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明細書 :起立動作支援装置および起立動作支援プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5099428号 (P5099428)
公開番号 特開2009-142517 (P2009-142517A)
登録日 平成24年10月5日(2012.10.5)
発行日 平成24年12月19日(2012.12.19)
公開日 平成21年7月2日(2009.7.2)
発明の名称または考案の名称 起立動作支援装置および起立動作支援プログラム
国際特許分類 A61G   5/00        (2006.01)
FI A61G 5/00 502
請求項の数または発明の数 13
全頁数 36
出願番号 特願2007-324224 (P2007-324224)
出願日 平成19年12月17日(2007.12.17)
審査請求日 平成22年4月27日(2010.4.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
発明者または考案者 【氏名】新田 收
【氏名】山口 亨
【氏名】藤本 泰成
【氏名】苅部 大輔
個別代理人の代理人 【識別番号】100137752、【弁理士】、【氏名又は名称】亀井 岳行
審査官 【審査官】松田 長親
参考文献・文献 特開2007-195814(JP,A)
特開2007-259977(JP,A)
調査した分野 A61G 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
着席した使用者によって把持される被把持部と、
前記被把持部を、前記使用者の前後方向および上下方向に移動させる被把持部移動部材と、
前記被把持部が把持されていることを検出する把持検出手段と、
前記被把持部が把持されている場合に、前記被把持部移動部材を介して前記被把持部を移動させる被把持部移動手段と、
前記使用者の身体の重心位置が、前記使用者の足の接地位置に基づいて予め設定された上昇開始位置であって、前記使用者が上体を前屈させて前記重心位置の前方への移動が完了して前記上体の上昇を開始する前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する上昇開始判別手段と、
前記重心位置を測定する重心位置測定手段と、
前記接地位置を測定する接地位置測定手段と、
測定された前記重心位置および前記接地位置に基づいて、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させる前記被把持部移動手段と、
を備え
前記上昇開始位置において、前記被把持部が前記重心位置よりも前方且つ上方に配置され、且つ、前記被把持部移動手段によって前記被把持部を作動させることで、前記使用者に前屈が終了して上昇を開始する時期になったことを認識させる
ことを特徴とする起立動作支援装置。
【請求項2】
予め設定された計測位置から物体までの距離を計測する測距部材と、
前記測距部材の検出信号に基づいて、前記計測位置から前記物体までの距離を計測する測距手段と、
計測された前記計測位置から前記使用者の肩までの距離および前記計測位置から前記使用者の踝までの距離に基づいて、前記肩と前記踝とを結ぶ直線と床面とがなす角度であって、前記使用者の姿勢を示す角度である姿勢角度を演算する姿勢角度演算手段と、
前記姿勢角度に基づいて、前記重心位置を測定する前記重心位置測定手段と、
前記計測位置から前記踝までの距離に基づいて、前記接地位置を測定する前記接地位置測定手段と、
演算された前記姿勢角度が、予め測定された前記上体の上昇を開始する上昇開始判別角度であるか否かを判別することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項に記載の起立動作支援装置。
【請求項3】
着席した使用者によって把持される被把持部と、
前記被把持部を、前記使用者の前後方向および上下方向に移動させる被把持部移動部材と、
前記被把持部が把持されていることを検出する把持検出手段と、
前記被把持部が把持されている場合に、前記被把持部移動部材を介して前記被把持部を移動させる被把持部移動手段と、
前記使用者の身体の重心位置が、前記使用者の足の接地位置に基づいて予め設定された上昇開始位置であって、前記使用者が上体を前屈させて前記重心位置の前方への移動が完了して前記上体の上昇を開始する前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する上昇開始判別手段と、
前記使用者の頭の位置としての頭部位置を測定する頭部位置測定手段と、
前記接地位置を測定する接地位置測定手段と、
測定された前記頭部位置および前記接地位置に基づいて、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させる前記被把持部移動手段と、
を備え
前記上昇開始位置において、前記被把持部が前記重心位置よりも前方且つ上方に配置され、且つ、前記被把持部移動手段によって前記被把持部を作動させることで、前記使用者に前屈が終了して上昇を開始する時期になったことを認識させる
ことを特徴とする起立動作支援装置。
【請求項4】
予め設定された計測位置から物体までの距離を計測する測距部材と、
前記測距部材の検出信号に基づいて、前記計測位置から前記使用者の頭までの距離および前記計測位置から前記使用者の足の爪先までの距離を計測する測距手段と、
前記計測位置から前記頭までの距離に基づいて、前記頭部位置を測定する前記頭部位置測定手段と、
前記計測位置から前記爪先までの距離に基づいて、前記接地位置を測定する前記接地位置測定手段と、
測定された前記頭部位置が、前記接地位置より前方まで移動したか否かを判別することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項に記載の起立動作支援装置。
【請求項5】
予め設定された測距領域内でレーザ光を走査し、前記使用者により反射された前記レーザ光を検出するレーザレンジファインダを有する前記測距部材と、
検出された前記レーザ光に基づいて、前記測距領域内に存在する前記計測位置から前記物体までの距離を計測する前記測距手段と、
を備えたことを特徴とする請求項または請求項に記載の起立動作支援装置。
【請求項6】
前記物体の画像を撮像する複数の撮像部材を有する前記測距部材と、
撮像された前記物体の各画像をステレオ画像処理することにより、前記計測位置から前記物体までの距離を計測する前記測距手段と、
を備えたことを特徴とする請求項または請求項もしくは請求項のいずれかに記載の起立動作支援装置。
【請求項7】
前記計測位置から前記物体までの距離を計測するための基準となる前記計測位置から基準物体までの距離である基準距離を記憶する基準距離記憶手段と、
前記基準物体を含む前記物体の画像を撮像する撮像部材を有する前記測距部材と、
撮像された前記基準物体を含む前記物体の画像と、記憶された前記基準距離とに基づいて、前記計測位置から前記物体までの距離を計測する前記測距手段と、
を備えたことを特徴とする請求項および請求項ないしのいずれかに記載の起立動作支援装置。
【請求項8】
前記基準物体の画像を撮像する複数の撮像部材により撮像された前記基準物体の各画像をステレオ画像処理することにより、前記基準距離を演算する基準距離演算手段と、
前記基準物体を含む前記物体の画像を撮像する前記複数の撮像部材のうちの第1の撮像部材と、
前記第1の撮像部材により撮像された前記基準物体を含む前記物体の画像と、記憶された前記基準距離とに基づいて、前記計測位置から前記物体までの距離を計測する前記測距手段と、
を備えたことを特徴とする請求項に記載の起立動作支援装置。
【請求項9】
着席した使用者によって把持される被把持部と、
前記被把持部を、前記使用者の前後方向および上下方向に移動させる被把持部移動部材と、
前記被把持部が把持されていることを検出する把持検出手段と、
前記被把持部が把持されている場合に、前記被把持部移動部材を介して前記被把持部を移動させる被把持部移動手段と、
前記使用者の身体の重心位置が、前記使用者の足の接地位置に基づいて予め設定された上昇開始位置であって、前記使用者が上体を前屈させて前記重心位置の前方への移動が完了して前記上体の上昇を開始する前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する上昇開始判別手段と、
前記使用者の足が床面を押圧したときの前記床面からの反力である床反力を計測する床反力計と、
計測された前記床反力の分布が、予め測定された前記上体の上昇を開始する上昇開始判別分布であるか否かを判別することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させる前記被把持部移動手段と、
を備え
前記上昇開始位置において、前記被把持部が前記重心位置よりも前方且つ上方に配置され、且つ、前記被把持部移動手段によって前記被把持部を作動させることで、前記使用者に前屈が終了して上昇を開始する時期になったことを認識させる
ことを特徴とする起立動作支援装置。
【請求項10】
前記使用者が起立する動作を開始することを示すための起立動作開始釦と、
前記被把持部が把持され、且つ、前記起立動作開始釦が押下された場合に、前記使用者が上体を前屈させることを開始する前屈開始タイミングであると判別する前屈開始判別手段と、
前記前屈開始タイミングであると判別された場合に、前記被把持部を、前記使用者が上体を前屈させることを開始するときの前記被把持部の位置である被把持部前屈開始位置から前記使用者が上体を上昇させることを開始するときの前記被把持部の位置である被把持部上昇開始位置まで移動させる前記被把持部移動手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の起立動作支援装置。
【請求項11】
コンピュータを、
着席した使用者によって把持される被把持部が把持されていることを検出する把持検出手段、
前記被把持部が把持されている場合に、前記被把持部を前記使用者の前後方向および上下方向に移動させる被把持部移動部材を介して前記被把持部を移動させる被把持部移動手段、
前記使用者の身体の重心位置が、前記使用者の足の接地位置に基づいて予め設定された上昇開始位置であって、前記使用者が上体を前屈させて前記重心位置の前方への移動が完了して前記上体の上昇を開始する前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する上昇開始判別手段、
前記重心位置を測定する重心位置測定手段、
前記接地位置を測定する接地位置測定手段、
測定された前記重心位置および前記接地位置に基づいて、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段、
前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させる前記被把持部移動手段、
として機能させ
前記上昇開始位置において、前記被把持部が前記重心位置よりも前方且つ上方に配置され、且つ、前記被把持部移動手段によって前記被把持部を作動させることで、前記使用者に前屈が終了して上昇を開始する時期になったことを認識させる
ことを特徴とする起立動作支援プログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
着席した使用者によって把持される被把持部が把持されていることを検出する把持検出手段、
前記被把持部が把持されている場合に、前記被把持部を前記使用者の前後方向および上下方向に移動させる被把持部移動部材を介して前記被把持部を移動させる被把持部移動手段、
前記使用者の身体の重心位置が、前記使用者の足の接地位置に基づいて予め設定された上昇開始位置であって、前記使用者が上体を前屈させて前記重心位置の前方への移動が完了して前記上体の上昇を開始する前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する上昇開始判別手段、
前記使用者の頭の位置としての頭部位置を測定する頭部位置測定手段と、
前記接地位置を測定する接地位置測定手段と、
測定された前記頭部位置および前記接地位置に基づいて、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させる前記被把持部移動手段、
として機能させ
前記上昇開始位置において、前記被把持部が前記重心位置よりも前方且つ上方に配置され、且つ、前記被把持部移動手段によって前記被把持部を作動させることで、前記使用者に前屈が終了して上昇を開始する時期になったことを認識させる
ことを特徴とする起立動作支援プログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
着席した使用者によって把持される被把持部が把持されていることを検出する把持検出手段、
前記被把持部が把持されている場合に、前記被把持部を前記使用者の前後方向および上下方向に移動させる被把持部移動部材を介して前記被把持部を移動させる被把持部移動手段、
前記使用者の身体の重心位置が、前記使用者の足の接地位置に基づいて予め設定された上昇開始位置であって、前記使用者が上体を前屈させて前記重心位置の前方への移動が完了して前記上体の上昇を開始する前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する上昇開始判別手段、
前記使用者の足が床面を押圧したときの前記床面からの反力である床反力を計測する床反力計によって計測された前記床反力の分布が、予め測定された前記上体の上昇を開始する上昇開始判別分布であるか否かを判別することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させる前記被把持部移動手段、
として機能させ
前記上昇開始位置において、前記被把持部が前記重心位置よりも前方且つ上方に配置され、且つ、前記被把持部移動手段によって前記被把持部を作動させることで、前記使用者に前屈が終了して上昇を開始する時期になったことを認識させる
ことを特徴とする起立動作支援プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の起立動作に応じた支援を行う起立動作支援装置、起立動作支援システム、起立動作支援プログラムおよび起立動作支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高齢者等の要介護者の介護を支援する介護支援用具により、前記要介護者の介護を支援することが一般的に行われている。近年、高齢者の増加に伴い、前記要介護者の増加が予想され、高度な介護支援が可能となる前記介護支援用具についての需要が一層高まっており、研究・開発等が積極的に行われている。
前記介護支援用具については、例えば、前記要介護者が着席状態から起立状態に移る場合に、前記要介護者の起立動作の補助を行う寝台や手すり等が知られている。
【0003】
ここで、前記要介護者の身体全体を支持して起立させる前記寝台では、前記要介護者の運動能力が発揮されず、運動能力の低下に繋がるという問題があった。また、室内の壁面等に支持された一般的な固定式の手すりでは、起立時における前記要介護者の体への負担が大きいと共に、各要介護者の症状等に応じた固定位置等の調整が困難であるという問題があった。このため、前記要介護者の起立動作に応じた支援を行う移動式の手すり、いわゆる、起立動作支援装置についての技術が研究されている。
前記移動式の手すりとしての起立動作支援装置に関する技術として、例えば、下記の特許文献1に記載の技術が知られている。
【0004】
特許文献1としての特開2007-195814号公報には、使用者の手や肘等を支持する手すり状の支持部材(17)と、前記支持部材(17)を前後方向および上下方向に移動させる移動機構(12,14)と、予め設定された標準動作パターンが記録されたメモリ(32)と、前記使用者が前記支持部材(17)を把持した場合に、前記標準動作パターンに基づいて前記移動機構(12,14)を移動させて前記支持部材(17)を移動させる支持部材移動処理手段とを備えた動作支援装置(10)についての技術が記載されている。なお、前記標準動作パターンは、通常の運動能力を有する人、いわゆる、健常者が、前記支持部材(17)を把持して起立動作を行ったときの動作パターンであり、前記使用者により入力された前記使用者の年齢、体重、身長等に応じた前記動作パターンが選択されるように予め設定されている。
【0005】
また、特許文献1には、前記支持部材(17)を移動させる場合に、前記支持部材(17)に加わる負荷を力覚センサ(41)により検出し、検出された負荷によって判別された前記使用者の躯体の重心に基づいて、前記標準動作パターンを補正する技術についても記載されている。
【0006】

【特許文献1】特開2007-195814号公報(「0016」~「0058」、図1~図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(従来技術の問題点)
前記特許文献1では、前記標準動作パターンが健常者の理想的な起立動作に基づいて設定されているため、要介護者としての前記使用者の起立動作時の姿勢等によっては、必ずしも適切な起立動作の支援にならないという問題があった。例えば、パーキンソン病の患者は、両足を前方に投げ出した状態で、手すりを手元に引き寄せるようにして身体を前上方に引き上げて起立しようとする傾向があることが知られており、前記標準動作パターンでは、このような起立動作に適した支援とはならないという問題があった。
また、前記特許文献1では、前記力覚センサ(41)によって判別された前記使用者の身体の重心に基づいて、前記標準動作パターンが補正されるが、上述のように前記使用者の起立動作時の姿勢等についてまで考慮されていないため、補正された標準動作パターンであっても、必ずしも適切な起立動作の支援にならないという問題があった。
【0008】
さらに、前記特許文献1では、使用者が前記支持部材(17)を把持した場合に、前記標準動作パターンに基づいて強制的に使用者の身体を動かそうとするため、前記支持部材(17)の移動速度や移動量等によっては、使用者の起立動作における身体の前傾動作や上昇動作等の開始タイミングが、必ずしも前記使用者の期待するタイミングにならない場合がある。この場合、例えば、使用者が前のめりになるまで前記支持部材(17)を前進させたり、使用者の重心が後方に残ったままの状態で前記支持部材(17)を上昇させたりする可能性があり、前記使用者自身の運動能力が適切に発揮された起立動作の支援にならない可能性があった。
【0009】
本発明は、前述の事情に鑑み、以下の(O01),(O02)を技術的課題とする。
(O01)使用者の起立動作時の姿勢に適した支援を行うこと。
(O02)使用者が期待するタイミングで起立動作の支援を行い、使用者の運動能力が適切に発揮されるようにすること。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の起立動作支援装置は、
着席した使用者によって把持される被把持部と、
前記被把持部を、前記使用者の前後方向および上下方向に移動させる被把持部移動部材と、
前記被把持部が把持されていることを検出する把持検出手段と、
前記被把持部が把持されている場合に、前記被把持部移動部材を介して前記被把持部を移動させる被把持部移動手段と、
前記使用者の身体の重心位置が、前記使用者の足の接地位置に基づいて予め設定された上昇開始位置であって、前記使用者が上体を前屈させて前記重心位置の前方への移動が完了して前記上体の上昇を開始する前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する上昇開始判別手段と、
前記重心位置を測定する重心位置測定手段と、
前記接地位置を測定する接地位置測定手段と、
測定された前記重心位置および前記接地位置に基づいて、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させる前記被把持部移動手段と、
を備え
前記上昇開始位置において、前記被把持部が前記重心位置よりも前方且つ上方に配置され、且つ、前記被把持部移動手段によって前記被把持部を作動させることで、前記使用者に前屈が終了して上昇を開始する時期になったことを認識させる
ことを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の起立動作支援装置において、
予め設定された計測位置から物体までの距離を計測する測距部材と、
前記測距部材の検出信号に基づいて、前記計測位置から前記物体までの距離を計測する測距手段と、
計測された前記計測位置から前記使用者の肩までの距離および前記計測位置から前記使用者の踝までの距離に基づいて、前記肩と前記踝とを結ぶ直線と床面とがなす角度であって、前記使用者の姿勢を示す角度である姿勢角度を演算する姿勢角度演算手段と、
前記姿勢角度に基づいて、前記重心位置を測定する前記重心位置測定手段と、
前記計測位置から前記踝までの距離に基づいて、前記接地位置を測定する前記接地位置測定手段と、
演算された前記姿勢角度が、予め測定された前記上体の上昇を開始する上昇開始判別角度であるか否かを判別することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
前記技術的課題を解決するために、請求項3に記載の発明の起立動作支援装置は、
着席した使用者によって把持される被把持部と、
前記被把持部を、前記使用者の前後方向および上下方向に移動させる被把持部移動部材と、
前記被把持部が把持されていることを検出する把持検出手段と、
前記被把持部が把持されている場合に、前記被把持部移動部材を介して前記被把持部を移動させる被把持部移動手段と、
前記使用者の身体の重心位置が、前記使用者の足の接地位置に基づいて予め設定された上昇開始位置であって、前記使用者が上体を前屈させて前記重心位置の前方への移動が完了して前記上体の上昇を開始する前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する上昇開始判別手段と、
前記使用者の頭の位置としての頭部位置を測定する頭部位置測定手段と、
前記接地位置を測定する接地位置測定手段と、
測定された前記頭部位置および前記接地位置に基づいて、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させる前記被把持部移動手段と、
を備え、
前記上昇開始位置において、前記被把持部が前記重心位置よりも前方且つ上方に配置され、且つ、前記被把持部移動手段によって前記被把持部を作動させることで、前記使用者に前屈が終了して上昇を開始する時期になったことを認識させる
ことを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の起立動作支援装置において、
予め設定された計測位置から物体までの距離を計測する測距部材と、
前記測距部材の検出信号に基づいて、前記計測位置から前記使用者の頭までの距離および前記計測位置から前記使用者の足の爪先までの距離を計測する測距手段と、
前記計測位置から前記頭までの距離に基づいて、前記頭部位置を測定する前記頭部位置測定手段と、
前記計測位置から前記爪先までの距離に基づいて、前記接地位置を測定する前記接地位置測定手段と、
測定された前記頭部位置が、前記接地位置より前方まで移動したか否かを判別することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項または請求項に記載の起立動作支援装置において、
予め設定された測距領域内でレーザ光を走査し、前記使用者により反射された前記レーザ光を検出するレーザレンジファインダを有する前記測距部材と、
検出された前記レーザ光に基づいて、前記測距領域内に存在する前記計測位置から前記物体までの距離を計測する前記測距手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項または請求項もしくは請求項のいずれかに記載の起立動作支援装置において、
前記物体の画像を撮像する複数の撮像部材を有する前記測距部材と、
撮像された前記物体の各画像をステレオ画像処理することにより、前記計測位置から前記物体までの距離を計測する前記測距手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項および請求項ないしのいずれかに記載の起立動作支援装置において、
前記計測位置から前記物体までの距離を計測するための基準となる前記計測位置から基準物体までの距離である基準距離を記憶する基準距離記憶手段と、
前記基準物体を含む前記物体の画像を撮像する撮像部材を有する前記測距部材と、
撮像された前記基準物体を含む前記物体の画像と、記憶された前記基準距離とに基づいて、前記計測位置から前記物体までの距離を計測する前記測距手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の起立動作支援装置において、
前記基準物体の画像を撮像する複数の撮像部材により撮像された前記基準物体の各画像をステレオ画像処理することにより、前記基準距離を演算する基準距離演算手段と、
前記基準物体を含む前記物体の画像を撮像する前記複数の撮像部材のうちの第1の撮像部材と、
前記第1の撮像部材により撮像された前記基準物体を含む前記物体の画像と、記憶された前記基準距離とに基づいて、前記計測位置から前記物体までの距離を計測する前記測距手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
前記技術的課題を解決するために、請求項9に記載の発明の起立動作支援装置は、
着席した使用者によって把持される被把持部と、
前記被把持部を、前記使用者の前後方向および上下方向に移動させる被把持部移動部材と、
前記被把持部が把持されていることを検出する把持検出手段と、
前記被把持部が把持されている場合に、前記被把持部移動部材を介して前記被把持部を移動させる被把持部移動手段と、
前記使用者の身体の重心位置が、前記使用者の足の接地位置に基づいて予め設定された上昇開始位置であって、前記使用者が上体を前屈させて前記重心位置の前方への移動が完了して前記上体の上昇を開始する前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する上昇開始判別手段と、
前記使用者の足が床面を押圧したときの前記床面からの反力である床反力を計測する床反力計と、
計測された前記床反力の分布が、予め測定された前記上体の上昇を開始する上昇開始判別分布であるか否かを判別することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させる前記被把持部移動手段と、
を備え、
前記上昇開始位置において、前記被把持部が前記重心位置よりも前方且つ上方に配置され、且つ、前記被把持部移動手段によって前記被把持部を作動させることで、前記使用者に前屈が終了して上昇を開始する時期になったことを認識させる
ことを特徴とする。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないしのいずれかに記載の起立動作支援装置において、
前記使用者が起立する動作を開始することを示すための起立動作開始釦と、
前記被把持部が把持され、且つ、前記起立動作開始釦が押下された場合に、前記使用者が上体を前屈させることを開始する前屈開始タイミングであると判別する前屈開始判別手段と、
前記前屈開始タイミングであると判別された場合に、前記被把持部を、前記使用者が上体を前屈させることを開始するときの前記被把持部の位置である被把持部前屈開始位置から前記使用者が上体を上昇させることを開始するときの前記被把持部の位置である被把持部上昇開始位置まで移動させる前記被把持部移動手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0022】
前記技術的課題を解決するために、請求項11に記載の発明の起立動作支援プログラムは、
コンピュータを、
着席した使用者によって把持される被把持部が把持されていることを検出する把持検出手段、
前記被把持部が把持されている場合に、前記被把持部を前記使用者の前後方向および上下方向に移動させる被把持部移動部材を介して前記被把持部を移動させる被把持部移動手段、
前記使用者の身体の重心位置が、前記使用者の足の接地位置に基づいて予め設定された上昇開始位置であって、前記使用者が上体を前屈させて前記重心位置の前方への移動が完了して前記上体の上昇を開始する前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する上昇開始判別手段、
前記重心位置を測定する重心位置測定手段、
前記接地位置を測定する接地位置測定手段、
測定された前記重心位置および前記接地位置に基づいて、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段、
前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させる前記被把持部移動手段、
として機能させ
前記上昇開始位置において、前記被把持部が前記重心位置よりも前方且つ上方に配置され、且つ、前記被把持部移動手段によって前記被把持部を作動させることで、前記使用者に前屈が終了して上昇を開始する時期になったことを認識させる
ことを特徴とする
前記技術的課題を解決するために、請求項12に記載の発明の起立動作支援プログラムは、
コンピュータを、
着席した使用者によって把持される被把持部が把持されていることを検出する把持検出手段、
前記被把持部が把持されている場合に、前記被把持部を前記使用者の前後方向および上下方向に移動させる被把持部移動部材を介して前記被把持部を移動させる被把持部移動手段、
前記使用者の身体の重心位置が、前記使用者の足の接地位置に基づいて予め設定された上昇開始位置であって、前記使用者が上体を前屈させて前記重心位置の前方への移動が完了して前記上体の上昇を開始する前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する上昇開始判別手段、
前記使用者の頭の位置としての頭部位置を測定する頭部位置測定手段と、
前記接地位置を測定する接地位置測定手段と、
測定された前記頭部位置および前記接地位置に基づいて、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させる前記被把持部移動手段、
として機能させ、
前記上昇開始位置において、前記被把持部が前記重心位置よりも前方且つ上方に配置され、且つ、前記被把持部移動手段によって前記被把持部を作動させることで、前記使用者に前屈が終了して上昇を開始する時期になったことを認識させる
ことを特徴とする。
前記技術的課題を解決するために、請求項13に記載の発明の起立動作支援プログラムは、
コンピュータを、
着席した使用者によって把持される被把持部が把持されていることを検出する把持検出手段、
前記被把持部が把持されている場合に、前記被把持部を前記使用者の前後方向および上下方向に移動させる被把持部移動部材を介して前記被把持部を移動させる被把持部移動手段、
前記使用者の身体の重心位置が、前記使用者の足の接地位置に基づいて予め設定された上昇開始位置であって、前記使用者が上体を前屈させて前記重心位置の前方への移動が完了して前記上体の上昇を開始する前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する上昇開始判別手段、
前記使用者の足が床面を押圧したときの前記床面からの反力である床反力を計測する床反力計によって計測された前記床反力の分布が、予め測定された前記上体の上昇を開始する上昇開始判別分布であるか否かを判別することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する前記上昇開始判別手段と、
前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させる前記被把持部移動手段、
として機能させ、
前記上昇開始位置において、前記被把持部が前記重心位置よりも前方且つ上方に配置され、且つ、前記被把持部移動手段によって前記被把持部を作動させることで、前記使用者に前屈が終了して上昇を開始する時期になったことを認識させる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1、11に記載の発明によれば、前記重心位置が前記接地位置に基づく前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させるため、使用者の起立動作時の姿勢に適した支援を行うことができると共に、使用者が期待する、使用者の身体の上昇を開始するタイミング、いわゆる、上昇開始タイミングで起立動作の支援を行い、使用者の運動能力が適切に発揮されるようにすることができる。また、請求項1、11に記載の発明によれば、測定された前記重心位置および前記接地位置に基づいて、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別することができる。
【0025】
請求項に記載の発明によれば、計測された前記計測位置から前記肩までの距離および前記計測位置から前記踝までの距離に基づいて演算された前記姿勢角度が、前記上昇開始判別角度であるか否かを判別することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別するため、本発明の構成を有しない場合に比べ、前記上昇開始タイミングを精度良く判別することができる。
【0026】
請求項3、12に記載の発明によれば、前記重心位置が前記接地位置に基づく前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させるため、使用者の起立動作時の姿勢に適した支援を行うことができると共に、使用者が期待する、使用者の身体の上昇を開始するタイミング、いわゆる、上昇開始タイミングで起立動作の支援を行い、使用者の運動能力が適切に発揮されるようにすることができる。また、請求項3、12に記載の発明によれば、測定された前記頭部位置および前記接地位置に基づいて、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別することができる。
請求項に記載の発明によれば、計測された前記計測位置から前記頭までの距離に基づいて測定された前記頭部位置が、前記計測位置から前記爪先までの距離に基づいて測定された前記接地位置より前方まで移動したか否かを判別することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別するため、本発明の構成を有しない場合に比べ、前記上昇開始タイミングを精度良く判別することができる。
【0027】
請求項に記載の発明によれば、前記レーザレンジファインダにより検出された前記レーザ光に基づいて、前記計測位置から前記肩までの距離および前記計測位置から前記踝までの距離、または、前記計測位置から前記頭までの距離および前記計測位置から前記爪先までの距離を計測することができ、前記上昇開始タイミングを精度良く判別することができる。
請求項に記載の発明によれば、前記複数の撮像部材により撮像された使用者の各画像をステレオ画像処理することにより、前記計測位置から前記肩までの距離および前記計測位置から前記踝までの距離、または、前記計測位置から前記頭までの距離および前記計測位置から前記爪先までの距離を計測することができ、前記上昇開始タイミングを精度良く判別することができる。
【0028】
請求項に記載の発明によれば、前記計測位置から前記基準物体までの前記基準距離と、前記撮像部材により撮像された前記基準物体を含む前記使用者の画像とに基づいて、前記計測位置から前記肩までの距離および前記計測位置から前記踝までの距離、または、前記計測位置から前記頭までの距離および前記計測位置から前記爪先までの距離を計測することができ、前記上昇開始タイミングを精度良く判別することができる。
請求項に記載の発明によれば、前記複数の撮像部材により予め演算された前記計測位置から前記基準物体までの前記基準距離と、前記第1の撮像部材により撮像された前記基準物体を含む前記使用者の画像とに基づいて、前記計測位置から前記肩までの距離および前記計測位置から前記踝までの距離、または、前記計測位置から前記頭までの距離および前記計測位置から前記爪先までの距離を計測することができ、前記上昇開始タイミングを精度良く判別することができる。
【0029】
請求項9、13に記載の発明によれば、前記重心位置が前記接地位置に基づく前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記被把持部を上昇させるため、使用者の起立動作時の姿勢に適した支援を行うことができると共に、使用者が期待する、使用者の身体の上昇を開始するタイミング、いわゆる、上昇開始タイミングで起立動作の支援を行い、使用者の運動能力が適切に発揮されるようにすることができる。また、請求項9、13に記載の発明によれば、前記床反力計により計測された前記床反力の分布が、前記上昇開始判別分布であるか否かを判別することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別することができる。
請求項10に記載の発明によれば、前記被把持部が把持され、且つ、前記起立動作開始釦が押下された場合に、前記前屈開始タイミングであると判別して、前記被把持部を前記被把持部前屈開始位置から前記被把持部上昇開始位置まで移動させるため、使用者が期待する前記前屈開始タイミングで起立動作の支援を行い、使用者の運動能力が適切に発揮されるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,-X,Y,-Y,Z,-Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0032】
図1は本発明の実施例1の起立動作支援システムの全体説明図である。
図1において、実施例1の起立動作支援システムSは、要介護者等としての使用者が着席する椅子CHを有する部屋Rに設けられている。前記起立動作支援システムSは、前記椅子CHに着席した前記使用者が前記椅子CHから立ち上がる動作、いわゆる、起立動作をする場合に、前記使用者によって把持される被把持部Gを有する。実施例1の前記被把持部Gには、前記使用者により前記被把持部Gが把持されていることを検出するための把持検出センサSN1と、前記起立動作を開始することを示すために前記使用者により押下される起立動作開始釦Bとが設けられている。
【0033】
また、前記被把持部Gの下方(-Z方向)には、前記被把持部Gを移動させる被把持部移動部材GMが配置されている。実施例1の前記被把持部移動部材GMは、前記被把持部Gの下端部を支持する被把持部支持部材の一例としてのピストンGM1と、前記ピストンGM1を収容する収容容器の一例としてのシリンダチューブGM2とを有している。実施例1の前記被把持部移動部材GMでは、前記被把持部移動部材GMの移動を制御する制御部Cの制御信号により、前記シリンダチューブGM2内の空気圧が制御されて、前記ピストンGM1の軸方向であるピストン軸方向Yaへの前記ピストンGM1の移動が制御される。すなわち、前記被把持部移動部材GMは、前記ピストンGM1が前記ピストン軸方向Yaに移動する、いわゆる、空気圧シリンダによって構成されている。なお、実施例1では、前記被把持部移動部材GMを空気圧シリンダによって構成したが、これに限定されず、例えば、前記シリンダチューブGM2内の油圧が制御される油圧シリンダ等に変更することも可能である。
【0034】
また、前記被把持部移動部材GMは、前記シリンダチューブGM2の下方(-Z方向)に配置され、前記起立動作支援システムSが設けられた部屋Rの左端壁Wから右方(+Y方向)に延びた回転軸GM3を有する。前記回転軸GM3の基端部は、前記左端壁Wに回転可能に支持されている。また、前記回転軸GM3の自由端部には、前記シリンダチューブGM2の下端部が固定支持されている。すなわち、前記被把持部移動部材GMは、前記回転軸GM3により回転可能に支持されている。なお、前記回転軸GM3は、前記制御部Cの制御信号により駆動する駆動モータMの駆動により、前記回転軸GM3の周方向である回転軸周方向Ybへの回転が制御される。
したがって、実施例1では、前記被把持部移動部材GMは、前記制御部Cの制御信号によってピストン軸方向Yaおよび回転軸周方向Ybへの移動が制御され、前記被把持部Gにおける前後方向(X軸方向)および上下方向(Z軸方向)への移動が制御される。
【0035】
また、前記起立動作支援システムSは、予め設定された測距領域内でレーザ光を走査して前記使用者により反射された前記レーザ光を検出するレーザレンジファインダLRFと、前記使用者の画像を撮像する複数の撮像部材の一例としての2台のカメラ(撮像部材)CA1,CA2とを有する。実施例1の前記起立動作支援システムSでは、前記レーザレンジファインダLRFと、前記カメラCA1,CA2とにより、予め設定された計測位置から前記使用者の左肩までの距離および前記計測位置から前記使用者の左踝までの距離が計測され(図1の1点鎖線および2点鎖線参照)、前記左肩と前記左踝とを結ぶ直線Lが演算され、前記直線Lと前記部屋Rの床面Fとがなす角度であって前記使用者の姿勢を示す角度である姿勢角度αが演算される。
前記レーザレンジファインダLRFと、前記カメラCA1,CA2とにより実施例1の測拒部材LRF+CA1+CA2が構成されている。
さらに、前記起立動作支援システムSは、前記使用者の足が前記床面Fを押圧したときの前記床面Fからの反力である床反力を計測する床反力計FPを有する。
【0036】
(実施例1の制御部Cの説明)
図2は実施例1の起立動作支援システムの制御部が備えている各機能を機能ブロック図で示した図である。
前記制御部Cは、いわゆる、コンピュータ装置により構成されており、必要な処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ)、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ)、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)、ならびにクロック発振器等を有するマイクロコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
前記構成の制御部Cは、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。実施例1の前記制御部CのROMには、起立動作支援プログラムAP1が記憶されている。
【0037】
(起立動作支援プログラムAP1)
起立動作支援プログラムAP1は、下記の機能手段(プログラムモジュール)を有する。
C1:把持検出手段
把持検出手段C1は、前記使用者により前記被把持部Gが把持されている場合に、前記把持検出センサSN1の検出信号に基づいて前記被把持部Gが把持されていることを検出する。
【0038】
C2:姿勢測定手段
姿勢測定手段C2は、重心位置測定手段C2Aと、重心位置記憶手段C2Bと、接地位置測定手段C2Cと、接地位置記憶手段C2Dとを有し、前記使用者の姿勢を測定する姿勢測定処理を実行する。実施例1の前記姿勢測定手段C2は、前記使用者の身体の重心位置と、前記使用者の足の接地位置とを測定する前記姿勢測定処理を実行する。
C2A:重心位置測定手段
重心位置測定手段C2Aは、測距手段C2A1と、姿勢角度演算手段C2A2とを有し、前記使用者の身体の重心位置を測定する。
【0039】
図3は健常者が起立動作を行ったときの健常者の重心位置と姿勢角度との関係を示すための説明図であり、図3Aは横軸に起立動作開始からの経過時間をとり、縦軸に重心位置の上下方向の高さをとって健常者の重心位置の上下方向に対する変化の軌跡を示したグラフであり、図3Bは横軸に起立動作開始からの経過時間をとり、縦軸に姿勢角度の大きさをとって健常者の姿勢角度の変化の軌跡を示したグラフである。
ここで、健常者が起立動作を行った場合、図3Aに示すように、前記重心位置は、前記起立動作を開始して約2.0[sec]後で最も低くなった後、大きく上昇することがわかる。また、図3Bに示すように、前記姿勢角度αは、前記起立動作を開始して約2.0[sec]後に、約1.57[rad]、すなわち、約90°になった後、常に90°未満になっていることがわかる。
【0040】
この結果、前記健常者が起立動作を行う場合、前記重心位置が下方(-Z方向)に移動した直後に大きく上昇するため、前記健常者の上体が上昇する直前に前記健常者の上体が沈み込ませる、すなわち、前屈させることがわかる。また、前記重心位置が最も低くなった時(約2.0[sec]後)に前記姿勢角度αが約90°になり、前記姿勢角度αが90°になった直後に、前記健常者の上体が上昇することがわかる。したがって、前記重心位置と、前記姿勢角度αとの間には相関関係があることがわかる。
【0041】
このため、実施例1の前記重心位置測定手段C2Aは、前記姿勢角度αに基づいて、前記重心位置を測定することができる。なお、実施例1の前記重心位置測定手段C2Aでは、前記レーザレンジファインダLRFおよび前記カメラCA1,CA2によりそれぞれ演算された前記姿勢角度αに基づいて、前後方向(X軸方向)における前記重心位置を測定する。
【0042】
C2A1:測距手段
測距手段C2A1は、予め設定された計測位置から物体までの距離を計測する。実施例1の前記測距手段C2A1は、前記計測位置から前記使用者の左肩までの距離および前記計測位置から前記使用者の左踝までの距離を計測する。実施例1の前記測距手段C2A1は、具体的には、前記レーザレンジファインダLRFで検出された前記レーザ光に基づいて、前記測距領域内に存在する前記計測位置から前記左肩までの距離および前記計測位置から前記左踝までの距離を計測する(図1の1点鎖線参照)と共に、2台の前記カメラCA1,CA2で撮像された前記使用者の各画像をステレオ画像処理することにより、前記計測位置から前記左肩までの距離および前記計測位置から前記左踝までの距離を計測する(図1の2点鎖線参照)。
C2A2:姿勢角度演算手段
姿勢角度演算手段C2A2は、前記測距手段C2A1で計測された前記計測位置から前記左肩までの距離および前記計測位置から前記左踝までの距離に基づいて前記左肩と前記左踝とを結ぶ直線Lを演算する直線演算手段C2A2aを有し、前記使用者の姿勢を示す角度である前記姿勢角度αを演算する。実施例1の前記姿勢角度演算手段C2A2は、前記直線Lと、前記床面Fとがなす角度である前記姿勢角度αを演算する。
【0043】
C2B:重心位置記憶手段
重心位置記憶手段C2Bは、前記重心位置測定手段C2Aにより測定された前後方向(X軸方向)における前記重心位置を記憶する。
C2C:接地位置測定手段
接地位置測定手段C2Cは、前記使用者の足の接地位置を測定する。実施例1の前記接地位置測定手段C2Cは、前記床反力計FPにより床反力を検出した位置に基づいて、前記接地位置を測定する。なお、実施例1の前記接地位置測定手段C2Cでは、前記床反力計FPのみで前記接地位置を測定するが、これに限定されず、例えば、前記測距手段C2A1により計測された前記計測位置から前記左踝までの距離に基づいて前記接地位置を測定することも可能である。
C2D:接地位置記憶手段
接地位置記憶手段C2Dは、前記接地位置測定手段C2Cにより測定された前記接地位置を記憶する。
【0044】
C3:被把持部移動手段
被把持部移動手段C3は、前屈開始判別手段C3Aと、上昇開始判別手段C3Bと、上昇終了判別手段C3Cとを有し、前記被把持部移動部材GMを介して前記被把持部Gを移動させる。実施例1の前記被把持部移動手段C3は、前記被把持部Gが把持されている場合に、空気圧シリンダとしての前記被把持部移動部材GMと、前記回転軸G3を回転させる前記駆動モータMとを制御して前記被把持部移動部材GMを移動させることにより、前記被把持部Gを移動させる。
【0045】
図4は使用者が起立動作を行った場合の被把持部および被把持部移動部材の拡大説明図であり、図4Aは被把持部が被把持部前屈開始位置に配置された状態の一例の説明図であり、図4Bは図4Aの状態から被把持部が被把持部上昇開始位置まで移動した状態の一例の説明図であり、図4Cは図4Bの状態から被把持部が被把持部上昇完了位置まで移動した状態の一例の説明図である。
実施例1の前記被把持部移動手段C3は、具体的には、まず、図4Aに示すように、前記被把持部Gの初期状態としての位置であって、前記使用者が起立動作を行うために上体を前屈させることを開始する位置である被把持部前屈開始位置まで前記被把持部Gを移動させる、いわゆる、初期化処理を実行する。なお、実施例1では、前記被把持部Gが前記被把持部前屈開始位置まで移動したことを、前記被把持部移動部材GMに設けられた図示しない位置検出センサにより検出する。
【0046】
次に、前記被把持部移動手段C3は、図4Aの状態から、前記使用者が上体を前屈させることを開始する前屈開始タイミングであると判別した場合に、前記姿勢測定手段C2により測定された前記重心位置および前記接地位置に基づいて、前記被把持部Gを前方(+X方向)に移動させる(図4Aの矢印Ya,Yb参照)。
次に、前記被把持部移動手段C3は、図4Aの状態から、前記使用者が上体の前屈を終了して前記重心位置が、前方(+X方向)への移動が完了して身体の上昇を開始する上昇開始位置まで移動したと判別して、身体の上昇を開始する上昇開始タイミングであると判別した場合、図4Bに示すように、前記使用者が身体の上昇を開始する被把持部上昇開始位置まで移動した前記被把持部Gを上昇させる(図4Bの矢印Ya,Yb参照)。
【0047】
そして、前記被把持部移動手段C3は、図4Bの状態から、前記使用者が身体の上昇を終了して起立動作を終了する上昇終了タイミングであると判別した場合、図4Cに示すように、前記被把持部上昇開始位置から所定の高さだけ上方(+Z方向)に配置された被把持部上昇終了位置まで上昇した前記被把持部Gの上昇を終了させる。
最後に、前記被把持部移動手段C3は、前記使用者の起立動作が終了した後に、前記初期化処理を実行して、図4Cの状態から図4Aの状態に前記被把持部Gを戻す。すなわち、前記被把持部Gを、前記被把持部上昇終了位置から前記被把持部前屈開始位置に移動させる。
【0048】
C3A:前屈開始判別手段
前屈開始判別手段C3Aは、前記前屈開始タイミングであるか否かを判別する。実施例1の前記前屈開始判別手段C3Aは、前記被把持部Gが把持され、且つ、前記起立動作開始釦Bが押下された場合に、前記前屈開始タイミングであると判別する。
C3B:上昇開始判別手段(前屈終了判別手段)
上昇開始判別手段C3Bは、前後方向(X軸方向)における前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別することにより、前記使用者が上体の前屈を終了する前屈終了タイミングであって前記使用者の身体の上昇を開始する前記上昇開始タイミングであるか否かを判別する。実施例1の前記上昇開始判別手段C3Bは、前記姿勢測定手段C2により測定された前後方向(X軸方向)における前記重心位置および前記接地位置に基づいて、前記上昇開始タイミングであるか否かを判別する。
【0049】
実施例1の上昇開始判別手段C3Bでは、具体的には、前記レーザレンジファインダLRFにより演算された姿勢角度αと、前記カメラCA1,CA2により演算された姿勢角度αとが、それぞれ予め設定された上昇開始判別角度である90°未満となり、前記重心位置が下方(-Z方向)に沈み込んだ位置としての前記上昇開始位置まで移動したと判別され、且つ、前記床反力計FPにより測定された前記床反力の分布が、予め設定された上昇開始判別分布になったと判別された場合に、前記上昇開始タイミングであると判別する。なお、実施例1の前記上昇開始判別分布は、前記重心位置が、前記接地位置に基づいて演算される前記上昇開始位置まで移動したときの床反力の分布であり、実施例1では、実験等により予め測定された複数の被験者の上昇開始判別分布のうち、予め入力された使用者の身体情報に最も近い被験者の上昇開始判別分布が設定されている。
【0050】
C3C:上昇終了判別手段
上昇終了判別手段C3Cは、前記上昇終了タイミングであるか否かを判別する。実施例1の前記上昇終了判別手段C3Cは、前記被把持部Gが、前記上昇開始位置に対応する前記被把持部上昇開始位置から、予め設定された前記使用者の身長等の情報に基づいて演算された前記被把持部上昇終了位置まで上昇した場合に、前記上昇終了タイミングであると判別する。
【0051】
(実施例1のフローチャートの説明)
次に、実施例1の起立動作支援プログラムAP1の処理の流れをフローチャートを使用して説明する。
(実施例1の起立動作支援プログラムAP1のメイン処理のフローチャートの説明)
図5は本発明の実施例1の起立動作支援プログラムのメイン処理のフローチャートである。
図5のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部CのROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部Cの他の各種処理、例えば、後述する図6に示す姿勢測定処理等と並行してマルチタスクで実行される。
【0052】
図5に示すフローチャートは前記起立動作支援プログラムAP1が起動した場合に開始される。
図5のST1において、被把持部Gを被把持部前屈開始位置まで戻す初期化処理を実行する(図4C、図4A参照)。そして、ST2に移る。
ST2において、被把持部Gが把持され、且つ、起立動作開始釦Bが押下されたか否かを判別することにより、使用者が上体を前屈させることを開始する前屈開始タイミングであるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST3に移り、ノー(N)の場合はST2を繰り返す。
【0053】
ST3において、被把持部Gを前方(+X方向)に移動させる(図4A、図4B参照)。そして、ST4に移る。
ST4において、前記レーザレンジファインダLRFにより演算された姿勢角度αと、前記カメラCA1,CA2により演算された姿勢角度αとが、それぞれ予め設定された上昇開始判別角度(90°)未満であり、且つ、床反力計FPで測定された床反力の分布が予め設定された上昇開始判別分布になったか否かを判別することにより、重心位置が上昇開始位置まで移動し、使用者が上体の前屈を終了して上体の上昇を開始する上昇開始タイミングであるか否かを判別する(図3参照)。イエス(Y)の場合はST5に移り、ノー(N)の場合はST3に戻る。
【0054】
ST5において、被把持部Gを上昇させる(図4B、図4C参照)。そして、ST6に移る。
ST6において、被把持部Gが、上昇開始位置に対応する被把持部上昇開始位置から、予め設定された使用者の身長等の情報に基づいて演算された被把持部上昇終了位置まで上昇し、使用者が身体の上昇を終了して起立動作を終了する上昇終了タイミングであるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST1に戻り、ノー(N)の場合はST5に戻る。
【0055】
(実施例1の起立動作支援プログラムAP1の姿勢測定処理のフローチャートの説明)
図6は本発明の実施例1の起立動作支援プログラムの姿勢測定処理のフローチャートである。
図6のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記メイン処理と同様に、前記制御部CのROM等に記憶されたプログラムに従って行われ、前記制御部Cの他の各種処理、例えば、前記メイン処理等と並行してマルチタスクで実行される。
【0056】
図6に示すフローチャートは前記起立動作支援プログラムAP1が起動した場合に開始される。
図6のST101において、被把持部Gが把持され、且つ、起立動作開始釦Bが押下されたか否かを判別することにより、使用者が上体を前屈させることを開始する前屈開始タイミングであるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST102に移り、ノー(N)の場合はST101を繰り返す。
ST102において、次の(1),(2)の処理を実行し、ST103に移る。
(1)レーザレンジファインダLRFで検出されたレーザ光に基づいて、測距領域内に存在する計測位置から使用者の左肩までの距離および計測位置から使用者の左踝までの距離を計測する(図1の1点鎖線参照)。
(2)2台のカメラCA1,CA2で撮像された使用者の各画像をステレオ画像処理することにより、計測位置から使用者の左肩までの距離および計測位置から使用者の左踝までの距離を計測する(図1の2点鎖線参照)。
【0057】
ST103において、次の(1)~(3)の処理を実行し、ST104に移る。
(1)レーザレンジファインダLRFにより計測された計測位置から使用者の左肩までの距離および計測位置から使用者の左踝までの距離から、左肩と左踝とを結ぶ直線Lを演算し、直線Lと床面Fとがなす姿勢角度αを演算して使用者の重心位置を測定する。
(2)2台のカメラCA1,CA2により計測された計測位置から使用者の左肩までの距離および計測位置から使用者の左踝までの距離から、左肩と左踝とを結ぶ直線Lを演算し、直線Lと床面Fとがなす姿勢角度αを演算して使用者の重心位置を測定する。
(3)床反力計FPにより計測された床反力の分布を測定すると共に、床反力を検出した位置に基づいて接地位置を測定する。
【0058】
ST104において、ST103の(1)~(3)の各処理で測定された重心位置および接地位置をそれぞれ記憶する。そして、ST105に移る。
ST105において、被把持部Gが、上昇開始位置に対応する被把持部上昇開始位置から、予め設定された使用者の身長等の情報に基づいて演算された被把持部上昇終了位置まで上昇し、使用者が身体の上昇を終了して起立動作を終了する上昇終了タイミングであるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST101に戻り、ノー(N)の場合はST102に戻る。
【0059】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の前記起立動作支援システムSでは、前記前屈開始タイミングであると判別された場合に、前記被把持部Gを前記被把持部前屈開始位置から前方(+X方向)に移動させることにより、前記椅子CHに着席した前記使用者が起立動作のために前後方向(X軸方向)における前記重心位置を前方(+X方向)に移動させる、すなわち、前屈することを支援する(図4A、図5のST2,ST3参照)。また、前記使用者の左肩と左踝とを結ぶ直線Lと前記床面Fとがなす前記姿勢角度α(図1参照)が前記上昇開始判別角度(90°)未満となり、前記重心位置が下方(-Z方向)に沈み込んだ位置としての前記上昇開始位置まで移動したと判別され、且つ、前記床反力計FPにより測定された前記床反力の分布が前記上昇開始判別分布になり、前記使用者の前記重心位置が前記接地位置に基づく前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記上昇開始タイミングであると判別して、前記被把持部Gを上昇させる(図4B、図4C、図5のST4,ST5参照)。ここで、前記重心位置は、前記姿勢角度αと相関関係を有しており(図3参照)、前記姿勢角度αに基づいて測定できると共に(図5のST103参照)、前記接地角度は、前記姿勢角度αを演算するための前記計測位置から前記使用者の左踝までの距離に基づいて測定できる(図5のST102,ST103参照)。
【0060】
したがって、実施例1の前記起立動作支援システムSは、前記姿勢測定処理(図6のST101~ST105参照)により測定された前記重心位置および前記接地位置に基づいて、前記上昇開始タイミングを判別して前記被把持部Gを上昇させることができる。よって、前記使用者の前屈が終了する前に前記使用者の重心位置が後方(-X方向)に残ったままの状態で前記被把持部Gを上昇させたり、前記使用者の前屈が終了して身体を上昇させようとした後も前記被把持部Gを前進させたりすることがなく、前記使用者自身が身体を上昇させたいタイミングで前記被把持部Gを上昇させて、前記使用者の身体が上昇することを支援することができる。
【0061】
この結果、実施例1の前記起立動作支援システムSは、前記使用者の起立動作時の姿勢に適した支援を行うことができる。また、前記使用者自身の運動能力が適切に発揮された状態で前記被把持部Gが移動できるため、例えば、前記重心位置が後方(-X方向)に残ったままの状態や、前記使用者が前のめりになった状態で使用者の身体を上昇させる場合に比べ、前記被把持部移動部材GMや前記駆動モータM等への負荷を低減でき、使用者自身の運動能力を最大限に利用して、最小限の支援により前記使用者を起立させることができる。
【0062】
また、前記構成を備えた実施例1の前記起立動作支援システムSでは、前記レーザレンジファインダLRFで検出されたレーザ光に基づいて、測距領域内に存在する前記計測位置から前記左肩までの距離および前記計測位置から前記左踝までの距離が計測されると共に(図1の1点鎖線、図6のST102の(1)参照)、前記カメラCA1,CA2で撮像された前記使用者の各画像をステレオ画像処理することにより、前記計測位置から前記左肩までの距離および前記計測位置から前記左踝までの距離が計測される(図1の2点鎖線、図6のST102の(2)参照)。この結果、実施例1の前記起立動作支援システムSは、前記直線Lおよび前記姿勢角度αを精度良く演算することができ(図6のST103の(1),(2)参照)、前記重心位置および前記接地位置を精度良く測定することができるため、前記上昇開始タイミングを精度良く判別できる(図5のST4参照)。
【0063】
また、前記構成を備えた実施例1の前記起立動作支援システムSでは、前記床反力計FPにより床反力の分布を測定すると共に、前記床反力を検出した位置に基づいて前記接地位置を測定する。この結果、実施例1の前記起立動作支援システムSは、前記レーザレンジファインダLRFおよび前記カメラCA1,CA2だけでなく、前記床反力計FPによっても前記接地位置が精度良く測定できる(図6のST103の(3)参照)。また、実施例1の前記起立動作支援システムSは、前記床反力計FPにより測定された前記床反力の分布と、前記接地位置に基づく前記上昇開始判別分布とに基づいて、前記上昇開始タイミングを精度良く判別できる(図5のST4参照)。
また、前記構成を備えた実施例1の前記起立動作支援システムSでは、前記使用者により前記被把持部Gが把持され、且つ、前記起立動作開始釦Bが押下された場合に、前記前屈開始タイミングであると判別して、前記被把持部Gを前方(+X方向)に移動させる(図5のST2,ST3参照)。したがって、実施例1の前記起立動作支援システムSでは、前記使用者が起立動作を開始したい時に前記起立動作開始釦Bが押下されるため、前記前屈開始タイミングを前記使用者が期待するタイミングにすることができる。
【実施例2】
【0064】
図7は本発明の実施例2の起立動作支援システムの説明図であり、実施例1の図1に対応する図であり、図7Aは実施例2の福祉車両の全体説明図であり、図7Bは図7Aの福祉車両の助手席および助手席用ドアの拡大説明図である。
次に本発明の実施例2の起立動作支援システムSの説明を行うが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図7において、本発明の実施例2の起立動作支援システムSは、実施例1の前記部屋Rに替えて、前記使用者が搭乗する自動車の一例としての福祉車両Vに設けられている。実施例2の前記福祉車両Vは、左方(-Y方向)に向いた状態で停車しており、前記福祉車両Vには、前記使用者が着席する助手席CH′と、前記助手席CH′に着席する際に開閉される助手席用ドアDとが設けられている。
【0065】
実施例2の前記助手席CH′は、図7に示すように、前記助手席用ドアDが開放された場合に、左方(-Y方向)から前方(+X方向)に向くように90°だけ回転させて前記福祉車両V内から前方(+X方向)に移動させることができる。
また、実施例2の前記助手席用ドアDには、実施例2の被把持部移動部材GMの回転軸GM3が回転可能に支持されている。また、前記助手席用ドアDには、実施例2のレーザレンジファインダLRFと、1台のカメラ(第1の撮像部材)CA1とが配置されている。すなわち、実施例2は、実施例1に比べ、前記カメラCA2が省略されている。実施例2の前記起立動作支援システムSでは、前記レーザレンジファインダLRFと、前記カメラCA1とにより、前記使用者の右肩と右踝とを結ぶ直線Lが演算され、前記直線Lと床面Fとがなす前記姿勢角度αが演算される。
前記レーザレンジファインダLRFと、前記カメラCA1とにより実施例2の測拒部材LRF+CA1が構成されている。
さらに、実施例2の前記起立動作支援システムSでは、実施例1の前記床反力計FPが省略されている。
【0066】
(実施例2の制御部Cの説明)
図8は実施例2の起立動作支援システムの制御部が備えている各機能を機能ブロック図で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
(起立動作支援プログラムAP1)
実施例2の起立動作支援プログラムAP1は、実施例1の前記測距手段C2A1と、前記直線演算手段C2A2aと、前記上昇開始判別手段C3Bとに替えて、測距手段C2A1′と、直線演算手段C2A2a′と、上昇開始判別手段C3B′とを有する。また、前記起立動作支援プログラムAP1は、前記測距手段C2A1′により計測される前記計測位置から前記使用者の右踝までの距離に基づいて前記接地位置が測定できるため、実施例1の前記接地位置測定手段C2Cおよび前記接地位置記憶手段C2Dが省略されている。
【0067】
C2A1′:測距手段
実施例2の測距手段C2A1′は、基準距離演算手段C2A1aと、基準距離記憶手段C2A1bとを有し、前記計測位置から前記使用者の右肩までの距離および前記計測位置から前記使用者の右踝までの距離を計測する。実施例2の前記測距手段C2A1′は、具体的には、前記レーザレンジファインダLRFにより前記各距離を計測する場合、実施例1の前記測距手段C2A1と同様に計測するが、前記カメラCA1により前記各距離を計測する場合、前記各距離を計測するための基準となる、前記計測位置から基準物体までの距離である基準距離と、前記カメラCA1により撮像された前記基準物体を含む前記使用者の画像とに基づいて、前記各距離を計測する。なお、実施例2では、前記基準距離は、前記計測位置から前記使用者の頭部が当接する前記助手席CH′の背もたれの上端部CH1までの距離が予め設定されている。
【0068】
C2A1a:基準距離演算手段
基準距離演算手段C2A1aは、前記助手席CH′の上端部CH1の画像を予め撮像する2台のカメラ(複数の撮像部材)CA1,CA2により撮像された前記上端部CH1の各画像をステレオ画像処理することにより、前記基準距離を演算する。
C2A1b:基準距離記憶手段
基準距離記憶手段C2A1bは、前記基準距離演算手段C2A1aで演算された前記基準距離を記憶する。
実施例2の前記測距手段C2A1′では、まず、前記福祉車両Vの出荷前の段階において、前記助手席用ドアDに前記カメラCA1,CA2を設け、前記上端部CH1を前記カメラCA1,CA2でステレオ視した各画像に基づいて、前記基準距離を演算して予め記憶する。そして、前記カメラCA2を省略した状態で前記福祉車両Vを出荷し、記憶された前記基準距離と、前記カメラCA1により撮像された前記助手席CH′の上端部CH1を含む前記使用者の画像とに基づいて、前記計測位置から前記使用者の右肩までの距離および前記計測位置から前記使用者の右踝までの距離を計測する。
【0069】
C2A2a′:直線演算手段
実施例2の直線演算手段C2A2a′は、前記測距手段C2A1′で計測された前記計測位置から前記使用者の右肩までの距離および前記計測位置から前記使用者の右踝までの距離に基づいて、前記右肩と前記右踝とを結ぶ直線Lを演算する。
C3B′:上昇開始判別手段
実施例2の上昇開始判別手段C3B′は、前記レーザレンジファインダLRFにより演算された姿勢角度αと、前記カメラCA1により演算された姿勢角度αとが、それぞれ予め設定された上昇開始判別角度(90°)未満となり、前記重心位置が下方(-Z方向)に沈み込んだ位置としての前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記上昇開始タイミングであると判別する。
【0070】
(実施例2のフローチャートの説明)
次に、実施例2の起立動作支援プログラムAP1の処理の流れをフローチャートを使用して説明する。なお、実施例2のメイン処理では、前記床反力計FPが省略されたために、図5のST4における前記上昇開始タイミングの判別処理に替えて、前記レーザレンジファインダLRFにより演算された姿勢角度αと、前記カメラCA1により演算された姿勢角度αとがそれぞれ前記上昇開始判別角度(90°)未満となり、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別することにより、前記上昇開始タイミングであるか否かを判別するだけで、その他のST1~3,ST5,ST6の各処理は、実施例1と同様であるため、前記メイン処理のフローチャートによる説明を省略する。
【0071】
(実施例2の起立動作支援プログラムAP1の姿勢測定処理のフローチャートの説明)
図9は本発明の実施例2の起立動作支援プログラムの姿勢測定処理のフローチャートであり、実施例1の図6に対応する図である。
図9において、実施例2の前記姿勢測定処理のフローチャートでは、図6の実施例1の前記姿勢測定処理のフローチャートに比べ、ST102~ST104に替えて、ST102′~ST104′を実行するだけで、その他の処理であるST101,ST105については、対応する図6の各処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0072】
図9のST102′において、次の(1),(2)の処理を実行し、ST103′に移る。
(1)レーザレンジファインダLRFで検出されたレーザ光に基づいて、測距領域内に存在する計測位置から使用者の右肩までの距離および計測位置から使用者の右踝までの距離を計測する(図7の1点鎖線参照)。
(2)1台のカメラCA1により助手席CH′を含む使用者の画像を撮像し、予め記憶された基準距離に基づいて、計測位置から使用者の右肩までの距離および計測位置から使用者の右踝までの距離を計測する(図7の2点鎖線参照)。
【0073】
ST103′において、次の(1),(2)の処理を実行し、ST104′に移る。
(1)レーザレンジファインダLRFにより計測された計測位置から使用者の右肩までの距離および計測位置から使用者の右踝までの距離から、右肩と右踝とを結ぶ直線Lを演算し、直線Lと床面Fとがなす姿勢角度αを演算して使用者の重心位置を測定する。
(2)1台のカメラCA1により計測された計測位置から使用者の右肩までの距離および計測位置から使用者の右踝までの距離から、右肩と右踝とを結ぶ直線Lを演算し、直線Lと床面Fとがなす姿勢角度αを演算して使用者の重心位置を測定する。
ST104′において、ST103′の(1),(2)の各処理で測定された重心位置を記憶する。そして、ST105に移る。
【0074】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の前記起立動作支援システムSでは、前記福祉車両Vの外側まで移動可能な前記助手席CH′と、前記福祉車両Vの助手席用ドアDに設けられた前記被把持部Gおよび前記被把持部移動部材GM等により、前記助手席CH′に着席した前記使用者の起立動作時の姿勢に適した支援をすることができる(図7参照)。
また、前記構成を備えた実施例2の前記起立動作支援システムSでは、実施例1の前記カメラCA2が省略されており、前記福祉車両Vの出荷前の段階に設けた前記カメラCA1,CA2により演算されて予め記憶された前記助手席CH′の上端部CH1までの前記基準距離と、1台の前記カメラCA1により撮像された前記上端部CH1を含む前記使用者の画像とに基づいて、前記計測位置から前記使用者の右肩までの距離および前記計測位置から前記使用者の右踝までの距離が計測される(図7、図9のST102′参照)。したがって、実施例2の前記起立動作支援システムSは、実施例1の2台の前記カメラCA1,CA2により前記直線Lおよび前記姿勢角度αを演算する場合と同様に、前記直線Lおよび前記姿勢角度αを精度良く演算することができ、前記上昇開始タイミングを精度良く判別できる(図7、図9のST103′参照)。
【実施例3】
【0075】
図10は本発明の実施例3の起立動作支援システムの全体説明図であり、実施例2の図7に対応する図である。
次に本発明の実施例3の起立動作支援システムSの説明を行うが、この実施例3の説明において、前記実施例2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施例3は、下記の点で前記実施例2と相違しているが、他の点では前記実施例2と同様に構成されている。
【0076】
図10において、本発明の実施例3の起立動作支援システムSは、実施例2の前記福祉車両Vに替えて、要介護者としての前記使用者が着席して運転する電動式の車椅子、いわゆる、電動車椅子(起立動作支援装置)ECHに設けられている。実施例3の前記電動車椅子ECHは、前記使用者が着席する電動車椅子ECH本体としての着席部ECH1と、前記使用者が前記着席部ECH1に着席した場合に前記使用者の足を支持する足掛部ECH2とを有する。前記着席部ECH1には、前記使用者の背中を支持するための背もたれECH1aと、前記使用者の右肘を支持するための右肘掛部ECH1bと、前記使用者の左肘を支持するための左肘掛部ECH1cとが設けられている。
【0077】
前記背もたれECH1aの上部には、実施例3のレーザレンジファインダLRFが設けられている。実施例3の前記起立動作支援システムSでは、前記レーザレンジファインダLRFにより、前記計測位置から前記使用者の肩までの距離が測定され、前記肩と、前記足掛部ECH2とを結ぶ直線L′が演算されて前記直線L′と床面Fとがなす実施例3の姿勢角度αが演算される。
前記レーザレンジファインダLRFにより実施例3の測拒部材LRFが構成されている。
また、前記右肘掛部ECH1bの内側面前端部には、実施例3の被把持部移動部材GMの回転軸GM3が回転可能に支持されている。さらに、前記左肘掛部ECH1cの上面前端部には、前記電動車椅子ECHを運転するための操作部ECH3が設けられている。
【0078】
(実施例3の制御部Cの説明)
図11は実施例3の起立動作支援システムの制御部が備えている各機能を機能ブロック図で示した図であり、実施例2の図8に対応する図である。
(起立動作支援プログラムAP1)
実施例3の起立動作支援プログラムAP1は、実施例2の前記測距手段C2A1′と、前記直線演算手段C2A2a′と、前記上昇開始判別手段C3B′とに替えて、測距手段C2A1″と、直線演算手段C2A2a″と、上昇開始判別手段C3B″とを有する。
【0079】
C2A1″:測距手段
実施例3の測距手段C2A1″は、実施例2の前記基準距離演算手段C2A1aと、前記基準距離記憶手段C2A1bとが省略されており、前記計測位置から前記使用者の肩までの距離を計測する。実施例3の前記測距手段C2A1″は、前記背もたれECH1aの上部に設けられた前記レーザレンジファインダLRFにより前記計測位置から前記使用者の肩までの距離を計測する。
C2A2a″:直線演算手段
実施例3の直線演算手段C2A2a″は、前記測距手段C2A1″で計測された前記計測位置から前記使用者の肩までの距離に基づいて、前記肩と、前記足掛部ECH2とを結ぶ直線L′を演算する。
C3B″:上昇開始判別手段
実施例3の上昇開始判別手段C3B″は、前記レーザレンジファインダLRFにより演算された姿勢角度αが、予め設定された上昇開始判別角度(90°)未満となり、前記重心位置が下方(-Z方向)に沈み込んだ位置としての前記上昇開始位置まで移動したと判別された場合に、前記上昇開始タイミングであると判別する。
【0080】
(実施例3のフローチャートの説明)
次に、実施例3の起立動作支援プログラムAP1の処理の流れをフローチャートを使用して説明する。なお、実施例3のメイン処理では、前記カメラCAが省略されたために、図5のST4における前記上昇開始タイミングの判別処理に替えて、前記レーザレンジファインダLRFにより演算された姿勢角度αが前記上昇開始判別角度(90°)未満となり、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別することにより、前記上昇開始タイミングであるか否かを判別するだけで、その他のST1~3,ST5,ST6の各処理は、実施例1,2と同様であるため、前記メイン処理のフローチャートによる説明を省略する。
【0081】
(実施例3の起立動作支援プログラムAP1の姿勢測定処理のフローチャートの説明)
図12は本発明の実施例3の起立動作支援プログラムの姿勢測定処理のフローチャートであり、実施例2の図9に対応する図である。
図12において、実施例3の前記姿勢測定処理のフローチャートでは、図9の実施例2の前記姿勢測定処理のフローチャートに比べ、ST102′,ST103′に替えて、ST102″,ST103″を実行するだけで、その他の処理であるST101,ST104′,ST105については、対応する図9の各処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
図12のST102″において、レーザレンジファインダLRFで検出されたレーザ光に基づいて、計測位置から使用者の肩までの距離を計測する。そして、ST103″に移る。
ST103″において、レーザレンジファインダLRFにより計測された計測位置から使用者の肩までの距離と、接地部ECH2とを結ぶ直線L′を演算し、直線L′と床面Fとがなす姿勢角度αを演算して使用者の重心位置を測定する。そして、ST104′に移る。
【0082】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の前記起立動作支援システムSでは、前記電動車椅子ECHの右肘掛部ECH1bに設けられた前記被把持部Gおよび前記被把持部移動部材GM等により、前記着席部ECH1に着席した前記使用者の起立動作時の姿勢に適した支援をすることができる(図10参照)。
また、実施例3の前記電動車椅子ECHでは、前記着席部ECH1に着席した前記使用者の足が前記足掛部ECH2に支持されており、前記使用者が起立動作を行う場合には、前記使用者を前記足掛部ECH2上で起立させることになる。ここで、実施例3では、前記着席部ECH1の背もたれECH1a上部に設けられた前記レーザレンジファインダLRFによりより前記計測位置から前記使用者の肩までの距離のみが測定され、前記肩と前記使用者の足を支持する前記足掛部ECH2とを結ぶ直線L′が演算されることにより、前記直線L′と床面Fとがなす前記姿勢角度αが演算することができる(図10、図12のST102″,ST103″参照)。したがって、実施例3の前記起立動作支援システムSは、実施例1,2と同様に、前記直線L′および前記姿勢角度αを精度良く演算することができ、前記上昇開始タイミングを精度良く判別できる(図5のST4参照)。
【実施例4】
【0083】
図13は本発明の実施例4の起立動作支援システムの全体説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
次に本発明の実施例4の起立動作支援システムSの説明を行うが、この実施例4の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施例4は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0084】
図13において、本発明の実施例4の起立動作支援システムSでは、実施例1の前記起立動作開始釦Bと、前記レーザレンジファインダLRFと、前記カメラCA2と、前記床反力計FPとが省略されている。また、実施例4の起立動作支援システムSでは、前記把持検出センサSN1が、いわゆる、力覚センサによって構成されている。実施例4の前記把持検出センサSN1は、前記使用者が上体の前屈を開始する時にかかる荷重を検知する。
さらに、実施例4の起立動作支援システムSでは、前記カメラCA1が、前記部屋Rの天井CEに固定支持されている。実施例4の前記カメラCA1は、前記天井CEに設けられた前記椅子CHの上方(+Z方向)としての前記計測位置から、前記床面Fや前記椅子CH等を含む前記使用者の画像を撮像する。なお、前記画像には、前記使用者の頭および前記使用者の足の爪先の画像が含まれている(図13の2点鎖線参照)。
【0085】
(実施例4の制御部Cの説明)
図14は実施例4の起立動作支援システムの制御部が備えている各機能を機能ブロック図で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
(起立動作支援プログラムAP1)
実施例4の起立動作支援プログラムAP1は、実施例1の前記重心位置測定手段C2Aと、前記重心位置記憶手段C2Bと、前記接地位置測定手段C2Cと、前記前屈開始判別手段C3Aと、前記上昇開始判別手段C3Bとに替えて、頭部位置測定手段C2Eと、頭部位置記憶手段C2Fと、接地位置測定手段C2C′と、前屈開始判別手段C3A′と、上昇開始判別手段C3Dとを有する。
【0086】
C2E:頭部位置測定手段
頭部位置測定手段C2Eは、前記使用者の頭の位置としての頭部位置を測定する。実施例4の前記頭部位置測定手段C2Eは、前記カメラCA1により撮像された前記床面Fや前記椅子CH等を含む前記使用者の画像に基づいて、前記使用者の頭の位置としての頭部位置を測定する。実施例4の前記頭部位置測定手段C2Eは、具体的には、前記画像を画像解析して、前記使用者の肌色部分のうちの顔の領域(顔領域)を検出することにより、前記頭部位置を測定する。
なお、実施例4の前記頭部位置測定手段C2Eでは、前記顔領域を検出することにより、前記頭部位置を測定したがこれに限定されず、例えば、実施例1~3と同様に、前記計測位置から前記使用者の頭までの距離を計測することにより、前記頭部位置を測定することも可能である。
C2F:頭部位置記憶手段
頭部位置記憶手段C2Fは、前記頭部位置測定手段C2Eにより測定された前記頭部位置を記憶する。
【0087】
C2C′:接地位置測定手段
接地位置測定手段C2C′は、前記使用者の足の接地位置を測定する。実施例4の前記接地位置測定手段C2C′は、前記頭部位置測定手段C2Eと同様に、前記カメラCA1により撮像された前記床面Fや前記椅子CH等を含む前記使用者の画像を画像解析して、前記使用者の前端部としての爪先や、膝の先端の位置としての前記接地位置を測定する。 なお、実施例4の前記接地位置測定手段C2C′も、前記頭部位置測定手段C2Eと同様に、例えば、実施例1~3と同様に、前記計測位置から前記使用者の足の爪先までの距離を計測することにより、前記接地位置を測定することも可能である。
C3A′:前屈開始判別手段
前屈開始判別手段C3A′は、前記前屈開始タイミングであるか否かを判別する。実施例4の前記前屈開始判別手段C3A′は、前記把持検出センサSN1の検出信号に基づいて、前記被把持部Gが把持され、前記使用者が上体の前屈を開始する時にかかる荷重を検知した場合に、前記前屈開始タイミングであると判別する。
【0088】
C3D:上昇開始判別手段(前屈終了判別手段)
上昇開始判別手段C3Dは、実施例1の前記上昇開始判別手段C3Bと同様に、前後方向(X軸方向)における前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別することにより、前記使用者が上体の前屈を終了する前屈終了タイミングであって前記使用者の身体の上昇を開始する前記上昇開始タイミングであるか否かを判別する。実施例4の前記上昇開始判別手段C3Dは、測定された前記頭部位置および前記接地位置に基づいて、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別する。実施例4の上昇開始判別手段C3Dでは、具体的には、前記カメラCA1により測定された前記頭部位置が、前記接地位置より前方(+X方向)まで移動したか否かを判別することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別して、前記上昇開始タイミングであるか否かを判別する。
【0089】
(実施例4のフローチャートの説明)
次に、実施例4の起立動作支援プログラムAP1の処理の流れをフローチャートを使用して説明する。
(実施例4の起立動作支援プログラムAP1の姿勢測定処理のフローチャートの説明)
図15は本発明の実施例4の起立動作支援プログラムのメイン処理のフローチャートであり、実施例1の図5に対応する図である。
図15において、実施例4のメイン処理のフローチャートでは、図5の実施例1の前記メイン処理のフローチャートに比べ、ST2,ST4に替えて、ST2′,ST4′を実行するだけで、その他の処理であるST1,ST3,ST5,ST6については、実施例1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0090】
図15のST2′において、把持検出センサSN1の検出信号に基づいて、被把持部Gが把持され、使用者が上体の前屈を開始する時にかかる荷重を検知したか否かを判別することにより、前屈開始タイミングであるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST3に移り、ノー(N)の場合はST2′を繰り返す。
ST4′において、カメラCA1により測定された頭部位置が、接地位置より前方(+X方向)まで移動したか否かを判別することにより、重心位置が上昇開始位置まで移動した上昇開始タイミングであるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に移り、ノー(N)の場合はST3に戻る。
【0091】
(実施例4の起立動作支援プログラムAP1の姿勢測定処理のフローチャートの説明)
図16は本発明の実施例4の起立動作支援プログラムの姿勢測定処理のフローチャートであり、実施例1の図6に対応する図である。
図16において、実施例4の前記姿勢測定処理のフローチャートでは、図6の実施例1の前記姿勢測定処理のフローチャートに比べ、ST101~ST104に替えて、ST111~ST114を実行するだけで、その他の処理であるST105については、対応する図6の各処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0092】
図16のST111において、把持検出センサSN1の検出信号に基づいて、被把持部Gが把持され、使用者が上体の前屈を開始する時にかかる荷重を検知したか否かを判別することにより、前屈開始タイミングであるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST112に移り、ノー(N)の場合はST111を繰り返す。
ST112において、カメラCA1により床面Fや椅子CH等を含む使用者の画像を撮像する。そして、ST113に移る。
【0093】
ST113において、撮像された床面Fや椅子CH等を含む使用者の画像を画像解析して、使用者の肌色部分のうちの顔領域を検出することにより、頭部位置を測定すると共に、使用者の前端部としての爪先や膝の先端の位置としての接地位置を測定する。そして、ST114に移る。
ST114において、測定された頭部位置および接地位置をそれぞれ記憶する。そして、ST105に移る。
【0094】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の前記起立動作支援システムSでは、前記カメラCAにより測定された前記頭部位置が、前記接地位置より前方(+X方向)まで移動したと判別されることにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動した前記上昇開始タイミングであると判別して、前記被把持部Gを上昇させる(図15のST4′,ST5参照)。
【0095】
(実験例)
ここで、測定された前記頭部位置が、前記接地位置より前方(+X方向)まで移動したと判別されることにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別できることを確認するために、以下の実験例1を行った。
(実験例1)
実験例1では、健常者が起立動作を行ったときの前記健常者の重心位置と、前記健常者の肩が踝より前方(+X方向)に離れた距離としての第1距離xとを測定した。
【0096】
(実験結果)
図17は実験例1の実験結果についての説明図であり、健常者が起立動作を行ったときの健常者の重心位置と第1距離との関係を示すための説明図であり、横軸に起立動作開始からの経過時間をとり、縦軸に距離をとって、健常者の重心位置の上下方向に対する変化の軌跡と第1距離の前後方向に対する変化の軌跡とを示したグラフである。
図18は健常者が起立動作を行ったときの第1距離と第2距離との関係を示すための説明図であり、図18Aは健常者が椅子に着席している状態の説明図であり、図18Bは図18AのXVIIIB方向から見たときの説明図であり、図18Cは図18Aの状態から健常者が前屈を終了して身体を上昇させている途中の状態の説明図であり、図18Dは図18CのXVIIID方向から見たときの説明図であり、図18Eは図18Aの状態から健常者が身体の上昇を終了して起立動作を完了した状態の説明図であり、図18Fは図18EのXVIIIF方向から見たときの説明図である。
【0097】
図17、図18に示すように、実験例1では、前記第1距離xが、図18Aおよび図18Bに示す、前記使用者が着席した状態ではマイナス(-)となり、図18Cおよび図18Dに示す、前記使用者の重心位置が前方に移動した状態では0となり(図17における約3.0[sec]後参照)、図18Eおよび図18Fに示す、前記使用者の起立が完了した状態では僅かにプラス(+)となっている。よって、前記重心位置と実験例1の第1距離xとは、相関関係があり、前記第1距離xを介して重心位置の移動を検出できることがわかる。
【0098】
ここで、図18に示すように、前記健常者が起立動作を行ったときの前記健常者の頭が足の爪先より前方(+X方向)に離れた距離としての第2距離xは、実験例1の前記第1距離xと同様の軌跡を描いている。
この結果、実施例4の前記起立動作支援システムSのように、前記使用者の頭の位置と、足の爪先の位置との位置関係を検出することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別できる。
【0099】
したがって、実施例4の前記起立動作支援システムSは、前記姿勢測定処理(図16のST111~ST114,ST105参照)により測定された前記頭部位置および前記接地位置に基づいて、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動した前記上昇開始タイミングを判別して前記被把持部Gを上昇させることができる。この結果、実施例4の前記起立動作支援システムSは、実施例1の前記起立動作支援システムSと同様に、前記使用者自身が身体を上昇させたいタイミングで前記被把持部Gを上昇させて、前記使用者の身体が上昇することを支援することができる。
【0100】
また、実施例4の前記起立動作支援システムSは、前記カメラCA1により前記床面Fや前記椅子CH等を含む前記使用者の画像を撮像し、撮像された前記画像を画像解析することにより、前記頭部位置および接地位置が測定される(図16のST112,ST113参照)。したがって、実施例4の前記起立動作支援システムSは、実施例1~3の前記測距部材(LRF+CA1+CA2,LRF+CA1,LRF)を使用しなくても、実施例1~3と同様に、前記上昇開始タイミングを精度良く判別できる(図15のST4′参照)。
【0101】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H011)を下記に例示する。
(H01)前記実施例1では、レーザレンジファインダLRFと、2台のカメラCA1,CA2と、床反力計FPとを使用し、前記実施例2では、レーザレンジファインダLRFと、1台のカメラCA1とを使用し、前記実施例3では、レーザレンジファインダLRFのみを使用して、前記使用者の姿勢を測定して前記上昇開始タイミングであるか否かを判別したが、これに限定されず、例えば、前記カメラCA1のみ、または、前記床反力計FPのみを使用して、前記上昇開始タイミングであるか否かを判別することも可能である。
【0102】
(H02)前記実施例1では、前記レーザレンジファインダLRFにより測定した前記姿勢角度αと、前記カメラCA1,CA2により測定した前記姿勢角度αとがいずれも前記上昇開始判別角度(90°)未満であり、且つ、前記床反力計FPで測定された前記床反力の分布が前記上昇開始判別分布となっているか否かにより、前記上昇開始タイミングであるか否かを判別したが、これに限定されず、例えば、レーザレンジファインダLRFにより測定した前記姿勢角度αと、カメラCA1,CA2により測定した前記姿勢角度αとのいずれかが前記上昇開始判別角度(90°)未満、または、前記床反力計FPで測定された前記床反力の分布が前記上昇開始判別分布となっているか否かにより、前記上昇開始タイミングであるか否かを判別することも可能である。また、測定する環境に応じて前記上昇開始タイミングを判別する条件を変更することも可能であり、例えば、前記部屋Rが暗い場合には、ステレオ画像処理の精度が悪くなる前記カメラCA1,CA2を使用せずに、レーザレンジファインダLRFおよび床反力計FPを使用したり、レーザレンジファインダLRFまたは床反力計FPのいずれか一方を使用したりして、前記上昇開始タイミングであるか否かを判別することも可能である。
【0103】
(H03)前記実施例1~3において、前記使用者により前記被把持部Gが把持され、且つ、前記起立動作開始釦Bが押下された場合に、前記前屈開始タイミングであると判別して、前記被把持部Gを前方(+X方向)に移動させたが(図5のST2,ST3参照)、これに限定されず、例えば、前記把持検出センサSN1を省略して、前記被把持部Gに設けられた前記起立動作開始釦Bが押下された場合に、前記前屈開始タイミングであると判別することも可能である。
(H04)前記実施例2では、前記使用者が搭乗する席を助手席CH′として、前記起立動作支援システムSを適用したが、これに限定されず、運転席や後部座席等の他の座席に適用することも可能である。
【0104】
(H05)前記実施例にでは、前記被把持部移動部材GMを、小型化のため、前記ピストンGM1のピストン軸方向Yaに移動可能な空気圧ピストンにより構成し、前記回転軸GM3の回転軸周方向Ybに移動することにより、前記被把持部Gを前後方向(X軸方向)および上下方向(Z軸方向)に移動させているが、これに限定されず、例えば、前後方向(X軸方向)に延びるガイドレールを有し、前記被把持部Gを前後方向(X軸方向)に移動させる前後方向移動部材と、上下方向(Z軸方向)に延び且つ前後方向に延びるガイドレールに接続されたガイドレールを有し、上下方向(Z軸方向)に移動させる上下方向移動部材とによって前記被把持部移動部材GMを構成することも可能である。
(H06)前記実施例において、前記起立動作開始釦Bは、前記被把持部Gに設けられているが、これに限定されず、その他の部材に設けることも可能である。例えば、前記椅子CHや、前記助手席CH′に肘掛部を設けた場合に、前記肘掛部に前記起立動作開始釦Bを設けることも可能である。
(H07)前記実施例において、前記被把持部Gを着席した前記使用者の左方(-Y方向)に設けたが、これに限定されず、前記被把持部Gを前記使用者の右方(+Y方向)に設けたり、左右両側に設けたりすることも可能である。
【0105】
(H08)前記実施例1において、前記上昇開始タイミングであるか否かを判別するために、前記床反力計FPにより測定された前記床反力の分布が、実験等により予め測定された前記上昇開始判別分布になったか否かを判別したが、前記床反力の分布と前記上昇開始判別分布との比較については、前記各分布どうしの完全一致に限定されず、例えば、前記床反力の分布と前記上昇開始判別分布とを、前記床反力の大きさ[N]に応じて色分けされた画像にそれぞれ画像化し、前記各画像に対して画像解析を実行して算出された前記各画像どうしの類似度が予め設定された閾値以上である場合に、前記床反力の分布と前記上昇開始判別分布とが一致しているとみなすことも可能である。また、前記床反力の分布と前記上昇開始判別分布との比較に限定されず、例えば、前記床反力計FPが計測した床反力の最大値[N]や、計測した全範囲に対する床反力の平均値[N]が、予め設定された閾値[N]以上である場合に、前記使用者が前屈を終了して身体の上昇を開始する前記上昇開始タイミングであると判別することも可能である。
【0106】
(H09)前記実施例において、前記前屈開始タイミングから前記上昇開始タイミングまで前記被把持部Gを前進させ(図6、図15のST3参照)、前記上昇開始タイミングから前記上昇終了タイミングまで前記被把持部Gを上昇させているが(図6、図15のST5参照)、前記被把持部Gの移動方向はこれに限定されず、例えば、前記前屈開始タイミングから前記上昇開始タイミングまで、緩やかに下方(-Z方向)に沈むように前進させたり、前記上昇開始タイミングから前記上昇終了タイミングまで緩やかに前方(+X方向)に進みながら上昇させたりする等の微調整を行うことにより、前記使用者の起立動作時の姿勢に適した支援を精度良く行うことも可能である。
(H010)前記実施例では、前後方向(X軸方向)における前記重心位置の変化のみ測定しているが、これに限定されず、例えば、左右方向(Y軸方向)や上下方向(Z軸方向)についても測定して、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別することも可能である。
(H011)前記実施例4では、前記使用者の頭の位置と、足の爪先の位置との位置関係を検出することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別したが、これに限定されず、例えば、前記使用者の肩の位置と、踝の位置との位置関係を検出することにより、前記重心位置が前記上昇開始位置まで移動したか否かを判別することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は本発明の実施例1の起立動作支援システムの全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の起立動作支援システムの制御部が備えている各機能を機能ブロック図で示した図である。
【図3】図3は健常者が起立動作を行ったときの健常者の重心位置と姿勢角度との関係を示すための説明図であり、図3Aは横軸に起立動作開始からの経過時間をとり、縦軸に重心位置の上下方向の高さをとって健常者の重心位置の上下方向に対する変化の軌跡を示したグラフであり、図3Bは横軸に起立動作開始からの経過時間をとり、縦軸に姿勢角度の大きさをとって健常者の姿勢角度の変化の軌跡を示したグラフである。
【図4】図4は使用者が起立動作を行った場合の被把持部および被把持部移動部材の拡大説明図であり、図4Aは被把持部が被把持部前屈開始位置に配置された状態の一例の説明図であり、図4Bは図4Aの状態から被把持部が被把持部上昇開始位置まで移動した状態の一例の説明図であり、図4Cは図4Bの状態から被把持部が被把持部上昇終了位置まで移動した状態の一例の説明図である。
【図5】図5は本発明の実施例1の起立動作支援プログラムのメイン処理のフローチャートである。
【図6】図6は本発明の実施例1の起立動作支援プログラムの姿勢測定処理のフローチャートである。
【図7】図7は本発明の実施例2の起立動作支援システムの説明図であり、実施例1の図1に対応する図であり、図7Aは実施例2の福祉車両の全体説明図であり、図7Bは図7Aの福祉車両の助手席および助手席用ドアの拡大説明図である。
【図8】図8は実施例2の起立動作支援システムの制御部が備えている各機能を機能ブロック図で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【図9】図9は本発明の実施例2の起立動作支援プログラムの姿勢測定処理のフローチャートであり、実施例1の図6に対応する図である。
【図10】図10は本発明の実施例3の起立動作支援システムの全体説明図であり、実施例2の図7に対応する図である。
【図11】図11は実施例3の起立動作支援システムの制御部が備えている各機能を機能ブロック図で示した図であり、実施例2の図8に対応する図である。
【図12】図12は本発明の実施例3の起立動作支援プログラムの姿勢測定処理のフローチャートであり、実施例2の図9に対応する図である。
【図13】図13は本発明の実施例4の起立動作支援システムの全体説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
【図14】図14は実施例4の起立動作支援システムの制御部が備えている各機能を機能ブロック図で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【図15】図15は本発明の実施例4の起立動作支援プログラムのメイン処理のフローチャートであり、実施例1の図5に対応する図である。
【図16】図16は本発明の実施例4の起立動作支援プログラムの姿勢測定処理のフローチャートであり、実施例1の図6に対応する図である。
【図17】図17は実験例1の実験結果についての説明図であり、健常者が起立動作を行ったときの健常者の重心位置と第1距離との関係を示すための説明図であり、横軸に起立動作開始からの経過時間をとり、縦軸に距離をとって、健常者の重心位置の上下方向に対する変化の軌跡と第1距離の前後方向に対する変化の軌跡とを示したグラフである。
【図18】図18は健常者が起立動作を行ったときの第1距離と第2距離との関係を示すための説明図であり、図18Aは健常者が椅子に着席している状態の説明図であり、図18Bは図18AのXVIIIB方向から見たときの説明図であり、図18Cは図18Aの状態から健常者が前屈を終了して身体を上昇させている途中の状態の説明図であり、図18Dは図18CのXVIIID方向から見たときの説明図であり、図18Eは図18Aの状態から健常者が身体の上昇を終了して起立動作を完了した状態の説明図であり、図18Fは図18EのXVIIIF方向から見たときの説明図である。
【符号の説明】
【0108】
α…姿勢角度、
AP1…起立動作支援プログラム、
B…起立動作開始釦、
C1…把持検出手段、
C2A…重心位置測定手段、
C2A1,C2A1′,C2A1″,C2E1…測距手段、
C2A1a…基準距離演算手段、
C2A1b…基準距離記憶手段、
C2A2…姿勢角度演算手段、
C2C,C2C′…接地位置測定手段、
C2E…頭部位置測定手段、
C3…被把持部移動手段、
C3A,C3A′…前屈開始判別手段、
C3B,C3B′,C3B″,C3D…上昇開始判別手段、
CA1,CA2…撮像部材、複数の撮像部材、
CA1…第1の撮像部材、
CH1…基準物体、
ECH…起立動作支援装置、
F…床面、
FP…床反力計、
G…被把持部、
GM…被把持部移動部材、
L,L′…直線、
LRF+CA1+CA2,LRF+CA1,LRF…測距部材、
LRF…レーザレンジファインダ、
S…起立動作支援システム。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17