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明細書 :カラーフォーマー、オルガノゲルおよび放射線検出材料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5330854号 (P5330854)
公開番号 特開2010-189329 (P2010-189329A)
登録日 平成25年8月2日(2013.8.2)
発行日 平成25年10月30日(2013.10.30)
公開日 平成22年9月2日(2010.9.2)
発明の名称または考案の名称 カラーフォーマー、オルガノゲルおよび放射線検出材料
国際特許分類 C07D 265/38        (2006.01)
C07D 413/12        (2006.01)
G01T   1/04        (2006.01)
FI C07D 265/38 CSP
C07D 413/12
G01T 1/04
請求項の数または発明の数 4
全頁数 20
出願番号 特願2009-036063 (P2009-036063)
出願日 平成21年2月19日(2009.2.19)
審査請求日 平成23年11月10日(2011.11.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
発明者または考案者 【氏名】太刀川 達也
個別代理人の代理人 【識別番号】110000109、【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
審査官 【審査官】春日 淳一
参考文献・文献 特開2006-343212(JP,A)
特開2004-277302(JP,A)
特開2003-277368(JP,A)
特開昭61-88254(JP,A)
調査した分野 C07D,G01T
CAplus,REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物。
【化16】
JP0005330854B2_000030t.gif
(式中、Xは、酸素原子、または、置換または未置換のフェニル基が結合した窒素原子であり、R1及びR2は、独立に、炭素数1~4のアルキル基であり、nは1~18の整数であり、R3は、水素原子、置換または未置換の炭素数1~4のアルキル基である。R4は、置換または未置換の炭素数1~18のアルキル基である。)
【請求項2】
R3のアルキル基が有する置換基は、水酸基、チオール基、チオメチル基、置換または未置換のアミノ基、カルボキシル酸基、カルボキシルアミド基、イミダゾール基、フェニル基、フェノール基、及びインドール基からなる群から選ばれる請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物と有機溶媒からなるオルガノゲル。
【請求項4】
請求項3に記載のオルガノゲルからなる放射線検出用材料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノゲル化剤として機能するカラーフォーマーとして有用な新規化合物、この化合物を含むオルガノゲル、およびこのオルガノゲルからなる放射線検出材料に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線は、医療、工業、農業等、種々の産業分野で広く利用されている。放射線を取り扱う医療、研究施設さらには原子力発電所などの放射線利用施設では、人体への効率的な被曝低減対策と徹底した漏洩対策が求められている。また、放射線照射を利用する滅菌加工等を行う施設においては、照射した放射線量を短時間に的確に把握する必要がある。
【0003】
原子力発電所では通常管理区域入口に定点の定期的サーベイによりエリア線量率マップを作成し、この線量率の情報を作業者に提供することにより被曝管理を行っている。しかし情報伝達には新たな電気配線を必要とする上、咄嗟の放射線漏洩に敏感に対応することが困難な場合が生ずる。
【0004】
一方、放射線照射を利用する施設では、対象物により放射線量を変更するため、広い線領域で放射線を感受することが求められている。
【0005】
本発明者らは、機能性色素を用いてγ線に代表される放射線を検出する方法および手段を開発し、医療・工業・農業など様々な産業分野で利用されている。機能性色素を用いる検出方法は、放射線に起因する化学反応を用いた色素化合物の色の変化による放射線の検出方法である。具体的には、フェノキサジン系化合物を用いた発色剤(カラーフォーマー)を開発し、特許出願している(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2003-277368号公報
【特許文献2】特開2004-277302号公報
【特許文献3】特開2006-343212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3に記載のフェノキサジン系化合物は、検出感度が~1Gyと高い。しかし、有機溶媒やポリマーに分散して使用する脂溶性の化合物であり、水溶液や水溶性ゲル中では発色しない。実際には、アセトニトリルなどの有機溶媒を用い、分散して使用する。しかし、溶液状態での使用は必ずしも便利ではなく、固体状とすることが使用上の利便性を上げるという観点から好ましい。そこで、上記フェノキサジン系化合物を固体状で使用するために、例えば、ポリマー等に分散させることができる。しかし、ポリマー等に分散させると感度が~100Gy程度に下がるという問題点がある。
【0008】
そこで本発明は、溶液と固体との中間的な状態であるゲル状で使用でき、かつ検出感度も高い放射線検出用発色剤に適した化合物の提供を目的とする。さらに本発明は、この化合物を用いて作成した、放射線検出に用いることができるゲル状の材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、以下のとおりである。
[1]
下記一般式(1)で示される化合物。
【化1】
JP0005330854B2_000002t.gif
(式中、Xは、酸素原子、または、置換または未置換のフェニル基が結合した窒素原子であり、R1及びR2は、独立に、炭素数1~4のアルキル基であり、nは1~18の整数であり、R3は、水素原子、置換または未置換の炭素数1~4のアルキル基である。R4は、置換または未置換の炭素数1~18のアルキル基である。)
[2]
R3のアルキル基が有する置換基は、水酸基、チオール基、チオメチル基、置換または未置換のアミノ基、カルボキシル酸基、カルボキシルアミド基、イミダゾール基、フェニル基、フェノール基、及びインドール基からなる群から選ばれる[1]に記載の化合物。
[3]
[1]または[2]に記載の化合物と有機溶媒からなるオルガノゲル。
[4]
[3]に記載のオルガノゲルからなる放射線検出用材料。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、固体状で使用でき、かつ検出感度も高い放射線検出用発色剤に適した化合物を提供することができる。さらに本発明によれば、この化合物を用いて作成したオルガノゲルを提供でき、このオルガノゲルは、放射線検出に用いることができる固体状の材料である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】1cのアセトニトリルゲルについてのγ線照射実験の結果(スペクトルの変化)と発色機構を示す。
【図2】1cのアセトニトリルゲルについてのγ線照射実験の結果(吸収の変化)
【図3】1cの蒸留塩化メチレンゲルについてのγ線照射実験の結果(スペクトルの変化)と発色機構を示す。
【図4】1cの蒸留塩化メチレンゲルについてのγ線照射実験の結果(吸収の変化)
【図5】1cの蒸留塩化メチレンゲルについてのγ線照射実験の結果(2回目) (スペクトルの変化)と発色機構を示す。
【図6】1cの蒸留塩化メチレンゲルについてのγ線照射実験の結果(2回目) (吸収の変化)
【図7】1eの蒸留アセトニトリルゲルにおけるγ線照射実験の結果(スペクトルの変化を示す。
【図8】1eの蒸留アセトニトリルゲルにおけるγ線照射実験の結果(吸収変化)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[化合物]
本発明は、下記一般式(1)で示される化合物に関する。
【化2】
JP0005330854B2_000003t.gif

【0013】
式中、Xは、酸素原子、または、置換または未置換のフェニル基が結合した窒素原子である。窒素原子は未置換のフェニル基が結合するか、あるいは置換基を有するフェニル基が結合する。フェニル基が有する置換基は、例えば、メチル、アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、メトキシ、アミノ、アルキルアミノ基であることができる。

【0014】
R1及びR2は、独立に、炭素数1~4のアルキル基であり、具体的には、メチル、エチル、n-プルピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、またはターシャリーブチルである。nは1~18の整数であり、好ましくは8~16の整数であり、R3は、水素原子、置換または未置換の炭素数1~4のアルキル基である。未置換のアルキル基は、具体的には、メチル、エチル、n-プルピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、またはターシャリーブチルである。R3のアルキル基が有する置換基は、水酸基、チオール基、チオメチル基、置換または未置換のアミノ基、カルボキシル酸基、カルボキシルアミド基、イミダゾール基、フェニル基、フェノール基、及びインドール基からなる群から選ばれる。R3は、具体的にはタンパク質を構成するアミノ酸(NH2CHRCO2H)の側鎖であるRに相当する基であることが好ましく、イソプロピル基等の未置換のアルキル基や、フェニルメチル基などの置換基を有するアルキル基である。R4は、置換または未置換の炭素数1~18のアルキル基であり、アルキル基の好ましい炭素数は4~12である。アルキル基が有することができる置換基としては、例えば、置換または未置換のアリール基、ハロゲン、水酸基、アミノ基等を挙げることができる。またアリール基が有することができる置換基としては、アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、メトキシ、アミノ、ジアルキルアミノ基等を挙げることができる。

【0015】
一般式(1)で示される化合物の合成は、後述する実施例において詳細に説明する。例えば、実施例1に示す化合物1cの合成は、クロロギ酸アルキル6cとアミノ酸化合物2bをアルカリの存在下で反応し、得られた化合物8cをジアミノアエルキル7aと反応させ、化合物9cを得る。次いで、化合物9cを化合物5aと反応させて目的物である化合物1cを得る。クロロギ酸アルキル6cのアルキル鎖の長さを変えることやアルキル鎖への置換基の有無を選択することで、一般式(1)の末端アルキル鎖の異なる化合物を得ることができ、アミノ酸化合物2bの種類を変えることで、一般式(1)のR3の異なる化合物を得ることができ、ジアミノアエルキル7aのアルキル鎖の長さを変えることで、一般式(1)のnの異なる化合物を得ることができる。また、化合物5aを変えることで、一般式(1)のX、R1及びR2の異なる化合物を得ることができる。

【0016】
[オルガノゲル]
本発明は、上記本発明の化合物と有機溶媒からなるオルガノゲルに関する。本発明の化合物は、オルガノゲル化剤としての機能を有するカラーフォーマーであり、本発明の化合物を溶解できる有機溶媒に適量を加熱溶解し、冷却することによりオルガノゲルを形成することができる。有機溶媒の種類及び本発明の化合物の含有量は、本発明の化合物の種類に応じて適宜選択できる。有機溶媒の例としては、例えば、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸エチル、エーテル、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物であることができる。オルガノゲルにおける本発明の化合物の含有量は、オルガノゲルに要求される強度と発色性、さらには使用する有機溶媒に対する溶解性等を考慮して適宜決定することができ、例えば、0.01mM~1Mの範囲とすることができる。但し、この範囲に限定されない。オルガノゲルを形成する際には加熱溶解するが、加熱温度は、有機溶媒の沸点や化合物の溶解性に応じて適宜決定でき、例えば、30~80℃の範囲、好ましくは30~50℃の範囲とすることができる。

【0017】
上記本発明のオルガノゲルは、放射線検出材料として使用できる。放射線検出材料として使用する場合には、オルガノゲルを適当な形状及び寸法に調整することが好ましく、形状としては、シート状、短冊状、円盤状等にすることができる。また、オルガノゲルには、有機溶媒が含まれていることから、適当な密閉容器に収納することが好ましい。但し、密閉容器は、放射線検出材料としての使用に支障のない、放射線透過性を有するものであることが適当である。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
3,7-Bis(diethylamino)-10-(p-(phenyloxycarbamoyl)phenyloxythiocarbonyl)phenoxazine 1cの合成2)
スキーム1-1に従って、化合物1cを合成した。
【実施例】
【0019】
【化3】
JP0005330854B2_000004t.gif
【実施例】
【0020】
(1) 3,7-Bis(diethylamino)-10-(p-hexylureidophenyloxythiocarbonyl)phenoxazine 8cの合成2)
【化4】
JP0005330854B2_000005t.gif
【実施例】
【0021】
水10mlを50 ml三角フラスコに入れ、そこに水酸化ナトリウム2.104 g (52.6 mmol)を加えて溶解させ、水溶液を調製した。この水溶液にL-フェニルアラニン2b 4.87 g (29.5 mmol)を溶解させ、100 ml三口フラスコに注ぎ、撹拌した。次に、ジエチルエーテル50mlに溶解させたクロロギ酸ドデシル6c 5.00 g (26.3 mmol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温で2.5時間撹拌した。撹拌終了後、12 Nの塩酸を加え、反応器内をpH1にした。その後、酢酸エチルを用いて抽出し、水洗した。抽出した溶液を硫酸ナトリウムで脱水後、エバポレーターで減圧留去し、ライン乾燥した。
【実施例】
【0022】
外観:白色粉末
収量:7.28 g (22.8 mmol)
収率:86.7 %
【実施例】
【0023】
JP0005330854B2_000006t.gif
【実施例】
【0024】
(2) 3,7-Bis(diethylamino)-10-(p-octylureidophenyloxythiocarbonyl)phenoxazine 9cの合成 5, 6)
JP0005330854B2_000007t.gif
【実施例】
【0025】
7a 3.21 g (16.0 mmol)、HOBt 2.17 g (16.1 mmol)、EDC 2.46 g (12.8 mmol)を溶解させたDMF 80ml を300 ml三口フラスコに入れ、8c 4.01 g (12.5 mmol)をDMF100 mlに溶解させ、これを滴下し12時間撹拌した。撹拌終了後、塩化メチレンを用いて抽出し、(飽和)塩化アンモニウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で分液を行い、硫酸マグネシウムで脱水させ、その後、減圧留去した。真空ラインで乾燥中にゲル化を確認した。
【実施例】
【0026】
外観:白色粉末
収量:1.94 g (3.870 mmol)
収率:31.0 %
【実施例】
【0027】
JP0005330854B2_000008t.gif
【実施例】
【0028】
(3) 3,7-Bis(diethylamino)-10-(p-dodecylureidophenyloxythiocarbonyl)phenoxazine 1cの合成
【化5】
JP0005330854B2_000009t.gif
【実施例】
【0029】
室温で、5a 0.500 g (0.997 mmol)、9c 0.431 g (0.665 mmol)、Et3N 0.501 mL (3.58 mmol)、を塩化メチレン 20 mLに溶解させた。2時間還流させた。水洗し、無水酢酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧留去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル = 5 / 1)により分離した。
得られた残渣を酢酸エチルとヘキサンに溶解させた後、再沈殿させた。この沈殿物をアセトニトリルでダイジェストして、化合物1cを得た。
【実施例】
【0030】
外観:青白色粉末
収量:0.0240 g (0.0281 mmol)
収率:2.82 %
【実施例】
【0031】
JP0005330854B2_000010t.gif
【実施例】
【0032】
実施例2
2.3.4 3,7-Bis(diethylamino)-10-(p-tetradecylureidophenyloxythiocarbonyl)phenoxazine 1dの合成2)
スキーム2-1に従って、化合物1dを合成した。
【化6】
JP0005330854B2_000011t.gif
【実施例】
【0033】
(1) 3,7-Bis(diethylamino)-10-(p-tetradecylureidophenyloxythiocarbonyl)phenoxazine 8dの合成2)
JP0005330854B2_000012t.gif
【実施例】
【0034】
水10mlを50 ml三角フラスコに入れ、そこに水酸化ナトリウム0.842 g (21.0 mmol)を加えて溶解させ、水溶液を調製した。この水溶液にL-トリプトファン2c 2.41 g (11.8 mmol)を溶解させ、100 ml三口フラスコに注ぎ、撹拌した。次に、ジエチルエーテル30 mlに溶解させたクロロギ酸ドデシル6c 2.00 g (10.5 mmol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温で2.5時間撹拌した。撹拌終了後、12 Nの塩酸を加え、反応器内をpH1にした。その後、酢酸エチルを用いて抽出し、水洗した。抽出した溶液を硫酸ナトリウムで脱水後、エバポレーターで減圧留去し、ライン乾燥した。
【実施例】
【0035】
外観:薄黄色固体
収量:3.82 g (10.6 mmol)
収率:101 %
【実施例】
【0036】
JP0005330854B2_000013t.gif
【実施例】
【0037】
(2) 3,7-Bis(diethylamino)-10-(p-hexadecylureidophenyloxythiocarbonyl)phenoxazine 9d 5, 6)の合成
JP0005330854B2_000014t.gif
【実施例】
【0038】
7a 3.06 g (15.3 mmol)、HOBt 2.07 g (15.3 mmol)、EDC 2.44 g (12.8 mmol)を溶解させたDMF 80 ml を300 ml三口フラスコに入れ、8d 3.82 g (10.2 mmol)をDMF 40mlに溶解させ、これを滴下し12時間撹拌した。撹拌終了後、塩化メチレンを用いて抽出し、水、(飽和)塩化アンモニウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で分液を行い、硫酸マグネシウムで脱水させ、吸引ろ過した。その後、減圧留去し、真空ラインでゲル化を確認した。
【実施例】
【0039】
外観:薄黄色固体
収量:1.63 g (3.01 mmol)
収率:29.5 %
【実施例】
【0040】
<同定>
・FAB-MS m/z 743 (M) (相対強度 = 10)
324 (C20H26N3O) (相対強度 = 100)
【実施例】
【0041】
JP0005330854B2_000015t.gif
【実施例】
【0042】
(3) 3,7-Bis(diethylamino)-10-(p-octadecylureidophenyloxythiocarbonyl)phenoxazine 1dの合成
【化7】
JP0005330854B2_000016t.gif
【実施例】
【0043】
室温で、9 0.219 g (0.566 mmol)、16d 0.377 g (0.200 mmol)、Et3N 0.202 mL (1.43 mmol)、をdichloromethane 20 mLに溶解させた。2時間還流させた。水洗し、無水酢酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離した。得られた残渣を酢酸エチルとヘキサンに溶解させた後、再結晶させた。この沈殿物を吸引濾過して、化合物1dを得た。
【実施例】
【0044】
実施例3
3,7-Bis(diethylamino)-10-(p-tetradecylureidophenyloxythiocarbonyl)phenoxazine 1eの合成5, 6)
スキーム3-1に従って、化合物1eを合成した。
【化8】
JP0005330854B2_000017t.gif
【実施例】
【0045】
(1) 3,7-Bis(diethylamino)-10-(p-tetradecylureidophenyloxythiocarbonyl)phenoxazine 8eの合成
【化9】
JP0005330854B2_000018t.gif
【実施例】
【0046】
水20 mlを50 ml三角フラスコに入れ、そこに水酸化ナトリウム0.842 g (102.4 mmol)を加えて溶解させ、水溶液を調製した。この水溶液にL-バリン2a 1.38 g (11.8 mmol)を溶解させ、50 ml三口フラスコに注ぎ、撹拌した。次に、ジエチルエーテル10 mlに溶解させたデカン酸クロリド6c 2.02 g (10.5 mmol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。撹拌終了後、12 Nの塩酸を加え、反応器内をpH1にした。その後、酢酸エチルを用いて抽出し、水洗した。抽出した溶液を硫酸ナトリウムで脱水後、エバポレーターで減圧留去し、ライン乾燥した。
【実施例】
【0047】
外観:白色粉末
収量:1.97 g (7.26 mmol)
収率:69.0 %
【実施例】
【0048】
JP0005330854B2_000019t.gif
【実施例】
【0049】
(2)Hexyl-L-valyl-amido-1-hexanol 9eの合成 5, 6)
【化10】
JP0005330854B2_000020t.gif
【実施例】
【0050】
36a 1.72 g (8.00 mmol)をDMF 20 mlに溶解させ、100 ml三口フラスコに入れ、0 ℃で撹拌した。そこに、6-amino-1-hexanol 1.40 g (12.0 mmol)、HOBt 1.30 g (9.63 mmol)、EDC 1.84 g (11.9 mmol)を溶解させたDMF 50 mlを滴下した。滴下終了後から1時間後に室温にし、さらに14時間撹拌した。撹拌終了後、酢酸エチルを用いて抽出し、(飽和)塩化アンモニウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で分液を行い、硫酸マグネシウムで脱水させ、減圧留去した。
【実施例】
【0051】
外観:白色粉末
収量:1.13 g (2.49 mmol)
収率:34.7 %
【実施例】
【0052】
JP0005330854B2_000021t.gif
【実施例】
【0053】
(3) 3,7-Bis(diethylamino)-10-(hexyl-L-valyl-amidohexyloxythiocarbonyl)
phenoxazine 1eの合成
【化11】
JP0005330854B2_000022t.gif
【実施例】
【0054】
油浴で、50 mL三口フラスコに5a 0.6412g (1.653 mmol)、9e 0.5000 g (1.102 mmol)、Et3N 0.8323 mL (5.951 mmol)入れ、THF 30 mLに溶解させた。2時間還流させた。水洗し、無水酢酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧留去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル = 6 / 1)により分離した。その後、酢酸とヘキサンで再結晶して、化合物1eを得た。
【実施例】
【0055】
外観:白色粉末
粗収量:1.69 g (4.30 mmol) (ピリジン塩酸塩を含むため、粗収率が100 %を超えている。
【実施例】
【0056】
JP0005330854B2_000023t.gif
【実施例】
【0057】
実施例4
Octyl-L-valine 1fの合成1, 2)
スキーム4-1に従って、化合物1fを合成した。
【化12】
JP0005330854B2_000024t.gif
【実施例】
【0058】
(1) Octyl-L-valine 8fの合成
【化13】
JP0005330854B2_000025t.gif
【実施例】
【0059】
水30mlを50 ml三角フラスコに入れ、そこに水酸化ナトリウム2.345 g (58.62 mmol)を加えて溶解させ、水溶液を調製した。この水溶液にL-フェニルアラニン2b 5.810 g (35.17 mmol)を溶解させ、100 ml三口フラスコに注ぎ、撹拌した。次に、ジエチルエーテル50 mlに溶解させたクロロギ酸ベンジル6b 5.000 g (29.31 mmol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温で18時間撹拌した。撹拌終了後、12 Nの塩酸を加え、反応器内をpH1にした。その後、固体が析出したのでこれを吸引ろ過した。
【実施例】
【0060】
外観:白色粉末
収量:9.96 g (33.3 mmol)
収率:113 %
【実施例】
【0061】
JP0005330854B2_000026t.gif
【実施例】
【0062】
(2) Octyl-L-valine 9fの合成 5, 6)
【化14】
JP0005330854B2_000027t.gif
【実施例】
【0063】
7a 3.011 g (15.03 mmol)、HOBt 2.030 g (15.03 mmol)、EDC 2.401 g (12.53 mmol)を溶解させたDMF 80 ml を200 ml三口フラスコに入れ、8f 3.000 g (10.02 mmol)をDMF 40mlに溶解させ、これを滴下し16時間撹拌した。撹拌終了後、塩化メチレンを用いて抽出し、(飽和)塩化アンモニウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で分液を行い、硫酸マグネシウムで脱水させ、吸引ろ過した。
【実施例】
【0064】
外観:白色粉末
収量:5.49 g (16.0 mmol)
収率:53.5 %
【実施例】
【0065】
JP0005330854B2_000028t.gif
【実施例】
【0066】
(3) Hexyl-L-isoleucine 1fの合成
【化15】
JP0005330854B2_000029t.gif
【実施例】
【0067】
油浴で、100 mL三口フラスコに5a 1.208 g (3.114 mmol)、9f 1.000 g (2.075 mmol)、Et3N 2.075 mL (14.83 mmol)入れ、THF 50 mLに溶解させた。2時間還流させた。水洗し、無水酢酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧留去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル = 6 / 1)により分離した。その後、酢酸エチルとヘキサンで再結晶して、化合物1fを得た。
【実施例】
【0068】
外観:白色粉末
収量:8.02 g (35.0 mmol)
収率:69.9 %
【実施例】
【0069】
<参考文献>
1) Kazuhiro Yabuuchi, Yusuke Tochigi, Norihiro Mizoshita, Kenji Hanabusa, Takashi Katoa Tetrahedron ,2007, 63, 7358?7365.
2) Xinjian Fu, Yang Yang, Ningxia Wang, Hong Wang and Yajiang Yang. J. Mol. Recognit. 2007, 20, 238?244.
3) M. Loos, A. Friggeri, J. Esch, R. M. Kellogg, B. L. Feringa, Org. Biomol. Chem., 2005, 3, 1631 - 1639.
4) J. Valgeirsson, E. O. Nielsen, D. Peters, T. Varming, C. Mathiesen, A. S. Kristensen, U. Madsen, J. Med. Chem., 2003, 46, 5834 - 5843.
5) S. X. Cai, L. Guan, S. Jia, Y. Wang, W. Yang, B. Tseng, J. Drewe, Bioorg. Med. Chem. Lett., 2004, 14, 5295 - 5300.
6) K. Takahashi, M. Ikura, H. Habashita, M. Nishizaki, T. Sugiura, S. Yamamoto, S. Nakatani, K. Ogawa, H. Ohno, H. Nakai, M. Toda, Bioorg. Med. Chem.,2005, 13, 4527 - 4543.
【実施例】
【0070】
試験例
γ線照射実験
(1)実施例で構成した化合物(カラーフォーマー)1c 、1e について以下の方法によりγ線照射実験を行った。
【実施例】
【0071】
・オルガノゲルの調製
それぞれ4mgの化合物1c 及び1eを50μl及び、2.5μlの蒸留アセトニトリルに加熱し溶解し、冷却することで、アセトニトリルゲルを調製した。なお、アセトニトリルの蒸留方法は、以下のように行った。すなわち、購入したアセトニトリルに塩化カルシウムを入れて一晩乾燥させて濾過後、溶媒を1Lナスフラスコに入れ、そこに水素化カルシウムと沸石を加えて2時間還流後、蒸留した。本留分はすぐにγ線照射用の試料溶液の調製に使用した。
【実施例】
【0072】
・オルガノゲルの調製について (塩化メチレン)
それぞれ4mgの化合物1c 及び1eを50μl及び、2.5μlの蒸留塩化メチレンに加熱し溶解させた後、冷却することでゲル化させ、塩化メチレンゲルを調製した。γ線照射後のサンプルはホールピペットを用いて濃度2.5×10-4 Mに調製し吸光度を測定した。
【実施例】
【0073】
・γ線照射実験
調製したゲルが入ったバイアルに60Coを線源としてγ線を照射した。
γ線照射施設:東京都立産業技術研究所 駒沢庁舎
【実施例】
【0074】
(1) 1c(アセトニトリルゲル)のγ線照射結果
1cのアセトニトリル溶液中におけるγ線照射実験の結果を図1 (スペクトル変化、[1c]0 = 0.25 mM)及び図2(645 nmでの吸収変化、[1c]0 = 0.25 mM)に示す。γ線照射により、図1に示す発色型3を形成した。300 Gyから目視で発色を確認することができた。
【実施例】
【0075】
(2) 1c(塩化メチレンゲル)のγ線照射結果(1回目)
1cの蒸留塩化メチレン溶液中におけるγ線照射実験の結果を図3(スペクトル変化、[1c]0 = 0.25 mM)及び図4 (649 nmでの吸収変化、[1c]0 = 0.25 mM)に示す。γ線照射により、図3に示す発色型3を形成した。10 Gyでわずかに、40Gyではっきりと目視で発色を確認することができた。
【実施例】
【0076】
(3) 1c(塩化メチレンゲル)のγ線照射結果(2回目)
1cの蒸留塩化メチレン溶液中におけるγ線照射実験の結果を図5(スペクトル変化、[1c]0 = 0.25 mM)及び図6(649 nmでの吸収変化、[1c]0 = 0.25 mM)に示す。γ線照射により、図5に示す発色型3を形成した。10 Gyでわずかに、40Gyではっきりと目視で発色を確認することができた。
【実施例】
【0077】
1eの蒸留アセトニトリルゲルにおけるγ線照射実験の結果を図7及び8に示す([1e]0 = 0.25 mM)。1e同様にPGとなってしまった。なお、100 Gyで目視により発色を確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、γ線の検出関連分野に有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7