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明細書 :高分子微粒子の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4022571号 (P4022571)
公開番号 特開2004-161832 (P2004-161832A)
登録日 平成19年10月12日(2007.10.12)
発行日 平成19年12月19日(2007.12.19)
公開日 平成16年6月10日(2004.6.10)
発明の名称または考案の名称 高分子微粒子の製造方法
国際特許分類 C08G  85/00        (2006.01)
C08G  61/02        (2006.01)
C08G  61/12        (2006.01)
FI C08G 85/00
C08G 61/02
C08G 61/12
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願2002-327376 (P2002-327376)
出願日 平成14年11月11日(2002.11.11)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成14年5月10日 社団法人高分子学会発行の「高分子学会予稿集51巻 第4号」に発表
特許法第30条第1項適用 平成14年9月18日 社団法人高分子学会発行の「高分子学会予稿集51巻 第12号」に発表
審査請求日 平成17年11月11日(2005.11.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
発明者または考案者 【氏名】千葉 史子
【氏名】前田 裕子
【氏名】戸谷 健朗
【氏名】渡邊 敏行
個別代理人の代理人 【識別番号】100122884、【弁理士】、【氏名又は名称】角田 芳末
【識別番号】100133824、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 仁恭
審査官 【審査官】佐々木 秀次
参考文献・文献 特開2001-253966(JP,A)
特開昭60-262828(JP,A)
特開平01-268723(JP,A)
特開昭61-028528(JP,A)
特開平06-080781(JP,A)
特開平06-145534(JP,A)
特表2003-514051(JP,A)
調査した分野 C08G 85/00
C08G 61/00-61/12
特許請求の範囲 【請求項1】
電解重合法により高分子微粒子を作製するに際し、アルミニウムを陽極酸化してえられるポーラスアルミナをテンプレートとして使用する
ことを特徴とする高分子微粒子の製造方法。
【請求項2】
電解重合に使用したテンプレートを、酸性水溶液あるいはアルカリ性水溶液にて溶解させることにより高分子微粒子をとりだす
ことを特徴とする請求項記載の高分子微粒子の製造方法。
【請求項3】
棒状の高分子微粒子である
ことを特徴とする請求項記載の高分子微粒子の製造方法。
【請求項4】
棒状の高分子微粒子の平均直径が、2~200nmの範囲にある
ことを特徴とする請求項記載の高分子微粒子の製造方法。
【請求項5】
棒状の高分子微粒子の平均長さが、10~200000nmの範囲にある
ことを特徴とする請求項記載の高分子微粒子の製造方法。
【請求項6】
高分子微粒子が導電性高分子化合物からなる
ことを特徴とする請求項記載の高分子微粒子の製造方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子微粒子、特に棒状の高分子微粒子を効率よく、均一性高く製造する高分子微粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のマイクロエレクトロニクスの進歩により、従来のバルクまたは分子サイズの中間領域を構成するナノメーター(nm)スケールの超微粒子の材料に対する要求が急増している。上記の微粒子は、特異な表面構造に基づく触媒効果、サイズ効果による光物性、非線形光学特性等の極めて興味深い様々な性質を発現する。これまで、エレクトロニクス、触媒および非線形光学への分野への適用を意図して、無機半導体、金属およびセラミックスの微粒子の作製方法が検討されてきた。
【0003】
無機材料の微粒子は、一般に電気炉法、プラズマ法等の気相法またはフリーズドライ法、スプレードライ法等の液相法で調整されてきた。しかし、より高機能が期待される有機材料の微粒子は、無機材料に比べて例が少なく、不活性ガス中で蒸発させる気相法等が挙げられる。例えば、アントラセン、ピレン、フタロシアニン等の低分子量有機化合物、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の高分子微粒子の気相成長法が記載されている(例えば、非特許文献1参照。)。また、ステアリン酸カルシウムの気相法による微粒子作製の記載がある(例えば、非特許文献2参照。)。
【0004】
しかし、気相成長法には、(1)高温を要すること、(2)分子量10,000以下程度の低分子化合物に限られること、等の本質的な制約がある。一般に有機材料は耐熱性が低く劣化し易いため、この方法の適用には限度があり、また、粒径、結晶化度、分子量等を特定の範囲に規定することが難しく、応用する上で問題を生じやすい。そのため、より効果的な作製法が望まれていた。
【0005】
一方、有機物を含め各種材料の微粒子の作製方法としては、科学的凝縮法が知られており、例えば、イオウを無水アルコールに溶解後、水中に注ぎ入れる方法、カロチンをアセトンに溶解同様に水中に注ぐ方法等が開示されている(例えば、非特許文献3参照。)。しかし、有機物を含め各種材料の微粒子の作製方法としては、上述の程度で、事実上、有意義な機能性有機材料の微粒子についてはほとんど例がない。
【0006】
また、高分子微粒子を界面活性剤の存在下で重合して得る乳化重合法については、アクリル樹脂、スチレン樹脂等汎用高分子類に限定され、同時に製造時の制約から少量の乳化剤の内部への混入が避けられず、均一良質の微粒子は得られなかった。
【0007】
上記の種々の作製方法はすべて、作製される微粒子の大きさや粒径分布の制御が困難であったり、また棒状の微粒子を得られにくいという欠点が指摘されている。
【0008】
他方、棒状微粒子の典型であるカーボンナノチューブは、特異な電気的性質を示す期待からその研究、開発が盛んであるが、その作製法であるアーク放電法、レーザー照射法、化学気相重合法も、長さやアスペクト比の制御はやはり困難である。
【0009】
また、益田らは、陽極酸化されたアルミナをアルミニウムからはがし、イオンビーム照射により選択的にバリアー層を破り貫通細孔を作製した。その貫通細孔中にポリチオフェン溶液を滴下し、注入し乾燥させた。この手法は、粒子を取り出す事を目的としていない(非特許文献4参照。)。
【0010】
なお、本発明に関連する技術内容が開示されている(例えば、非特許文献5,6参照。)。
【0011】
【非特許文献1】
豊玉著、機能材料 弟7巻 6号 44~49頁(1987年6月号)
【非特許文献2】
八瀬ほか著、表面科学 第8巻 5号 434~439頁(1987年)
【非特許文献3】
B.ヤーゲンスほか著、玉虫訳「コロイド化学」20頁および256頁
(1967年倍風館出版)
【非特許文献4】
第48回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集(2001.3)29a-ZH-9
【非特許文献5】
高分子学会予稿集Vol.51,No.4,p.785
【非特許文献6】
高分子学会予稿集Vol.51,No.12,p.3151
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の益田らによって開発された手法では、アルミナテンプレートもポリマー溶液が付着しているため、細孔中だけでなく、表面にもポリマーが生成し、粒子として取り出そうとすると棒状微粒子が高分子薄膜上に林立した構造しか得られない。また、選択的に狙ったところしかポリマー溶液を注入しないため、粒子として取り出そうとする場合、粒子の数が極端に少ないという問題点がある。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、形状が均一な高分子微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の高分子微粒子の製造方法は、電解重合法により高分子微粒子を作製するに際し、アルミニウムを陽極酸化してえられるポーラスアルミナをテンプレートとして使用する方法である。
【0016】
ここで、上述の高分子微粒子の製造方法は、電解重合に使用したテンプレートを、酸性水溶液あるいはアルカリ性水溶液にて溶解させることにより高分子微粒子をとりだすことが好ましい。また、高分子微粒子は、棒状の高分子微粒子であることが好ましい。また、棒状の高分子微粒子の平均直径は、2~200nmの範囲にあることが好ましい。また、棒状の高分子微粒子の平均長さは、10~200000nmの範囲にあることが好ましい。また、高分子微粒子は、導電性高分子化合物からなることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、高分子微粒子の製造方法について説明する。
この製造方法は、陽極酸化して得られるポーラスアルミナをテンプレートとして、高分子微粒子の電解重合を行い、さらに、アルミテンプレートを溶解することにより高分子微粒子を単体で取り出す方法である。
【0018】
アルミニウムを陽極酸化して得られるポーラスアルミナについて説明する。本発明に使用するポーラスアルミナとしては、例えば、アルミニウムを酸性電解液中あるいはアルカリ電解液中で陽極酸化することによりアルミニウムの表面に形成される多孔性のアルミナ膜であり、膜面に垂直な細孔が自己規制化的に形成され、細孔径の均一性が比較的良好であるという特徴を有しているものが採用される。
【0019】
アルミニウム陽極酸化皮膜を用いる方法をさらに詳細に説明する。本発明で用いるアルミニウム上の微細孔を有するアルミニウム陽極酸化皮膜は、硫酸、蓚酸、あるいは燐酸等の水溶液中でアルミニウムを陽極酸化することにより容易に得られる。陽極酸化皮膜内に形成される細孔は、微小均一で、実質的に互いに平行で、ほぼ等間隔に分布している。細孔の孔径、長さ、間隔等は、使用する電解液、対極間電圧、液温等の電解条件により制御される。電解条件を制御することによって、例えば5~500nmの孔径、0.05~500μmの孔の長さ、および0.05~0.5μmの孔間隔を有する孔径および孔間隔の揃ったアルミニウム陽極酸化皮膜を得ることが可能である。
【0020】
つぎに、電解重合について説明する。
電解重合法により高分子微粒子を作製するに際し、陽極に上述のポーラスアルミナをテンプレートとして用いることにより、その細孔中に本発明の高分子微粒子を生成することができる。
【0021】
本発明に係る高分子微粒子の電解重合は、支持電解質の存在下で行われる。支持電解質としては、テトラフルオロホウ酸テトラメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラn-ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラn-ブチルアンモニウム、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸テトラメチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラn-ブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロひ素酸テトラn-ブチルアンモニウム、ヘキサフルオロひ素酸ナトリウム、硫酸、硫酸水素テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラn-ブチルアンモニウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、p-トルエンスルホン酸テトラn-ブチルアンモニウムなどが挙げられる。
【0022】
電解重合で使用される極性溶媒としては、特に限定されず、水、アセトニトリル、DMF、ニトロベンゼン、クロロホルム、テトラヒドロフランなどを用いることができる。
【0023】
本発明における陽極としては、上述したポーラスアルミナが用いられ、陰極としては、鉄、カーボン、アルミニウム、金、白金、導電性ガラスなどから成る電極が用いられる。
【0024】
本発明で用いられる電解重合法は、定電圧法や定電流法が使用でき、あるいは電圧、電流のいずれか一方を段階的に、パルス的またはサイクリック的に変化させる方法も採用できる。電圧値、電流値、電気量、重合度、重合雰囲気等の重合条件は、製造すべき導電性高分子膜の種類、特性、膜厚等に応じて適宜選定することができる。
【0025】
本発明で使用する、高分子微粒子を生成させる材料としてはピロール、チオフェン、フラン、α,α,α',α'-tetrabromo-p-xylene、アニリン、アセチレンなどが挙げられる。
【0026】
高分子微粒子としては、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物が好ましい。
【0027】
つぎに、テンプレートの溶解について説明する。
電解重合に使用したテンプレートを、酸性水溶液あるいはアルカリ性水溶液にて溶解させることにより高分子微粒子のみをとりだすことができる。
【0028】
テンプレートを溶解する方法としては、アルミニウムを溶解させる為の通常の手法、例えば、超音波、攪拌、溶解液温の上昇等種々の方法を挙げることができる。
超音波を用いた場合、1.25MのNaOH水溶液中に約4分間浸漬することでテンプレートを溶解することができる。
【0029】
テンプレートを溶解する溶解液について説明する。酸化アルミを溶かす溶液は酸性水溶液またはアルカリ性水溶液である。具体的には、HCl,H2 SO4 などの酸性水溶液、またはNaOH,KOH、Ca(OH)2 ,Ba(OH)2 などのアルカリ性水溶液を挙げることができる。
【0030】
つぎに、溶液の透析について説明する。
高分子微粒子が分散したアルカリ性水溶液に酸性水溶液を加え酸性にし攪拌した後、この酸性の溶液を透析処理することができる。透析処理することにより、Na+ 、Al3+を除去することができる。
【0031】
透析膜としては、セルロースなどを使用できる。
なお、この透析処理は他のイオンとの共存が許されるならば省略してもかまわない。
【0032】
つぎに、上述の方法により製造された高分子微粒子について説明する。
高分子微粒子の形状は、棒状である。棒形状の断面はほぼ円形である。棒形状の長手方向はほぼ均一な太さである。
【0033】
高分子微粒子は、平均直径が2~200nmの範囲にあるものを製造することができる。ここで、平均直径とは、電子顕微鏡観察により、20個の高分子微粒子の直径を計測し、平均した値である。
【0034】
高分子微粒子の平均直径はつぎの方法により制御できる。すなわち、テンプレートを陽極酸化法により作製する際の印加電圧を制御することにより平均直径を変化させることができる。
【0035】
高分子微粒子は、平均長さが、10~200000nmの範囲にあるものを製造することができる。ここで、平均長さとは、電子顕微鏡観察により、20個の高分子微粒子の長さを計測し、平均した値である。
【0036】
高分子微粒子の平均長さはつぎの方法により制御できる。すなわち、高分子微粒子の長さは、電解重合の際の電解重合時間(クーロン量)により制御できる。電解重合時間に比例して粒子長は長くなる。
【0037】
高分子微粒子の応用例について説明する。高分子微粒子は、ナノコンポジットの添加物として、または単電子トランジスタ、光素子(非線形光学素子)などとして利用することができる。以下に具体的に説明する。
【0038】
ナノコンポジット
ポリマーなどの材料の中に高分子微粒子を混ぜる(ドープする)。高分子微粒子を混ぜたポリマーなどを溶融させ、フィルム状(たとえば)にする。そうすることにより、導電性・強度の増大が期待できる。なぜなら、高分子微粒子の材料は導電性高分子であり、導電性を持つため、ドープすると導電性を付与できる。また、高分子微粒子のサイズ・静電性に起因してドープすると強度が増大するのである。
【0039】
単電子トランジスタ
従来のトランジスタとは異なり、媒体荷電粒子をひとつの電子という量子的極限にまで小さくすることができる。この電子一個というオーダーは、最小のものとなる。これによりトランジスタに必要なエネルギーは最小にとどまり、大きさだけでなく、消費エネルギー最小のトランジスタとなる。
【0040】
単電子トランジスターは、クーロンブロッケードを代表とする量子的現象を利用している。従来ではナノサイズの無機物半導体を利用するものであるが、われわれは高分子微粒子(導電性高分子)を用いる。単電子トランジスタを作成するには、高分子微粒子のサイズを量子効果が現れるナノサイズまで小さくすることが必要になる。サイズをナノレベルにまですれば、光子や電子の波動性に起因した量子効果が現れ、エネルギーバンドの離散化が起こる。エネルギー順位が離散化した状態では、たとえばクーロンブロッケードのように高分子微粒子にひとつの電子が帯電した状態とそうでない状態とでは、エネルギー順位に有限なギャップができる。このギャップを、電位を介して利用すれば、高分子微粒子に一電子が帯電した状態をデジタル的に識別することが可能となる。こうした識別は、粒子の最小化に伴い、エネルギー順位が離散化、すなわち量子化することで可能となる技術である。
【0041】
高分子微粒子が、一電子をトラップし帯電することにより電子によるポテンシャルの変化が起こり、エネルギー固有値に変化が生じる。トランジスタのようにゲート、エミッター、コレクターによる産電極を用いて、エネルギー固有値の変化によってエミッター- コレクター間のトンネル電流が大きく変化するように組み合わせれば、高分子微粒子を用いた単電子トランジスタを実現することが可能となる。
【0042】
光学素子
光の増幅や変調、光メモリー動作に必要な光学非線形性。ナノサイズの粒子は、粒子中で光のエネルギーを受け取った電子が複数個同時に存在すると、電子同士が互いに影響を及ぼしあい非線形性が生じる。したがって、ナノサイズの粒子は非線形光学デバイスとして有望な材料だといえる。
【0043】
以上のことから、本実施の形態によれば、アルミニウムを陽極酸化してえられるポーラスアルミナをテンプレートとして使用し、このテンプレートを溶解させることにより高分子微粒子をとりだすので、形状が均一な高分子微粒子を得ることができる。すなわち、高度に制御された平均直径および平均長さの高分子微粒子を得ることができる。また、この高分子微粒子は各種エレクトロニクス等広範な分野の材料として利用可能である。
【0044】
なお、本発明は上述の実施の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0045】
【実施例】
つぎに、本発明にかかる実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【0046】
[実施例1]
電解研摩済みのAl板(厚さ=0.5mm)に陽極酸化反応処理を施し、テンプレートとなるアルミナ(Al2 3 )を作製する。このときの反応は、15質量%の硫酸水溶液(18℃)中で陽極Al板と陰極Cとの間に約15Vの電位差を30~35分間かけて行なわれる。この条件で陽極酸化反応することにより直径約20nm、深さ約10μmの孔が垂直に配列したアルミナを得ることができる。
【0047】
つぎに、作用電極のアルミナに約-1.5V vs 飽和カロメル電極(SCE)の電位かけることにより、電解重合反応を行なう。この時の反応は、0.05Mのモノマーであるα,α,α',α'-tetrabromo-p-xylene、0.1Mの電解質(tetraethylammonium tetrafluoriborate)、0.2質量%のH2 Oの入ったDMF溶液(室温)中で行なわれた。対電極としては、Pt板を用いた。この重合により、アルミナの孔内にポリパラフェニレンビニレン(poly(p-phenylenevinylene))が生成する。
【0048】
その後、高分子微粒子の分散液を得るため、孔内にポリマーが重合されたテンプレート(Al2 3 )を1.25MのNaOH水溶液中に約4分間つけながら、超音波洗浄をかけ、テンプレートを溶解した。この操作によりNaOH水溶液中に高分子微粒子が分散した。
【0049】
一連の操作により、平均直径20nmのpoly(p-phenylenevinylene)を得ることができた。poly(p-phenylenevinylene)の確認は、透過電子顕微鏡観察により行なった。
【0050】
高分子微粒子の直径の測定は、透過型電子顕微鏡観察による計測により行った。
【0051】
平均直径とは、電子顕微鏡観察により、20個の高分子微粒子の直径を計測し、平均した値である。
【0052】
[実施例2]
電解研摩済みのAl板(厚さ=0.5mm)に陽極酸化反応処理を施し、テンプレートとなるアルミナ(Al2 3 )を作製する。このときの反応は、15質量%の硫酸水溶液(18℃)中で陽極Al板と陰極Cとの間に約15Vの電位差を30~35分間かけて行なわれる。この条件で陽極酸化反応することにより直径約20nm、深さ約10μmの孔が垂直に配列したアルミナを得ることができる。
【0053】
つぎに、作用電極のアルミナに約1.0V vs 飽和カロメル電極(SCE)の電位かけることにより、電解重合反応を行なう。この時の反応は、0.05Mのモノマーであるピロール、0.1Mの電解質(過塩素酸リチウム)の入ったアセトニトリル溶液(室温)中で行なわれた。対電極としては、Pt板を用いた。この重合により、アルミナの孔内にポリマー(polypyrrole)が生成する。
【0054】
その後、テンプレートであるアルミナを1.25M・NaOH水溶液により溶解し、ポリマーのみを溶液中に分散させる。
【0055】
一連の操作により、平均直径20nm、平均長さ6μmのポリピロールを得ることができた。ポリピロールの確認は、透過電子顕微鏡により行なった。
高分子微粒子の長さの測定は、透過型電子顕微鏡観察による計測により行った。
平均長さとは、電子顕微鏡観察により、20個の高分子微粒子の長さを計測し、平均した値である。
なお、高分子微粒子の直径の測定方法と平均直径の定義は、実施例1と同様である。
【0056】
[実施例3]
電解研摩済みのAl板(厚さ=0.5mm)に陽極酸化反応処理を施し、テンプレートとなるアルミナ(Al2 3 )を作製する。このときの反応は、15質量%の硫酸水溶液(18℃)中で陽極Al板と陰極Cとの間に約10Vの電位差を30~35分間かけて行なわれる。この条件で陽極酸化反応することにより直径約13nm、深さ約10μmの孔が垂直に配列したアルミナを得ることができる。
【0057】
つぎに、作用電極のアルミナに約1.0V vs 飽和カロメル電極(SCE)の電位かけることにより、電解重合反応を行なう。この時の反応は、0.05Mのモノマーであるピロール、0.1Mの電解質(過塩素酸リチウム)の入ったアセトニトリル溶液中(室温)で行なわれた。対電極としては、Pt板を用いた。この重合により、アルミナの孔内にポリマーが生成する。
【0058】
その後、テンプレートであるアルミナを1.25M・NaOH水溶液により溶解し、ポリマーのみを溶液中に分散させる。
【0059】
一連の操作により、平均直径13nmのポリピロールを得ることができた。ポリピロールの確認は、透過電子顕微鏡により行なった。なお、高分子微粒子の直径の測定方法と平均直径の定義は、実施例1と同様である。
【0060】
[実施例4]
電解研摩済みのAl板(厚さ=0.5mm)に陽極酸化反応処理を施し、テンプレートとなるアルミナ(Al2 3 )を作製する。このときの反応は、15質量%の硫酸水溶液(18℃)中で陽極Al板と陰極Cとの間に約15Vの電位差を30~35分間かけて行なわれる。この条件で陽極酸化反応することにより直径約20nm、深さ約10μmの孔が垂直に配列したアルミナを得ることができる。
【0061】
つぎに、作用電極のアルミナに約1.0V vs 飽和カロメル電極(SCE)の電位かけることにより、電解重合反応を行なう。この時の反応は、0.05Mのモノマーであるピロール、0.1Mの電解質(過塩素酸リチウム)の入ったアセトニトリル溶液(室温)中で行なわれた。対電極としては、Pt板を用いた。この重合により、アルミナの孔内にポリマー(polypyrrole)が生成する。
【0062】
その後、高分子微粒子の分散液を得るため、孔内にポリマーが重合されたテンプレート(Al2 3 )を1.25MのNaOH水溶液中に約4分間つけながら、超音波洗浄をかけ、テンプレートを溶解した。この操作によりNaOH水溶液中に高分子微粒子が分散した。
【0063】
つぎに、高分子微粒子が分散した1.25MのNaOH水溶液に1.25MのHCl水溶液を約2、3倍加え酸性にし、攪拌した。ある程度透明になったら、この酸性の溶液を透析処理し、Na+ 、Al3+を除去した。
【0064】
透析処理は、透析膜にその酸性の溶液を入れて、透析膜の端を結び、純水が入ったビーカーに透析膜を浸して行なった。この透析処理は、溶液が中性になるまで行なった。使用した透析膜は、光和機材(株)製で穴径が24オングストロームのもので洗浄処理を施してから、透析処理に利用した。
【0065】
透析処理をすることにより次のような効果が得られる。透析処理することによりNaOH水溶液中ではなく、純粋な水中に高分子微粒子のみを存在させることができる。
【0066】
したがって、NaOH水溶液中では、テンプレートのアルミナの溶解の際に出てくるAlイオンが沈殿物や錯体を作る可能性があるが、透析処理することにより水中で保存できるのでこれらの沈殿物や錯体を作る可能性がなくなる。
【0067】
また、水中に高分子微粒子のみが分散している系なので、高分子微粒子の分散液の性質を測る際や、粒子の観察を行なう際に、他の邪魔なものの存在がないために粒子特有の性質の測定や形状の観察・測定が容易になる。
【0068】
一連の操作により、平均直径20nmのポリピロールを得ることができた。ポリピロールの確認は、透過電子顕微鏡により行なった。なお、高分子微粒子の直径の測定方法と平均直径の定義は、実施例1と同様である。
【0069】
以上のことから、本実施例によれば、アルミニウムを陽極酸化してえられるポーラスアルミナをテンプレートとして使用し、このテンプレートを溶解させることにより高分子微粒子のみをとりだすので、形状が均一な高分子微粒子を得ることができる。すなわち、高度に制御された平均直径および平均長さの高分子微粒子を得ることができる。
【0070】
【発明の効果】
アルミニウムを陽極酸化してえられるポーラスアルミナをテンプレートとして使用し、このテンプレートを溶解させることにより高分子微粒子をとりだすので、形状が均一な高分子微粒子を得ることができる。