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明細書 :足底圧計測装置及び行動姿勢判別方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5301807号 (P5301807)
公開番号 特開2009-106545 (P2009-106545A)
登録日 平成25年6月28日(2013.6.28)
発行日 平成25年9月25日(2013.9.25)
公開日 平成21年5月21日(2009.5.21)
発明の名称または考案の名称 足底圧計測装置及び行動姿勢判別方法
国際特許分類 A61B   5/11        (2006.01)
G01L   5/00        (2006.01)
FI A61B 5/10 310B
G01L 5/00 101Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 16
出願番号 特願2007-282302 (P2007-282302)
出願日 平成19年10月30日(2007.10.30)
審査請求日 平成22年10月27日(2010.10.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506087705
【氏名又は名称】学校法人産業医科大学
発明者または考案者 【氏名】筒井 隆夫
【氏名】筒井 保博
個別代理人の代理人 【識別番号】100121371、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 和人
審査官 【審査官】石井 哲
参考文献・文献 特開平05-161724(JP,A)
特開2000-041952(JP,A)
特開平09-276256(JP,A)
特開平08-089482(JP,A)
特開2007-147524(JP,A)
特開2003-190124(JP,A)
特開2005-137393(JP,A)
調査した分野 A61B 5/06- 5/22
特許請求の範囲 【請求項1】
足裏形状の厚みのあるインソールと、
前記インソールの所定位置に配設され、前記インソールの当該位置に加わる荷重値を検出する一乃至複数の荷重センサと、
前記インソールに一体的に具設されたデータロガーと、
前記インソールに一体的に具設された電池と、
を備えた足底圧計測装置であって、
前記第1の荷重センサが出力する荷重値の、所定の微小時間ΔT内における荷重値の最大値Lmax及び平均値Lmeanを算出する代表値演算手段と、
前記最大値Lmax及び前記平均値Lmeanを所定のアルゴリズムで変換した後、前記データロガーに保存するデータ蓄積手段と、を備え、
前記データ蓄積手段は、
前記各微小時間ΔTにおいて、所定の歩行判別閾値α及び座位判別閾値αに対して、
(a)前記最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差が前記歩行判別閾値α以上の場合には歩行状態w、
(b)前記最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差が前記歩行判別閾値αより小さく、且つ前記平均値Lmeanが前記座位判別閾値α以上の場合には立位状態e、
(c)前記最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差が前記歩行判別閾値αより小さく、且つ前記平均値Lmeanが前記座位判別閾値αよりも小さい場合には座位状態s、
であると判別する状態判別手段と、
所定の更新時間ごとに、前記状態判別手段により判別される前記歩行状態w、前記座位状態s、前記立位状態eの各状態の積算時間Tw,i,Ts,i,Te,iを算出し、これらを前記データロガーに保存された各状態の積算時間T,T,Tに加えて、前記データロガーに保存された当該積算時間T,T,Tの更新を行う積算時間更新手段と、を備え、
座位状態s、立位状態e、歩行状態wのそれぞれの状態について、予め測定した最大値Lmax、平均値Lmean及びそれらの差[Lmax-Lmean]の所定時間の時間平均値を、
【数1】
JP0005301807B2_000006t.gif
標準偏差を、
【数2】
JP0005301807B2_000007t.gif
としたとき、前記歩行判別閾値α及び前記座位判別閾値α
【数3】
JP0005301807B2_000008t.gif
により設定されていることを特徴とする足底圧計測装置。
【請求項2】
前記荷重センサとして、
前記インソールの踵骨下部位置に配設され、前記インソールの当該位置に加わる荷重値を検出する第1の荷重センサと、
前記インソールの第1中足骨遠位下部に配設され、前記インソールの当該位置に加わる荷重値を検出する第2の荷重センサと、
前記インソールの第5中足骨遠位下部に配設され、前記インソールの当該位置に加わる荷重値を検出する第3の荷重センサと、
を備え、
前記代表値演算手段は、前記各荷重センサが出力する荷重値に基づき、前記所定の微小時間ΔT内における荷重値の最大値Lmax及び平均値Lmeanを算出するものであり、
前記データ蓄積手段は、前記各最大値Lmax及び前記各平均値Lmeanを所定のアルゴリズムで変換した後、前記データロガーに保存するものであることを特徴とする請求項1記載の足底圧計測装置。
【請求項3】
足裏形状の厚みのあるインソールと、前記インソールの所定位置に配設され、前記インソールの当該位置に加わる荷重値を検出する一乃至複数の荷重センサと、を備えた足底圧計測装置を被験者の靴内に装着し、被験者が行動する際に前記荷重センサによって検出される荷重値に基づいて、各時点における被験者の状態が座位状態、立位状態、又は歩行状態の何れであるかを判別する行動姿勢判別方法であって、
前記第1の荷重センサが出力する荷重値の所定の微小時間ΔT内における荷重値の最大値Lmax及び平均値Lmeanを演算する代表値算出ステップと、
前記各微小時間ΔTにおいて算出される最大値Lmax及び平均値Lmeanについて、所定の歩行判別閾値α及び座位判別閾値αに対して、
(a)前記最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差が前記歩行判別閾値α以上の場合には歩行状態、
(b)前記最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差が前記歩行判別閾値αより小さく、且つ前記平均値Lmeanが前記座位判別閾値α以上の場合には立位状態、
(c)前記最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差が前記歩行判別閾値αより小さく、且つ前記平均値Lmeanが前記座位判別閾値αよりも小さい場合には座位状態、
であると判別する状態判別ステップと、を有し、
座位状態s、立位状態e、歩行状態wのそれぞれの状態について、予め測定した最大値Lmax、平均値Lmean及びそれらの差[Lmax-Lmean]の所定時間の時間平均値を、
【数4】
JP0005301807B2_000009t.gif
標準偏差を、
【数5】
JP0005301807B2_000010t.gif
としたとき、前記歩行判別閾値α及び前記座位判別閾値α
【数6】
JP0005301807B2_000011t.gif
により設定されていることを特徴とする行動姿勢判別方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、靴に中敷として装着して足底に加わる足底荷重を計測する足底圧計測装置、及び足底荷重に基づいて、各時点における被験者の状態が座位状態、立位状態、又は歩行状態の何れであるかを判別する行動姿勢判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
職業性の腰痛などの筋骨格系障害の原因を調査する場合、一般には、被験者の作業中の動作や姿勢をビデオに撮影する方法、OWAS(Ovako Working Posture Analysing System)法(非特許文献1,2参照)のように一定時間ごとに動作姿勢を記録する方法、又は筋電図を測定する方法などが採られる。これらの方法は、被験者が短時間の繰り返し作業を行う場合には容易に行うことが可能である。しかし、被験者が長時間に渡って多種の作業を行うような場合には、これらの方法で調査を行うのは困難である。そこで、作業者の靴の中敷に圧力センサを組み込み、足底荷重を連続測定する足底圧計測装置が使用される。
【0003】
足底圧計測装置は、その計測方法により、圧力検出センサを床に設置して計測する空間式設置計測法と、靴などの履物自体がセンサで構成され被測定者の足に直接装着する身体装着計測法とに大別される。このうち空間式設置計測法は、装置が大がかりであり、被験者が行動できる範囲も極めて限定されるため、上述のような調査目的には適さない。
【0004】
身体装着計測法で足底圧分布を計測する機器は、インソール(insole)型、すなわちインソール(中底)に足底圧力を検出するセンサを組み込んだものが一般的である。足底圧力を検出するセンサとしては、インクで着色し発色の度合いで足底圧を計測するプレスケール、電極を行と列の格子状に配置しその交点の抵抗値から足底圧を計測する走査型、及び小型の圧力センサをインソール内に分布させた分布型の3種類に大別される(非特許文献3)。
【0005】
プレスケールは、圧力特性が測定可能な極薄発色層が均一に塗布されたフィルムである。フィルム内には無色染料が封入された多数のマイクロカプセルが均一に分布している。圧力が加わるとこのマイクロカプセルが破壊されて無色染料が放出され、外部の顕色剤と反応して発色する。従って、発色濃度から足底圧を検出することができる。しかしながら、プレスケールは、1回限りの測定でインソールを交換する必要があるため、長期間に亘る連続的な足底圧の計測に使用することはできない。
【0006】
一方、走査型と分布型の足底圧計測装置は、足底圧が電気信号として出力されるため、連続的な足底圧の計測に適用することが可能である。
【0007】
走査型又は分布型の従来の足底圧計測装置としては、特許文献1~3に記載のものが公知である。
【0008】
特許文献1には、対象者の足裏の所定部位に作用する圧力の時間変化を検出して足圧検出信号を出力する足圧センサ部と、前記対象者の現在位置を検出して現在位置情報を出力する位置検出部と、前記足圧検出信号及び前記現在位置情報を記憶する記憶手段と、を収納した履物で構成された生体情報収集装置が記載されている。
【0009】
特許文献2には、足底部に複数の3分力荷重センサが配設された荷重センサ付き靴が記載されている。
【0010】
特許文献3には、被検体の足底に分散して取り付けられ、前記足底の部分荷重に対応してそれぞれ静電容量が変化する複数の可変容量式圧力センサと、これら複数の可変容量式圧力センサの極板間に得られる前記部分荷重に対応する電気信号を、時分割光信号に変換して伝送する光信号伝送器と、この光信号伝送器からの時分割光信号を受光し、前記部分荷重及びその荷重位置に対応した電気信号を出力する受光装置と、この受光装置から出力される電気信号に基づいて、歩行状態の解析を行う演算装置とを有する歩行因子解析装置が記載されている。
【0011】
また、計測された足底圧データの記録は、無線により被験者の腰等に装着された外部記録装置に転送して記録する無線式や、データロガーに記録するデータロガー式のものが広く用いられている(非特許文献3参照)。

【特許文献1】特開2004-305469号公報
【特許文献2】特開2005-214850号公報
【特許文献3】特開平2-55045号公報
【非特許文献1】Karhu O, et al. Correcting working postures in industry : A practical method or analysis. Applied Ergonomics 1977,8;199-201.
【非特許文献2】Stoffert G. Analyse und Einstufung von Korperhaltungen bei der Arbeit nach der OWAS-Methode. Zeitschrift fur Arbeitwissenschaft 1985,1;31-38.
【非特許文献3】松田拓也,「足底圧計測装置による床反力,及び下肢関節モーメントの推定」,高知工科大学大学院 平成14年度修士論文,[online]、2003年,高知工科大学附属情報図書館、[平成19年10月1日検索],インターネット<http://www.kochi-tech.ac.jp/library/ron/2002/g5/M/1055063.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来の足底圧計測装置は、被験者の足底圧そのもののデータを計測し収集することを主な目的としており、検査期間中の被験者の動作や姿勢は、収集された計測データを後にコンピュータに取り込んでから、コンピュータで解析する。
【0013】
しかしながら、長期間に亘って被験者の作業中の足底圧のデータを収集するとなると、そのデータ量は膨大となる。したがって、足底圧データの記録のために非常に大容量のデータロガー等が必要となり、記録装置自体のサイズが大きくなるとともに高価となる。身体装着計測法で足底圧分布を計測する足底圧計測装置は、被験者が常に装着するものであるため、できる限り計量で小型なものが好ましく、でき得ればすべての計測機器がインソール内に収まっている方が好ましい。しかし、記録装置のサイズが大きければ、記録装置をインソール内に収めることが困難となる。
【0014】
そこで、本発明の目的は、長期間に亘って被験者の作業中の動作や姿勢を検査する場合でも、小型のデータ記録装置により計測データを記録・収集することができる足底圧計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
足底圧計測装置に係る本発明の第1の構成は、足裏形状の厚みのあるインソールと、
前記インソールの所定位置に配設され、前記インソールの当該位置に加わる荷重値を検出する一乃至複数の荷重センサと、
前記インソールに一体的に具設されたデータロガーと、
前記インソールに一体的に具設された電池と、
を備えた足底圧計測装置であって、
前記第1の荷重センサが出力する荷重値の、所定の微小時間内ΔTにおける荷重値の最大値Lmax及び平均値Lmeanを算出する代表値演算手段と、
前記最大値Lmax及び前記平均値Lmeanをそのまま又は所定のアルゴリズムで変換した後、前記データロガーに保存するデータ蓄積手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、代表値演算手段が、所定の微小時間毎に、第1の荷重センサが出力する荷重値の最大値Lmax及び平均値Lmeanを算出し、データ蓄積手段は、この最大値Lmax及び平均値Lmeanをそのまま又は所定のアルゴリズムで変換した後、データロガーに保存するため、荷重値をそのままデータロガーに記録する従来方式に比べて大幅にデータ量が減少する。従って、長期間に亘って被験者の作業中の動作や姿勢を検査する場合でも、小型のデータロガーにより計測データを記録・収集することができる。
【0017】
また、最大値Lmax及び平均値Lmeanを所定のアルゴリズムで変換してデータロガーに保存するようにすれば、更に必要な情報のみを抽出することができるとともに、足底荷重による動作や姿勢の解析などのデータ処理も同時に行われるため、データロガーの記憶容量を減らせると同時に、後のデータ処理も容易にすることができる。
【0018】
足底圧計測装置に係る本発明の第2の構成は、前記第1の構成において、前記荷重センサとして、
前記インソールの踵骨下部位置に配設され、前記インソールの当該位置に加わる荷重値を検出する第1の荷重センサと、
前記インソールの第1中足骨遠位下部に配設され、前記インソールの当該位置に加わる荷重値を検出する第2の荷重センサと、
前記インソールの第5中足骨遠位下部に配設され、前記インソールの当該位置に加わる荷重値を検出する第3の荷重センサと、
を備え、
前記代表値演算手段は、前記各荷重センサが出力する荷重値に基づき、前記所定の微小時間ΔT内における荷重値の最大値Lmax及び平均値Lmeanを算出するものであり、
前記データ蓄積手段は、前記各最大値Lmax及び前記各平均値Lmeanをそのまま又は所定のアルゴリズムで変換した後、前記データロガーに保存するものであることを特徴とする。
【0019】
インソールの踵骨下部位置は、足底荷重が最も集中して加わる位置であり、この位置に第1の荷重センサを配置することによって、精度よく足底荷重の検出を行うことができる。また、インソールの第1中足骨遠位下部及び第5中足骨遠位下部は、踵骨下部に次いで足底荷重が集中して加わる位置であり、この位置にも第2、第3の荷重センサを配置することによって、より精度よく足底荷重の検出を行うことができる。
【0020】
ここで、「荷重値の最大値Lmax及び平均値Lmean」としては、各荷重センサによって検出される荷重値の最大値及び平均値の和又は平均を用いることができる。
【0021】
足底圧計測装置に係る本発明の第3の構成は、前記第1又は2の構成において、前記データ蓄積手段は、
前記各微小時間ΔTにおいて、所定の歩行判別閾値α及び座位判別閾値αに対して、
(a)前記最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差が前記歩行判別閾値α以上の場合には歩行状態、
(b)前記最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差が前記歩行判別閾値αより小さく、且つ前記平均値Lmeanが前記座位判別閾値α以上の場合には立位状態、
(c)前記最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差が前記歩行判別閾値αより小さく、且つ前記平均値Lmeanが前記座位判別閾値αよりも小さい場合には座位状態、
であると判別する状態判別手段と、
所定の更新時間ごとに、前記状態判別手段により判別される前記歩行状態、前記座位状態、前記立位状態の各状態の積算時間Tw,i,Ts,i,Te,iを算出し、これらを前記データロガーに保存された各状態の積算時間T,T,Tに加えて、前記データロガーに保存された当該積算時間T,T,Tの更新を行う積算時間更新手段と、を備えたことを特徴とする。

【0022】
この構成によれば、最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差を閾値判別することによって、歩行状態と座位又は立位状態とを高い精度で判別することができる。また、座位又は立位状態と判別されたものについては、平均値Lmeanを閾値判別することによって、座位状態と立位状態とを高い精度で判別することができる。
また、各荷重センサにおいて計測された足底荷重のデータは、歩行状態、座位状態、立位状態の各状態の積算時間T,T,Tとしてデータロガーに保存されるため、長期間に亘って被験者の作業中の動作や姿勢を検査する場合でも、計測データのデータ量がデータロガーの記憶容量をオーバーフローすることがない。また、収集される積算時間T,T,Tにより、被験者の作業中の動作や姿勢の状況を容易に知ることができる。
【0023】
また、行動姿勢判別方法に係る本発明は、足裏形状の厚みのあるインソールと、前記インソールの所定位置に配設され、前記インソールの当該位置に加わる荷重値を検出する一乃至複数の荷重センサと、を備えた足底圧計測装置を被験者の靴内に装着し、被験者が行動する際に前記荷重センサによって検出される荷重値に基づいて、各時点における被験者の状態が座位状態、立位状態、又は歩行状態の何れであるかを判別する行動姿勢判別方法であって、
前記第1の荷重センサが出力する荷重値の所定の微小時間ΔT内における荷重値の最大値Lmax及び平均値Lmeanを演算する代表値算出ステップと、
前記各微小時間ΔTにおいて算出される最大値Lmax及び平均値Lmeanについて、所定の歩行判別閾値α及び座位判別閾値αに対して、
(a)前記最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差が前記歩行判別閾値α以上の場合には歩行状態、
(b)前記最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差が前記歩行判別閾値αより小さく、且つ前記平均値Lmeanが前記座位判別閾値α以上の場合には立位状態、
(c)前記最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差が前記歩行判別閾値αより小さく、且つ前記平均値Lmeanが前記座位判別閾値αよりも小さい場合には座位状態、
であると判別する状態判別ステップと、
を有することを特徴とする。


【0024】
この構成によれば、最大値Lmaxと前記平均値Lmeanとの差を閾値判別することによって、歩行状態と座位又は立位状態とを高い精度で判別することができる。また、座位又は立位状態と判別されたものについては、平均値Lmeanを閾値判別することによって、座位状態と立位状態とを高い精度で判別することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、代表値演算手段が、所定の微小時間毎に、第1の荷重センサが出力する荷重値の最大値Lmax及び平均値Lmeanを算出し、データ蓄積手段は、この最大値Lmax及び平均値Lmeanをそのまま又は所定のアルゴリズムで変換した後、データロガーに保存するため、荷重値をそのままデータロガーに記録する従来方式に比べて大幅にデータ量が減少する。従って、長期間に亘って被験者の作業中の動作や姿勢を検査する場合でも、小型のデータロガーにより計測データを記録・収集することができる。
【0026】
また、最大値Lmax及び平均値Lmeanを所定のアルゴリズムで変換してデータロガーに保存するようにすれば、更に必要な情報のみを抽出することができるとともに、足底荷重による動作や姿勢の解析などのデータ処理も同時に行われるため、データロガーの記憶容量を減らせると同時に、後のデータ処理も容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明の実施例1に係る足底圧計測装置の外観図である。足底圧計測装置1は、インソール2、荷重センサ3,4,5、組込回路6、電源部7、データロガー8、及びレベルシフタ回路9を備えている。尚、図1では、組込回路6とデータロガー8は同じ位置に重なって配置されている。
【0029】
インソール2は、足裏形状の厚みのある弾性部材により構成されている。インソール2は、靴内の底板として被験者の靴に装着される。
【0030】
荷重センサ3,4,5は、インソール2の特定の位置に加わる荷重(以下「足底荷重」という。)を検出する圧力センサである。荷重センサ3,4,5は、それぞれ、インソール2の踵骨下部位置、第1中足骨遠位下部、第5中足骨遠位下部に配設されている。荷重センサ3,4,5としては、例えば、ロードセルや、作用する圧力が大きくなると感圧導電ゴムと電気抵抗とを電源-接地間に直列接続し前記感圧導電ゴムと電気抵抗との分圧電圧により足底荷重を検出するセンサなどを使用することができる。
【0031】
レベルシフタ回路9は、各荷重センサ3,4,5から出力される足底荷重の検出信号の信号レベルを変換する回路である。
【0032】
組込回路6は、荷重センサ3,4,5が出力する足底荷重のデータ処理を行う回路である。組込回路6の詳細については後述する。データロガー8は、荷重センサ3,4,5で検出された足底荷重を組込回路6がデータ処理して生成される計測データを記憶する記憶装置である。電源部7は、荷重センサ3,4,5、組込回路6、及びデータロガー8に電力を供給する回路であり、電池15と給電回路16とで構成されている(図2参照)。ここでは、電池15にはリチウムイオン電池を使用している。
【0033】
図2は、足底圧計測装置1の機能構成を表すブロック図である。図2において、荷重センサ3,4,5、組込回路6、電源部7、データロガー8、及びレベルシフタ回路9は図1のものと同様である。組込回路6は、インタフェース回路11、代表値算出部12、状態判別部13、及び積算時間更新部14を備えている。
【0034】
インタフェース回路11は、各荷重センサ3,4,5と組込回路6との間の通信を行う回路である。代表値算出部12は、各荷重センサ3,4,5が出力する足底荷重のデータに基づき、所定の微小時間ΔT内における足底荷重の最大値及び平均値をそれぞれ算出する。
【0035】
以下、荷重センサ3,4,5が時刻tに出力する足底荷重のデータを、それぞれw(t),w(t),w(t)と記す。また、時刻t~t+ΔTにおけるw(t)(i=1,2,3)の最大値及び平均値をそれぞれLmax,i(t)及びLmean,i(t)と記す。また、Lmax,i(t)及びLmean,i(t)を各荷重センサに関して平均した値をLmax,ave(t)及びLmean,ave(t)と記す。
【0036】
状態判別部13は、各時間区間(t,t+ΔT)において、Lmax,i(t)及びLmean,i(t)を閾値判定することによって、その時間区間における被験者の状態を、歩行状態、座位状態、立位状態のいずれかの状態に判別する。積算時間更新部14は、歩行状態、座位状態、立位状態の各状態の積算時間Tai,Tbi,Tciを算出し、これらをデータロガー8に保存された各状態の積算時間T,T,Tに加え、データロガー8に保存された積算時間T,T,Tの更新を行う。
【0037】
また、電源部7は、電池15及び給電回路16を備えている。給電回路16は電池から供給される電圧に基づいて、各荷重センサ3,4,5、組込回路6、及びデータロガー8に供給する電源電圧を生成する回路である。
【0038】
以上のように構成された本実施例の足底圧計測装置1について、以下その動作を説明する。
【0039】
まず、荷重センサ3,4,5により測定される実際の足底荷重波形について説明する。実際に測定して得られたデータを図3に示す。図3は、座位、立位、歩行の各状態における足底荷重の時間変化を表す。図3のおいて、横軸は時間、縦軸は足底荷重の検出信号の計測値(単位はmV)を示す。荷重センサ3,4,5にはニッタ株式会社製のFlexiForce A201-25を使用した。また、データロガー8には、ルネサンステクノロジ株式会社製のR8C-15とアイ・オー・データ株式会社製のマイクロSDメモリ64MBを使用した。各荷重センサ3,4,5が出力する足底荷重のデータはサンプリング間隔t=0.004secでサンプリングした。図3において、横軸は時間、縦軸は荷重センサ3,4,5が出力する電圧値である。荷重センサ3,4,5が出力する電圧値は足底荷重にほぼ比例している。被験者は、体重55kgの男性であり、1分ごとに座位、立位、歩行の順に状態を変化させて測定した。図3の各時刻のデータは荷重センサ3,4,5で得られた足底荷重の最大値Lmax,i(t)及び平均値Lmean,i(t)を平均したものである。
【0040】
図3より、被験者が座位状態にあるときは、平均値Lmax,ave(t)及び最大値Lmean,ave(t)が小さく殆ど変化しないことが分かる。また、最大値Lmean,ave(t)の変動に比べ平均値Lmax,ave(t)の変動が遙かに小さく、殆ど変化が見られない。
被験者が立位状態にあるときは、Lmax,ave(t)及びLmean,ave(t)はある一定の値を中心に狭い幅でランダムな変動をしている。このときの変動幅は比較的小さく、Lmax,ave(t)とLmean,ave(t)との間で足底荷重及びその変動幅に大きな差異はみられない。
【0041】
被験者が歩行状態にあるときは、平均値Lmax,ave(t)は一定の歩行周期で変化する。このとき、平均値Lmax,ave(t)の変動の中心(時間平均値)は、立位状態の際の足底荷重の変動中心(時間平均値)とほぼ一致している。一方、最大値Lmean,ave(t)についても歩行周期で変化する変化成分が若干見られるが、平均値Lmax,ave(t)の変化に比べるとランダムである。また、最大値Lmean,ave(t)の値は、平均値Lmax,ave(t)の約2~3倍程度であり、常に高い値を保っている。
【0042】
上記図3のような実験により採取されるデータを基準データとする。この基準データについて、1秒ごとにw(t),w(t),w(t)の平均値Lmean,1(t),Lmean,2(t),Lmean,3(t)、最大値Lmax,1(t),Lmax,2(t),Lmax,3(t)を計算する。そして、これらの平均値Lmean,ave(t),Lmax,ave(t)を計算する。
【0043】
更に、座位状態、立位状態、歩行状態のそれぞれの状態について、基準データLmean,ave(t),Lmax,ave(t),[Lmax,ave(t)-Lmean,ave(t)]の1分間の平均値を計算する。この1分間の平均値を、それぞれ
【0044】
【数1】
JP0005301807B2_000002t.gif
と記す。また、基準データLmean,ave(t),Lmax,ave(t),[Lmax,ave(t)-Lmean,ave(t)]の1分間の標準偏差を計算する。この1分間の標準偏差を、それぞれ
【0045】
【数2】
JP0005301807B2_000003t.gif
これらの基準値を用いて、実際の計測における状態判別を行う。
【0046】
実際の計測における足底荷重の計測値から、座位、立位、歩行の3状態の判別を行う場合、まず、足底荷重の計測値から、1秒ごとの最大値Lmean,ave(t)及び平均値Lmax,ave(t)を計算する。この1秒間の状態が、歩行状態であるか座位又は立位状態であるかを判別するのは、以下のような判別式を用いる。
【0047】
【数3】
JP0005301807B2_000004t.gif

【0048】
上記式(3)が成立する場合には、歩行状態であると判別される。それ以外の場合は、座位又は立位状態であると判別される。式(3)の右辺の判別閾値と実際のデータとの関係を図4に示す。図4のおいて、横軸は時間、(Lmax,ave-Lmean,ave)のセンサ計測値(単位はmV)を示す。
【0049】
上記式(3)の判定により、座位又は立位状態であると判別された場合、次式(4)を用いて座位状態と立位状態とを判別する。
【0050】
【数4】
JP0005301807B2_000005t.gif

【0051】
上記式(4)が成立する場合には、立位状態であると判別される。それ以外の場合は、座位状態であると判別される。式(4)の右辺の判別閾値と実際のデータとの関係を図5に示す。図5のおいて、横軸は時間、Lmean,aveのセンサ計測値(単位はmV)を示す。
【0052】
図6は、本発明の実施例1に係る足底圧計測装置の動作を表すフローチャートである。
【0053】
まず最初に、被験者に対して、式(1a)(1b)(1c)(2a)(2b)(2c)に示す各基準値を予め測定し、データロガー8に記憶させておく。そして、この状態で、足底圧計測装置1を被験者の靴に装着して、計測を開始する。
【0054】
ステップS1において、組込回路6は、データロガー8から式(1a)(1b)(1c)(2a)(2b)(2c)に示す各基準値を読み出す。
【0055】
ステップS2において、組込回路6は、データロガー8に記憶された歩行状態時間T,座位状態時間T,立位状態時間Tを0に初期化する。
【0056】
ステップS3において、代表値算出部12は、各荷重センサ3,4,5が検出する足底荷重w(t+(j-k)t)(i=1,2,3)をサンプリングして記憶する。このときのサンプリング間隔をtとする。通常、tは0.001~0.1秒程度に設定される。kはサンプリング開始時の時刻を表すインデックス、jは現在の時刻を表すインデックスである。
【0057】
ステップS4において、代表値算出部12がサンプリングを始めてからの経過時間がΔTに達していなければ、ステップS3に戻る。経過時間がΔTに達すると、次のステップS5に移行する。
【0058】
ステップS5において、代表値算出部12は、足底荷重のサンプリングデータに基づいて、その平均値Lmean,i(t)及び最大値Lmax,i(t)を算出する。更に、各荷重センサ3,4,5の平均値Lmean,i(t)、最大値Lmax,i(t)の平均値Lmean,ave(t)、Lmax,ave(t)を計算する。
【0059】
ステップS6において、状態判別部13は、時間区間[t,t+ΔT]で得られた足底荷重の平均値Lmean,ave(t)及び最大値Lmax,ave(t)と、前記各基準値に基づいて、式(3)の判定式によって、時間区間[t,t+ΔT]における被験者の状態が歩行状態であるか立位又は座位状態であるかを判別する。ここで、歩行状態であると判別された場合には、次のステップS7に移行し、立位又は座位状態であると判別された場合には、次のステップS8に移行する。
【0060】
ステップS7において、積算時間更新部14は、データロガー8に記憶された歩行状態時間TにΔTを加えて、歩行状態時間Tの値を更新する。そして、ステップS3に戻る。
【0061】
ステップS8において、状態判別部13は、時間区間[t,t+ΔT]で得られた足底荷重の平均値Lmean,ave(t)及び最大値Lmax,ave(t)と、前記各基準値に基づいて、式(4)の判定式によって、時間区間[t,t+ΔT]における被験者の状態が立位状態であるか座位状態であるかを判別する。ここで、立位状態であると判別された場合には、次のステップS9に移行し、座位状態であると判別された場合には、次のステップS10に移行する。
【0062】
ステップS9において、積算時間更新部14は、データロガー8に記憶された立位状態時間TにΔTを加えて、立位状態時間Tの値を更新する。そして、ステップS3に戻る。
【0063】
ステップS10において、積算時間更新部14は、データロガー8に記憶された座位状態時間TにΔTを加えて、座位状態時間Tの値を更新する。そして、ステップS3に戻る。
【0064】
以上のような動作により、データロガー8には、歩行状態時間T、立位状態時間T、座位状態時間Tが積算値として得られる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施例1に係る足底圧計測装置の外観図である。
【図2】足底圧計測装置1の機能構成を表すブロック図である。
【図3】荷重センサ3,4,5により測定される実際の足底荷重波形である。
【図4】式(3)の右辺の判別式位置と実際のデータとの関係を表す図である。
【図5】式(4)の右辺の判別式位置と実際のデータとの関係を表す図である。
【図6】本発明の実施例1に係る足底圧計測装置の動作を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
足底圧計測装置1
インソール2
荷重センサ3,4,5
組込回路6
電源部7
データロガー8
レベルシフタ回路9
インタフェース回路11
代表値算出部12
状態判別部13
積算時間更新部14
電池15
給電回路16
図面
【図2】
0
【図3】
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【図4】
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【図5】
3
【図6】
4
【図1】
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