TOP > 国内特許検索 > 有機化合物の昇華精製装置 > 明細書

明細書 :有機化合物の昇華精製装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4701403号 (P4701403)
公開番号 特開2008-073580 (P2008-073580A)
登録日 平成23年3月18日(2011.3.18)
発行日 平成23年6月15日(2011.6.15)
公開日 平成20年4月3日(2008.4.3)
発明の名称または考案の名称 有機化合物の昇華精製装置
国際特許分類 B01D   7/02        (2006.01)
C07F   5/06        (2006.01)
C07D 215/24        (2006.01)
FI B01D 7/02
C07F 5/06 E
C07D 215/24
請求項の数または発明の数 7
全頁数 9
出願番号 特願2006-253308 (P2006-253308)
出願日 平成18年9月19日(2006.9.19)
審査請求日 平成21年8月5日(2009.8.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】谷口 彬雄
【氏名】井上 将光
個別代理人の代理人 【識別番号】100074675、【弁理士】、【氏名又は名称】柳川 泰男
審査官 【審査官】山本 吾一
参考文献・文献 特表2005-511864(JP,A)
特公昭44-023723(JP,B1)
特開平03-143506(JP,A)
米国特許第1445870(US,A)
米国特許第2944878(US,A)
米国特許第1392948(US,A)
特開平6-304435(JP,A)
調査した分野 B01D 7/00
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
下部に不活性ガス導入口が設けられ、上部に不活性ガス排出口が設けられている耐熱ガラス製筒状体、該筒状体の内側下部に収容された昇華対象の有機化合物の容器、該筒状体の外周に、該容器の周囲を覆い、かつ上方に伸びるように配置された熱伝導性外套管、該外套管の上記容器の周囲を覆う部位に設置された加熱具、そして上記筒状体の内部かつ上記容器の上方に、それぞれ間隔を以て互いに平行な位置関係にて段状に配置された3枚以上の円形もしくは多角形のプレートからなる多段昇華プレートを含んでなる有機化合物の昇華精製装置。
【請求項2】
有機化合物が、キレート錯体化合物である請求項1に記載の昇華精製装置。
【請求項3】
多段昇華プレートが5枚乃至50枚のプレートからなる請求項1もしくは2に記載の昇華精製装置。
【請求項4】
多段昇華プレートが10枚乃至30枚のプレートからなる請求項3に記載の昇華精製装置。
【請求項5】
多段昇華プレートのプレートが耐熱ガラス製もしくは金属材料製である請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の昇華精製装置。
【請求項6】
多段昇華プレートの各プレートが該筒状体の上部から吊り索により順次吊り下げられている請求項1乃至5のうちのいずれかの項に記載の昇華精製装置。
【請求項7】
上記筒状体の外周に配置された熱伝導性外套管の頂部が該筒状体の頂部より下側に位置するように配置され、この配置により該筒状体の上部に外側への露出面が形成されており、そして該露出面に対応する該筒状体の内部位置に、プレートの最上段が配置されている請求項1乃至6のうちのいずれかの項に記載の昇華精製装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、昇華性を示す有機化合物の昇華精製装置に関する。本発明は特に、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の発光材料として利用できる高純度の電界発光性キレート錯体化合物を得るために有用な昇華精製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、ディスプレイ装置、平面発光体、あるいは電子ペーパーなどの各種の発光装置を構成するための薄型発光素子として近年注目を浴びている。
【0003】
代表的な有機EL素子の構造は、基板上に、第一電極層、有機発光材料層、そして第二電極層がこの順に積層された基本構成をもっている。そして、各電極層と有機発光材料層との間には、必要に応じて、電子輸送層あるいは空孔(ホール)輸送層が機能性補助層として配置される。
【0004】
有機EL素子の開発に当っては種々の問題点があるが、なかでも、充分な耐久性を示す有機EL素子を製造することが容易ではなく、また充分な発光量の確保が容易ではないことなどが問題とされている。このうち、後者の問題については、既に高い発光量を示す発光材料として、通常Alq3と呼ばれている、トリス-(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウムに代表されるキレート錯体化合物が開発されている。しかしながら、上記のAlq3であっても、充分満足できる発光量を得ることができないことが問題となっていて、その原因としては、Alq3の製造工程において生成する不純物の混在が既に指摘されている。
【0005】
特許文献1には、有機EL素子の発光材料として用いられるキレート錯体化合物を代表とする有機化合物を昇華により精製する方法が記載されている。この特許文献1に記載の発明は、有機化合物を昇華精製するに際して、その有機化合物を撹拌もしくは振動させることを特徴とする発明であり、この発明を利用することによって、昇華効率の向上や昇華時間の短縮を図ることができるとされている。なお、この特許文献1に具体的に記載されている昇華精製を実現するための装置は、一般的な昇華装置、すなわち、昇華対象の有機化合物を収容する漕タイプの容器とその容器の上部に配置された昇華物を堆積させる表面を備えた容器(冷却装置を備えている)とから構成された装置である。
【0006】
特許文献2には、特に有機電界発光素子の発光材料の精製に有用な昇華精製装置として、真空チャンバ内に熱源を設置し、該熱源により加熱された有機化合物を真空チャンバ内の熱源と別の位置に配置された捕集室に昇華捕集することからなる昇華精製装置が記載されている。
【0007】
特許文献3には、反応管内に昇華する有機材料を補足するための収集管を配置した有機材料の昇華精製装置が記載されている。
【0008】
特許文献4には、熱安定性の乏しい固体材料を効率よく昇華精製する装置として、電磁誘導による発熱が可能な昇華管と、その昇華管の下流側に配置された複数のゾーンを有する捕集部とからなる昇華精製装置が記載されている。

【特許文献1】特開平11-171801号公報
【特許文献2】特開2003-88704号公報
【特許文献3】特開2003-95992号公報
【特許文献4】特開2000-93701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のように、有機ELの発光材料として用いられる前記のAlq3などのキレート錯体化合物の市販品(試薬)は通常、数パーセントの不純物が混入しており、この不純物の混在の影響により、当該キレート錯体化合物が本来示すことのできる発光が充分に現われないことが知られている。このため、既にキレート錯体化合物の昇華精製方法についての研究が上記のように行われている。
【0010】
今回、本発明者の研究により、従来知られている昇華精製装置による精製では、充分な発光特性を示すキレート錯体化合物が得られにくいという問題があることが判明した。そして、この問題は、単に昇華精製技術の巧拙の問題ではなく、従来より知られている昇華精製装置の構成、すなわち、単に、昇華室と捕集室もしくは捕集表面とを配置した構成では、特に熱安定性が充分でなく、かつ混在する不純物の昇華温度がキレート錯体化合物の昇華温度に近似していることが多く、試薬として入手できるレベルの電界発光性キレート錯体化合物の高度の精製を実現することが困難であることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の理由から、本発明者は、特に、試薬として入手できるレベルの電界発光性を示すキレート錯体化合物の高度の精製を実現することを可能とする昇華精製装置の開発を行った。そして、開発された当該昇華精製装置を用いて、試薬として入手できるレベルの発光特性を示すキレート錯体化合物の昇華精製を試みたところ、試薬レベルのキレート錯体化合物に比べて顕著に発光特性が向上した高純度のキレート錯体化合物を得ることができることを見出した。
【0012】
本発明は、下部に不活性ガス導入口が設けられ、上部に不活性ガス排出口が設けられている耐熱ガラス製筒状体、該筒状体の内側下部に収容された昇華対象の有機化合物(以下、昇華性有機化合物ともいう)の容器、該筒状体の外周に、該容器の周囲を覆い、かつ上方に伸びるように配置された熱伝導性外套管、該外套管の上記容器の周囲を覆う部位に設置された加熱具、そして上記筒状体の内部かつ上記容器の上方に、それぞれ間隔を以て互いに平行な位置関係にて段状に配置された3枚以上の円形もしくは多角形のプレートからなる多段昇華プレートを含んでなる昇華性有機化合物の昇華精製装置にある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の昇華精製装置を用いることにより、熱安定性が充分でない昇華性有機化合物、そして混在している不純物の昇華温度が目的の有機化合物の昇華温度と近接しているような有機化合物製品から目的の高純度の有機化合物を得ることができる。従って、本発明の昇華精製装置は、有機EL素子の発光材料として用いられるAlq3などの電界発光性キレート錯体化合物の昇華精製に特に有利に用いることができ、また更に上記と同様の問題を持つ試薬レベルの純度を持つ有機化合物製品から目的の高純度の有機化合物を得るために極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の昇華精製装置の好ましい態様を次に記載する。
(1)昇華性有機化合物が、キレート錯体化合物である。
(2)昇華性有機化合物が、電界発光性を示すキレート錯体化合物である。
(3)昇華性有機化合物が、トリス-(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)である。
(4)多段昇華プレートが5枚乃至50枚のプレートから構成されている。
(5)多段昇華プレートが10枚乃至30枚のプレートから構成されている。
(6)多段昇華プレートのプレートが耐熱ガラス製もしくは金属材料製(特にアルミニウム製)である。
(7)多段昇華プレートの各プレートが該筒状体の上部から吊り索により順次吊り下げられている。
(8)筒状体の外周に配置された熱伝導性外套管の頂部が該筒状体の頂部より下側に位置するように配置され、この配置により該筒状体の上部に外側への露出面が形成されており、そして該露出面に対応する該筒状体の内部位置に、プレートの最上段が配置されている。
【0015】
次に、添付図面を参照しながら、本発明の昇華精製装置について詳しく説明する。
【0016】
添付した図1は、本発明の昇華精製装置の代表的な構成を示す図である。すなわち、本発明の昇華精製装置は、下部に不活性ガス導入口11が設けられ、上部に不活性ガス排出口12が設けられている耐熱ガラス製筒状体13;筒状体13の内側下部に収容された昇華対象のキレート錯体化合物の容器14;筒状体13の外周に、容器14の周囲を覆い、かつ上方に伸びるように配置された熱伝導性外套管15;外套管15の容器14の周囲を覆う部位に設置された加熱具16;そして筒状体13の内部かつ容器14の上方に、それぞれ間隔を以て互いに平行な位置関係にて段状に配置された3枚以上の円形もしくは多角形のプレート17a、17b、17c、~~からなる多段昇華プレート17から構成されている。
【0017】
本発明の昇華精製装置はまず、内部にて昇華操作を行う筒状体13が必要である。この筒状体は、パイレックスガラスや石英ガラスなどのような耐熱性ガラスから製造される。この筒状体としては、通常は円筒を用いるが、断面が多角形あるいは楕円の筒状体であってもよい。筒状体13の下部には、昇華する有機化合物を上方に送るための不活性ガス(例、アルゴン、ヘリウム、窒素)を導入する不活性ガス導入口11が設けられ、そして筒状体13の上部には、下部から送られてきた不活性ガス(昇華した有機化合物の一部、そして有機化合物に混在していた不純物、そして熱分解生成物を含有する場合もある)を排出するための不活性ガス排出口12が設けられている。筒状体13の上部とは、筒状体の頂部もしくはその付近を意味し、下部とは筒状体の底部もしくはその付近を意味する。そして、本発明の昇華精製装置は通常、図1に示すような垂直な配置にて用いるが、必要に応じて斜めに配置したり、水平に配置することもできる。後者の場合、筒状体の下部とは不活性ガスを導入する側の端部もしくはその付近を意味し、上部とは不活性ガスを排出する側の端部もしくはその付近を意味する。
【0018】
筒状体13の内側下部には、昇華対象のキレート錯体化合物の容器14が収容される。この容器14は、例えば、耐熱性のガラス製であって、筒状体13の底部から立ち上げた管状支持体(途中に不活性ガスの透過のための孔部が設けられている)18により支持される。
【0019】
筒状体13の外周には、容器14の周囲を覆い、かつ上方に伸びるように配置された熱伝導性外套管15が設けられる。熱伝導性外套管15の材料としては、通常は鉄が利用されるが、熱伝導性を示す限り、他の材料でもよい。なお、熱伝導性外套管15の頂部は、筒状体13の頂部より下側に位置するように配置され、この配置により該筒状体の上部に外側への露出面が形成されていることが好ましい。この構成の意味については後述する。
【0020】
外套管15には、容器14の周囲を覆う部位に加熱具16を設置する。加熱具16は通常、容器14の周囲全体を覆うようにされる。なお、加熱具は単独であってもよいが、更に追加の加熱具(補助加熱具)16a、16bを、加熱具16よりも上方に設置してもよい。補助加熱具の設置により、筒状体13の上下方向に幅広い温度勾配を形成して昇華精製を効果的に実施することができるため、特に有用である。加熱具、そして補助加熱具の代表的な例としては、リボンヒータを挙げることができる。
【0021】
筒状体13の内部かつ容器14の上方には、それぞれ間隔を以て互いに平行な位置関係にて段状に配置された3枚以上の円形もしくは多角形のプレート17a、17b、17c、~~からなる多段昇華プレート17が収容される。図1において、多段昇華プレート17中の各プレートは、不活性ガス排出口12から吊り索により順次吊り下げられている。なお、多段昇華プレート17は、筒状体13の途中に支持具を設けて、この支持具によって、固定立設されていてもよい。多段昇華プレート17のプレートの枚数は、3枚以上であれば、特に限定はないが、通常は、5枚乃至50枚であり、好ましくは10乃至30枚である。各プレートは熱伝導性材料からなることが好ましく、精製する有機化合物への不純物の混入を抑制できる耐熱ガラス製であるか、あるいは軽量で耐久性に優れる金属材料(特にアルミニウム)であることが更に好ましい。
【0022】
多段昇華プレートの上方のプレートには、加熱手段により加熱されている外套管からの熱の伝達が少ないことが望ましい。このためには、筒状体の外周に配置された熱伝導性外套管の頂部が該筒状体の頂部より下側に位置するように配置され、この配置により該筒状体の上部に外側への露出面が形成されており、そして該露出面に対応する該筒状体の内部位置に、プレートの少なくとも最上段(好ましくは、最上段側の2~5枚)が配置されていることが好ましい。
【0023】
本発明の昇華精製装置を用いて精製するのに適した有機化合物の例としては、電界発光性のキレート錯体化合物がある。電界発光性のキレート錯体化合物の代表例としては、前述のトリス-(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)であるが、その他にもキノリン誘導体の各種の金属錯体化合物も挙げることができ、またフタロシアニン系金属錯体化合物もあげることができる。本発明の昇華精製装置で精製するのに適したこれらの有機化合物の具体的な例は、前述の特許文献1に記載がある。
【0024】
次に、本発明の昇華精製装置を用いる有機化合物の精製方法について図1に示した昇華精製装置を用いる精製方法として説明する。
【0025】
まず、予め取り外しておいた容器14(例えば、耐熱ガラス製の皿状容器)に精製対象の有機化合物を載せ、筒状体13の内部に、管状支持体18に載せた状体で保持させる。次いで、筒状体13の内部に多段昇華プレート17を装着する。そして、筒状体13の下部の不活性ガス導入口11に不活性ガス供給源(図示なし)に接続し、上部の不活性ガス排気口12に真空装置(図示なし)を接続する。
【0026】
次に、不活性排気口12から排気を始め、同時に不活性ガス導入口11から、アルゴンなどの不活性ガスを導入する。この不活性ガスの導入と同時、あるいはその前後に、加熱手段16と補助加熱手段16a、16bによる加熱を開始する。加熱温度は精製対象の有機化合物によって異なり、また筒状体13の内部の圧力によっても異なる。通常、補助加熱手段16a、16bによる加熱温度は、加熱手段16による加熱温度よりも低くされる。
【0027】
加熱手段16により、外套管15と筒状体13の壁を介して加熱された容器14に充填された有機化合物は昇華を始め、その内の主要部分は一旦、多段昇華プレート17の最下段のプレートの下面に付着する。そして、その最下段のプレートの下面に付着した有機化合物は更に昇華し、その上部の段の各プレートの下面に順次付着して昇華を繰り返す。有機化合物はこのように各プレート下面への付着及び昇華を繰り返し、その繰り返しにより精製が実現し、多段昇華プレート17の最上段付近のプレートの下面に堆積する有機化合物は高純度のものとなる。
【実施例】
【0028】
[実施例1]
直径が40mm(肉厚:2mm)で、長さが約1100mmの上下が開口したパイレックス製ガラス管(筒状体13)、そして長さが700mmの鉄製の外套管15を用意し、それぞれ図1に示す形に配置した。次いで、外套管15の外周部にそれぞれがバンドヒータである加熱手段16と補助加熱手段16a、16bを巻いた。次に、筒状体13の内部に、支持管(高さ20mm)18の上に置いて、ガラス製の皿(容器14)に充填した精製対象の有機化合物(トリス-(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)の試薬(東京化成(株)製で、保証純度95%以上))を収容した。筒状体13の上部からは、合計20段(20枚のプレート:全てアルミニウム製)の多段昇華プレート17(各プレート間の距離は40mm)を吊るした。次に、不活性ガス導入口11よりアルゴンガスを連続的に導入し、不活性ガス排気口12からアルゴンガスを連続的に排気した。アルゴンガスの流量は120mL/分であり、筒状体13の内部の圧力は、ほぼ常圧(1.0×105Pa)であった。アルゴンガスの導入開始後、バンドヒータ16、16a、16bのそれぞれに電流を供給して、バンドヒータ16を350℃に、そしてバンドヒータ16aと16bとを330℃に加熱した。この加熱により、外套管15は、その容器14に最も近接した位置で313℃となり、その上方は順次温度が低下し、外套管15の頂部では53℃となっていた。この加熱によりAlq3の昇華が始まった。この昇華操作(加熱操作)を67時間連続して実施した後、加熱を終了した。
筒状体13と外套管15が室温に冷却された時点で、筒状体13の上部を直径方向に切断し、次いで、多段昇華プレート17の上から2~3段目のプレートから、昇華堆積物を回収した(収率:約50%)。
【0029】
[実施例2]
アルゴンガスの流量を約200mL/分に変え、筒状体13の内部の圧力を3.3×102Paに変え、昇華操作の時間を2時間に変えた以外は、実施例1の方法によりAlq3の昇華精製を行った(収率:約60%)。
【0030】
[比較例]
実施例1と2における昇華精製実験に用いたAlq3の試薬(東京化成(株)製で、保証純度95%以上)を用意し、比較試料とした。
【0031】
[Alq3の純度評価]
高純度レベルでのAlq3の純度を正確に数値化することが困難であるため、実施例1と2で昇華精製したAlq3、そして比較例のAlq3試薬のそれぞれを有機EL素子に組込んで、有機EL素子の発光特性を測定して、各例のAlq3の評価を行った。
【0032】
(1)有機EL素子としての評価試験方法
表面にITO電極(厚み:150nm)を備えたガラス基板の上に、α-NPD(公知のホール層形成材料:特開2004-253209号公報に記載)の蒸着層(厚み:50nm)を形成した。次いで、この蒸着層の上に、各例のAlq3を厚み50nmで蒸着して、発光層を形成し、さらに発光層の上に、LiF/Al(0.5nm/200nm)電極を形成して、評価試験用の有機EL素子を作成した。
【0033】
(2)評価試験結果
評価試験用の有機EL素子の両電極間に電圧を印加して、発光層から発生する発光をガラス基板から取り出し、その光量を測定した。印加電圧を種々変えて光量を測定した結果を図2に示す。
図2の結果から明らかなように、本発明の昇華精製装置を用いて精製を行ったAlq3は、精製前のAlq3に比べて格段に高い輝度の発光を示した。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の昇華精製装置の構成を示す図面である。
【図2】昇華精製前のAlq3(市販の試薬)と本発明の昇華精製装置を用いて昇華精製したAlq3との発光特性の違いを示すグラフである。
【符号の説明】
【0035】
11 不活性ガス導入口
12 不活性ガス排気口
13 筒状体
14 容器
15 外套管
16 加熱手段
16a 補助加熱手段
16b 補助加熱手段
17 多段昇華プレート
17a プレート
17b プレート
17c プレート
18 支持管
図面
【図1】
0
【図2】
1