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明細書 :管加工装置及び管加工方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5469354号 (P5469354)
公開番号 特開2010-214406 (P2010-214406A)
登録日 平成26年2月7日(2014.2.7)
発行日 平成26年4月16日(2014.4.16)
公開日 平成22年9月30日(2010.9.30)
発明の名称または考案の名称 管加工装置及び管加工方法
国際特許分類 B21J   5/08        (2006.01)
B21J   1/06        (2006.01)
FI B21J 5/08 A
B21J 1/06 Z
請求項の数または発明の数 8
全頁数 11
出願番号 特願2009-063138 (P2009-063138)
出願日 平成21年3月16日(2009.3.16)
審査請求日 平成24年3月14日(2012.3.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
発明者または考案者 【氏名】真鍋 健一
【氏名】古島 剛
個別代理人の代理人 【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100116207、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 俊明
審査官 【審査官】間中 耕治
参考文献・文献 特開昭60-141329(JP,A)
実開昭62-199232(JP,U)
特開2003-205337(JP,A)
調査した分野 B21J 5/08
B21J 1/06
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)金属製の管材料の搬送方向における上流側において移動自在に配設され、管材料を把持する第1の把持部材と、
(b)前記管材料の搬送方向における下流側において移動自在に配設され、管材料を把持する第2の把持部材と、
(c)前記第1、第2の把持部材間に設定された管材料の加工領域の所定の箇所に配設された支持部材と、
(d)該支持部材を回転させるための加熱用の駆動部と、
(e)前記支持部材の円周方向における所定の箇所に配設され、支持部材の回転に伴って、管材料における環状の被加熱部分を円周方向において順次加熱するレーザ装置と、
(f)前記支持部材の所定の箇所に配設され、前記管材料に向けて冷却媒体を噴射し、前記被加熱部分において、レーザ装置と対向する部分と対向しない部分とで温度差を形成する冷却装置と、
(g)前記第1の把持部材の移動速度を前記第2の把持部材の移動速度より高くし、前記被加熱部分に厚肉部を形成する加工処理手段とを有することを特徴とする管加工装置。
【請求項2】
前記加工処理手段は、第1の把持部材の移動速度と第2の把持部材の移動速度との速度差を変更することによって肉厚を変更する請求項1に記載の管加工装置。
【請求項3】
前記加工処理手段は、時間の経過に伴って前記速度差を変更することによって、軸方向において変化する肉厚を有する管部材を成形する請求項2に記載の管加工装置。
【請求項4】
前記加工処理手段は、時間の経過に伴って前記速度差を段階的に変更する請求項3に記載の管加工装置。
【請求項5】
前記加工処理手段は、時間の経過に伴って前記速度差を連続的に変更する請求項3に記載の管加工装置。
【請求項6】
前記管材料の搬送方向におけるレーザ装置より下流側に、レーザ装置と隣接させて、かつ、管材料の外周面に当接させて規制部材が配設される請求項1に記載の管加工装置。
【請求項7】
(a)金属製の管材料の搬送方向における上流側において移動自在に配設され、管材料を把持する第1の把持部材と、
(b)前記管材料の搬送方向における下流側において移動自在に配設され、管材料を把持する第2の把持部材と、
(c)前記第1、第2の把持部材間に設定された管材料の加工領域の所定の箇所に配設された支持部材と、
(d)該支持部材を回転させるための加熱用の駆動部と、
(e)前記支持部材の円周方向における所定の箇所に配設され、支持部材の回転に伴って、管材料における環状の被加熱部分を円周方向において順次加熱するレーザ装置と、
(f)前記支持部材の所定の箇所に配設され、前記管材料に向けて冷却媒体を噴射し、前記被加熱部分において、レーザ装置と対向する部分と対向しない部分とで温度差を形成する冷却装置と、
(g)前記第1の把持部材の移動速度を前記第2の把持部材の移動速度より高くし、かつ、時間の経過に伴って前記各移動速度の速度差を大きくすることによって、被加熱部分に厚肉部を形成する加工処理手段とを有することを特徴とする管加工装置。
【請求項8】
金属製の管材料の搬送方向における上流側において移動自在に配設され、管材料を把持する第1の把持部材、前記管材料の搬送方向における下流側において移動自在に配設され、管材料を把持する第2の把持部材、前記第1、第2の把持部材間に設定された管材料の加工領域の所定の箇所に配設された支持部材、加熱用の駆動部、前記支持部材の円周方向における所定の箇所に配設されたレーザ装置、及び前記支持部材の所定の箇所に配設された冷却装置を有する管加工装置による管加工方法において、
(a)前記駆動部を駆動して前記支持部材を回転させ、
(b)前記レーザ装置によって、管材料における環状の被加熱部分を円周方向において順次加熱し、
(c)前記冷却装置によって前記管材料に向けて冷却媒体を噴射し、前記被加熱部分において、レーザ装置と対向する部分と対向しない部分とで温度差を形成し、
(d)前記第1の把持部材の移動速度を前記第2の把持部材の移動速度より高くし、前記被加熱部分に厚肉部を形成することを特徴とする管加工方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、管加工装置及び管加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製の管材料としてのパイプを加工し、所定の厚さ、すなわち、肉厚を有する管部材を成形するための管加工方法として、据込み加工方法が提供されている。該据込み加工方法においては、パイプを、金型装置の内側型部材と外側型部材との間に形成されるキャビティ内に、キャビティの内周面との間に所定の隙(すき)間を置いてセットし、両端から押圧することによって、肉厚を大きくするようにしている。
【0003】
ところが、前記据込み加工方法においては、管部材の仕様、例えば、外径及び肉厚に対応させて前記隙間を設定する必要があり、仕様の異なる各種の管部材を成形しようとすると、各管部材に適した金型装置に交換する必要があり、その結果、管加工装置のコストが高くなってしまう。
【0004】
そこで、パイプの外周に環状のコイルを配設し、パイプを両端から押圧しながら前記コイルを軸方向において移動させ、コイルの内側に形成される環状の被加熱部分を加熱することによって、パイプの肉厚を大きくするようにした管加工方法が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開昭59-30444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の管加工方法においては、環状の被加熱部分全体が同時に加熱され、柔らかくされるので、パイプの肉厚が小さい場合、座屈変形が発生し、均一な肉厚を得ることができなくなり、管部材の品質が低下してしまう。
【0007】
本発明は、前記従来の管加工方法の問題点を解決して、金型装置を使用することなく管材料の肉厚を大きくすることができ、管部材の品質を向上させることができる管加工装置及び管加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の管加工装置においては、金属製の管材料の搬送方向における上流側において移動自在に配設され、管材料を把持する第1の把持部材と、前記管材料の搬送方向における下流側において移動自在に配設され、管材料を把持する第2の把持部材と、前記第1、第2の把持部材間に設定された管材料の加工領域の所定の箇所に配設された支持部材と、該支持部材を回転させるための加熱用の駆動部と、前記支持部材の円周方向における所定の箇所に配設され、支持部材の回転に伴って、管材料における環状の被加熱部分を円周方向において順次加熱するレーザ装置と、前記支持部材の所定の箇所に配設され、前記管材料に向けて冷却媒体を噴射し、前記被加熱部分において、レーザ装置と対向する部分と対向しない部分とで温度差を形成する冷却装置と、前記第1の把持部材の移動速度を前記第2の把持部材の移動速度より高くし、前記被加熱部分に厚肉部を形成する加工処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、管加工装置においては、金属製の管材料の搬送方向における上流側において移動自在に配設され、管材料を把持する第1の把持部材と、前記管材料の搬送方向における下流側において移動自在に配設され、管材料を把持する第2の把持部材と、前記第1、第2の把持部材間に設定された管材料の加工領域の所定の箇所に配設された支持部材と、該支持部材を回転させるための加熱用の駆動部と、前記支持部材の円周方向における所定の箇所に配設され、支持部材の回転に伴って、管材料における環状の被加熱部分を円周方向において順次加熱するレーザ装置と、前記支持部材の所定の箇所に配設され、前記管材料に向けて冷却媒体を噴射し、前記被加熱部分において、レーザ装置と対向する部分と対向しない部分とで温度差を形成する冷却装置と、前記第1の把持部材の移動速度を前記第2の把持部材の移動速度より高くし、前記被加熱部分に厚肉部を形成する加工処理手段とを有する。
【0010】
この場合、支持部材の円周方向における所定の箇所に配設されたレーザ装置によって、管材料における環状の被加熱部分が円周方向において順次加熱され、第1の把持部材の移動速度が第2の把持部材の移動速度より高くされる。したがって、金型装置を使用することなく管材料の肉厚を大きくすることができるだけでなく、座屈変形が発生することがなく、均一な肉厚を得ることができる。その結果、管部材の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態における管加工装置の概念図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における管加工装置の制御ブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における管加工装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。

【0013】
図1は本発明の第1の実施の形態における管加工装置の概念図、図2は本発明の第1の実施の形態における管加工装置の制御ブロック図である。

【0014】
図1において、11は矢印A方向に搬送される金属製の管材料としてのパイプ、12は、該パイプ11の搬送方向における上流側において移動自在に配設され、パイプ11を把持する第1の把持部材としてのチャック、13は、前記パイプ11の搬送方向におけるチャック12より下流側において、前記チャック12とは独立させて移動自在に配設され、パイプ11を把持する第2の把持部材としてのチャック、15は前記各チャック12、13を案内する案内部材としてのバー、18は前記チャック12を矢印A方向に移動させる第1の移動機構、19は前記チャック13を矢印A方向に移動させる第2の移動機構である。

【0015】
本実施の形態においては、パイプ11として、所定の長さを有するパイプが使用されるが、一端が図示されない繰出機に、他端が図示されない巻取機に巻装された長尺のパイプを使用することもできる。

【0016】
前記各チャック12、13は、パイプ11を包囲する構造を有し、パイプ11を所定の把持力で把持し、パイプ11において、チャック12によって把持される第1の把持位置、及びチャック13によって把持される第2の把持位置が設定され、第1、第2の把持位置間にパイプ11の加工領域が設定される。そして、該加工領域においてパイプ11が加工され、肉厚が大きくされることによって厚肉部20が形成される。

【0017】
そのために、前記加工領域における所定の箇所に、パイプ11と対向させて、加熱体としてのレーザ装置14が円周方向において移動自在に配設される。該レーザ装置14は、支持部材としての環状のギヤ50の内周面において、円周方向における所定の箇所に取り付けられる。また、前記ギヤ50とギヤ16とが噛(し)合させられ、該ギヤ16に加熱用の駆動部としてのモータ17が出力軸を介して連結される。したがって、前記モータ17を駆動すると、ギヤ16が回転させられ、それに伴ってギヤ50が回転させられ、その結果、レーザ装置14が円周方向に移動させられる。

【0018】
そして、前記パイプ11における前記ギヤ50と対向する部分に環状の被加熱部分が形成され、前記レーザ装置14の移動に伴って、前記被加熱部分は円周方向において順次加熱される。

【0019】
また、前記ギヤ50には、前記被加熱部分に対向させて、かつ、レーザ装置14に隣接させて、被加熱部分の温度を検出するための温度検出器としての非接触式の温度センサ40が取り付けられ、レーザ装置14と共に移動させられる。

【0020】
なお、前記ギヤ50の所定の箇所に、パイプ11の被加熱部分において、レーザ装置14と対向する部分と対向しない部分とで温度差を形成するために、図示されない冷却装置を配設することができる。その場合、該冷却装置から冷却媒体としての水、空気等が被加熱部分に向けて噴射され、レーザ装置14と対向しない部分が冷却される。

【0021】
本実施の形態においては、レーザ装置14によって発生させられたレーザ光を前記被加熱部分に照射することにより、被加熱部分を局部的に加熱するようになっているが、コイルに高周波電流を供給することによって、被加熱部分を局部的に加熱したり、ヒータに電流を供給することによって、被加熱部分を局部的に加熱したりすることもできる。この場合、コイル、ヒータ等として、スポット加熱に適した形状のものが使用される。

【0022】
また、本実施の形態においては、一つのレーザ装置14が使用されるようになっているが、複数のレーザ装置を使用することができる。その場合、パイプ11は円周方向における複数箇所で加熱される。

【0023】
なお、複数のレーザ装置を使用する場合、各レーザ装置を円周方向に移動させたり、移動させることなく、所定の箇所に固定することができる。各レーザ装置を固定する場合、後述される座屈変形が発生する座屈モードが、軸対称座屈モードから非軸対称座屈モードに変更されるので、耐座屈荷重が大きくなり、肉厚をその分大きくすることができるようになるが、円周方向において肉厚が均一でなくなり、ばらつきが生じてしまう。したがって、各レーザ装置を円周方向に移動させるのが好ましい。

【0024】
前記第1の移動機構18は、チャック12を支持する支持部21、該支持部21に取り付けられた図示されないボールナット、該ボールナットと噛合させられるボールねじ軸22、該ボールねじ軸22と連結された第1の移動用の駆動部としてのモータ23等を備える。該モータ23を駆動することによってボールねじ軸22を回転させると、支持部21がバー15に沿って矢印A方向に移動させられる。そのために、前記支持部21には、バー15を貫通させて配設するための図示されないガイド穴が形成される。なお、前記ボールナット及びボールねじ軸22によって運動方向変換部としてのボールねじが構成され、ボールねじ軸22の回転運動がボールナットの直進運動に変換される。そして、ボールナットによって第1の変換要素が、ボールねじ軸22によって第2の変換要素が構成される。

【0025】
また、前記第2の移動機構19は、チャック13を支持する支持部25、該支持部25に取り付けられた図示されないボールナット、該ボールナットと噛合させられるボールねじ軸26、該ボールねじ軸26と連結された第2の移動用の駆動部としてのモータ27等を備える。該モータ27を駆動することによってボールねじ軸26を回転させると、支持部25がバー15に沿って矢印A方向に移動させられる。そのために、前記支持部25には、バー15を貫通させて配設するための図示されないガイド穴が形成される。なお、前記ボールナット及びボールねじ軸26によって運動方向変換部材としてのボールねじが構成され、ボールねじ軸26の回転運動がボールナットの直進運動に変換される。そして、ボールナットによって第1の変換要素が、ボールねじ軸26によって第2の変換要素が構成される。

【0026】
本実施の形態においては、第1、第2の移動機構18、19における第1、第2の駆動部としてモータ23、27が配設されるようになっているが、モータ23、27に代えて、油圧シリンダを使用することもできる。その場合、油圧シリンダのピストンに前記支持部21、25が取り付けられる。

【0027】
次に、管加工装置の制御装置について説明する。

【0028】
図2において、30は制御部であり、該制御部30は、モータドライバ31を介して前記モータ17、23、27と接続される。各モータ17、23、27には、それぞれモータ17、23、27の回転速度を検出するための回転速度検出部としてのエンコーダ33~35が配設される。

【0029】
また、前記制御部30は、レーザドライバ39を介して前記レーザ装置14と接続されるとともに、温度センサ40と接続される。

【0030】
次に、前記構成の管加工装置の動作について説明する。

【0031】
本実施の形態においては、パイプ11を、レーザ装置14によって加熱しながら矢印A方向に移動させ、かつ、チャック12を矢印A方向に移動させる速度、すなわち、移動速度をチャック13の移動速度より高くし、チャック12の移動速度とチャック13の移動速度との速度差によって両端から所定の力で押圧することにより、図示されない金型装置を使用することなく、前記厚肉部20を形成するようにしている。

【0032】
そのために、前記制御部30の図示されない加熱処理手段は、加熱処理を行い、レーザドライバ39によってレーザ装置14を駆動し、レーザ光を発生させ、前記パイプ11の被加熱部分に照射するとともに、前記モータドライバ31によってモータ17を駆動し、ギヤ50を回転させ、前記レーザ装置14を被加熱部分と対向させながら、円周方向に所定の速度で移動させる。その結果、レーザ光によって、被加熱部分が、軸方向において局部的に、円周方向において順次加熱される。

【0033】
温度センサ40は、パイプ11における前記被加熱部分の、レーザ装置14によって加熱された部分の温度を検出し、検出された温度、すなわち、検出温度を制御部30に送る。

【0034】
そして、前記加熱処理手段は、検出温度を読み込み、該検出温度と、あらかじめ設定された目標となる温度、すなわち、目標温度との偏差を算出し、偏差が零(0)になるようにレーザ装置14の出力を制御する。

【0035】
また、エンコーダ33はモータ17の回転速度を検出し、検出された回転速度、すなわち、検出回転速度を制御部30に送る。前記加熱処理手段は、検出回転速度と、あらかじめ設定された目標となる回転速度、すなわち、目標回転速度との偏差を算出し、偏差が零になるようにモータ17を駆動する。

【0036】
そして、前記制御部30の図示されない加工処理手段は、加工処理を行い、前記加工領域においてパイプ11を加工し、厚肉部20を形成する。

【0037】
そのために、前記加工処理手段の圧縮処理手段は、圧縮処理を行い、モータドライバ31に指示を送り、前記モータ23、27を独立させて駆動し、チャック12の移動速度をチャック13の移動速度より所定の値だけ高くして、パイプ11を矢印A方向に移動させ、パイプ11を両端から押圧(軸方向において圧縮)する。

【0038】
すなわち、チャック12の移動速度の目標値を表す目標移動速度をv1とし、チャック13の移動速度の目標値を表す目標移動速度をv2としたとき、目標移動速度v1、v2は、
v1>v2
にされる。なお、パイプ11は、目標移動速度v1、v2のうちの低い方の目標移動速度v2で搬送される。

【0039】
そのために、モータ23の目標回転速度をN1とし、モータ27の目標回転速度をN2とし、定数をkとしたとき、目標回転速度N1、N2は、
N1=k・v1
N2=k・v2
にされ、
N1>N2
にされる。

【0040】
また、エンコーダ34、35は各モータ23、27の回転速度を検出し、各検出回転速度を制御部30に送る。そして、前記圧縮処理手段は、各検出回転速度を読み込み、各検出回転速度と前記各目標回転速度N1、N2との各偏差を算出し、該各偏差が零になるようにモータ23、27に供給される電流を制御する。

【0041】
本実施の形態においては、各モータ23、27を前記各目標回転速度N1、N2で駆動すると、チャック12とチャック13との速度差Δvが、
Δv=v1-v2
にされる。

【0042】
このとき、チャック12とチャック13との間の加工領域が、単位時間当たり、長さd
d=Δv
だけ短くなり、それに伴って、加熱され、柔らかくなった被加熱部分が両端から押圧され、長さdに対応する量だけ肉厚を大きくする。

【0043】
この場合、パイプ11の断面は円形の形状を有するので、パイプ11は径方向外方に変形しやすく、径方向内方には変形しにくい。したがって、前記肉厚は径方向外方に向けて大きくされる。

【0044】
ところで、本実施の形態において、前記被加熱部分は、円周方向における全体が同時には加熱されず、レーザ装置14と対向する部分だけが加熱される。そして、ギヤ50の回転に伴ってレーザ装置14が移動させられると、レーザ装置14によって加熱された部分は高温になり柔らかくなるが、他の部分の温度は低く、耐座屈性を有する。したがって、パイプ11の肉厚が小さい場合でも、座屈変形を発生させることなく、均一な厚肉部20を得ることができる。その結果、管部材の品質を向上させることができる。

【0045】
なお、前記ギヤ50の目標回転速度は、温度の低い部分が耐座屈性を十分に有するように、パイプ11の材料、寸法(径、厚さ等)、温度、搬送速度等の各パラメータに対応させて設定された閾(しきい)値以下になるように設定される。

【0046】
このように、本実施の形態においては、パイプ11を第1、第2の把持位置で把持し、チャック12の移動速度をチャック13の移動速度より高くし、第1、第2の把持位置間の所定の箇所でパイプ11を軸方向及び円周方向において局部的に加熱することによって、金型装置を使用することなく、厚肉部20を形成することができる。

【0047】
このようにして、パイプ11に厚肉部20が形成されると、厚肉部20の両端の近傍における所定の箇所でパイプ11が切断され、厚肉の管部材になる。

【0048】
なお、前記速度差Δvは、単位時間当たり、加工領域が短くなる長さdと等しいので、前記加工処理手段の速度差変更処理手段は、速度差変更処理を行い、速度差Δvを変更することによって、肉厚の大きさを変更することができる。

【0049】
すなわち、速度差Δvを大きくすると、単位時間当たり、加工領域が短くなる長さdが大きくなるので、肉厚を大きくすることができる。これに対して、速度差Δvを小さくすると、単位時間当たり、加工領域が短くなる長さdが小さくなるので、肉厚を小さくすることができる。

【0050】
このように、速度差Δvを変更することによって肉厚を変更することができるので、管部材のコストを低くすることができるだけでなく、管加工装置の操作を簡素化することができる。

【0051】
ところで、本実施の形態においては、パイプ11の肉厚は径方向外方に向けて大きくされるが、パイプ11の肉厚を径方向内方に向けて大きくすることができる。

【0052】
そこで、パイプ11の肉厚を径方向内方に向けて大きくするようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。

【0053】
図3は本発明の第2の実施の形態における管加工装置の概念図である。

【0054】
この場合、11は金属製の管材料としてのパイプ、14は加熱体としてのレーザ装置、50は支持部材としての環状のギヤ、52は、パイプ11の搬送方向におけるレーザ装置14より下流側に配設された規制部材としての環状のリングである。

【0055】
該リング52は、レーザ装置14と隣接させて、かつ、パイプ11の外周面に当接させてギヤ50に取り付けられる。

【0056】
したがって、パイプ11の外周面にリング52が当接させて配設されるので、レーザ装置14によって加熱され、柔らかくなった被加熱部分が両端から押圧されると、リング52によってパイプ11が径方向外方に変形するのが規制される。その結果、パイプ11は径方向内方に向けて変形し、肉厚が径方向内方に向けて大きくされる。

【0057】
前記各実施の形態においては、チャック12をチャック13より高い移動速度で移動させることによって厚肉部20を形成するようになっているが、所定のタイミングで、チャック12をチャック13より低い速度で移動させることによって、部分的に薄肉部を形成することもできる。

【0058】
また、前記各実施の形態において、前記速度差変更処理手段は、時間の経過に伴って前記速度差Δvを段階的又は連続的に変更することによって、軸方向において段階的又は連続的に変化させた肉厚を有する管部材を成形することができる。

【0059】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0060】
11 パイプ
12、13 チャック
14 レーザ装置
20 厚肉部
30 制御部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2