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明細書 :有病体検出装置および有病体検出システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5685798号 (P5685798)
公開番号 特開2009-172176 (P2009-172176A)
登録日 平成27年1月30日(2015.1.30)
発行日 平成27年3月18日(2015.3.18)
公開日 平成21年8月6日(2009.8.6)
発明の名称または考案の名称 有病体検出装置および有病体検出システム
国際特許分類 A61B   5/01        (2006.01)
A61B   5/0205      (2006.01)
A61B   5/0452      (2006.01)
FI A61B 5/00 101K
A61B 5/02 G
A61B 5/02 H
A61B 5/04 312U
請求項の数または発明の数 6
全頁数 25
出願番号 特願2008-014438 (P2008-014438)
出願日 平成20年1月25日(2008.1.25)
審判番号 不服 2013-019038(P2013-019038/J1)
審査請求日 平成22年5月20日(2010.5.20)
審判請求日 平成25年10月1日(2013.10.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
発明者または考案者 【氏名】松井 岳巳
【氏名】鈴木 哲
【氏名】阿部 重人
個別代理人の代理人 【識別番号】100150876、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 裕一郎
参考文献・文献 特開2003-220034(JP,A)
特開平11-128177(JP,A)
特開昭61-031122(JP,A)
特開昭59-046938(JP,A)
特開2000-060812(JP,A)
特開昭63-281625(JP,A)
特開2006-304963(JP,A)
国際公開第2007/063516(WO,A1)
氏川 翔 他,”マイクロ波レーダーとサーモグラフィーを用いた検疫のためのスクリーニングシステムの開発”,2006年度 日本人間工学会・関東支部第36回大会 卒業研究発表会 講演集,2006年12月 2日,17~18頁
調査した分野 A61B5/005/22
特許請求の範囲 【請求項1】
被検体の体表面温度の分布画像である熱画像を撮像するサーモグラフィ装置と、 撮像された前記熱画像に基づいて、前記被検体の体温を測定する体温測定手段と、 前記熱画像において、予め設定された閾値以上の前記体表面温度の領域の面積である体温面積値を演算する体温面積値演算手段と、 前記被検体の胸部から心拍数を、マイクロ波を用いて非接触で測定可能な予め設定された測定位置に配置された心拍数測定装置と、 前記被検体の心拍数を測定する心拍数測定手段であって、前記心拍数測定装置の測定結果に基づいて、前記心拍数を測定する前記心拍数測定手段と、 前記被検体の呼吸数を、マイクロ波を用いて非接触で測定する呼吸数測定手段と、 測定された前記体温と、前記心拍数と、前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が、疾患を発病した有病体であるか否かを判別する有病体判別手段と、 を備え、 前記体温測定手段は、前記サーモグラフィ装置により撮像された前記被検体の顔の前記熱画像に基づいて、前記被検体の体温を測定し、 前記体温面積値演算手段は、前記熱画像における前記閾値以上の前記体表面温度の領域の画素数を計数することにより、前記体温面積値を演算し、 前記有病体判別手段は、前記体温面積値演算手段により演算された前記体温面積値と、前記呼吸数と、前記心拍数とに基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを判別するための有病体判別値を下記有病体判別式(1)により演算し、演算された前記有病体判別値が、予め設定された有病体判別最小値Zmin未満、または、有病体判別最大値Zmaxより大きい場合に、前記被検体を前記有病体であると判別し、 前記有病体判別手段は、実際の運用により得られた結果に基づいて、 下記有病体判別式(1)の係数a~a及び前記有病体判別最小値Zminおよび前記有病体判別最大値Zmaxの値を随時更新して、前記有病体を判別する精度を向上させるようになされている ことを特徴とする有病体検出装置。 Z(X,X,X)=a+a+a+a …(1) a~a係数 :心拍数、:呼吸数、:体温面積値
【請求項2】
予め設定された心拍数測定時間における前記心拍数を測定する前記心拍数測定手段と、 予め設定された呼吸数測定時間における前記呼吸数を測定する前記呼吸数測定手段と、 演算された前記体温面積値と、測定された前記心拍数および前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを判別するための有病体判別値を演算する有病体判別値演算手段と、 演算された前記有病体判別値に基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを判別する前記有病体判別手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1に記載の有病体検出装置。
【請求項3】
前記被検体に心拍数を測定するための心拍数測定用マイクロ波を照射する心拍数測定用マイクロ波照射部と、前記被検体から反射した前記心拍数測定用マイクロ波を受信する心拍数測定用マイクロ波受信部と、を有する前記心拍数測定装置と、 受信した前記心拍数測定用マイクロ波に基づいて、前記心拍数を測定する前記心拍数測定手段とを備え、 前記被検体の胸部に対して、前記心拍数測定用マイクロ波の照射および受信が可能な前記測定位置に配置された前記心拍数測定装置を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の有病体検出装置。
【請求項4】
前記被検体に呼吸数を測定するための呼吸数測定用マイクロ波を照射する呼吸数測定用マイクロ波照射部と、前記被検体から反射した前記呼吸数測定用マイクロ波を受信する呼吸数測定用マイクロ波受信部と、を有する呼吸数測定装置と、 受信した前記呼吸数測定用マイクロ波に基づいて、前記呼吸数を測定する前記呼吸数測定手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の有病体検出装置。
【請求項5】
前記被検体の腹部に対して、前記呼吸数測定用マイクロ波の照射および受信が可能な腹部測定位置に配置された前記呼吸数測定装置、 を備えたことを特徴とする請求項に記載の有病体検出装置。
【請求項6】
被検体の体表面温度の分布画像である熱画像を撮像するサーモグラフィ装置と、 撮像された前記熱画像に基づいて、前記被検体の体温を測定する体温測定手段と、 前記熱画像において、予め設定された閾値以上の前記体表面温度の領域の面積である体温面積値を演算する体温面積値演算手段と、 前記被検体の胸部から心拍数を、マイクロ波を用いて非接触で測定可能な予め設定された測定位置に配置された心拍数測定装置と、 前記被検体の心拍数を測定する心拍数測定手段であって、前記心拍数測定装置の測定結果に基づいて、前記心拍数を測定する前記心拍数測定手段と、 前記被検体の呼吸数を、マイクロ波を用いて非接触で測定する呼吸数測定手段と、 測定された前記体温と、前記心拍数と、前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が、疾患を発病した有病体であるか否かを判別する有病体判別手段と、 を備え、 前記体温測定手段は、前記サーモグラフィ装置により撮像された前記被検体の顔の前記熱画像に基づいて、前記被検体の体温を測定し、 前記体温面積値演算手段は、前記熱画像における前記閾値以上の前記体表面温度の領域の画素数を計数することにより、前記体温面積値を演算し、 前記有病体判別手段は、前記体温面積値演算手段により演算された前記体温面積値と、前記呼吸数と、前記心拍数とに基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを判別するための有病体判別値を下記有病体判別式(1)により演算し、演算された前記有病体判別値が、予め設定された有病体判別最小値Zmin未満、または、有病体判別最大値Zmaxより大きい場合に、前記被検体を前記有病体であると判別し、 前記有病体判別手段は、実際の運用により得られた結果に基づいて 、 下記有病体判別式(1)の係数a~a及び前記有病体判別最小値Zminおよび前記有病体判別最大値Zmaxの値を随時更新して、前記有病体を判別する精度を向上させるようになされている ことを特徴とする有病体検出システム。 Z(X,X,X)=a+a+a+a …(1) a~a係数 :心拍数、:呼吸数、:体温面積値
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、疾患を発病した有病体を検出する有病体検出装置および有病体検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人間や動物等の被検体の体温等の身体情報を測定することにより、前記被検体の健康状態を診断する診断装置が知られている。特に、空港等の検疫では、SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群)等のウィルスや細菌や原虫(マラリアを引き起こすマラリア原虫、アフリカ睡眠病を引き起こすトリパノソーマ等)等、いわゆる、病原体の上陸を水際で防ぐために、渡航者等の健康状態を迅速且つ簡易に診断する必要があるため、高精度な診断が可能となる診断装置に対する需要が一層高まっており、研究・開発等が積極的に行われている。
【0003】
ここで、前記渡航者が病原体に感染している場合には、前記渡航者の体温が高熱になる可能性が高くなる。このため、検疫時に用いられる診断装置、いわゆる、検疫装置に関する技術として、非特許文献1等に示すように、前記渡航者の体温の画像、いわゆる、熱画像を撮像して表示するサーモグラフィにより、高熱の渡航者が検疫ブースを通過した場合に警報音を鳴らして検疫官に知らせる技術が知られている。また、病原体に感染している場合には、体温以外にも、例えば、心拍数や呼吸数等が速くなる可能性が高くなる。よって、検疫とは直接関係がないが、前記被検体の体温以外の身体情報を簡易に測定することにより、病原体への感染等を診断するその他の診断装置に関する技術として、例えば、下記の特許文献1,2に記載の技術が知られている。
【0004】
特許文献1としての特開2006-304963号公報には、人間等の被検体を隔離した状態でも診断可能とし、医師等への2次感染を防止するための非接触診断装置(1~5)についての技術が記載されている。特許文献1には、被検体に向けてマイクロ波を放射し、受信した反射波に基づいて、被検体の心拍数を診断する技術が記載されている。
また、特許文献2としての特開2000-102515号公報には、寝具としてのベッド(1)と、前記ベッド(1)に内蔵され、前記ベッド(1)に横たわる被験者の胸部に電磁波を照射して反射電磁波を受信する電磁波送受信センサ(11)とを有し、受信した前記反射電磁波に基づいて、前記被験者の心拍数や呼吸数等の身体状態を検出する身体状態検出具(10)についての技術が記載されている。すなわち、特許文献2には、前記ベッド(1)により、横たわる被験者の身体の動き、いわゆる、体動を低減させて前記身体状態を高精度に測定すると共に、前記電磁波送受信センサ(11)により、被験者に計測機器等を接触・密着させずに、前記身体状態を簡易に測定する技術が記載されている。
【0005】

【特許文献1】特開2006-304963号公報(要約書、「0006」~「0026」、図1~図7)
【特許文献2】特開2000-102515号公報(要約書、「0010」~「0034」、図1~図4)
【非特許文献1】“SARS対策用サーモグラフィ”、「online」、2003年9月9日、NEC三栄株式会社、「2007年12月18日検索」、インターネット<URL:http://www.necsan-ei.co.jp/general/th/application/sars/sars_information.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(従来技術の問題点)
前記非特許文献1のように、前記渡航者の体表面温度の熱画像を撮像して前記渡航者の体温を測定する技術では、例えば、前記渡航者が発汗により体表面温度が低下している場合には、問題なく検疫ブースを通過できてしまうため、前記渡航者が前記病原体に感染していることを精度良く判別できないという問題があった。
また、前記非特許文献1および前記特許文献1,2の技術では、前記渡航者には個体差があるため、体温や心拍数や呼吸数等の1つの身体情報のみで健康状態を診断すると、診断結果がその身体情報の統計値に引きずられてしまい、前記渡航者が本当に前記病原体に感染している場合と、単なる個体差である場合との曖昧な範囲についての判別ができない。このため、前記渡航者が前記病原体に感染していることを精度良く判別できないという問題があった。
【0007】
また、例えば、渡航者がコレラ菌に感染している場合、体温が高熱になるのではなく、
むしろ低体温になると共に、腸チフス等では体温上昇に比べ脈拍の上昇が小さい比較的徐脈になることが多い。したがって、前記非特許文献1や前記特許文献1,2の技術のように、単に、体温が高熱であるか否か、あるいは、心拍数が速いか否かを判別するといった方法では病原菌に感染しているか否かを精度良く判別できないという問題があった。
さらに、前記特許文献2の技術では、被験者が前記ベッド(1)に横になる必要があるため時間がかかり、検疫時のような短時間で多数の渡航者を診断する必要がある状況での診断には不向きであるという問題があった。
【0008】
本発明は、前述の事情に鑑み、被検体が疾患を発病しているか否かを精度良く判別することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の有病体検出装置は、
被検体の体表面温度の分布画像である熱画像を撮像するサーモグラフィ装置と、
撮像された前記熱画像に基づいて、前記被検体の体温を測定する体温測定手段と、
前記被検体の胸部から心拍数を非接触で測定可能な予め設定された測定位置に配置された心拍数測定装置と、
前記被検体の心拍数を測定する心拍数測定手段であって、前記心拍数測定装置の測定結果に基づいて、前記心拍数を測定する前記心拍数測定手段と、
前記被検体の呼吸数を非接触で測定する呼吸数測定手段と、
測定された前記体温と、前記心拍数と、前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が、疾患を発病した有病体であるか否かを判別する有病体判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
なお、本願明細書および特許請求の範囲において、「有病」とは、ある被検体がそれ以前に罹患し、現時点で発病(自他各症状の開始、種々の病態の開始、病名診断された転換期)している状態であることを意味するものとする。また、有病の人間・動物等の生体を有病体として説明する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の有病体検出装置において、
前記熱画像において、予め設定された閾値以上の前記体表面温度の領域の面積である体温面積値を演算する体温面積値演算手段と、
予め設定された心拍数測定時間における前記心拍数を測定する前記心拍数測定手段と、
予め設定された呼吸数測定時間における前記呼吸数を測定する前記呼吸数測定手段と、
演算された前記体温面積値と、測定された前記心拍数および前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを判別するための有病体判別値を演算する有病体判別値演算手段と、
演算された前記有病体判別値に基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを判別する前記有病体判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の有病体検出装置において、
前記被検体に心拍数を測定するための心拍数測定用マイクロ波を照射する心拍数測定用マイクロ波照射部と、前記被検体から反射した前記心拍数測定用マイクロ波を受信する心拍数測定用マイクロ波受信部と、を有する前記心拍数測定装置と、
受信した前記心拍数測定用マイクロ波に基づいて、前記心拍数を測定する前記心拍数測定手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の有病体検出装置において、
前記被検体の胸部に対して、前記心拍数測定用マイクロ波の照射および受信が可能な前記測定位置に配置された前記心拍数測定装置、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないしのいずれかに記載の有病体検出装置において、
前記被検体に呼吸数を測定するための呼吸数測定用マイクロ波を照射する呼吸数測定用マイクロ波照射部と、前記被検体から反射した前記呼吸数測定用マイクロ波を受信する呼吸数測定用マイクロ波受信部と、を有する呼吸数測定装置と、
受信した前記呼吸数測定用マイクロ波に基づいて、前記呼吸数を測定する前記呼吸数測定手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の有病体検出装置において、
前記被検体の腹部に対して、前記呼吸数測定用マイクロ波の照射および受信が可能な腹部測定位置に配置された前記呼吸数測定装置、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
前記技術的課題を解決するために、請求項7記載の発明の有病体検出装置は、
被検体の体温を測定する体温測定手段と、
前記被検体の胸部から心拍数を非接触で測定可能な予め設定された測定位置に配置された心拍数測定装置と、
前記被検体の心拍数を測定する心拍数測定手段であって、前記心拍数測定装置の測定結果に基づいて、前記心拍数を測定する前記心拍数測定手段と、
前記被検体の呼吸数を非接触で測定する呼吸数測定手段と、
測定された前記体温と、前記心拍数と、前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が、疾患を発病した有病体であるか否かを判別する有病体判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
前記技術的課題を解決するために、請求項8記載の発明の有病体検出システムは、
被検体の体表面温度の分布画像である熱画像を撮像するサーモグラフィ装置と、
撮像された前記熱画像に基づいて、前記被検体の体温を測定する体温測定手段と、
前記被検体の胸部から心拍数を測定可能な予め設定された測定位置に配置された心拍数測定装置と、
前記被検体の心拍数を非接触で測定する心拍数測定手段であって、前記心拍数測定装置の測定結果に基づいて、前記心拍数を測定する前記心拍数測定手段と、
前記被検体の呼吸数を非接触で測定する呼吸数測定手段と、
測定された前記体温と、前記心拍数と、前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が、疾患を発病した有病体であるか否かを判別する有病体判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
前記技術的課題を解決するために、請求項9記載の発明の有病体検出システムは、
被検体の体温を測定する体温測定手段と、
前記被検体の胸部から心拍数を非接触で測定可能な予め設定された測定位置に配置された心拍数測定装置と、
前記被検体の心拍数を非接触で測定する心拍数測定手段であって、前記心拍数測定装置の測定結果に基づいて、前記心拍数を測定する前記心拍数測定手段と、
前記被検体の呼吸数を測定する呼吸数測定手段と、
測定された前記体温と、前記心拍数と、前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が、疾患を発病した有病体であるか否かを判別する有病体判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、測定された前記体温と、前記心拍数と、前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを判別するため、本発明の構成を有しない場合に比べ、前記被検体が疾患を発病しているか否かを精度良く判別することができる。また、請求項1に記載の発明によれば、前記被検体の心拍に応じて、前記被検体の胸部の体表面が往復動するため、前記測定位置に配置された前記心拍数測定装置が前記心拍数を測定できる。
請求項2に記載の発明によれば、演算された前記体温面積値と、測定された前記心拍数および前記呼吸数とに基づいて演算された前記有病体判別値に基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを判別するため、本発明の構成を有しない場合に比べ、前記被検体が疾患を発病しているか否かを精度良く判別することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、前記心拍数測定用マイクロ波に基づいて、前記心拍数を測定するため、前記被検体に対して非接触で前記心拍数を測定できる。この結果、本発明の構成を有しない場合に比べ、被検体が疾患を発病しているか否かを迅速に判別することができる。
請求項4に記載の発明によれば、前記測定位置に配置された前記心拍数測定装置が非接触で前記心拍数を測定できる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、前記呼吸数測定用マイクロ波に基づいて、前記呼吸数を測定するため、前記被検体に対して非接触で前記呼吸数を測定できる。この結果、本発明の構成を有しない場合に比べ、被検体が疾患を発病しているか否かを迅速に判別することができる。
請求項6に記載の発明によれば、前記被検体の呼吸に応じて、前記被検体の腹部の体表面が往復動するため、前記腹部測定位置に配置された前記呼吸数測定装置が前記呼吸数を測定できる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、測定された前記体温と、前記心拍数と、前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを判別するため、本発明の構成を有しない場合に比べ、前記被検体が疾患を発病しているか否かを精度良く判別することができる。また、請求項に記載の発明によれば、前記心拍数測定用マイクロ波に基づいて、前記心拍数を測定するため、前記被検体に対して非接触で前記心拍数を測定できる。この結果、本発明の構成を有しない場合に比べ、被検体が疾患を発病しているか否かを迅速に判別することができる。さらに、請求項に記載の発明によれば、前記被検体の心拍に応じて、前記被検体の胸部の体表面が往復動するため、前記測定位置に配置された前記心拍数測定装置が前記心拍数を測定できる。
請求項8に記載の発明によれば、測定された前記体温と、前記心拍数と、前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを判別するため、本発明の構成を有しない場合に比べ、前記被検体が疾患を発病しているか否かを精度良く判別することができる。また、請求項に記載の発明によれば、前記心拍数測定用マイクロ波に基づいて、前記心拍数を測定するため、前記被検体に対して非接触で前記心拍数を測定できる。この結果、本発明の構成を有しない場合に比べ、被検体が疾患を発病しているか否かを迅速に判別することができる。さらに、請求項に記載の発明によれば、前記被検体の心拍に応じて、前記被検体の胸部の体表面が往復動するため、前記測定位置に配置された前記心拍数測定装置が前記心拍数を測定できる。
請求項9に記載の発明によれば、測定された前記体温と、前記心拍数と、前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを判別するため、本発明の構成を有しない場合に比べ、前記被検体が疾患を発病しているか否かを精度良く判別することができる。また、請求項に記載の発明によれば、前記心拍数測定用マイクロ波に基づいて、前記心拍数を測定するため、前記被検体に対して非接触で前記心拍数を測定できる。この結果、本発明の構成を有しない場合に比べ、被検体が疾患を発病しているか否かを迅速に判別することができる。さらに、請求項に記載の発明によれば、前記被検体の心拍に応じて、前記被検体の胸部の体表面が往復動するため、前記測定位置に配置された前記心拍数測定装置が前記心拍数を測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0025】
図1は本発明の実施例1の有病体検出システムの全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の有病体検出システムSは、被検体の一例としての人間(被験者、被検者)の体表面温度の分布画像である熱画像を撮像するサーモグラフィ装置(サーモグラフィ、サーモグラフィカメラ)TGと、前記被検体の体温以外の身体情報を測定する身体情報測定装置Uと、前記サーモグラフィ装置TGおよび前記身体情報測定装置(身体情報測定ユニット)Uに接続されたユーザが操作可能な端末としてのクライアントパソコン(有病体検出装置、パーソナルコンピュータ)PCとを有する。
【0026】
実施例1の前記サーモグラフィ装置TGは、前記有病体検出システムSが設けられた室内の床面Fに支持された支持部材の一例としての図示しない三脚により、前記被検体の顔の前記熱画像を撮像可能な顔測定位置で支持されている。すなわち、前記サーモグラフィ装置TGは、前記顔測定位置から前記被検体の顔の前記熱画像を撮像する、いわゆる、定点カメラとして構成されている。
なお、前記サーモグラフィ装置TGの支持部材は前記三脚に限定されず、例えば、前記顔測定位置で支持されるように、前記室内の図示しない天井から吊り下げたり、前記室内の図示しない壁面等により支持したりすることも可能である。また、実施例1では、前記顔測定位置から前記被検体の顔までの距離L1が、約2.0[m]に予め設定されている。
【0027】
また、実施例1の前記身体情報測定装置Uは、前記床面Fに支持されて上下方向に沿って延びる円柱状の側面と半球状の上端面とによって形成されたフレームFLを有する。また、前記身体情報測定装置Uは、前記フレームFL内に、上下方向に沿って延びる四角柱状の測定装置支持部材HDと、前記被検体の呼吸数を測定するための呼吸数測定装置(呼吸モニタ用レーダーアンテナ)RRと、前記被検体の心拍数を測定するための心拍数測定装置(心拍モニタ用レーダーアンテナ)CRとを有する。
【0028】
実施例1の前記呼吸数測定装置RRは、前記被検体に呼吸数を測定するための呼吸数測定用マイクロ波を照射する呼吸数測定用マイクロ波照射部RRaと、前記被検体から反射した前記呼吸数測定用マイクロ波を受信する呼吸数測定用マイクロ波受信部RRbとを有する(後述する図3のブロック図参照)。また、前記呼吸数測定装置RRは、前記被検体の腹部に対して、前記呼吸数測定用マイクロ波の照射および受信が可能な腹部測定位置の一例としての前記測定装置支持部材HDの被検体側面上部に支持されている。
【0029】
図2は図1のII-II線断面図であり、実施例1の呼吸数測定装置による呼吸数の測定方法についての説明図である。
図2に示すように、前記被検体の腹部の体表面は、前記被検体の呼吸に応じて往復動する(図2の実線および破線参照)。また、前記呼吸数測定用マイクロ波照射部RRaにより照射された実施例1の前記呼吸数測定用マイクロ波は、前記被検体の衣服(図2の2点破線参照)を透過して、前記体表面で反射する周波数で予め設定されている。このため、前記呼吸数測定用マイクロ波受信部RRbにより受信した前記呼吸数測定用マイクロ波の反射波に基づいて、前記体表面の往復動を測定することにより、前記被検体の呼吸数を測定することができる。なお、マイクロ波を用いて呼吸数や心拍数を非接触で測定する方法については、前記特許文献1等に記載されており、公知である。
【0030】
なお、実施例1では、前記呼吸数測定用マイクロ波照射部RRaの出力が、7.0[mW]、前記心拍数測定用マイクロ波の周波数が、呼吸による体表面の往復動の波形が十分に測定可能となる、10.0[GHz]に予め設定されている。また、実施例1では、前記腹部測定位置から前記床面Fまでの距離(高さ)L2が、1.0[m]に予め設定されており、前記腹部測定位置から前記被検体の腹部までの距離L3が、約0.3[m]に予め設定されている。さらに、実施例1では、前記心拍数測定用マイクロ波が照射される前記被検体の幅方向への照射角度αが、70°に予め設定されている。したがって、前記心拍数測定用マイクロ波が照射される前記被検体の腹部の幅L4が、約0.4[m]に予め設定されている。
【0031】
また、実施例1の前記心拍数測定装置CRは、前記被検体に心拍数を測定するための心拍数測定用マイクロ波を照射する心拍数測定用マイクロ波照射部CRaと、前記被検体から反射した前記心拍数測定用マイクロ波を受信する心拍数測定用マイクロ波受信部CRbとを有する(後述する図3のブロック図参照)。また、前記心拍数測定装置CRは、前記被検体によりかざされた手掌に対して、前記心拍数測定用マイクロ波の照射および受信が可能な手掌測定位置の一例としての前記測定装置支持部材HDの上端面に支持されている。なお、実施例1では、前記心拍数測定用マイクロ波照射部CRaの出力が、7.0[mW]、前記心拍数測定用マイクロ波の周波数が、心拍による体表面の往復動の波形が十分に測定可能となる、24.0[GHz]に予め設定されている。また、実施例1では、前記手掌測定位置から前記床面Fまでの距離(高さ)L5が、1.1[m]に予め設定されている。
【0032】
さらに、実施例1の前記クライアントパソコンPCは、コンピュータ装置により構成されており、コンピュータ本体H1と、ディスプレイH2と、キーボードH3やマウスH4等の入力装置、図示しないHDドライブ(ハードディスクドライブ)、CDドライブ(コンパクトディスクドライブ)等により構成されている。
【0033】
(実施例1のクライアントパソコンPCの制御部の説明)
図3は本発明の実施例1のクライアントパソコンの制御部が備えている各機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図である。
図3において、クライアントパソコンPCのコンピュータ本体H1の制御部は、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行うI/O(入出力インターフェース)、必要な処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ)、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ)、ハードディスクやROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)、ならびにクロック発振器等を有している。
前記構成のクライアントパソコンPCは、前記ハードディスクやROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0034】
前記クライアントパソコンPCの前記ハードディスクドライブには、クライアントパソコンの基本動作を制御する基本ソフト(オペレーティングシステム)OSや、アプリケーションプログラムとしての有病体検出プログラムAP1、その他の図示しないソフトウェア(文書作成ソフトウェアや製図ソフトウェア等)が記憶されている。
【0035】
(有病体検出プログラムAP1)
有病体検出プログラムAP1は、下記の機能手段(プログラムモジュール)を有する。
【0036】
図4は実施例1の被検体測定画像の説明図である。
C1:被検体測定画像表示手段
被検体測定画像表示手段C1は、図4に示す、被検体測定画像1を表示する。実施例1の前記被検体測定画像1は、前記被検体が前記有病体であるか否かを検出する有病体検出処理を開始するための検出開始釦1aと、前記有病体検出処理を終了するための検出終了釦1bとを有する。また、前記被検体測定画像1は、前記サーモグラフィ装置TGにより測定された前記被検体の顔の熱画像等を表示する熱画像表示部2と、前記身体情報測定装置Uの呼吸数測定装置RRにより測定された前記被検体の呼吸波形や呼吸数を表示する呼吸表示部3と、前記身体情報測定装置Uの心拍数測定装置CRにより測定された前記被検体の心拍波形や心拍数を表示する心拍表示部4と、前記被検体が前記有病体であるか否かについての判別結果を表示する判別結果表示部6とを有する。
【0037】
C2:検出開始判別手段
検出開始判別手段C2は、前記有病体検出処理を開始するか否かを判別する。実施例1の前記検出開始判別手段C2は、前記検出開始釦1aの入力がされたか否かを判別することにより、前記有病体検出処理を開始するか否かを判別する。
C3:体温測定手段
体温測定手段C3は、サーモグラフィ装置制御手段C3Aと、体温面積値演算手段C3Bとを有し、前記被検体の体温を測定する。実施例1の前記体温測定手段C3は、前記サーモグラフィ装置TGにより撮像された前記被検体の顔の前記熱画像に基づいて、前記被検体の体温を測定する。
【0038】
C3A:サーモグラフィ装置制御手段
サーモグラフィ装置制御手段C3Aは、前記サーモグラフィ装置TGを制御する。実施例1の前記サーモグラフィ装置制御手段C3Aは、前記サーモグラフィ装置TGを制御して、前記被検体の顔の体表面温度の分布画像である前記熱画像を撮像する。
C3B:体温面積値演算手段
体温面積値演算手段C3Bは、前記熱画像において、予め設定された閾値以上の前記体表面温度の領域の面積である体温面積値(X)を演算する。実施例1の前記体温面積値演算手段C3Bは、前記熱画像における前記閾値以上の前記体表面温度の領域の画素数(pixel数)を計数することにより、前記体温面積値X[pixel]を演算する。なお、実施例1の前記体温面積値演算手段C3Bでは、前記閾値が、35.4[℃]に予め設定されている。
【0039】
TM:タイマ
タイマTMは、前記有病体検出処理が実行される場合に、後述する呼吸数Xや心拍数X等の身体情報を測定するための身体情報測定時間T0を計時する。
C4:身体情報測定時間記憶手段
身体情報測定時間記憶手段C4は、前記身体情報測定時間T0を記憶する。実施例1の前記身体情報測定時間記憶手段C4では、前記身体情報測定時間T0が、前記被検体の呼吸数および心拍数を十分に測定可能な時間であり、且つ、前記被検体を迅速に測定して、前記被検体が、所定の測定位置で(実施例1では身体測定装置Uの手前の位置)、所定の測定姿勢(実施例1では身体測定装置Uの上方に手掌をかざした姿勢)を維持することに対するストレスを与えない程度の時間として、5.0[sec]に設定されて記憶されている。
C5:呼吸数測定手段
呼吸数測定手段C5は、呼吸数測定装置制御手段C5Aと、呼吸波形作成手段C5Bと、呼吸数演算手段C5Cとを有し、前記被検体の呼吸数を測定する。実施例1の前記呼吸数測定手段C5は、前記身体情報測定時間T0における前記被検体の呼吸数を測定することにより、予め設定された呼吸数測定時間の呼吸数(X)を測定する。
【0040】
C5A:呼吸数測定装置制御手段
呼吸数測定装置制御手段C5Aは、前記呼吸数測定装置RRを制御する。実施例1の前記呼吸数測定装置制御手段C5Aは、前記呼吸数測定装置RRを制御して、前記呼吸数測定用マイクロ波照射部RRaから前記呼吸数測定用マイクロ波を照射させると共に、前記被検体の腹部の体表面で反射した前記呼吸数測定用マイクロ波を受信した前記呼吸数測定用マイクロ波受信部RRbから、受信した反射波の情報を取得する。
C5B:呼吸波形作成手段
呼吸波形作成手段C5Bは、受信した前記呼吸数測定用マイクロ波の反射波に基づいて、前記被検体の腹部の体表面の往復動の波形である前記被検体の呼吸波形を作成する。
C5C:呼吸数演算手段
呼吸数演算手段C5Cは、前記呼吸波形に基づいて、前記被検体の呼吸数(X)を演算する。実施例1の前記呼吸数演算手段C5Cは、前記呼吸波形に基づいて、実施例1の前記呼吸数測定時間である1分間の呼吸数X[bpm(beats per minute)]を演算する。
【0041】
C6:心拍数測定手段
心拍数測定手段C6は、心拍数測定装置制御手段C6Aと、心拍波形作成手段C6Bと、心拍数演算手段C6Cとを有し、前記被検体の心拍数を測定する。実施例1の前記心拍数測定手段C5は、前記身体情報測定時間T0における前記被検体の心拍数を測定することにより、予め設定された心拍数測定時間の心拍数(X)を測定する。
C6A:心拍数測定装置制御手段
心拍数測定装置制御手段C6Aは、前記心拍数測定装置CRを制御する。実施例1の前記心拍数測定装置制御手段C6Aは、前記心拍数測定装置CRを制御して、前記心拍数測定用マイクロ波照射部CRaから前記心拍数測定用マイクロ波を照射させると共に、前記被検体の手掌の体表面で反射した前記心拍数測定用マイクロ波を受信した前記心拍数測定用マイクロ波受信部CRbから、受信した反射波の情報を取得する。
【0042】
C6B:心拍波形作成手段
心拍波形作成手段C6Bは、受信した前記心拍数測定用マイクロ波の反射波に基づいて、前記被検体の手掌の体表面の往復動の波形である前記被検体の心拍波形を作成する。
C6C:心拍数演算手段
心拍数演算手段C6Cは、前記心拍波形に基づいて、前記被検体の心拍数(X)を演算する。実施例1の前記心拍数演算手段C6Cは、前記心拍波形に基づいて、実施例1の前記心拍数測定時間である1分間の心拍数X[bpm]を演算する。
【0043】
C7:有病体判別手段
有病体判別手段C7は、有病体判別式記憶手段C7Aと、有病体判別値演算手段C7Bとを有し、前記体温測定手段C3により測定された前記体温と、前記呼吸数測定手段C5により測定された前記心拍数と、前記心拍数測定手段C6により測定された前記呼吸数とに基づいて、前記被検体が、疾患を発病した有病体であるか否かを判別する。
【0044】
実施例1の前記有病体判別手段C7は、前記体温面積値演算手段C3Bにより演算された前記体温面積値X[pixel]と、前記呼吸数演算手段C5Cにより演算された前記呼吸数X[bpm]と、前記心拍数演算手段C6Cにより演算された前記心拍数X[bpm]とに基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを判別するための有病体判別値Z(X,X,X)を演算し、演算された前記有病体判別値Z(X,X,X)が、予め設定された有病体判別最小値Zmin未満、または、有病体判別最大値Zmaxより大きい場合に、前記被検体を前記有病体であると判別する。なお、実施例1の前記有病体判別手段C7では、前記有病体判別最小値Zminおよび前記有病体判別最大値Zmaxが、Zmin=0.000,Zmax=16.000に予め設定されている。
【0045】
C7A:有病体判別式記憶手段
有病体判別式記憶手段C7Aは、前記有病体判別値Z(X,X,X)を演算するための有病体判別式を記憶する。実施例1の前記有病体判別式記憶手段C7Aでは、a~aを係数とした場合に、前記有病体判別式が、以下の式(1)により示される。
Z(X,X,X)=a+a+a+a …(1)
なお、実施例1では、実験等により、前記係数a~aが、a=+42.692,a=-0.365,a=-0.401,a=+0.000109に予め設定されている。
C7B:有病体判別値演算手段
有病体判別値演算手段C7Bは、前記体温面積値Xと、前記呼吸数Xと、前記心拍数Xと、前記式(1)に示す前記有病者判別式とに基づいて、前記有病体判別値Z(X,X,X)を演算する。
【0046】
C8:測定結果表示手段
測定結果表示手段C8は、前記体温測定手段C3、前記呼吸数測定手段C5および前記心拍数測定手段C6により測定された各測定結果を前記被検体測定画像1の各表示部2~4に表示する。図4に示すように、実施例1の前記測定結果表示手段C8は、前記被検体の顔の熱画像および前記体温面積値Xを前記熱画像表示部2に表示する。また、前記測定結果表示手段C8は、前記被検体の呼吸波形および前記呼吸数Xを前記呼吸表示部3に表示する。さらに、前記測定結果表示手段C8は、前記被検体の心拍波形および前記心拍数Xを前記心拍表示部4に表示する。
【0047】
C9:有病体判別結果表示手段
有病体判別結果表示手段C9は、前記有病体判別手段C7により判別された前記被検体が前記有病体であるか否かについての判別結果を前記被検体測定画像1の判別結果表示部6に表示する。図4に示すように、実施例1の前記有病体判別結果表示手段C9は、前記被検体が前記有病体でないと判別された場合には、前記被検体が前記有病体でない可能性が高い旨の記載および前記有病体判別値Z(X,X,X)を前記判別結果表示部6に表示すると共に、前記被検体が前記有病体であると判別された場合には、前記被検体が前記有病体の疑いがある旨の記載および前記有病体判別値Z(X,X,X)を前記判別結果表示部6に表示する。
【0048】
C10:検出終了判別手段
検出終了判別手段C10は、前記有病体検出処理を終了するか否かを判別する。実施例1の前記検出終了判別手段C10は、前記検出終了釦1bが押下されたか否かを判別することにより、前記有病体検出処理を終了するか否かを判別する。
【0049】
(実施例1のフローチャートの説明)
次に、実施例1の有病体検出プログラムAP1の処理の流れをフローチャートを使用して説明する。
(実施例1の有病体検出プログラムAP1の有病体検出処理のフローチャートの説明)
図5は実施例1の有病体検出プログラムAP1の有病体検出処理のフローチャートである。
図5のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0050】
図5に示すフローチャートは、前記クライアントパソコンPCが起動して前記有病体検出プログラムAP1が起動した場合に開始される。
図5のST1において、被検体測定画像1(図4参照)を表示する。そして、ST2に移る。
ST2において、検出開始釦1aの入力がされたか否かを判別することにより、有病体検出処理を開始するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST3に移り、ノー(N)の場合はST2を繰り返す。
ST3において、次の(1),(2)の処理を実行し、ST4に移る。
(1)呼吸数測定用マイクロ波照射部RRaによる呼吸数測定用マイクロ波の照射を開始することにより、呼吸数測定装置RRの測定を開始する。
(2)心拍数測定用マイクロ波照射部CRaによる心拍数測定用マイクロ波の照射を開始することにより、心拍数測定装置CRの測定を開始する。
【0051】
ST4において、呼吸数測定用マイクロ波照射部RRbが被検体の腹部の体表面で反射した呼吸数測定用マイクロ波を受信し、且つ、心拍数測定用マイクロ波照射部CRbが被検体の手掌の体表面で反射した呼吸数測定用マイクロ波を受信したか否かを判別することにより、被検体の呼吸数や心拍数等の身体情報の測定を開始するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に移り、ノー(N)の場合はST4を繰り返す。
ST5において、次の(1)~(4)の処理を実行し、ST6に移る。
(1)サーモグラフィ装置TGにより被検体の顔の熱画像を撮像する。
(2)呼吸数測定装置RRにより被検体の呼吸(腹部の体表面の往復動の波形)を測定する。
(3)心拍数測定装置CRにより被検体の心拍(手掌の体表面の往復動の波形)を測定する。
(4)タイマTMに身体情報測定時間T0をセットして計時を開始する。
【0052】
ST6において、タイマTMがタイムアップしたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST7に移り、ノー(N)の場合はST6を繰り返す。
ST7において、次の(1)~(3)の処理を実行し、ST8に移る。
(1)撮像された被検体の顔の熱画像において、閾値(35.4℃)以上の体表面温度の領域の体温面積値X[pixel]を演算する。
(2)測定された被検体の呼吸の呼吸波形を作成し、呼吸波形に基づいて呼吸数X[bpm]を演算する。
(3)測定された被検体の心拍の心拍波形を作成し、心拍波形に基づいて心拍数X[bpm]を演算する。
ST8において、演算された体温面積値Xと、呼吸数Xと、心拍数Xと、式(1)に示す有病者判別式とに基づいて、有病体判別値Z(X,X,X)を演算する。そして、ST9に移る。
【0053】
ST9において、次の(1)~(3)の処理を実行し、ST10に移る。
(1)被検体の顔の熱画像および体温面積値Xを熱画像表示部2に表示する。
(2)被検体の腹部の呼吸波形および呼吸数Xを呼吸表示部3に表示する。
(3)被検体の手掌の心拍波形および心拍数Xを心拍表示部4に表示する。
ST10において、演算された有病体判別値Z(X,X,X)が、有病体判別最小値Zmin以上、有病体判別最大値Zmax以下、すなわち、Zmin≦Z(X,X,X)≦Zmaxが成立するか否かを判別することにより、被検体が有病体であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST11に移り、ノー(N)の場合はST12に移る。
【0054】
ST11において、被検体が有病体でない旨の記載および有病体判別値Z(X,X,X)を判別結果表示部6に表示する。そして、ST13に移る。
ST12において、被検体が有病体である旨の記載および有病体判別値Z(X,X,X)を判別結果表示部6に表示する。そして、ST13に移る。
ST13において、検出終了釦1bの入力がされたか否かを判別することにより、有病体検出処理を終了するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST14に移り、ノー(N)の場合はST4に戻る。
ST14において、次の(1)~(3)の処理を実行し、ST1に戻る。
(1)被検体測定画像1を非表示にする。
(2)呼吸数測定用マイクロ波照射部RRaによる呼吸数測定用マイクロ波の照射を停止することにより、呼吸数測定装置RRの測定を停止する。
(3)心拍数測定用マイクロ波照射部CRaによる心拍数測定用マイクロ波の照射停止することにより、心拍数測定装置CRの測定を停止する。
【0055】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の前記有病体検出システムSでは、前記身体測定装置Uの手前の前記測定位置で静止した前記被検体の手掌が、前記身体測定装置Uの上方にかざされた場合に、前記被検体に対する前記有病体検出処理(図5のST5~ST12参照)が開始される(図5のST4参照)。実施例1の前記有病体検出処理では、前記サーモグラフィ装置TGにより撮像された前記被検体の顔の前記熱画像に基づいて、前記体温面積値Xが演算される(図5のST5(1),ST7(1)参照)。また、前記有病体検出処理では、前記呼吸数測定装置RRにより測定、作成された前記被検体の腹部の呼吸波形に基づいて、前記呼吸数Xが演算される(図5のST5(2),ST6,ST7(2)参照)と共に、前記心拍数測定装置CRにより測定、作成された前記被検体の手掌の心拍波形に基づいて、前記心拍数Xが演算される(図5のST5(3),ST6,ST7(3)参照)。
【0056】
そして、前記有病体検出処理では、演算された前記体温面積値X、前記呼吸数X、前記心拍数Xと、前記有病体判別式(式(1)参照)とに基づいて、前記有病体判別値Z(X,X,X)が演算され(図5のST8参照)、前記有病体判別値Z(X,X,X)に基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かが判別される(図5のST10参照)。
【0057】
(実験例)
ここで、実施例1の前記有病体検出システムSの判別結果が、前記有病体判別値Z(X,X,X)に基づいて、前記被検体が前記有病体であるか否かを精度良く判別できるか否かを調べるために、以下の実験例1、2を準備した。
【0058】
(実験例1)
実験例1では、まず、実施例1の前記有病体検出システムSが設けられた前記室内において、室温を、26.0±1.0℃、湿度を、60%以下に保った状態にする。そして、実験例1では、20名の被験者A~Tについて、運動負荷を与えていない平常の状態(負荷前)を正常群とし、運動負荷を与えた状態(負荷後)を擬似的に病原体に感染して発熱した者とみなした擬似感染群として、前記正常群および前記擬似感染群に対して、前記有病体検出システムSによる前記有病体検出処理(図5のST5~ST12参照)を行った。
【0059】
なお、実験例1では、前記サーモグラフィ装置TGについては、富士通株式会社製のINFRA-EYE 1200を使用すると共に、前記呼吸数測定装置RRおよび前記心拍数測定装置CRについては、株式会社タウ技研と共同開発したマイクロ波レーダを使用した。また、実験例1では、前記被験者A~Tに対する運動負荷は、自転車と同様のペダルをこぐことにより運動負荷が与えられたときの心電図の変化を検査する運動負荷心電図検査装置、いわゆる、エルゴメータにより与えている。また、実施例1では、前記被験者A~Tを、年齢が22±0.97歳の健康な男性として実験を行った。
【0060】
(実験例1の実験結果)
図6は実験例1の各被験者の負荷前および負荷後の有病体判別値についての説明図であり、縦軸に有病体判別値をとり横軸に各被験者をとったグラフの説明図である。
図7は実験例1の各被験者の負荷前および負荷後の体温面積値についての説明図である。
【0061】
図6に示すように、実験例1では、前記被験者F以外の被験者A~E,G~Tについて、負荷前の正常群の前記有病体判別値Z(X,X,X)が、Zmin≦Z(X,X,X)≦Zmax(Zmin=0.000,Zmax=16.000)を満たすと共に、負荷後の擬似感染群の前記有病体判別値Z(X,X,X)が、Z(X,X,X)<Zmin(Zmin=0.000)を満たすことがわかる。したがって、実験例1では、前記被験者A~Tについて、前記有病体判別値Z(X,X,X)に基づいて、負荷前の正常群が有病体でない可能性が高いことを高い精度で判別できていると共に、負荷後の擬似感染群が有病体の疑いがあることを高い精度で判別できていることがわかる。
【0062】
なお、実験例1では、前記擬似感染群は、あくまで、前記エルゴメータによる運動負荷を与えられた前記被験者A~Tである。このため、前記被験者A~Tは、発汗による体表面温度の低下が発生しており、図7に示すように、負荷後の体温面積値Xが、負荷前の体温面積値Xに比べ、小さくなっていることがわかる。したがって、本来、病原体に感染等して高熱であるにも関わらず、発汗等により体温面積値が低下している場合でも、前記呼吸数Xや、前記心拍数Xの異常値により演算された前記有病体判別値Z(X,X,X)に基づいて、正常群であるか、擬似感染群であるかが判別できていることがわかる。
【0063】
(実験例2)
実験例2では、まず、実施例1の前記有病体検出システムSが設けられた前記室内において、室温を、25.4±0.5℃、湿度を、52.3±6.2%以下に保った状態にする。そして、実験例2では、502名の被験者に対して、前記有病体検出システムSによる前記有病体検出処理(図5のST5~ST12参照)を行った。また、実験例2では、前記有病体検出処理により前記有病体の疑いがある被験者に対して、実際に前記有病体であるか否かの確認のための問診を行うと共に、体温については体温計による再測定、呼吸数および心拍数については看護師による再測定を行った。
さらに、実験例2では、全ての前記被験者に対して前記有病体検出処理が終了するまでの総時間に基づいて、前記各被験者が自分の順番になった後、前記身体測定装置Uの手前の前記測定位置まで移動して前記有病体検出処理を終了して前記測定位置を離れるまでの平均時間を算出した。
【0064】
なお、実験例2では、前記サーモグラフィ装置TGについては、NEC三栄株式会社製のIS-7800を使用すると共に、前記呼吸数測定装置RRおよび前記心拍数測定装置CRについては、実験例1と同一のマイクロ波レーダを使用した。また、実施例1では、前記被験者の性別、年齢、健康状態等については、無作為で実験を行った。
【0065】
(実験例2の実験結果)
図8は実験例2の実験結果についての説明図であり、有病体の疑いがあると判別された各被験者の性別、年齢、体温、脈拍数、呼吸数の実測値についての説明図である。
実験例2では、502名の被験者のうち、6名の被験者が有病体の疑いがあると判別された。また、図8に示すように、前記有病体の疑いがあると判別された6名の被験者は、全て37℃台の微熱があることがわかる。さらに、図8において、最初に有病体であると判別された26歳の女性については、前記問診において、頭痛等の自覚症状があり、風邪気味であるという旨の申告をしていることがわかった。したがって、実験例2では、前記有病体判別値Z(X,X,X)に基づいて、実際に有病体の可能性が高い被験者を判別できていることがわかる。
【0066】
また、実験例2では、前記各被験者が、自分の順番になった後、前記測定位置まで移動して前記有病体検出処理を終了して前記測定位置を離れるまでの前記平均時間が、9.27[sec]であることがわかった。なお、前記平均時間(9.27[sec])は、前記身体情報測定時間T0(5.0[sec])等を含む、検査のために必要な全ての時間である。したがって、前記被験者がベッドに横になったり、前記被験者に電極やセンサ等を取付けたりする必要がある検査等に比べ、短時間で多数の被験者を検査できていることがわかる。
【0067】
この結果、実施例1の前記有病体検出システムSは、前記有病体判別値Z(X,X,X)に基づいて、前記被検体が疾患を発病した前記有病体であるか否かを精度良く判別することができる。
また、実施例1の前記有病体検出システムSは、前記サーモグラフィ装置TGと、前記呼吸数測定装置RRおよび前記心拍数測定装置CRを有する前記身体情報測定装置Uとが、前記被検体に対して非接触で前記被検体の体温(体温面積値X)と、呼吸数Xと、心拍数Xとを測定・演算することにより、前記被検体が前記有病体であるか否かを迅速に判別することができる。
【0068】
また、実施例1の前記有病体検出システムSでは、前記サーモグラフィ装置TG、前記呼吸数測定装置RR、前記心拍数測定装置CRが、前記顔測定位置、前記胸部測定位置、前記腹部測定位置にそれぞれ配置されている(図1参照)。したがって、実施例1の前記有病体検出システムSは、前記各装置TG,RR,CRが、前記体温、前記呼吸数、前記心拍数を測定し易い前記各位置にそれぞれ配置されているため、前記各位置に配置されていない場合に比べ、前記体温面積値X、前記呼吸数X、前記心拍数Xを精度良く演算でき、前記有病体判別値Z(X,X,X)を精度良く演算できるため、前記被検体が前記有病体であるか否かを精度良く判別することができる。
【実施例2】
【0069】
図9は本発明の実施例2の有病体検出システムの全体説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
次に本発明の実施例2の有病体検出システムSの説明を行うが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0070】
図9において、本発明の実施例2の有病体検出システムSは、実施例1の前記身体情報測定装置Uに替えて、前記被検体の前方に設けられた前側身体情報測定装置(前側身体情報測定ユニット)U1と、前記被検体の後方に設けられた後側身体情報測定装置(後側身体情報測定ユニット)U2とを有する。前記各身体情報測定装置U1,U2は、前記クライアントパソコンPCに接続されている。
実施例2の前記前側身体情報測定装置U1は、実施例1の前記身体情報測定装置Uに比べ、前記心拍数測定装置CRが省略されている。すなわち、前記前側身体情報測定装置U1は、前記心拍数測定装置CRが省略されている分だけ、上下方向に短く形成されており、前記呼吸数測定装置RRが配置された前記腹部測定位置より上方の部分が省略された円柱状の前側フレームFL1と、四角柱状の前側測定装置支持部材HD1とを有する。
【0071】
また、実施例2の前記後側身体情報測定装置U2は、前記前側身体情報測定装置U1に比べ、上下方向に長く形成されている。すなわち、実施例2の前記後側身体情報測定装置U2は、前記心拍数測定装置CRと、前記前側フレームFL1に比べて上方に長い円柱状の後側フレームFL2と、前記前側測定装置支持部材HD1に比べて上方に長い四角柱状の後側測定装置支持部材HD2とを有する。また、実施例2の前記心拍数測定装置CRは、前記被検体の背部に対して、前記心拍数測定用マイクロ波の照射および受信が可能な背部測定位置の一例としての前記後側測定装置支持部材HD2の被検体側面上端部に支持されている
【0072】
なお、実施例2の前記心拍数測定装置CRでは、実施例1の前記呼吸数測定装置RRの場合と同様に、前記被検体の背部の体表面が、前記被検体の心拍に応じて往復動すると共に、前記心拍数測定用マイクロ波照射部CRaにより照射された実施例2の前記心拍数測定用マイクロ波が、前記被検体の衣服を透過して、前記体表面で反射する周波数で予め設定されている。このため、前記心拍数測定用マイクロ波受信部CRbにより受信した前記心拍数測定用マイクロ波の反射波に基づいて、前記体表面の往復動を測定することにより、前記被検体の心拍数を測定することができる(図2参照)。
なお、実施例2では、前記背部測定位置から前記床面Fまでの距離(高さ)L6が、前記被検体としての人間の平均的な心臓の高さに応じて、約1.3[m]に予め設定されている。また、実施例2では、前記背部測定位置から前記被検体の背部までの距離L7が、約0.1[m]に予め設定されている。
【0073】
(実施例2のクライアントパソコンPCの制御部およびフローチャートの説明)
実施例2のクライアントパソコンPCの制御部およびフローチャートは、前記心拍数測定装置CRが、前記被検体の手掌の体表面の往復動に替えて、前記被検体の背部の体表面の往復動を測定するだけで、その他の説明については、実施例1のクライアントパソコンPCの制御部およびフローチャートと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0074】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の前記有病体検出システムSでは、前記被検体が、前記前側身体測定装置U1から距離L3(L3≒0.3[m])だけ後方に離れ、前記後側身体測定装置U2から距離L7(L7≒0.1[m])だけ前方に離れた実施例2の測定位置に移動し、前記前側身体測定装置U1側を向いて静止した場合に、前記被検体に対する前記有病体検出処理(図5のST5~ST12参照)が開始される(図5のST4参照)。
【0075】
ここで、実施例2の前記有病体検出処理では、前記背部測定位置に配置された前記心拍数測定装置CRにより測定、作成された前記被検体の背部の心拍波形に基づいて、前記心拍数Xが演算される(図1、図5のST5(3),ST6,ST7(3)参照)。したがって、実施例2の前記有病体検出システムSは、前記心拍数測定装置CRが、前記心拍数を測定し易い前記背部測定位置に配置されているため、前記背部測定位置に配置されていない場合に比べ、前記心拍数Xを精度良く演算でき、前記有病体判別値Z(X,X,X)を精度良く演算できるため、前記被検体が前記有病体であるか否かを精度良く判別することができる。
その他、実施例2の前記有病体検出システムSは、実施例1の前記有病体検出システムSと同様の作用効果を奏する。
【実施例3】
【0076】
図10は本発明の実施例3の有病体検出システムの全体説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
図11は図10のXI-XI線断面図であり、実施例3の各測定装置による呼吸数および心拍数の測定方法についての説明図であり、実施例1の図2に対応する図である。
次に本発明の実施例3の起立動作支援システムSの説明を行うが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施例3は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0077】
図10において、本発明の実施例3の有病体検出システムSは、実施例1の前記身体情報測定装置Uに替えて、前記被検体が着席する椅子CHと、前記クライアントパソコンPCに接続された前記呼吸数測定装置RRおよび前記心拍数測定装置CRとを備えた実施例3の身体情報測定装置U′を有する。
実施例3の前記椅子CHは、前記被検体の背部を支持する背部支持部(背もたれ)CH1を有し、前記背部支持部CH1の中央部上方には、前記呼吸数測定装置RRおよび前記心拍数測定装置CRを支持する実施例3の測定装置支持部材HD′が支持されている。すなわち、実施例3の前記各測定装置RR,CRは、前記被検体の背部に対して、前記各測定用マイクロ波の照射および受信が可能な実施例3の背部測定位置の一例としての前記背部支持部CH1の中央部上方に支持されている。
【0078】
図11において、実施例3の前記背部支持部CH1は、網状の樹脂によって構成されている。また、実施例3では、前記各照射部RRa,CRaにより照射された前記各マイクロ波が、前記測定装置支持部材HD′、前記背部支持部CH1および前記被検体の衣服を透過して、前記体表面で反射する周波数で予め設定されている。このため、前記各受信部RRb,CRbにより受信した前記各マイクロ波の反射波に基づいて、前記体表面の往復動を測定することにより、前記被検体の呼吸数および心拍数を測定することができる。
なお、実施例3では、前記背部測定位置から前記背部支持部CH1までの距離(測定装置支持部材HD′の厚さ)L8が、0.03[m]に予め設定されている。
【0079】
(実施例3のクライアントパソコンPCの制御部およびフローチャートの説明)
実施例3のクライアントパソコンPCの制御部およびフローチャートは、前記各測定装置RR,CRが、前記被検体の腹部および手掌の体表面の往復動に替えて、前記被検体の背部の体表面の往復動を測定するだけで、その他の説明については、実施例1のクライアントパソコンPCの制御部およびフローチャートと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0080】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の前記有病体検出システムSでは、前記被検体が、前記身体測定装置Uの椅子CHに着席し、前記被検体の背部が前記背部支持部CH1により支持された場合に、前記被検体に対する前記有病体検出処理(図5のST5~ST12参照)が開始される(図5のST4参照)。したがって、前記被検体の身体が前記椅子CHに支持されるため、被検体の体動を低減させることができる。この結果、前記心拍数Xおよび前記心拍数Xを精度良く演算でき、前記有病体判別値Z(X,X,X)を精度良く演算できるため、前記被検体が前記有病体であるか否かを精度良く判別することができる。
【0081】
また、実施例3の前記有病体検出システムSは、前記被験者がベッドに横になったり、前記被験者に電極やセンサ等を取付けたりする必要がある検査等に比べ、前記被検体を迅速に検査でき、例えば、前記被検体に対して受付や問診等を行っている間に、前記被検体を検査できる。
その他、実施例3の前記有病体検出システムSは、実施例1の前記有病体検出システムSと同様の作用効果を奏する。
【0082】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H010)を下記に例示する。
(H01)前記実施例では、前記被検体を人間(被験者、被検者)としたが、これに限定されず、例えば、その他の動物等の生体についても本発明を適用可能である。この場合、前記生体に応じた前記有病体判別式(式(1)参照)を設定する必要がある。
(H02)前記実施例において、前記サーモグラフィ装置TGで撮像される前記熱画像は、前記被検体の顔の熱画像に限定されず、例えば、肌が露出しているその他の範囲の熱画像を撮像することも可能である。
(H03)前記実施例において、前記心拍数測定装置CRが測定する位置は、前記手掌測定位置や前記背部測定位置に限定されず、例えば、前記被検体としての人間の平均的な心臓の高さに応じた高さに設定されて、前記被検体の胸部に対して、前記心拍数測定用マイクロ波の照射および受信が可能な胸部測定位置で測定することも可能である。
【0083】
(H04)前記実施例では、前記心拍数測定装置CRは、前記被検体に心拍数を測定するための心拍数測定用マイクロ波を照射・受信する、いわゆる、マイクロ波レーダーアンテナにより構成することにより、非接触で心拍数を測定したが、これに限定されず、例えば、前記被検体に心拍数を測定するための心拍数測定用レーザー光を照射・受信する、いわゆる、レーザー血流計(例えば、特開平10-290791号公報、特開2004-357784号公報等参照)により構成することにより、非接触で心拍数を測定することも可能である。
(H05)前記実施例の前記身体測定装置U,U′,U1,U2,U′は、前記被検体に対して、非接触で呼吸数や心拍数を測定可能な構成とすることが望ましいが、これに限定されず、例えば、前記被験者に電極やセンサ等を取付けて測定することも可能である。また、例えば、前記被検体の指尖の血液の容積変動である指尖容積脈波、いわゆる、脈波を測定することにより、前記心拍数を測定することも可能である。
(H06)前記実施例において、設定された各数値については、任意の数値に変更可能である。また、例えば、前記身体測定装置U,U′,U1,U2の各フレームFL,FL1,FL2および各測定装置支持部材HD,HD1,HD2を上下方向に伸縮可能とすることにより、前記披検体の身長に応じて、前記身体測定装置U,U′,U1,U2の高さL2,L5,L6を調節することも可能である。
【0084】
(H07)前記実施例において、前記有病体検出処理(図5のST5~ST12参照)で前記被検体から測定する身体情報は、体温(体温面積値X)、心拍数X、呼吸数Xに限定されず、例えば、血圧等を用いることも可能である。この場合、前記有病体判別値Z(X,X,X)は、新たに追加した身体情報の変数や係数を追加した4変数以上の多変数関数(式(1)参照)の値とする必要がある。
(H08)前記実施例の有病体判別値Z(X,X,X)は、前記変数X~X,および前記係数a~aを用いた3変数の一次関数(式(1)参照)の値としているが、これに限定されず、実験等により導出された判別に適した任意の関数、例えば、3変数の多次元関数、指数関数、対数関数等の値とすることも可能である。
【0085】
(H09)前記実施例の有病体判別式(式(1)参照)では、実験等により、前記係数a~aや前記有病体判別最小値Zminおよび前記有病体判別最大値Zmaxの値が予め設定されているが、これに限定されず、任意の値を設定することも可能である。例えば、前記有病体検出処理(図5のST5~ST12参照)による実際の運用を行い、判別後の問診等により得られた結果に基づいて、補正された値を有病体判別最小値Zminおよび有病体判別最大値Zmaxに設定することも可能である。また、実際の運用により得られた結果に基づいて、前記係数a~aや前記有病体判別最小値Zminおよび前記有病体判別最大値Zmaxの値を随時更新する機能、いわゆる、学習機能を持たせて、前記有病体を判別する精度を向上させることも可能である。
(H010)前記実施例において、前記被検体が前記有病体であると判別した場合、判別結果を前記判別結果表示部6に表示しているが(図5のST10,ST11参照)、これに限定されず、例えば、警報音を鳴らしたり、赤色警光灯を灯火したりして、前記クライアントパソコンPCのユーザ等に知らせたりすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の前記有病体検出装置PCおよび前記有病体検出システムSは、例えば、空港や海港等における検疫時において、渡航者に対して、検疫ゲートを通過する際に病原体に感染しているか否かを迅速に判別する場合に有用である。また、例えば、企業や病院等の建物において、外来者に対して、入口等を通過する際や、窓口等における受付や問診等を行っている際に、簡易的な健康診断を行って感染症の世界的大流行(パンデミック)に際し、未曾有の人数の接触者の選別(トリアージ)や、出国に際する有病者の検出(出国検疫)にも非常に有用である。さらに、例えば、災害時において、学校の体育館等に緊急避難してきた被災者に対して、収容する際に、有病体を健常者から隔離する場合等についても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は本発明の実施例1の有病体検出システムの全体説明図である。
【図2】図2は図1のII-II線断面図であり、実施例1の呼吸数測定装置による呼吸数の測定方法についての説明図である。
【図3】図3は本発明の実施例1のクライアントパソコンの制御部が備えている各機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図である。
【図4】図4は実施例1の被検体測定画像の説明図である。
【図5】図5は実施例1の有病体検出プログラムAP1の有病体検出処理のフローチャートである。
【図6】図6は実験例1の各被験者の負荷前および負荷後の有病体判別値についての説明図であり、縦軸に有病体判別値をとり横軸に各被験者をとったグラフの説明図である。
【図7】図7は実験例1の各被験者の負荷前および負荷後の体温面積値についての説明図である。
【図8】図8は実験例2の実験結果についての説明図であり、有病体の疑いがあると判別された各被験者の性別、年齢、体温、脈拍数、呼吸数の実測値についての説明図である。
【図9】図9は本発明の実施例2の有病体検出システムの全体説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
【図10】図10は本発明の実施例3の有病体検出システムの全体説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
【図11】図11は図10のXI-XI線断面図であり、実施例3の各測定装置による呼吸数および心拍数の測定方法についての説明図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【符号の説明】
【0088】
C3…体温測定手段、
C3B…体温面積値演算手段、
C5…呼吸数測定手段、
C6…心拍数測定手段、
C7…有病体判別手段、
C7B…有病体判別値演算手段、
CR…心拍数測定装置、
CRa…心拍数測定用マイクロ波照射部、
CRb…心拍数測定用マイクロ波受信部、
PC…有病体検出装置、
RR…呼吸数測定装置、
RRa…呼吸数測定用マイクロ波照射部、
RRb…呼吸数測定用マイクロ波受信部、
S…有病体検出システム、
TG…サーモグラフィ装置、
…心拍数、
…呼吸数、
…体温、体温面積値、
Z(X,X,X)…有病体判別値。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図7】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図10】
8
【図11】
9
【図4】
10