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明細書 :直動-揺動用駆動装置及び直動-揺動用駆動装置を備えたディスプレイ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5207188号 (P5207188)
公開番号 特開2010-236572 (P2010-236572A)
登録日 平成25年3月1日(2013.3.1)
発行日 平成25年6月12日(2013.6.12)
公開日 平成22年10月21日(2010.10.21)
発明の名称または考案の名称 直動-揺動用駆動装置及び直動-揺動用駆動装置を備えたディスプレイ装置
国際特許分類 F16H  21/44        (2006.01)
FI F16H 21/44 J
請求項の数または発明の数 8
全頁数 11
出願番号 特願2009-082669 (P2009-082669)
出願日 平成21年3月30日(2009.3.30)
審査請求日 平成24年3月9日(2012.3.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
発明者または考案者 【氏名】串山 久美子
個別代理人の代理人 【識別番号】100091443、【弁理士】、【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
審査官 【審査官】大内 俊彦
参考文献・文献 特開2002-207418(JP,A)
特開2004-353848(JP,A)
調査した分野 F16H 21/44
特許請求の範囲 【請求項1】
横に並ぶように配置された複数の被駆動物に往復直線運動及び揺動運動を行わせる直動-揺動用運動機構とを備えた直動-揺動用駆動装置であって、
前記直動-揺動用運動機構は、
一端に前記被駆動物が装着された可撓性を有する複数本のロッド部材と、
前記複数本のロッド部材の他端が相互に間隔をあけて固定された直動プレートと、
前記直動プレートが、該直動プレートと直交し前記複数本のロッド部材の延びる方向を直動方向としたときに、前記直動方向に延びる仮想回転中心線を中心として回動自在に支持される回動軸を備えたベースプレートと、
前記直動プレートが装着された前記ベースプレートを前記直動方向に往復直線運動させる往復直線運動機構と、
前記複数本のロッド部材が移動可能に貫通する複数個の貫通孔を備え、前記直動プレートとの間に前記直動方向に間隔をあけて配置された固定プレートと、
前記複数本のロッド部材が移動可能に貫通する複数個の貫通孔を備え、前記直動方向と直交し且つ前記固定プレートと平行に延びる仮想平面内で揺動する揺動プレートと、
前記揺動プレートを前記仮想平面内で揺動させる揺動機構と、
前記往復直線運動機構と前記揺動機構とを連動させる制御装置とを備えていることを特徴とする直動-揺動用駆動装置。
【請求項2】
複数の被駆動物に往復直線運動及び揺動運動を行わせる直動-揺動用運動機構を備えた直動-揺動用駆動装置であって、
前記直動-揺動用運動機構は、
一端に前記被駆動物が装着された可撓性を有する複数本のロッド部材と、
前記複数本のロッド部材の他端が相互に間隔をあけて固定された直動プレートと、
前記ロッド部材が延びる方向を直動方向としたときに、前記直動プレートを前記直動方向に往復直線運動させる往復直線運動機構と、
前記複数本のロッド部材が移動可能に貫通する複数個の貫通孔を備え、前記直動プレートとの間に前記軸線方向に間隔をあけて配置された固定プレートと、
前記固定プレートと前記直動プレートとの間に配置され、前記複数本のロッド部材がスライド可能に貫通する複数個の貫通孔を備え、前記直動方向と直交し且つ前記固定プレートと平行に延びる仮想平面内で揺動する揺動プレートと、
前記揺動プレートに前記仮想平面内で揺動動作をさせる揺動機構と、
前記往復直線運動機構と前記揺動機構とを連動させる制御装置とを備えていることを特徴とする直動-揺動用駆動装置。
【請求項3】
前記直動プレートは、前記往復直線運動機構により駆動されて前記直動方向に往復直線運動をするベースプレートに対して、前記仮想回転中心線を回転中心線とする回動軸に揺動自在に支持されている請求項2に記載の直動-揺動用駆動装置。
【請求項4】
前記揺動機構は、前記仮想回転中心線を中心として前記揺動プレートを所定の回転角度範囲内で揺動させるように構成されている請求項2に記載の直動-揺動用駆動装置。
【請求項5】
前記ロッド部材は、前記固定プレートに設けられた前記貫通孔から延び出た前記一端に前記被駆動物が装着された状態で自立する強度を備えたワイヤからなる請求項1,2または3に記載の直動-揺動用駆動装置。
【請求項6】
開口部を有するケース内に、前記開口部を通して、前記複数の被駆動物の動きを見ることができるか又は前記複数の被駆動物を人が手で触ることができるように、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の直動-揺動用駆動装置が、複数配置されていることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項7】
前記開口部内の前記複数の被駆動物上に映像を投影する投影装置を更に備えている請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記複数の被駆動物の動きと前記投影装置の映像とを同期させるように構成されている請求項6に記載のディスプレイ装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被駆動物に往復直線運動及び揺動運動を行わせる直動-揺動用運動機構を備えた直動-揺動用駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2002-207418号公報(特許文献1)には、視覚障害者に対して、触覚による高度な情報を伝達可能な触覚ディスプレイ装置が開示されている。この触覚ディスプレイ装置では、上下方向に駆動可能な複数のピンをマトリック状に配置し、突出させる複数のピンの突出パターンによって触覚で情報を提供できるようにする。
【0003】
特許第4171771号公報(特許文献2)には、映像と温度の変化とにより、表現を発現するディスプレイ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2002-207418号公報
【特許文献2】特許第4171771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示された触覚デイスプレイ装置では、単にピンを上下動させるだけであるため、駆動装置の構造は簡単なものでよかった。また特許文献2に示されたディスプレイ装置では、可動部がないので機械的な駆動装置は特に必要がなかった。発明者は、例えば、生きている犬やネコなどの動物を触ったときの感触と同じような感触を得ることができるディスプレイ装置を開発しようと試みたが、従来公知の駆動装置には、複数の被駆動物に同時に複雑な動きをさせることができる駆動装置は無かった。
【0006】
本発明の目的は、複数の被駆動物に同時に、往復直線運動と揺動運動の両方の運動をさせることができる直動-揺動用駆動装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、生きている犬やネコなどの動物を触ったときの感触と同じような感触を、触る者に与えるのに適した直動-揺動用駆動装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、従来は得ることができなかった感触を触る人に与えることができるディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の直動-揺動用駆動装置は、複数の被駆動物に往復直線運動及び揺動運動を行わせる直動-揺動用運動機構とを備えている。被駆動物は、直動-揺動用駆動装置の用途に応じて種々の構造のものを用いることができる。直動-揺動用運動機構は、基本的には、複数本のロッド部材と、直動プレートと、往復直線運動機構と、固定プレートと、揺動プレートと、揺動機構と、制御装置とを備えている。複数本のロッド部材は、一端に被駆動物が装着され且つ可撓性を有している。本願明細書において可撓性とは、外力が加わったときに撓んだり、湾曲したり、捩れたりするものの、外力が除かれると元の状態に戻ることができる性質を言う。可撓性を有するロッド部材としては、例えば、後に説明する固定プレートに設けられた貫通孔から延び出たロッド部材の一端に被駆動物が装着された状態で、自立する強度(途中で折れたりすることなく、他の部材の積極的な支えを必要とすることなく立っていられる程度の強度)を備えたワイヤを用いることができる。なおワイヤに限らず、ある所定の厚みを有する金属板や合成樹脂板等も可撓性を有するロッドとして用いることができる。
【0010】
直動プレートには、複数本のロッド部材の他端が相互に間隔をあけて固定されている。直動プレートの形状は任意である。例えば円板状の直動プレートを用いる場合には、複数本のロッド部材の他端を円板の縁に沿って周方向に所定の間隔をあけて直動プレートに固定することができる。矩形状の細長い直動プレートの場合には、直動プレートの長手方向に沿って所定の間隔をあけて複数本のロッド部材の他端を固定すればよい。
【0011】
往復直線運動機構は、複数本のロッド部材が真っ直ぐに延びている状態において、ロッド部材が延びる方向を直動方向としたときに、直動プレートを直動方向に往復直線運動させるものである。固定プレートは、複数本のロッド部材が移動可能に貫通する複数個の貫通孔を備えている。そして固定プレートは、直動プレートとの間に直動方向に間隔をあけて配置される。なお固定プレートは、一枚の板材に限定されるものではなく、複数の貫通孔を備えた複数枚の板材によって構成されてもよい。なお複数枚の板材によって固定プレートが構成される場合には、複数枚の板材にそれぞれ設けられた複数の貫通孔は、直動方向に整列しているのが好ましい。揺動プレートは、固定プレートと直動プレートとの間に配置され、複数本のロッド部材が移動可能に貫通する複数個の貫通孔を備え、直動方向と直交し且つ固定プレートと平行に延びる仮想平面内で揺動動作をする。この揺動動作は、例えば、直動方向に延びる仮想回転中心線を中心にして所定の角度範囲内で回動する揺動動作でもよく、また仮想平面内で直線的に往復運動をする揺動動作でもよく、揺動プレートが仮想平面内で揺れ動く動作であればどのようなものでもよい。したがって揺動機構は、揺動プレートを仮想平面内で揺動させることができる構成であれば、その構成は任意である。例えば、直動方向に延びる仮想回転中心線を中心にして所定の揺動角度範囲内で揺動プレートを回動させるように、揺動機構を構成してもよい。なお往復直線運動機構と揺動機構とは、制御装置を用いて連動させることができる。
【0012】
揺動機構が動作しない状態で、往復直線運動機構が動作すると、直動プレートが往復動作をして、直動プレートに連結された複数本のロッド部材も直動プレートと一緒に直動方向に往復動作する。このとき揺動機構が動作して揺動プレートが仮想平面内で揺動すると、可撓性を有するロッド部材は、引っ張られたり、捻られた状態となり、その影響が被駆動物が装着されたロッド部材の先端部(一端)へも現れる。その結果、ロッド部材の一端に設けられた被駆動物は、往復直線運動をしながら、揺動運動及び/または捻れ運動をするといった、複雑な動きをする。そのため例えば被駆動物を縫いぐるみの毛を纏めたような部材とすると、複数の被駆動物の動きは生きている動物の体の動きのようになる。そして、動いている複数の被駆動物を触ると、生きている動物の体を触っているかのような感触を得ることができる。
【0013】
揺動機構により揺動プレートを揺動させる際に、直動プレートを仮想回転中心線を中心にして所定の回転角度範囲内で回動し得るようにしておくと、複数のロッド部材に必要以上に大きな捻れが発生することがなく、またスムーズにロッド部材の捻れを元の状態に戻すことができる。そこで具体的には、仮想回転中心線を回転中心線として回動自在に支持する回動軸を備えたベースプレートに、直動プレートを取り付けるのが好ましい。この場合には、往復直線運動機構は、直動プレートが装着されたベースプレートを直動方向に往復直線運動させることにより、間接的に直動プレートを直動方向に往復直線運動させることになる。このような構造を採用すると、揺動プレートが揺動または回動した後に、複数本のロッド部材に加わる力の影響を受けて、遅れて直動プレートも回動軸を中心にして、揺動プレートが揺動する方向に揺動する。その結果、複数本のロッド部材に発生する捻れが極端に大きくなることがなくなり、揺動プレートが逆の方向に揺動する際にロッド部材に発生した捻れをスムーズに元の状態に戻して、逆方向の捻れに変えることができる。したがって被駆動物の動きをスムーズなものとすることができる。
【0014】
本発明の直動-揺動用駆動装置は、複数の被駆動物に往復直線運動と所定の揺動運動とを組み合わせた動きをする用途であれば、ディスプレイ装置だけでなく、人の注意を引く看板、皮膚をマッサージする家庭用電気機器等の他の用途にも適用できる。本発明の直動-揺動用駆動装置をディスプレイ装置に適用する場合には、開口部を有するケース内に、開口部を通して、複数の被駆動物の動きを見ることができるか又は複数の被駆動物を人が手で触ることができるように、直動-揺動用駆動装置を複数配置すればよい。なお人が手で触る場合には、人の手の存在を検知して、人の手の位置に対応する部分の被駆動物だけを動作させるようにしてもよいのは勿論である。
【0015】
またディスプレイ装置では、開口部内の複数の被駆動物上に映像を投影する投影装置を更に設けても良い。この場合、制御装置は、複数の被駆動物の動きと投影装置の映像とを同期させるように構成するのが好ましい。このようにすると映像によって特定された形状が、立体物として動く感覚を、見る人または触る人に与えることができる。
【0016】
なお、本発明のディスプレイ装置は、一般的には、横に並ぶように配置された複数の被駆動物と、複数の被駆動物に往復直線運動及び揺動運動を行わせる直動-揺動用運動機構をを備えた直動-揺動用駆動装置とを具備しているものと特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のディスプレイ装置の実施の形態の一例の構成を示す正面図である。
【図2】ディスプレイ装置のディスプレイ状況の一例を示す図である。
【図3】収納ケース内に配置された2つの直動-揺動用駆動装置の正面図を示す図である。
【図4】2つの直動-揺動用駆動装置の左側面図を示す図である。
【図5】1つの直動-揺動用駆動装置の右側面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照して、本発明の直動-揺動用駆動装置を利用した本発明のディスプレイ装置の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は本発明のディスプレイ装置の実施の形態の一例の構成を示す正面図であり、図2はディスプレイ装置1のディスプレイ状況を示す図である。図1及び図2に示すように、ディスプレイ装置1は、開口部3を有する収納ケース5を備えている。収納ケース5の内部には、横に並ぶように(平面状に)複数の被駆動物7が配置されている。被駆動物7は、後述する直動-揺動用駆動装置9の用途に応じて種々の構造のものを用いることができる。本実施の形態では、被駆動物7として、縫いぐるみの毛を纏めたような、ふわふわとした手触りのよい部材を用いている。そして収納ケース5の内部には、開口部3を通して、複数の被駆動物7の動きを見ることができるか又は複数の被駆動物7を人が手で触ることができるように、複数の被駆動物7を駆動する直動-揺動用駆動装置9が複数配置されている。直動-揺動用駆動装置9は、後に詳しく説明するように、複数の被駆動物に往復直線運動及び揺動運動を行わせる直動-揺動用運動機構15を備えている。

【0019】
収納ケース5の上方には、開口部3内の複数の被駆動物7上に映像を投影する投影装置11が配置されている。図2には、開口部3内の複数の被駆動物7に動物の映像IMを投影した状態を示してある。収納ケース5の内部に配置されるか又は収納ケース5の外部に配置される制御装置13は、複数の直動-揺動用駆動装置9によって駆動される複数の被駆動物7の動きと投影装置11の映像とを同期させるように、複数の直動-揺動用駆動装置9と投影装置11とに制御信号を出力している。図2の例では、動物の映像IM内の複数の被駆動物7を動作させることにより、あたかも立体的な動物の映像が動いているかの錯覚を見るものに与えることができる。また視覚障害者は、動いている被駆動物7を触って、動いている領域の輪郭形状を認識することにより、映像が示す画像の形態を認知することができる。

【0020】
図3乃至図5には、収納ケースの内部に配置された本実施の形態の直動-揺動用駆動装置9の構成が示されている。図3は、収納ケース5内に配置された2つの直動-揺動用駆動装置9の正面図を示しており、図4は2つの直動-揺動用駆動装置9の左側面図を示しており、図5は1つの直動-揺動用駆動装置9の右側面図を示している。この直動-揺動用駆動装置9は、4つの被駆動物7を同時に駆動する直動-揺動用運動機構15を備えている。

【0021】
直動-揺動用運動機構15は、基本的には、4本のロッド部材17と、直動プレート19と、ベースプレート21と、往復直線運動機構23と、固定プレート25と、直動プレート19と固定プレート25との間に配置された揺動プレート27と、揺動機構29と、前述の制御装置13とを備えている。4本のロッド部材17は、一端(先端)に被駆動物7が装着されており、可撓性を有する材料により形成されている。本実施の形態では、複数本の金属線を撚って形成したワイヤをロッド部材17として使用している。使用した4本のワイヤ(17)は、固定プレート25に設けられた貫通孔28から延び出たワイヤ(17)の一端に被駆動物7が装着された状態で、自立する強度(途中で折れたりすることなく、他の部材の積極的な支えを必要とすることなく立っていられる程度の強度)を備えたワイヤを用いている。

【0022】
固定プレート25は、収納ケース5の内部に並設された複数本の上フレーム31に固定されている。複数本の上フレーム31の間には、各直動-揺動用駆動装置9に対応する位置に窓部33が形成されている。複数本のロッド部材17が、窓部33を貫通している。また窓部33の内部には、固定プレート25の表面側に固定された、モータ駆動回路を実装した回路基板35が、収納されている。複数本のロッド部材17は、回路基板35をスライド可能に貫通している。また複数本の上フレーム31の上には、アクリル板からなるトレー板39が配置されている。トレー板39にも、複数のロッド部材17が移動可能に貫通する貫通孔が形成されている。なおトレー板39は、回路基板35を見えないようにするための目隠しの目的で設けられている。思想的には、固定プレート25,回路基板35及びトレー板39によって、固定プレートが構成されているものと見ることができる。

【0023】
固定プレート25の裏面には、往復直線運動機構23の駆動源となる昇降モータ41と、揺動機構29の駆動源となる旋回モータ43とが固定されている。昇降モータ41及び旋回モータ43は共に、取付用フレーム45及び47を用いて固定プレート25の裏面に取り付けられている。固定プレート25には、収納ケース5の底板49に向かって延びるスライドガイド51の上端が固定されている。スライドガイド51の下側領域には、下端に向かって延びる細長いガイド孔53が設けられている。ガイド孔53にはスライダ55が嵌合されている。スライダ55は、先端にネジが形成され且つ頭部にドライバスロットが形成されたネジ部材の構造を有している。スライダ55の先端のネジ部には、固定用ブッシュ57が螺合されている。固定用ブッシュ57とスライドガイド51との間には、摩擦抵抗が少ない材料から形成されたスライドブッシュ59が配置されている。固定用ブッシュ57には矩形状を呈するベースプレート21の一端が固定されている。ベースプレート21は、スライドガイド51と直交する方向に延びている。

【0024】
ベースプレート21の中央部には、回動軸52を介して円板状の直動プレート19が、揺動可能に固定されている。本実施の形態で用いた回動軸52は、ボルトの端部にナットを螺合し、ベースプレート21と直動プレート19との間に摩擦抵抗の小さいブッシュ54を配置した構造を有している。本実施の形態では、回動軸52の軸線は、旋回モータ43の軸線と一致する仮想回転中心線CLと一致している。直動プレート19には、揺動プレート27に設けられた4つの貫通孔28を通過した4本のロッド部材17の他端が直動プレート19の周方向に90度ずつ角度間隔をあけて固定されている。そして円板状の揺動プレート27の中心部は、揺動機構29の駆動源となる旋回モータ43の出力軸に連結されている。

【0025】
揺動機構29は、揺動プレート27を、直動方向と直交し且つ固定プレート25と平行に延びる仮想平面IP内で揺動させる。本実施の形態では、旋回モータ43は、360度よりも小さい所定の角度範囲内において、出力軸を一方の方向に所定の角度回動させた後、他方の方向に同じ所定の角度回動させる揺動動作を繰り返す。このような動作は、旋回モータ43にサーボモータまたはステッピングモータを採用することにより、簡単に実現することができる。また一方向にのみ回転するモータを旋回モータ43に採用する場合には、旋回モータ43の出力軸に適宜の運動変換機構または歯車機構を設けることにより、揺動プレート27を仮想回転中心線CLを中心にして所定の角度範囲内で揺動させるようにすることができる。揺動機構29は、揺動プレート27を仮想平面IP内で直線的に往復運動動作させるものでも、または揺動プレート27の中心の移動軌跡が円の軌跡を描くように、揺動プレート27を仮想平面IP内で揺れ動かすものであってもよく、本発明は、実施例の揺動機構を使用することに限定されるものではない。

【0026】
本実施の形態では、旋回モータ43の出力軸の軸線が仮想回転中心線CLと一致している。固定プレート25に形成された4つの貫通孔26、揺動プレート27に設けられた4つの貫通孔28、そして直動プレート19における4本のロッド部材17の他端の固定位置は、それぞれ仮想回転中心線CLから等しい距離にある。そして揺動プレートが静止位置にあるとき、すなわち旋回モータ43の出力軸が原点位置にあるときに、固定プレート25に形成された4つの貫通孔26、揺動プレート27に設けられた4つの貫通孔28、そして直動プレート19における4本のロッド部材17の他端の固定位置は、仮想回転中心線CLが延びる方向に整列している。

【0027】
前述のスライダ55の頭部とスライドガイド51との間に位置するスライダ55の軸部には、第1のリンク部材61の一端が揺動可能に嵌合されている。第1のリンク部材61の他端には、一端が昇降モータ41の出力軸に固定された第2のリンク部材63の他端が揺動自在に固定されている。図3に実線で示した状態は、昇降モータ41が第1のリンク部材63を所定の角度回転させた結果、直動プレート19が最も下の位置にあるときの状態である。また図3において破線で示した状態は、直動プレート19が最も上の位置にあるときの状態である。第1のリンク部材61と、第2のリンク部材63と、ガイド孔53とにより、回転運動-直線運動変換機構が構成されている。したがって昇降モータ41が回転すると、スライダ55は、ガイド孔53内を往復直線運動する。その結果、ベースプレート21及び直動プレート19は、直動方向に往復直動運動をすることになる。

【0028】
揺動機構29が動作しない状態で、往復直線運動機構23が動作すると、直動プレート19が往復動作をして、直動プレート19に連結された複数本のロッド部材17も直動プレート19と一緒に直動方向に往復動作する。このとき揺動機構29が動作して揺動プレート27が仮想平面IP内で揺動すると、可撓性を有するロッド部材17は、引っ張られたり、捻られた状態となり、その影響が被駆動物7を備えたロッド部材17の先端部(一端))に現れる。その結果、ロッド部材17の一端に設けられた被駆動物7は、往復直線運動をしながら、揺動運動及び/または捻れ運動をする。そのため本実施の形態のように、被駆動物17を縫いぐるみの毛を纏めたような部材とすると、複数の被駆動物7の動きは生きている動物の体の動きのようになる。そして、動いている複数の被駆動物7を触ると、生きている動物の体を触っているかのような感触を得ることができる。

【0029】
本実施の形態では、往復直線運動機構23は、直動プレート19が回動軸52を介して取り付けられたベースプレート21を直動方向に往復直線運動させる。このような構造を採用すると、揺動プレート27が揺動または回動した後に、複数本のロッド部材17に加わる力の影響を受けて、遅れて直動プレート19も回動軸25を中心にして、揺動プレート27が揺動する方向に揺動する。その結果、複数本のロッド部材17に発生した捻れが極端に大きくなることがなくなり、揺動プレートが逆の方向に揺動する際にロッド部材17に発生する捻れをスムーズに逆方向の捻れに変えることができる。したがって被駆動物の動きをスムーズなものとすることができる。

【0030】
図2に示すように、映像IMと直動-揺動用駆動装置9の動作とを同期させると、あたかもディスプレイ中に動物が生きて動いているかのような錯覚を見る者に与える。また視覚障害者には、動いている被駆動物7を触ることにより、生きている動物を触っているかのような感触を与えることができる。

【0031】
また開口部3を有するケース5内に、開口部3を通して、複数の被駆動物7を人が手で触ることができるように、直動-揺動用駆動装置9を複数配置する場合には、人の手の存在を検知するセンサまたは人の手の位置を特定する位置検出装置を開口部3の近傍に設ければよい。そして人の手の位置に対応する部分の被駆動物7だけを動作させるようにしてもよい。なおこの種の位置検出技術は、特許文献2の中にも詳しく説明されているので、詳しい説明は省略する。

【0032】
上記実施の形態では、被駆動物7を縫いぐるみの毛を纏めたような部材を用いたが、被駆動物7として、直動-揺動用駆動装置9を使用する機器に応じて種々の形態・材質・大きさ・重さのものを用いることができる。本実施の形態の直動-揺動用駆動装置9は、上記実施の形態のディスプレイ装置だけでなく、種々の用途に利用可能である。

【0033】
なおロッド部材17と被駆動物7との間の結合構造は、被駆動物7の交換が可能な嵌合構造により構成されているのが好ましい。このようにすると、直動-揺動用駆動装置9の用途範囲を拡げることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、複数の被駆動物に同時に、往復直線運動と揺動運動とを与えることができる直動-揺動用駆動装置を提供することができる。また本発明の直動-揺動用駆動装置を用いたディスプレイ装置によれば、従来にないリアリティを持った表現が可能になる。
【符号の説明】
【0035】
1 ディスプレイ装置
3 開口部
5 収納ケース
7 被駆動物
9 直動-揺動用駆動装置
11 投影装置
13 制御装置
15 直動-揺動用運動機構
17 ロッド部材
19 直動プレート
21 ベースプレート
25 固定プレート
27 揺動プレート
41 昇降モータ
43 旋回モータ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4