TOP > 国内特許検索 > リヒート吸着冷凍機 > 明細書

明細書 :リヒート吸着冷凍機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4404295号 (P4404295)
公開番号 特開2005-061726 (P2005-061726A)
登録日 平成21年11月13日(2009.11.13)
発行日 平成22年1月27日(2010.1.27)
公開日 平成17年3月10日(2005.3.10)
発明の名称または考案の名称 リヒート吸着冷凍機
国際特許分類 F25B  17/08        (2006.01)
FI F25B 17/08 B
請求項の数または発明の数 3
全頁数 10
出願番号 特願2003-293679 (P2003-293679)
出願日 平成15年8月15日(2003.8.15)
審査請求日 平成18年7月10日(2006.7.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
発明者または考案者 【氏名】秋澤 淳
【氏名】カン・チュウドゥリィ・アマヌル・アロム
【氏名】濱本 芳徳
【氏名】柏木 孝夫
審査官 【審査官】藤原 直欣
参考文献・文献 特開平11-223411(JP,A)
特開平09-166367(JP,A)
特開平03-007859(JP,A)
特開2003-014330(JP,A)
特開平08-240357(JP,A)
調査した分野 F25B 17/08
特許請求の範囲 【請求項1】
並列に設置した二組の吸着剤を充填した熱交換器(一組あたり二基)を有し、
各熱交換器のそれぞれは冷却水源からの冷却水または温水源からの温水が供給され、かつ、熱交換器のそれぞれは蒸発器、凝縮器、及び、自身以外の他の熱交換器に連通可能であり、これらの熱交換器と凝縮器、および、これらの熱交換器と蒸発器とはいずれも連通せず、かつ、これらの熱交換器を気相熱媒用の配管で連通する蒸気再生工程において、脱着工程終了時の熱交換器に温水を引き続き供給し、かつ、吸着工程終了時の熱交換器に冷却水を引き続き供給する一方で、連続的に冷熱を出力するために、凝縮器と温水を供給する別の脱着側熱交換器を気相熱媒用の配管で連通し、かつ、蒸発器と冷却水を供給する別の吸着側熱交換器を気相熱媒用の配管で連通した吸着冷凍機であって、工程切替時間を制御することによって熱源温度の変化に対して冷熱出力を調節できる吸着冷凍機。
【請求項2】
吸着準備工程の熱交換器を通過した後の冷却水を脱着準備工程の熱交換器に供給し、脱着用温水の使用量を削減した請求項1に記載した吸着冷凍機。
【請求項3】
脱着工程終了時の熱交換器と吸着工程終了時の熱交換器が気相熱媒用の配管で連通している間に脱着工程終了時の熱交換器に流す温水流量を任意に調整して温水の使用量を削減した請求項1に記載した吸着冷凍機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギーを有効利用するための吸着冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
吸着冷凍機の従来例を図7に示す。この吸着冷凍機は熱媒として水を利用し,吸着剤としてシリカゲルあるいはゼオライトを用いている(例えば,非特許文献1参照。)。この吸着冷凍機は凝縮器1と蒸発器2,吸着剤熱交換器3A,4Aという主要機器から構成されている。
【0003】
蒸発器2に噴霧された熱媒(水)は,蒸発して気化熱を奪い,配管系LEVAを循環する冷水を冷却する。そして図7の状態では,符号RV1で示す蒸発した熱媒(水蒸気)は弁VR3を経由して吸着剤熱交換器3Aに流入し,この熱交換器3Aに充填された吸着剤(シリカゲルまたはゼオライト)により吸着される。ここで吸着剤は水分を吸着すると発熱するため,配管系LHEXAを介して供給される冷却水により冷却される。配管系LHEXAに冷却水を供給するためには,冷却水供給源5と吸着剤熱交換器3A間に介装された切り換え弁V1,V2,V3,V4を図7において実線で示す系統に切り換えればよい。なお,吸着剤熱交換器3Aと凝縮器間は弁VR1を閉じた状態にしてあるため,水蒸気は凝縮器に漏出することなく,熱交換器3A中の吸着剤により十分に吸着される。
【0004】
一方,図7の脱着側では吸着剤熱交換器4Aによる吸着が完了しており,そのため吸着剤熱交換器4Aと蒸発器間に存在する弁VR4を閉じた状態として水蒸気が流入しないようになっている。この状態では,熱交換器4Aの吸着剤は飽和状態近くまで水蒸気を吸着しており,そのため配管系LHEXBを介して温水を供給すると,吸着された水分が吸着剤から分離して(脱着),符号RV2で示すように,開いた状態にある弁VR2を経由して凝縮器1側へ流出する。そして,吸着剤から脱着した水分(水蒸気)RV2は配管系LCONDを介して凝縮器1に供給される冷却水との熱交換により,凝縮熱を奪われて液相,すなわち水に変化する。この水は凝縮器と蒸発器間を接続している配管LCEを経由して蒸発器に流入し,噴霧される。なお,吸着剤熱交換器4Aに温水を供給するためには,温水源7と吸着剤熱交換器4A間に介装された切り換え弁V5,V6,V7,V8を切り換えて,図中において実線で示す系統に切り換えればよい。
【0005】
熱交換器3Aにおける吸着,熱交換器4Aにおける脱着が完了すると開いた状態にある弁VR2,VR3を閉じた状態にし,吸着剤熱交換器3Aには温水を,熱交換器4Aには冷却水を供給する。吸着器として機能していた熱交換器3Aは次の工程で脱着器として,脱着器として機能していた熱交換器4Aは次の工程で吸着器として機能する。この際の切り替わりが滑らかに行われるようにするためである。なお,この温水および冷却水供給の切り換えは冷却水源5と吸着剤熱交換器3A間に介装された切り換え弁V1,V2,V5,V6,および温水源7と吸着剤熱交換器4A間に介装された切り換え弁V3,V4,V7,V8を切り換えて図中における点線の系統に切り換えればよい。
【0006】
前述の工程が終了すると,熱交換器3Aと凝縮器間に介装された弁VR1,および熱交換器4Aと蒸発器間に介装された弁VR4を開いた状態とする。そして切り換え弁V1,V2,V5,V6,およびV3,V4,V7,V8を図中に示す点線の系統に切り替えることにより熱交換器3Aに温水を熱交換器4Aに冷却水を供給し,それぞれ脱着,吸着を行う。
【0007】
図7で示す吸着冷凍機を一般空調用に用いる場合,吸着剤熱交換器への冷却水源5および凝縮器1の冷却水源6からの冷却水入り口温度(吸着冷凍機へ流入する際の温度)は定格温度31℃が,蒸発器2において冷却された冷水の出口温度(吸着冷凍機から流出する際の温度)は定格温度7℃が望まれている。そして従来は,温水源7からの温水入り口温度は65℃程度が必要とされていた。換言すれば,図7で示す吸着冷凍機では一般空調用として望まれる定格条件で運転するためには,駆動熱源温度として65℃程度が必要とされていた。
【0008】
また,駆動温度の低温下を目的として吸着・脱着器を多段に組み合わせて構築される多段型吸着冷凍機が考案され(例えば,特許文献1参照。),実証試験された(例えば,非特許文献2参照。)。しかしながら,その理論熱効率は段数の逆数倍以下と小さく,冷熱出力は小さく,実用化までには至っていない。
【0009】

【特許文献1】特開平6-180159号公報
【0010】

【非特許文献1】ビショット・バラン・シャハ(Bidyut Baran Saha),外2名,「コンピュータ・シミュレーション・オブ・ア・シリカゲル・ウォーター・アドソープション・リフリージレーション・サイクル-ザ・インフルエンス・オブ・オペレーティング・コンディションズ・オン・クーリング・アウトプット・アンド・シーオーピー(Computer Simulation of a Silica Gel-Water Adsorption Refrigeration Cycle-The Influence of Operating Conditions on Cooling Output and COP)」,アメリカン・ソサイアティ・オブ・ヒーティング・リフリージレイティング・アンド・エアーコンディショニング・エンジニアーズ・トランスアクション(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers Transaction),(米国),アメリカ暖房冷凍空調学会,1995年,第101号,p.348-355
【非特許文献2】エリザ・デ・カストロ・ブーマン(Elisa de Castro Boelman),外2名,エクスペリメンタル・インベスティゲイション・オブ・ア・シリカゲル・ウォーター・アドソープション・リフリージレーション・サイクル-ザ・インフルエンス・オブ・オペレーティング・コンディションズ・オン・クーリング・アウトプット・アンド・シーオーピー(Experimental investigation of a sillica gel-water adsorption refrigeration cycle-the influence of operating conditions on cooling output and COP),アメリカン・ソサイアティ・オブ・ヒーティング・リフリージレイティング・アンド・エアーコンディショニング・エンジニアーズ・トランスアクション(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers Transaction),(米国),アメリカ暖房冷凍空調学会,1995年,第101号,p.358-366
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
60℃以下の比較的低温度域の排熱は俗に「低質排熱」と呼ばれ,従来は単に廃棄(排熱)するのみであった。近年,省エネルギーが重要視されるようになり,このような低質排熱を有効利用することが重要となっている。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたもので、冷却水温度が31℃、得られた冷水の温度が7℃(定格条件による運転)であっても、60℃以下の低質排熱を駆動熱源として利用し、かつ冷熱出力を低下させないような吸着冷凍機の提供を目的とし、特に、熱源温度の変化に対して冷熱出力を調節できる吸着冷凍機の提供を目的とする
【0013】
本発明の請求項1の発明は、「並列に設置した二組の吸着剤を充填した熱交換器(一組あたり二基)を有し、各熱交換器のそれぞれは冷却水源からの冷却水または温水源からの温水が供給され、かつ、熱交換器のそれぞれは蒸発器、凝縮器、及び、自身以外の他の熱交換器に連通可能であり、これらの熱交換器と凝縮器、および、これらの熱交換器と蒸発器とはいずれも連通せず、かつ、これらの熱交換器を気相熱媒用の配管で連通する蒸気再生工程において、脱着工程終了時の熱交換器に温水を引き続き供給し、かつ、吸着工程終了時の熱交換器に冷却水を引き続き供給する一方で、連続的に冷熱を出力するために、凝縮器と温水を供給する別の脱着側熱交換器を気相熱媒用の配管で連通し、かつ、蒸発器と冷却水を供給する別の吸着側熱交換器を気相熱媒用の配管で連通した吸着冷凍機であって、工程切替時間を制御することによって熱源温度の変化に対して冷熱出力を調節できる吸着冷凍機。」を要旨とする。吸着冷凍機における脱着工程側の熱交換器内の圧力は高く、吸着工程側の熱交換器内の圧力は低い。このため、脱着工程側の熱交換器と吸着工程側の熱交換器を接続することで2つの熱交換器内の圧力は平衡状態になるべく、圧力の高い脱着側の熱交換器から圧力の低い吸着側の熱交換器へ水蒸気は移動する。さらに、脱着工程側の熱交換器に脱着用温水を流しつづけ、かつ、吸着工程側の熱交換器に冷却水を流しつづけることにより水蒸気の移動量と移動速度をさらに増加させて吸着量の変化量を増大させることができる。また、特に重要なことは、切替時間を制御することによって熱源温度の変化に対して冷熱出力を調節できる、点であり、切替時間を短くとれば従来の短段型サイクルと同程度の温度域で出力を確保できる一方、切替時間を長くとれば従来の二段型サイクルと同程度の温度域で出力を確保することができることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項2の発明は、「吸着準備工程の熱交換器を通過した後の冷却水を脱着準備工程の熱交換器に供給し、脱着用温水の使用量を削減した請求項1に記載した吸着冷凍機。」を要旨とし、請求項1の発明に加え、吸着準備工程の熱交換器を通過した冷却水は吸着剤との熱交換により熱を回収し、熱回収した冷却水の温度レベルは再生温水温度よりも低いが脱着準備工程の熱交換器に供給されることにより脱着用熱源の一部として機能する。
【0015】
本発明の請求項3の発明は、「脱着工程終了時の熱交換器と吸着工程終了時の熱交換器が気相熱媒用の配管で連通している間に脱着工程終了時の熱交換器に流す温水流量を任意に調整して温水の使用量を削減した請求項1に記載した吸着冷凍機。」を要旨とし、請求項1の発明に加え、脱着側熱交換器と吸着側熱交換器を接続している間に流す温水流量をポンプなどの回転数を制御して任意に調整することにより、温水使用量を削減する。

【0016】
(3)
請求項3記載の発明では請求項1記載の脱着側熱交換器と吸着側熱交換器を接続している間に流す温水流量をポンプなどの回転数を制御して任意に調整することにより,温水使用量を削減する。
【0017】
このことから脱着準備工程に供給されていた脱着用温水の使用量を削減することができ更なる高効率化が望めることになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の作用効果を以下に列挙する。
【0019】
(1)60℃以下の低質排熱(低温排熱)が吸着冷凍機の熱源として有効利用される。
【0020】
(2)省エネルギーの要請に応えることができる。
【0021】
(3)4ベッド構成のため連続して冷熱出力が可能。
【0022】
(4)工程切り替え時間(サイクル時間)を制御することにより,冷房能力は単段型吸着冷凍機のそれよりも大きくすることができ,取り出される冷水温度は低くなる。
【0023】
(5)常に蒸発器といずれかの吸着熱交換器が接続されて蒸発が行われるため,取り出される冷水温度が安定している。
【0024】
冷房能力や成績係数COPの計算条件を図8に示す。計算では駆動熱源温度を50℃から90℃まで,冷却水供給温度を30℃,吸着冷凍機に流入する冷水温度を14℃としている。本サイクルのサイクル時間として1300秒と3400秒の2通りを例にとって検討した。それぞれの各工程の時間の例も図8に示す。
【0025】
冷房能力について従来型である単段型および二段型と比較を行った結果を図9に示す。サイクル時間が1300秒と短い条件では,駆動熱源温度が50℃から90℃の間において冷房能力は単段型を3~25%上回っている。また,駆動熱源温度が65℃以下ではサイクル時間が3400秒と長い条件においては,21%から200%の冷房能力の増大が見積もられる。二段型と比較を行った結果ではサイクル時間が3400秒と長い条件では,駆動熱源温度が50℃から70℃の間において冷房能力は二段型と同等である。また,駆動熱源温度が75℃では9%の冷房能力の増大が見積もられる。
【0026】
成績係数COPについて従来型である単段型および二段型と比較を行った結果を図10に示す。駆動熱源温度が65℃よりも低い温度域において,サイクル時間が3400秒と長い条件では単段型と同じである。二段型と比較を行った場合,駆動熱源温度が65℃よりも低い温度域において,サイクル時間が3400秒と長い条件ではCOPは最大70%も増大することが見積もられる。
【0027】
取り出される冷水温度について従来型単段サイクルと比較を行った結果を図11に示す。熱源温度が70℃であり,吸着冷凍機に流入する冷水温度(冷水入口温度)が14℃である場合,本サイクルの取り出し冷水温度は単段型のそれよりも2℃から4℃も低くなっている。
【0028】
取り出される冷水温度の安定性について従来型二段サイクルと比較を行った結果を図12に示す。例えば熱源温度が55℃であり,吸着冷凍機に流入する冷水温度(冷水入口温度)が14℃である場合,従来型二段サイクルでの取り出し冷水温度は工程切り換え時に約1℃の急激な上昇を示すが,本サイクルでは緩やかに上昇しており瞬間的に温度が変動することがない。
【0029】
このように,60℃以下の低質排熱を駆動熱源として利用し,単段型以上の成績係数を示し,かつ二段型並に冷熱出力を低下させないような吸着冷凍機の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1における吸着冷凍機は,凝縮器1,蒸発器2,吸着剤熱交換器3A,3B,3C,3Dを備えている。
【0031】
運転は弁VR1,VR2,VR3,VR4,VR5,VR6,VR7,VR8,VR9,VR10,及び,V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7,V8,V9,V10,V11,V12,V13,V14,V15,V16の切り換えにより吸着冷凍機においてModeA,ModeB,ModeC,ModeD,ModeE,ModeF,ModeG,ModeH,ModeI,ModeJを所定時間ずつ繰り返し,ModeAでは図1に示すごとく,弁VR1,VR2を開き,吸着剤熱交換器3Aと凝縮器1を,及び弁VR8,VR10を開き,熱交換器3Cと3Dを,弁VR5を開いて吸着剤熱交換器3Bと蒸発器2を接続する。これとともに配管系LHEXBに冷却水を供給するため,冷却水源6と吸着剤熱交換器3B,3D間に介装された弁V5,V6,V7,V8,V13,V14,V15,V16,及び配管系LHEXAに温水を供給するために,温水源4と吸着剤熱交換器3A,3C間に介装された弁V1,V2,V3,V4,V9,V10,V11,V12を図1に示す実線の系統に切り換える。
【0032】
蒸発器2に噴霧された熱媒(水)は,蒸発して気化熱を奪い,配管系LEVAを循環する冷水を冷却する。そして図1の状態では,符号RV1Bで示す蒸発した熱媒(水蒸気)は弁VR5を経由して吸着剤熱交換器3Bに流入し,この熱交換器3Bに充填された吸着剤に吸着される。ここで吸着剤は水分を吸着すると発熱するため,配管系LHEXBを介して供給される冷却水により冷却される。なお,吸着剤熱交換器3Bと凝縮器1間は弁VR4を閉じた状態にしてあるため,水蒸気は凝縮器に漏出することなく,熱交換器3B中の吸着剤により十分に吸着される。
【0033】
一方,図1の脱着側では吸着剤熱交換器3Aによる吸着が完了しており,そのため吸着剤熱交換器3Aと3B及び蒸発器2間に存在する弁VR4,VR3を閉じた状態として水蒸気が流入しないようになっている。この状態では,熱交換器3Aの吸着剤は飽和状態近くまで水蒸気を吸着しており,そのため配管系LHEXAを介して温水を供給すると,吸着された水分が吸着剤から分離して,符号RV1Aで示すように,開いた状態にある弁VR2,VR1を経由して凝縮器1側へ流出する。そして,吸着剤から脱着した水分RV1Aは配管系LCONDを介して凝縮器1に供給される冷却水との熱交換により,凝縮熱を奪われて液相,すなわち水に変化する。この水は凝縮器と蒸発器間を接続している配管LCEを経由して蒸発器に流入し,噴霧される。
【0034】
このときに同時に,吸着側熱交換器3Dと脱着側熱交換器3Cとの間に介装されている弁VR8,VR10を開いた状態にする。脱着側熱交換器内の圧力は吸着側熱交換器内の圧力に比べて高いため,脱着側と吸着側の熱交換器を接続した場合,平衡状態になるべく脱着側熱交換器から吸着側熱交換器へ水蒸気が移動し,脱着側熱交換器3Cにおいてさらに脱着が,吸着側熱交換器3Dにおいてさらに吸着が行われることになる。
【0035】
ModeB(図2)ではModeAの状態から吸着側熱交換器3Dと脱着側熱交換器3Cとの間に介装されている弁VR8,VR10のみを閉じる。吸着剤熱交換器3Cには冷却水を,吸着剤熱交換器3Dには温水を供給する。吸着器として機能していた熱交換器3Dは次の工程で脱着器として,脱着器として機能していた熱交換器3Cは次の工程で吸着器として機能する。この際の切り替わりが滑らかに行われるようにするためである。なお,この温水および冷却水供給の切り換えは冷却水源6と吸着剤熱交換器3C間に介装された切り換え弁V9,V11,V15,V16,および温水源4と吸着剤熱交換器3D間に介装された切り換え弁V10,V12,V13,V14を切り換えて図中における実線の系統に切り換えればよい。熱交換器3Aで脱着が,3Bで吸着が行われ続ける。
【0036】
なお,ModeBに移る前に図6に示すようにModeAの状態から吸着側熱交換器3Dと脱着側熱交換器3Cとの間に介装されている弁VR8,VR10のみを閉じる。吸着剤熱交換器3Cに流れていた温水を吸着剤熱交換器3Dに,熱交換器3Dに流れていた冷却水を熱交換器3Cに供給することによって温水使用量を削減することが可能になる。この際,切り換え弁V9,V11,V15,V16,およびV10,V12,V13,V14を切り換えて図6中における実線の系統に切り換えればよい。図中の冷却水源6からの冷却水は,切り換え弁V15およびV16に流入出していない。
【0037】
ModeC(図3)においては気相熱媒用配管系に介装されている弁VR6,VR7,VR10を開けて熱交換器3Dと凝縮器1が連結され脱着工程が,熱交換器3Cと蒸発器2が連結され吸着工程が行われる。このとき熱交換器3Cには冷却水が,熱交換器3Dには温水が供給され続けている。なお,熱交換器3Aで脱着が,3Bで吸着がModeBと同様に行われ続ける。
【0038】
ModeD(図4)においては熱交換器3Aによる脱着が,熱交換器3Bにおる吸着がそれぞれ完了しており,弁VR1,VR5が閉じられる。同時に,脱着側熱交換器3Aと吸着側熱交換器3Bとの間に介装されている弁VR2,VR4を開いた状態にする。熱交換器3Aと熱交換器3BにおいてはModeAにおける熱交換器3Cと熱交換器3Dと同じ状態となり,脱着側熱交換器3Aから吸着側熱交換器3Bへと水蒸気RV1ABが移動し,脱着側熱交換器においてさらに脱着が,吸着側熱交換器においてさらに吸着が行われることになる。熱交換器3Cと3DではModeCと同様にそれぞれ吸着と脱着が行われ続ける。
【0039】
ModeE以後は図5に示すように各熱交換器は,脱着工程,蒸気再生工程(脱着),準備工程(冷却),吸着工程,蒸気再生工程(冷却),準備工程(加熱)を熱交換器3Aに対して熱交換器3Bは1/2サイクル,熱交換器3Cは3/4サイクル,熱交換器3Dは1/4サイクルずれながら変化していく。また,図中の各工程の時間は一例である。
【0040】
なお,吸着剤にはシリカゲル,ゼオライト,活性炭,活性アルミナなど吸着性を有するものであれば種々のものを使用できる。
【0041】
熱媒としては水,アルコール類など,およびそれら複数の混合物を使用できる。
【0042】
また,熱交換器3A,3B,3C,3Dで用いる吸着剤は同一のもの,あるいは,互いに異なるもののいずれであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】吸脱着工程と同時に行われる蒸気再生工程時の運転形態を示す図(ModeA)
【図2】吸脱着工程と同時に行われる準備工程時の運転形態を示す図(ModeB)
【図3】吸脱着工程時の運転形態を示す図(ModeC)
【図4】吸脱着工程と同時に行われる蒸気再生工程時の運転形態を示す図(ModeD)
【図5】時間経過に対する各熱交換器の工程状態を示す図
【図6】温水使用量削減のための運転形態を示す図
【図7】従来例を示す説明図
【図8】計算条件を示す図
【図9】従来型である単段型および二段型との冷房能力における性能比較図
【図10】従来型である単段型および二段型とのCOPにおける性能比較図
【図11】従来型である単段型との冷水取出し温度についての比較図
【図12】従来型である二段型との冷水取出し温度の変動についての比較図
【符号の説明】
【0044】
1 蒸発器
2 凝縮器
3A,3B,3C,3D 吸着剤熱交換器
4 温水源
5 凝縮器用冷却水源
6 熱交換器用冷却水源
7 冷水源
LCOND,LEVA,LHEXA,LHEXB,LHEXC,LHEXD,LCE 配管
RV1A,RV1B,RV1C,RV1D,RV1AB,RV1BA,RV1CD,RV1DC,RV1,RV2 水蒸気
V1-V16,VR1-VR10 弁
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11