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明細書 :位置検出装置、位置検出方法、データ判定装置、データ判定方法、コンピュータプログラム及び記憶媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4348441号 (P4348441)
公開番号 特開2008-175788 (P2008-175788A)
登録日 平成21年7月31日(2009.7.31)
発行日 平成21年10月21日(2009.10.21)
公開日 平成20年7月31日(2008.7.31)
発明の名称または考案の名称 位置検出装置、位置検出方法、データ判定装置、データ判定方法、コンピュータプログラム及び記憶媒体
国際特許分類 G01S   5/14        (2006.01)
FI G01S 5/14 539
G01S 5/14 574
請求項の数または発明の数 13
全頁数 33
出願番号 特願2007-011942 (P2007-011942)
出願日 平成19年1月22日(2007.1.22)
審査請求日 平成20年1月24日(2008.1.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304025138
【氏名又は名称】国立大学法人 大阪教育大学
発明者または考案者 【氏名】藤田 修
個別代理人の代理人 【識別番号】100078868、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 登夫
審査官 【審査官】川瀬 徹也
参考文献・文献 特開2005-156308(JP,A)
特開2005-309513(JP,A)
特開2004-333279(JP,A)
特開2001-124840(JP,A)
特開平09-230024(JP,A)
特開2007-248321(JP,A)
調査した分野 G01S 1/00-17/95
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00
特許請求の範囲 【請求項1】
移動体の位置情報を時系列に検出する手段を備える位置検出装置において、
時系列に検出した位置情報の内の注目位置情報について、先行の位置情報が示す位置から前記注目位置情報が示す位置への第1のベクトルを算出する手段と、
前記注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への第2のベクトルを算出する手段と、
算出した前記第1のベクトルと前記第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断する判断手段と、
該判断手段が所定値未満であると判断した場合に前記注目位置情報を前記移動体の位置を示す情報として誤りであると判定する判定手段と
を備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記内積を、前記先行の位置情報に対応する時点から前記注目位置情報に対応する時点への経過時間で除算し、更に前記注目位置情報に対応する時点から前記後続の位置情報に対応する時点への経過時間で除算する手を備え、
前記判断手段は、前記手段の算出結果が負の所定値未満であるか否かを判断するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記注目位置情報について、先行の位置情報と後続の位置情報とを夫々複数抽出する手段と、
抽出した先行の位置情報と後続の位置情報との各組み合わせに対し夫々、前記第1のベクトル及び第2のベクトルを算出するようにしてあり、
算出した第1のベクトルと第2のベクトルとの内積を算出する第1算出手段と、
該第1算出手段により算出した内積を前記先行の位置情報に対応する時点から前記注目位置情報に対応する時点への経過時間で除算し、更に前記注目位置情報に対応する時点から前記後続の位置情報に対する時点への経過時間で除算する第2算出手段と、
前記各組み合わせに対して夫々前記第2算出手段により算出した値の平均値を算出する第3算出手段と
を備え、
前記判断手段は、前記第3算出手段により算出した平均値が負の所定値未満であるか否かを判断するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記注目位置情報について、先行の位置情報と後続の位置情報とを夫々複数抽出する手段と、
抽出した先行の位置情報と後続の位置情報との各組み合わせに対し夫々、
前記第1のベクトル及び第2のベクトルを算出する手段と、
算出した第1のベクトルと第2のベクトルとの内積を算出する第1算出手段と、
前記先行の位置情報に対応する時点から前記注目位置情報に対応する時点への経過時間と、前記注目位置情報に対応する時点から前記後続の位置情報に対応する時点への経過時間とを乗算する第2算出手段と、
各組み合わせに対して前記第1算出手段により算出した内積と前記第2算出手段により算出した値との相関係数を算出する第3算出手段と
を備え、
前記判断手段は、前記第3算出手段により算出した相関係数が所定値未満であるか否かを判断するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項5】
検出した位置情報から時系列に連続する位置情報を抽出する抽出手段と、
該抽出手段により抽出した位置情報夫々について、
前記第1のベクトル及び第2のベクトルを算出する手段と、
算出した第1のベクトルと第2のベクトルとの内積を算出する第1算出手段と、
前記先行の位置情報に対応する時点と前記位置情報に対応する時点との時間差及び前記位置情報に対応する時点と前記後続の位置情報に対応する時点との時間差で前記第1算出手段により算出した内積を除算する第2算出手段と
を備え、
前記判断手段は、
前記抽出手段により抽出した位置情報夫々について前記第2算出手段により算出した値が所定値未満であるか否かを判断する手段と、
所定値未満であると判断された位置情報の、抽出した位置情報全体に対する割合を算出する第3算出手段と
を備え、
前記第3算出手段により算出した割合が所定の割合以上であると判断した場合、抽出した位置情報全体で前記変動の大きさが所定値よりも大きいと判断するようにしてあり、
前記判定手段は、変動の大きさが所定値よりも大きいと判断した場合、前記抽出手段により抽出した位置情報全体について誤りであると判定するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記判定手段により誤りであると判定した場合に、誤りであると判断された位置情報を無効な位置情報として記憶する手段を更に備えること
を特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記判定手段により誤りであると判定した場合、誤りであると判断された位置情報の近傍にある所定の複数の位置情報の中央値又は平均値を算出する手段と、
誤りであると判断された位置情報を算出した中央値又は平均値によって補正又は補完する手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項8】
移動体の位置情報を時系列で検出する位置検出方法において、
時系列で検出した位置情報の内の注目位置情報について、先行の位置情報が示す位置から前記注目位置情報が示す位置への第1のベクトルを算出し、
前記注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への第2のベクトルを算出し、
算出した前記第1のベクトルと前記第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断し、
負の所定値未満であると判断した場合、前記注目位置情報を前記移動体の位置を示す情報として誤りであると判定すること
を特徴とする位置検出方法。
【請求項9】
コンピュータに、移動体の位置情報を時系列に検出する手段により検出され、時間情報に対応付けられた前記移動体の位置情報を受け付けるステップを実行させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
受け付けた位置情報の内の注目位置情報について、時系列的に先行の位置情報が示す位置から前記注目位置情報が示す位置への第1のベクトルを算出するステップと、
前記注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への第2のベクトルを算出するステップと、
算出した前記第1のベクトルと前記第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断するステップと、
負の所定値未満であると判断した場合、前記注目位置情報を前記移動体の位置を示す情報として誤りであると判定するステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、移動体の位置情報を時系列に検出する手段により検出され、時間情報に対応付けられた移動体の前記位置情報を受け付けるステップを実行させるコンピュータプログラムを記録してある、コンピュータでの読み取りが可能な記録媒体において、
コンピュータに、
受け付けた位置情報の内の注目位置情報について、時系列的に先行の位置情報が示す位置から前記注目位置情報が示す位置への第1のベクトルを算出するステップと、
前記注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への第2のベクトルを算出するステップと、
算出した前記第1のベクトルと前記第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断するステップと、
負の所定値未満であると判断した場合は、前記注目位置情報を前記移動体の位置を示す情報として誤りであると判定するステップと
を実行させるコンピュータプログラムを記録してあること
を特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。
【請求項11】
座標又は時間であるn次元の変数の変化に対応して値が連続的に変化する各座標又は時間におけるm次元で表される観測値であるデータの誤りを判定するデータ判定装置において、
各データの内の注目データについて、注目データに対応する変数と異なる変数の内の、前記変数の空間的又は時間的に近傍の第1変数における第1観測値から、前記注目データの観測値への値の変化の傾向を示す第1のベクトルを求める手段と、
前記注目データの観測値から、前記注目観測値に対して第1観測値とは空間的又は時間的に逆の近傍の第2変数における第2観測値への値の変化の傾向を示す第2のベクトルを求める手段と、
求めた前記第1のベクトル及び第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断する判断手段と、
負の所定値未満であると判断した場合、前記注目データを誤りであると判定する判定手段と
を備えることを特徴とするデータ判定装置。
【請求項12】
座標又は時間であるn次元の変数の変化に対応して値が連続的に変化する各座標又は時間におけるm次元で表される観測値であるデータの誤りを判定するデータ判定方法において、
各データの内の注目データについて、注目データに対応する変数と異なる変数の内の、前記変数の空間的又は時間的に近傍の第1変数における第1観測値から、前記注目データの観測値への値の変化の傾向を示す第1のベクトルを求め、
前記注目データの観測値から、前記注目観測値に対して第1観測値とは空間的又は時間的に逆の近傍の第2変数における第2観測値への値の変化の傾向を示す第2のベクトルを求め、
求めた前記第1のベクトル及び第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断し、
負の所定値未満であると判断した場合、前記注目データを誤りであると判定すること
を特徴とするデータ判定方法。
【請求項13】
コンピュータに、座標又は時間であるn次元の変数の変化に対応して値が連続的に変化する各座標又は時間におけるm次元で表される観測値であるデータの誤りを判定させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
各データの内の注目データについて、注目データに対応する変数と異なる変数の内の、前記変数の空間的又は時間的に近傍の第1変数における第1観測値から、前記注目データの観測値への値の変化の傾向を示す第1のベクトルを求めるステップと、
前記注目データの観測値から、前記注目観測値に対して第1観測値とは空間的又は時間的に逆の近傍の第2変数における第2観測値への値の変化の傾向を示す第2のベクトルを求めるステップと、
求めた前記第1のベクトル及び第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断するステップと、
負の所定値未満であると判断した場合、前記注目データを誤りであると判定するステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、時系列に検出した移動体の各位置情報夫々に対して誤りを判定し、誤りを含む位置情報を除去、補正又は補完することができる位置検出装置、位置検出方法、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラムを記録した記憶媒体、時系列の位置情報に限らず、連続する変数に対する観測値である各データに対して誤りを判定することができるデータ判定装置、データ判定方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯又は事後対処を迅速にするためにGPS(Global Positioning System)機能を搭載した携帯電話機を子供に携帯させ、保護者が子供の現在位置及び移動軌跡を把握できるサービスが提供されている。同様に自動車等の車輌にGPS端末装置を搭載しておき、盗難にあった場合に車輌の現在位置及び移動軌跡を把握することができるサービスが提供されている。
【0003】
上述のようなサービスでは、GPS端末装置がGPS衛星からの時刻情報を受信し、時刻情報のずれに基づきGPS衛星からの距離を測定することによって自身の位置を検出する。また、基地局からの位置情報又は補正情報を受信することによって大まかな位置の検出又は検出した位置に対する補正が行なわれている場合もある。GPS端末装置で検出された位置情報はサーバ装置に送信されてGPS端末装置毎に集約され、サーバ装置に接続している端末装置が、サーバ装置から目的のGPS端末装置についての位置情報を取得し、表示装置へ地図イメージとその地図イメージ上の位置情報に相当する位置とを出力する。表示装置には、地図イメージ上に移動体の位置が時系列に表示されるので、ユーザはそれを視認することによって子供、車輌等の現在位置及び移動軌跡を把握することが可能である。
【0004】
しかしながら、GPS端末装置での測位は、地下街、建物内、ビルの陰などではGPS衛星からの受信電波が弱くなるので位置情報の精度が悪化する場合がある。したがって、本来は居るはずもない異常な位置に相当する位置情報が算出されるなどの問題が発生する。そこで、GPS端末装置では、GPS衛星から受信した時刻情報に基づいて算出した各位置情報の誤差を評価し、誤差の影響が大きく異常な値であると判断される位置情報を除去又は推定補完するなどの処理が可能である。
【0005】
誤差の評価は一般的に、測定値yが真の値xに対して誤差eを含んでいると仮定し、測定値に対する真の値のモデルを仮定する。測定値yに対する誤差eが最小となるように真の値xのモデルの仮定を検討することによって尤もらしいモデルを求め、求められたモデルに相当するxと測定値yとの差分eが誤差であると評価することも可能である。例えば、複数の測定に対するi番目の測定値yiを、yi=xi+eiと表現し、xiが時間tに対してxi=a・ti+bで表される線形回帰モデルを仮定する。仮定した線形回帰モデルに対し、誤差eiの時間分布に対する二乗和(式1)が最小となるように係数a及びbを決定してxiの推定値を算出する方法がある。この場合、誤差eiは測定値yiと推定値xi=a・ti+bとの差分で評価される。
【0006】
【数1】
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【0007】
特許文献1には、車輌外の人間又は物の存在及びその位置を検出した際、測定値に対して上述のように線形回帰モデルを仮定して誤差を平滑化し、その後継続して検出される物の位置の予測に対する予測誤差を低減させることができる技術が開示されている。
【0008】
また、測定値に対して統計的予測値を求めるカルマンフィルターと呼ばれる方法がある(特許文献2)。GPSを搭載したカーナビゲーションシステムにおいてカルマンフィルターを使用して車輌の位置を補正するものも存在する。
【0009】
さらに、注目する測定値の近傍の測定値を大小に順番に並べ、中央値(メディアン)を推定値とするメディアンフィルターと呼ばれる方法により、インパルス系の突如発生するノイズを効果的に除去して他の測定値を採用する技術が開示されている(特許文献3)。

【特許文献1】特開2001-272466号公報
【特許文献2】特開2002-6898号公報
【特許文献3】特開2006-270656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1による場合は、誤差の評価は可能であるがモデルの仮定の仕方によって推定値が決められるので、例えば時系列に変動する等様々な要因によって異なる誤差を同格に取り扱い、全体的に平滑化して評価してしまうことになる。したがって、誤差がインパルス的に突如発生している場合であってもその極端に大きい誤差が入ることによって仮定モデルが影響を受けて全体として推定値にも影響するので、実際は誤差が少なかった測定値に対しても誤差が大きく評価されることとなり、測定値よりも真の値から離れた値が推定値とされる虞がある。
【0011】
そこで、モデルを仮定する以前にモデルを適用する測定値を選別しておく方法も考えられる。即ち、異常に大きい誤差の影響を除くため、注目している測定値の近傍で最大値と最小値を取り除いてからモデルを適用し、誤差が最小となるように係数を決定する。しかしながら、単に最大値である又は最小値であることによって測定値を不採用とする根拠はない。異常に誤差が大きい測定値が複数ある場合は最大値及び最小値を夫々1つずつ取り除いても誤差の影響を取り除くことはできない。さらに、真の値そのものが大きく変動している場合は近傍の真の値と比較しても大きな差があるので、移動体の時間の経過に対する位置を測定している場合、速度が早い時間帯では例えば極めて短時間に数回測定した位置は大きく変動するが、測定による誤差が大きいのか又は実際に位置が変動しているのかを判別することは難しい。つまり、真の値そのものが大きく変動している場合は、誤差を識別することは困難である。
【0012】
また、特許文献2に開示されているカルマンフィルターを使用する場合は統計的な予測を行なうので、統計的な制度を高めるために多くの計算量が必要であって計算負荷が増大する。GPS端末装置の軽量化が進められている一方で、計算負荷が増大することによる使用電力の増加は軽量化に反する。
【0013】
特許文献3に開示されているメディアンフィルターを使用する場合は、近傍の測定値の内の中央値となる測定値を採用することにより、突如発生するノイズ(インパルス系ノイズ)を含む測定値に、推定値が全体として影響されないようにすることが可能である。しかしながら、メディアンフィルターは、誤差の大きい値を無視するため使用するものであり、測定値夫々に対して近傍の測定値との関係に基づいて誤差の大きさを評価するものではない。
【0014】
本発明は斯かる事情を鑑みてなされたものであり、検出した位置情報の内の注目位置情報について、時系列に前後する位置情報で変化傾向の変動が大きい場合、当該注目位置情報は誤りであると判定する構成とすることにより、検出精度の悪さ又は他の要因によって真の値から大きく振れた大きな誤差を含む検出値又は偽の検出値である位置情報を誤りと判定することができる位置検出装置、位置検出方法、コンピュータを位置検出装置として機能させるコンピュータプログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【0015】
本発明の他の目的は、検出した位置情報の内の注目位置情報について時系列に前後する位置情報との変化を夫々ベクトルで表現し、ベクトル演算で得られた値によって変化傾向の変動の大きさを判断する構成とすることにより、検出した位置情報夫々に含まれる誤りを簡易に判定することができる位置検出装置を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、検出した位置情報の内の注目位置情報について時系列に前後する位置情報との変化を夫々ベクトルで表現し、変化に要した時間で正規化した上、ベクトル演算で得られた値によって変化傾向の変動の大きさを判断する構成とすることにより、変化に要した時間を考慮して検出した位置情報夫々に含まれる誤りを簡易に判定することができる位置検出装置を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、検出した位置情報の内の注目位置情報に対して、時系列に前後する位置情報の組み合わせを複数抽出し、夫々の組み合わせに対して変化傾向の変動の大きさを判断する構成とすることにより、変化に要した時間を考慮して複数の近傍の位置情報に対し短時間で大きく振れた位置情報を誤りと精度よく判定することができる位置検出装置を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、検出した位置情報の内の注目位置情報に対して、時系列に前後する位置情報の組み合わせを複数抽出し、夫々の組み合わせに対して変化傾向の変動の大きさに対応する値を算出し、変動の大きさに対応する値と、変化に要する時間との相関を表す相関係数が所定値よりも低い場合は注目位置情報を誤りであると判定する構成とすることにより、短い時間で変化する一方で変化傾向の変動が大きい相関関係を近傍の位置情報に対して表す位置情報を、誤りを含む可能性の高い位置情報として判定することができる位置検出装置を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、検出した位置情報の内の時系列に連続する位置情報を抽出し、抽出した位置情報夫々について前後する位置情報との変化傾向の変動の大きさに対応する値を算出し、変化傾向の変動が大きいと判断できる位置情報の存在率が所定の割合以上であるかによって抽出した位置情報全体に対して誤りを判定する構成とすることにより、抽出した位置情報に相当する領域を誤りが多く含まれる範囲として判別することができる位置検出装置を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、誤りである位置情報又は誤りが多く含まれる位置情報は無効な情報とすることにより、後に他の検出した位置情報と別に扱うこと又は、検出した位置情報から除去することができる位置検出装置を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、誤りである位置情報又は誤りが多く含まれる位置情報を補正又は補完して正しい位置を推定することができる位置検出装置を提供することにある。
【0022】
また、本発明の他の目的は、変数に対する各データの内の注目データについて、近傍のデータとの間における変化傾向の変動が大きい場合、当該注目データは誤りであると判定する構成とすることにより、測定、観測精度の悪さ又は他の要因によって真の値から大きく振れた大きな誤差を含むデータ又は偽のデータを誤りと判定することができ、誤りである注目データは後に除去、補正又は補完をすることができるデータ判定装置、データ判定方法、及びコンピュータをデータ判定装置として機能させるコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
第1発明に係る位置検出装置は、移動体の位置情報を時系列に検出する手段を備える位置検出装置において、時系列に検出した位置情報の内の注目位置情報について、先行の位置情報が示す位置から前記注目位置情報が示す位置への第1のベクトルを算出する手段と、前記注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への第2のベクトルを算出する手段と、算出した前記第1のベクトルと前記第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断する判断手段と、該判断手段が所定値未満であると判断した場合に前記注目位置情報を前記移動体の位置を示す情報として誤りであると判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
発明に係る位置検出装置は、前記内積を、前記先行の位置情報に対応する時点から前記注目位置情報に対応する時点への経過時間で除算し、更に前記注目位置情報に対応する時点から前記後続の位置情報に対応する時点への経過時間で除算する手を備え、前記判断手段は、前記手段の算出結果が負の所定値未満であるか否かを判断するようにしてあることを特徴とする。
【0026】
発明に係る位置検出装置は、前記注目位置情報について、先行の位置情報と後続の位置情報とを夫々複数抽出する手段と、抽出した先行の位置情報と後続の位置情報との各組み合わせに対し夫々、前記第1のベクトル及び第2のベクトルを算出するようにしてあり、算出した第1のベクトルと第2のベクトルとの内積を算出する第1算出手段と、該第1算出手段により算出した内積を前記先行の位置情報に対応する時点から前記注目位置情報に対応する時点への経過時間で除算し、更に前記注目位置情報に対応する時点から前記後続の位置情報に対する時点への経過時間で除算する第2算出手段と、前記各組み合わせに対して夫々前記第2算出手段により算出した値の平均値を算出する第3算出手段とを備え、前記判断手段は、前記第3算出手段により算出した平均値が負の所定値未満であるか否かを判断するようにしてあることを特徴とする。
【0027】
発明に係る位置検出装置は、前記注目位置情報について、先行の位置情報と後続の位置情報とを夫々複数抽出する手段と、抽出した先行の位置情報と後続の位置情報との各組み合わせに対し夫々、前記第1のベクトル及び第2のベクトルを算出する手段と、算出した第1のベクトルと第2のベクトルとの内積を算出する第1算出手段と、前記先行の位置情報に対応する時点から前記注目位置情報に対応する時点への経過時間と、前記注目位置情報に対応する時点から前記後続の位置情報に対応する時点への経過時間とを乗算する第2算出手段と、各組み合わせに対して前記第1算出手段により算出した内積と前記第2算出手段により算出した値との相関係数を算出する第3算出手段とを備え、前記判断手段は、前記第3算出手段により算出した相関係数が所定値未満であるか否かを判断するようにしてあることを特徴とする。
【0028】
発明に係る位置検出装置は、検出した位置情報から時系列に連続する位置情報を抽出する抽出手段と、該抽出手段により抽出した位置情報夫々について、前記第1のベクトル及び第2のベクトルを算出する手段と、算出した第1のベクトルと第2のベクトルとの内積を算出する第1算出手段と、前記先行の位置情報に対応する時点と前記位置情報に対応する時点との時間差及び前記位置情報に対応する時点と前記後続の位置情報に対応する時点との時間差で前記第1算出手段により算出した内積を除算する第2算出手段とを備え、前記判断手段は、前記抽出手段により抽出した位置情報夫々について前記第2算出手段により算出した値が所定値未満であるか否かを判断する手段と、所定値未満であると判断された位置情報の、抽出した位置情報全体に対する割合を算出する第3算出手段とを備え、前記第3算出手段により算出した割合が所定の割合以上であると判断した場合、抽出した位置情報全体で前記変動の大きさが所定値よりも大きいと判断するようにしてあり、前記判定手段は、変動の大きさが所定値よりも大きいと判断した場合、前記抽出手段により抽出した位置情報全体について誤りであると判定するようにしてあることを特徴とする。
【0029】
発明に係る位置検出装置は、前記判定手段により誤りであると判定した場合に、誤りであると判断された位置情報を無効な位置情報として記憶する手段を更に備えることを特徴とする。
【0030】
発明に係る位置検出装置は、前記判定手段により誤りであると判定した場合、誤りであると判断された位置情報の近傍にある所定の複数の位置情報の中央値又は平均値を算出する手段と、誤りであると判断された位置情報を算出した中央値又は平均値によって補正又は補完する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0031】
発明に係る位置検出方法は、移動体の位置情報を時系列で検出する位置検出方法において、時系列で検出した位置情報の内の注目位置情報について、先行の位置情報が示す位置から前記注目位置情報が示す位置への第1のベクトルを算出し、前記注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への第2のベクトルを算出し、算出した前記第1のベクトルと前記第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断し、負の所定値未満であると判断した場合、前記注目位置情報を前記移動体の位置を示す情報として誤りであると判定することを特徴とする。
【0032】
発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、移動体の位置情報を時系列に検出する手段により検出され、時間情報に対応付けられた前記移動体の位置情報を受け付けるステップを実行させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、受け付けた位置情報の内の注目位置情報について、時系列的に先行の位置情報が示す位置から前記注目位置情報が示す位置への第1のベクトルを算出するステップと、前記注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への第2のベクトルを算出するステップと、算出した前記第1のベクトルと前記第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断するステップと、負の所定値未満であると判断した場合、前記注目位置情報を前記移動体の位置を示す情報として誤りであると判定するステップとを実行させることを特徴とする。
【0033】
10発明に係るコンピュータが読取可能な記録媒体は、コンピュータに、移動体の位置情報を時系列に検出する手段により検出され、時間情報に対応付けられた移動体の前記位置情報を受け付けるステップを実行させるコンピュータプログラムを記録してある、コンピュータでの読み取りが可能な記録媒体において、コンピュータに、受け付けた位置情報の内の注目位置情報について、時系列的に先行の位置情報が示す位置から前記注目位置情報が示す位置への第1のベクトルを算出するステップと、前記注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への第2のベクトルを算出するステップと、算出した前記第1のベクトルと前記第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断するステップと、負の所定値未満であると判断した場合は、前記注目位置情報を前記移動体の位置を示す情報として誤りであると判定するステップとを実行させるコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0034】
11発明に係るデータ判定装置は、座標又は時間であるn次元の変数の変化に対応して値が連続的に変化する各座標又は時間におけるm次元で表される観測値であるデータの誤りを判定するデータ判定装置において、各データの内の注目データについて、注目データに対応する変数と異なる変数の内の、前記変数の空間的又は時間的に近傍の第1変数における第1観測値から、前記注目データの観測値への値の変化の傾向を示す第1のベクトルを求める手段と、前記注目データの観測値から、前記注目観測値に対して第1観測値とは空間的又は時間的に逆の近傍の第2変数における第2観測値への値の変化の傾向を示す第2のベクトルを求める手段と、求めた前記第1のベクトル及び第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断する判断手段と、負の所定値未満であると判断した場合、前記注目データを誤りであると判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0035】
12発明に係るデータ判定方法は、座標又は時間であるn次元の変数の変化に対応して値が連続的に変化する各座標又は時間におけるm次元で表される観測値であるデータの誤りを判定するデータ判定方法において、各データの内の注目データについて、注目データに対応する変数と異なる変数の内の、前記変数の空間的又は時間的に近傍の第1変数における第1観測値から、前記注目データの観測値への値の変化の傾向を示す第1のベクトルを求め、前記注目データの観測値から、前記注目観測値に対して第1観測値とは空間的又は時間的に逆の近傍の第2変数における第2観測値への値の変化の傾向を示す第2のベクトルを求め、求めた前記第1のベクトル及び第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断し、負の所定値未満であると判断した場合、前記注目データを誤りであると判定することを特徴とする。
【0036】
13発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、座標又は時間であるn次元の変数の変化に対応して値が連続的に変化する各座標又は時間におけるm次元で表される観測値であるデータの誤りを判定させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、各データの内の注目データについて、注目データに対応する変数と異なる変数の内の、前記変数の空間的又は時間的に近傍の第1変数における第1観測値から、前記注目データの観測値への値の変化の傾向を示す第1のベクトルを求めるステップと、前記注目データの観測値から、前記注目観測値に対して第1観測値とは空間的又は時間的に逆の近傍の第2変数における第2観測値への値の変化の傾向を示す第2のベクトルを求めるステップと、求めた前記第1のベクトル及び第2のベクトルとの内積が負の所定値未満であるか否かを判断するステップと、負の所定値未満であると判断した場合、前記注目データを誤りであると判定するステップとを実行させることを特徴とする。
【0037】
本発明にあっては、注目位置情報について時系列で先行の位置情報からの変化を表わす第1のベクトルと、後続の位置情報への変化を表わす第2のベクトルとの内積(ドット積)に基づき、注目位置情報の前後における移動体の移動傾向の変動の大きさ、即ち、前後の位置情報が示す位置との間における変化傾向の変動の大きさが、内積が負の所定値未満か否かにより判断される。大きな振れを相殺するように、第2のベクトルが示す移動の向きが第1のベクトルと逆の向きである場合、第1のベクトルと第2のベクトルとのなす角度は鈍角となり、内積は負の値を有する。内積が負の所定値未満であると判断された場合は、注目位置情報は誤りであると判定される。なお、先行の位置情報は注目位置情報に対し時系列的に直前とは限らず、同様に後続の位置情報は時系列的に直後とは限らない。
【0038】
本発明にあっては、注目位置情報に対し、先行の位置情報から注目位置情報への変化を表す第1のベクトルと注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への変化を表す第2のベクトルとの内積(ドット積)が算出され、算出された内積が位置の変化傾向即ち移動傾向の変動の大きさに対応する値として扱われる。内積の値が所定値未満である場合に移動傾向の変動が大きいと判断され、当該注目位置情報は移動体の位置を示す情報として誤りであると判定される。
【0039】
本発明にあっては、注目位置情報に対し、先行の位置情報から注目位置情報への変化を表す第1のベクトルと注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への変化を表す第2のベクトルとの内積(ドット積)が算出され、さらに、算出された内積は夫々の変化に要した時間で除算される。除算された値は、位置の変化傾向、即ち移動傾向の変動の大きさに対応する値として扱われ、当該値が所定値未満である場合は移動傾向の変動が大きいと判断され、当該注目位置情報は移動体の位置を示す情報として誤りであると判定される。
【0040】
本発明にあっては、注目位置情報に対し、先行の位置情報と後続の位置情報との組み合わせが抽出され、各組み合わせに対して先行の位置情報が示す位置から注目位置情報が示す位置への変化を表す第1のベクトルと、注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への変化を表す第2のベクトルとの内積(ドット積)が算出され、さらに、算出された内積は夫々の変化に要した時間で正規化される。正規化された内積の値は、位置の変化傾向、即ち移動傾向の変動の大きさに対応する値として扱われ、当該値が所定値よりも低い場合は注目位置情報の前後で移動傾向の変動が大きいと判断され、当該注目位置情報は誤りと判定される。
【0041】
本発明にあっては、前記注目位置情報について、先行の位置情報と後続の位置情報とが夫々複数抽出され、抽出された位置情報夫々を注目位置情報として、先行の位置情報が示す位置から注目位置情報が示す位置への移動を表す第1のベクトルと、注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への移動を表す第2のベクトルとの内積(ドット積)が算出される。抽出された位置情報夫々に対して算出された内積と変化に要した時間との相関係数が更に算出される。算出された相関係数は、位置の変化傾向、即ち移動傾向の変動の大きさに対応する値として扱われ、当該値が所定値よりも低い場合は近傍の注目位置情報全体に対して移動傾向の変動が大きいと判断され、注目位置情報は誤りと判定される。
【0042】
本発明にあっては、時系列に連続する位置情報が抽出され、抽出された位置情報夫々を注目位置情報として、先行の位置情報が示す位置から注目位置情報が示す位置への移動を表す第1のベクトルと、注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への移動を表す第2のベクトルとの内積(ドット積)が算出され、さらに、算出された内積は夫々の変化に要した時間で正規化される。抽出された位置情報夫々について正規化された内積が所定値未満であるか否かが判断され、所定値未満であると判断された位置情報の、抽出された位置情報全体に対する割合が算出される。算出された割合は、位置の変化傾向、即ち移動傾向の変動の大きさに対応する値として扱われ、当該割合が所定の割合以上であるか否かが判断される。所定の割合以上であると判断された場合は、抽出された位置情報全体について移動傾向の変動が大きいと判断され、誤りであると判定される。
【0043】
本発明にあっては、誤りと判定された位置情報は移動体の位置情報として無効な位置情報として記憶される。
【0044】
本発明にあっては、誤りと判定された位置情報は時系列として近傍の複数の位置情報の中央値又は平均値で補正又は補完される。
【0045】
本発明にあっては、注目データについて近傍のデータの内の一からの変化と、他の近傍のデータへの変化との間における変化傾向の変動に対し、変動の大きさが所定値よりも大きいか否かが判断される。変化傾向の変動が大きいと判断された場合は、注目データは誤りであると判定される。
【発明の効果】
【0046】
本発明による場合、移動体についての先行の位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への中間地点を示す注目位置情報に対し、検出の精度が悪いために先行の位置情報から注目位置情報へ検出値が振れ、注目位置情報から後続の位置情報へ振れを相殺するように検出値が変化したときは、変化の向きが大きく変る。したがって、位置検出装置は、変化傾向の変動が大きいと判断することができ、大きな誤差を含む検出値又は偽の検出値を誤りと判定することができる。なお、本発明による場合は、位置情報に限らず、連続する測定量、検出量等の観測値の内の注目値について前後の値との変化の間における変化傾向の変動が大きいか否かを判断することによって、他の測定量、検出量等の観測値に対する誤りの判定に応用することが可能である。
【0047】
本発明による場合、注目位置情報が精度の悪さ又は他の要因によって大きな誤差を含む検出値又は偽の検出値であり、先行の位置情報から注目位置情報へ検出値が振れ、注目位置情報から後続の位置情報へ振れを相殺するように検出値が変化するときは、夫々の変化を表すベクトルの内積は所定値よりも低い(負)値を示すことから、位置検出装置は変化傾向の変動が大きいと判断することができ、注目位置情報を誤りと簡易に判定することができる。
【0048】
本発明による場合、注目位置情報が精度の悪さ又は他の要因によって大きな誤差を含む検出値又は偽の検出値であり、先行の位置情報から注目位置情報へ検出値が振れ、注目位置情報から後続の位置情報へ振れを相殺するように短時間で検出値が変化するときは、夫々の変化を表すベクトルの内積は低い(負)値を示し、さらに短時間で変化するほど絶対値が大きくなり低い値を示すことから、位置検出装置は、変化の傾向の変動が大きいと判断することができる。したがって、位置検出装置は、精度の悪さによってより短時間で大きく振れた位置情報を誤りと判定することができる。
【0049】
本発明による場合、注目位置情報が精度の悪さ又は他の要因によって大きな誤差を含む検出値又は偽の検出値であり、複数の近傍の位置情報に対していずれも、先行する位置情報が示す位置からの方向及び後続の位置情報が示す位置への方向が夫々短時間に相殺するように振れるときは、夫々の変化を表すベクトルの内積を変化に要した時間で除算した値の平均値は所定値よりも低くなる。したがって、位置検出装置は、変化傾向の変動が大きいと判断することができ、複数の近傍の位置情報に対し短時間で大きく振れた位置情報を誤りと精度よく判定することができる。
【0050】
本発明による場合、注目位置情報が精度の悪さ又は他の要因によって大きな誤差を含む検出値又は偽の検出値であり、複数の近傍の位置情報に対していずれも、先行の位置情報から注目位置情報へ検出値が振れ、注目位置情報から後続の位置情報へ振れを相殺するように振れるときは、近傍の位置情報との関係において、変化に要する時間が短い一方で変化傾向の変動が大きい相関関係が現れ、負の相関係数を示す。したがって、位置検出装置は、先行する位置情報が示す位置からの方向及び後続の位置情報が示す位置への方向が夫々短時間に逆方向に振れるために夫々の方向を示すベクトルの内積と変化に要した時間との相関を表す相関係数を算出することによって、変化傾向の変動が大きいと判断することができ、誤りを判定することができる。
【0051】
本発明による場合、連続する位置情報に対し、先行の位置情報から注目位置情報へ検出値が振れ、注目位置情報から後続の位置情報へ振れを相殺するように検出値が変化する状態が頻繁に起こっている場合は、抽出された位置情報全体に対して、変化傾向の変動が大きいと判断できる位置情報の存在率が大きくなることから、位置検出装置は、抽出した位置情報に相当する領域を誤りが多く含まれる範囲として判別することができる。
【0052】
本発明による場合は、検出した位置情報を使用する際、誤りと判定された位置情報は無効な位置情報として記憶されているので、他の位置情報と別に扱うようにし、例えば検出した位置情報から除去することができる。
【0053】
本発明による場合は、検出した位置情報を使用する際、誤りと判定された位置情報に対し、近傍の位置情報を使用して補正又は補完することができる。
【0054】
本発明による場合は、判定の対象とするデータに対し、観測の精度が悪いために近傍のデータから大きく振れ、他の近傍のデータへ振れを相殺するように変化したときは、変化傾向が大きく変動する。したがって、真の値が連続的に変化していると推定されるにも拘わらず、データが近傍のデータと比較して変化傾向が外れた連続性のない値を、大きな誤差を含むデータ又は偽のデータとして判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0056】
本発明に係る位置検出装置として、GPS機能を有して自身の位置を示す位置情報を検出する携帯電話機を例に以下に説明する。
【0057】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る携帯電話機による位置情報の検出のしくみを模式的に示す構成図である。携帯電話機1は基地局BSとの間で電波を送受信することによる電話機能の他にGPS機能を有し、GPS衛星S1,S2,…から一定時間毎に送信される時刻情報に基づいて自身の位置を検出する。なお、携帯電話機1は検出した位置を示す位置情報を基地局BSを介して図示しないサーバ装置へ送信してもよい。
【0058】
図2は、本発明に係る携帯電話機1の内部構成を示すブロック図である。携帯電話機1は、以下の各構成部の動作を制御する制御部10と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを有する記憶部11と、基地局BSとの間で電波を送受信するRF(Radio Frequency)送受信部12と、GPS衛星S1,S2,…からの信号を受信するGPS受信部13と、テンキー等のボタンを有する操作部14と、液晶パネル等を有する表示部15と、スピーカ161及びマイク162を有する音声入出力部16とを備える。
【0059】
携帯電話機1の記憶部11が有する不揮発性メモリには、携帯電話機1として動作するための制御プログラム1Pが記憶されている。携帯電話機1の制御部10は、制御プログラム1Pを記憶部11から読み出して実行することにより各構成部の制御を行なう。なお、制御プログラム1Pは、制御部10が内蔵する図示しないROMに予め記憶されていてもよいし、図示しないサーバ装置からダウンロードするようにしてある構成でもよい。また、携帯電話機1の記憶部11が有するEEPROM等の不揮発性メモリには電話番号等の各種情報が記憶されている。携帯電話機1の記憶部11が有するRAM等の揮発性メモリには制御部10の処理によって一時的に発生する情報が記憶される。さらに、携帯電話機1の制御部10は、後述するGPS受信部13により検出する位置情報を記憶部11に一時的に記憶する。
【0060】
RF送受信部12は、アンテナ121を有して基地局BSとの電波の送受信を実現し、携帯電話機1の制御部10はRF送受信部12によって通話音声を表す信号の送受信、及びその他データの送受信等の通信を行なう。
【0061】
GPS受信部13は、例えば10秒の所定時間が経過する都度GPS衛星S1,S2,…から送信される電波を受信し、電波に乗せられた時刻情報に基づいてGPS衛星S1,S2,…からの距離を算出して経緯度を検出し位置情報として制御部10へ送信する。なお、GPS受信部13は電波に乗せられた時刻情報を位置情報と共に制御部10へ送信する。
【0062】
音声入出力部16は、制御部10がRF送受信部12により受信した通話音声を復号してスピーカ161により音声を出力し、マイク162により入力された音声を符号化する処理を行なう。制御部10は符号化された音声信号をRF送受信部12によって基地局BSへ送信する。
【0063】
携帯電話機1の制御部10は、操作部14によりユーザの操作を受け付け、表示部15へ番号、アイコン等のテキスト、イメージを表示する。
【0064】
上述のように構成される携帯電話機1が例えば学校、社屋等の屋内に入った場合、GPS衛星S1,S2,…から受信することができる電波の強度が弱まる。また、携帯電話機1がビルが林立する領域、高架道路の下等の建物の入り組んだ領域に入った場合、GPS衛星S1,S2,…からの電波が反射する場合がある。この場合、携帯電話機1のGPS受信部13で検出される経緯度の位置情報は、大きな誤差又は偽の情報を含むときがある。
【0065】
本発明に係る携帯電話機1の制御部10は、GPS受信部13で検出される位置情報に対し、誤りを判定する判定処理を行なう。また、携帯電話機1の制御部10は、判定処理を行なうためにGPS受信部13から送信された位置情報を時系列に記憶部11に一時的に記憶しておき、先行の位置情報からの変化と後続の位置情報への変化との間における変化傾向の変動の大きさを判断する判断処理を行なう。以下、携帯電話機1の制御部10による判断処理及び判定処理について説明する。
【0066】
携帯電話機1の制御部10は、前述のように所定時間が経過する都度GPS受信部13で検出された位置情報を記憶部11に一時的に記憶している。なお、携帯電話機1の制御部10は後に、記憶部11に記憶した位置情報を1次元変数である時間に対して昇順に読み出すために位置情報にiで表す番号を時系列に振り、番号iに対応付けて記憶している。携帯電話機1の制御部10は、記憶部11からi番目及びその前後の位置情報を読み出してi番目の位置情報に対する判断処理及び判定処理を行なう。図3は、本発明の実施の形態1における携帯電話機1の制御部10が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0067】
携帯電話機1の制御部10は、時系列を表す番号順に位置情報を読み出すために番号iに0を代入し(ステップS101)、番号iに1を加算して(ステップS102)位置情報Pi-1,Pi ,Pi+1を読み出す(ステップS103)。なお、位置情報Pi は経度、緯度を変数に持つベクトルを表す。
【0068】
次に携帯電話機1の制御部10は、判定の対象となる注目位置情報Pi に対し、先行する位置情報Pi-1から注目位置情報Pi への変化即ち移動を示すベクトルV1 =(Pi -Pi-1)を算出する(ステップS104)。さらに注目位置情報Pi から後続の位置情報Pi+1への変化即ち移動を示すベクトルV2 =(Pi+1-Pi )を算出する(ステップS105)。
【0069】
携帯電話機1の制御部10は、ステップS104及びステップS105で算出したベクトルV1 とV2 との内積(ドット積)TC=V1 ・V2 =(Pi -Pi-1)・(Pi+1-Pi )を算出する(ステップS106)。なお、S104~S106によるTCの計算の代わりに、括弧を展開した計算式TC=Pi-1・Pi +Pi ・Pi+1-Pi-1・Pi+1-Pi ・Pi に従って算出してもよい。
【0070】
携帯電話機1の制御部10は、ステップS106において算出した内積の値TCが所定値C未満であるか否かを判断する(ステップS107)。携帯電話機1の制御部10は、内積の値TCが所定値C未満であると判断した場合(S107:YES)、注目位置情報Pi を、誤りを含む位置情報であると判定して記憶部11に無効な位置情報として一時的に記憶し(ステップS108)、注目位置情報Pi に対する後続の位置情報Pi+1が記憶部11に一時的に記憶している位置情報の最後の位置情報であるか否かを番号iが最大値よりも1少ない数値である(i==MAX(i)-1)か否かによって判断する(ステップS109)。
【0071】
携帯電話機1の制御部10は、iが最大値よりも1少ない数値ではないと判断した場合(S109:NO)、処理をステップS102へ戻して後続の位置情報を注目位置情報として判断処理及び判定処理を継続する。
【0072】
一方、携帯電話機1の制御部10は、iが最大値よりも1少ない数値であると判断した場合(S109:YES)、記憶部11に無効な位置情報として記憶してある位置情報を検出した位置情報から除去し(ステップS110)、処理を終了する。
【0073】
無効な位置情報を除去した後は例えば、記憶部11に記憶してある位置情報に基づいて自身の移動軌跡を表示部15で地図イメージ上に表示する処理を行なってもよい。なお表示部15での地図イメージ上での表示においては無効な位置情報を除去せず、他の位置情報に対する処理と異なる処理によって表示するようにしてもよい。例えば無効な位置情報として記憶してある位置情報については、他の位置情報と比較して位置情報に相当する位置を表す点を半透明に表示するようにしてもよい。また、図示しないサーバ装置へ位置情報を送信するようにしてある場合、無効な位置情報は送信されないよう、無効な位置情報を除去した後の検出した位置情報を基地局BSへ送信するようにしてもよい。
【0074】
図3に示したフローチャートにおけるステップS106において、携帯電話機1の制御部10が指標値(内積)TCを算出し、指標値(内積)TCが所定値C未満である場合(S107:YES)、誤りを含む位置情報であると判定する根拠について説明する。
【0075】
図4は、本発明の実施の形態1における携帯電話機1の制御部10が算出する内積TCの値が表す変化傾向の変動を模式的に示す説明図である。図4(a)及び(b)夫々には、時点ti-1から時点ti へ、時点ti から時点ti+1へ時間が経過した場合の移動体の位置の変化が示されている。つまり、時点ti-1での位置情報Pi-1が示す位置から時点ti での位置情報Pi が示す位置への移動の向きと、時点ti での位置情報Pi が示す位置から時点ti+1での位置情報Pi+1が示す位置への移動の向きが示されている。時点ti-1での位置情報Pi-1が示す位置から時点ti での位置情報Pi が示す位置への変化はベクトルV1 =Pi -Pi-1で表され、時点ti での位置情報Pi が示す位置から時点ti+1での位置情報Pi+1が示す位置への変化はベクトルV2 =Pi+1-Pi で表されている。
【0076】
図4(a)には、時点ti-1から時点ti への移動の向きと、時点ti から時点ti+1への移動体の移動の向きとがほぼ同一である場合を示している。一方、図4(b)には、時点ti-1から時点ti への移動の向きと、時点ti から時点ti+1への移動の向きとが逆である場合を示している。
【0077】
図4(a)に示しているように、移動の向きがほぼ同一である場合、ベクトルV1 とベクトルV2 とがなす角度θは鋭角である。したがって、変化傾向の変動の大きさに対応する指標値(内積)TCは正の値を有する。ベクトルV1 とベクトルV2 とがなす角度θが小さく同一の向きを向くほど指標値TCの値は高い値となる。一方、図4(b)に示しているように、移動の向きが逆の向きである場合、ベクトルV1 とベクトルV2 のなす角度θは鈍角となり変化傾向の変動の大きさに対応する指標値(内積)TCは負の値を有する。さらに、ベクトルV1 とベクトルV2 とがなす角度θが逆の向きを向いて180°に近づくほど指標値TCの値は負であって絶対値が大きくなり、低い値となる。
【0078】
時点ti における位置情報Pi が示す位置が偶然にも移動体の移動の折り返し時点であることを除き、移動体が一定の方向性を持って移動している場合、TCが負の値であるときは時点ti における位置情報Pi には無視できない誤差がある可能性が高いと考えられる。
【0079】
指標値(内積)TCが所定値C未満である場合(S107:YES)、誤りを含む位置情報であると判定するのは、図4に示したように移動体が自然に一定の方向性を持って自然に移動している場合は偶然にも移動体の移動の折り返し時点であることを除き、TCが負の値即ち先行の位置情報が示す位置から注目位置情報が示す位置への向きと注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への向きはほぼ同一の向きを向いていると考えられるからである。これに対し、各時点で位置情報が示す位置が大きく振れる場合は、真は一定の方向性を持って移動体が自然に移動しているにも拘わらず、各位置情報が大きな誤差を含む可能性が高いと考えられるからである。
【0080】
さらに、指標値(内積)TCが所定値C未満である場合(S107:YES)、誤りを含む位置情報であると判定する根拠について、数式による解釈を用いて説明する。
【0081】
判定の対象とする位置情報Pi は、時間という1次元変数に対する経緯度という2次元の数値データであり、1次元空間の時間ベクトルtにおいて、2次元ベクトルである観測値P(t)=(lo(t),la(t))が得られたと考えることができる。なお、loは経度(Longitude)、laは緯度(Latitude)を表す。
【0082】
実施の形態1では、観測値P(ti )の妥当性即ち誤りを含むか否かを判定するために、ベクトルti を中間時点とする時点ti-1及び時点ti+1夫々での観測値P(ti-1)及びP(ti+1)に対し、時間ベクトルti における変化傾向の変動を表す指標を
TC=(P(ti )-P(ti-1))・(P(ti+1)-P(ti ))・・・(2)
として算出する。TCは、時点ti-1における観測値P(ti-1)から時点ti における観測値P(ti )への差分ベクトルと、時点ti における観測値P(ti )から時点ti+1における観測値P(ti+1)への差分ベクトルとの内積(ドット積)で表される。
【0083】
TCを各ベクトル成分で表すと
TC=(lo(ti )-lo(ti-1))・(lo(ti+1)-lo(ti ))+(la(ti )-la(ti-1))・(la(ti+1)-la(ti ))・・・(3)
となる。
【0084】
なお、実施の形態1においては1次元の時間ベクトルにおける2次元の観測値を評価するので、各ベクトル成分で表したTCは式2及び3によって表され、それら位置情報に対する変動の大きさの判断処理及び誤りの判定処理を携帯電話機1の制御部10が実行することによってなされた。しかしながら、本発明は、判断処理及び判定処理については位置情報に限らずn次元のベクトルにおけるm次元の観測値、例えば3次元の空間ベクトルに対する、各位置での電界及び磁界という3次元の観測値の判定についても、2次元の平面上の位置を表すベクトルに対する、各位置での明度(グレースケール)というスカラーである観測値の判定についても適用できる。その場合、TCは一般化して以下式4のように表すことができる。
【0085】
【数2】
JP0004348441B2_000003t.gif

【0086】
式4において、ベクトルvはm次元の観測値、ベクトルp,a,bはn次元の変数ベクトルを表す。なお、式4において、ベクトルpはベクトルa及びベクトルbの中間点を示すので、各ベクトルp,a,bに対して少なくとも一の成分pi ,ai ,bi について (pi -ai )(bi -pi )>0、即ちai >pi >bi 又はai <pi <bi
・・・(5)
が成り立つことが条件となる。一の成分pi ,ai ,bi 以外の他の成分については式5は必ずしも成り立つ必要はない。したがって、式2及び3におけるベクトルti もベクトルpの条件式5に適用し、(ti -ti -1)(ti+1-ti )>0が成り立つことが条件である。
【0087】
また、式4においてm次元の観測値が1次元の観測値即ちスカラーである場合も、m=1の1次元ベクトルとして適用する。この場合、式4の右辺は変化量の乗算になる。変化量の乗算値が所定値よりも低い(負)場合は観測値に誤りが含まれていると判定することができる。例えばグレースケールのデジタル画像の解析を行ない、2次元の平面上の位置での明度(0~255)の観測量を判定する場合、隣り合う3つの画素で走査方向に向かって順に明度が128、255、132と観測された場合、128から255への変化量127と255から132への変化量マイナス123を乗算する。乗算して得られたマイナスが指標値TCである。TCが所定値未満であるか否かを判断することによって、誤りを含むか否かを判定することができる。
【0088】
ここで、中間点であるベクトルpにおける観測値v(p)に対する指標値TCの値は以下のような性質を持つ。
【0089】
例えば1次元の時間ベクトルpにおける真の位置情報をu(p)とし、誤差をδ(p)と表す場合、観測値v(a),v(p),v(b)は夫々
v(a)=u(a)+δ(a)、v(p)=u(p)+δ(p)、v(b)=u(b)+δ(b)・・・(6)
で表すことができる。
【0090】
自然現象又は社会現象で生じる誤差の多くはランダムなもので、仮想的な誤差の変動も含めた誤差のアンサンブル平均は、
<δ(a)>=0、<δ(p)>=0、<δ(b)>=0・・・(7)
となる。なお、<x>はxのアンサンブル平均を表す。
【0091】
したがって、式6及び7より、
<δ(a)>=<(v(a)-u(a))>,<δ(p)>
=<(v(p)-u(p))>,<δ(b)>=<(v(b)-u(b))>
であり、
<v(a)>=<u(a)>,<v(p)>=<u(p)>,<v(b)>
=<u(b)>・・・(8)
である。
【0092】
そこでaとbに関して平均化した変化傾向の変動の大きさに対応する指標値TCの期待値<TC>a,bは、式9のように表される。
【0093】
【数3】
JP0004348441B2_000004t.gif

【0094】
式9の右辺第1項のために、指標値TCは、δ(p)が大きいほど負の低い値となる。さらに、pに関しても平均化した変化傾向の変動の大きさに対応する指標値TCの期待値<TC>a,b,pは、式10のように表される。
【0095】
【数4】
JP0004348441B2_000005t.gif

【0096】
統計的に指標値TCを解釈すると、式10の右辺第1項は誤差の2乗平均値を表しており、右辺第2項は変化傾向(トレンド)の継続性を表す性質を持つと考えることができる。式9及び10を考慮しても、指標値TCの値は誤差が大きい場合は絶対値の大きい負の値となることを利用し、指標値TCの値を所定値Cと比較して低い場合は誤差を含む値であると判断することに根拠があるといえる。即ち、観測値の流れ(トレンド)に反して大きく振れた観測値は無視できない大きな誤差を含むと推定することは、数式による解釈によっても正しいと言い得る。
【0097】
次に、具体的なデータを用いて指標値TCが所定値Cより小さいか否かの判断により、誤りを含む可能性の高い位置情報を誤りと判定する例について説明する。図5及び図6は、本発明の実施の形態1における携帯電話機1の記憶部11に一時的に記憶される位置情報及び算出される指標値TCの例を示す説明図である。図5には、各位置情報に振られた番号、GPS受信部13による経緯度の検出を開始してからの時間(秒)、検出した経緯度(0.01秒)、所定の経緯度を原点としメートル単位に変換した場合のXY座標(m)、及び各番号の位置情報に対してXY座標について算出した指標値TCが表されている。なお、XY座標の値は小数点以下を切り捨てた概数である。図6(a)は、図5に示した各位置情報のXY座標をプロットした散布図であり、図6(b)は各位置情報について番号毎のTCの値を表したグラフ図である。
【0098】
図6(a)に見られるとおり、移動体としての携帯電話機1は位置情報「001」が示す位置から位置情報「005」が示す位置にいたるまで、西から東へ自然に移動している。しかし位置情報「006」が示す位置は、それまでの移動の方向からは90°以上異なる方向へ振れ、さらに、位置情報「005」が示す位置から位置情報「006」が示す位置への大きな振れを相殺するように位置情報「007」が示す位置へ振れている。図6(a)に示した散布図を視認することによって、位置情報「006」が大きな誤差を含む位置情報であると推定することができる。一方、位置情報「006」の指標値TCの値は約マイナス50000と突出して低い値を示している。指標値TCに対する所定値Cを例えば破線で示すマイナス1500と設定し、携帯電話機1の制御部10が指標値TCを算出し所定値Cと比較することにより、大きな誤差を含む位置情報であると推定されるような位置情報「006」を誤りと判定することができる。
【0099】
携帯電話機1の制御部10の処理によって、携帯電話機1自身の移動体としての各位置情報に対し、先行の位置情報Pi-1が示す位置から後続の位置情報Pi+1が示す位置への中間地点を示す注目位置情報Pi について指標値TCを算出し、指標値TCが所定値C未満であるか否かによって注目位置情報Pi が誤りであるか否かを判定することができる。
【0100】
なお、実施の形態1では、図3に示したフローチャートにおけるステップS110において、誤りと判定し無効な位置情報として記憶した位置情報を除去する構成とした。しかしながら本発明はこれに限らず、他の位置情報を用いて補正するようにしてもよいし、補完するようにしてもよい。例えば、前後五つの位置情報の中央値又は平均値で置き換える補正をしてもよい。さらに、検出した位置情報に基づいて携帯電話機1自身の移動軌跡を表示する際に無効な位置情報として記憶してある位置情報に相当する位置及び軌跡ついては、他の移動軌跡と異なる表示の仕方をするようにしてもよい。
【0101】
(実施の形態2)
実施の形態1では、携帯電話機1の制御部10は、注目位置情報について先行の位置情報が示す位置から注目位置情報が示す位置へのベクトルと、注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置へのベクトルとの内積を指標値TCとして算出し、前後の位置情報に対する変化傾向の変動の大きさの判断を指標値TCが所定値以下であるか否かによって判断する構成とした。これに対し、実施の形態2では、携帯電話機1の制御部10は先行の位置情報が示す位置から注目位置情報が示す位置への移動に要した時間と、注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への移動に要した時間とを考慮して指標値TRCを算出する。
【0102】
実施の形態2における携帯電話機1の構成は、実施の形態1における携帯電話機1と同様であるので内部構成の詳細な説明を省略する。実施の形態2では、携帯電話機1の制御部10による指標値TRCの算出処理が実施の形態1と異なるので、以下にその制御部10による指標値TRCの算出処理を含む判断処理及び判定処理について同一の符号を用いて説明する。
【0103】
実施の形態2における携帯電話機1の制御部10は、所定時間が経過する都度GPS受信部13で検出され送信される位置情報を記憶部11に一時的に記憶している。なお、携帯電話機1の制御部10は後に、記憶部11に記憶した位置情報を1次元変数である時間に対して昇順に読み出すために位置情報にiで表す番号を時系列に振り、番号iに対応付けて記憶している。また、GPS受信部13からはGPS衛星S1,S2,…から受信した時刻情報が共に送信されるので、携帯電話機1の制御部10は、位置情報に時刻情報を対応付けて記憶している。携帯電話機1の制御部10は、記憶部11からi番目及びその前後の位置情報と、位置情報に対応付けられた時刻情報を読み出してi番目の位置情報に対する判断処理及び判定処理を行なう。
【0104】
図7及び図8は、本発明の実施の形態2における携帯電話機1の制御部10が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図7及び図8に示したフローチャートの内、ステップS201~ステップS205までは、実施の形態1において図3に示したフローチャートの内のステップS101~ステップS105と同様の処理であるため詳細な説明を省略する。
【0105】
実施の形態2における携帯電話機1の制御部10は、ステップS204及びステップS205においてベクトルV1 及びV2 を算出した後、Pi-1,Pi ,Pi+1 夫々に対応付けられている時刻情報ti-1,ti ,ti+1を記憶部11から読み出す(ステップS206)。
【0106】
携帯電話機1の制御部10は、ステップS204及びステップS205で算出したベクトルV1 及びV2 とステップS206で読み出したti-1,ti ,ti+1とを用い、内積TC(=V1 ・V2 =(Pi -Pi-1)・(Pi+1-Pi ))をPi-1からPi への移動に要した時間(ti -ti-1)で除算し、更にPi からPi+1への移動に要した時間(ti+1-ti)で除算して指標値TRCを算出する(ステップS207)。
【0107】
次に携帯電話機1の制御部10は、ステップS207で算出した指標値TRCが所定値C未満であるか否かを判断する(ステップS208)。携帯電話機1の制御部10は、指標値TRCが所定値C未満であると判断した場合(S208:YES)、注目位置情報Pi を誤りを含む位置情報であると判定して記憶部11に無効な位置情報として一時的に記憶し(ステップS209)、注目位置情報Pi に対する後続の位置情報Pi+1が記憶部11に一時的に記憶している位置情報の最後の位置情報であるか否かを番号iが最大値よりも1少ない数値である(i==MAX(i)-1)か否かによって判断する(ステップS210)。
【0108】
携帯電話機1の制御部10は、iが最大値よりも1少ない数値ではないと判断した場合(S210:NO)、処理をステップS202へ戻して後続の位置情報を注目位置情報として判断処理及び判定処理を継続する。
【0109】
一方、携帯電話機1の制御部10は、iが最大値よりも1少ない数値であると判断した場合(S210:YES)、記憶部11に記憶してある位置情報から無効な位置情報として記憶してある位置情報を除去し(ステップS211)、処理を終了する。無効な位置情報に対する処理は実施の形態1と同様である。
【0110】
実施の形態2において、図7及び図8に示したフローチャートにおけるステップS207において算出した指標値TRCが所定値C未満である場合(S208:YES)、誤りを含む位置情報であると判定するのは、以下の理由による。
【0111】
携帯電話機1のGPS受信部13は一定の所定時間が経過する都度、位置情報を検出する構成とした。しかしながら、GPS受信部13による位置情報の検出は、一定の所定時間が経過する都度行なわれなくともよい。また、携帯電話機1の機能によっては、例えばGPS衛星S1,S2,…からの電波の強度情報が基地局BSから送信され、強度情報が示す電波の強度に基づいて、携帯電話機1の制御部10が検出した位置情報を棄却する処理が行なわれる場合もある。天候等により極端に電波が弱い場合は、GPS受信部13による位置情報の検出の精度が非常に悪いときがあるからである。
【0112】
このような場合、位置情報の検出のタイミングは一定ではないので、長い時間をかけて位置が大きく振れるように真に移動体が移動したときでも、位置が大きく振れていることによって内積TCが低い値となり、誤りが含まれると判定されることがある。
【0113】
前記のような判定を回避するため、実施の形態2における携帯電話機1の制御部10は、実施の形態1で式2により算出した移動を示すベクトルの内積TCに対し、夫々の移動に要した時間で正規化して指標値TRCを以下式11に示すように算出する。
【0114】
【数5】
JP0004348441B2_000006t.gif

【0115】
なお、実施の形態2においても1次元の時間ベクトルにおける2次元の観測値である位置情報を評価するので、TRCは式5によって表されるが、n次元のベクトルにおけるm次元の観測値の判定についても適用できる。したがって、TRCは一般化して以下式12のように表すことができる。
【0116】
【数6】
JP0004348441B2_000007t.gif

【0117】
これにより、移動に要した時間を考慮した判定を行なうことができ、短い時間で大きく振れるように移動していることを示す場合に誤りであると判定し、長い時間をかけて大きく振れるように移動していることを示す場合は誤りでないと判定することができる。
【0118】
(実施の形態3)
実施の形態2では、携帯電話機1の制御部10は、注目位置情報について先行の位置情報が示す位置から注目位置情報が示す位置への移動に要した時間と、注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への移動に要した時間とを考慮して指標値TRCを算出した。これに対し、実施の形態3では、携帯電話機1の制御部10は一組の先行の位置情報及び後続の位置情報との関係で指標値TRCを算出するのではなく、先行の位置情報及び後続の位置情報の組み合わせを複数抽出し、抽出した組み合わせ夫々に対して算出したTRCの平均値<TRC>を指標値とする。
【0119】
実施の形態3における携帯電話機1の構成は、実施の形態1及び2における携帯電話機1と同様であるので内部構成の詳細な説明を省略する。実施の形態3では、携帯電話機1の制御部10による指標値<TRC>の算出処理が実施の形態1及び2と異なるので、以下にその制御部10による指標値<TRC>の算出処理を含む判断処理及び判定処理について同一の符号を用いて説明する。
【0120】
図9及び図10は、本発明の実施の形態3における携帯電話機1の制御部10が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0121】
携帯電話機1の制御部10は、時系列を表す番号順に位置情報を読み出すために番号iに0を代入し(ステップS301)、番号iに1を加算する(ステップS302)。さらに位置情報Pi に対して複数の先行の位置情報及び後続の位置情報を読み出すための番号jに0を代入し(ステップS303)、番号jに1を加算する(ステップS304)。
【0122】
携帯電話機1の制御部10は、番号jを用いて位置情報Pi-j,Pi ,Pi+jを読み出す(ステップS305)。なお、位置情報Pi は経度、緯度を変数に持つベクトルを表す。
【0123】
次に携帯電話機1の制御部10は、判定の対象となる注目位置情報Pi に対し、先行する位置情報Pi-jから注目位置情報Pi への変化即ち移動を示すベクトルV1j=(Pi -Pi-j)を算出する(ステップS306)。さらに注目位置情報Pi から後続の位置情報Pi+jへの変化即ち移動を示すベクトルV2j=(Pi+j-Pi )を算出する(ステップS307)。
【0124】
携帯電話機1の制御部10は、Pi-j,Pi ,Pi+j夫々に対応付けられている時刻情報ti-j,ti ,ti+jを記憶部11から読み出し(ステップS308)、ステップS306及びステップS307で算出したベクトルV1j及びV2j、並びにステップS308で読み出した時刻情報ti-j,ti ,ti+jを用いて番号jに対するTRCj =V1j・V2j/(ti -ti-j)・(ti+j-ti )=(Pi -Pi-j)・(Pi+j-Pi )/(ti -ti-j)・(ti+j-ti )を算出する(ステップS309)。
【0125】
携帯電話機1の制御部10は、TRCj を3組算出するためにjが4未満であるか否かを判断し(ステップS310)、jが4未満であると判断した場合(S310:YES)は処理をステップS304に戻して、j=2,3についてもTRCj を算出する処理を継続する。
【0126】
携帯電話機1の制御部10は、jが4以上であると判断した場合(S310:NO)、j=1,2,3に対して算出したTRCj の平均値<TRC>を算出する(ステップS311)。
【0127】
次に携帯電話機1の制御部10は、ステップS311において算出したTRCj の平均値<TRC>が所定値C未満であるか否かを判断する(ステップS312)。携帯電話機1の制御部10は、<TRC>が所定値C未満であると判断した場合(S312:YES)、注目位置情報Pi を誤りを含む位置情報であると判定して記憶部11に一時的に無効な位置情報として記憶し(ステップS313)、注目位置情報Pi に対する後続の位置情報Pi+1が記憶部11に一時的に記憶している位置情報の最後の位置情報であるか否かを番号iが最大値よりも1少ない数値である(i==MAX(i)-1)か否かによって判断する(ステップS314)。
【0128】
携帯電話機1の制御部10は、iが最大値よりも1少ない数値ではないと判断した場合(S314:NO)、処理をステップS302へ戻して後続の位置情報を注目位置情報として判断処理及び判定処理を継続する。
【0129】
一方、携帯電話機1の制御部10は、iが最大値よりも1少ない数値であると判断した場合(S314:YES)、記憶部11に無効な位置情報として記憶してある位置情報を検出した位置情報から除去し(ステップS315)、処理を終了する。無効な位置情報に対する処理は実施の形態1及び2と同様である。
【0130】
図9及び図10のフローチャートに示したように、実施の形態3では、携帯電話機1の制御部10は、注目位置情報Pi について時系列に直前直後のPi-1及びPi+1のみならず、近傍の時点における位置情報に対しても指標値TRCを算出して平均値を算出することにより、複数の近傍の位置情報に対し一つだけ短時間で大きく振れた位置情報を誤りと精度よく判定することができる。
【0131】
なお、実施の形態3におけるTRCの平均値の算出についても、n次元のベクトルにおけるm次元の観測値、例えば3次元の空間ベクトルに対する、各位置での電界及び磁界という3次元の観測値の判定について適用できる。したがって、TRCの平均値は一般化して以下式13のように表すことができる。
【0132】
【数7】
JP0004348441B2_000008t.gif

【0133】
ただし、式13の右辺におけるN{a,b}は、a及びbの組み合わせの数を表す。
【0134】
なお、実施の形態3において図9及び図10に示したフローチャートでは、注目位置情報に対し時系列に前後対称に先行の位置情報と後続の位置情報との組み合わせを読み出し、読み出した先行の位置情報と後続の位置情報の組み合わせに対してTRCを算出して平均値を算出する構成とした。しかしながら、実施の形態3における平均値の算出はこれに限らず、注目位置情報に対する周辺の位置情報は時系列に対して前後対称に読み出さず、自由に組み合わせて平均値を算出する構成でよい。さらに、実施の形態3では、組み合わせの数は3(j=1,2,3)としたが、3に限定されないのは勿論である。
【0135】
(実施の形態4)
実施の形態4では、注目位置情報に対して複数の先行の位置情報及び後続の位置情報の組み合わせを抽出し、抽出した組み合わせ夫々に対して指標値(内積)TCを算出し、TCと先行の位置情報が示す位置から注目位置情報が示す位置への移動に要した時間及び注目位置情報が示す位置から後続の位置情報が示す位置への移動に要した時間との相関を表す相関係数を算出する。
【0136】
実施の形態4における携帯電話機1の構成は、実施の形態1乃至3における携帯電話機1と同様であるので内部構成の詳細な説明を省略する。実施の形態4では、携帯電話機1の制御部10による相関係数の算出処理が実施の形態1乃至3と異なるので、以下にその制御部10による相関係数の算出処理を含む判断処理及び判定処理について同一の符号を用いて説明する。
【0137】
図11及び図12は、本発明の実施の形態4における携帯電話機1の制御部10が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図11及び図12に示したフローチャートの内、ステップS401~ステップS407までは、実施の形態3において図9及び図10に示したフローチャートの内のステップS301~ステップS307と同様の処理であるため詳細な説明を省略する。
【0138】
実施の形態4における携帯電話機1の制御部10は、ステップS406及びステップS407においてベクトルV1j及びV2jを夫々算出した後、ベクトルV1j及びV2jの内積TCj =V1j・V2j=(Pi -Pi-j)・(Pi+j-Pi )を算出して記憶部11に一時的に記憶する(ステップS408)。
【0139】
次に携帯電話機1の制御部10は、Pi-j,Pi ,Pi+j夫々に対応付けられている時刻情報ti-j,ti ,ti+jを記憶部11から読み出し(ステップS409)、(ti -ti-j)・(ti+j-ti )の絶対値を算出して記憶部11に一時的に記憶しておく(ステップS410)。
【0140】
携帯電話機1の制御部10は、TCj と(ti -ti-j)・(ti+j-ti )の絶対値との組を3組算出するためにjが4未満であるか否かを判断し(ステップS411)、jが4未満であると判断した場合(S411:YES)は処理をステップS404に戻して、j=2,3についてもTCj を算出する処理を継続する。
【0141】
携帯電話機1の制御部10は、jが4以上であると判断した場合(S411:NO)、j=1,2,3に対して算出したTCj と、(ti -ti-j)・(ti+j-ti )の絶対値との相関を表す相関係数を算出する(ステップS412)。
【0142】
次に携帯電話機1の制御部10は、ステップS412において算出したTCj と、(ti -ti-j)・(ti+j-ti )の絶対値との相関を表す相関係数が所定値C未満であるか否かを判断する(ステップS413)。携帯電話機1の制御部10は、相関係数が所定値C未満であると判断した場合(S413:YES)、注目位置情報Pi を誤りを含む位置情報であると判定して記憶部11に無効な位置情報として一時的に記憶し(ステップS414)、注目位置情報Pi に対する後続の位置情報Pi+1が記憶部11に一時的に記憶している位置情報の最後の位置情報であるか否かを番号iが最大値よりも1少ない数値である(i==MAX(i)-1)か否かによって判断する(ステップS415)。
【0143】
携帯電話機1の制御部10は、iが最大値よりも1少ない数値ではないと判断した場合(S415:NO)、処理をステップS402へ戻して後続の位置情報を注目位置情報として判断処理及び判定処理を継続する。
【0144】
一方、携帯電話機1の制御部10は、iが最大値よりも1少ない数値であると判断した場合(S415:YES)、記憶部11に無効な位置情報として記憶してある位置情報を検出した位置情報から除去し(ステップS416)、処理を終了する。無効な位置情報に対する処理は実施の形態1乃至3のいずれかと同様である。
【0145】
図11及び図12のフローチャートに示したように、実施の形態4では、携帯電話機1の制御部10は、注目位置情報Pi について時系列に直前直後のPi-1及びPi+1のみならず、近傍の時点における位置情報に対して指標値TCを算出し、夫々の移動に要した時間との相関を表す相関係数を算出することにより、近傍の位置情報との関係において、変化に要する時間が短い一方で変化傾向の変動が大きくなる相関関係にある位置情報を誤りとして判定することができる。
【0146】
なお、実施の形態4における相関係数の算出についても、n次元のベクトルにおけるm次元の観測値、例えば3次元の空間ベクトルに対する、各位置での電界及び磁界という3次元の観測値の判定について適用できる。したがって、変動の大きさに対応する指標値TCと変化に要した時間の絶対値との相関係数は一般化して以下式14のように表すことができる。
【0147】
【数8】
JP0004348441B2_000009t.gif

【0148】
ただし、式14の右辺についてCor(x,y)は以下の式15で計算される。
【0149】
【数9】
JP0004348441B2_000010t.gif

【0150】
なお、実施の形態4において図11及び図12に示したフローチャートでは、実施の形態3同様に、注目位置情報に対し時系列に前後対称に先行の位置情報と後続の位置情報との組み合わせを読み出し、読み出した先行の位置情報と後続の位置情報の組み合わせに対してTCを算出して夫々の変化に要した時間の乗算の絶対値との相関を示す相関係数を算出する構成とした。しかしながら、実施の形態4における相関係数の算出はこれに限らず、注目位置情報に対する周辺の位置情報は時系列について前後対称に読み出さず、自由に組み合わせて相関係数を算出する構成でよい。さらに、実施の形態4では、組み合わせの数は3(j=1,2,3)としたが、3に限定されないのは勿論である。
【0151】
(実施の形態5)
実施の形態5では、携帯電話機1の制御部10は時系列に連続する位置情報を抽出し、抽出した位置情報夫々を注目位置情報として指標値TRCを算出し、抽出した位置情報全体に対して、TRCが所定値C未満である確率を算出する。携帯電話機1の制御部10は、算出した確率が所定値Pc以上である場合、抽出した位置情報全体を誤りを含む位置情報が多い領域と判定する。
【0152】
実施の形態5における携帯電話機1の構成は、実施の形態1乃至4における携帯電話機1と同様であるので内部構成の詳細な説明を省略する。実施の形態5では、携帯電話機1の制御部10による変化傾向の変動の大きさの判断処理及び誤りの判定処理が実施の形態1乃至4と異なるので、以下にその制御部10による判断処理及び判定処理について同一の符号を用いて説明する。
【0153】
図13及び図14は、本発明の実施の形態5における携帯電話機1の制御部10が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0154】
携帯電話機1の制御部10は、記憶部11に記憶している位置情報から、所定の時間内に相当する位置情報を抽出し(ステップS501)、抽出した位置情報の総数k及び以下の処理によってTRCが所定値C未満である位置情報の数lを記憶部11に一時的に記憶する(ステップS502)。なお、携帯電話機1の制御部10はステップS502において、lに初期値としてゼロを代入しておく(ステップS503)。
【0155】
携帯電話機1の制御部10は、ステップS501によって抽出した位置情報に対し、以下に示すステップS503~ステップS510の処理を行なう。ステップS503~ステップS510の処理は、実施の形態2において図7及び図8に示したステップS201~ステップS208と同様の処理であるため詳細な説明を省略する。
【0156】
携帯電話機1の制御部10は、ステップS510において指標値TRCが所定値C未満であると判断した場合(S510:YES)、TRCが所定値C未満である位置情報の数lに「1」を加算する(ステップS511)。指標値TRCが所定値C以上であると判断した場合(S510:NO)、そのまま次のステップへ進む。
【0157】
次に携帯電話機1の制御部10は、注目位置情報Pi に対する後続の位置情報Pi+1がステップS501で抽出した位置情報の最後の位置情報であるか否かを番号iが最大値よりも1少ない数値である(i==MAX(i)-1)か否かによって判断する(ステップS512)。
【0158】
携帯電話機1の制御部10は、iが最大値よりも1少ない数値ではないと判断した場合(S512:NO)、処理をステップS504へ戻して後続の位置情報を注目位置情報として判断処理及び判定処理を継続する。
【0159】
一方、携帯電話機1の制御部10は、iが最大値よりも1少ない数値であると判断した場合(S512:YES)、TRCが所定値C未満である位置情報の数lの抽出した位置情報の総数kに対する割合が所定の確率Pcよりも多いか否かを判断する(ステップS513)。
【0160】
携帯電話機1の制御部10は、所定の確率Pcよりも多いと判断した場合は(S513:YES)、ステップS501で抽出した位置情報全体を、誤りを含む位置情報として判定して無効な位置情報として記憶し(ステップS514)、処理を終了する。なお、誤りを含む位置情報として判定した場合であっても記憶部11から必ずしも除去する必要はなく、他の位置情報を用いて補正又は補完してもよい。
【0161】
携帯電話機1の制御部10は、所定の確率Pcよりも少ないと判断した場合は(S513:NO)、そのまま処理を終了する。
【0162】
これにより、所定の時間内に相当する連続の位置情報に対し、夫々注目位置情報として指標値TRCを計算し、TRCが所定値C未満であると判断できる位置情報の存在率が大きい場合に抽出した位置情報に相当する領域を誤りが多く含まれる範囲として判別することができる。
【0163】
なお、実施の形態1乃至5における携帯電話機1の制御部10は、注目位置情報Pi に対する先行の位置情報として時系列的に直前のPi-1を読み出し、後続の位置情報として時系列的に直後のPi+1を読み出す構成とした。しかしながら、本発明にあっては先行の位置情報は直前の位置情報のみならず時系列的に先行しており、近傍の位置情報であればよく、後続の位置情報についても直後の位置情報のみならず時系列的に後続の近傍の位置情報であればよい。また、先行の位置情報と後続の位置情報とは、注目位置情報に対して時系列的に前後対称でなくともよい。
【0164】
また、実施の形態1乃至5における携帯電話機1の制御部10は、GPS受信部13から送信された位置情報に対し、先行の位置情報及び後続の位置情報との間での変化傾向の変動の大きさを判断し、誤りを判定する構成とした。しかしながら、本発明はこれに限らず、GPS受信部13が本発明に係る位置検出方法を実施し、実施の形態1乃至5における携帯電話機1の制御部10が行なった処理を行なう構成でもよい。この場合、GPS受信部13が検出した位置情報に対して誤りを判定し、誤りを含む位置情報については削除、補正又は補完を行ない、削除、補正又は補完を行なった後の位置情報を制御部10に送信する。GPS受信部13を本発明に係る位置検出方法を実施する機能を組み込んだLSI(Large Scale Integration)により構成することにより、高速処理によって処理することができ、さらに軽量化を図ることができる点で優れた効果を奏する。
【0165】
さらに、実施の形態1乃至5においては位置情報に対する誤りの判定の処理を携帯電話機1の制御部10が行なう構成とした。しかしながら本発明はこれに限らず、携帯電話機1と基地局BS及びパケット交換網を介して接続しているサーバ装置と、サーバ装置とパケット交換網を介して接続している表示部を有する端末装置とを含む位置表示システムに適用することも可能である。この場合、携帯電話機1の制御部10はGPS受信部13により検出した位置情報をサーバ装置へ基地局BSを介して送信し、サーバ装置は受信した位置情報に対して実施の形態1乃至5における携帯電話機の制御部が行なった注目位置情報の前後に対する変化傾向の変動の大きさを判断する処理と誤りの判定の処理とを行ない、誤りを含む位置情報を除去して記憶しておくようにしてもよい。さらに、サーバ装置も携帯電話機1から送信された位置情報を受信して記憶しておくのみの構成とし、携帯電話機1の移動軌跡を表示する端末装置が、サーバ装置から携帯電話機1についての位置情報を取得して各位置情報に対して実施の形態1乃至5における携帯電話機の制御部が行なった判断処理及び誤りの判定処理を行ない、誤りを含む位置情報を除去、補正又は補完した後に移動軌跡を表示するようにしてもよい。
【0166】
また、偽情報、誤情報と判定した場合に除去、補正又は補完等を行なわず、不連続性をその情報の特徴を表す属性として捉えることも可能である。
【0167】
本発明により、携帯電話機1の所在場所の環境によって測定精度が異なる場合であっても、検出した位置情報に対して誤りであるか否かの判定を行なうことによって、各位置情報が誤りである否かを判定することができると共に、誤差の大きい地域であるか否かを判定することができる。また、誤りと判定された位置情報に対しては補正又は補完することによって正確な位置情報を推定するためのフィルタリングとして本発明を応用することが可能である。
【0168】
なお、本発明に係る位置検出装置は、時間の経過に対する位置情報から誤りを判定する装置であった。しかしながら、本発明は時間の経過という1次元の変数(スカラー)に対する2次元又は3次元の位置情報の誤り判定に限らない。例えば、2次元又は3次元の空間夫々の座標における属性例えば磁界、電界、電圧値、電流値、温度、湿度、加速度、圧力、ひずみ、pH、化学物質量、色等のある程度傾向をもって連続して変化することが自然であるデータから誤りを含むデータを判定するために応用することが可能である。
【0169】
例えば、自然界にある物、事象を描写した色情報は隣り合う座標で極端に変化することが少ないので、平面という2次元の変数に対する1次元の濃淡情報、又は平面という2次元の変数に対する3次元の色情報(RGB,YCbCr等)、即ち画像情報に本発明を応用し、色情報の変化の傾向が極端に異なる一の座標での色情報は測定系による偽情報、誤情報が含まれていると判定して除去する補正又は周辺の色情報からの補完が可能である。
【0170】
画像情報中の座標の色情報に対して誤りを判定し、ノイズとして無効な情報として記憶した色情報を除去することも可能である。また、画像中の色情報の変化傾向の連続性、不連続性を評価することもでき、画像の領域ごとの種類、例えば自然な物、事象が表されているのか、又は文字等の不連続な高周波成分が表されているのか等の判断も可能である。さらに、誤りと判定される情報が多い領域の抽出も可能である。
【0171】
さらに、色、温度、速度、磁界、電界等の自然現象のみならず、人、経済の流れのモデルに対する観測値等の統計的に扱うことのできる社会現象における観測値例えば各種経済指標の時間変化についても本発明に係る装置、方法を応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本発明に係る携帯電話機による位置情報の検出のしくみを模式的に示す構成図である。
【図2】本発明に係る携帯電話機の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1における携帯電話機の制御部が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1における携帯電話機の制御部が算出する内積TCの値が表す変化傾向の変動を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1における携帯電話機の記憶部に一時的に記憶される位置情報及び算出される指標値TCの例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1における携帯電話機の記憶部に一時的に記憶される位置情報及び算出される指標値TCの例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2における携帯電話機の制御部が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2における携帯電話機の制御部が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態3における携帯電話機の制御部が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態3における携帯電話機の制御部が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態4における携帯電話機の制御部が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態4における携帯電話機の制御部が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態5における携帯電話機の制御部が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態5における携帯電話機の制御部が行なう判断処理及び判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0173】
1 携帯電話機
10 制御部
11 記憶部
1P 制御プログラム
12 RF送受信部
13 GPS受信部
S1,S2,… GPS衛星
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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