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明細書 :ハイドロフォーム成形方法及びハイドロフォーム成形装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5662648号 (P5662648)
公開番号 特開2010-221232 (P2010-221232A)
登録日 平成26年12月12日(2014.12.12)
発行日 平成27年2月4日(2015.2.4)
公開日 平成22年10月7日(2010.10.7)
発明の名称または考案の名称 ハイドロフォーム成形方法及びハイドロフォーム成形装置
国際特許分類 B21D  26/02        (2011.01)
B21D  19/08        (2006.01)
FI B21D 26/02
B21D 19/08 E
請求項の数または発明の数 6
全頁数 13
出願番号 特願2009-068701 (P2009-068701)
出願日 平成21年3月19日(2009.3.19)
審査請求日 平成24年3月14日(2012.3.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
発明者または考案者 【氏名】真鍋 健一
【氏名】古島 剛
個別代理人の代理人 【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100116207、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 俊明
審査官 【審査官】石黒 雄一
参考文献・文献 米国特許出願公開第2004/0065394(US,A1)
特開昭62-270227(JP,A)
調査した分野 B21D 26/02
B21D 19/08
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)第1の工程で、管材料の所定の箇所に設定された被加熱部分を局部的に加熱し、前記管材料を両端から押圧し、前記被加熱部分に座屈変形を発生させて座屈変形部を形成することによって中空の予備成形品を成形し、
(b)第2の工程で、前記予備成形品内に高圧の成形用媒体を供給し、予備成形品をキャビティの内郭形状に対応させて変形させることによって成形品を成形することを特徴とするハイドロフォーム成形方法。
【請求項2】
前記第1の工程で、前記管材料を、搬送方向における上流側及び下流側の把持位置において第1、第2の把持部材によって把持し、第1の把持部材の移動速度を第2の把持部材の移動速度より高くすることによって押圧する請求項1に記載のハイドロフォーム成形方法。
【請求項3】
前記第1の工程で、第1の把持部材の移動速度と第2の把持部材の移動速度との速度差を変更することによって前記座屈変形部の高さを変更する請求項2に記載のハイドロフォーム成形方法。
【請求項4】
前記第1の工程で、前記管材料を、金型装置に配設された押圧部によって押圧する請求項1に記載のハイドロフォーム成形方法。
【請求項5】
前記第2の工程で、前記予備成形品を、前記押圧部によって押圧し、高圧の成形用媒体を供給することによって生じる張力により、キャビティの中央に向けて流動させて押し込む請求項4に記載のハイドロフォーム成形方法。
【請求項6】
(a)管材料に設定された複数の被加熱部分と対向させて配設された複数の加熱体を備えた第1の金型と、
(b)該第1の金型に対して接離自在に配設され、前記各被加熱部分と対向させて配設された複数の加熱体を備え、型締め時に前記第1の金型との間にキャビティを形成する第2の金型と、
(c)前記第1、第2の金型の両端に配設され、第1の工程で、前記キャビティ内にセットされた管材料を両端から押圧し、前記各加熱体によって加熱された各被加熱部分に座屈変形を発生させて、径方向外方に向けて突出する複数の座屈変形部を形成することによって予備成形品を成形し、第2の工程で、予備成形品を両端から押圧し、成形品を成形する押圧部と、
(d)前記キャビティにおいて成形された予備成形品内に高圧の成形用媒体を供給し、前記予備成形品をキャビティの内郭形状に対応させて変形させるための成形用媒体導入部とを有することを特徴とするハイドロフォーム成形装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロフォーム成形方法及びハイドロフォーム成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイドロフォーム成形方法においては、管部材に対して軸方向に力を加え、管部材内に高圧の液体を供給することによって、所定の形状を有する中空の成形品を一体的に成形するようになっている。
【0003】
図2は従来のハイドロフォーム成形方法を説明する第1の図、図3は従来のハイドロフォーム成形方法を説明する第2の図である。
【0004】
図において、110はハイドロフォーム成形装置、111はフレームFrに取り付けられた下金型、112は該下金型111に対して接離自在に配設された上金型であり、前記下金型111及び上金型112を当接させて型閉じを行うと、下金型111及び上金型112内に、成形品の外郭形状と同じ内郭形状を有するキャビティCが形成される。該キャビティCは、管部材113を収容するための管部材収容部114、及び管部材113と連通させられ、管部材113の所定の箇所を突出させるための拡管部15を備える。
【0005】
また、118、119は、キャビティCを密封するとともに、管部材113を両端から押圧するプッシャ、120、121は、該プッシャ118、119に隣接させて配設され、図示されない供給源から供給された高圧の液体を前記管部材113内に供給するための液体導入部であり、前記プッシャ118及び液体導入部120を貫通して液体供給路123が、前記プッシャ119及び液体導入部121を貫通して液体供給路124が形成される。
【0006】
そして、126、127は、前記管部材113を両端から押圧し、軸方向に力を加えるための駆動シリンダである。
【0007】
前記構成のハイドロフォーム成形装置110において、下金型111及び上金型112から成る金型装置内に管部材113をセットし、駆動シリンダ126、127を駆動し、プッシャ118、119によって管部材113を両端から押圧し、軸方向に力を加えるとともに、液体供給路123、124を介して高圧の液体を管部材113内に供給すると、管部材113は、キャビティCの中央に向けて押し込まれるとともに、径方向外方に向けて膨出させられる。そして、押し込まれた管部材113は、管部材収容部114の内周面に押し付けられるとともに、図3に示されるように、拡管部115内に進入させられ、拡管部115の内周面に押し付けられる。
【0008】
このようにして、キャビティCの内郭形状に対応させて管部材113が変形させられ、中空の成形品が一体的に成形される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2002-35853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来のハイドロフォーム成形方法においては、長い管部材113の中央の一部だけを膨出させようとする場合、管部材収容部114の内周面と管部材113の外周面とで摺動する部分が大きく、摩擦抵抗がその分大きくなるので、両端から押圧するだけでは、管部材113をキャビティCの中央に向けて押し込むのが困難になってしまう。
【0011】
また、拡管部115の容積が大きい場合、管部材113を拡管部115内に進入させる量が多くなるので、プッシャ118、119による管部材113の押込み量を多くする必要があるが、膨出が進むほど、管部材収容部114の内周面と管部材113の外周面との間に発生する摩擦抵抗が大きくなり、管部材113をキャビティCの中央に向けて押し込むのが困難になってしまう。
【0012】
したがって、管部材113を拡管部115内に十分に進入させることができず、成形品の品質が低下してしまう。
【0013】
本発明は、前記従来のハイドロフォーム成形方法の問題点を解決して、成形品の品質を向上させることができるハイドロフォーム成形方法及びハイドロフォーム成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのために、本発明のハイドロフォーム成形方法においては、第1の工程で、管材料の所定の箇所に設定された被加熱部分を局部的に加熱し、前記管材料を両端から押圧し、前記被加熱部分に座屈変形を発生させて座屈変形部を形成することによって中空の予備成形品を成形する。
【0015】
そして、第2の工程で、前記予備成形品内に高圧の成形用媒体を供給し、予備成形品をキャビティの内郭形状に対応させて変形させることによって成形品を成形する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ハイドロフォーム成形方法においては、第1の工程で、管材料の所定の箇所に設定された被加熱部分を局部的に加熱し、前記管材料を両端から押圧し、前記被加熱部分に座屈変形を発生させて座屈変形部を形成することによって中空の予備成形品を成形する。
【0017】
そして、第2の工程で、前記予備成形品内に高圧の成形用媒体を供給し、予備成形品をキャビティの内郭形状に対応させて変形させることによって成形品を成形する。
【0018】
この場合、予備成形品に座屈変形部が形成されるので、キャビティの内周面と予備成形品の外周面との接触面積を小さくすることができる。したがって、キャビティの内周面と予備成形品の外周面との間に発生する摩擦抵抗を小さくすることができるので、予備成形品をキャビティの中央に向けて十分に押し込むことができる。その結果、成形品の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態における一次成形装置を示す概念図である。
【図2】従来のハイドロフォーム成形方法を説明する第1の図である。
【図3】従来のハイドロフォーム成形方法を説明する第2の図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における二次成形装置を示す概念図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるハイドロフォーム成形装置の制御ブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるハイドロフォーム成形方法を説明する第1の図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるハイドロフォーム成形方法を説明する第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。

【0021】
図1は本発明の第1の実施の形態における一次成形装置を示す概念図、図4は本発明の第1の実施の形態における二次成形装置を示す概念図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるハイドロフォーム成形装置の制御ブロック図である。

【0022】
まず、ハイドロフォーム成形方法において、第1の工程で、管材料としてのパイプによって、予備成形品としての中空のプレフォームパイプを成形するための一次成形装置について説明する。

【0023】
図1において、10は一次成形装置、11は矢印A方向に搬送されるパイプ、12は、該パイプ11の搬送方向における上流側において移動自在に配設され、パイプ11を把持する第1の把持部材としてのチャック、13は、前記パイプ11の搬送方向におけるチャック12より下流側において、該チャック12と独立させて移動自在に配設され、パイプ11を把持する第2の把持部材としてのチャック、15は前記各チャック12、13を案内する案内部材としてのバー、18は前記チャック12を矢印A方向に移動させる第1の移動機構、19は前記チャック13を矢印A方向に移動させる第2の移動機構である。前記チャック12、13はパイプ11を両端から押圧して、パイプ11を圧縮する第1、第2の押圧部を構成する。

【0024】
本実施の形態において、パイプ11は、アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属材料によって形成されるが、樹脂によって形成することができる。また、本実施の形態においては、所定の長さを有するパイプ11が使用されるが、一端が図示されない繰出機に、他端が図示されない巻取機に巻装された長尺のパイプを使用することができる。

【0025】
前記各チャック12、13は、パイプ11を包囲する構造を有し、パイプ11を所定の把持力で把持し、パイプ11において、チャック12によって把持される第1の把持位置が、チャック13によって把持される第2の把持位置が設定され、第1、第2の把持位置間にパイプ11の加工領域が設定される。そして、該加工領域においてパイプ11は加工され、パイプ11の所定の箇所に座屈変形(しわ)が発生させられ、所定の高さを有する変形部としての複数の座屈変形部20が形成される。

【0026】
そのために、前記加工領域における所定の箇所に、加熱体としての環状のコイル14がパイプ11を包囲して配設され、該パイプ11におけるコイル14と対向する部分に環状の被加熱部分が設定される。そして、前記コイル14は、前記被加熱部分を、軸方向において局部的に、周方向において全体的に加熱する。なお、前記コイル14と隣接させて、パイプ11の温度を検出するための温度検出器としての非接触式の温度センサ40が配設される。

【0027】
本実施の形態においては、加熱体として環状のコイル14が使用され、環状の被加熱部分が設定されるようになっているが、他の任意の形状のコイルを使用し、他の任意の形状の被加熱部分を設定することができる。また、本実施の形態においては、コイル14に電流を供給し、パイプ11を高周波加熱によって加熱するようになっているが、コイル14に代えてヒータを使用し、ヒータに電流を供給し、パイプ11をジュール熱で加熱することもできる。さらに、レーザ装置等によってレーザ光をパイプ11に照射し、パイプ11の所定の箇所を加熱することもできる。

【0028】
そして、前記第1の移動機構18は、チャック12を支持する支持部21、該支持部21に取り付けられた図示されないボールナット、該ボールナットと噛(し)合させられるボールねじ軸22、該ボールねじ軸22と連結された第1の駆動部としてのモータ23等を備える。該モータ23を駆動することによってボールねじ軸22を回転させると、支持部21がバー15に沿って矢印A方向に移動させられる。そのために、前記支持部21には、バー15を貫通させて配設するための図示されないガイド穴が形成される。前記ボールナット及びボールねじ軸22によって運動方向変換部としてのボールねじが構成され、ボールねじ軸22の回転運動がボールナットの直進運動に変換される。なお、ボールナットによって第1の変換要素が、ボールねじ軸22によって第2の変換要素が構成される。

【0029】
また、前記第2の移動機構19は、チャック13を支持する支持部25、該支持部25に取り付けられた図示されないボールナット、該ボールナットと噛合させられるボールねじ軸26、該ボールねじ軸26と連結された第2の駆動部としてのモータ27等を備える。該モータ27を駆動することによってボールねじ軸26を回転させると、支持部25がバー15に沿って矢印A方向に移動させられる。そのために、前記支持部25には、バー15を貫通させて配設するための図示されないガイド穴が形成される。前記ボールナット及びボールねじ軸26によって運動方向変換部としてのボールねじが構成され、ボールねじ軸26の回転運動がボールナットの直進運動に変換される。なお、ボールナットによって第1の変換要素が、ボールねじ軸26によって第2の変換要素が構成される。

【0030】
本実施の形態においては、第1、第2の移動機構18、19における第1、第2の駆動部としてモータ23、27が配設されるようになっているが、モータ23、27に代えて、油圧シリンダを使用することができる。その場合、油圧シリンダのピストンに前記支持部21、25が取り付けられる。

【0031】
そして、前記構成の一次成形装置10においては、パイプ11に複数の座屈変形部20が形成されると、前記パイプ11が成形品の寸法に応じて所定の長さに切断されて、プレフォームパイプが成形される。

【0032】
次に、プレフォームパイプによって成形品を成形するための二次成形装置について説明する。

【0033】
図4において、50は二次成形装置、51は取付板52を介してフレームFrに取り付けられた第1の金型としての下金型、54は、取付板55を介して図示されない支持部材に取り付けられ、前記下金型51に対して接離自在に配設された第2の金型としての上金型であり、前記下金型51及び上金型54によって金型装置57が構成される。

【0034】
前記支持部材の上方には、支持部材を上下方向に移動させることによって、前記上金型54を上下方向に移動させるための図示されない型開閉装置が配設される。該型開閉装置を駆動して、前記下金型51及び上金型54を当接させて型締めを行うと、下金型51と上金型54との間に、成形品の外郭形状と同じ内郭形状を有するキャビティCが形成される。該キャビティCは、前記一次成形装置10において成形されたプレフォームパイプ61を収容する予備成形品収容部63、及び該予備成形品収容部63と連通させられ、プレフォームパイプ61の所定の箇所を突出させるための拡管部64を備える。なお、前記プレフォームパイプ61は管本体62及び複数の座屈変形部20を備える。

【0035】
また、65、66は、前記金型装置57の両端に配設されてキャビティCを密封するとともに、プレフォームパイプ61を両端から押圧する第1、第2の押圧部としてのプッシャ、67、68は、該プッシャ65、66と隣接させて配設され、図示されない供給源から供給された高圧の成形用媒体としての液体を前記プレフォームパイプ61内に供給するための成形用媒体導入部としての液体導入部であり、前記プッシャ65及び液体導入部67を貫通して液体供給路71が、前記プッシャ66及び液体導入部68を貫通して液体供給路72が形成される。なお、液体供給路71、72によって媒体供給路が構成される。また、前記液体としては、水、油等が使用される。

【0036】
そして、液体導入部67、68と隣接させて、プッシャ65、66を介してプレフォームパイプ61の両端を押圧し、軸方向に力を加えるための押圧駆動部としての駆動シリンダ73、74が配設される。該駆動シリンダ73、74は、図示されないシリンダ及び該シリンダ内に摺動自在に配設されたピストンを備え、該ピストンが前記液体導入部67、68に取り付けられる。また、前記駆動シリンダ73、74は、油圧回路内に配設され、圧力調整部材としての図示されない圧力調整弁の開度を調整することによって発生させられた所定の圧力の油を受け、プレフォームパイプ61の両端を押圧する。

【0037】
なお、必要に応じて、プレフォームパイプ61の両端の外周面とキャビティCの内周面との間に、密封部材としての環状のシール部材78を配設することができる。

【0038】
次に、ハイドロフォーム成形装置の制御装置について説明する。

【0039】
図5において、30は制御部、31はモータドライバ、34、35は回転速度検出部としてのエンコーダ、39は発振回路、40は温度センサ、75は油圧回路制御部、76は成形用媒体供給部材としての開閉弁、81は記憶装置、82は操作部であり、前記制御部30に、前記モータドライバ31、エンコーダ34、35、発振回路39、温度センサ40、油圧回路制御部75、開閉弁76、記憶装置81及び操作部82が接続される。

【0040】
そして、前記モータドライバ31にモータ23、27が接続され、前記エンコーダ34、35は各モータ23、27の磁極位置及び回転速度を検出する。また、前記発振回路39に、トランス41を介してコイル14が接続される。そして、前記油圧回路制御部75に、圧力調整弁77の弁駆動要素としてのソレノイドs1、s2が接続される。なお、前記一次成形装置10、二次成形装置50、制御装置等によってハイドロフォーム成形装置が構成される。

【0041】
次に、前記構成のハイドロフォーム成形装置の動作について説明する。

【0042】
本実施の形態においては、第1の工程で、図1に示されるように、パイプ11の被加熱部分を、コイル14によって加熱しながら矢印A方向に移動させ、かつ、チャック12、13によってパイプ11を両端から所定の力で押圧することにより、パイプ11に、コイル14の形状に対応した形状の、本実施の形態においては、複数の環状の座屈変形部20が形成される。

【0043】
そのために、前記制御部30の図示されない搬送処理手段は、搬送処理を行い、モータドライバ31に指示を送り、前記モータ23、27を駆動し、チャック12、13を所定の移動速度で矢印A方向に移動させる。

【0044】
すなわち、チャック12、13の移動速度の目標値を表す目標移動速度をvaとし、モータ23、27の回転速度の目標値を表す目標回転速度をNaとし、定数をkとしたとき、目標回転速度Naは、
Na=k・va
にされる。

【0045】
また、エンコーダ34、35は各モータ23、27の磁極位置及び回転速度を検出し、検出された各回転速度、すなわち、検出回転速度を制御部30に送る。

【0046】
前記搬送処理手段は、各検出回転速度を読み込み、各検出回転速度と前記目標回転速度Naとの各偏差を算出し、該各偏差が零(0)になるようにモータ23、27に供給される電流を制御する。

【0047】
続いて、パイプ11の軸方向においてあらかじめ複数箇所に設定された被加熱部分がコイル14と対向する位置に到達すると、前記制御部30の図示されない加工処理手段は、加工処理を行い、パイプ11の被加熱部分を加熱するとともに、パイプ11を両端から押圧(軸方向において圧縮)する。すなわち、前記加工処理手段の加熱処理手段は、加熱処理を行い、コイル14に電流を供給して前記被加熱部分を加熱し、柔らかくする。そして、前記加工処理手段の圧縮処理手段は、圧縮処理を行い、前記モータ23、27を独立させて駆動し、チャック13を前記所定の移動速度で移動させ、チャック12の移動速度をチャック13の移動速度より所定の値だけ高くして、パイプ11を矢印A方向に移動させ、パイプ11を両端から押圧し、加工する。なお、前記被加熱部分がコイル14と対向する位置に到達したかどうかは、前記エンコーダ34によって検出された磁極位置に基づいて判断することができる。

【0048】
そして、チャック12の移動速度の目標値を表す目標移動速度をv1とし、チャック13の移動速度の目標値を表す目標移動速度をv2としたとき、目標移動速度v1、v2は、
v1>v2
にされる。なお、目標移動速度va、v2は等しくされる。

【0049】
そのために、モータ23の回転速度の目標値を表す目標回転速度をN1とし、モータ27の回転速度の目標値を表す目標回転速度をN2とし、定数をkとしたとき、目標回転速度N1、N2は、
N1=k・v1
N2=k・v2
にされ、
N1>N2
にされる。なお、前記目標移動速度va、v2は等しくされるので、目標回転速度Na、N2も等しくされる。

【0050】
前記圧縮処理手段は、各検出回転速度を読み込み、各検出回転速度と前記各目標回転速度N1、N2との各偏差を算出し、該各偏差が零になるようにモータ23、27に供給される電流を制御する。

【0051】
本実施の形態においては、各モータ23、27を前記目標回転速度N1、N2で駆動すると、チャック12とチャック13との速度差Δvが、
Δv=v1-v2
にされる。

【0052】
このように、パイプ11の被加熱部分が加熱され、バイプ11が両端から押圧されると、加熱され柔らかくなった被加熱部分が軸方向に押され、チャック12とチャック13との間の前記加工領域が、単位時間当たり、長さd
d=Δv
だけ短くなる。その結果、前記被加熱部分が、長さdに対応する量座屈変形を発生させる。この場合、パイプ11の断面は円形の形状を有するので、パイプ11は径方向外方に変形しやすく、径方向内方には変形しにくい。したがって、前記座屈変形は径方向外方に向けて発生し、径方向外方に向けて突出する座屈変形部20が形成される。

【0053】
このようにして、パイプ11に座屈変形部20が形成されると、パイプ11が所定の長さに切断され、プレフォームパイプ61が成形される。

【0054】
なお、前記速度差Δvは、単位時間当たり、加工領域が短くなる長さdと等しいので、前記圧縮処理手段の速度差変更処理手段は、速度差変更処理を行い、速度差Δvを変更することによって、各座屈変形部20の高さを変更することができる。

【0055】
すなわち、速度差Δvを大きくすると、単位時間当たり、加工領域が短くなる長さdが大きくなるので、各座屈変形部20の高さを大きくすることができる。これに対して、速度差Δvを小さくすると、単位時間当たり、加工領域が短くなる長さdが小さくなるので、各座屈変形部20の高さを小さくすることができる。

【0056】
次に、第2の工程で、図4に示されるように、プレフォームパイプ61を金型装置57にセットし、高圧の液体をプレフォームパイプ61内に供給すると、プレフォームパイプ61は径方向外方に向けて膨出させられ、成形品が成形される。

【0057】
そのために、前記制御部30の図示されない型開閉処理手段は、型開閉処理を行い、前記型開閉装置を駆動して、上金型54を上方に移動させて、プレフォームパイプ61を下金型51上に載置し、上金型54を下方に移動させて、下金型51に当接させて型閉じを行う。このようにして、金型装置57内にプレフォームパイプ61がセットされると、前記型開閉処理手段は、前記型開閉装置を駆動して上金型54を下金型51に押し付け、型締めを行う。そして、前記制御部30の図示されない押圧処理手段は、押圧処理を行い、油圧回路制御部75に指示を送り、ソレノイドs1、s2を駆動することによって圧力調整弁77を作動させ、駆動シリンダ73、74を駆動し、プッシャ65、66によってプレフォームパイプ61を両端から所定の圧力で押圧し、軸方向に力を加える。

【0058】
このとき、前記制御部30の図示されない成形処理手段は、成形処理を行い、開閉弁76を開き、液体供給路71、72を介して高圧の液体をプレフォームパイプ61内に供給すると、プレフォームパイプ61は、キャビティCの中央に向けて押し込まれるとともに、径方向外方に向けて膨出させられる。そして、押し込まれたプレフォームパイプ61は、予備成形品収容部63の内周面に押し付けられるとともに、拡管部64内に進入させられ、拡管部64の内周面に押し付けられる。

【0059】
このようにして、キャビティCの内郭形状に対応させてプレフォームパイプ61が変形させられ、中空の成形品が一体的に成形される。

【0060】
なお、本実施の形態においては、プッシャ65、66によってプレフォームパイプ61を両端から押圧するようになっているが、プレフォームパイプ61を両端から押圧することなく、プレフォームパイプ61を変形させることができる。その場合、プッシャ65、66に代えて、キャビティCを密封するための密封部材としての円柱状のシールブロックが配設される。そして、液体供給路71、72を介して高圧の液体がプレフォームパイプ61内に供給されると、プレフォームパイプ61は、径方向外方に向けて膨出させられ、予備成形品収容部63の内周面に押し付けられるとともに、拡管部64内に進入させられ、拡管部64の内周面に押し付けられ、これに伴って、キャビティCの中央に向けて押し込まれる。

【0061】
ところで、拡管部64の容積が大きい場合、プレフォームパイプ61を拡管部64内に進入させる量が多くなるので、プッシャ65、66によるプレフォームパイプ61の押込み量を多くする必要があるが、膨出が進むほど、予備成形品収容部63の内周面とプレフォームパイプ61の外周面との間に発生する摩擦抵抗が大きくなり、プレフォームパイプ61をキャビティCの中央に向けて押し込むのが困難になってしまう。

【0062】
ところが、本実施の形態においては、プレフォームパイプ61に複数の座屈変形部20が径方向外方に向けて突出させて形成されるので、予備成形品収容部63の内周面とプレフォームパイプ61の外周面との接触面積を小さくすることができる。したがって、予備成形品収容部63の内周面とプレフォームパイプ61の外周面との間に発生する摩擦抵抗を小さくすることができるので、プレフォームパイプ61をキャビティCの中央に向けて流動させて、容易に押し込むことができるとともに、プレフォームパイプ61が高圧の液体を供給することによって拡管部64内に膨出させられるときに、パイプ11を引き込む張力が発生するので、プレフォームパイプ61を拡管部64内に十分に進入させることができる。その結果、成形品の品質を向上させることができる。

【0063】
また、プレフォームパイプ61を変形させて成形品を成形する場合、第2の工程が終了した時点で、前記各座屈変形部20は成形品の表面から完全に消去されている必要がある。そして、前記座屈変形部20が完全に消去されるかどうかは、キャビティCの寸法、パイプ11の径、パイプ11の厚さ、パイプ11の材料等の管材料条件によって決まる。

【0064】
そこで、管材料条件に対応させて前記座屈変形部20の最適な突出量を表す高さをあらかじめ設定し、座屈変形部20の高さに対応する目標移動速度v1をあらかじめ算出し、例えば、記憶装置81等に管材料条件と目標移動速度v1とを対応させて記録しておき、記録された目標移動速度v1に基づいて座屈変形部20を形成することができる。

【0065】
その場合、操作者が、操作部82を操作することによって管材料条件を入力すると、前記圧縮処理手段は、記憶装置81から管材料条件に応じた目標移動速度v1を読み出し、一次成形装置10において、チャック12を目標移動速度v1で移動させる。

【0066】
したがって、管材料条件に対応した最適な座屈変形部20を形成し、該座屈変形部20が形成されたプレフォームパイプ61を変形させて成形品を成形すると、第2の工程が終了した時点で、前記各座屈変形部20を成形品の表面から完全に消去することができ、成形品の品質を向上させることができる。

【0067】
しかも、第1の工程で、金型装置を使用することなく前記座屈変形部20を形成することができるので、金型装置とパイプ11との間の隙(すき)間を管理する必要がなくなる。したがって、管材料条件に対応した最適な座屈変形部20を極めて容易に形成することができる。

【0068】
ところで、本実施の形態においては、パイプ11を一定の移動速度で移動させながらプレフォームパイプ61を成形するようになっているが、パイプ11を間欠的に移動させることによってプレフォームパイプ61を成形することができる。

【0069】
その場合、パイプ11を静止させた状態で、コイル14によって被加熱部分を局部的に加熱し、その状態でパイプ11の両端を所定の力で押圧することによって、座屈変形を発生させ、座屈変形部20を形成する。続いて、パイプ11を所定の距離移動させ、次の被加熱部分を局部的に加熱し、その状態でパイプ11の両端を所定の力で押圧することによって、座屈変形を発生させ、次の座屈変形部20を形成する。この動作を繰り返すことによって、所定の間隔を置いて形成された複数の座屈変形部20を有するプレフォームパイプ61を成形することができる。

【0070】
次に、一次成形装置10と二次成形装置50とを一体化した本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。

【0071】
図6は本発明の第2の実施の形態におけるハイドロフォーム成形方法を説明する第1の図、図7は本発明の第2の実施の形態におけるハイドロフォーム成形方法を説明する第2の図である。

【0072】
図において、91は管材料としてのパイプであり、第1の工程で、図6に示されるように、パイプ91は金型装置57内にセットされ、加工され、図7に示されるように、所定の箇所に、所定の高さを有する変形部としての複数の座屈変形部20が形成される。

【0073】
そのために、パイプ91の両端に、第1、第2の押圧部としてのプッシャ65、66が配設され、第1の金型としての下金型51の所定の箇所に、半円形の形状を有する第1の加熱体としてのコイル83が、第2の金型としての上金型54の所定の箇所に、半円形の形状を有する第2の加熱体としてのコイル84が配設される。なお、コイル83、84は、パイプ91において設定された被加熱部分に対向させて配設される。

【0074】
そして、パイプ91の被加熱部分がコイル83、84によって加熱され、プッシャ65、66によってパイプ91が両端から押圧されて、前記座屈変形部20が形成される。

【0075】
このようにして、所定の箇所に座屈変形部20が形成された予備成形品としてのプレフォームパイプ92が成形される。

【0076】
続いて、第2の工程で、高圧の成形用媒体としての液体がプレフォームパイプ92内に供給されると、プレフォームパイプ92は径方向外方に向けて膨出させられ、成形品が成形される。

【0077】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0078】
11、91 パイプ
20 座屈変形部
61、92 プレフォームパイプ
C キャビティ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6