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明細書 :金属板の平坦化方法及びその平坦化装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4505632号 (P4505632)
公開番号 特開2005-297050 (P2005-297050A)
登録日 平成22年5月14日(2010.5.14)
発行日 平成22年7月21日(2010.7.21)
公開日 平成17年10月27日(2005.10.27)
発明の名称または考案の名称 金属板の平坦化方法及びその平坦化装置
国際特許分類 B21D   1/02        (2006.01)
FI B21D 1/02 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2004-120699 (P2004-120699)
出願日 平成16年4月15日(2004.4.15)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成15年10月20日 社団法人日本塑性加工学会発行の「第54回塑性加工連合講演会講演論文集」に発表
審査請求日 平成19年4月3日(2007.4.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】北澤 君義
【氏名】山本 晃
個別代理人の代理人 【識別番号】100077621、【弁理士】、【氏名又は名称】綿貫 隆夫
【識別番号】100092819、【弁理士】、【氏名又は名称】堀米 和春
審査官 【審査官】宇田川 辰郎
参考文献・文献 実開昭63-138914(JP,U)
特開平10-202318(JP,A)
特開昭60-141313(JP,A)
特開昭51-107255(JP,A)
調査した分野 B21D 1/00-1/02
特許請求の範囲 【請求項1】
金属板が折り曲げられて形成された、前記金属板の一面側に突出する横断面形状が三角形状、「へ」字状又は側壁部が略平行に形成された凸部が、前記金属板の一端側から他端側に帯状に延びる帯状凸部を平坦化する際に、
回転軸を回転する駆動手段と、前記回転軸の周囲に設けられ、前記帯状凸部の所定部分を徐々に押圧する押圧力と前記押圧力の解除とを交互に繰り返すことのできるように、前記回転軸と共に回転する複数個のローラ状部材とを具備する工具を用い、
前記工具及び金属板の少なくとも一方を移動し、前記帯状凸部の一部分を徐々に押圧する押圧力と前記押圧力の解除とを交互に繰り返して、前記金属板の他の部分よりも厚肉に形成した平坦化部分を、前記帯状凸部の一端から他端の方向に逐次形成することを特徴とする金属板の平坦化方法。
【請求項2】
横断面形状が三角形状の帯状凸部の先端部近傍を、前記帯状凸部の底面側に移行するように前記帯状凸部を押圧する請求項1記載の金属板の平坦化方法。
【請求項3】
側壁部が略平行に形成された帯状凸部の先端部近傍を押圧して形成した、金属板の他の部分よりも厚肉化された厚肉の平坦部に対し、更に押圧と押圧力の開放とを繰り返して施し、前記厚肉の平坦部の中央部近傍で切断する請求項1記載の金属板の平坦化方法。
【請求項4】
金属板が折り曲げられて形成された、前記金属板の一面側に突出する横断面形状が三角形状、「へ」字状又は側壁部が略平行に形成された凸部が、前記金属板の一端側から他端側に帯状に延びる帯状凸部を平坦化する平坦化装置であって、
回転軸を回転する駆動手段と、前記回転軸の周囲に設けられ、前記帯状凸部の一部分を徐々に押圧する押圧力と前記押圧力の解除とを交互に繰り返して、前記金属板の他の部分よりも厚肉の平坦化部分に形成できるように、前記回転軸と共に回転する複数個のローラ状部材とが設けられた工具と、
前記平坦化した部分を前記帯状凸部の一端側から他端側の方向に逐次形成できるように、前記工具及び金属板の少なくとも一方を移動する移動手段とを具備することを特徴する金属板の平坦化装置
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は金属板の平坦化方法及びその平坦化装置に関し、更に詳細には金属板の一面側に突出する凸部が、前記金属板の一端側から他端側に帯状に延びて形成された帯状凸部を平坦化する金属板の平坦化方法及びその平坦化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器等に使用された廃棄金属板をリサイクルする際には、廃棄金属板を粉砕し再溶融してから圧延等によって金属板としている。この様に、廃棄金属板を再溶融する方法では、廃棄金属板の粉砕や再溶融のために多大のエネルギーを消費している。
一方、廃棄金属板を再溶融することなく再利用できれば、従来の廃棄金属板を再溶融する方法に比較して、省エネルギーを図ることができる。
しかし、廃棄金属板は曲折されているものが多く、そのままでは再利用し難い。このため、曲折された廃棄金属板を平坦な金属板とすることによって、溶融することなく再利用を図ることができるものと期待できる。

【特許文献1】なし
【非特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる廃棄金属板には、曲折された廃棄金属板の曲折部分を全体的に平坦化しても、曲げぐせとして、金属板の一面側に突出する凸部が、この金属板の一端側から他端側に帯状に延びる帯状凸部が形成されている。
かかる帯状凸部は、図5(a)に示す様に、金属板の略中央部で90°曲げて形成した曲折片100a、100bを平坦化すると、曲折片100a、100bの境界に曲げぐせとして帯状凸部102が形成される。その横断面形状は、図6に示すように「へ」字状である
また、図7に示す様に、金属板の略中央部で180°曲げて積層した曲折片200a、200bを、180°開いて平坦化すると、曲折片200a、200bの境界に曲げぐせとしての帯状凸部202が形成される。この横断面形状は、図8に示すように三角形状である。図8に示す帯状凸部202は、図6に示す帯状凸部102に比較して大きい。
かかる帯状凸部102,202が残存する金属板100,200は、そのままでは再利用することは困難であり、再溶融して平坦な金属板を形成してから利用しているのが現状である。
【0004】
しかし、図5及び図7に示す帯状凸部102,202が残存する金属板は、帯状凸部102,202を平坦化できれば、再溶融することなく再利用できる。
そこで、本発明の課題は、金属板の一端側から他端側に帯状に延びる帯状凸部を平坦化し、金属板を溶融することなく再利用し得る金属板の平坦化方法及びその平坦化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、図5及び図7に示す帯状凸部102,202の全体をプレス加工によって一度に押し潰して平坦化することを試みた。
しかし、プレス加工によって帯状凸部102,202の全体を一度に押し潰した押潰部分は、スプリングバックによって復形したり、皺や割れ目が形成され易く、平坦な金属板を形成することは極めて困難であることが判明した。
かかる現象は、帯状凸部102,202を押し潰す歪みが押潰部分に一度に蓄積することに因るものと推察される。
このため、本発明者等は、帯状凸部102,202を押し潰して平坦な金属板を形成するには、帯状凸部102,202の押潰部に歪みが一度に蓄積されないように、帯状凸部102,202の長手方向に沿って歪みを局部的に逐次加えていくこと、つまり帯状凸部102,202を少しづつ押圧して平坦化することが有効であると考え検討した結果、本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明は、金属板が折り曲げられて形成された、前記金属板の一面側に突出する横断面形状が横断面形状が三角形状、「へ」字状又は側壁部が略平行に形成された凸部が、前記金属板の一端側から他端側に帯状に延びる帯状凸部を平坦化する際に、回転軸を回転する駆動手段と、前記回転軸の周囲に設けられ、前記帯状凸部の所定部分を徐々に押圧する押圧力と前記押圧力の解除とを交互に繰り返すことのできるように、前記回転軸と共に回転する複数個のローラ状部材とを具備する工具を用い、前記工具及び金属板の少なくとも一方を移動し、前記帯状凸部の一部分を徐々に押圧する押圧力と前記押圧力の解除とを交互に繰り返して、前記金属板の他の部分よりも厚肉に形成した平坦化部分を、前記帯状凸部の一端から他端の方向に逐次形成する金属板の平坦化方法にある。
かかる本発明において、横断面形状が三角形状の帯状凸部の先端部近傍を、前記帯状凸部の底面側に移行するように前記帯状凸部を押圧することによって、帯状凸部を平坦化した部分を金属板の他の部分よりも厚肉化された厚肉部に容易に形成できる。かかる厚肉部には、ネジ穴等を形成できる。
或いは、側壁部が略平行に形成された帯状凸部の先端部近傍を押圧して形成した、金属板の他の部分よりも厚肉化された厚肉の平坦部に対し、更に押圧と押圧力の開放とを繰り返して施し、前記厚肉の平坦部の中央部近傍で切断することによって、縁部が他部よりも厚肉の金属板を形成できる。
【0007】
また、本発明は、金属板が折り曲げられて形成された、前記金属板の一面側に突出する横断面形状が三角形状、「へ」字状又は側壁部が略平行に形成された凸部が、前記金属板の一端側から他端側に帯状に延びる帯状凸部を平坦化する平坦化装置であって、回転軸を回転する駆動手段と、前記回転軸の周囲に設けられ、前記帯状凸部の一部分を徐々に押圧する押圧力と前記押圧力の解除とを交互に繰り返して、前記金属板の他の部分よりも厚肉の平坦化部分に形成できるように、前記回転軸と共に回転する複数個のローラ状部材とが設けられた工具と、前記平坦化した部分を前記帯状凸部の一端側から他端側の方向に逐次形成できるように、前記工具及び金属板の少なくとも一方を移動する移動手段とを具備する金属板の平坦化装置でもある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属板が折り曲げられて形成された、金属板の一面側に突出する横断面形状が三角形状、「へ」字状又は側壁部が略平行に形成された凸部が、前記金属板の一端側から他端側に帯状に延びる帯状凸部の一部分を徐々に押圧する押圧力とこの押圧力の解除とを交互に繰り返して、金属板の他の部分よりも厚肉に形成した平坦化部分を、帯状凸部の一端から他端の方向に逐次形成する。
このため、帯状凸部の平坦化部分には、帯状凸部を押し潰す歪みが一度に蓄積され難く、平坦化部分がスプリングバックによって復形したり、皺や割れ目が形成される事態を回避できる。
その結果、曲折された廃棄金属板から平坦な金属板を得ることができ、廃棄金属板を再溶融することなく再利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明においては、図1に示す工具10を具備する平坦化装置を好適に用いることができる。この工具10は、モータ等の駆動手段によって回転する回転軸12の周囲に、ローラ状部材14,14・・が設けられている。このローラ状部材14,14・・は、回転軸12に固着されているフランジ部材16,16に固定されている。このため、ローラ状部材14,14・・の各々は自転しない。
但し、図1に示す様に、駆動手段によって回転軸12が矢印A方向に回転すると、図2に示す様に、フランジ部材16,16に固定されているローラ状部材14,14・・は、個々に自転しないものの、工具10の全体は矢印A方向に回転する。
かかるローラ状部材14,14・・は、その一部がフランジ部材16,16の外周縁から突出するように、フランジ部材16,16に固定されている。
このため、フランジ部材16,16の外周縁から所定間隙を置いて円弧状突出部14a,14a・・が突出している。
図1及び図2に示す工具10は、その全体が図1及び図2に示す矢印A方向に回転しつつ、金属板22が載置される台20の載置面に沿って図2に示す矢印B方向に移動する。
【0010】
この工具10によって、台20の載置面に載置された金属板22の帯状凸部24を平坦化する際には、帯状凸部24を平坦化できるように、工具10の円弧状突出部14a,14a・・と台20の載置面とのクリアランスを調整した後、駆動手段によって工具10を矢印A方向に回転しつつ、帯状凸部24の一端側から他端側方向(矢印B方向)に工具10を移動させる。
かかる平坦化の際に、工具10は回転するため、図2に示す様に、帯状凸部24の一部分は、円弧状突出部14aの外周面に倣って徐々に押圧される。この押圧部は、工具10の回転によって円弧状突出部14a,14aの隙間18に至ったとき、円弧状突出部14aの外周面による押圧力は解除される。
押圧力が解除された帯状凸部24の押圧部は、工具10が回転しているため、次の円弧状突出部14aによって再度徐々に押圧され、押圧部の一部が平坦化される。かかる帯状凸部24の押圧部も、徐々に押圧される押圧と押圧力の解除とが交互に繰り返されて部分的に平坦化されるため、平坦化された部分には一度に歪みは蓄積されない。
この様にして形成された平坦部は、工具10が帯状凸部24の一端側から他端側方向(矢印B方向)に移動するため、平坦化部分は帯状凸部24の一端側から他端側方向に拡大できる。
【0011】
図1及び図2に示す工具10によって帯状凸部24が平坦化された金属板22では、その平坦化面は鏡面状である。このため、平坦化された金属板22は、そのまま再利用できる。
かかる工具10による平坦化の際には、潤滑剤を用いることによって帯状凸部24の平坦化をスムーズに行うことができ好ましい。この潤滑油としては、非塩素系のものが、環境の観点から好ましい。
また、工具10の移動速度は、工具10の回転速度との関係で決定され、予め試験等によって、採用する工具10の回転速度と関係で最適移動速度を決定しておくことが好ましい。
更に、図1及び図2では、工具10を帯状凸部24の一端側から他端側方向に移動していたが、工具10を移動させずに金属板22が載置されている台20を移動してもよく、工具10及び台20を共に移動させてもよい。
尚、図1及び図2に示す工具10のローラ状部材14,14・・は、フランジ部材16,16に固定されているが、フランジ部材16,16に回転可能に装着してもよい。
【0012】
図1及び図2に示す工具10によって帯状凸部24を平坦化した金属板22の平坦化部分は、金属板22の他の部分と略同一肉厚に形成できる。
但し、帯状凸部24の形状によれば、図3(c)に示す様に、帯状凸部24を平坦化した部分を金属板22の他の部分よりも厚肉化された厚肉部26にも形成できる。
この場合、帯状凸部24としては、図3(a)に示す様に、横断面形状が三角形の形状の帯状凸部24を用いる。図3(a)に示す帯状凸部24は、図5(a)に示す様に、金属板22の略中央部で90°曲げて形成した曲折片の角部近傍をベンダー等で折り曲げて形成できる。
図3(a)に示す帯状凸部24の先端部近傍を、帯状凸部24の底面側に移行するように帯状凸部24を工具10の円弧状突出部14a,14a・・で押圧することによって、帯状凸部24の押圧部分が底面側に移行して厚肉部26′を形成する[図3(b)]。
更に、工具10の円弧状突出部14a,14a・・で押圧することによって、金属板22の他面側と面一となった厚肉部26を形成できる。形成した厚肉部26は、その表面は平坦面であって、ネジ穴等を形成できる。
【0013】
また、図4(a)に示す様に、側壁部が略平行に形成された帯状凸部24の場合には、帯状凸部24の先端部近傍を工具10の円弧状突出部14a,14a・・によって押圧することにより、図4(b)に示す様に、金属板22の他の部分よりも厚肉化された厚肉の平坦部28′を形成する。
更に、この厚肉の平坦部28′を工具10の円弧状突出部14a,14a・・によって押圧と押圧力の開放とを繰り返すことによって、図4(c)に示す様に、厚肉の平坦部28の中央部近傍で切断する。この様にして形成された金属板22では、その切断されて形成された端縁の近傍が、表面が平坦面で且つ金属板22の他の部分よりも厚肉に形成されており、ネジ穴等を形成できる。
【実施例1】
【0014】
アルミニウムから成る厚さ0.8mm、240mm×240mmの正方形状の金属板22を、その略中央部で90°曲げて積層した曲折片を開いて平坦化し、金属板22の中央部に金属板22の一端から他端に、図6に示す横断面形状が「へ」字状の帯状凸部102を形成した。
この金属板22の帯状凸部102を図1及び図2に示す工具10を用いて平坦化処理を行った。
この際の、工具10の回転数は100rpmであり、工具10の帯状凸部24に沿っての移動速度は30mm/分であった。
また、台20の金属板22の載置面と工具10の円弧状突出部14a,14a・・とのクリアランスは、回転軸12の曲がり等を考慮して0mmとし、潤滑油として、18.2cStの非塩素系潤滑剤を用いた。
かかる条件下で帯状凸部102の平坦化処理した金属板22の処理面は、鏡面状の平滑面であった。この平坦化処理を施した処理部の厚さは、0.796mmであった。
平坦化処理前の帯状凸部102の厚さは、0.787mmであり、若干の増肉化がみられた。
【実施例2】
【0015】
金属板22の略中央部で90°曲げて形成した曲折片の角部近傍をベンダーで折り曲げて、金属板22の中央部に金属板22の一端から他端に、図3(a)に示す横断面形状が三角形状の帯状凸部24を形成した。
かかる形状の帯状凸部24が形成された金属板22を用いた他は、実施例1と同様にして帯状凸部24の平坦化処理を行った。
平坦化処理を施した金属板22の処理部は平坦面であったが、その厚さは0.991mmであり、処理前の帯状凸部24の厚さ0.786mmよりもかなり増肉化されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る平坦化装置を構成する工具の正面図である。
【図2】図1に示す工具の作用効果を説明する説明図である。
【図3】帯状凸部の平坦化処理の一例を説明する説明図である。
【図4】帯状凸部の平坦化処理の他の例を説明する説明図である。
【図5】帯状凸部を形成する一例を説明する説明図である。
【図6】図5で形成した帯状凸部の断面図である。
【図7】帯状凸部を形成する他の例を説明する説明図である。
【図8】図7で形成した帯状凸部の断面図である。
【符号の説明】
【0017】
10 工具
12 回転軸
14a 円弧状突出部
18 隙間
20 台
22 金属板
24 帯状凸部
26 厚肉部
28 平坦部
16,16 フランジ部材
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7