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明細書 :アクチュエータ制御装置およびアクチュエータ制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5002814号 (P5002814)
公開番号 特開2008-217410 (P2008-217410A)
登録日 平成24年6月1日(2012.6.1)
発行日 平成24年8月15日(2012.8.15)
公開日 平成20年9月18日(2008.9.18)
発明の名称または考案の名称 アクチュエータ制御装置およびアクチュエータ制御方法
国際特許分類 G05B  13/02        (2006.01)
H02P  29/00        (2006.01)
FI G05B 13/02 T
G05B 13/02 C
H02P 5/00 X
請求項の数または発明の数 8
全頁数 35
出願番号 特願2007-053861 (P2007-053861)
出願日 平成19年3月5日(2007.3.5)
審査請求日 平成22年2月19日(2010.2.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】大石 潔
【氏名】桂 誠一郎
【氏名】加藤 将
個別代理人の代理人 【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
【識別番号】100137800、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 正義
【識別番号】100140394、【弁理士】、【氏名又は名称】松浦 康次
【識別番号】100119312、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 栄松
審査官 【審査官】青山 純
参考文献・文献 特開平09-158764(JP,A)
特開2006-301682(JP,A)
特表2000-504636(JP,A)
特開平09-246359(JP,A)
特開平07-084648(JP,A)
大石 潔,トルク飽和と運動エネルギーを考慮した冗長マニピュレータの一モーション制御法,電気学会論文誌D,産業応用部門誌,日本,社団法人電気学会,2002年,第122巻 第9号,第935-941頁
大石 潔,1自由度系のモーションコントロール(メカ,アクチュエータ,電力変換器,マイナーループ,メインループ),計測と制御,日本,社団法人計測自動制御学会,2000年10月10日,第39巻 第10号,第608-614頁
調査した分野 G05B 13/02
H02P 29/00
特許請求の範囲 【請求項1】
各軸に可動する複数のアクチュエータの動作を個々に制御するアクチュエータ制御装置であって、
前記アクチュエータへの外乱を推定する外乱オブザーバを備え、この外乱オブザーバで得た外乱推定値を外乱補償電流に変換し、前記外乱補償電流でフィードバック補償した前記アクチュエータへの電流参照値により、当該アクチュエータをロバスト加速度制御する加速度制御部と、
前記アクチュエータを軌跡追従制御させるために、フィードバック成分の電流参照値とフィードフォワード成分の電流参照値を算出する軌跡追従制御部と、
前記フィードバック成分の電流参照値,前記フィードフォワード成分の電流参照値,および前記外乱補償電流を合計した前記アクチュエータへの電流参照値を、予め設定した最大電流値以下に制限するために、
何れか一つの軸で前記アクチュエータへの電流参照値が前記最大電流値を越えて電流飽和を起こすと、全ての軸で位置指令の調整率をそれぞれ算出し、この軸毎の調整率の中から前記電流飽和の許容分が一番大きな軸に対応した最小値の調整率を用いて、軸毎に前記フィードフォワード成分の電流参照値を調整する電流リミッタと、
前記電流リミッタから与えられる前記最小値の調整率から、前記フィードバック成分の電流参照値および前記フィードフォワード成分の電流参照値を修正する調整部と、をそれぞれ備え
前記i軸目のフィードバック成分の電流参照値をIFBi,前記i軸目のフィードフォワード成分の電流参照値をIFFi,前記i軸目の外乱補償電流をIRBi,前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値をIref,前記最大電流値に相当し、前記アクチュエータを構成するモータの最大トルク電流をIMAXとしたときに、
前記各軸の電流リミッタは、前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値Irefの絶対値が最大トルク電流IMAXを越えていれば、前記ロバスト制御を維持するための前記i軸目の現サンプルnの最大加減速トルク電流IaccMAX(n)iを次の式で算出し、
【数1】
JP0005002814B2_000041t.gif
次の式からi軸目の最大加速度θ・・max(n)iを算出して(但し、Kはトルク定数,Jniはi軸目の慣性モーメントのノミナル値)、
【数2】
JP0005002814B2_000042t.gif
前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを次の式で算出し(但し、Tsは現サンプルから次のサンプルまでのサンプリング時間,θ・res(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n+1)はi軸目の次のサンプルにおける位置指令値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値)、
【数3】
JP0005002814B2_000043t.gif
前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値Irefの絶対値が最大トルク電流IMAX未満である場合は、前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを1にするものであることを特徴とするアクチュエータ制御装置。
【請求項2】
前記外乱オブザーバの極を無限大にしたことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ制御装置。
【請求項3】
記各軸の電流リミッタは、全ての軸で前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを算出すると、各軸iの前記調整率γ(n+1)iの中から最小値γ(n+1)minを抽出して、
前記フィードフォワード成分の電流参照値を調整した値IFFi(n)を、次の式から算出する(但し、Ktnはトルク定数のノミナル値,f(t)はi軸目の位置指令値の時間関数,θres(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値)
【数4】
JP0005002814B2_000044t.gif
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ制御装置。
【請求項4】
前記各軸の調整部は、次の式から前記位置指令の調整率γ(n+1)に基づく次サンプルでの修正時間t(n+1)を算出し(但し、t(n)は現時間)、
【数5】
JP0005002814B2_000045t.gif
この修正時間に基づき、前記フィードバック成分の電流参照値および前記フィードフォワード成分の電流参照値を修正するものであることを特徴とする請求項3記載のアクチュエータ制御装置。
【請求項5】
各軸に可動する複数のアクチュエータの動作を個々に制御するアクチュエータ制御方法であって、
前記アクチュエータへの外乱を推定する外乱オブザーバを備え、この外乱オブザーバで得た外乱推定値を外乱補償電流に変換し、前記外乱補償電流でフィードバック補償した前記アクチュエータへの電流参照値により、当該アクチュエータをロバスト加速度制御する加速度制御ステップと、
前記アクチュエータを軌跡追従制御させるために、フィードバック成分の電流参照値とフィードフォワード成分の電流参照値を算出する軌跡追従ステップと、
前記フィードバック成分の電流参照値,前記フィードフォワード成分の電流参照値,および前記外乱補償電流を合計した前記アクチュエータへの電流参照値を、予め設定した最大電流値以下に制限するために、何れか一つの軸で前記アクチュエータへの電流参照値が前記最大電流値を越えて電流飽和を起こすと、全ての軸で位置指令の調整率をそれぞれ算出し、この軸毎の調整率の中から前記電流飽和の許容分が一番大きな軸に対応した最小値の調整率を用いて、軸毎に前記フィードフォワード成分の電流参照値を調整する電流制限ステップと、
前記電流制限ステップから与えられる前記最小値の調整率から、前記フィードバック成分の電流参照値および前記フィードフォワード成分の電流参照値を修正する調整ステップと、からなり、
前記i軸目のフィードバック成分の電流参照値をIFBi,前記i軸目のフィードフォワード成分の電流参照値をIFFi,前記i軸目の外乱補償電流をIRBi,前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値をIref,前記最大電流値に相当し、前記アクチュエータを構成するモータの最大トルク電流をIMAXとしたときに、
前記電流制限ステップは、軸毎に前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値Irefの絶対値が最大トルク電流IMAXを越えていれば、前記ロバスト制御を維持するための前記i軸目の現サンプルnの最大加減速トルク電流IaccMAX(n)iを次の式で算出し、
【数6】
JP0005002814B2_000046t.gif
次の式からi軸目の最大加速度θ・・max(n)iを算出して(但し、Kはトルク定数,Jniはi軸目の慣性モーメントのノミナル値)、
【数7】
JP0005002814B2_000047t.gif
前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを次の式で算出し(但し、Tsは現サンプルから次のサンプルまでのサンプリング時間,θ・res(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n+1)はi軸目の次のサンプルにおける位置指令値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値)、
【数8】
JP0005002814B2_000048t.gif
前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値Irefの絶対値が最大トルク電流IMAX未満である場合は、前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを1にすることを特徴とするアクチュエータ制御方法。
【請求項6】
前記外乱オブザーバの極を無限大にしたことを特徴とする請求項5記載のアクチュエータ制御方法。
【請求項7】
記電流制限ステップは、全ての軸で前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを算出すると、各軸iの前記調整率γ(n+1)iの中から最小値γ(n+1)minを抽出して、
前記フィードフォワード成分の電流参照値を調整した値IFFi(n)を、次の式から算出する(但し、Ktnはトルク定数のノミナル値,f(t)はi軸目の位置指令値の時間関数,θres(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値)
【数9】
JP0005002814B2_000049t.gif
ことを特徴とする請求項5記載のアクチュエータ制御方法。
【請求項8】
前記調整ステップは、次の式から前記位置指令の調整率γ(n+1)に基づく次サンプルでの修正時間t(n+1)を算出し(但し、t(n)は現時間)、
【数10】
JP0005002814B2_000050t.gif
この修正時間に基づき、前記フィードバック成分の電流参照値および前記フィードフォワード成分の電流参照値を修正することを特徴とする請求項7記載のアクチュエータ制御方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、トルク飽和などの発生時にも、各軸で被制御物を遅れなく軌跡追従制御させることができるアクチュエータ制御装置およびアクチュエータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業界における各種工作機械や半導体製造装置、またはロボット等の位置決め制御に代表されるモーションコントロール装置では、生産性向上を目的とした高速で高精度な制御が求められている。さらに、システム全体の低コスト化の要求から、こうした位置決め機構に、ワット数の小さなACサーボモータと安価なボールねじを用いた送り駆動系のアクチュエータが多く使用されている。従来のシステムでは、特にモータの始動時と制動時にモータがトルク飽和を引き起こすため、複数のアクチュエータにより各軸で被制御物を動作させるシステムにおいては、各軸間の被制御物を協調して動作させることができずに、目標となる軌跡追従ができないという問題がある。そのため、こうした問題を解決するべく、所望の制御特性を満足するためのトルク飽和対策技術が多く行なわれてきた。
【0003】
図16は、こうした対策を施したサーボ系のシステム構成の一例を示したものである。ここでは、制御対象となるサーボモータ501が、制御装置502から与えられる電流値Iによって駆動される。制御装置502は、減算器503~505と、位置コントローラ506と、速度コントローラ507と、電流コントローラ508と、電流リミッタ509とからなり、サーボモータ501への電流値Iを監視する局部的な電流制御ループ511の外側に、サーボモータ501の位置θを監視する位置制御ループ513と、サーボモータ501の応答速度(角速度)ωを監視する速度制御ループ512とを各々備えて構成される。
【0004】
そして、ここでの制御装置502は、サーボモータ501の実際の位置θと、目標となる位置参照値θrefとの位置偏差を減算器503で算出して、この位置偏差を位置コントローラ506で速度参照値ωrefに変換する。速度参照値ωrefとサーボモータ501の実際の応答速度ωとの偏差は、位置コントローラ506の後段に接続した減算器504で算出され、速度コントローラ507で電流参照値Irefに変換される。さらに、この電流参照値Irefと、サーボモータ501に与えられる実際の電流値Iとの偏差が、後述する電流リミッタ509の後段に接続した減算器505で算出され、これがサーボモータ501への制御信号すなわち電流値Iとして電流コントローラ508から出力される。これによって、サーボモータ501の実際の位置θが、制御装置502に与えられる位置参照値θrefに追従するように、サーボモータ501への制御が行なわれる。
【0005】
また、この一連の制御で、速度コントローラ507で変換された電流参照値Irefが一定の範囲を超えないように、この速度コントローラ507と減算器505との間には電流リミッタ509が接続される。これにより、サーボモータ501がトルク飽和を起こしそうな電流参照値Irefが速度コントローラ507から出力された場合でも、電流リミッタ509によってサーボモータ501への電流値Iは一定の範囲内に抑制され、サーボモータ501のトルク飽和を防ぐことができる。
【0006】
そして、こうしたトルク飽和対策技術は、上記図16に示す例だけでなく、例えば特許文献1などにも開示されている。
【0007】
一方、本願出願人などは、モータを代表とするアクチュエータを加速度指令で駆動させる加速度制御系(加速度コントローラ)を実現し、これによる高速高性能のサーボ制御系の実装を提案してきた。加速度制御系は高速な制御を可能にするが、その反面、モータへの操作量の電流指令や電圧指令が制限される(飽和する)ことがよくある。そのため、従来の特許文献1や上記図16に提示されるような手法は、全て位置サーボや速度サーボを前提とした技術であるため、動的な遅れが生じたり、トルク指令の向きが変わるなどして、加速度制御系に対する対策としては不十分なものであった。

【特許文献1】特開平7-62052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来のトルク飽和対策は、速度PI制御系に基づく手法であったため、ロバスト加速度制御系を前提とした制御システムには必ずしも適さない場合が多い。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、ロバスト加速度制御系に基づき、アクチュエータの飽和時に指令値に対して遅れのない軌跡追従制御を各軸間で行ないつつ、協調動作を行なうことが可能なアクチュエータ制御装置およびアクチュエータ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のアクチュエータ制御装置は、各軸に可動する複数のアクチュエータの動作を個々に制御するアクチュエータ制御装置であって、前記アクチュエータへの外乱を推定する外乱オブザーバを備え、この外乱オブザーバで得た外乱推定値を外乱補償電流に変換し、前記外乱補償電流でフィードバック補償した前記アクチュエータへの電流参照値により、当該アクチュエータをロバスト加速度制御する加速度制御部と、前記アクチュエータを軌跡追従制御させるために、フィードバック成分の電流参照値とフィードフォワード成分の電流参照値を算出する軌跡追従制御部と、前記フィードバック成分の電流参照値,前記フィードフォワード成分の電流参照値,および前記外乱補償電流を合計した前記アクチュエータへの電流参照値を、予め設定した最大電流値以下に制限するために、何れか一つの軸で前記アクチュエータへの電流参照値が前記最大電流値を越えて電流飽和を起こすと、全ての軸で位置指令の調整率をそれぞれ算出し、この軸毎の調整率の中から前記電流飽和の許容分が一番大きな軸に対応した最小値の調整率を用いて、軸毎に前記フィードフォワード成分の電流参照値を調整する電流リミッタと、前記電流リミッタから与えられる前記最小値の調整率から、前記フィードバック成分の電流参照値および前記フィードフォワード成分の電流参照値を修正する調整部と、をそれぞれ備えている。
【0011】
そして、前記各軸の電流リミッタは、前記i軸目のフィードバック成分の電流参照値をIFBi,前記i軸目のフィードフォワード成分の電流参照値をIFFi,前記i軸目の外乱補償電流をIRBi,前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値をIref,前記最大電流値に相当し、前記アクチュエータを構成するモータの最大トルク電流をIMAXとしたときに、前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値Irefの絶対値がIMAXを越えていれば、前記ロバスト制御を維持するための前記i軸目の現サンプルnの最大加減速トルク電流IaccMAX(n)iを次の式で算出し、
【0012】
【数11】
JP0005002814B2_000002t.gif

【0013】
の式からi軸目の最大加速度θ・・max(n)iを算出して(但し、Kはトルク定数,Jniはi軸目の慣性モーメントのノミナル値)、
【0014】
【数12】
JP0005002814B2_000003t.gif

【0015】
前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを次の式で算出し(但し、Tsは現サンプルから次のサンプルまでのサンプリング時間,θ・res(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n+1)はi軸目の次のサンプルにおける位置指令値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値)、
【0016】
【数13】
JP0005002814B2_000004t.gif

【0017】
前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値Irefの絶対値がIMAX未満である場合は、前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを1にするものである。
【0018】
上記アクチュエータ制御装置においては、前記外乱オブザーバの極を無限大にするのが好ましい。
【0019】
また各軸の電流リミッタは、全ての軸で前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを算出すると、各軸iの前記調整率γ(n+1)iの中から最小値γ(n+1)minを抽出して、前記フィードフォワード成分の電流参照値を調整した値IFFi(n)を、次の式から算出する(但し、Ktnはトルク定数のノミナル値,f(t)はi軸目の位置指令値の時間関数,θres(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値)ことを特徴とする。
【0020】
【数14】
JP0005002814B2_000005t.gif

【0021】
さらに、前記各軸の調整部は、次の式から前記位置指令の調整率γ(n+1)に基づく次サンプルでの修正時間t(n+1)を算出し(但し、t(n)は現時間)、
【0022】
【数15】
JP0005002814B2_000006t.gif

【0023】
この修正時間に基づき、前記フィードバック成分の電流参照値および前記フィードフォワード成分の電流参照値を修正するのが好ましい。
【0024】
本発明におけるアクチュエータ制御方法は、各軸に可動する複数のアクチュエータの動作を個々に制御するアクチュエータ制御方法であって、前記アクチュエータへの外乱を推定する外乱オブザーバを備え、この外乱オブザーバで得た外乱推定値を外乱補償電流に変換し、前記外乱補償電流でフィードバック補償した前記アクチュエータへの電流参照値により、当該アクチュエータをロバスト加速度制御する加速度制御ステップと、前記アクチュエータを軌跡追従制御させるために、フィードバック成分の電流参照値とフィードフォワード成分の電流参照値を算出する軌跡追従ステップと、前記フィードバック成分の電流参照値,前記フィードフォワード成分の電流参照値,および前記外乱補償電流を合計した前記アクチュエータへの電流参照値を、予め設定した最大電流値以下に制限するために、何れか一つの軸で前記アクチュエータへの電流参照値が前記最大電流値を越えて電流飽和を起こすと、全ての軸で位置指令の調整率をそれぞれ算出し、この軸毎の調整率の中から前記電流飽和の許容分が一番大きな軸に対応した最小値の調整率を用いて、軸毎に前記フィードフォワード成分の電流参照値を調整する電流制限ステップと、前記電流制限ステップから与えられる前記最小値の調整率から、前記フィードバック成分の電流参照値および前記フィードフォワード成分の電流参照値を修正する調整ステップと、からなる。
【0025】
そして、前記i軸目のフィードバック成分の電流参照値をIFBi,前記i軸目のフィードフォワード成分の電流参照値をIFFi,前記i軸目の外乱補償電流をIRBi,前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値をIref,前記最大電流値に相当し、前記アクチュエータを構成するモータの最大トルク電流をIMAXとしたときに、前記電流制限ステップは、軸毎に前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値Irefの絶対値がIMAXを越えていれば、前記ロバスト制御を維持するための前記i軸目の現サンプルnの最大加減速トルク電流IaccMAX(n)iを次の式で算出し、
【0026】
【数16】
JP0005002814B2_000007t.gif

【0027】
の式からi軸目の最大加速度θ・・max(n)iを算出して(但し、Kはトルク定数,Jniはi軸目の慣性モーメントのノミナル値)、
【0028】
【数17】
JP0005002814B2_000008t.gif

【0029】
前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを次の式で算出し(但し、Tsは現サンプルから次のサンプルまでのサンプリング時間,θ・res(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n+1)はi軸目の次のサンプルにおける位置指令値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値)、
【0030】
【数18】
JP0005002814B2_000009t.gif

【0031】
前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値Irefの絶対値がIMAX未満である場合は、前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを1にする
【0032】
上記アクチュエータ制御方法においては、前記外乱オブザーバの極を無限大にするのが好ましい。
【0033】
また前記電流制限ステップは、全ての軸で前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを算出すると、各軸iの前記調整率γ(n+1)iの中から最小値γ(n+1)minを抽出して、前記フィードフォワード成分の電流参照値を調整した値IFFi(n)を、次の式から算出する(但し、Ktnはトルク定数のノミナル値,f(t)はi軸目の位置指令値の時間関数,θres(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値)ことを特徴とする。
【0034】
【数19】
JP0005002814B2_000010t.gif

【0035】
さらに、前記調整ステップは、次の式から前記位置指令の調整率γ(n+1)に基づく次サンプルでの修正時間t(n+1)を算出し(但し、t(n)は現時間)、
【0036】
【数20】
JP0005002814B2_000011t.gif

【0037】
この修正時間に基づき、前記フィードバック成分の電流参照値および前記フィードフォワード成分の電流参照値を修正するのが好ましい。
【発明の効果】
【0038】
上記請求項1の装置および請求項5の方法によれば、アクチュエータに対する外乱を補償したロバストな加速度制御を実現しつつ、アクチュエータを目標値に軌跡追従させることで、ロバスト加速度制御に基づく高速モーションの軌跡追従制御が可能になる。しかも、このような制御の下で、アクチュエータへの電流参照値が最大電流値を越えて飽和した場合に、特に次のサンプルでの位置に大きな影響を及ぼすフィードフォワード成分の電流参照値を適切に調整することで、電流飽和を起こしたアクチュエータを含めて、全ての軸でアクチュエータを軌跡から遅れないように追従制御することが可能になる。また、このフィードフォワード成分の電流参照値を調整する際に得られる調整率から、軌跡追従制御システムや追跡制御ステップで算出するフィードバック成分の電流参照値およびフィードフォワード成分の電流参照値を修正して、各軸間でアクチュエータを協調動作させることが可能になる。また、各軸のアクチュエータを軌跡追従制御する上で必要なアクチュエータへの調整したフィードフォワード成分の電流参照値を、位置指令の調整率から簡単に算出できる。
【0039】
上記請求項2の装置および請求項6の方法によれば、アクチュエータへの加速度参照値から加速度応答値までの伝達関数を1とみなすことができ、目標指令値に対しアクチュエータがほぼ遅れなく追従して応答するので、ロバストな軌跡追従制御をより完全に実現できる。
【0040】
上記請求項3の装置および請求項7の方法によれば、飽和時にその軸の最大加速度電流を判定し、この判定結果から、アクチュエータに対するロバスト加速度制御を確実に行ないつつ、最適な位置指令の時間的縮小率である調整率γひいては調整したフィードフォワード成分の電流参照値を算出することが可能になる。
【0041】
上記請求項4の装置および請求項8の方法によれば、前記位置指令の調整率から、全ての軸のアクチュエータを協調動作させる最適な軌跡指令の調整を行なうことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、添付図面に基づいて、本発明における好適な実施例を詳細に説明する。先ず図1に基づき、本発明のアクチュエータ制御装置が適用する外乱オブザーバを用いたロバスト加速度制御系の一例を説明する。
【0043】
同図において、1はロバスト加速度制御系の制御システムで、この加速度制御部たる加速度制御システム1は、制御対象であるアクチュエータ2に対して、外乱補償手段である外乱オブザーバ3による加速度次元での外乱トルク補償を行なうように構成される。エネルギーを動力に変換する可動可能なアクチュエータ2は、当該アクチュエータ2への外乱トルクTdisを推定する対象として設けられ、これはサーボモータなどの駆動源に電流値iを入力することにより動作するものである。アクチュエータ2には、実際の速度応答値θres(以下、図や数式以外では、1階の微分を「」,2階の微分を「・・」として便宜上あらわし、対応する記号の後に併記する。)を電気的な速度応答信号に変換して検出出力するために、速度検出手段としての速度センサ4が装着される。なお、アクチュエータ2の実際の位置を検出して電気信号に変換する位置センサと、この位置センサからの検出信号を擬似微分して、推定した速度応答信号を得る擬似微分器とを、速度センサ4の代わりに用いてもよい。
【0044】
一方、外乱オブザーバ3は、アクチュエータ2への外乱を除去するための指令値として、外乱トルクの推定値^Tdis(以下、図や数式以外では、この推定値をあらわす「^」を、対応する記号の前に併記する)を算出する機能を有し、特にここでの推定値^Tdisは、外乱トルクTdisだけでなく、慣性変動トルクなどのパラメータ変動誤差も共に推定できる。具体的には、アクチュエータ2への操作量である電流値iを入力すると共に、速度センサ4からの速度応答値θを入力して、これらの各値から外乱トルクの推定値^Tdisを算出し出力するもので、実際にはコンピュータのソフトウェアなどで構成される。外乱オブザーバ3は、前記アクチュエータ2と等価的な逆モデルが組み込まれ、前記電流値iをトルク(力)単位の第1信号に変換し、この第1信号と速度センサ4で検出した速度応答値θ・resを微分して得た第2信号とを比較した第3信号を出力する逆モデル部6と、この逆モデル部6での微分の際にカットオフ周波数を設定することにより形成され、前記逆モデル部6から低周波帯域の成分の第3信号を取り出し、これを外乱トルク推定値^Tdisとして出力するローパスフィルタ7と、により構成される。また8は、前記外乱トルク推定値^Tdisを、目標となる電流参照値Irefと同じ単位の外乱補償電流値Icmpに逆変換するトルク-電流変換手段であり、この外乱補償電流値Icmpと、基準となる加速度参照値θ・・refを加速度-電流変換手段9で変換して得た電流参照値Irefとを、加算器10で加算することで、アクチュエータ2に入力する前記電流値iを算出するようにしている。これにより、図1の各構成からなる加速度制御システム1では、外部からアクチュエータ2に加わる外乱トルクTdisの影響を除去することができる。
【0045】
なお、アクチュエータ2は、入力した電流値iとトルク定数Kとの積で算出されるトルク値と、外乱トルクTdisとの偏差が、実際の出力トルク値となり、この出力トルク値を慣性モーメントJで除算したものが、実際に出力する(角)加速度応答値θ・・resとなる。また、アクチュエータ2からの前記速度応答値θ・resは、積分器11によって加速度応答値θ・・resを積分(1/s)した値となる。図1では、こうしたアクチュエータ2の動作が、前記積分器11を含む各構成要素で便宜的に示されている。
【0046】
ここで、図1に記載されている各構成要素内の記号を説明すると、Jはモータの慣性モーメントであり、Kはトルク定数であり、記号の後にある添え字は公称(ノミナル)値を意味する。また、外乱オブザーバ3のカットオフ周波数をgとすると、外乱トルク推定値^Tdisは、次の式で算出される。
【0047】
【数21】
JP0005002814B2_000012t.gif

【0048】
こうして、図1に示す加速度制御システム1では、外乱オブザーバ3で算出された外乱トルクの推定値^Tdisを、トルク-電流変換手段8で外乱補償電流値cmpに変換してフィードバック補償することにより、従来の電流制御系を基にして、簡単にロバストな加速度制御系を実現できる。
【0049】
図1における加速度制御システム1は、外乱オブザーバ3の極(カットオフ周波数)gが無限大(g=∞)のときに、加速度参照値θ・・refから加速度応答値θ・・resに至る伝達関数を1とみなすことができる。図2は、図1のロバスト加速度制御系に基づく軌跡追従制御系のブロック線図を示しているが、ここでの軌跡追従制御部たる軌跡追従制御システム20は、目標(位置)指令値であるθcmdが時間関数であるので、一階微分器21によって速度指令値θ・cmdを目標指令値θcmdの関数の微分で求め、二階微分器22によって加速度指令値θ・・cmdを目標指令値θcmdの関数の2階微分で求めたフィードフォワード系の構成を有している。なお、前記図1における加速度制御システム1は、その主制御システム部23と積分器11とにより構成される。
【0050】
また、軌跡追従制御システム20はフィードバック系の構成として、位置と速度の各制御ループを有しており、減算器24により得られる目標指令値θcmdと位置応答値θresとの偏差が、位置-速度変換手段25により位置制御系のゲインKpと乗算されて速度偏差値となり、この速度偏差値と一階微分器21によって得られた速度指令値θ・cmdが加算器26で加算され、さらに減算器27により、この加算した値と速度応答値θ・resとの偏差が算出される。そして、減算器27で得た偏差値は、速度-加速度変換手段28により速度制御系のゲインKvと乗算され、それにより求めた加速度偏差値と、二階微分器22によって得られた加速度指令値θ・・cmdが、加算器29で加算されることにより、加速度制御システム1への加速度参照値θ・・refが算出される。
【0051】
なお、この加速度制御システム1を組み込んだ軌跡追従制御システム20では、速度制御ループの他に位置制御ループが設けられている関係で、アクチュエータ2には便宜的に速度応答値θ・resから位置応答値θresへの変換手段として積分器30が設けられていると共に、このアクチュエータ2の位置応答値θresを検出する位置検出手段として、位置センサ31が設けられる。
【0052】
図2では、位置指令値θcmdから位置応答値θresまでの伝達関数が、次の式で表わせる。
【0053】
【数22】
JP0005002814B2_000013t.gif

【0054】
上記数22より、アクチュエータ2の位置応答値θres,速度応答値θ・res,加速度応答値θ・・resは、それぞれ目標となる位置指令値θcmd,速度指令値θ・cmd,加速度指令値θ・・cmdにほとんど遅れなく追従する。したがって、この図2に示すようなシステムで、ロバスト加速度制御を実現する加速度制御システム1を用いて、多軸系(例えば、X-Yテーブル)の軌跡追従制御を行なうと、高速で高精度なモーション制御が可能になる。
【0055】
次に、上述した図1や図2に示す加速度制御システム1に、モータの電流リミット(飽和)を考慮して、電流リミッタ41を組み込んだ場合の構成を図3に示す。従来の加速度制御系を基にして、外乱オブザーバ3を用いてロバスト加速度制御系の加速度制御システム1を構築した場合、アクチュエータ2に組み込まれたモータのトルク飽和を回避するために、加算器10で得られた電流参照値Irefと外乱補償電流値Icmpとを加算した電流値iを、一定の範囲内に制限する電流リミッタ41が設けられる。これにより、例えば高速な軌跡指令値や負荷条件によって、モータの最大トルクを超えるような電流値iが生じた場合には、電流リミッタ41で当該電流値iを一定の範囲内の値に制限してアクチュエータ2に出力することで、モータのトルク飽和を回避する。しかし、これまで通り電流次元でリミッタを考慮した場合には、電流飽和時においてアクチュエータ2に対しロバストな加速度制御を維持することが困難になる。
【0056】
そこで、図4から図5に示すように、図3における外乱オブザーバ3を等価変換する。図4に示す等価変換図では、加速度-電流変換手段9によって、加速度参照値θ・・refをトルク定数のノミナル値Ktnで除算し、これを慣性モーメントのノミナル値Jnで乗算することで、電流参照値Irefを得る。電流リミッタ41は、この電流参照値Irefに対し作用する。電流リミッタ41を通過した電流参照値Irefは、電流-トルク変換手段42によってトルク定数のノミナル値Ktnと乗算され、この乗算した結果のトルク参照値と、外乱トルクTdisと等価的な要素43に示された数式の感度関数とを乗算した推定トルク値とを、等価的な減算器44により減算したものが、トルク-速度変換手段45に入力するアクチュエータ2のトルク応答値となる。トルク応答値は、トルク-速度変換手段45によって速度応答値θ・resに変換され、さらにこの速度応答値θ・resは、速度-位置変換手段である積分器30によって位置応答値θresに変換される。
【0057】
なお、図4および図5の要素43に示されるg’は、次の式で表せる。
【0058】
【数23】
JP0005002814B2_000014t.gif

【0059】
一方、図5では、電流リミッタ41により電流を制限するのを、等価的に加速度リミッタ51による加速度制限に置き換えたものである。図5によれば、ロバスト加速度制御系では、図3に示す電流リミッタ41が加速度リミッタ51として表現できることがわかる。そこで本実施例では、アクチュエータ2の制御装置を構成するコンピュータに、加速度次元でリミッタを考慮する手法として、加速度制限アルゴリズム(Acceleration Limitation Algorithm)を組み込む。
【0060】
加速度リミッタ51は、モータの最大トルクを超えるような加速度参照値θ・・refが生じた場合に、当該加速度参照値θ・・refを一定の範囲内の値に制限して、アクチュエータ2を構成するモータの飽和を加速度次元で回避するものである。この加速度リミッタ51を通して得られた加速度参照値θ・・refと、外乱トルクTdisと要素52に示された数式の感度関数とを乗算することで算出された外乱に見合う推定の加速度値とを、等価的な減算器53により減算したものが、加速度-速度変換手段である積分器54に入力するアクチュエータ2の加速度応答値となる。加速度応答値は、積分器54によって速度応答値θ・resに変換され、さらにこの速度応答値θ・resは、速度-位置変換手段である積分器30によって位置応答値θresに変換される。
【0061】
図6は、上記加速度制限アルゴリズムを実行する加速度制限手段61の構成を示したものである。加速度制限手段61は、外乱補償加速度θ・・RBcmpと、加速度制御システム1のフィードバック系の加速度参照値θ・・FBrefと、加速度制御システム1のフィードフォワード系の加速度参照値θ・・FFrefとを入力とし、これらの各加速度値の合計である加速度参照値θ・・ref=θ・・RBcmp+θ・・FBref+θ・・FFrefと、モータの最大加速度θ・・MAXとの比較結果により、加速度飽和を考慮した最終的な加速度参照値θ・・~ref(以下、図や数式以外では、最終値を「」として便宜上あらわし、対応する記号の後に併記する。)を算出するものである。
【0062】
ここで、ロバスト加速度制御を実現するための外乱補償加速度θ・・RBcmpは、外乱オブザーバ3で算出される外乱トルク推定値^Tdisに、トルク-加速度変換手段62により慣性モーメントのノミナル値Jnを乗算して算出される。また、フィードバック系の加速度参照値θ・・FBrefは、目標となるフィードバック参照値と、アクチュエータ2の実際の動作から得られた応答値との偏差を減算器63で算出し、この偏差値に要素64による適切なフィードバックゲインGFBを乗算して算出される。このフィードバック参照値や応答値は加速度以外であってもよく、それらから要素64により加速度参照値θ・・FBrefが算出されるように構成すればよい。
【0063】
前記加速度リミッタ51は、加算器65で算出される合計の加速度参照値θ・・refが、予め設定された最大加速度θ・・MAXを越えたときに、アクチュエータ2への最終的な加速度参照値θ・・~refを最大加速度θ・・MAXに制限するものであるが、これは実際には、外乱補償加速度θ・・RBcmpを調整するのに、この外乱補償加速度θ・・RBcmpに乗算されるRB項調整率k1と、フィードバック系の加速度参照値θ・・FBrefを調整するのに、この加速度参照値θ・・FBrefに乗算されるFB項調整率k2と、フィードフォワード系の加速度参照値θ・・FFrefを調整するのに、この加速度参照値θ・・FFrefに乗算されるFF項調整率k3とを決定し、その調整した各値を加算器65で合計することで、最終的な加速度参照値θ・・~refを算出する機能を有する。なお図6では、RB項調整率k1,FB項調整率k2およびFF項調整率k3の各決定手段として、要素66~68が示されている。
【0064】
上記構成の加速度制限手段61で実現される加速度制限アルゴリズムは、次のような手順で各調整率k1,k2,k3を決定し、加速度飽和を考慮した最終的に調整された加速度参照値θ・・~refを算出する。
【0065】
先ず、最初の手順では、外乱補償加速度θ・・RBcmp,加速度参照値θ・・FBref,および加速度参照値θ・・FFrefを、加算器65によりそのまま合計した加速度参照値θ・・ref(=θ・・RBcmp+θ・・FBref+θ・・FFref)が、最大加速度θ・・MAXを越えているか否かを判定する。ここで、加速度参照値θ・・refが最大加速度θ・・MAXを越えていなければ、すなわちθ・・ref≦θ・・MAXであれば、各調整率k1,k2,k3は1であるとし(k1=k2=k3=1)、合計の加速度参照値θ・・refを、そのまま最終的な加速度参照値θ・・~refとして出力する。
【0066】
一方、加速度参照値θ・・refが最大加速度θ・・MAXを越えていれば、すなわちθ・・ref>θ・・MAXであれば、次の式の関係が満たされるように各調整率k1,k2,k3を決定し、最終的な加速度参照値θ・・~refが、最大加速度θ・・MAXと等しくなるようにする。
【0067】
【数24】
JP0005002814B2_000015t.gif

【0068】
ここで、θ・・ref>θ・・MAXのときに、各調整率k1,k2,k3を調整する例を説明すると、次の数式に示すフィードフォワード調整型では、フィードフォワード(FF)項であるk3・θ・・FBrefを調整することで、他のフィードバック(FB)項k2・θ・・FBrefや、ロバスト外乱補償(RB)項k1・θ・・RBcmpの大きさを維持する。
【0069】
【数25】
JP0005002814B2_000016t.gif

【0070】
また、別のフィードバック調整型では、FB項を調整することで、他のFF項やRB項の大きさを維持する。これは、次の数式のように表せる。
【0071】
【数26】
JP0005002814B2_000017t.gif

【0072】
さらに、フィードバック+フィードフォワード調整型では、FB項+FF項を調整することで、RB項の大きさを維持する。これは、次の数式のように表せる。
【0073】
【数27】
JP0005002814B2_000018t.gif

【0074】
軌跡追従制御システム20は、この調整されたFB項とFF項に基づいて、アクチュエータ2をフィードバックおよびフィードフォワード制御する。多軸系のシステムでは、3つの各調整率k1,k2,k3の値をそれぞれ考慮することで、多軸系への拡張問題への拡張が可能になる。
【0075】
次に、上記図5に示す加速度制限アルゴリズムの概念を取り入れた多軸系のシステム構成の一例を、図7および図8に基づき説明する。図7は、多軸系の実験システムの外観を示したもので、71はアクチュエータ制御装置としてのコンピュータで、ここには上述したロバスト加速度制御に基づく軌跡追従制御系を実現するアルゴリズムが組み込まれている。コンピュータ71の入出力ポートは、接続手段であるPCIバス72を介して、入出力インターフェースであるPCIバスブリッジ73に接続される。このPCIバスブリッジ73は、AD(アナログ-ディジタル変換)ボードや、カウンタボードや、DIO(ディジタル入出力)ボードなどを備えて構成される。
【0076】
一方、この実験システムにおけるアクチュエータ2は、X方向とY方向に沿って移動する2台のテーブル78に対応して、それぞれ2つのアクチュエータ2A,2Bが配設される。X軸用のアクチュエータ2Aは、駆動源であるACモータ75Aの回転軸に、継手76Aを用いてボールスクリュー77Aを連結し、このボールスクリュー77Aに可動する被制御物であるテーブル78Aを螺合して構成される。同様に、Y軸用のアクチュエータ2Bも、駆動源であるACモータ75Bの回転軸に、継手76Bを用いてボールスクリュー77Bを連結し、このボールスクリュー77Bに可動するテーブル78Bを螺合して構成される。
【0077】
そして、コンピュータ71からPCIバスブリッジ73を通してインバータ79Aに出力される制御信号により、このインバータ79AがACモータ75Aを駆動するに十分な交流電流に変換し、これをACモータ75Aに供給することにより、ボールスクリュー77Aが正方向または逆方向に回転して、テーブル78Aがボールスクリュー77Aの軸方向に沿って移動する。同様に、コンピュータ71からPCIバスブリッジ73を通して別なインバータ79Bに出力される制御信号により、このインバータ79BがACモータ75Bを駆動するに十分な交流電流に変換し、これをACモータ75Bに供給することにより、ボールスクリュー77Bが正方向または逆方向に回転して、テーブル78Bがボールスクリュー77Bの軸方向に沿って移動するようになっている。
【0078】
インバータ79AからACモータ75Aに供給される電流は、電流センサ81Aにより検出されると共に、ACモータ75Aの回転速度がエンコーダ82Aにより検出され、PCIバスブリッジ73を通してコンピュータ71に取り込まれる。また同様に、インバータ79BからACモータ75Bに供給される電流は、電流センサ81Bにより検出されると共に、ACモータ75Bの回転速度がエンコーダ82Bにより検出され、PCIバスブリッジ73を通してコンピュータ71に取り込まれるようになっている。
【0079】
なお、この場合は、X,Yの2軸に沿ってそれぞれテーブル78A,78Bを可動させる例を示したが、同様のアクチュエータ2Aと、これに付随するインバータ79A,電流センサ81A,エンコーダ82Aを追加すれば、3軸以上の多軸系のシステム構成にも適用できる。
【0080】
ところで、図7に示すような多軸系のシステムで、ロバスト加速度制御に基づく軌跡追従制御を行なうと、一つの軸の例えばアクチュエータ2Aが加速度飽和を起こした場合、図5に示すような加速度リミッタ51を用いても軌跡誤差を生じてしまう。その主な原因は、加速度飽和を起こしていない軸のトルク電流参照値Irefも、目標軌跡からずれないように調整する必要があるからである。
【0081】
図8は、従来手法による多軸系のロバスト加速度制御に基づくトルク飽和を考慮した軌跡追従システムの一例を示しており、この図のアクチュエータ2以外の各構成は、何れも前記コンピュータ71内にプログラムとして組み込まれている。ここに示す追跡制御システムは、1つの軸のアクチュエータ2についてのみ示してあり、多軸系ではその軸数に応じて同様の追跡制御システムが設けられる。
【0082】
85は、前記加速度制限手段61に基づくトルク電流リミッタであり、これは軌跡追従制御システム20から与えられるフィードフォワード系の加速度参照値θ・・FFrefおよびフィードバック系の加速度参照値θ・・FBrefと、外乱オブザーバ3からの外乱トルク推定値^Tdisをトルク-加速度変換手段62で変換して得た外乱補償加速度θ・・RBcmpとを加算する加算器65と、この加算器65の加算結果である加速度参照値θ・・refをトルク電流参照値Irefに変換する加速度-電流変換手段62と、前記トルク電流参照値Irefを最大トルク電流IMAX以下に制限する電流リミッタ41と、により構成され、この電流リミッタ41で得られた最終的な電流参照値I~refが、アクチュエータ2に供給されるようになっている。
【0083】
また86は、トルク飽和によって発生する動的な遅れを調整するモーション指令調整アルゴリズム(Adjustment algorithm of motion command)を備えた遅れ調整手段である。これは、軌跡追従制御においてトルク飽和が発生した場合に、各軸のトルク電流参照値Irefをトルク電流リミッタ85で調整すると、現サンプル時ではトルク不足状態となり、目標軌跡を追従できなくなって、軌跡誤差が大きくなるのを避けるために、トルク電流リミッタ85で得られた位置指令調整率γ(n+1)に基づき、元の時間tにおける目標軌跡指令値である位置指令値θcmd(t),速度指令値θ・cmd(t),加速度指令値θ・・cmd(t)を、追従可能な軌跡指令値である位置修正指令値θcmd(t),速度修正指令値θ・cmd(t),加速度修正指令値θ・・cmd(t)に修正するものである。そして、加速度修正指令値θ・・cmd(t)はそのまま前記フィードフォワード系の加速度参照値θ・・FFrefとなり、また位置修正指令値θcmd(t)および速度修正指令値θ・cmd(t)と、フィードバックされた位置応答値θresおよび速度応答値θ・resとの偏差に基づいて、前記フィードバック系の加速度参照値θ・・FBrefが算出される。
【0084】
図9は、多軸系システムの軸数をN(i=1~N)としたときに、ロバスト加速度制御におけるi軸目のトルク飽和を示したブロック線図である。ここでのトルク電流リミッタ85は、図8に示したものを電流成分で合計する構成に書き改めたもので、i軸目の加速度指令値θ・・cmd(前記加速度参照値θ・・FFrefに相当する)は、次の式のように、加速度-電流変換手段88により加速度指令値のフィードフォワード成分の加速度指令電流IFFiに変換される。
【0085】
【数28】
JP0005002814B2_000019t.gif

【0086】
また、減算器89で算出されるi軸目の速度参照値ωrefと速度応答値ωresとの偏差を、速度-加速度変換手段28により加速度参照値に変換した値(前記加速度参照値θ・・FBrefに相当する)は、次の式のように、別な加速度-電流変換手段90により速度偏差を補償するフィードバック成分の加減速トルク電流IFBiに変換される。
【0087】
【数29】
JP0005002814B2_000020t.gif

【0088】
さらに外乱トルク推定値^Tdisは、次の式のように、トルク-電流変換手段91によりロバスト加速度制御を実現するための外乱補償トルク電流IRBiに変換される。
【0089】
【数30】
JP0005002814B2_000021t.gif

【0090】
加算器65は、加速度指令電流IFFi,加減速トルク電流IFBi,外乱補償トルク電流IRBiの各値を合計したi軸目のトルク電流参照値Irefi(=IFFi+IFBi+IRBi)を算出し、電流リミッタ41は、軸毎のトルク電流参照値IrefiがACモータ75(75A,75B,…)の最大トルク電流IMAX以下となるように、最終的な電流参照値I~refを制限する。
【0091】
前記図8に示す軌跡追従システムの手法では、アクチュエータ2が加速度飽和を発生すると、前述したロバスト外乱補償(RB)項の大きさを維持して、フィードフォワード(FF)項とフィードバック(FB)項を強調すべき項として、トルク電流の最小許容率αminで各軸を協調している。具体的には、軸毎にトルク電流リミッタ85が、次のようにして加速度トルク電流調整率αを決定する。
【0092】
先ず、i軸目の外乱補償トルク電流IRBiの絶対値が、最大トルク電流IMAXを越える場合(IMAX<|IRBi|)には、そのi軸目の調整率αを0とする(α=0)。
【0093】
次に、i軸目の外乱補償トルク電流IRBiの絶対値が、最大トルク電流IMAXを越えていない場合であっても、i軸目のトルク電流参照値Irefiの絶対値が、最大トルク電流IMAXを越える場合(IMAX<|IFBi+IFFi+IRBi|)には、次の式にてi軸目の調整率αを算出する。
【0094】
【数31】
JP0005002814B2_000022t.gif

【0095】
つまり、IrefiがIMAXを越えていれば上段の式で調整率αを算出し、Irefiが-IMAX未満であれば下段の式で調整率αを算出する。
【0096】
さらに、i軸目のトルク電流参照値Irefiの絶対値が、最大トルク電流IMAX以下の場合(IMAX≧|IFBi+IFFi+IRBi|)には、そのi軸目の調整率αを1とする(α=1)。
【0097】
各軸のトルク電流参照値Irefiの協調を考慮する場合、トルク電流リミッタ85は、軸毎に決定した調整率α(i=1~N)の中から最小値(最小許容率)αminを抽出し、この最小値αminを用いて各軸のトルク電流参照値Irefiを次の式のように調整する。ここでは、各軸の加減速トルク電流成分のベクトル方向を維持して、その大きさだけを調整する。
【0098】
【数32】
JP0005002814B2_000023t.gif

【0099】
そして、こうして求められた最終的なトルク電流参照値Irefiによって、各軸間のアクチュエータ2を協調制御する。
【0100】
図10A~図10Dは、図8に示す従来の軌跡追従システムを図7に示すコンピュータ71に組み込み、円軌跡を描かせたときの実験結果を示している。ここでは、Y軸に8.9kgの負荷を与え、半径100mmの円軌跡を描かせている。図10Aは、X軸のアクチュエータ2Aにおける位置θ,(角)速度ω,電流iqの指令値と応答値をトレースしたものであり、図10Bは、Y軸のアクチュエータ2Bにおける位置θ,(角)速度ω,電流iqの指令値と応答値をトレースしたものである。また、このときのX軸とY軸の各トラッキング誤差と、半径誤差を、図10Cに示す。さらに図10Dは、始動・停止時における軌跡応答の拡大図である。
【0101】
従来の軌跡追従システムでは、図10Cに示すように、トルク飽和の発生時において、特にX軸のトラッキング誤差が大きくなり、その結果、図10Dに示すように、目標となる正弦波状のX-Y軌跡基準値prefに対して、軌跡応答値presが大きく逸れて、軌跡誤差が大きくなっている。
【0102】
その理由は、次の式に示すように、加速度α,位置θ,およびその修正値をα,θとすると、元の値と修正値との比であらわせる加速度と位置の各許容率が必ずしも同一ではなく、従来法のようにトルク電流の最小許容率αminで各軸を協調しても、軌跡を合わせることができないからである。したがって、多軸系の軌跡追従制御を行なう場合には、電流の次元ではなく位置の次元で各軸を協調しなければならない。
【0103】
【数33】
JP0005002814B2_000024t.gif

【0104】
そこで、このような位置の次元で各軸を協調制御し得るシステムとその手法を、以下に詳しく説明する。図11は、新たに提案するロバスト加速度制御におけるi軸目の加速度飽和を示しており、ここでは前述のトルク電流リミッタ85に代わり、最大加速度電流リミッタ94を有する新規なトルク電流リミッタ95が組み込まれている。また、この図11において、IFBiは速度偏差を補償するフィードバック成分の加減速トルク電流であり、IFFiは加速度指令値のフィードフォワード成分の加速度指令電流であり、IRBiはロバスト加速度制御を実現するための外乱補償トルク電流である。加速度-電流変換手段88で変換して得られる加速度指令電流IFFiと、加速度-電流変換手段90で変換して得られる加減速トルク電流IFBiは、加算器65Aによって加算され、この加算器65Aで加算した結果と、トルク-電流変換手段91で変換して得られる外乱補償トルク電流IRBiが、最大加速度電流リミッタ94内に構成される加算器65Bによって加算される。すなわち、ロバスト加速度制御系に基づく軌跡追従制御系では、トルク電流飽和が生じない限り、i軸目のACモータ75のトルク電流参照値Irefiが、加算器65A,65Bによって、加速度指令電流IFFi,加減速トルク電流IFBi,および外乱補償トルク電流IRBiの和により算出される。
【0105】
ここで、外乱補償トルク電流IRBiは、ロバスト制御に必須な成分であるため軸毎に大きさを維持する必要がある。また、加減速トルク電流IFBiは、各軸によって異なるモデル化誤差による偏差を補償するのに必要であるため、軸毎にその大きさを維持しなければならない。さらに、加速度指令電流IFFiも目標軌跡を追従させるために必要な項であり、次のサンプル(n+1)での位置に大きく影響する項である。このようにロバスト加速度制御に基づく軌跡追従制御系では,各電流参照値がそれぞれ重要な役割を持っていることがわかる。
【0106】
以上より、ロバスト加速度制御に基づく軌跡追従制御系では、加速度指令電流IFFi,加減速トルク電流IFBi,および外乱補償トルク電流IRBiのそれぞれが、大きさを維持しなければ軌跡追従を行うことができない。そこでここでは、目標軌跡を追従させるために必要な加速度指令電流IFFiに着目する。この加速度指令電流IFFiに関係するFF項は、次のサンプルでの位置に大きく影響する。トルク電流飽和が発生した場合、次サンプルでの位置指令を軸毎に調整することで軌跡誤差を生じないようにするため、現サンプルの加速度指令電流IFFiは、最適な加速度指令電流IFFiに調整する必要がある。そこで、従来のような電流参照値を最小許容率αminで協調する手法に代えて、複数の軸の中で1軸でもトルク電流飽和が発生した場合に、軸毎に最適な加速度指令電流IFFiを、軌跡からずれないように調整した位置指令から逆算することで算出し、軸毎にトルク電流参照値を調整する本実施例独自の好ましい手法に改善する。
【0107】
ここでは、図7に示すような2軸のX-Y方向に移動するテーブル78A,78Bについて、図11に示す新たなトルク電流リミッタ95を適用する。一例として、Y軸のアクチュエータ2Bがトルク飽和した場合を考えると、トルク飽和を起こしていないX軸のアクチュエータ2Aに対する次のサンプル(n+1)における位置指令値θcmd(n+1)は、次の各式からトルク電流リミッタ95で算出できる。
【0108】
【数34】
JP0005002814B2_000025t.gif

【0109】
【数35】
JP0005002814B2_000026t.gif

【0110】
但し、Tは制御系のサンプリング時間であり、θ・avg(n)は現サンプル(n)から次のサンプル(n+1)までの間の平均速度である。しかし、実際にはY軸のアクチュエータ2Bがトルク飽和を起こしているので、次サンプル時の位置指令値θcmd(n+1)は、遅れ調整手段86によって次の式のような修正した位置指令値θcmd(n+1)に調整する必要がある。
【0111】
【数36】
JP0005002814B2_000027t.gif

【0112】
なお、f(t)はx軸の位置指令値θcmd(n)の時間関数であり、またγ(n+1)は、後述する位置指令調整率である。
【0113】
そこで、次の式のように、上記数35と数36が等しくなるようなIFFx(n)を算出すれば、それが現サンプルにおける最適な加速度指令電流ということになる。
【0114】
【数37】
JP0005002814B2_000028t.gif

【0115】
この最適な加速度指令電流IFFx(n)は、トルク電流リミッタ95によって次の式から容易に算出できる。
【0116】
【数38】
JP0005002814B2_000029t.gif

【0117】
したがって、トルク電流リミッタ95で得られる最終的なx軸の修正トルク電流参照値Irefxは、次の式のようになる。
【0118】
【数39】
JP0005002814B2_000030t.gif

【0119】
以上のことから、新たに提案するフィードフォワード電流修正型のトルク制限アルゴリズムを備えたトルク電流リミッタ95では、次の手順でトルク飽和対策を実行する。
【0120】
先ず、第1のステップでは、各軸に対して位置指令調整率γ(n+1)iを次のように算出する。この位置指令調整率γ(n+1)iは、位置の次元での許容率である。ここでIMAXはACモータ75の最大トルク電流であり、ロバスト加速度制御系ではロバスト制御の維持を目的とした最大加減速トルク電流IaccMAXによるリミッタが存在する。最大加速度電流リミッタ94は、外乱補償トルク電流IRBiの向きを考慮して、最大加減速トルク電流IaccMAXを次の式のように導出する。
【0121】
【数40】
JP0005002814B2_000031t.gif

【0122】
つまり、i軸目のトルク電流参照値IrefがIMAXを越えていれば上段の式で現サンプルの最大加減速トルク電流IaccMAX(n)iを算出し、Irefが-IMAX未満であれば下段の式でIaccMAX(n)iを算出する。そこで、加速度指令電流IFFiと加減速トルク電流IFBiとの和が、最大加減速トルク電流IaccMAXよりも大きくなった場合(IFFi+IRBi>IaccMAX)、つまりトルク電流参照値Irefiの絶対値が、最大トルク電流IMAXを越える場合、最大加速度電流リミッタ94は次の式で、軸毎に最大加速度θ・・max(n)iを算出する。
【0123】
【数41】
JP0005002814B2_000032t.gif

【0124】
そして、この最大加速度θ・・max(n)iから、軸毎に位置指令調整率γ(n+1)iを算出する。
【0125】
【数42】
JP0005002814B2_000033t.gif

【0126】
なお、上式において、Tsは現サンプルから次のサンプルまでのサンプリング時間,θ・res(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n+1)はi軸目の次のサンプルにおける位置指令値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値である。
【0127】
一方、トルク電流参照値Irefiの絶対値が、最大トルク電流IMAX未満である場合、最大加速度電流リミッタ94は位置指令調整率γ(n+1)iを1にする。
【0128】
次の第2ステップで、トルク電流リミッタ95は、各軸i(i=1~N)の位置指令調整率γ(n+1)iの中から最小値の位置指令調整率γ(n+1)minを抽出し、これを位置指令調整率γ(n+1)とする。すなわち、γ(n+1)=γ(n+1)minとなり、これによりトルク電流飽和時の許容分が一番大きい軸に、位置の次元で合わせることができ、各軸の協調がなされる。
【0129】
さらに第3ステップで、トルク電流リミッタ95は、以下の式によって、全ての軸iにおいて修正したフィードフォワード成分の加速度指令電流IFFi(n)をそれぞれ算出する。
【0130】
【数43】
JP0005002814B2_000034t.gif

【0131】
なお、上式において、θres(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値であり、θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値である。
【0132】
そして、この修正した加速度指令電流IFFi(n)を利用して、各アクチュエータ2への最終的なトルク電流参照値Irefiを算出する。
【0133】
【数44】
JP0005002814B2_000035t.gif

【0134】
なお、上記第3ステップの手順は、軸iにおける位置指令調整率γ(n+1)が、第2ステップで求めた位置指令調整率γ(n+1)iと異なる場合であって(すなわち、γ(n+1)≠γ(n+1)i)、そうでない場合(γ(n+1)=γ(n+1)i)には、Irefi=IMAXとなる。
【0135】
以上の手順により、多軸系のトルク飽和時において、最適な加速度指令電流IFFiを算出し、それに基づき算出した最終的なトルク電流参照値Irefiで各アクチュエータ2を制御することにより、軌跡誤差を抑制することができる。
【0136】
次に、前記位置指令調整率γ(n+1)を入力として、各軸iに修正した指令値を出力することで、各軸間での協調動作を可能にする遅れ調整手段86について説明する。
【0137】
図12は、前記数42により求めた位置指令ベクトル調整率γ(n+1)による次サンプルでの位置指令値の調整を図示したものである。ここで、θvector(n+1)は、次のサンプルでの位置指令ベクトルを示しており、これは次サンプルの位置指令値θcmd(n+1)から、現サンプルの位置指令値θcmd(n)を減算した値で求められる(θvector(n+1)=θcmd(n+1)-θcmd(n))。また、θ~vector(n+1)は、次のサンプルでの修正位置指令ベクトルを示しており、これは次サンプルの修正位置指令値θ~cmd(n+1)から、現サンプルの位置指令値θcmd(n)を減算した値で求められる(θvector(n+1)=θ~cmd(n+1)-θcmd(n))。位置指令調整率γ(n+1)は、修正位置指令ベクトルθ~vector(n+1)を位置指令ベクトルθvector(n+1)で除算することで算出できる。
【0138】
図12において、次サンプルでの修正時間t(n+1)は、位置指令の時間関数f(t)より、次の式で算出できる。
【0139】
【数45】
JP0005002814B2_000036t.gif

【0140】
図中のt’(n+1)は、各サンプリング間の位置指令を線形近似した場合の現サンプリングでの修正時間であり、サンプリング時間Ts≒0であれば、t(n+1)=t’(n+1)としても問題ないため、この式は次のように置き換えることができる。
【0141】
【数46】
JP0005002814B2_000037t.gif

【0142】
そこで、遅れ調整手段86が実行するモーション指令調整アルゴリズムでは、上式を利用して、次の式のように各軸iの次サンプルにおける修正した位置指令値θ~cmd(n+1)を生成する。さらに各軸iの次サンプルにおける修正した速度指令値θ~・cmd(n+1)や、修正した加速度指令値θ・・cmd(n+1)を生成する。これらの値を軌跡追従制御システム20に出力することにより、各軸iのアクチュエータ2が協調動作されることになる。
【0143】
【数47】
JP0005002814B2_000038t.gif

【0144】
なお、f(t)は各軸における位置指令値の時間関数であり、g(t)は各軸における速度指令値の時間関数であり、h(t)は各軸における加速度指令値の時間関数である。また、Tsは制御系のサンプリング時間である。修正した速度指令値θ~・cmd(n+1)や、修正した加速度指令値θ・・cmd(n+1)の導出で、上段の式は調整率γ(n+1)i<1でかつγ(n+1)min=γ(n+1)iの場合であり、調整率γ(n+1)i<1でかつγ(n+1)min≠γ(n+1)iの場合は、下段の式を適用する。
【0145】
図13A~図13Dは、図11に示す本実施例の好適な軌跡追従システムを図7に示すコンピュータ71に組み込み、円軌跡を描かせたときの実験結果を示している。すなわち、これらの各図は、本実施例の手法を適用したトルク飽和を考慮したロバスト加速度制御に基づく軌跡追従制御の実験結果である。なお、実験条件は、従来の軌跡追従システムと同じく、Y軸に8.9kgの負荷を与え、半径100mmの円軌跡を描かせている。
【0146】
図13Aは、X軸のアクチュエータ2Aにおける位置θ,(角)速度ω,電流iqの指令値と応答値をトレースしたものであり、図13Bは、Y軸のアクチュエータ2Bにおける位置θ,(角)速度ω,電流iqの指令値と応答値をトレースしたものである。また、このときのX軸とY軸の各トラッキング誤差と、半径誤差を、図13Cに示す。さらに図13Dは、始動・停止時における軌跡応答の拡大図である。
【0147】
ここでは、Y軸でトルク飽和を起こしていることが認められるが、上記最大加速度電流リミッタ94を含むトルク電流リミッタ95が、最適な指令値に修正しているために、良好な軌跡応答を得ることができる。
【0148】
ところで、急な停止動作や移動方向の反転動作において、アクチュエータ2のトルク飽和が発生した場合、減速トルク不足となる。これにより目標停止位置で止まれなかったり、目標軌跡から外れたりするので、そうした現象を回避するためには、前もってブレーキをかける必要がある。そこで、次に本実施例で提案するブレーキモードアルゴリズム(Braking Mode Algorithm)を説明する。
【0149】
図14は、アクチュエータ2を最大トルクで減速した場合の理想的な減速停止応答を示している。同図において、目標停止位置(target position)は必ず維持しなければならない。しかし、負荷状態により速度応答であるω0が変化するため、ブレーキ開始時間tbrakeからブレーキを開始した場合、目標停止位置(target position)は変化してしまう。そこで、負荷状態によって変化するブレーキ開始時間tbrakeから停止時間tstopまでの移動距離ΔΘerrを算出し、停止位置との偏差からブレーキ開始時間tbrakeを推定する。これにより推定したブレーキ開始時間tbrakeでブレーキをかけることで、目標停止位置(target position)を行過ぎることなく停止できる。
【0150】
停止位置との偏差Θerrは、目標停止位置(target position)と、位置応答値θresとの関係から次の式で算出できる。
【0151】
【数48】
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【0152】
また次の式は、クーロン摩擦を考慮して、図14に示す減速時の最適プロファイルより求めた減速開始の閾値である。
【0153】
【数49】
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【0154】
提案するブレーキモードアルゴリズムでは、移動距離ΔΘerr内に停止位置との偏差Θerrが入った場合に、ブレーキ開始時間tbrakeに到達したと判断して、最大減速トルクで停止動作をさせる。
【0155】
図15は、前記図11の概念を応用したトルク飽和を考慮した軌跡追従制御系の一例で、ここでは前述したトルク制限アルゴリズムを実行する最大加速度電流リミッタ94と、外乱オブザーバ3により外乱補償されたアクチュエータ2との間にスイッチ98を介在させ、前記ブレーキモードアルゴリズムを実行可能なスイッチ制御手段99により、このスイッチ98の切換動作を適切に制御するように構成される。
【0156】
ここでは、遅れ調整手段86からの修正した加速度指令値θ・・cmd(t)と、速度-加速度変換手段28からの加速度参照値θ・・FBrefが、加算器101で加算され、その加算した値が加速度-電流変換手段90により電流値iacc(前述のIFFi+IFBiに相当する)に変換されると共に、トルク-電流変換手段91により変換された電流値icmp(前述のIRBiに相当する)と、前記加速度-電流変換手段90からの電流値iaccとを加算器65Bで加算したトルク電流参照値Irefが、最大加速度電流リミッタ94に出力される。なお、加算器26,27の間には、速度リミッタ102が接続される。
【0157】
さらに、ここでの最大加速度電流リミッタ94は、スイッチ98の切換により、減算器103で得られる速度参照値ωref=0と速度応答値θ・resとの偏差を、速度-電流変換手段104で変換した電流値に基づいて、アクチュエータ2を速度制御する機能を有する。
【0158】
スイッチ制御手段99は、減速開始時間に達した軸を高速停止モーション軸としてスイッチ98を切り換え、速度参照値ω’ref=0の速度制御を行っている。このとき、その軸は最大の減速トルクを出して停止しようとするためトルク飽和が発生し、トルク電流リミッタ95が実行する「トルクリミテーション(制限)アルゴリズム」により、加速時とは逆の修正最大加速度指令θ・・max(n)が数41で計算される。これにより位置指令ベクトル調整率γ(n+1)が発生するため、次サンプルの修正時間t(n+1)を数45で求めて、次サンプルの他軸の指令値を遅れ調整手段86で調整する。こうして、停止動作軸と協調させながら停止動作を行い、目標軌跡からずれないように制御することが可能になる。
【0159】
その後、位置偏差Θerrが十分小さい値であるΔΘerr以下になったときに、位置決め完了時間であると判断し、ブレーキモードアルゴリズムを実行するスイッチ制御手段99は、スイッチ98を通常の位置制御系に戻すことにより位置決めを完了する。
【0160】
以上のように、本実施例は各軸に可動する複数のアクチュエータ2の動作を個々に制御するアクチュエータ制御装置や制御方法において、アクチュエータ2への外乱を推定する外乱オブザーバ3を備え、この外乱オブザーバ3で得た外乱推定値すなわち外乱トルク推定値^Tdisを外乱補償電流である外乱補償トルク電流IRBiに変換し、この外乱補償トルク電流IRBiでフィードバック補償して得たアクチュエータ2への電流参照値Irefにより、アクチュエータ2をロバスト加速度制御する加速度制御ステップを実行する加速度制御システム1と、アクチュエータ2を軌跡追従制御させるために、フィードバック成分の電流参照値である加減速トルク電流IFBiと、フィードフォワード成分の電流参照値である加速度指令電流IFFiとを算出する軌跡追従ステップを実行する軌跡追従制御システム20と、フィードバック成分の加減速トルク電流IFBi,フィードフォワード成分の加速度指令電流IFFi,および外乱補償トルク電流IRBiを合計したアクチュエータ2への電流参照値Irefを、予め設定した最大電流値IMAX以下に制限するために、何れか一つの軸でアクチュエータへの電流参照値2が最大電流値IMAXを越えて電流飽和を起こすと、全ての軸で位置指令の調整率γ(n+1)iをそれぞれ算出し、この軸毎の調整率γ(n+1)iの中から電流飽和の許容分が一番大きな軸に対応した最小値の調整率γ(n+1)を用いて、軸毎にフィードフォワード成分の加速度指令電流IFFiを調整するような電流制限ステップを実行する電流リミッタとしてのトルク電流リミッタ95と、トルク電流リミッタ95から与えられる前記最小値のγ(n+1)から、軌跡追従制御システム20が算出するフィードバック成分の加減速トルク電流IFBiおよびフィードフォワード成分の加速度指令電流IFFiを修正するような調整ステップを実行する調整部としての遅れ調整手段86と、をそれぞれ備えている。
【0161】
こうすると、加速度制御システム1によって、アクチュエータ2に対する外乱を補償したロバストな加速度制御が実現され、また軌跡追従制御システム20によって、アクチュエータ2を目標値に軌跡追従させることで、ロバスト加速度制御に基づく高速モーションの軌跡追従制御が可能になる。しかも、このような制御の下で、アクチュエータ2への電流参照値Irefが最大電流値IMAXを越えて飽和した場合に、特に次のサンプルでの位置に大きな影響を及ぼすフィードフォワード成分の加速度指令電流IFFiを適切に調整することで、電流飽和を起こしたアクチュエータ2を含めて、全ての軸でアクチュエータ2を軌跡から遅れないように追従制御することが可能になる。また、このフィードフォワード成分の加速度指令電流IFFiを調整する際に得られる調整率から、軌跡追従制御システム20が算出するフィードバック成分の加減速トルク電流IFBiおよびフィードフォワード成分の加速度指令電流IFFiを修正して、各軸間でアクチュエータ2を協調動作させることが可能になる。さらに、各軸のアクチュエータ2を軌跡追従制御する上で必要な調整した加速度指令電流IFFiを、位置指令の調整率γ(n+1)iから簡単に算出できる。
【0162】
また、本実施例における外乱オブザーバ3は、上記数21に示すような関係式で外乱トルク推定値^Tdisを算出するものにおいて、その極gが無限大になるように構成されている。このようにすれば、アクチュエータ2への加速度参照値θ・・refから加速度応答値θ・・resまでの伝達関数を1とみなすことができ、目標指令値に対しアクチュエータ2がほぼ遅れなく追従して応答するので、ロバストな軌跡追従制御をより完全に実現できる。
【0163】
具体的に、各軸のトルク電流リミッタ95は、ロバスト制御を維持するためのi軸目の現サンプルnにおける最大加減速トルク電流IaccMAX(n)iを上記数40で算出し、フィードフォワード成分の加速度指令電流IFFiとフィードバック成分の加減速トルク電流IFBiとの和が、最大加減速トルク電流IaccMAXよりも大きくなった場合に、上記数41からi軸目の最大加速度θ・・max(n)iを算出して、位置指令調整率γ(n+1)iを上記数42で算出する。次に、各軸iの位置指令調整率γ(n+1)iの中から最小値γ(n+1)minを抽出して、フィードフォワード成分の加速度指令電流を調整した値IFFi(n)を、数43から算出する。
【0164】
このような手順で、飽和時にその軸の最大加減速トルク電流IaccMAX(n)iを判定し、この判定結果から、アクチュエータ2に対するロバスト加速度制御を確実に行いつつ、最適な位置指令の時間的縮小率である調整率γ(n+1)iひいては加速度指令電流の調整値IFFi(n)を算出することが可能になる。
【0165】
さらに、各軸の遅れ調整手段86は、調整ステップを実行する上で、上記数45から前記位置指令調整率γ(n+1)に基づく次サンプルでの修正時間t(n+1)を算出し、この修正時間に基づき、フィードバック成分の加減速トルク電流IFBiおよびフィードフォワード成分の加速度指令電流IFFiを修正している。
【0166】
これにより、前記位置指令調整率γ(n+1)iから、全ての軸のアクチュエータ2を協調動作させる最適な軌跡指令の調整を行なうことが可能になる。
【0167】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。本発明の概念は、図7に示す実験装置以外の、各種メカトロニクス機器の軌跡追従制御(高速モーション制御)にも有効である。
【産業上の利用可能性】
【0168】
従来のトルク飽和対策は、基本的には速度PI制御系に基づく手法であったため、ロバスト加速度制御系を前提としたモーション制御には必ずしも適さない場合が多かった。しかし、上記実施例では、ロバスト加速度制御に基づくトルク飽和を新たに定義し、最適なフィードフォワードトルク電流指令の修正を行なうため、従来の問題を解決することができる。さらに、他軸系システムにおける強調動作を同時に考慮することにより、理論的には無限の軸を有する多軸系システムの制御において、軌跡誤差を発生することなく軌跡追従を行なうことが可能になる。
【0169】
このように、ロバスト加速度制御に基づいたトルク飽和対策を行なうことで、従来技術の壁を大きく越えた高精度な軌跡追従制御が可能となり、現在産業界で実現されている各種工作機械やロボットなどへの導入により、生産技術におけるモーションコントロールを一新することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】本発明のアクチュエータ制御装置が適用する外乱オブザーバを用いたロバスト加速度制御系のシステムの一例を示すブロック線図である。
【図2】図1のロバスト加速度制御系に基づく軌跡追従制御系のブロック線図である。
【図3】図1や図2に示す制御システムに、電流リミッタを組み込んだ構成を示すブロック線図である。
【図4】図3に示すシステムを等価変換したブロック線図である。
【図5】図3に示すシステムをさらに等価変換したブロック線図である。
【図6】本発明における加速度制限アルゴリズムを実行する加速度制限手段の構成を示すブロック線図である。
【図7】多軸系の実験システムの外観を示した概略説明図である
【図8】従来手法による多軸系のロバスト加速度制御に基づくトルク飽和を考慮した軌跡追従システムの一例を示すブロック線図である。
【図9】ロバスト加速度制御におけるi軸目のトルク飽和を示したブロック線図である。
【図10A】従来の軌跡追従システムを用いて円軌跡を描かせたときの実験結果を示し、X軸の位置,速度,電流の指令値と応答値をトレースした波形図である。
【図10B】従来の軌跡追従システムを用いて円軌跡を描かせたときの実験結果を示し、Y軸の位置,速度,電流の指令値と応答値をトレースした波形図である。
【図10C】従来の軌跡追従システムを用いて円軌跡を描かせたときの実験結果を示し、X軸とY軸の各トラッキング誤差と、半径誤差の波形図である。
【図10D】従来の軌跡追従システムを用いて円軌跡を描かせたときの実験結果を示し、始動・停止時における軌跡応答の拡大波形図である。
【図11】本実施例の好ましい手法において、多軸系のロバスト加速度制御に基づくトルク飽和を考慮した軌跡追従システムの一例を示すブロック線図である。
【図12】同上、算出した位置指令調整率による次サンプルでの位置指令値の調整イメージを示すグラフである。
【図13A】本実施例の好ましい軌跡追従システムを用いて円軌跡を描かせたときの実験結果を示し、X軸の位置,速度,電流の指令値と応答値をトレースした波形図である。
【図13B】本実施例の好ましい軌跡追従システムを用いて円軌跡を描かせたときの実験結果を示し、Y軸の位置,速度,電流の指令値と応答値をトレースした波形図である。
【図13C】本実施例の好ましい軌跡追従システムを用いて円軌跡を描かせたときの実験結果を示し、X軸とY軸の各トラッキング誤差と、半径誤差の波形図である。
【図13D】本実施例の好ましい軌跡追従システムを用いて円軌跡を描かせたときの実験結果を示し、始動・停止時における軌跡応答の拡大波形図である。
【図14】最大トルクで減速した場合の理想的な減速停止応答を示す、位置,速度,電流の各グラフである。
【図15】図11の概念を応用したトルク飽和を考慮した軌跡追従制御系の一例を示すブロック線図である。
【図16】一般的なサーボ形のシステム構成を示すブロック線図である。
【符号の説明】
【0171】
1 加速度制御システム(加速度制御部)
2 アクチュエータ
3 外乱オブザーバ
20 軌跡追従制御システム(軌跡追従制御部)
86 遅れ調整手段(調整部)
95 トルク電流リミッタ(電流リミッタ)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図11】
8
【図12】
9
【図14】
10
【図15】
11
【図16】
12
【図7】
13
【図10A】
14
【図10B】
15
【図10C】
16
【図10D】
17
【図13A】
18
【図13B】
19
【図13C】
20
【図13D】
21