は水溶性)を調整する基を含ませてもよい。蛍光標識剤は、水系で用いられることが多いので、蛍光性化合物の親水性を高めて水系中での溶解性を向上させることが望まれる場合には、少なくとも1つ親水性基を含ませてもよい。このような親水性基としては、水酸基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基、エーテル結合等の親水性の基を1個又は複数含むアルキル基やアルコキシル基(炭素数は1~6が好ましい)等を例示することができるがこれらに限定されるものではない。また、このような親水性の基は上記した嵩高基、結合性基と兼用させてもよい。また、脂溶性を増大させたい場合には、好ましくは炭素数10以上、さらには炭素数10~20のアルキル基やアリール基、又はこれらの両者を含む基等を含ませてもよい。なお、下記実施例で合成した本発明の蛍光性化合物は、脂溶性を増大させる基として、下記の化学構造を有する基をR4として有している。
【0041】
【化5】
JP0005177427B2_000007t.gif

【0042】
なお、この基において、エーテル部分は、合成を容易にするために含まれている。また、ベンゼン環上の2つのメチル基は、この置換基の回転運動を阻害し、この置換基の回転運動に起因する蛍光量子収率の低下を防止するものである。
【0043】
(4) 化学発光基
化学発光基は、化学反応により発光する構造を有する基である。本発明の蛍光性化合物に化学発光基を導入することにより、該化学発光基が発する光により蛍光色素部分が蛍光を発し、この蛍光が測定される。したがって、化学発光基は、必ずしも可視光を発光するものである必要はなく、蛍光色素部分を励起して蛍光を発せさせることができる光を発するものであればいずれのものをも採用することができる。このような化学発光基としては、この分野において標識剤として用いられているものであればいずれのものをも用いることができ、種々のものが公知ないしは周知である。好ましい例として、フタルカルバジド誘導体、ジオキセタン誘導体、ロフィン誘導体、アクリジン誘導体、インドール誘導体、シュウ酸誘導体、ジフェノイル誘導体又はルシフェリン誘導体を挙げることができ、これらはいずれもこの分野において周知である。これらの化学発光基は、それぞれ以下の一般式で示されるものである。
【0044】
【化6】
JP0005177427B2_000008t.gif

【0045】
【化7】
JP0005177427B2_000009t.gif

【0046】
【化8】
JP0005177427B2_000010t.gif

【0047】
【化9】
JP0005177427B2_000011t.gif

【0048】
【化10】
JP0005177427B2_000012t.gif

【0049】
【化11】
JP0005177427B2_000013t.gif

【0050】
【化12】
JP0005177427B2_000014t.gif

【0051】
(5) ポリマーへの重合部位(末端に不飽和二重結合を有する分子)
本発明の蛍光性化合物は、少なくとも1つ、重合部位を有することが好ましい。ここで、重合部位は、有機高分子に共重合させる部位を示す。一般に、有機高分子に色素を導入することで、蛍光強度やモル吸光係数が増加し、検出感度が上がることが知られている。また、共重合させることで色素が溶媒にリークしない(流出しない)ので、有機高分子膜による連続測定などにも適している。重合部位としては、ビニル基を有するものであればかまわない。具体的には、ビニルアルキル基、ビニルアルコキシ基、ビニルアルコキシカルボニル基、ビニルアリール基、ビニルへテロアリール基などであるが、これらに限定されない。
【0052】
(6) 標的イオンや標的化合物の認識部位(クラウンエーテルなどのように特定のイオンや物質を選択的に捕捉する基)
ベンゾクラウン、アザクラウン、N-アリールアザクラウンなどのイオンや分子を認識する基や、p-ジメチルアミノフェニル基などの周囲の溶媒極性(pHや溶媒極性)に応答する基を導入することで、特定の物質や環境を認識し、光学情報へ変換する蛍光プローブとしての機能をもたせることもできる。この際、標的(ターゲット)の認識前後で認識部位の電子供与性が変化するため、色素の光学特性も変化する。最も好ましいのは上記したR4、R10、R12、R15又はR16に認識部位を導入することであるが、これに限定されない。なお、ここで、認識部位とは、標的のイオンや標的化合物を捕捉する部位のことを示す。一般に、蛍光化合物に認識部位を持たせ、特定の物質を測定する際には、認識前後で光学応答が変化することが望ましい。例えば、認識前後で蛍光量子収率が変化したり、吸収あるいは蛍光極大波長が変化したりすることで、特定の物質の測定が可能となる。
【0053】
本発明の蛍光性化合物は、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、任意の位置にホルミル基を有するヘテロアリール環にアジド酢酸エチルを加えてアジド化合物を合成後、トルエン中で加熱還流し、ヘテロアリール環にピロールを縮環する。ピロールのα位のカルボン酸エチルエステルを脱保護後、強塩基存在下で加熱してα位のカルボン酸を脱炭酸する。このピロール環をホルミル基を有する芳香環と縮合し、ジピロメテン化合物を合成する。ジピロメテン化合物を合成する方法はこれに限らず、例えばピロール環同士をオルトギ酸トリアルキルおよび酸触媒存在下で反応させることや、ホルミル基を有するヘテロピロール環と酸存在下で反応させることでも得られる。また、ヘテロピロール環を亜硝酸ナトリウムにてニトロソ化することで、架橋部分に窒素原子を有するジピロアザメテン化合物を合成することができる。得られたジピロメテン化合物およびジピロアゾメテン化合物を、トリエチルアミンおよび三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体存在下で反応させれば、目的とする化合物が得られる。また、ヘテロアリール環にハロゲン原子ないしはボロン酸を有するものであれば、鈴木カップリングにより任意のアリール環やヘテロアリール環を直結することが可能であり、さまざまな波長の色素を提供することが可能となる。
【0054】
すなわち、例えば、上記のようにして先にR1とR2、及び/又はR6とR7で形成されるヘテロ環とピロール環との縮合環を合成し、2個の縮合環をジクロロメタンにより、1個の炭素原子を介して結合させ、BF3等を反応させてBR8R9部分を結合させることにより本発明の蛍光性化合物を合成することができる。置換基を有する場合には、さらに置換基を結合させることができる。ただし、R4として置換基を有する場合には、上記したジクロロメタンと同時に該置換基含有化合物を反応させることにより、前記縮合環がジクロロメタンで結合されるのと同時に該ジクロロメタンの炭素原子に該置換基を結合させることができる。複数の本発明の蛍光性化合物の詳細な合成方法が下記実施例に記載されているので、当業者であればそれらを参照して本発明の蛍光性化合物を容易に製造することができる。
【0055】
本発明の蛍光性化合物は、蛍光標識剤として用いることができる。蛍光標識剤自体は周知であり、本発明の蛍光性化合物も従来の蛍光標識剤と同様にして用いることができる。すなわち、本発明の蛍光性化合物を、標識すべき被標識物質に結合させることにより被標識物質を標識する。本発明の蛍光性化合物が上記した結合性基を有する場合には、常法により上記結合性基を介して本発明の蛍光性化合物を被標識物質に結合する。結合性基を有さない場合には、常法により結合性基を導入した中間体を調製し、これを被標識物質と結合することができる。
【0056】
蛍光標識剤の使用の態様は従来と全く同様であり、上記のように被標識物質を標識した後、標識した物質(本明細書において「標識物質」という)を反応に供し、必要に応じて洗浄工程等を行なった後、標識に励起光を当て、蛍光を発光させ、該蛍光を測定する。ここで、反応とは、例えば免疫測定の場合には抗原抗体反応、核酸の検出の場合には、核酸同士のハイブリダイゼーション等を意味するがこれらに限定されるものではない。例えば、蛍光標識剤が広く用いられている免疫測定の場合、次のようにして標識剤を利用することができる。例えば、サンドイッチ法により被検試料中の標的抗原を免疫測定する場合、標的抗原に対する一次抗体を固相に結合し、これを被検試料と反応させて、被検試料中の標的抗原を固相化一次抗体に結合させる。洗浄後、蛍光標識剤で標識した第二抗体を反応させる。洗浄後、標的抗原に結合した第二抗体の蛍光標識剤を、常法に従い励起光により蛍光発光させ、蛍光を測定する。最適な励起光の波長は、各蛍光性化合物について吸収極大波長を測定することにより容易に設定することができる、通常、570nm~680nm程度、好ましくは660nm~680nm程度である。なお、本明細書及び特許請求の範囲において「測定」には検出、定量、半定量のいずれもが包含される。
【0057】
また、蛍光標識剤は、上記したサンドイッチ法のみならず、免疫組織化学等の他の免疫測定法においても広く用いられている。さらに、核酸を蛍光標識剤で標識し、特定の塩基配列を有する核酸を検出することも広く行なわれており、これらの用途にも本発明の蛍光標識剤を従来の蛍光標識剤と同様に用いることができる。
【0058】
さらに、本発明の蛍光性化合物は、標識剤以外にも、赤色の蛍光色素として、赤色の表示材料や色素レーザー、光学記録材料などの種々の分野において用いることができる。
【0059】
本発明の蛍光性化合物は、蛍光波長のピークが580nm~700nm程度の橙~近赤外の長波長領域にある。これを標識剤として用いた場合、生体組織や血液、脂質や水といった生体物質の存在下でもこれらの光学的妨害を受けることなく測定できる。さらに低エネルギーかつ高い光浸透性といった利点から、生体深部組織のイメージングへの応用が可能である。例えば、動物内の特定の臓器や腫瘍細胞に特異的に集積するようなポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、ペプチド鎖、糖鎖などに標識し、動物内に注入することで、特定の臓器や腫瘍細胞に標識剤が集積する。したがって、動物をCCDカメラなどで撮像することにより、特定の臓器や腫瘍細胞を可視化することが可能となる。もっとも、生体イメージングの例はこれに限定されるものではない。また、赤色の表示材料や色素レーザー、光学記録材料、光線力学療法(PDT)などに用いることもできる。さらに、本発明の蛍光性化合物は、蛍光量子収率及びモル吸光係数が高いので、これを標識剤として用いることにより、高感度の測定が可能になる。
【0060】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0061】
本発明の蛍光性化合物の合成
下記の反応スキームに従い、本発明の蛍光性化合物を合成した。なお、反応スキーム中(後述の反応スキームにおいても同じ)、「r.t.」は室温を意味する。
【0062】
【化13】
JP0005177427B2_000015t.gif

【0063】
【化14】
JP0005177427B2_000016t.gif

【0064】
Ar気流下、0℃にて5-メチル-2-チオフェンカルバルデヒド1 (3.67 g, 29.1 mmol, 1.0 eq.) とアジド酢酸エチル (7.51 g, 58.2 mmol, 2.0 eq.) のエタノール溶液 (100 mL) に、ナトリウムエトキシド20% エタノール溶液 (19.9 g, 58.3 mmol, 2.0 eq.) をエタノール(50 mL) で希釈した溶液をゆっくり滴下した。3時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えpHを中性にし、析出した黄色い沈殿をろ別し、沈殿を水で洗浄後、真空乾燥した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカゲル, ヘキサン :酢酸エチル = 9 : 1) により分離精製し、薄黄色液体2 (3.61 g) を得た。
TLC (シリカ): Rf = 0.8 (シリカゲル, ヘキサン :酢酸エチル = 4 : 1)
【0065】
【化15】
JP0005177427B2_000017t.gif

【0066】
2のトルエン溶液 (60 ml) を30分還流撹拌した。減圧濃縮後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, ヘキサン :酢酸エチル = 9 : 1) により分離精製し、薄肌色固体3 (1.82 g, 25.0%) を得た。
TLC (シリカ): Rf = 0.3 (ヘキサン :酢酸エチル = 4 : 1)
【0067】
【化16】
JP0005177427B2_000018t.gif

【0068】
3 (1.82 g, 8.70 mmol, 1 eq.) のエタノール溶液 (100 ml) に水酸化ナトリウム (5.35 g, 134 mmol, 15.4 eq.) の水溶液 (50 ml) を加え、30分還流撹拌した。放冷後、6N 塩酸水溶液を加えた。発生した沈殿をろ過後、ろ物を水で洗浄、真空乾燥し、白色固体4 (1.41 g, 89.5%) を得た。
TLC (シリカ): Rf = 0.2 (ヘキサン :酢酸エチル = 1 : 1)
【0069】
【化17】
JP0005177427B2_000019t.gif

【0070】
4 (571 mg, 3.15 mmol, 1 eq.) のエチレングリコール溶液 (20 ml) に水酸化ナトリウム (1.34 g, 33.5 mmol, 10.6 eq.) を加え、Ar気流下、140℃で4時間撹拌した。放冷後、酢酸エチルを加え、水で2回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた茶色オイル状の粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, ヘキサン:酢酸エチル=4 : 1) により分離精製し、茶色液体5 (303 mg, 70.1 %) を得た。
【0071】
【化18】
JP0005177427B2_000020t.gif

【0072】
5 (56.8 mg, 0.414 mmol, 2 eq.) の塩化メチレン溶液 (5 ml) にオルトギ酸トリエチル (1.00 mL, 6.21 mmol, 30 eq.) を加え、Ar気流下、室温にて撹拌した。トリフルオロ酢酸1滴を加え、さらに室温にて90分攪拌した。多量の水を加えて反応を終了させ、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水で1回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (アルミナ, クロロホルム:酢酸エチル=3 : 1) により分離精製し、紫色固体6 (57.5 mg) を得た。
【0073】
【化19】
JP0005177427B2_000021t.gif

【0074】
6 (57.5 mg, 0.201 mmol, 1 eq.) をトルエン (10 ml)に溶解し、トリエチルアミン (0.3 ml, 2.08 mmol, 10 eq.)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体 (0.40 mL, 3.11 mmol, 15 eq.) を加え、 1時間加熱還流した。放冷後、不溶物をシリカゲルクロマトグラフィーにて分離し、溶出液を減圧濃縮した。得られた組成生物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, トルエン) により分離精製し、 光沢のある緑色固体の形態にある蛍光性化合物 (5.8 mg, 8.46%, 2工程) を得た。
【0075】
TLC (silica) Rf = 0.6 (toluene)
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) σ2.59 (s, 6H), 6.89 (s, 2H), 6.95 (s, 2H), 7.24 (s, 1H)
【実施例2】
【0076】
蛍光性化合物の合成
下記の反応スキームに従い、本発明の蛍光性化合物を合成した。なお、反応スキーム中(後述の反応スキームにおいても同じ)、「DDQ」は2,3-ジシアノ-5,6-ジクロロ-p-ベンゾキノン(酸化剤の一種)を意味する。
【0077】
【化20】
JP0005177427B2_000022t.gif

【0078】
【化21】
JP0005177427B2_000023t.gif

【0079】
Ar気流下、0℃にて5-メチル-2-フルアルデヒド7 (1.80 g, 16.3 mmol, 1 eq) とアジド酢酸エチル (2.80 g, 32.7 mmol, 2 eq) のエタノール溶液 (90 ml) に、ナトリウムエトキシド20% エタノール溶液 (11.1 ml, 32.7 mmol, 2 eq) をエタノール(30 ml) で希釈した溶液をゆっくり滴下した。2時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えpHを中性にし、酢酸エチルを加え、水で2回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカゲル, ヘキサン :酢酸エチル = 9 : 1) により分離精製し、薄黄色液体8 (1.26 g, 34.8 %) を得た。
TLC (シリカ): Rf = 0.42 (シリカゲル, ヘキサン :酢酸エチル = 9 : 1)
【0080】
【化22】
JP0005177427B2_000024t.gif

【0081】
8 (1.257 g, 5.68 mmol) のトルエン溶液 (30 ml) を1時間還流撹拌した。減圧濃縮後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, ヘキサン :酢酸エチル = 4 : 1) により分離精製し、薄肌色固体9 (979 mg, 89.3 %) を得た。
TLC (シリカ): Rf = 0.13 (ヘキサン :酢酸エチル = 9 : 1)
【0082】
【化23】
JP0005177427B2_000025t.gif

【0083】
9 (287 mg, 1.49 mmol, 1 eq) のエタノール溶液 (10 ml) に水酸化ナトリウム (868 mg, 21.7 mmol, 15 eq) の水溶液 (5 ml) を加え、1時間還流撹拌した。放冷後、6N 塩酸水溶液を加えた。発生した沈殿をろ過後、ろ物を水で洗浄、真空乾燥し、灰色固体10 (205 mg, 83.7%) を得た。
TLC (シリカ): Rf = 0.14 (ヘキサン :酢酸エチル = 1 : 1)
1H-NMR(CDCl3): δ = 2.37 (s, 3H), 6.14 (s, 1H), 6.63 (s, 1H)
【0084】
【化24】
JP0005177427B2_000026t.gif

【0085】
10 (200 mg, 1.21 mmol, 1 eq) のエチレングリコール溶液 (5 ml) に水酸化ナトリウム (484 mg, 12.1 mmol, 10 eq) を加え、Ar気流下、140℃で3時間撹拌した。放冷後、酢酸エチルを加え、水で2回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた茶色オイル状の粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, 9:1 hexane/ethylacetate) により分離精製し、茶色液体11 (68.0 mg, 45.5 %) を得た。
TLC (シリカ): Rf = 0.62 (ヘキサン :酢酸エチル = 4 : 1)
1H-NMR(CDCl3): δ = 2.39 (s, 3H), 6.07 (s, 1H), 6.12 (d, 1H, J = 2.9 Hz), 6.67 (t, 1H, J = 2.9 Hz), 7.65 (bs, 1H)
【0086】
【化25】
JP0005177427B2_000027t.gif

【0087】
11 (60 mg, 0.5 mmol, 2 eq) の塩化メチレン溶液 (25 ml) に4-(1-ブチルペンチロキシ)-2,6-ジメチルベンズアルデヒド (69 mg, 0.25 mmol, 1 eq) を加え、減圧脱気し、完全にAr置換した。トリフルオロ酢酸3滴を加え、室温で24時間撹拌後、p-クロラニル (62 mg, 0.25 mmol, 1 eq) を加えた。室温で1時間撹拌後、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(アルミナ、クロロホルム)で不溶物を分離し、ろ液を濃縮して紫色固体12を得た。12は精製せずそのまま次の反応に用いた。
【0088】
【化26】
JP0005177427B2_000028t.gif

【0089】
12をトルエン (10 ml)、トリエチルアミン (0.2 ml)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体 (0.3 ml) を加えた。室温で1時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、トルエンで3回抽出、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, ヘキサン : 酢酸エチル = 4 : 1) により分離精製し、蛍光性化合物 (22.0 mg, 18.2 %、11からの総収率) を得た。
TLC (シリカ): Rf = 0.50 (4:1 hexane/ethylacetate)
1H-NMR(CDCl3): δ = 0.85-0.96 (m, 6H), 1.22-1.29 (m, 8H), 1.42-1.68 (m, 4H), 2.15 (s, 6H), 2.44 (s, 6H), 4.25 (m, 1H), 5.97 (s, 2H), 6.34 (s, 2H), 6.63 (s, 2H)
【実施例3】
【0090】
蛍光性化合物の合成
下記の反応スキームに従い、本発明の蛍光性化合物を合成した。
【0091】
【化27】
JP0005177427B2_000029t.gif

【0092】
【化28】
JP0005177427B2_000030t.gif

【0093】
5は実施例2と同様にして合成した。5 (150 mg, 1.09 mmol, 2 eq.) の塩化メチレン溶液 (50 ml) に4-(1-ブチルペンチロキシ)-2,6-ジメチルベンズアルデヒド (151 mg, 0.547 mmol, 1 eq.) を加え、減圧脱気し、完全にAr置換した。トリフルオロ酢酸1滴を加え、室温で24時間撹拌後、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン (151 mg, 0.547 mmol, 1 eq.) を加えた。室温で30分撹拌後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で4回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (アルミナ, 9 : 1 ヘキサン : 酢酸エチル) により分離精製し、赤色固体13 (82.0 mg, 28.3%) を得た。
TLC (silica) Rf = 0.8 (n-hexane : ethyl acetate = 90 : 10)
【0094】
【化29】
JP0005177427B2_000031t.gif

【0095】
13 (82.0 mg) をトルエン (10 ml) 溶液に溶かし、トリエチルアミン (0.2 ml)、三フッ化ホウ素エーテル錯体 (0.3 ml) を加えた。室温で1時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、トルエンで3回抽出、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, ヘキサン : 酢酸エチル = 4 : 1) により分離精製し、Compound 3 (22.0 mg, 18.2 %) を得た。
【0096】
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) σ0.94 (t, 6H, J = 7.1 Hz), 1.35-1.45 (m, 8H), 1.65-1.72 (m, 4H), 2.15 (s, 6H), 2.58 (s, 6H), 4.25 (quant, 1H, J = 5.9 Hz), 6.57 (s, 2H), 6.64 (s, 2H), 6.93 (s, 2H)
【実施例4】
【0097】
蛍光性化合物の合成
下記の反応スキームに従い、本発明の蛍光性化合物を合成した。
【0098】
【化30】
JP0005177427B2_000032t.gif

【0099】
【化31】
JP0005177427B2_000033t.gif

【0100】
Ar気流下、0℃にてチオフェン-3-カルバルデヒド14 (550 mg, 4.90 mmol, 1.0 eq.) とアジド酢酸エチル (1.40 g, 10.8 mmol, 2.2 eq.) のエタノール溶液 (30 ml) に、ナトリウムエトキシド20% エタノール溶液 (3.33 g, 9.81 mmol, 2.0 eq.) をエタノール(20 ml) で希釈した溶液をゆっくり滴下した。6時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えpHを中性にし、酢酸エチルを加え、水で2回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、薄黄色液体15を得た。15は精製せず、次の反応に用いた。
TLC (シリカ): Rf = 0.8 (シリカゲル, ヘキサン :酢酸エチル = 4 : 1)
【0101】
【化32】
JP0005177427B2_000034t.gif

【0102】
15のトルエン溶液 (20 ml) を30時間還流撹拌した。減圧濃縮後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, ヘキサン:酢酸エチル = 3 : 1) により分離精製し、薄肌色固体16 (295 mg, 30.8%) を得た。
TLC (シリカ): Rf = 0.5 (ヘキサン :酢酸エチル = 4 : 1)
【0103】
【化33】
JP0005177427B2_000035t.gif

【0104】
16 (226 mg, 1.16 mmol, 1 eq.) のエタノール溶液 (10 ml) に水酸化ナトリウム (740 mg, 18.5 mmol, 15.9 eq.) の水溶液 (5 ml) を加え、1時間還流撹拌した。放冷後、6N 塩酸水溶液を加えた。反応系に酢酸エチルを加え、水で2回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、灰色固体17 (190 mg, 97.7%) を得た。
TLC (シリカ): Rf = 0.4 (ヘキサン :酢酸エチル = 1 : 1)
【0105】
【化34】
JP0005177427B2_000036t.gif

【0106】
17 (190 mg, 1.14 mmol, 1 eq.) のエチレングリコール溶液 (5 ml) に水酸化ナトリウム (340 mg, 8.49 mmol, 7.4 eq.) を加え、Ar気流下、140℃で2時間撹拌した。放冷後、酢酸エチルを加え、水で2回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた茶色オイル状の粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, 9:1 hexane/ethylacetate) により分離精製し、茶色液体18 (99.3 mg, 70.9 %) を得た。
TLC (シリカ): Rf = 0.62 (ヘキサン :酢酸エチル = 4 : 1)
【0107】
【化35】
JP0005177427B2_000037t.gif

【0108】
18 (93.0 mg, 0.755 mmol, 2 eq.) の塩化メチレン溶液 (50 ml) に4-(1-ブチルペンチロキシ)-2,6-ジメチルベンズアルデヒド (102 mg, 0.377 mmol, 1 eq.) を加え、減圧脱気し、完全にAr置換した。トリフルオロ酢酸1滴を加え、室温で24時間撹拌後、p-クロラニル (120 mg, 0.488 mmol, 1.3 eq.) を加えた。室温で30分撹拌後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で4回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (アルミナ, クロロホルム) により分離精製し、赤色固体19 (68.4 mg, 36.0%) を得た。
【0109】
【化36】
JP0005177427B2_000038t.gif

【0110】
19 (38.4 mg, 0.0764 mmol, 1 eq.) をトルエン (5 ml) 溶液に溶かし、トリエチルアミン (0.20 mL, 1.38 mmol, 18 eq.)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体 (0.30 mL, 2.30 mmol, 30 eq.) を加えた。室温で1時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、トルエンで3回抽出、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, ヘキサン : 酢酸エチル = 4 : 1) およびゲル浸透クロマトグラフィー(クロロホルム)により分離精製し、蛍光性化合物(7.4 mg, 17.7 %) を得た。
【0111】
TLC (silica) Rf = 0.6 (toluene)
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) σ0.94 (t, 6H, J = 7.1 Hz), 1.34-1.44 (m, 8H), 1.65-1.72 (m, 4H), 2.16 (s, 6H), 2.58 (s, 6H), 4.27 (quant, 1H, J = 5.9 Hz), 6.65 (s, 2H), 6.66 (s, 2H), 6.77 (d, 2H, J = 5.3 Hz), 6.97 (d, 2H, J = 5.3 Hz)
【実施例5】
【0112】
蛍光性化合物の合成
下記の反応スキームに従い、本発明の蛍光性化合物を合成した。
【0113】
【化37】
JP0005177427B2_000039t.gif

【0114】
【化38】
JP0005177427B2_000040t.gif

【0115】
2-フランボロン酸20 (6.00 g, 53.5 mmol, 1 eq) の5:1トルエン/メタノール溶液 (320 ml) にp-ブロモアニソール (10.0 g, 53.5 mmol, 1 eq) および2M 炭酸ナトリウム水溶液 (53 ml) を加え、減圧脱気し、完全にAr置換した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (619 mg, 0.535 mmol, 0.01 eq) を加え、80℃で3時間撹拌した。放冷後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、酢酸エチルで3回抽出、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, 2:1 ヘキサン:塩化メチレン) により分離精製し、橙色固体21 (4.42 g, 78.2 %) を得た。
【0116】
TLC (シリカ): Rf = 0.66 (4:1 hexane/ethylacetate)
1H-NMR(CDCl3): δ = 3.84 (s, 3H), 6.45 (t, 1H, J = 1.6 Hz ), 6.51 (d, 1H, J = 3.4 Hz), 6.92 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.43 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 7.60 (d, 1H, J = 8.8 Hz)
【0117】
【化39】
JP0005177427B2_000041t.gif

【0118】
21 (700 mg, 4.0 mmol, 1 eq) の1,2-ジクロロエタン溶液 (20 ml) に塩化ホスホリス (0.72 ml, 8.0 mmol, 2 eq) を加え、室温で5分間撹拌した。N,N-ジメチルホルムアミド (0.62 ml, 8.0 mmol, 2 eq) を加え、80℃で30分間撹拌した。放冷後、0℃で5N 水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。水を加え、塩化メチレンで5回抽出し、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, 4:1 hexane/ethylacetate) により分離精製し、橙色液体22 (667.3 mg, 82.9 %) を得た。
【0119】
TLC (シリカ): Rf = 0.40 (4:1 hexane/ethylacetate) 1H-NMR(CDCl3): δ = 3.87 (s, 3H), 6.72 (d, 1H, J = 3.9 Hz), 6.97 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.31 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.77 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 9.60 (s, 1H)
【0120】
【化40】
JP0005177427B2_000042t.gif

【0121】
Ar気流下、0℃で、22 (202 mg, 1.0 mmol, 1 eq) とアジド酢酸エチル (516 mg, 4.0 mmol, 4 eq) のエタノール溶液 (10 ml) に、ナトリウムエトキシド20%エタノール溶液 (1.4 ml, 4 mmol, 4 eq) をエタノール(2 ml) で希釈した溶液をゆっくり滴下した。2時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えpHを中性にし、酢酸エチルを加え、水で2回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, 9:1 hexane/ethylacetate) により分離精製し、橙色固体23 (273 mg, 87.5 %) を得た。
【0122】
TLC (シリカ): Rf = 0.39 (9:1 hexane/ethylacetate) 1H-NMR(CDCl3): δ = 1.39 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 3.87 (s, 3H), 4.35 (q, 2H, J = 7.1 Hz), 6.67 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 6.92 (s, 1H), 6.93 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 7.18 (d, 1H, J = 3.4 Hz), 7.65 (d, 2H, J = 8.3 Hz)
【0123】
【化41】
JP0005177427B2_000043t.gif

【0124】
23 (273 mg, 0.875 mmol) のトルエン溶液 (5 ml) を5時間還流撹拌した。減圧濃縮後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, chloroform) により分離精製し、茶色固体24 (117 mg, 46.9 %) を得た。
【0125】
TLC (シリカ): Rf = 0.35 (4:1 hexane/ethylacetate) 1H-NMR(CDCl3): δ = 1.38 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 3.84 (s, 3H), 4.35 (q, 2H, J = 7.1 Hz), 6.57 (s, 1H), 6.80 (s, 1H), 6.94 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.66 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 8.78 (bs, 1H)
【0126】
【化42】
JP0005177427B2_000044t.gif

【0127】
24 (71.0 mg, 0.25 mmol, 1 eq) のエタノール溶液 (10 ml) に水酸化ナトリウム (150 mg, 3.75 mmol, 15 eq) の水溶液 (5 ml) を加え、1時間還流撹拌した。放冷後、6N 塩酸水溶液を加えた。酢酸エチルを加え水で2回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮、真空乾燥し、緑色固体25 (60.0 mg, 93.0%) を得た。
TLC (シリカ): Rf = 0.38 (ethylacetate)
【0128】
【化43】
JP0005177427B2_000045t.gif

【0129】
25 (140 mg, 0.55 mmol, 1 eq) のエチレングリコール溶液 (4 ml) に水酸化ナトリウム (200 mg, 5 mmol, 9 eq) を加え、Ar気流下、160℃で2時間撹拌した。放冷後、酢酸エチルを加え、水で2回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、茶色液体26 (138 mg) を得た。26は精製せずにそのまま次の反応に用いた。
TLC (シリカ): Rf = 0.23 (4:1 hexane/ethylacetate)
【0130】
【化44】
JP0005177427B2_000046t.gif

【0131】
26 (67.0 mg, 0.31 mmol, 2 eq)の1,2-ジクロロエタン溶液 (30 ml) に4-(1-ブチルペンチロキシ)-2,6-ジメチルベンズアルデヒド(42 mg, 0.15 mmol, 1 eq)を加え、減圧脱気し、完全にAr置換した。トリフルオロ酢酸1滴を加え、2時間加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧濃縮し、青緑色の固体27を得た。27は分離精製せず、次の反応に用いた。
【0132】
【化45】
JP0005177427B2_000047t.gif

【0133】
27をトルエン (5 ml) 溶液に溶かし、トリエチルアミン (0.20 mL)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体 (0.30 mL) を加えた。室温で30分間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、クロロホルムで3回抽出、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (シリカ, chloroform) により分離精製し、蛍光性化合物(0.9 mg, 0.5 %, 2工程) を得た。
【0134】
TLC (シリカ): Rf = 0.23 (1:1 toluene/chloroform) 1H-NMR(CDCl3): δ = 0.85-0.97 (m, 6H), 1.25-1.42 (m, 8H), 1.57-1.68 (m, 4H), 2.19 (s, 6H), 3.87 (s, 6H), 4.28 (m, 1H), 6.04 (s, 2H), 6.66 (s, 2H), 6.85 (s, 2H), 6.97 (d, 4H, J = 9.0 Hz), 7.75 (d, 4H, J = 9.0 Hz)
【実施例6】
【0135】
光学特性
実施例2、3及び5で合成した本発明の蛍光性化合物及びの吸収スペクトル及び蛍光発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルは、市販の分光光度計(U-2001、日立製作所)を用い、測定波長300~750nm、測定波長間隔1nmで測定した。蛍光発光スペクトルは、市販の蛍光光度計(F-4500、日立製作所)を用い、最大吸収波長の励起光を用いて以下の条件で測定した。
【0136】
・測定波長:蛍光性化合物及び;550-700 nm
蛍光性化合物;600-750 nm
ペリレン;520-700 nm
・測定波長間隔:0.2 nm
・スキャンスピード:60 nm/min
・レスポンス:AUTO
・スリット幅:励起側 2.5 nm
受光側 2.5 nm
・フォトマルチプライヤー:700 V
【0137】
測定されたスペクトルから、モル吸光係数ε(M-1cm-1)、蛍光量子収率Φ、半値幅fwhm(full width at half maximum height)(nm)を算出した。結果を下記表1に示す。
【0138】
【表1】
JP0005177427B2_000048t.gif

【0139】
蛍光量子収率Φは、N,N'-ビス (1-ヘキシルヘプチル)-3,4:9,10-ペリレンビス (ジカルボキシイミド) (Φ= 1.00、CH2Cl2中)をレファレンスとし、A = Aref = 0.1、Φref = 1.00、nref = 1.46 (CH2Cl2)、n = 1.484 (CHCl3)、1.407 (THF)、1.3284 (MeOH)を代入し、FにはA = 0.1の波長で励起し検出された蛍光強度面積の積算値を代入して求めた。なお、蛍光量子収率Φは、次の式で算出される。
Φ=Φref×(Aref×F×n2)/(A×Fref×nref2)
(ただし、Aは吸光度、Fは蛍光スペクトルの波数積分値、nは溶媒の屈折率を示し、refは参照色素(リファレンス)を示す)。
【0140】
蛍光性化合物の光学特性について
蛍光性化合物の極大吸収波長は581 nm, 586 nmとであり、ボロンジピロメテン(R1 = R3 = R5 = R7 = Me)に比べ約80 nmほど長波長シフトした。分子設計どおり、縮合環の導入によるπ共役系の拡張によりボロンジピロメテンの蛍光が長波長化した。蛍光性化合物は蛍光極大波長588 nmと596 nmに強く鋭い蛍光を発し、シャープなスペクトル形状をしている。表1の数値を見ると、半値幅fwhmは約20 nmと小さく、スペクトルがきわめてシャープであることがわかる。これらの結果から, 蛍光性化合物はボロンジピロメテン骨格と同等の骨格の堅さを有したまま、長波長シフトしていることがわかる。蛍光性化合物は高極性のMeOH中においても、低極性のTHF中においても高い蛍光量子収率を示した。これは蛍光性化合物がボロンジピロメテン本来のきわめて低い環境応答性を有していることを表す。さらに極性の高い水系溶媒においても同様の蛍光を発すると考えられ、バイオ計測への応用のために必要不可欠な特性を有しているといえる。
【0141】
蛍光性化合物の光学特性について
蛍光性化合物の極大吸収波長は673 nmとボロンジピロメテン(R1=R3=R5=R7=Me)に比べ約170 nmほど、蛍光性化合物に比べて約90 nmほど長波長シフトした。分子設計どおり、縮合環の導入と電子供与性置換基の導入によりボロンジピロメテン骨格に比べて長波長化し、近赤外領域に極大吸収波長を持たせることに成功した。また、蛍光性化合物は蛍光極大波長685 nmに強く鋭い蛍光を発し、シャープなスペクトル形状をしている。表1の数値を見ると、半値幅fwhmは約30 nmと小さく、スペクトルがきわめてシャープであることがわかる。これらの結果から、蛍光性化合物はp-メトキシフェニル基を導入したにもかかわらず、蛍光性化合物と同等の骨格の堅さを有していることがわかる。 蛍光性化合物は高極性のMeOH中においても、低極性のTHF中においても高い蛍光量子収率を示した。これは蛍光性化合物がボロンジピロメテン本来のきわめて低い環境応答性を有していることを表す。さらに極性の高い水系溶媒においても同様の蛍光を発すると考えられ、近赤外光を用いたバイオ計測への応用のために必要不可欠な特性を有しているといえる。
【0142】
以上のことより、蛍光性化合物は近赤外領域に極大吸収を持ち、その波長域においても強く鋭い蛍光を発することがわかった。蛍光性化合物の光学特性は既存の近赤外蛍光色素の中でも最も優れたものの中の一つであるといえる。
【0143】
比較例1
広く用いられている市販の蛍光色素であるCy5 (商品名、1-[3-(4-モノメトキシトリチロキシ)プロピル]-1'-[3-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)フォスフォロアミジチル]プロピル]-3,3,3',3'-テトラメチルインドジカルボシアニンクロリド)について、実施例6と同様に光学特性を調べた。結果を下記表2に示す。なお、表2には、対比のため、実施例5で合成した本発明の蛍光性化合物の光学特性も併せて示す。
【0144】
【表2】
JP0005177427B2_000049t.gif
a:Amersham Biosciences社から得たPBS中の値
【0145】
表2に示すように、同程度の吸収・蛍光極大波長を持つ市販の近赤外蛍光色素Cy5(商品名)と比べると、本発明の蛍光性化合物はモル吸光係数ではほぼ同等の値を示し、蛍光量子収率でははるかに高い値を示した。したがって、蛍光性化合物は既存の近赤外蛍光色素に代わってより高感度なバイオ計測のために汎用的に利用される可能性を持つことが示された。
【0146】
比較例2~4
特許文献1に記載されている化合物(比較化合物1)、特許文献2に記載されている化合物(比較化合物2)、及び上記一般式[I]において、R1とR2、R6とR7がそれぞれ芳香環を形成するが、芳香環中にヘテロ原子を含まない化合物(比較化合物3)を合成し、実施例6と同様にして光学特性を測定した。比較化合物1~3の構造を以下に示す。
【0147】
【化46】
JP0005177427B2_000050t.gif

【0148】
【化47】
JP0005177427B2_000051t.gif

【0149】
【化48】
JP0005177427B2_000052t.gif

【0150】
結果を下記表3に示す。なお、表3には、対比のため、実施例5で合成した本発明の蛍光性化合物の光学特性も併せて示す。
【0151】
【表3】
JP0005177427B2_000053t.gif
a:フルオレッセイン(Φ=0.92, 0.1M NaOH中)をレファレンスとして用いた。
b:ナイルブルー(Φ=0.25, MeOH中) をレファレンスとして用いた。
c: 測定せず
【0152】
表3に示されるように、本発明の蛍光性化合物は、比較例2~4の化合物と比較してモル吸光係数が顕著に高く、また、蛍光量子収率も高かった。
【実施例7】
【0153】
本発明の蛍光性化合物の合成
下記の反応スキームに従い、本発明の蛍光性化合物を合成した。
【0154】
【化49】
JP0005177427B2_000054t.gif

【0155】
5-(4-メトキシフェニル)-フラン-2-カルボアルデヒド(2)の合成
【0156】
【化50】
JP0005177427B2_000055t.gif

【0157】
Ar気流下,500mL三口フラスコに4-メトキシフェニルボロン酸(1)(2.99 g , 19.7 mmol , 1.0 eq)を入れ ,トルエン(120 ml)に溶解し、 [1,1'-ビス (ジフェニルホスフィノ)-フェロセン]パラジウム (II)ジクロリド ジクロロメタン複合体 (1:1)(100 mg) 、エタノール(30 ml)、5-ブロモ-2-フラルデヒド (3.46 g, 19.8 mmol, 1.0 eq)および2M炭酸ナトリウム水溶液 (20 ml) を加え、80℃で14時間撹拌した。
【0158】
反応終了後、有機相を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤をろ別して溶媒を減圧濃縮した。得られた粗生成物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー (溶離液 ; ヘキサン/酢酸エチル = 19/1→4/1)で分離精製し、目的化合物 (2) (3.39 g, 84.8 %) を薄黄色液体として得た。
【0159】
TLC (シリカ): Rf = 0.31 (溶離液 ; ヘキサン/酢酸エチル = 4/1)
1H-NMR(CDCl3): δ = 3.86 (s, 3H), 6.72 (d, 1H, J = 3.6 Hz ), 6.96 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 7.30 (d, 1H, J = 3.9 Hz), 7.77 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 9.60 (s, 1H)
【0160】
2-アジド-3-[5-(4-メトキシフェニル)-フラン-2-イル]-アクリル酸エチルエステル(3)の合成
【0161】
【化51】
JP0005177427B2_000056t.gif

【0162】
1000mL三口フラスコにAr気流下,5-(4-メトキシフェニル)-フラン-2-カルボアルデヒド(2)(3.39 g, 16.8 mmol, 1.0 eq) とアジド酢酸エチル (8.65 g, 67.0 mmol, 4.0 eq) をエタノール(300 ml)に溶解し、次いで20% ナトリウムエトキシドエタノール溶液 (22.8 g, 67.0 mmol, 4.0 eq)を0℃氷浴中でゆっくり滴下し,2時間撹拌した。
【0163】
反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えpHを弱酸性にし、水を加えて吸引ろ過を行い、得られたろ物を乾燥し、黄色固体(3) (3.31 g)を得た。得られた化合物(3)は精製せずにそのまま次の反応に用いた。
【0164】
TLC (シリカ): Rf = 0.38 (溶離液 ; ヘキサン/酢酸エチル = 9/1)
【0165】
2-(4-メトキシフェニル)-4H-フロ[3,2-b]ピロール-5-カルボン酸エチルエステル(4)の合成
【0166】
【化52】
JP0005177427B2_000057t.gif

【0167】
200mLナスフラスコに化合物(3) (3.31 g,10.6 mmol,1 eq)を入れ、トルエン (60 ml) に溶解し、1.5時間還流撹拌した。
【0168】
減圧濃縮後、得られた粗生成物を再結晶(溶液 ; ヘキサン,酢酸エチル)を行った後に吸引ろ過し、得られたろ物を乾燥し、目的化合物(4)(2.32 g, 48.6% (2工程)) を茶色結晶として得た。
【0169】
TLC (シリカ): Rf = 0.32 (溶離液 ; クロロホルム)
1H-NMR(CDCl3): δ = 1.38 (t, 3H), 3.85 (s, 3H), 4.35 (q, 2H, J = 7.1 Hz), 6.58 (s, 1H), 6.80 (s, 1H), 6.94 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 7.67(d, 2H, J = 9.0 Hz), 8.72(s, 1H)
【0170】
2-(4-メトキシフェニル)-4H-フロ[3,2-b]ピロール-5-カルボン酸(5)の合成
【0171】
【化53】
JP0005177427B2_000058t.gif

【0172】
300mLフラスコに2-(4-メトキシフェニル)-4H-フロ[3,2-b]ピロール-5-カルボン酸エチルエステル(4) (1.90 g, 6.66 mmol, 1 eq) を入れ、エタノール (60 ml) に溶解し、sodium hydroxide (3.90 g, 97.5 mmol, 14.6 eq) エタノール溶液 (30 ml) を加え、1時間還流撹拌した。
【0173】
放冷後、6N HCl水溶液を加え、溶液を酸性にし、水を加えて吸引ろ過を行い、得られたろ物を真空乾燥し、目的化合物 (5) ( 1.56 g, 91.0 %) を薄緑灰色固体として得た。
【0174】
TLC (シリカ): Rf = 0.40 ( 溶離液 ;酢酸エチル)
1H-NMR(CDCl3): δ = 3.86 (s, 3H), 6.60 (s, 1H ), 6.83 (s, 1H ), 6.95(d, 2H, J = 9.0 Hz) ,7.28 (s , 1H) , 7.68 (d, 2H, J = 9.0 Hz)
【0175】
【化54】
JP0005177427B2_000059t.gif

【0176】
30mL二口フラスコに 2-(4-メトキシフェニル)-4H-フロ[3,2-b]ピロール-5-カルボン酸(5) (101 mg, 0.391 mmol, 2 eq) 、TFA (1 ml)、1,2-ジクロロエタン(2 ml)を入れ、Ar気流下、30 ℃で30分間撹拌した。次いで、1,2-ジクロロエタン(6 ml)を加え、窒素でバブリングを行った後、オルトギ酸トリエチル(49.8 mg, 0.336 mmol, 1.7 eq) を加え、室温で1時間撹拌した。
【0177】
反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機相を洗浄した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、得られた粗生成物をアルミナクロマトグラフィー (溶離液 ; クロロホルム)でおおまかに分離し、黒色固体 (6) (46.4 mg)を得た。化合物(6)は精製せずにそのまま次の反応に用いた。
【0178】
TLC (アルミナ): Rf = 0.82 (溶離液 ; クロロホルム/酢酸エチル = 10/1)
【0179】
蛍光性化合物の合成
【0180】
【化55】
JP0005177427B2_000060t.gif

【0181】
化合物 (6) (19.9 mg)が入った100mLフラスコに、1,2-ジクロロエタン(15 ml)、三フッ化ホウ素ジエチルエーチル錯体(0.1ml)、TEA (0.8ml)を加え、60℃で40分間撹拌した。
【0182】
反応終了後、酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機相を抽出、洗浄した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー (溶離液 ; クロロホルム)でおおまかに分離し、緑色固体を得た.これをメタノールおよびアセトンで洗浄し、得られた固体を真空乾燥し、蛍光性化合物(3.5 mg, 8.5%, 3工程) を緑色結晶として得た。
【0183】
TLC (シリカ): Rf = 0.24 (溶離液 ; クロロホルム)
【実施例8】
【0184】
本発明の蛍光性化合物の合成
下記の反応スキームに従い、本発明の蛍光性化合物を合成した。
【0185】
【化56】
JP0005177427B2_000061t.gif

【0186】
5-(2,5-ジメトキシフェニル)-フラン-2-カルボアルデヒド(9)の合成
【0187】
【化57】
JP0005177427B2_000062t.gif

【0188】
Ar気流下、500mL三口フラスコに2,5-ジメトキシフェニルボロン酸(8)(3.64 g , 20.0 mmol, 1.0 eq)を入れ、トルエン(120 ml)に溶解し、[1,1'-ビス (ジフェニルホスフィノ)-フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン複合体 (1:1) (110 mg)、エタノール(30 ml)、5-ブロモ-2-フロアルデヒド (3.50 g, 20.0 mmol, 1.0 eq)および2M 炭酸ナトリウム水溶液 (20 ml) を加え、80℃で3時間撹拌した。
【0189】
反応終了後、有機相を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤をろ別して溶媒を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー (溶離液 ; トルエン/酢酸エチル = 20/1)で分離精製し、目的化合物 (9) (3.82 g, 82.2 %) を薄黄色液体として得た。
【0190】
TLC (シリカ): Rf = 0.23 (溶離液 ; トルエン/酢酸エチル = 20/1)
1H-NMR(CDCl3): δ = 3.85 (s, 3H), 3.92 (s, 3H), 6.93 (d, 2H, J = 1.7 Hz), 7.17(d, 1H, J = 3.7 Hz) , 7.33 (d, 1H, J = 3.7 Hz), 7.56 (t, 1H, J = 1.7 Hz), 9.65 (s, 1H)
【0191】
2-アジド-3-[5-(2,5-ジメトキシフェニル)-フラン-2-イル]-アクリル酸エチルエステル(10)の合成
【0192】
【化58】
JP0005177427B2_000063t.gif

【0193】
1000mL三口フラスコにAr気流下、5-(2,5-ジメトキシフェニル)-フラン -2-カルボアルデヒド(9)(3.82 g, 16.4 mmol, 1.0 eq) とアジド酢酸エチル (8.50 g, 65.7 mmol, 4.0 eq) をエタノール(300 ml)に溶解し、次いで20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液 ( 22.8 g, 65.7 mmol, 4.0 eq)を0℃氷浴中でゆっくり滴下し、3時間撹拌した。
【0194】
反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えpHを弱酸性にし、水を加えて吸引ろ過を行い、得られたろ物を乾燥し、黄色固体(10)(3.30 g)を得た。(10)は精製せずにそのまま次の反応に用いた。
【0195】
TLC (シリカ): Rf = 0.61 (溶離液 ; ヘキサン/酢酸エチル = 4/1)
【0196】
2-(2,5-ジメトキシフェニル)-4H-フロ[3,2-b]ピロール-5-カルボン酸エチル(11)の合成
【0197】
【化59】
JP0005177427B2_000064t.gif

【0198】
200mLナスフラスコに化合物(10) (3.30 g, 9.61mmol, 1 eq) を入れ、トルエン (60 ml) に溶解し、1時間還流撹拌した。
【0199】
減圧濃縮後、得られた粗生成物を再結晶(溶液 ; ヘキサン、酢酸エチル)を行った後に吸引ろ過し、得られたろ物を乾燥し、目的化合物(11)(2.70 g, 52.1%, 2工程) を茶色結晶として得た。
【0200】
TLC (シリカ): Rf = 0.26 (溶離液 ; クロロホルム)
1H-NMR(CDCl3): δ =1.39(t , 3H, J = 7.2 Hz) , 3.86 (s, 3H), 3.92 (s, 3H), 4.36(quant. , 2H J = 7.2 Hz) , 6.80 - 6.84 (m, 2H), 6.90(d, 1H, J = 9.0 Hz) , 7.09 (s, 1H), 7.52 (d, 1H, J = 3.3 Hz), 8.71(s, 1H)
【0201】
2-(2,5-ジメトキシフェニル)-4H-フロ[3,2-b]ピロール-5-カルボン酸(12)の合成
【0202】
【化60】
JP0005177427B2_000065t.gif

【0203】
500mLフラスコに2-(2,5-ジメトキシフェニル)-4H-フロ[3,2-b]ピロール-5-カルボン酸エチル(11) (2.67 g, 8.47 mmol, 1 eq) を入れ、エタノール (100 ml) に溶解し、水酸化ナトリウム (5.08 g, 127mmol, 15 eq) 水溶液 (50 ml) を加え、1時間還流撹拌した。
【0204】
放冷後、6N HCl水溶液を加え、溶液を酸性にして30分間攪拌した後、水を加えて吸引ろ過を行い、得られたろ物を真空乾燥し、目的化合物 (12) ( 1.90 g, 78.1 %) を緑灰色固体として得た。
【0205】
TLC (シリカ): Rf = 0.37 ( 溶離液 ;酢酸エチル)
1H-NMR(CDCl3): δ =3.86 (s, 3H), 3.92 (s, 3H), 6.84 (dd, 1H, J 1= 8.8 Hz, J 2= 2.9 Hz), 6.93-6.89(m, 2H) , 7.11 (s, 1H), 7.52 (d, 1H, J 2= 2.9 Hz), 8.88(s, 1H)
【0206】
【化61】
JP0005177427B2_000066t.gif

【0207】
30mL二口フラスコに2-(2,5-ジメトキシフェニル)-4H-フロ[3,2-b]ピロール-5-カルボン酸(12) (97.0 mg, 0.338 mmol, 2 eq) 、TFA (1 ml)、1,2-ジクロロエタン(2 ml)を入れ、Ar気流下、40℃で35分間撹拌した。次いで、 オルソギ酸トリメチル (65.1 mg, 0.439 mmol, 2.6 eq) を加え、室温で40分間撹拌した。
【0208】
反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機相を洗浄した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、得られた粗生成物をアルミナクロマトグラフィー (溶離液 ; ヘキサン/酢酸エチル = 1/1)でおおまかに分離し、紫色固体 (13)(20.0 mg)を得た。化合物 (13)は精製せずにそのまま次の反応に用いた。
【0209】
TLC (アルミナ): Rf = 0.90 (溶離液 ; クロロホルム/酢酸エチル = 10/1)
【0210】
【化62】
JP0005177427B2_000067t.gif

【0211】
化合物(13)(20.0 mg)が入った50mLフラスコに、1,2-ジクロロエタン(15 ml)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル複合体 (約0.1ml)、TEA (約0.8ml)を加え、室温で25分間攪拌後、60℃で5分間撹拌した。
【0212】
反応終了後、酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機相を抽出、洗浄した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、得られた粗生成物をシリカクロマトグラフィー (溶離液 ; クロロホルム)、ゲル浸透クロマトグラフィー(溶離液 ; 特級クロロホルム)および分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィー (溶離液 ; クロロホルム)で分離精製し、蛍光性化合物(0.9 mg, 0.49 %(3 step)) を緑色結晶として得た。
【0213】
TLC (シリカ): Rf = 0.85 (溶離液 ; クロロホルム/酢酸エチル = 10/1)
1H-NMR(CDCl3): δ =3.86 (s, 6H), 3.97 (s, 6H), 6.47 (s, 2H), 6.95 (d, 4H, J = 1.8 Hz) , 7.08 (s, 1H), 7.33(s, 2H), 7.51 (t, 2H, J = 1.8 Hz)
【実施例9】
【0214】
本発明の蛍光性化合物の合成
下記の反応スキームに従い、本発明の蛍光性化合物を合成した。
【0215】
【化63】
JP0005177427B2_000068t.gif

【0216】
30mL三口フラスコに2-(4-メトキシフェニル)-4H-フロ [3,2-b]ピロール-5-カルボン酸 (5) (98.5 mg, 0.38 mmol, 2 eq)、TFA (5 ml)を入れ、Ar気流下、50 ℃で15分間撹拌後、放冷し、氷浴中で0℃に冷やした。次いで、亜硝酸ナトリウム(14.2 mg, 0.206 mmol, 1.1 eq)を加え、0 ℃で10分間撹拌後、TFAA(2 ml)を加えて室温で10分攪拌し、ついで60℃で1時間攪拌した。
【0217】
反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および氷を加え、溶液を中和し、酢酸エチルを加え、有機相を抽出した。有機相を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、得られた粗生成物をアルミナクロマトグラフィー (溶離液 ;クロロホルム)でおおまかに分離し、青緑色固体 (15)(11.5 mg)を得た。化合物(15)は精製せずにそのまま次の反応に用いた。
【0218】
TLC (アルミナ): Rf = 0.63 (溶離液 ; クロロホルム)
【0219】
【化64】
JP0005177427B2_000069t.gif

【0220】
化合物 (15) (11.5 mg)が入った50 mLフラスコに、1,2-ジクロロエタン(20 ml)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.1ml)、TEA (0.08ml)を加え、40℃で30分間撹拌した。
【0221】
反応終了後、塩化メチレンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機相を抽出、洗浄した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー (溶離液 ; クロロホルム)でおおまかに分離し、減圧濃縮した後、アセトンを加えて吸引ろ過を行い、得られたろ物を真空乾燥し、蛍光性化合物(9.2 mg,4.4 %(3工程)) を緑色結晶として得た。
【0222】
TLC (シリカ): Rf = 0.50 (溶離液 ; クロロホルム)
1H-NMR(CDCl3): δ = 3.90 (s, 6H), 6.73 (quant, 2H, J = 2.2 Hz), 6.82 (s, 2H), 7.00(d, 4H, J = 8.8 Hz) , 7.80 (d, 4H, J = 9.0 Hz)
19F-NMR(CDCl3): δ = -54.32 (s, 3F), 149.02(quant, 2F)
【0223】
なお、上記実施例及び比較例において、試薬は分析級試薬あるいは最上級品位のものを用いた。また、すべての1H-NMRスペクトルはテトラメチルシランを内部標準物質とし、r. t.で測定された。機器は、JOEL JNM-GSX300、JOEL JMM-LA300 FT-NMRを用いた。
【0224】
また、上記実施例及び比較例において用いた略号は以下のとおりである。
Me: メチル基
Et: エチル基
DDQ: 2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン
TEA: トリエチルアミン
TFA: トリフロロ酢酸
TFAA: トリフロロ無水酢酸
MeOH: メタノール
r.t.: 室温
min: 分
h: 時間
【実施例10】
【0225】
実施例7~9で合成した本発明の蛍光性化合物及びの光学特性を実施例6と同様にして測定した。結果を下記表4に示す。
【0226】
【表4】
JP0005177427B2_000070t.gif
a 誤差10%含む
b 測定せず (not determined)
【0227】
蛍光性化合物6および7の蛍光量子収率Φは、3,3'-ジエチル-ジチアジカルボシアニン(Φref = 0.33、 MeOH中)をリファレンスとし、A = Aref = 0.079,Φref = 0.33,nref = 1.329(MeOH),n = 1.445 (CHCl3), 1.407 (THF:テトラヒドロフラン), 1.329 (MeOH)を代入し、Fには650nmの励起光で励起し検出された蛍光強度面積の積算値を代入して求めた。
Φ = Φref×(Aref×F×n2)/ (A×Fref×nref2)
(ただし、Aは吸光度、Fは蛍光スペクトルの波数積分値、nは溶媒の屈折率を示し、refは参照色素(リファレンス)を示す)
【0228】
蛍光性化合物の蛍光量子収率Φは、異なる濃度の溶液を準備し、縦軸を蛍光強度面積の積分値F(励起光:690nm)、横軸を吸光度Aとしたグラフを作成し、その傾きGrad(=F/A)を算出し、さらに各溶媒の屈折n = 1.496 (トルエン), 1.445 (CHCl3), 1.407 (THF), 1.344(MeCN), 1.329 (MeOH)を代入しそれぞれの値を次の式に代入することで求めた。このとき、参照化合物1(下記)(Φref = 0.36、 CHCl3中)をリファレンスとした。
Φ = Φref×(Grad×n2)/ (Gradref×nref2)
(ただし、Gradは縦軸に蛍光スペクトルの波数積分値、横軸に吸光度としたグラフの傾き、nは溶媒の屈折率を示し、refは参照色素(リファレンス)を示す)
【0229】
蛍光性化合物の蛍光極大波長はクロロホルム中で683 nm、688 nmとなり、ボロンジピロメテン (R1 = R3 = R5 = R7 = Me)に比べて約170 nmほど、蛍光性化合物に比べ約90 nmシフトした。このことから、特定の部位に電子供与基を導入することで長波長化することが確かめられた。また、蛍光性化合物は、それぞれ半値幅が非常に小さく、鋭い蛍光スペクトルを示している。このことから、ボロンジピロメテン骨格と同様の骨格の堅さを維持したまま長波長シフトしたことがわかる。さらに、蛍光性化合物およびを比較すると、導入した基の電子供与性が高いほど蛍光が長波長化することが確かめられた。
【0230】
【化65】
JP0005177427B2_000071t.gif
参照化合物1
【0231】
蛍光性化合物の蛍光極大波長はクロロホルム中で737 nmとなり、蛍光性化合物に比べ約54 nmシフトした。このことから、特定の部位に電子吸引基を導入することでさらなる長波長シフトが達成できることがわかる。また、また、蛍光性化合物は、半値幅が31 nm程度と非常に小さく、鋭い蛍光スペクトルを示している。このことから、ボロンジピロメテン骨格と同様の骨格の堅さを維持したまま長波長シフトしたことがわかる。
【実施例11】
【0232】
蛍光性化合物と、Cy7(商品名、1-[3-(4-モノメトキシトリチロキシ)プロピル]-1'-[3-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)フォスフォロアミジチル]プロピル]-3,3,3',3'-テトラメチルインドトリカルボシアニンクロリド)の光に対する耐久性を確かめる実験を行った。
【0233】
蛍光性化合物とCy7(商品名)を、それぞれアセトニトリル中に溶解し、吸光度が0.1になる濃度に調整し、遮光せず同条件下(具体的には日常生活光の下)で放置し、1日(ないしは2日おき)に吸光度を測定した。そして縦軸に相対吸光度(放置前の吸光度を100%とする)を、横軸に日数をとり、経時変化をグラフに示した。
【0234】
結果を図1に示す。蛍光性化合物は、一週間後でも吸光度は95%以上保持されている一方、Cy7(商品名)は吸光度が10%以下まで減少した。この結果より、Cy7(商品名)の光に対する耐久性は著しく乏しいが、蛍光性化合物は光に対する耐久性が極めて高いことがわかった。この結果より、従来の色素では不可能であった、長時間の分析試薬、または高耐久性の新規表示色素材料、光学材料としての応用が可能となると考えられる。
【0235】
Cy7に代表されるシアニン系色素は、0010段落でも述べたように、化学的に柔軟な結合であるオレフィン(ポリメチン)鎖が長く、この部位が光異性化などを起こし、そのため耐久性の低下を招いたと考えられる。また、この現象はCy7のみならず、一般的にオレフィン(ポリメチン)構造を有する色素においては起こりうることであり、オレフィン(ポリメチン)鎖が長くなるほど、耐久性が低下すると考えられる。もっとも、この現象は非特許文献3をはじめ、多くの文献で報告されている事実である。
【0236】
一方、蛍光性化合物は、化学的に堅牢な分子構造であるため、飛躍的に光耐久性が向上したと考えられる。したがって、蛍光性化合物は、柔軟なオレフィン構造を有する色素、特にCy7に代表されるようなシアニン系色素に対して、光耐久性の面でも有意な利点を見出せる。もっとも、この事象は蛍光性化合物に限定されず、本発明による蛍光性化合物全般に共通する特性である。
図面
【図1】
0